JP2011128610A - パターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細パターンの形成に有用なパターン形成方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、露光後ベークを行い、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程(1)と、前記第一のレジストパターンを、酸性のリソグラフィー用洗浄液を用いて洗浄する工程(2)と、前記の洗浄後の第一のレジストパターンをベークする工程(3)と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布してパターン反転用膜を形成し、アルカリ現像することにより前記第一のレジストパターンを除去してレジストパターンを形成する工程(4)とを有することを特徴とするパターン形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いて第一のレジストパターンを形成した後、その上にパターン反転用組成物を塗布してパターン反転用膜を形成し、アルカリ現像を行うことにより、前記パターン反転用膜に、前記第一のレジストパターンのイメージが反転したパターンを形成するパターン形成方法に関する。
支持体の上に微細なパターンを形成し、これをマスクとしてエッチングを行うことによって該パターンの下層を加工する技術(パターン形成技術)は、半導体分野においてICデバイスの作成等に広く採用され、大きな注目を浴びている。
微細パターンは、通常、有機材料からなり、例えばリソグラフィー法やナノインプリント法等の技術によって形成される。たとえばリソグラフィー法においては、基板等の支持体上に、レジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。そして、上記レジストパターンをマスクとして、基板をエッチングにより加工する工程を経て半導体素子等が製造される。露光した部分の現像液に対する溶解性が増大するレジスト材料をポジ型、露光した部分の現像液に対する溶解性が低下するレジスト材料をネガ型という。
近年、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。レジストパターンの微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されており、たとえばArFエキシマレーザーを用いたリソグラフィーにより、45nmレベルの解像性でのパターン形成が可能となっている。また、解像性の更なる向上のために、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。化学増幅型レジスト組成物には、一般的に、前記酸発生剤とともに、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分が配合されている。たとえばポジ型の化学増幅型レジストの基材成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものが用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
また、化学増幅型レジスト組成物の基材成分としては主に樹脂が用いられている。
解像性の更なる向上のための手法の1つとして、露光機の対物レンズと試料との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、所謂、液浸リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography。以下、液浸露光ということがある。)が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を応用して行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光は、あらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
最近提案されているリソグラフィー技術の1つとして、パターニングを2回以上行ってレジストパターンを形成するダブルパターニングプロセスがある(たとえば、非特許文献2〜3参照)。
ダブルパターニングプロセスにはいくつか種類があり、たとえば、(1)リソグラフィー工程(レジスト組成物の塗布から露光、現像まで)およびエッチング工程を2回以上繰り返してパターンを形成する方法、(2)リソグラフィー工程を続けて2回以上繰り返す方法等がある。
(1)の方法によるパターンの形成は、たとえば以下の手順で実施される。まず、基板と下層膜とハードマスクとが積層された積層体を用意する。次に、ハードマスク上にレジスト膜を設け、該レジスト膜を、フォトマスクを介して選択的に露光し、現像することにより、所定のサイズのレジストパターンが複数、所定の位置に配置された第一のレジストパターンを形成する。次に、該第一のレジストパターンをマスクとしてハードマスクのエッチングを行った後、残った第一のレジストパターンを除去する。これにより、第一のレジストパターンが転写されたハードマスクが得られる。次に、該ハードマスク上にレジスト組成物を塗布することにより、ハードマスク内の空隙を充填するレジスト膜を形成する。そして、該レジスト膜を、パターン配置の異なるフォトマスクを介して選択的に露光し、現像して第二のレジストパターンを形成する。次に、該第二のレジストパターンをマスクとしてハードマスクのエッチングを行った後、残った第二のレジストパターンを除去する。これにより、第一のレジストパターンおよび第二のレジストパターンが転写されたハードマスクが得られる。このハードマスクをマスクとしてエッチングを行うことにより、下層膜にハードマスクのパターンが転写され、結果、使用したフォトマスクよりも狭ピッチのパターンが形成される。
(2)の方法では、たとえば、支持体上に第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜をパターニングすることにより複数のレジストパターン(第一のレジストパターン)を形成した後、その上に第二のレジスト材料を塗布して前記複数のレジストパターン間の空隙を充填する第二のレジスト膜を形成し、該第二のレジスト膜をパターニングする。
これらのダブルパターニングプロセスによれば、同じ露光波長の光源を用いても、また、同じレジスト組成物を用いても、1回のリソグラフィー工程で形成する場合(シングルパターニング)よりも高解像性のレジストパターンを形成することが可能である。また、ダブルパターニングプロセスは、既存の露光装置を用いて行うことができる。
また、最近提案されているリソグラフィー技術として、酸によって脱離する酸不安定基を持つ構造を有する繰り返し単位を有し、上記酸不安定基の脱離によってアルカリ現像液に可溶になる樹脂と、高エネルギー線の露光により酸を発生する光酸発生剤又は光酸発生剤と加熱により酸を発生する熱酸発生剤と、有機溶剤とを含有する化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物を用いてポジ型パターンを得る工程、該工程で得られたポジ型パターンを露光もしくは加熱して酸あるいは熱により、該ポジ型パターン中の上記樹脂の酸不安定基を脱離させてアルカリ溶解性を向上させ、かつ該樹脂にアルカリ性ウェットエッチング液に対する溶解性を失わない範囲で架橋を形成させて、上記ポジ型パターンに反転用膜形成用組成物に使用される有機溶剤に対する耐性を与える工程、反転用膜形成用組成物を用いて反転用膜を形成する工程、上記架橋が形成されたポジ型パターンをアルカリ性ウェットエッチング液で溶解除去する工程を含む、ポジネガ反転を用いたパターン形成方法、が提案されている(特許文献2参照)。
特開2003−241385号公報 特開2009−211036号公報
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5754巻,第119−128頁(2005年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5256巻,第985〜994頁(2003年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第6153巻,第615301−1〜19頁(2006年).
レジスト膜にスペースパターンやホールパターンを形成する場合、ラインパターンやドットパターンを形成する場合に比べて、弱い光入射強度下でのパターン形成を強いられ、露光部および未露光部にそれぞれ入射する光の強度のコントラストも小さい。そのため、レジストパターン形成における解像力やリソグラフィーマージン(たとえば露光量に対する余裕度(ELマージン)、焦点深度に対する余裕度(DOFマージン)、パターン形状の垂直性等といったパターン形成能に制限が生じやすく、高解像のレジストパターンを形成することが難しい傾向がある。
高解像のレジストパターンを形成できる技術として、上述のようなダブルパターニングプロセスを用いることも考えられる。しかし、上記のようなダブルパターニングプロセスのうち、(1)の方法は、基板上にパターンを形成するためには、レジスト膜のパターニングを少なくとも2回、その下層のハードマスクのエッチングを少なくとも2回行う必要があるなど、工程数の増大や薬液使用量の増大、それらに伴う製造コストの増大が問題となる。また、(2)の方法は、ラインアンドスペースパターンの形成には適しているものの、孤立スペースパターン(トレンチパターン)やホールパターンの形成には適していない。
また、特許文献2に記載されたパターン形成方法においては、ポジ型パターンを得た後、光酸発生剤から酸を発生させるための露光工程をあらたに設ける必要が生じる。また、熱酸発生剤を用いた場合、ポジ型パターン(第一のレジストパターン)の形成において、露光後加熱により熱酸発生剤から発生する酸の影響でコントラストが弱まり、解像性が低下する、パターンが形成できない等の不具合を生じるおそれがある。さらに、ポジ型パターンの形成に用いる化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物に配合する前記樹脂として架橋を形成し得るものを選択する必要があるため、通常用いられる化学増幅型ポジ型レジスト組成物をそのまま使うことができない。
そのため、スペースパターン、ホールパターン等のパターンを、通常用いられる化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いて、できるだけ工程数を減らした簡便な方法で、かつ、高い解像性で形成できる新規な技術が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、微細パターンの形成に有用なパターン形成方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のパターン形成方法は、支持体上に、第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、露光後ベークを行い、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程(1)と、前記第一のレジストパターンを、酸性のリソグラフィー用洗浄液を用いて洗浄する工程(2)と、前記の洗浄後の第一のレジストパターンをベークする工程(3)と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布してパターン反転用膜を形成し、アルカリ現像することにより前記第一のレジストパターンを除去してレジストパターンを形成する工程(4)とを有することを特徴とする。
本明細書および本特許請求の範囲において、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「構成単位」とは、高分子化合物(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
本発明によれば、微細パターンの形成に有用なパターン形成方法を提供できる。
本発明のパターン形成方法における工程(1)の実施形態を説明する概略工程図である。 本発明のパターン形成方法における工程(2)と工程(3)の実施形態を説明する概略工程図である。 本発明のパターン形成方法における工程(4)の実施形態を説明する概略工程図である。
≪パターン形成方法≫
本発明のパターン形成方法は、支持体上に、第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、露光後ベークを行い、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程(1)と、前記第一のレジストパターンを、酸性のリソグラフィー用洗浄液を用いて洗浄する工程(2)と、前記の洗浄後の第一のレジストパターンをベークする工程(3)と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布してパターン反転用膜を形成し、アルカリ現像することにより前記第一のレジストパターンを除去してレジストパターンを形成する工程(4)とを有する。
以下、本発明のパターン形成方法について、図面を参照しながら説明する。ただし本発明はこれに限定されるものではない。
図1〜3に、本発明のパターン形成方法の実施形態例を示す。
本実施形態では、工程(1)を図1に示す手順で行う。
すなわち、まず、図1(a)に示すように、支持体1上に、第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜2を形成する。
次に、第一のレジスト膜2を、図1(b)に示すように、所定のパターンが形成されたフォトマスク3を介して露光し、露光後ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を行う。これにより、第一のレジスト膜2のうち、露光された領域(露光部)のアルカリ現像液に対する溶解性が増大し、一方、露光されていない領域(未露光部)のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないか、変化してもその変化量がわずかであるため、露光部と未露光部との間にアルカリ現像液に対する溶解速度の差(溶解コントラスト)が生じる。そのため、アルカリ現像液による現像を行うと、第一のレジスト膜2の露光部が除去され、未露光部が残留し、その結果、図1(c)に示すように、支持体1上に、離間配置された複数のレジストパターン2aから構成されるパターン(第一のレジストパターン)が形成される。
次に、工程(2)と工程(3)を図2に示す手順で行う。
前記工程(1)における現像後に形成された複数のレジストパターン2a(図2(a))を、酸性のリソグラフィー用洗浄液を用いて洗浄する(工程(2))。
当該洗浄は、通常、現像後に行われている純水等によるリンス処理に相当する操作である。すなわち、リンス液として通常の純水等の代わりに、酸性のリソグラフィー用洗浄液を用い、レジストパターン2aに当該リソグラフィー用洗浄液を塗布し又は吹き付け(塗出し)、振り切り乾燥等を行うことによりレジストパターン2aを洗浄する。これにより、レジストパターン2aは、前記リソグラフィー用洗浄液に溶存していた酸成分を含むレジストパターン2sに変化する(図2(b))。
次に、複数のレジストパターン2sをベークする(工程(3))。これにより、レジストパターン2sを構成する成分と前記酸成分とが反応し、アルカリ現像液に対する溶解性が増大したレジストパターン2bに変化する(図2(c))。そして、次の工程(4)のアルカリ現像液による現像でレジストパターン2bは除去される。
次に、工程(4)を図3に示す手順で行う。
工程(4)では、まず、複数のレジストパターン2bから構成されるパターンが形成された支持体1(図3(a))上に、第一のレジスト膜2を溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布し、図3(b)に示すように、複数のレジストパターン2b間の間隙を充填するパターン反転用膜6を形成する。
次に、アルカリ現像液による現像を行うと、レジストパターン2bが除去される一方、レジストパターン2b間に充填されたパターン反転用膜6は除去されずに残る。パターン反転用膜6のうち、レジストパターン2bの上面に存在する部分は、その厚さが薄いため、アルカリ現像時にレジストパターン2bとともに除去される。その結果、図3(c)に示すように、レジストパターン2bのあった位置6cに、該レジストパターン2bのイメージが反転したレジストパターン(反転パターン)が形成される。
以下、本実施形態における工程(1)〜(4)について、より詳細に説明する。
[工程(1)]
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層膜が挙げられる。特に、有機膜が設けられていると、基板上に、高アスペクト比のパターンを形成でき、半導体の製造等において有用であることから好ましい。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層膜)と、少なくとも一層のレジスト膜とを設け、上層のレジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。多層レジスト法には、基本的に、上層のレジスト膜と下層膜との二層構造とする方法と、これらのレジスト膜と下層膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法と、に分けられる。多層レジスト法によれば、下層膜により所要の厚みを確保することにより、レジスト膜を薄膜化し、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
無機系の膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基材上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、たとえば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を基板にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。
第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物(以下単に「第一のポジ型レジスト組成物」ということがある。)は、特に限定されず、公知の化学増幅型ポジ型レジスト組成物のなかから適宜選択して用いることができる。
ここで、「化学増幅型レジスト組成物」は、露光により酸を発生する酸発生剤成分を必須の成分として含有するものであり、該酸の作用により、当該化学増幅型レジスト組成物全体のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する性質を有する。たとえばポジ型の場合、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
たとえば、化学増幅型ポジ型レジスト組成物としては、前記酸発生剤成分とともに、酸解離性溶解抑制基を有する化合物(たとえば後述する(A)成分)が配合されたものが一般的に用いられている。このような組成物に対して露光および露光後ベークを行うと、前記酸発生剤成分から発生した酸の作用により当該化合物から酸解離性溶解抑制基が解離する。
この酸解離性溶解抑制基は、解離前は当該化合物全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸発生剤成分から発生した酸の作用により解離する性質を有する基であり、この酸解離性溶解抑制基が解離することで、当該化合物のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、該化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜に対して選択的露光および露光後ベークを行うと、レジスト膜の露光部が、酸発生剤成分から発生した酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で、未露光部はアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないため、アルカリ現像により露光部のみが溶解除去され、レジストパターンが形成される。
かかる第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物の具体例について、詳しくは後述する。
支持体1上に、第一のポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜2を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により形成できる。
具体的には、たとえば支持体1上に、スピンナーを用いる等の従来公知の方法を用いて第一のポジ型レジスト組成物を塗布し、好ましくは80〜150℃の温度条件下、ベーク処理(プレベーク)を40〜120秒間、より好ましくは60〜90秒間施し、有機溶剤を揮発させることにより第一のレジスト膜2を形成できる。
第一のレジスト膜2の厚さは、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜450nmである。この範囲内とすることにより、レジストパターンを高解像度で形成できる、エッチングに対する充分な耐性が得られる等の効果がある。
次に、上記のようにして形成した第一のレジスト膜2を、フォトマスク3を介して選択的に露光し、PEB処理を施し、現像して第一のレジストパターンを形成する。
露光に用いる波長は、特に限定されず、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。微細なレジストパターンを形成しやすいことから、ArFエキシマレーザー、EUV、EBのいずれかが好ましく、ArFエキシマレーザーが特に好ましい。
フォトマスク3としては、特に限定されず、公知のものを利用でき、たとえば、遮光部の透過率が0%のバイナリーマスク(Binary−Mask)や、遮光部の透過率が6%のハーフトーン型位相シフトマスク(HT−Mask)を用いることができる。
当該バイナリーマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてクロム膜、酸化クロム膜等が形成されたものが用いられる。
当該ハーフトーン型位相シフトマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてMoSi(モリブデン・シリサイド)膜、クロム膜、酸化クロム膜、酸窒化シリコン膜等が形成されたものが用いられる。
なお、本実施形態では、フォトマスク3を介して露光を行っているが、本発明はこれに限定されず、フォトマスクを介さない露光、たとえばEB等による描画により選択的露光を行ってもよい。
第一のレジスト膜2の露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)により行ってもよく、液浸露光により行ってもよい。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズと支持体上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のフォトマスクを介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜(工程(1)においては第一のレジスト膜2)の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体を、簡便な方法で除去できることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物として具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
工程(1)では、第一のレジスト膜2の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が増大するように、露光量およびPEB温度を設定する。つまり、露光およびPEBにより第一のレジスト膜2の露光部に供給されるエネルギー量が、該露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は増大し、一方、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は増大しないエネルギー量となるように、露光およびPEBを実施する。
より詳細に説明すると、化学増幅型ポジ型レジスト組成物からなる第一のレジスト膜2は、露光およびPEBを行うことで、酸発生剤成分からの酸の発生と、発生した酸の当該レジスト膜2内での拡散と、該酸の作用による当該レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性の増大とが進行する。このとき、露光量およびPEBのベーク温度(PEB温度)が充分でなく、供給されるエネルギー量が充分でないと、露光部において、酸の発生および拡散が充分に進行せず、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が充分に増加しない。
そのため、露光部と未露光部との間のアルカリ現像液に対する溶解速度の差(溶解コントラスト)が小さく、現像しても良好なレジストパターンを形成できない。つまり、第一のレジストパターンを形成するためには、当該第一のレジスト膜2の露光、PEBおよび現像を行った際に、該レジスト膜2の露光部が、アルカリ現像液で溶解除去されるのに充分なアルカリ現像溶解性を発現する露光量およびPEB温度で、露光およびPEBを行う必要がある。
第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるためには、露光量、PEB温度ともにある程度以上の値が必要となる。たとえば露光量が少なすぎると、PEB温度を高くしても、アルカリ現像液に対する溶解性の増大は見られない。また、露光量が多くても、PEB温度が低すぎると、アルカリ現像液に対する溶解性の増大は見られない。
以下、露光後のレジスト膜に、アルカリ現像液で溶解除去されるのに充分なアルカリ現像溶解性を発現させることができるPEB温度を有効PEB温度ということがある。
上記のうち、露光量については、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性が増大し得る温度であればよく、通常、第一のレジスト膜2の最適露光量(Eop)が用いられる。ここで、「最適露光量」とは、当該レジスト膜を選択的に露光し、所定のPEB温度にてPEBを行い、現像した際に、レジストパターンが、設計パターン寸法の通りに忠実に再現される露光量をいう。
工程(1)でのPEB温度(Tpeb1)は、当該露光量にて露光された第一のレジスト膜2の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が増大し得る温度、つまり、第一のレジスト膜2の有効PEB温度の最低値(Tmin1)以上の温度であればよい。すなわち、Tmin1≦Tpeb1であればよい。
peb1は、使用する第一のポジ型レジスト組成物の組成によっても異なるが、通常、70〜150℃の範囲内であり、80〜140℃が好ましく、85〜135℃がより好ましい。
該PEB処理におけるベーク時間は、通常、40〜120秒間であり、好ましくは60〜90秒間施される。
適用しようとする露光量およびPEB温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものであるかどうかは、以下の手順により判定できる。
第一のレジスト膜2に対し、工程(1)で使用する露光光源(たとえばArFエキシマレーザー、EB、EUV等)にて、露光量を変化させて露光し、所定のベーク温度で30〜120秒間のPEB処理を行い、現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(23℃)を用いて現像を行う。
このとき、所定のベーク温度にて露光量を増加させていった際に、露光量が所定値以上になると、第一のレジスト膜2の露光部のアルカリ現像液に対する溶解速度が1nm/秒以上となる場合は、当該ベーク温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性が増大するベーク温度(第一のレジスト膜2のTmin1以上の温度)であると判定される。一方、露光量を増加させていっても、第一のレジスト膜2の露光部の現像液に対する溶解速度が1nm/秒以上とはならず、それよりも低い溶解速度で飽和を示す場合は、当該ベーク温度が、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性が増大しないベーク温度(第一のレジスト膜2のTmin1未満の温度)であると判定される。
また、このとき、アルカリ現像液に対する溶解速度が1nm/秒以上となる変化が生じた時点の露光量以上の露光量が、当該PEB温度において、第一のレジスト膜2のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する露光量であると判定される。
上記PEB処理後、第一のレジスト膜2のアルカリ現像を行う。アルカリ現像は、一般的に現像液として用いられているアルカリ水溶液、例えば濃度0.1〜10質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて、公知の方法により実施できる。かかるアルカリ現像により、第一のレジスト膜2の露光部が除去されてレジストパターン2aが形成される。
第一のレジストパターンは、上述した工程(1)の操作を繰り返すことにより形成することもできる。この場合に形成される第一のレジストパターンは、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いたパターニングを2回以上行うことにより形成されたレジストパターンであることが好ましい。かかるレジストパターン形成方法によれば、第一のレジストパターンを、より微細な寸法で、かつ、簡便に形成できる。
具体的には、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成して露光し、アルカリ現像してレジストパターンを形成した後、該レジストパターンのスペース部分に、別の化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して同様のパターニング操作を行う方法が挙げられる。
その際、別の化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して形成されるレジスト膜の膜厚は、すでに形成されているレジストパターンの高さ(厚さ)と同程度になるように塗布することが好ましい。このようにすることで、その後の反転用組成物による反転パターン形状が良好になりやすい。
また、別の化学増幅型ポジ型レジスト組成物には、すでに形成されているレジストパターンをできるだけ溶解しない有機溶剤を配合することが好ましい。このような有機溶剤としては、後述のパターン反転用組成物に用いられる、第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤と同様のものが挙げられる。
[工程(2)]
次いで、前記工程(1)における現像後に形成された複数のレジストパターン2aを、酸性のリソグラフィー用洗浄液を用いて洗浄する。
リソグラフィー用洗浄液は、酸性溶液であり、そのpHは4.5以下であることが好ましく、そのpHは4以下であることがより好ましく、そのpHは2〜3.5であることがさらに好ましい。
前記リソグラフィー用洗浄液のpHは、常温(25℃)で、市販のpH/ORPメーターにより測定される値を示す。
このように、酸性の洗浄液を用いて洗浄を行うことにより、複数のレジストパターン2aは、当該洗浄液に溶存する酸成分を含むレジストパターン2sに変化する。そして、この酸成分の作用によってアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
リソグラフィー用洗浄液は、酸性溶液であれば特に限定されず、なかでもパターン倒れの抑制、アルカリ現像後の不溶物のレジスト膜表面への再付着防止を図ることができることから、界面活性剤を含有する洗浄液であることが好ましい。
ただし、本発明におけるリソグラフィー用洗浄液は、界面活性剤を含有する洗浄液に限定されるものではなく、界面活性剤を含有していない洗浄液も用いることができる。
(溶媒)
リソグラフィー用洗浄液の溶媒としては、たとえば、水、水と水混和性有機溶剤との混合溶媒が好適なものとして挙げられる。
水混和性有機溶剤は、一価アルコール又は多価アルコールを用いることができる。
上記一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールが挙げられ、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、又はこれらのアルキルエーテル化物若しくはエステル化物が挙げられる。
水混和性有機溶剤の含有割合としては、混合溶媒中、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
リソグラフィー用洗浄液において、上述のような水と水混和性有機溶剤との混合溶媒を用いることにより、前記第一のレジストパターンを洗浄する際にリソグラフィー用洗浄液を、前記第一のレジストパターン表面に効率よく濡らすことができる。
リソグラフィー用洗浄液中、溶媒の含有量は、90〜99.99質量%であることが好ましく、95〜99.95質量%であることがより好ましい。
(界面活性剤)
本発明のパターン形成方法において、界面活性剤を含有するリソグラフィー用洗浄液を用いる場合、その界面活性剤としては、たとえば従来公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられ、なかでも前記第一のレジストパターンのアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすいことから、親水性部がアニオン性基となるアニオン界面活性剤が好ましい。
アニオン性基としては、たとえばカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基が挙げられ、スルホン酸基が好ましい。
本発明において「アニオン界面活性剤」は、中和処理された塩タイプ、中和処理前の酸タイプのいずれも包含する。いずれのタイプもリソグラフィー用洗浄液中ではイオンに解離し、後述の工程(3)におけるベークにより、第一のレジストパターンに作用してアルカリ現像溶解性を増大する成分である。
アニオン界面活性剤として具体的には、たとえば、炭素数8〜20のアルキル基を有する高級脂肪酸、高級アルキル硫酸エステル、高級アルキルスルホン酸、高級アルキルアリールスルホン酸、スルホン酸基を有するその他の界面活性剤、若しくは高級アルコールリン酸エステル、又はそれらの塩が挙げられる。
上記炭素数8〜20のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、分子鎖中にフェニレン基又は酸素原子等が介在していてもよいし、アルキル基中の水素原子の一部が水酸基やカルボキシ基で置換されていてもよい。
上記の高級脂肪酸の具体例としては、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
高級アルキル硫酸エステルの具体例としては、デシル硫酸エステル、ドデシル硫酸エステル等が挙げられる。
高級アルキルスルホン酸の具体例としては、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、ペンタデカンスルホン酸、ステアリン酸スルホン酸等が挙げられる。
高級アルキルアリールスルホン酸の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
スルホン酸基を有するその他の界面活性剤としては、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ジオクチルスルホサクシネート等のジアルキルスルホサクシネート等が挙げられる。
高級アルコールリン酸エステルの具体例としては、パルミチルリン酸エステル、ヒマシ油アルキルリン酸エステル、ヤシ油アルキルリン酸エステル等が挙げられる。
上記のアニオン界面活性剤のなかでも、スルホン酸基を有する界面活性剤が好ましく、具体的には、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、オレフィンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、又はこれらの塩;ジアルキルスルホサクシネート等が挙げられる。
これらのなかでも、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、又はこれらの塩;ジアルキルスルホサクシネートがより好ましい。
アルキルスルホン酸のアルキル基の平均炭素数は9〜21が好ましく、12〜18がより好ましい。
アルキルベンゼンスルホン酸のアルキル基の平均炭素数は6〜18が好ましく、9〜15がより好ましい。
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアルキル基の平均炭素数は6〜18が好ましく、9〜15がより好ましい。
ジアルキルスルホサクシネートのアルキル基の平均炭素数は4〜12が好ましく、6〜10がより好ましい。
上記の中でも、平均炭素数15のアルキル基を有するアルキルスルホン酸又はその塩、平均炭素数12のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が特に好ましい。
塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩が挙げられる。
リソグラフィー用洗浄液中、界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
リソグラフィー用洗浄液中、界面活性剤の含有量(質量基準)は、10ppm以上1質量%以下であることが好ましく、500〜5000ppmであることがより好ましい。界面活性剤の含有量が10ppm以上、より好ましくは500ppm以上であることにより、前記第一のレジストパターンのアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすくなる。また、リソグラフィー用洗浄液の表面張力を充分に低下させることができ、パターン倒れを有効に抑制できる。界面活性剤の含有量が1質量%以下であることにより、リソグラフィー用洗浄液に対してレジストパターンが溶解しにくくなり、第一のレジストパターンの寸法変動がより抑制される。
リソグラフィー用洗浄液は、上述した溶媒、界面活性剤以外に、たとえばアミン化合物、又はNH(アンモニア水)等のpH調整用成分を含有していてもよい。
(アミン化合物)
リソグラフィー用洗浄液にアミン化合物を含有させることにより、たとえば界面活性剤としてアニオン界面活性剤を用いた場合、アニオン界面活性剤の一部と塩を形成して、アニオン界面活性剤の第一のレジスト膜への過度の浸透を抑制することができる。これにより、リソグラフィー用洗浄液に対して第一のレジストパターンが溶解しにくくなり、寸法変動がさらに抑制される。
アミン化合物としては、水溶性を有するアミン化合物が好ましく、例えば、炭素数2〜5のアルキレン基又はアルキル基を有する、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン;第四級アミン化合物を挙げることができる。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが例示できる。
アルキルアルカノールアミンとしては、エチルモノエタノールアミン、ブチルモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、ジブチルエタノールアミンが例示できる。
第四級アミン化合物としては、第四級アンモニウム水酸化物、第四級アンモニウムハロゲン化物等が挙げられ、第四級アンモニウム水酸化物が好ましい。
かかる第四級アンモニウム水酸化物の中でも、総炭素数4〜24のアルキル基又はアルケニル基を有する第四級アンモニウム水酸化物が好ましい。
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、直鎖状若しくは分枝鎖状のプロピル基、直鎖状若しくは分枝鎖状のブチル基、直鎖状若しくは分枝鎖状のペンチル基、又は直鎖状若しくは分枝鎖状のヘキシル基が挙げられる。また、アルケニル基としては、エチレン基、直鎖状若しくは分枝鎖状のプロピレン基、直鎖状若しくは分枝鎖状のブチレン基、直鎖状若しくは分枝鎖状のペンテニル基、又は直鎖状若しくは分枝鎖状のヘキセニル基が挙げられる。
このような第四級アンモニウム水酸化物は、上記のアルキル基及びアルケニル基の中から最大4つまで任意の組み合わせで含むことができる。このような第四級アンモニウム水酸化物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
これらの中でも、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシドが好ましく、テトラメチルアンモニウムシドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。
上記のアミン化合物の中でも、モノエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましく、モノエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドがより好ましい。
リソグラフィー用洗浄液中、アミン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
リソグラフィー用洗浄液中、アミン化合物の含有量(質量基準)は、10ppm以上1質量%以下であることが好ましく、10〜1000ppmであることがより好ましい。
また、界面活性剤としてアニオン界面活性剤を用いた場合、アニオン界面活性剤と、アミン化合物との混合比率(質量比)は、30:1〜1:2であることが好ましく、10:1〜1:1であることがより好ましい。
当該含有比率が上記範囲内であることにより、アニオン界面活性剤とアミン化合物との含有量のバランスを良好に保つことができ、アニオン界面活性剤の一部とアミン化合物との塩が形成されやすくなって第一のレジストパターンの寸法変動がより抑制される。また、酸タイプのアニオン界面活性剤を用いた場合、リソグラフィー用洗浄液のpHを酸性領域に容易に調整できる。
アニオン界面活性剤とアミン化合物とで形成される塩のなかで好適なものとしては、平均炭素数9〜21のアルキル基を有するアルキルスルホン酸のアルカノールアミン塩(好ましくはモノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩)、テトラメチルアンモニウム塩、又はテトラエチルアンモニウム塩;
平均炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸のアルカノールアミン塩(好ましくはモノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩)、テトラメチルアンモニウム塩、又はテトラエチルアンモニウム塩が挙げられる。
なかでも、平均炭素数9〜21のアルキル基を有するアルキルスルホン酸のアルカノールアミン塩がより好ましく。平均炭素数15のアルキル基を有するアルキルスルホン酸とモノエタノールアミンとの塩が最も好ましい。
工程(2)において、前記第一のレジストパターンとリソグラフィー用洗浄液とを接触させる時間(洗浄時間)は、第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物の種類、用途に応じて適宜設定することができ、5〜90秒間とすることが好ましく、5〜30秒間とすることがより好ましい。
また、前記第一のレジストパターンにリソグラフィー用洗浄液を接触させる方法としては、たとえば、リソグラフィー用洗浄液をレジストパターン表面に塗布したり、ノズル等から吹き付け(塗出し)たり、又はレジストパターンをリソグラフィー用洗浄液に浸漬させたりする方法が挙げられる。
なお、本発明のパターン形成方法においては、工程(1)の現像の後、工程(2)の前に、所望により、純水によるリンスを行う工程を有していてもよい。
[工程(3)]
次に、工程(2)で洗浄した後の複数のレジストパターン2sをベークする。
かかるベークは、ベーク温度を、当該ベーク後のレジストパターン2bが工程(4)のアルカリ現像により除去されるように設定して行う。
工程(2)の洗浄と、工程(3)のベークとを行うと、第一のレジストパターンに酸成分が吸着残存し、当該酸成分と、第一のレジストパターンを構成する成分とが反応して、
第一のレジストパターンのアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、後段の工程(4)において、アルカリ現像を行うと、レジストパターン2bが除去される。
ベーク温度は、使用するパターン反転用組成物の組成によっても異なるが、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、120〜160℃がさらに好ましい。ベーク温度が100℃以上であると、第一のレジストパターンのアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすくなる。たとえば前記第一のポジ型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基においては脱保護が起こりやすくなる。
ベーク時間は、40〜120秒間が好ましく、60〜90秒間がより好ましい。
[工程(4)]
次に、第一のレジストパターンが形成された支持体1上に、第一のレジスト膜2を溶解しない有機溶剤(以下、(S’)成分という。)を含有するパターン反転用組成物を塗布し、レジストパターン2b間の空隙を充填するパターン反転用膜6を形成する。
パターン反転用組成物が(S’)成分を含有することで、パターン反転用組成物を塗布した際の、パターン反転用組成物中の有機溶剤によるレジストパターン2bの溶解を抑制でき、レジストパターン2bの形状の悪化や消失、レジストパターン2bとパターン反転用膜6との界面でのミキシングの発生等を防止することができる。
ここで、(S’)成分における「第一のレジスト膜を溶解しない」とは、支持体上に第一のポジ型レジスト組成物を塗布し、乾燥させて、23℃条件下、膜厚0.2μmのレジスト膜を形成し、これを当該有機溶剤に浸漬したときに、60分後においても、当該レジスト膜の消失または膜厚の顕著な変動が生じない(好ましくは、該レジスト膜の膜厚が0.16μm以下とならない。)ことを示す。
(S’)成分としては、第一のレジスト膜を溶解せず、かつ、パターン反転用組成物に配合される成分を溶解し得るものであればよい。なかでも、アルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤および水酸基を有さないエーテル系有機溶剤からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。そのなかでも、塗布性、樹脂成分などの材料の溶解性の点から、アルコール系有機溶剤が好ましい。
ここで、「アルコール系有機溶剤」とは、脂肪族炭化水素の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。前記脂肪族炭化水素を構成する主鎖の構造は、鎖状構造であってもよく、環状構造であってもよく、該鎖状構造中に環状構造を有していてもよく、また、該鎖状構造中にエーテル結合を含むものであってもよい。
「フッ素系有機溶剤」とは、フッ素原子を含む化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。
「水酸基を有さないエーテル系有機溶剤」とは、その構造中にエーテル結合(C−O−C)を有し、水酸基を有さず、かつ、常温常圧下で液体である化合物である。該水酸基を有さないエーテル系有機溶剤は、さらに、水酸基に加えてカルボニル基も有さないことが好ましい。
アルコール系有機溶剤としては、1価アルコール、2価アルコール、2価アルコールの誘導体等が好ましい。
1価アルコールとしては、炭素数にもよるが、1級または2級の1価アルコールが好ましく、なかでも1級の1価アルコールが最も好ましい。
ここで1価アルコールとは、炭素および水素のみから構成される炭化水素化合物の水素原子の1つが水酸基で置換された化合物を意味し、2価以上の多価アルコールの誘導体は含まれない。該炭化水素化合物は、鎖状構造のものであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。
2価アルコールとは、前記炭化水素化合物の水素原子の2つが水酸基で置換された化合物を意味し、3価以上の多価アルコールの誘導体は含まれない。
2価アルコールの誘導体としては、2価アルコールの水酸基の1つが置換基(アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基等)で置換された化合物が挙げられる。
アルコール系有機溶剤の沸点(常圧下)は、80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性、保存時の組成の安定性、およびPAB工程やPEB工程の加熱温度の観点から最も好ましい。
かかるアルコール系有機溶剤として具体的には、鎖状構造のものとして、プロピレングリコール(PG);1−ブトキシ−2−プロパノール(PGB)、n−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、6−メチル−2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、n−ペンチルアルコール、s−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも称する。)、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、ネオペンチルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール(メチルイソブチルカルビノール)等が挙げられる。
また、環状構造を有するものとして、シクロペンタンメタノール、1−シクロペンチルエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール(CM)、シクロヘキサンエタノール、1,2,3,6−テトラヒドロベンジルアルコール、exo−ノルボルネオール、2−メチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、3,5−ジメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
アルコール系有機溶剤のなかでは、鎖状構造の1価アルコールまたは2価アルコールの誘導体が好ましく、1−ブトキシ−2−プロパノール(PGB);イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、4−メチル−2−ペンタノール(メチルイソブチルカルビノール)、n−ブタノールが好ましく、イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、1−ブトキシ−2−プロパノール(PGB)が最も好ましい。
フッ素系有機溶剤としては、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、下記一般式(s−1)で表される化合物が好適なものとして挙げられる。
40−O−R41 …(s−1)
[式中、R40、R41はそれぞれ独立して1価の炭化水素基であり、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。−O−はエーテル結合を示す。]
前記式中、R40、R41の炭化水素基としては、たとえばアルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。なかでも、R40、R41のいずれもアルキル基であることが好ましく、R40とR41とが、同じアルキル基であることがより好ましい。
40、R41の各アルキル基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。該アルキル基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アルキル基としては、レジスト組成物の塗布性が良好なこと等から、炭素数1〜15であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましい。具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、n−ブチル基、イソペンチル基が特に好ましい。
前記アルキル基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
40、R41の各アリール基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数6〜12のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
また、上記式においては、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。
40およびR41は、それぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基)であって、R40の末端と、R41の末端とが結合して環を形成する。また、アルキレン基の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。
かかるエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の沸点(常圧下)は、30〜300℃であることが好ましく、100〜200℃であることがより好ましく、140〜180℃であることがさらに好ましい。該温度範囲の下限値以上であることにより、レジスト組成物の塗布時のスピンコート中、(S’)成分が蒸発しにくくなって塗布ムラが抑制され、塗布性が向上する。一方、上限値以下であることにより、プリベークによって(S’)成分がレジスト膜中から充分に除かれ、パターン反転用膜の形成性が向上する。また、該温度範囲であると、レジストパターンの膜減り低減効果、保存時の組成の安定性がより向上する。また、PAB工程やPEB工程の加熱温度の観点からも好ましい。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール(沸点176℃)、ジブチルエーテル(沸点142℃)、ジイソペンチルエーテル(沸点171℃)、ジオキサン(沸点101℃)、アニソール(沸点155℃)、エチルベンジルエーテル(沸点189℃)、ジフェニルエーテル(沸点259℃)、ジベンジルエーテル(沸点297℃)、フェネトール(沸点170℃)、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、エチルプロピルエーテル(沸点63℃)、ジイソプロピルエーテル(沸点69℃)、ジヘキシルエーテル(沸点226℃)、ジプロピルエーテル(沸点91℃)等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、レジストパターンの膜減り低減効果が良好なことから、環状または鎖状のエーテル系有機溶剤であることが好ましく、なかでも1,8−シネオール、ジブチルエーテルおよびジイソペンチルエーテルからなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。
パターン反転用組成物に用いられる(S’)成分は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
また、パターン反転用組成物は、(S’)成分を用いることによる効果を損なわない範囲で、(S’)成分以外の有機溶剤(以下、(S”)成分という。)を含有してもよい。
(S”)成分としては、パターン反転用組成物に配合される成分を溶解し得るものが好ましい。具体的には、後述する第一のポジ型レジスト組成物の説明で挙げる(S)成分と同様のものが挙げられる。
(S”)成分の配合量は、パターン反転用組成物に用いられる全有機溶剤中、0〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
パターン反転用組成物に用いられる全有機溶剤の使用量は、特に限定されず、通常、当該パターン反転用組成物が、支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。
工程(4)において、パターン反転用組成物を用いて形成されるパターン反転用膜6は、前記工程(3)後における第一のレジストパターンよりも低いアルカリ現像溶解性を有することが好ましい。第一のレジストパターンに比べてアルカリ現像溶解性が低いことで、第一のレジストパターンは、アルカリ現像液に対してパターン反転用膜6より溶解しやすい。そのため、第一のレジストパターンはアルカリ現像によって除去されやすいものとなり、反転パターンを良好に形成できる。
パターン反転用組成物の組成の具体例について、詳しくは後述するが、第一のポジ型レジスト組成物の組成に応じて適宜設定すればよい。
パターン反転用膜6は、第一のレジスト膜2と同様、従来公知の方法によって形成することができる。
本発明においては、パターン反転用膜6の膜厚(レジストパターン2b間の空隙を充填している部分の膜厚の最小値)が、レジストパターン2bの高さと同じか、それよりも薄いことが好ましい。この場合、レジストパターン2bの上面を覆うパターン反転用膜6の厚さが、工程(4)でのアルカリ現像時に容易に除去できる程度に薄いものとなる。つまり、この部分のパターン反転用膜6(レジストパターン2b上に形成された膜)は、膜厚が薄いため、アルカリ現像による膜減りが生じやすい。そのため、現像時にレジストパターン2bとともに溶解して除去される。そのため、反転パターンを良好に形成できる。
一方、パターン反転用膜6の厚さが厚すぎると、工程(4)でのアルカリ現像時にレジストパターン2bの上面のパターン反転用膜6がうまく取り除けず、良好な反転パターンが形成できないおそれがある。
また、パターン反転用膜6は、アルカリ現像による膜減り量が60nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30〜50nmであることがさらに好ましい。
当該膜減り量が上限値以下であれば、現像時にレジストパターン2bとともに溶解し、解像性の良好な反転パターンが形成されやすくなる。
前記アルカリ現像による膜減り量は、以下のようにして測定できる。
すなわち、8インチのシリコン基板上に、パターン反転用組成物を、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、100℃、60秒間のベーク処理を行うことにより、パターン反転用膜を形成する。このパターン反転用膜を、23℃、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に60秒間浸漬させ、当該浸漬前後の膜厚の差(膜減り量)を求める。
パターン反転用膜6を形成した後、アルカリ現像を行う。これにより、レジストパターン2bが除去される一方、レジストパターン2b間に充填されたパターン反転用膜6は除去されずに残る。パターン反転用膜6のうち、レジストパターン2bの上面に存在する部分は、その厚さが薄いため、アルカリ現像時にレジストパターン2bと共に除去される。その結果、図3(c)に示すように、レジストパターン2bのあった位置6cに、該レジストパターン2bのイメージが反転したパターン(反転パターン)が形成される。
たとえば第一のレジストパターンがラインパターンの場合、該ラインパターンと同じ位置に、該ラインパターンの寸法(ライン幅)と同じ寸法(スペース幅)のスペースパターンが反転パターンとして形成される。また、第一のレジストパターンがドットパターンの場合、該ドットパターンと同じ位置に、該ドットパターンの寸法(ドット直径)と同じ寸法(ホール直径)のホールパターンが反転パターンとして形成される。
アルカリ現像は、アルカリ水溶液、例えば濃度0.1〜10質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて、公知の方法により実施できる。
上記アルカリ現像後、純水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記アルカリ現像後、さらに、ベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分をとばす目的で行われるため)通常100℃程度の条件で行われ、処理時間は、好ましくは30〜90秒間である。
本実施形態においては、第一のレジストパターンとして、ラインパターンおよび/またはドットパターンを形成することで、スペースパターンおよび/またはホールパターンを反転パターンとして得ることができる。
このように反転パターンとして形成されるスペースパターンやホールパターンは、1回のリソグラフィー工程で直接形成される場合に比べて、解像力や形状、リソグラフィーマージン(たとえば露光量に対する余裕度(ELマージン)、焦点深度に対する余裕度(DOFマージン)、パターン形状の垂直性等)のパターン形成能に優れたものである。すなわち、レジスト膜の極一部、微細な領域を除去する必要があるスペースパターンやホールパターンを直接形成する場合、上述したように、弱い光入射強度下でのパターン形成を強いられ、パターン形成能に制限が大きいが、上記反転パターンを形成する際のパターン形成能は、第一のレジストパターン(孤立ラインパターンやドットパターン、ラインアンドスペースパターン等)を形成する際のパターン形成能に依存するため、スペースパターンやホールパターンを直接形成する場合に比べてパターン形成能に制限が少なく、良好なレジストパターンを形成できる。
本実施形態のパターン形成方法においては、工程(2)及び工程(3)により、第一のレジストパターンを、工程(4)でのアルカリ現像により除去可能にしている。そのため、工程(4)においては、ダブルパターニングプロセスの2回目のパターニングと比較し、露光又はベークを行う必要がなく、アルカリ現像のみで反転パターンを形成できる。また、工程(2)における洗浄は、通常、アルカリ現像後に行っている純水等によるリンス処理に相当する操作である。したがって、かかるパターン形成方法は、従来のダブルパターニングプロセスに比べて、工程数が少なく、簡便な方法であると云え、スループットが向上する。
また、かかるパターン形成方法においては、上述したような架橋形成能を有する等の特定のレジスト組成物を用いなければならない等の制限はなく、第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物及びパターン反転用組成物のいずれも、これまで提案されているレジスト組成物及び樹脂組成物等をそのまま用いることができる。
本発明においては、パターン反転用組成物としてポジ型レジスト組成物を用いた場合、上記工程(4)の後、パターン反転用膜6のパターニングを行ってもよい。すなわち、上記のようにして反転パターンが形成されたパターン反転用膜6を選択的に露光し、現像してレジストパターンを形成する操作を行ってもよい。これにより、さらに狭ピッチのより密なパターンや複雑な形状のパターンを形成することができる。
また、本発明においては、上記工程(4)の後、形成されたパターンをマスクとして用いて、支持体1のエッチングを行ってもよい。支持体1をエッチングすることにより、半導体デバイス等を製造することができる。
エッチングの方法は、公知の方法が利用できる。たとえば有機膜(レジストパターン、有機系の反射防止膜等)のエッチングは、ドライエッチングが好ましい。特に、酸素プラズマエッチング、またはCFガスもしくはCHFガスを用いたエッチングが好ましく、中でも酸素プラズマエッチングが特に好ましい。基板や無機系の反射防止膜のエッチングは、ハロゲンガスを用いたエッチングが好ましく、フッ化炭素系ガスを用いたエッチングがより好ましく、特にCFガス又はCHFガスを用いたエッチングが好ましい。
<第一のポジ型レジスト組成物>
本発明のパターン形成方法において第一のポジ型レジスト組成物として用いられる化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、特に限定されず、これまで提案されている多数の化学増幅型レジスト組成物のなかから適宜選択して用いることができる。
該化学増幅型ポジ型レジスト組成物としては、たとえば、酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有するものが一般的である。
かかるポジ型レジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により(A)成分の酸解離性溶解抑制基が解離し、(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像により露光部のみが除去され、レジストパターンが形成される。
[(A)成分]
「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物である。基材成分としては、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を「低分子化合物」という。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、分子量が1000以上の重合体を「樹脂」ということがある。
重合体の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1)(以下、(A1)成分ということがある。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物成分(A2)(以下、(A2)成分ということがある。)であってもよく、これらの混合物であってもよい。
本発明においては、(A)成分が(A1)成分を含有することが好ましい。
以下、(A1)成分および(A2)成分の好ましい態様をより具体的に説明する。
[(A1)成分]
(A1)成分としては、従来の化学増幅型のKrF用ポジ型レジスト組成物、ArF用ポジ型レジスト組成物、EB用ポジ型レジスト組成物、EUV用ポジ型レジスト組成物等のベース樹脂として提案されているもののなかから、レジストパターン形成時に用いる露光光源の種類に応じて適宜選択できる。
前記ベース樹脂として、具体的には、親水基(水酸基、カルボキシ基等)を有する樹脂の当該親水基を酸解離性溶解抑制基で保護したものが挙げられる。
当該親水基を有する樹脂としては、たとえばノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン(PHS)やヒドロキシスチレン−スチレン共重合体等の、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位を有する樹脂(PHS系樹脂)、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有するアクリル系樹脂等が挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本明細書および特許請求の範囲において、「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して形成される構成単位である。
「ヒドロキシスチレン」とは、α位の炭素原子(フェニル基が結合する炭素原子)に水素原子が結合しているヒドロキシスチレンのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているもの、並びにそれらの誘導体も含む概念とする。具体的には、少なくともベンゼン環と、該ベンゼン環に結合する水酸基が維持されており、たとえば、ヒドロキシスチレンのα位に結合する水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等の置換基に置換されたもの、ならびに、ヒドロキシスチレンの水酸基が結合したベンゼン環に、さらに炭素数1〜5のアルキル基が結合したものや、この水酸基が結合したベンゼン環に、さらに1〜2個の水酸基が結合したもの(このとき、水酸基の数の合計は2〜3である。)等を包含するものとする。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子(アクリル酸のカルボニル基が結合する炭素原子)に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。該α位の炭素原子に結合する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
ヒドロキシスチレンまたはアクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
本発明において、ヒドロキシスチレンまたはアクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
本発明において、第一のポジ型レジスト組成物における(A1)成分としては、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有するものが好ましい。
(A1)成分は、特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。
また、(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
また、(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および(a2)に加えて、さらに、−SO−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)を有することが好ましい。
(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、構成単位(a1)および(a2)に加えて、または構成単位(a1)と(a2)と(a0)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
・構成単位(a1):
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、露光により(B)成分から発生した酸の作用により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものである。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基としては、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和又は不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」における脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましい。
該脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。また、これらのモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基またはポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されたものであってもよい。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性溶解抑制基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合して第3級炭素原子が形成されている基;
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基等が挙げられる。
前記(i)の基において、脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性溶解抑制基に隣接する原子と結合する炭素原子に結合する置換基としては、たとえばアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、たとえば後述する式(1−1)〜(1−9)中のR14と同様のものが挙げられる。
前記(i)の基の具体例としては、たとえば、下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
前記(ii)の基の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
Figure 2011128610
[式中、R14はアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
Figure 2011128610
[式中、R15およびR16は、それぞれ独立してアルキル基である。]
上記R14のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
15〜R16のアルキル基としては、R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 2011128610
[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
前記式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’のアルキル基としては、上記アクリル酸エステルについての説明で、α位の置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2011128610
[式中、R’、n、Yは上記と同じである。]
Yのアルキル基としては、上記アクリル酸エステルについての説明で、α位の置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基は、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが例示できる。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 2011128610
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり;R19は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17と、R19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
Figure 2011128610
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは酸解離性溶解抑制基であり;Yは2価の連結基であり;Xは酸解離性溶解抑制基である。]
一般式(a1−0−1)において、Rのアルキル基、ハロゲン化アルキル基は、それぞれ、上記アクリル酸エステルについての説明で、α位の置換基として挙げたアルキル基、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、特に限定されず、たとえばアルキレン基、2価の脂肪族環式基、2価の芳香族環式基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。
がアルキレン基である場合、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基であること以外は上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが挙げられる。Yにおける脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカンまたはテトラシクロドデカンから水素原子が2個以上除かれた基が特に好ましい。
が2価の芳香族環式基である場合、該芳香族環式基としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。芳香族炭化水素環としては、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環又はナフタレン環が特に好ましい。
芳香族炭化水素環が有してもよい置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、式−A−O−B−で表される基、式−[A−C(=O)−O]m’−B−で表される基等が挙げられる。ここで、式−A−O−B−または−[A−C(=O)−O]m’−B−中、AおよびBは、それぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、−O−は酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。
が−NH−である場合、そのHはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
が−A−O−B−または−[A−C(=O)−O]m’−B−である場合、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
Aにおける炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。Aにおける脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、2〜5がさらに好ましく、2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
これら直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか、又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
また、式−[A−C(=O)−O]m’−B−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2011128610
[式中、R、R’、R’、n、YおよびYはそれぞれ前記と同じであり、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表す。]
式中、X’は、前記第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上記一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
構成単位(a1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a1)としては、上記の中でも、一般式(a1−1)または(a1−3)で表される構成単位が好ましく、具体的には、前記式(a1−1−1)〜(a1−1−4)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)、式(a1−1−26)、式(a1−1−32)〜(a1−1−33)および式(a1−3−25)〜(a1−3−32)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、式(a1−1−1)〜(a1−1−3)および式(a1−1−26)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)および式(a1−1−32)〜(a1−1−33)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの、式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−3−01)で表されるもの、式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−3−02)で表されるもの、式(a1−3−29)〜(a1−3−32)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−03)で表されるものが好ましい。
Figure 2011128610
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し、R11は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R12は炭素数1〜5のアルキル基を示し、hは1〜6の整数を示す。]
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。
11のアルキル基は、Rにおけるアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。
12のアルキル基は、Rにおけるアルキル基と同様ものが挙げられ、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
Figure 2011128610
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;R14は炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、yは1〜10の整数であり、n’は1〜6の整数である。]
式(a1−3−01)または(a1−3−02)中、Rについては上記と同様である。
13は、水素原子が好ましい。
14のアルキル基は、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14と同様であり、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
yは、1〜8の整数が好ましく、2〜5の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
n’は1または2が最も好ましい。
Figure 2011128610
[式中、Rは前記と同じであり、Y’およびY”はそれぞれ独立して2価の連結基であり、X’は酸解離性溶解抑制基であり、wは0〜3の整数である。]
式(a1−3−03)中、Y’、Y” における2価の連結基としては、前記一般式(a1−3)におけるYと同様のものが挙げられる。
’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性溶解抑制基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
wは0〜3の整数であり、wは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a2):
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(=O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)におけるラクトン環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2011128610
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R29は単結合または2価の連結基であり、s”は0〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
R”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
A”は、炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基またはジメチルメチレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
29は単結合または2価の連結基である。該2価の連結基としては、前記一般式(a1−0−2)中のYで説明した2価の連結基と同様ものが挙げられる。それらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)、またはそれらの組み合わせが好ましい。R29における2価の連結基としてのアルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。具体的には、前記Yの説明中、Aにおける脂肪族炭化水素基で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
29としては、特に、単結合または−R29’−C(=O)−O−[式中、R29’は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]が好ましい。R29’における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
式(a2−1)中、s”は1〜2であることが好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
(A1)成分において、構成単位(a2)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)および(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a3):
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、フッ素化アルコール基(アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基)等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
構成単位(a3)において、脂肪族炭化水素基に結合する極性基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましく、1個が最も好ましい。
前記極性基が結合する脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
構成単位(a3)としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基またはフッ素化アルコール基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基の場合、構成単位(a3)としては、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が多環式基の場合、構成単位(a3)としては、下記式(a3−1)で表される構成単位、一般式(a3−2)で表される構成単位、一般式(a3−3)で表される構成単位等が好ましい。中でも、一般式(a3−1)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2011128610
(式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。)
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a0):
構成単位(a0)は、−SO−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a0)のなかで好適なものとしては、たとえば下記一般式(a0−1)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2011128610
[式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rは2価の連結基であり、Rはその環骨格中に−SO−を含む環式基である。]
前記式(a0−1)中、Rは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
前記式(a0−1)中、Rは2価の連結基である。
としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、上記一般式(a1−0−2)中のYについての説明のなかで例示した「Aにおける炭化水素基」と同様である。
におけるヘテロ原子を含む2価の連結基は、上記一般式(a1−0−2)中のYにおける「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と同様である。
本発明において、Rの2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、アルキレン基が特に好ましい。
がアルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、前記「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」で挙げた環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとしては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NR04−(R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、式−A−O−B−で表される基、式−[A−C(=O)−O]q’−B−で表される基等が挙げられる。ここで、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、上述したA、Bと同様である。q’は0〜3の整数である。
AおよびBにおける置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、上述したRにおける「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
また、式−[A−C(=O)−O]q’−B−で表される基において、q’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
は、その構造中に酸解離性部位を有していてもよいし、有していなくてもよい。
「酸解離性部位」とは、Rの構造内における、露光により発生する酸が作用して解離する部位をいう。Rが酸解離性部位を有する場合、好ましくは第三級炭素原子を有する酸解離性部位を有することが好ましい。
前記式(a0−1)中、Rは、その環骨格中に−SO−を含む環式基である。具体的には、Rは、−SO−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。
における環式基とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、該環をひとつの目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。Rにおける環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
なかでも、Rは、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわち−O−SO−中のーO−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環、であることが特に好ましい。
における環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることがより好ましく、4〜15であることがさらに好ましく、4〜12であることが特に好ましい。
ただし、該炭素数は、環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
における環式基は、脂肪族環式基であってもよく、芳香族環式基であってもよく、脂肪族環式基であることが好ましい。
における脂肪族環式基としては、上述したRにおける炭化水素基、すなわち「Aにおける炭化水素基」の説明において例示した環状の脂肪族炭化水素基の環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO−または−O−SO−で置換されたものが挙げられる。
より具体的には、たとえば、前記単環式基としては、その環骨格を構成する−CH−が−SO−で置換されたモノシクロアルカンから水素原子1つを除いた基、その環を構成する−CH−CH−が−O−SO−で置換されたモノシクロアルカンから水素原子1つを除いた基等が挙げられる。また、前記多環式基としては、その環骨格を構成する−CH−が−SO−で置換されたポリシクロアルカン(ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等)から水素原子1つを除いた基、その環を構成する−CH−CH−が−O−SO−で置換されたポリシクロアルカンから水素原子1つを除いた基等が挙げられる。
における環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基、シアノ基等が挙げられる。R”は水素原子又はアルキル基を示し、上述したR”と同様である。
該置換基としてのアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基は、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基のハロゲン化アルキル基は、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基は、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であることが好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
として、より具体的には、下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される基が挙げられる。
Figure 2011128610
[式中、A’は酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり;tは0〜2の整数であり;R28はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり、R”は水素原子又はアルキル基である。]
前記一般式(3−1)〜(3−4)中、A’は、酸素原子(−O−)若しくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子である。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
tは0〜2の整数のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
tが2である場合、複数のR28は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
28におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記Rにおける環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の「Ac」はアセチル基を示す。
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
Figure 2011128610
上記の中でも、Rとしては、前記一般式(3−1)、(3−3)又は(3−4)で表される環式基が好ましく、前記一般式(3−1)で表される環式基であることが特に好ましい。
として具体的には、前記化学式(3−1−1)、(3−1−18)、(3−3−1)及び(3−4−1)で表される環式基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(3−1−1)で表される環式基が最も好ましい。
本発明において、構成単位(a0)としては、下記一般式(a0−1−11)で表される構成単位が特に好ましい。
Figure 2011128610
[式中、Rは前記と同じであり、R02は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は−A−C(=O)−O−B−(A、Bは前記と同じである。)であり、A’は前記と同じである。]
02における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましく、1〜2が最も好ましい。
−A−C(=O)−O−B−において、A、Bは、それぞれ直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。具体的には、−(CH−C(=O)−O−(CH−、−(CH−O−C(=O)−(CH−が挙げられる。
A’はメチレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましい。
構成単位(a0)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜60モル%であることが好ましく、5〜55モル%がより好ましく、10〜50モル%がさらに好ましく、15〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることにより、形成されるレジストパターンの露光余裕度(ELマージン)、LWR(ラインワイズラフネス)等のリソグラフィー特性に優れる。上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
・他の構成単位:
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)、(a0)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
該他の構成単位は、上述の構成単位(a1)〜(a3)、(a0)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
該他の構成単位としては、例えば、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)、後述の一般式(a5’)で表される構成単位(a5’)等が挙げられる。
・・構成単位(a4):
構成単位(a4)における脂肪族多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
Figure 2011128610
(式中、Rは前記と同じである。)
構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4)を1〜30モル%含有させることが好ましく、10〜20モル%含有させることがより好ましい。
・・構成単位(a5’):
構成単位(a5’)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a5’)を1〜45モル%含有させることが好ましく、5〜45モル%含有させることがより好ましく、5〜40モル%含有させることがさらに好ましく、5〜35モル%含有させることが特に好ましい。下限値以上とすることにより、アルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤等の有機溶剤への溶解性が向上し、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
(A1)成分は、構成単位(a1)を有する重合体であることが好ましい。また、(A1)成分としては、構成単位(a1)と、構成単位(a0)及び構成単位(a2)からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位と、を有する共重合体であることが好ましく、また、これらの構成単位に加えて、さらに、構成単位(a3)を有する共重合体であることも好ましい。
かかる共重合体としては、たとえば、構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体;構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a0)からなる共重合体;構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体;構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a5’)からなる共重合体等が例示できる。
(A)成分において、(A1)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いてもよく、公知の方法を利用して合成してもよい。
たとえば、構成単位(a0)を誘導するモノマーとしては、下記一般式(a0−1−0)で表される化合物(以下「化合物(a0−1−0)」という。)が挙げられる。
Figure 2011128610
[式(a0−1−0)中、R、RおよびRはそれぞれ前記と同じである。]
かかる化合物(a0−1−0)の製造方法は特に限定されず、公知の方法を利用して製造できる。
たとえば、塩基の存在下、下記一般式(X−1)で表される化合物(X−1)が反応溶媒に溶解した溶液に、下記一般式(X−2)で表される化合物(X−2)を添加し、反応させることにより、上記化合物(a0−1−0)が得られる。
塩基としては、たとえば水素化ナトリウム、KCO、CsCO等の無機塩基;トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。縮合剤としては、例えばエチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボキシイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド、カルボジイミダゾール等のカルボジイミド試薬やテトラエチルピロホスフェイト、ベンゾトリアゾール−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩(Bop試薬)等が挙げられる。
また、必要に応じて酸を用いてもよい。酸としては、脱水縮合等で通常用いられるものを使用することができ、具体的には塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類や、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
Figure 2011128610
[(A2)成分]
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ビス(2,3,−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4'−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2',3',4'−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2',4'−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3'−フルオロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、及び2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジメチルフェニル)プロパン等のビスフェノール型化合物;トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、及びビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリスフェノール型化合物;2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、及び2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;1,1−ビス[3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル]イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、及びビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、及び2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物等のリニア型ポリフェノール化合物;1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、及び1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等の多核枝分かれ型化合物;フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜12核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(A)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第一のポジ型レジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
[(B)成分]
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2011128610
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはアルケニル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−1)中、R”〜R”はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
該アリール基は、置換基を有していてもよい。「置換基を有する」とは、当該アリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味し、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシアルキルオキシ基、−O−R50−C(=O)−(O)n”−R51[式中、R50はアルキレン基または単結合であり、R51は酸解離性基または酸非解離性基であり、n”は0または1である。]等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、−O−C(R47)(R48)−O−R49[式中、R47およびR48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基であり、R48およびR49は相互に結合して一つの環構造を形成していても良い。ただし、R47およびR48のうち少なくとも1つは水素原子である。]が挙げられる。
47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
そして、R47およびR48は、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることが好ましく、R47およびR48がいずれも水素原子であることが特に好ましい。
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。
具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
48およびR49は、相互に結合して一つの環構造を形成していても良い。この場合、R48とR49と、R49が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR48が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよい「−O−R50−C(=O)−(O)n”−R51」中、R50におけるアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、その炭素数は1〜5が好ましい。該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
51における酸解離性基としては、酸(露光時に(B)成分から発生する酸)の作用により解離しうる有機基であれば特に限定されず、たとえば前記(A)成分の説明で挙げた酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。中でも、第3級アルキルエステル型のものが好ましい。
51における酸非解離性基としては、好ましくはデシル基、トリシクロデシル基、アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)メチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基が挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
該アルキル基は、置換基を有していてもよい。「置換基を有する」とは、当該アルキル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味し、該置換基としては、前記アリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
式(b−1)中、R”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。該環は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。
また、該環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。たとえば環を形成する2つのうちの一方または両方が環式基(環状のアルキル基またはアリール基)である場合、それらが結合すると、多環式の環(縮合環)が形成される。
”〜R”のうちの2つが結合して環を形成する場合、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
”〜R”のうちの2つが結合して形成される環の具体例としては、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、9H−チオキサンテン、チオキサントン、チアントレン、フェノキサチイン、テトラヒドロチオフェニウム、テトラヒドロチオピラニウムなどが挙げられる。
”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つはアリール基であることが好ましい。
式(b−1)で表される化合物のカチオン部のうち、R”〜R”が全て、置換基を有していてもよいフェニル基である場合、つまり当該カチオン部がトリフェニルスルホニウム骨格を有する場合の好ましい具体例としては、たとえば、下記式(I−1−1)〜(I−1−14)で表されるカチオン部が挙げられる。
Figure 2011128610
Figure 2011128610
また、これらのカチオン部におけるフェニル基の一部または全部が、置換基を有していてもよいナフチル基で置換されたものも好ましいものとして挙げられる。3つのフェニル基のうち、ナフチル基で置換されるのは、1または2が好ましい。
また、式(b−1)で表される化合物のカチオン部のうち、R”〜R”のうちのいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成している場合の好ましい具体例としては、たとえば、下記式(I−11−10)〜(I−11−13)で表されるカチオン部が挙げられる。
Figure 2011128610
[式中、Rは、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または炭素数1〜5のアルキル基であり、R10は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または水酸基であり、uは1〜3の整数である。]
Figure 2011128610
[式中、Zは単結合、メチレン基、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−または−N(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)であり;R81、R83〜R86はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
式(I−11−10)〜(I−11−11)中、R〜R10において、フェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基としては、R”〜R”におけるアリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。また、R〜R10におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、R”〜R”におけるアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
式(I−11−12)〜(I−11−13)中、R81、R83〜R86において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
81、R83〜R86に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR81、R83〜R86はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
式(b−1)〜(b−2)中、R”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていてもよいことを意味する。
”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:R−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Rは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
−Q−で表される基において、Qは酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−R93−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
−Q−で表される基において、Rの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
における脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
において、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
における「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
「ヘテロ原子を含む置換基」(以下、ヘテロ原子含有置換基ということがある。)は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
前記脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部を置換してもよいヘテロ原子含有置換基としては、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。−NH−である場合、そのHを置換してもよい置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
前記脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換してもよいヘテロ原子含有置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、−C(=O)−R80[R80はアルキル基である。]、−COOR79[R79は水素原子またはアルキル基である。]、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、酸素原子(=O)、硫黄原子、スルホニル基(SO)等が挙げられる。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのアルコキシ基におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状の何れであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。その炭素数は1〜30が好ましい。該アルキル基が直鎖状または分岐鎖状である場合、その炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜17であることがより好ましく、1〜15であることがさらに好ましく、1〜10が特に好ましい。具体的には、この後例示する直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基の具体例と同様のものが挙げられる。該アルキル基が環状である場合(シクロアルキル基である場合)、その炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、炭素数4〜12であることが特に好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。該アルキル基は単環式であってもよく、多環式であってもよい。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。前記モノシクロアルカンとして、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、前記ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。これらのシクロアルキル基は、その環に結合した水素原子の一部または全部が、フッ素原子、フッ素化アルキル基等の置換基で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
前記ヘテロ原子含有置換基としての−C(=O)−R80、−COOR79において、R80、R79におけるアルキル基としては、前記アルコキシ基におけるアルキル基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのハロゲン化アルキル基におけるアルキル基としては、前記アルコキシ基におけるアルキル基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が特に好ましい。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのハロゲン化アルコキシ基としては、前記アルコキシ基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルコキシ基としては、フッ素化アルコキシ基が好ましい。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、前記アルコキシ基におけるアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基が有する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が最も好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。不飽和炭化水素基としてはプロペニル基が特に好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば以下の式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
Figure 2011128610
[式中、Q”は、酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよいアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、mは0または1の整数である。]
式中、Q”におけるアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましく、その炭素数は1〜5が好ましい。具体的には、メチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基またはアルキルメチレン基が好ましく、メチレン基、−CH(CH)−または−C(CH−が特に好ましい。
該アルキレン基は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい。その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−R94−、−S−R95−、−R96−O−R97−、−R98−S−R99−等が挙げられる。ここで、R94〜R99はそれぞれ独立にアルキレン基である。該アルキレン基としては、前記Q”におけるアルキレン基として挙げたアルキレン基と同様のものが挙げられる。中でも、−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が好ましい。
これらの脂肪族環式基は、水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、−C(=O)−R80[R80はアルキル基である。]、−COOR79[R79は水素原子またはアルキル基である。]、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、酸素原子(=O)、硫黄原子、スルホニル基(SO)等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基としては、前記ヘテロ原子含有置換基としてのアルコキシ基におけるアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
該アルキル基としては、特に、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのハロゲン原子、アルコキシ基、−C(=O)−R80、−COOR79、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基としては、それぞれ、前記脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換してもよいヘテロ原子含有置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
脂肪族環式基の水素原子を置換する置換基としては、上記の中でも、アルキル基、酸素原子(=O)、水酸基が好ましい。
脂肪族環式基が有する置換基の数は、1つであってもよく、2以上であってもよい。置換基を複数有する場合、該複数の置換基はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
としては、置換基を有していてもよい環式基が好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
本発明において、R”は、置換基としてR−Q−を有することが好ましい。この場合、R”としては、R−Q−Y−[式中、QおよびRは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
−Q−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
式(b−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては、上記式(b−1)のR”と同様のものが挙げられる。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート、1−アダマンタンスルホネート、2−ノルボルナンスルホネート等のアルキルスルホネート;d−カンファー−10−スルホネート、ベンゼンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート等のスルホネートにそれぞれ置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を下記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩も用いることができる。
Figure 2011128610
[式中、v0は0〜3の整数であり、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、iは1〜20の整数であり、t3は1〜3の整数であり、Rは置換基であり、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。]
Figure 2011128610
[式中、t3、R、Q”はそれぞれ前記と同じであり、m1〜m5はそれぞれ独立に0または1であり、v1〜v5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w5はそれぞれ独立に0〜3の整数である。]
の置換基としては、アルキル基、ヘテロ原子含有置換基等が挙げられる。アルキル基としては、前記Rの説明で、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。また、ヘテロ原子含有置換基としては、前記Rの説明で、脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換してもよいヘテロ原子含有置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
におけるアルキル基、ハロゲン化アルキル基としては、それぞれ、上記Rにおけるアルキル基、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
r1〜r2、w1〜w5は、それぞれ、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。
v0〜v5は0〜2が好ましく、0または1が最も好ましい。
t3は、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
q3は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオンに置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
Figure 2011128610
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
また、前記一般式(b−1)または(b−2)において、アニオン部(R”SO )を、R”−COO[式中、R”はアルキル基またはフッ素化アルキル基である。]に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)または(b−2)と同様)。
”としては、前記R”と同様のものが挙げられる。
上記「R”−COO」の具体的としては、トリフルオロ酢酸イオン、酢酸イオン、1−アダマンタンカルボン酸イオンなどが挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 2011128610
(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2011128610
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 2011128610
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 2011128610
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第一のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
[任意成分]
第一のポジ型レジスト組成物は、さらに、任意の成分として、含窒素有機化合物(以下、(D)成分という。)を含有してもよい。
(D)成分としては、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよい。
(D)成分としては、通常、低分子化合物(非重合体)が用いられている。(D)成分としては、たとえば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミンが挙げられ、脂肪族アミンが好ましく、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、たとえば、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2,2’−ジビリジル、4,4’−ジビリジルなどが挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
第一のポジ型レジスト組成物は、さらに、任意の成分として、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、(E)成分という。)を含有してもよい。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
第一のポジ型レジスト組成物は、さらに、任意の成分として、塩基解離性基を含有する構成単位(f1)を有する高分子化合物(F1)(以下、(F1)成分という。)を含有してもよい。(F1)成分としては、たとえば米国特許出願公開第2009/0197204号明細書に記載のものが挙げられる。
本発明において、(F1)成分としては、特に下記の様な構成単位を有するもの(含フッ素高分子化合物(F1−1))が好ましい。
Figure 2011128610
[式(F1−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。j”は0〜3の整数であり、R30は炭素数1〜5のアルキル基であり、h”は1〜6の整数である。]
式(F1−1)中、Rは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
j”は、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が最も好ましい。
30は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が特に好ましく、エチル基が最も好ましい。
h”は、3又は4が好ましく、4が最も好ましい。
(F1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、2000〜100000が好ましく、3000〜100000がより好ましく、4000〜50000がさらに好ましく、5000〜50000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.8が最も好ましい。
(F1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第一のポジ型レジスト組成物における(F1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、0.1〜40質量部がより好ましく、0.3〜30質量部が特に好ましく、0.5〜15質量部が最も好ましい。上記範囲の下限値以上とすることで当該ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の疎水性が向上し、液浸露光用としても好適な疎水性を有するものとなり、上限値以下であると、リソグラフィー特性が向上する。
かかる(F1)成分は、液浸露光用のレジスト組成物の添加剤としても好適に用いることができる。
第一のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
第一のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分という。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。また、上述したアルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤も挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、γ−ブチロラクトン、EL、CHが好ましい。化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いたパターニングを2回以上行うことにより第一のレジストパターンを形成する場合、後で使用される化学増幅型ポジ型レジスト組成物に配合される有機溶剤としては、アルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤が好ましく、アルコール系有機溶剤及び水酸基を有さないエーテル系有機溶剤から選択される一種以上がより好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA、PGME、CH及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
<パターン反転用組成物>
本発明におけるパターン反転用組成物は、アルカリ現像を行うと、前記第一のレジストパターンは除去される一方、支持体上に除去されずに残るパターン反転用膜を形成し得るものであればよい。
パターン反転用組成物は、前記第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤((S’)成分)を含有するものであり、たとえば、前記工程(3)後における第一のレジストパターンよりも低いアルカリ現像溶解性を有するパターン反転用膜を形成し得るもの等が挙げられる。パターン反転用組成物が、アルカリ現像時に支持体上から除去されない程度で、かつ、前記工程(3)後における第一のレジストパターンよりも低い、という適度なアルカリ現像溶解性を有することにより、パターン反転用膜の形成時(塗布時)において、図3(b)におけるパターン反転用膜6のレジストパターン2b上面に存在する部分が厚くなったり、その厚さがばらついたりしても、図3(c)の反転パターンを形成できるため好ましい。前記適度なアルカリ現像溶解性は、後述の(A’)成分や(B’)成分の組み合わせにより制御できる。
かかるパターン反転用組成物として具体的には、前記第一のポジ型レジスト組成物よりも高エネルギー量でアルカリ現像液に対する溶解性が増大する化学増幅型または非化学増幅型のポジ型レジスト組成物、アルカリ現像液に対して所定の溶解性を有する(エネルギー量によってはアルカリ現像液に対する溶解性がほとんど変化しない)樹脂組成物等が挙げられる。これらの中でも、前記第一のポジ型レジスト組成物よりも高エネルギー量でアルカリ現像液に対する溶解性が増大する化学増幅型ポジ型レジスト組成物が好ましい。
パターン反転用組成物として化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いると、後述するように、たとえば樹脂成分における酸解離性溶解抑制基の脱保護エネルギーの差を制御するだけで、アルカリ現像により溶解除去されにくいパターン反転用膜を容易に形成できると共に、汎用の樹脂成分又はレジスト組成物をそのまま用いることができる。また、パターン反転用組成物として化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いると、反転パターンを形成した後、当該反転パターンに対して選択的露光、露光後加熱(PEB)およびアルカリ現像を行うことによって、さらに複雑な構造のパターンを形成することもできる。
ただし、本発明におけるパターン反転用組成物は、化学増幅型ポジ型レジスト組成物に限定されるものではなく、非化学増幅型のポジ型レジスト組成物を用いてもよい。
非化学増幅型のレジスト組成物としては、従来、感放射線性組成物として提案されているものが使用でき、たとえばノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂等のアルカリ可溶性樹脂と、ナフトキノンジアジド基含有化合物などの感光性成分とを含有するレジスト組成物が挙げられる。該レジスト組成物には、必要に応じて増感剤を含有させることもできる。
また、本発明におけるパターン反転用組成物としては、アルカリ現像液に対して所定の溶解性を有する(エネルギー量によってはアルカリ現像液に対する溶解性がほとんど変化しない)樹脂組成物を用いてもよい。該樹脂組成物における樹脂成分としては、たとえば、上述した構成単位(a1)のような酸解離性溶解抑制基を含む構成単位を有さない樹脂成分であって、構成単位(a3)(なかでも式(a3−3)で示される構成単位)を含む樹脂成分が好適なものとして挙げられる。
(第二のポジ型レジスト組成物)
パターン反転用組成物として用いられる化学増幅型ポジ型レジスト組成物(以下、第二のポジ型レジスト組成物ということがある。)としては、たとえば、前記第一のポジ型レジスト組成物よりも高エネルギー量でアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものが挙げられ、上述した第一のポジ型レジスト組成物についての説明で挙げたような、これまで提案されている多数の化学増幅型レジスト組成物のなかから適宜選択して用いることができる。
たとえば、第一のポジ型レジスト組成物として、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)および酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A)を含有するものを用いる場合、第二のポジ型レジスト組成物としては、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B’)および酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A’)(以下「(A’)成分」という。)を含有し、かつ、前記基材成分(A’)が、前記基材成分(A)が有する酸解離性溶解抑制基よりも脱保護エネルギーが高い酸解離性溶解抑制基を有するものであることが好ましい。
また、第一のポジ型レジスト組成物として、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)および酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A)を含有するものを用いる場合、第二のポジ型レジスト組成物としては、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B’)および酸解離性溶解抑制基を有さない基材成分(A”)(以下「(A”)成分」という。)を含有するものであることも好ましい。
かかる第二のポジ型レジスト組成物を用いた場合、アルカリ現像により溶解除去されにくいパターン反転用膜を形成でき、工程(4)のアルカリ現像により、前記第一のレジストパターンは溶解して除去される一方、当該パターン反転用膜はほとんど溶解せず(図3(b)のパターン反転用膜6のうち、レジストパターン2b上面に存在する部分は溶解除去される)、支持体上から除去されずに残存し、反転パターンを形成できる。また、第二のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する際、第一のレジストパターンに含まれる酸成分の影響を受けにくいため、コントラストが良好に得られ、解像性又は形状の良好な反転パターンを形成できる。
かかる第二のポジ型レジスト組成物は、第一のポジ型レジスト組成物の組成に応じて適宜設定すればよい。これら第一のポジ型レジスト組成物および第二のポジ型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基の組み合わせについては、詳しくは、第一のポジ型レジスト組成物および第二のポジ型レジスト組成物の選択方法として後述する。
[(A’)成分]
(A’)成分は、第一のポジ型レジスト組成物に配合される基材成分(A)が有する酸解離性溶解抑制基よりも脱保護エネルギーが高い(解離しにくい)酸解離性溶解抑制基を有する基材成分であり、前記(A)成分についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
本発明においては、(A’)成分が、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1’)(以下、(A1’)成分ということがある。)を含有することが好ましく、アクリル酸エステルから誘導される構成単位、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a6’)を有するものがより好ましい。
(A1’)成分は、特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)を有することが好ましい。
また、(A1’)成分は、構成単位(a1’)に加えて、さらに、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位を有することが好ましい。
・構成単位(a1’):
構成単位(a1’)としては、前記(A1)成分についての説明で挙げた構成単位(a1)と同様のものが挙げられる。酸解離性溶解抑制基としては、上述の第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基として挙げた脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基(たとえば式−C(R71)(R72)(R73)で表される基)が好ましい。
構成単位(a1’)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1’)成分中、構成単位(a1’)の割合は、当該(A1’)成分を構成する全構成単位の合計に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a6’):
構成単位(a6’)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位である。
構成単位(a6’)を有することにより、(A1’)成分は、上述した第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤((S’)成分)に対する溶解性がより良好となる。また、アルカリ現像液に対して若干の溶解性を有するようになる。
構成単位(a6’)のなかで好適なものとしては、下記一般式(a6’−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 2011128610
[式中、R20は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり;Rは炭素数1〜5のアルキル基であり;pは1〜3の整数であり;qは0〜2の整数である。]
前記一般式(a6’−1)中、R20における炭素数1〜5のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
20としては、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
pは1〜3の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。pが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
qは0〜2の整数である。これらのうち、qは0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
の低級アルキル基としては、R20の低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。qが2である場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
構成単位(a6’)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1’)成分中の構成単位(a6’)の割合は、(A1’)成分を構成する全構成単位の合計に対して50〜90モル%であることが好ましく、55〜85モル%であることがより好ましく、60〜80モル%であることがさらに好ましい。該範囲内であると、レジスト組成物とした際に適度なアルカリ溶解性が得られるとともに、他の構成単位とのバランスが良好である。
・他の構成単位:
(A1’)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1’)および(a6’)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
該他の構成単位は、上述の構成単位(a1’)および(a6’)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
該他の構成単位としては、例えば、スチレンから誘導される構成単位(a7’)、後述の一般式(a5’)で表される構成単位(a5’)、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2’)、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3’)、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4’)等が挙げられる。
各構成単位は、それぞれ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
・・構成単位(a7’):
構成単位(a7’)は、スチレンから誘導される構成単位である。
構成単位(a7’)を有することにより、アルカリ現像液に対する溶解性を調整することができる。また、レジスト組成物とした際、耐熱性やドライエッチング耐性が向上する。
本明細書において、「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体(ただし、上記ヒドロキシスチレンを除く。)を含む概念とする。また、フェニル基の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基等の置換基で置換されたもの等も包含するものとする。
「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
構成単位(a7’)の好適なものとしては、下記一般式(a7’−1)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2011128610
[式中、R20は前記と同じであり;Rは炭素数1〜5のアルキル基であり;xは0〜3の整数である。]
前記一般式(a7’−1)中、R20およびRは、上記一般式(a6’−1)中のR20およびRとそれぞれ同様のものが挙げられる。
xは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
xが1である場合、Rの置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。xが2または3である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
(A1’)成分中の構成単位(a7’)の割合は、(A1’)成分を構成する全構成単位の合計に対して1〜40モル%が好ましく、3〜30モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。該範囲の下限値以上であると、構成単位(a7’)を有することによる効果が高く、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
・・構成単位(a5’):
構成単位(a5’)は、下記一般式(a5’)で表される構成単位である。
構成単位(a5’)を有することにより、(A1’)成分は、上述した第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤((S’)成分)に対する溶解性がより良好となる。
Figure 2011128610
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Yは脂肪族環式基であり、Zは第3級アルキル基含有基またはアルコキシアルキル基であり;aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、且つa+b=1〜3であり;c、d、eはそれぞれ独立して0〜3の整数である。]
式(a5’)中、Rは、前記構成単位(a1)の説明中のRと同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
は脂肪族環式基である。「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
構成単位(a5’)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環(脂肪族環)の構造は、炭素および水素からなる環(炭化水素環)であることに限定はされず、その環(脂肪族環)の構造中に酸素原子を含んでいてもよい。また、「炭化水素環」は飽和、不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、多環式基、単環式基のいずれでもよい。脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。
また、当該脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいテトラヒドロフラン、テトラヒドロピランから2個以上の水素原子を除いた基等も挙げられる。
構成単位(a5’)における脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましく、中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
前記一般式(a5’)中、Zは、第3級アルキル基含有基またはアルコキシアルキル基である。
(第3級アルキル基含有基)
「第3級アルキル基」は、第3級炭素原子を有するアルキル基を示す。「アルキル基」は、上述のように、1価の飽和炭化水素基を示し、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)のアルキル基および環状構造を有するアルキル基を包含する。
「第3級アルキル基含有基」は、その構造中に第3級アルキル基を含む基を示す。第3級アルキル基含有基は、第3級アルキル基のみから構成されていてもよく、第3級アルキル基と、第3級アルキル基以外の他の原子または基とから構成されていてもよい。
第3級アルキル基とともに第3級アルキル基含有基を構成する前記「第3級アルキル基以外の他の原子または基」としては、カルボニルオキシ基、カルボニル基、アルキレン基、酸素原子(−O−)等が挙げられる。
Zにおける第3級アルキル基含有基としては、環状構造を有さない第3級アルキル基含有基、環状構造を有する第3級アルキル基含有基等が挙げられる。
環状構造を有さない第3級アルキル基含有基は、第3級アルキル基として分岐鎖状の第3級アルキル基を含有し、かつ、その構造内に環状構造を有さない基である。
分岐鎖状の第3級アルキル基としては、たとえば下記一般式(I)で表される基が挙げられる。
Figure 2011128610
式(I)中、R21〜R23は、それぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。該アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、一般式(I)で表される基の全炭素数は、4〜7であることが好ましく、4〜6であることがより好ましく、4〜5であることが最も好ましい。
一般式(I)で表される基としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等が好ましく挙げられ、tert−ブチル基がより好ましい。
環状構造を有さない第3級アルキル基含有基としては、上述した分岐鎖状の第3級アルキル基;上述した分岐鎖状の第3級アルキル基が直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基に結合してなる第3級アルキル基含有鎖状アルキル基;第3級アルキル基として上述した分岐鎖状の第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニル基;第3級アルキル基として上述した分岐鎖状の第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基等が挙げられる。
第3級アルキル基含有鎖状アルキル基におけるアルキレン基としては、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数〜2のアルキレン基がさらに好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、たとえば下記一般式(II)で表される基が挙げられる。
式(II)中のR21〜R23は、前記式(I)中のR21〜R23と同様である。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)、tert−ペンチルオキシカルボニル基が好ましい。
Figure 2011128610
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、たとえば下記一般式(III)で表される基が挙げられる。
式(III)中のR21〜R23は、前記式(I)中のR21〜R23と同様である。
fは1〜3の整数であり、1または2が好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−ブチルオキシカルボニルエチル基が好ましい。
これらの中で、環状構造を有さない第3級アルキル基含有基としては、第3級アルキルオキシカルボニル基または第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基が好ましく、第3級アルキルオキシカルボニル基がより好ましく、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)が最も好ましい。
Figure 2011128610
環状構造を有する第3級アルキル基含有基は、その構造内に、第3級炭素原子と環状構造とを有する基である。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基において、環状構造は、環を構成する炭素数が4〜12であることが好ましく、5〜10であることがより好ましく、6〜10であることが最も好ましい。環状構造としては、例えばモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。好ましくは、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基としては、例えば、第3級アルキル基として下記[1]または[2]の基を有する基等が挙げられる。
[1]環状のアルキル基(シクロアルキル基)の環を構成する炭素原子に、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合し、該炭素原子が第3級炭素原子となっている基。
[2]シクロアルキル基の環を構成する炭素原子に、第3級炭素原子を有するアルキレン基(分岐鎖状のアルキレン基)が結合している基。
前記[1]の基における直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることが最も好ましい。
[1]の基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロアルキル基、1−エチル−1−シクロアルキル基等が挙げられる。
前記[2]の基において、分岐鎖状のアルキレン基が結合しているシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
[2]の基としては、たとえば下記化学式(IV)で表される基が挙げられる。
Figure 2011128610
式(IV)中、R24は、置換基を有していてもよく有していなくてもよいシクロアルキル基である。該シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
25、R26は、それぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基としては、前記式(I)中のR21〜R23のアルキル基と同様のものが挙げられる。
(アルコキシアルキル基)
Zにおけるアルコキシアルキル基としては、たとえば下記一般式(V)で表される基が挙げられる。
Figure 2011128610
式中、R45は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基である。
45が直鎖状、分岐鎖状の場合は、炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
45が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。たとえば、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
42は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。該アルキレン基は、炭素数1〜5であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましく、炭素数1〜2であることがさらに好ましい。
Zのアルコキシアルキル基としては、特に、下記一般式(VI)で表される基が好ましい。
Figure 2011128610
式(VI)中、R45は前記と同じであり、R43、R44はそれぞれ独立して直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、または水素原子である。
43、R44において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特に、R43、R44の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
上記のなかでも、Zとしては、第3級アルキル基含有基が好ましく、前記一般式(II)で表される基がより好ましく、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)が最も好ましい。
前記一般式(a5’)中、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、かつ、a+b=1〜3である。
aは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
bは0であることが好ましい。
a+bは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
cは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
dは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
eは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
なお、bが1以上の場合、構成単位(a5’)は前記構成単位(a3’)の定義にも含まれるが、前記式(a5’)で表される構成単位は構成単位(a5’)に該当し、構成単位(a3’)には該当しないものとする。
構成単位(a5’)としては、特に、下記一般式(a5’−1−1)、(a5’−1−2)又は(a5’−2)で表される構成単位が好ましく、式(a5’−1−1)で表される構成単位がより好ましい。
Figure 2011128610
[式中、R,Z,b,c,d,eはそれぞれ前記と同じである。]
Figure 2011128610
[式中、R,Z,b,c,d,eはそれぞれ前記と同じである。式中の複数のeおよびZはそれぞれ互いに異なっていてもよい。]
Figure 2011128610
[式中、R,Z,a,b,c,d,eはそれぞれ前記と同じであり、c”は1〜3の整数である。]
前記式(a5’−2)中、c’は1〜3の整数であり、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
前記式(a5’−2)におけるcが0の場合、アクリル酸エステルのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子は、環式基中の酸素原子に結合する炭素原子には結合していないことが好ましい。すなわち、cが0の場合、当該末端の酸素原子と当該環式基中の酸素原子との間には炭素原子が2つ以上存在する(この炭素原子の数が1である(すなわちアセタール結合となる)場合を除く)ことが好ましい。
構成単位(a5’)を誘導するモノマーは、例えば下記一般式(a5’−0)で表される化合物(1〜3個のアルコール性水酸基を有する脂肪族環式基を含有するアクリル酸エステル)の水酸基の一部または全部を、公知の手法を用いて、第3級アルキル基含有基またはアルコキシアルキル基で保護することにより合成することができる。
Figure 2011128610
[式中、R,Y,a,b,c,d,eはそれぞれ前記と同じである。]
(A1’)成分中の構成単位(a5’)の割合は、(A1’)成分を構成する全構成単位の合計に対して1〜45モル%であることが好ましく、5〜45モル%であることがより好ましく、5〜40モル%であることがさらに好ましく、5〜35モル%が最も好ましい。下限値以上とすることにより、アルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤等の有機溶剤への溶解性が向上し、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
・・構成単位(a2’):
構成単位(a2’)としては、前記(A1)成分についての説明で挙げた構成単位(a2)と同様のものが挙げられる。
(A1’)成分中、構成単位(a2’)の割合は、当該(A1’)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2’)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・構成単位(a3’):
構成単位(a3’)としては、前記(A1)成分の説明で挙げた構成単位(a3)と同様のものが挙げられる。
(A1’)成分中、構成単位(a3’)の割合は、当該(A1’)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3’)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・・構成単位(a4’):
構成単位(a4’)としては、前記(A1)成分の説明で挙げた構成単位(a4)と同様のものが挙げられる。
(A1’)成分は、構成単位(a1’)および(a6’)を有する共重合体であることが好ましい。かかる共重合体としては、たとえば、上記構成単位(a1’)、(a6’)および(a7’)からなる共重合体等が例示できる。
(A’)成分において、(A1’)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A1’)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1’)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
(A1’)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、(A1’)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。
[(A”)成分]
(A”)成分は、酸解離性溶解抑制基を有さない基材成分である。
(A”)成分のなかで好適なものとしては、たとえばノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン(PHS)、ヒドロキシスチレン−スチレン共重合体等のアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
[(B’)成分]
(B’)成分としては、前記第一のポジ型レジスト組成物についての説明で挙げた(B)成分と同様のものが挙げられる。
(B’)成分としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、基材成分として(A”)成分を用いる場合、パターン反転用組成物を用いて形成される膜のアルカリ現像液に対する溶解抑止の効果に優れることから、トリフェニルスルホニウム塩からなる酸発生剤を用いることが好ましい。
第二のポジ型レジスト組成物における(B’)成分の含有量は、(A’)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
[任意成分]
第二のポジ型レジスト組成物は、さらに、任意の成分として、含窒素有機化合物(以下、(D’)成分という。)を含有してもよい。
(D’)成分としては、前記第一のポジ型レジスト組成物についての説明で挙げた(D)成分と同様のものが挙げられる。
(D’)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
第二のポジ型レジスト組成物は、さらに、任意の成分として、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、(E’)成分という。)を含有してもよい。
(E’)成分としては、前記第一のポジ型レジスト組成物についての説明で挙げた(E)成分と同様のものが挙げられる。
(E’)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
第二のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
第二のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤に溶解させて製造することができる。
本発明において、第二のポジ型レジスト組成物は、有機溶剤として、前記パターン反転用組成物について説明したのと同様に、(S’)成分(第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤)を含有する。
(S’)成分としては、前記工程(4)についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
第二のポジ型レジスト組成物に用いられる(S’)成分は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
第二のポジ型レジスト組成物は、前記パターン反転用組成物について説明したのと同様に、(S’)成分を用いることによる効果を損なわない範囲で、(S”)成分((S’)成分以外の有機溶剤)を含有してもよい。
(S”)成分としては、特に、第一のポジ型レジスト組成物についての説明で挙げた(S)成分が好ましい。
(S”)成分の配合量は、第二のポジ型レジスト組成物に配合される全有機溶剤中、0〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
第二のポジ型レジスト組成物に用いられる全有機溶剤の使用量は、特に限定されず、通常、当該第二のポジ型レジスト組成物が、支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。一般的には固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
(第一のポジ型レジスト組成物および第二のポジ型レジスト組成物の選択方法)
上述したように、本発明においては、第二のポジ型レジスト組成物として、たとえば前記工程(3)後における第一のレジストパターンよりも低いアルカリ現像溶解性を有するパターン反転用膜を形成し得るものを使用し、工程(4)にて、前記第一のレジストパターンがアルカリ現像により除去されるように設定する。
これにより、本発明のパターン形成方法に用いる第一のポジ型レジスト組成物および第二のポジ型レジスト組成物の組み合わせが選択される。また、いずれのポジ型レジスト組成物も、これまで提案されている多数の化学増幅型レジスト組成物のなかから適宜選択して用いることができる。
本発明においては、工程(3)で、酸性のリソグラフィー用洗浄液を用いて洗浄した第一のレジストパターンをベークする。これにより、工程(2)で当該第一のレジストパターンに吸着残存した酸成分が当該第一のレジストパターンに作用し、当該第一のレジストパターン中の酸解離性溶解抑制基が解離し、当該第一のレジストパターンはアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。さらに、第二のポジ型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基が、第一のポジ型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基よりも脱保護エネルギーが高くなっている。そのため、第二のポジ型レジスト組成物を用いて形成されるパターン反転用膜は、工程(3)後における第一のレジストパターンよりも低いアルカリ現像溶解性を有すると共に、当該第一のレジストパターンに含まれる酸成分の影響も受けにくい。その結果、工程(4)で、アルカリ現像することにより、当該第一のレジストパターンは除去され、パターン反転用膜は支持体上に残存して反転パターンが形成される。
第一のポジ型レジスト組成物および第二のポジ型レジスト組成物の組み合わせの選択方法としては、たとえば、第二のポジ型レジスト組成物を用いて形成されるパターン反転用膜の有効PEB温度の最低値(Tmin2)が、第一のレジスト膜の有効PEB温度の最低値(Tmin1)よりも高くなるように、また、好ましくはそれらの差が所望の値となるように設定する方法が挙げられる。
min1およびTmin2は、それぞれ、使用する第一のポジ型レジスト組成物および第二のポジ型レジスト組成物の組成を工夫することにより調節できる。
たとえば、第一のポジ型レジスト組成物および第二のポジ型レジスト組成物がそれぞれ酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(上述した(A)成分、(A’)成分等)を含有する場合、第二のポジ型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基を、第一のポジ型レジスト組成物における酸解離性溶解抑制基よりも脱保護エネルギーが高いものとする。これにより、仮にいずれのポジ型レジスト組成物に対しても露光およびPEBを行った際、
第二のポジ型レジスト組成物の方が、第一のポジ型レジスト組成物よりも、アルカリ現像液に対する溶解性が増大しにくいものとなり、Tmin2がTmin1よりも高くなる。
各酸解離性溶解抑制基の脱保護エネルギーの差は、約2kcal/mol以上が好ましく、2.5kcal/mol以上がより好ましい。
なお、酸解離性溶解抑制基の脱保護エネルギーは、以下の工程1〜4を含む解析方法による解析結果から求めることができる。
工程1:特定保護基を導入したポリマーを用いてレジスト組成物を調製する。
工程2:工程1で調製したレジスト組成物によりレジスト膜を形成し、全面露光を行う。このときの露光量は最適露光量(Eop)と同量とする。
工程3:露光処理後のレジスト膜に対し、リソテックジャパン株式会社製の脱保護反応解析装置(PAGA−100)を用いて脱保護反応の解析を行う(本装置によれば、PEB処理を行いながらレジスト膜のIRスペクトルを採取することにより、PEB処理中のレジスト組成物の構造変化を確認することができる。)。
工程4:複数のPEB温度に対してデータ採取を行い、解析を行う。
酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(上記構成単位(a1)、構成単位(a1’)等)を例に挙げてより具体的に説明すると、該構成単位において、酸解離性溶解抑制基の脱保護エネルギーは、当該酸解離性溶解抑制基の構造や、当該酸解離性溶解抑制基が当該構成単位の側鎖部分にどのような構造で結合しているか等により異なっている。
以下に、酸解離性溶解抑制基または酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位の具体的な構造と、それらが第一のポジ型レジスト組成物および第二のポジ型レジスト組成物のいずれに適しているかを説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(ア)アクリル酸のカルボキシ基に直接結合して第3級アルキルエステルを形成している第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基であって、1価の脂肪族環式基の環骨格を構成し、当該酸解離性溶解抑制基に隣接する酸素原子(−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に、メチル基が結合して第3級炭素原子が形成されている基。
ここで、「アクリル酸」は、α位の炭素原子(アクリル酸のカルボニル基が結合する炭素原子)に水素原子が結合しているアクリル酸(CH=CHCOOH)のほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。該α位の炭素原子に結合する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
前記(ア)で示した基がアクリル酸のカルボキシ基に直接結合しているとは、当該基が、アクリル酸のカルボキシ基の水素原子を置換していることを示す。
「アクリル酸のカルボキシ基に直接結合して第3級アルキルエステルを形成している第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」として、具体的には、前記構成単位(a1)の説明で挙げた式(a1−1)におけるX’が挙げられる。
「1価の脂肪族環式基の環骨格を構成し、当該酸解離性溶解抑制基に隣接する原子と結合する炭素原子にメチル基が結合して第3級炭素原子が形成されている基」としては、たとえば、前記構成単位(a1)についての説明で挙げた式(1−1)〜(1−9)におけるR14がメチル基であるものが挙げられる。
かかる酸解離性溶解抑制基は、比較的脱保護エネルギーが高く、解離しにくい。そのため、第二のポジ型レジスト組成物に適している。
(イ)アクリル酸のカルボキシ基に直接結合して第3級アルキルエステルを形成している第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基であって、1価の脂肪族環式基の環骨格を構成し、当該酸解離性溶解抑制基に隣接する酸素原子(−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に、炭素数2以上のアルキル基が結合して第3級炭素原子が形成されている基。
「1価の脂肪族環式基の環骨格を構成し、当該酸解離性溶解抑制基に隣接する原子と結合する炭素原子に炭素数2以上のアルキル基が結合して第3級炭素原子が形成されている基」としては、たとえば、前記式(1−1)〜(1−9)におけるR14が炭素数2以上のアルキル基であるものが挙げられる。
かかる酸解離性溶解抑制基は、比較的(たとえば前記(ア)で示した基に比べて)脱保護エネルギーが低く、解離しやすい。たとえば前記式(1−1)におけるR14がメチル基である2−メチル−2−アダマンチル基(M)と、R14がエチル基である2−エチル−2−アダマンチル基(E)とを比較すると、Mの脱保護エネルギーが11.2[kcal/mol]であるのに対し、Eの脱保護エネルギーは8.3[kcal/mol]である。また、前記式(1−2)におけるgが2であり、R14がエチル基であるエチルシクロヘキシル基の脱保護エネルギーは8.1[kcal/mol]である。
そのため、該酸解離性溶解抑制基は、第一のポジ型レジスト組成物に適している。
ただし、該酸解離性溶解抑制基よりも脱保護エネルギーが低い酸解離性溶解抑制基(たとえばアセタール型酸解離性溶解抑制基等)を第一のポジ型レジスト組成物に用いる場合は、第二のポジ型レジスト組成物に用いることもできる。
(ウ)アクリル酸のカルボキシ基に直接結合して第3級アルキルエステルを形成している第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基であって、1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基を有する基。
「1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基を有する基」としては、たとえば前記構成単位(a1)の説明で挙げた式(2−1)〜(2−6)で表される基が挙げられる。
かかる酸解離性溶解抑制基は、比較的脱保護エネルギーが高く、解離しにくい。そのため、第二のポジ型レジストに適している。
(エ)アクリル酸のカルボキシ基に直接結合して第3級アルキルエステルを形成している第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基であって脂肪族分岐鎖状である基。
「脂肪族分岐鎖状である基」としては、たとえば前記構成単位(a1)の説明で、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基として挙げた脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基(たとえば式−C(R71)(R72)(R73)で表される基)が挙げられる。
かかる脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基は、比較的脱保護エネルギーが高く、解離しにくい。そのため、第二のポジ型レジストに好適である。
(オ)アクリル酸のカルボキシ基に直接結合せず、連結基を介して結合している第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基。
具体的には、前記構成単位(a1)の説明で挙げた式(a1−3)におけるX’が挙げられる。
かかる酸解離性溶解抑制基は、連結基が介在していることにより、同じ構造の基が連結基を介在せずに直接結合している場合に比べて、比較的脱保護エネルギーが低く、解離しやすい。そのため、第一のポジ型レジスト組成物に適している。
(カ)アセタール型酸解離性溶解抑制基。
アセタール型酸解離性溶解抑制基として、具体的には、前記構成単位(a1)の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基は、比較的脱保護エネルギーが低く、解離しやすい。
たとえばアダマントキシメチル基の脱保護エネルギーは8.4[kcal/mol]である。そのため、第一の化学増幅型レジストに適している。
(キ)多官能型酸解離性溶解抑制基。
多官能酸解離性溶解抑制基は、例えば特開2005−325325号公報等に記載されているもの(一般式:R−[O−CHm”−(式中、Rは炭素数20以下のm”価以上の価数を有する有機基を表し、m”は2から5の整数を表す。)で示される基)が挙げられる。
多官能型酸解離性溶解抑制基は、比較的脱保護エネルギーが低く、解離しやすい。そのため、第一のポジ型レジスト組成物に適している。
第一のポジ型レジスト組成物の酸解離性溶解抑制基(以下、保護基1という。)と、第二のポジ型レジスト組成物の酸解離性溶解抑制基(以下、保護基2という。)との組み合わせとしては、特に、以下に示すものが好ましい。
[組み合わせ1]:保護基1が前記(イ)および(オ)からなる群から選択される少なくとも1種であり、保護基2が前記(ア)である。
[組み合わせ2]:保護基1が前記(イ)および(オ)からなる群から選択される少なくとも1種であり、保護基2が前記(エ)である。
[組み合わせ3]:保護基1が前記(ア)および(イ)からなる群から選択される少なくとも1種であり、保護基2が前記(エ)である。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(リソグラフィー用洗浄液の調製)
純水に、平均炭素数15の直鎖状のアルキル基を有するアルキルスルホン酸を1300ppm、モノエタノールアミンを90ppmとなるようにそれぞれ添加し、リソグラフィー用洗浄液(当該洗浄液のpH2.6)を調製した。
リソグラフィー用洗浄液のpHは、常温(25℃)で、pH/ORPメーター(製品名「TPX−90Si」、株式会社東興化学研究所製)により測定した。
<基材成分(A)の合成>
本実施例において、基材成分(A)として用いた高分子化合物(A1−2)は、下記化学式で表される化合物(1)〜(5)を用いて、以下に示すポリマー合成例により合成することによって得た。
当該ポリマー合成例で使用した化合物(1)は、以下に示すモノマー合成例により合成した。
Figure 2011128610
[モノマー合成例1:化合物(1)の合成]
500mlの3つ口フラスコに、窒素雰囲気下、アルコール(1)20g(105.14mmol)、エチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩30.23g(157.71mmol)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)0.6g(5mmol)のTHF溶液300mlを入れ、そこに、氷冷下(0℃)で前駆体(1)16.67g(115.66mmol)を加えた後、室温で12時間撹拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、50mlの水を加えて反応を停止した。反応溶媒を減圧濃縮し、酢酸エチルで3回抽出して得られた有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム、1N―HClaqの順で洗浄した。減圧下、溶媒留去して得られた生成物を乾燥させ、化合物(1)を得た。
Figure 2011128610
得られた化合物(1)の機器分析結果は、以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm)=6.22(s,1H,H),5.70(s,1H,H),4.71−4.85(m,2H,Hc,d),4.67(s,2H,H),3.40−3.60(m,2H,He,f),2.58−2.70(m,1H,H),2.11−2.21(m,2H,H),2.00(s,3H,H),1.76−2.09(m,2H,H).
上記の結果から、化合物(1)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 2011128610
[ポリマー合成例1:高分子化合物(A1−2)の合成]
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、11.77g(69.23mmol)の化合物(2)、15.00g(47.47mmol)の化合物(1)、16.58g(63.29mmol)の化合物(3)、4.65g(27.69mmol)の化合物(4)、3.27g(13.85mmol)の化合物(5)を、76.91gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を22.1mmol添加し溶解させた。これを窒素雰囲気下、3時間かけて、78℃に加熱したMEK42.72gに滴下した。滴下終了後、反応液を4時間加熱撹拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のノルマル(n−)ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、n−ヘプタン/イソプロピルアルコール混合溶媒にて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(A1−2)を41g得た。
この高分子化合物(A1−2)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.56であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、a2/a0/a11/a12/a3=35/22/18/13/12であった。
Figure 2011128610
<試験例>
表1に示す各成分を混合して溶解し、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を調製した。
Figure 2011128610
表1中の各略号は以下の意味を有する。また、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:下記化学式(A1−1)で表される質量平均分子量(Mw)10000、分散度1.60の共重合体。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、a1:a2:a3=35:45:20である。
Figure 2011128610
(B)−1:下記化学式(B1)で表される化合物からなる酸発生剤。
(B)−2:下記化学式(B2)で表される化合物からなる酸発生剤。
(B)−3:下記化学式(B3)で表される化合物からなる酸発生剤。
Figure 2011128610
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−2:PGMEAとPGMEとの混合溶剤(PGMEA:PGME=6:4(質量比))。
[工程(1)]
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物(1−0)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次に、該レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ライン幅120nm/ピッチ240nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下「LSパターン」という。)をターゲットとするフォトマスク(6%ハーフトーン)を介して、前記レジスト膜に対してArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、110℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行った。
その結果、前記レジスト膜に、幅120nmのラインが等間隔(ピッチ240nm)に配置されたラインアンドスペースのレジストパターン(以下「LSパターン(a)」という。)が形成された。かかるLSパターン(a)が形成される最適露光量Eop、すなわち感度を求めたところ、25.0(mJ/cm)であった。
かかるLSパターン(a)の形成において、前記フォトマスク(6%ハーフトーン)を、ライン幅130nm/ピッチ260nmのLSパターンをターゲットとするフォトマスク(6%ハーフトーン)に変更した以外は同様にしてパターン形成(露光量は前記Eopと同じ25.0(mJ/cm))を行った。
その結果、前記レジスト膜に、幅130nmのラインが等間隔(ピッチ260nm)に配置されたLSパターン(以下「LSパターン(b)」という。)を形成した。
また、かかるLSパターン(a)の形成において、LSパターンをターゲットとするフォトマスク(6%ハーフトーン)を用いる代わりに大面積露光を行った以外は同様にしてパターン形成(露光量は前記Eopと同じ25.0(mJ/cm))を行い、大面積パターンを形成した。
(試験例1:純水による洗浄、工程(3)、アルカリ現像)
前記のLSパターン(a)、LSパターン(b)及び大面積パターンを、純水を用いてそれぞれ洗浄した。具体的には、パターン全体に向かって、「純水」を、シリコンウェーハに対して垂直方向からノズルより30秒間吹き付ける(塗出する)ことによってそれぞれ洗浄した。
次に、洗浄後の各パターンに対して、140℃で60秒間のハードベークをそれぞれ行った(工程(3))。
次いで、ハードベーク後の各パターンに対して、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行い、その後、純水を用いて15秒間リンスし、振り切り乾燥をそれぞれ行った。
その結果、いずれのパターンも、若干の膜減りが認められたものの、前記有機系反射防止膜上に残存していた。
(試験例2:工程(2)、工程(3)、アルカリ現像)
前記のLSパターン(a)、LSパターン(b)及び大面積パターンを、前記リソグラフィー用洗浄液(当該洗浄液のpH2.6)を用いてそれぞれ洗浄した。具体的には、パターン全体に向かって、「前記リソグラフィー用洗浄液」を、シリコンウェーハに対して垂直方向からノズルより30秒間吹き付ける(塗出する)ことによってそれぞれ洗浄した(工程(2))。
次に、洗浄後の各パターンに対して、140℃で60秒間のハードベークをそれぞれ行った(工程(3))。
次いで、ハードベーク後の各パターンに対して、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行い、その後、純水を用いて15秒間リンスし、振り切り乾燥をそれぞれ行った。
その結果、いずれのパターンもTMAH水溶液に溶解して完全に消失していた。
<実施例1〜2>
表2に示す各成分を混合して溶解し、第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物と、パターン反転用組成物(化学増幅型ポジ型レジスト組成物)とをそれぞれ調製した。
Figure 2011128610
表2中の各略号は以下の意味を有する。また、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−2:前記高分子化合物(A1−2)。
(A)−3:下記化学式(A1’−1)で表される質量平均分子量(Mw)12000、分散度2.1の共重合体。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、a6’:a7’:a1’=65:20:15である。
Figure 2011128610
(B)−1:下記化学式(B1)で表される化合物からなる酸発生剤。
(B)−4:下記化学式(B4)で表される化合物からなる酸発生剤。
Figure 2011128610
(B)−5:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(F)−1:米国特許出願公開第2009/0197204号明細書のExample32と同様にして合成された含フッ素高分子化合物(F1−1−1)。Mw:18000、分子量分散度:1.5、f1/f2=78/22(モル比)。
Figure 2011128610
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−3:PGMEAとPGMEとシクロヘキサノン(CH)との混合溶剤(PGMEA:PGME:CH=45:30:25(質量比))。
(S)−4:1−ブトキシ−2−プロパノール(PGB)とPGMEAとの混合溶剤(PGB:PGMEA=90:10(質量比))。
(実施例1)
[工程(1)]
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物(1−1)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜(第一のレジスト膜)を形成した。
次に、該第一のレジスト膜に対し、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ライン幅130nm/ピッチ260nmのLSパターンをターゲットとするフォトマスク(6%ハーフトーン)を介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、95℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行った。
その結果、前記第一のレジスト膜に、幅130nmのラインが等間隔(ピッチ260nm)に配置されたLSパターン(以下「LSパターン(c)」という。)が形成された。かかるLSパターン(c)が形成される最適露光量Eop、すなわち感度を求めたところ、32.0(mJ/cm)であった。
[工程(2)]
前記のLSパターン(c)を、前記リソグラフィー用洗浄液(当該洗浄液のpH2.6)を用いて洗浄した。具体的には、パターン全体に向かって、「前記リソグラフィー用洗浄液」を、シリコンウェーハに対して垂直方向からノズルより30秒間吹き付ける(塗出する)ことによって洗浄した。
[工程(3)]
次に、洗浄後のパターンに対して、140℃で60秒間のハードベークを行った。
[工程(4)]
次いで、前記LSパターン(c)が形成された該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物(2−1)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜(パターン反転用膜)を形成した。
次に、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行った。
その結果、第一のレジスト膜に形成された前記LSパターン(c)のライン部分がTMAH水溶液に溶解して除去されると共に、前記LSパターン(c)のスペース部分に、前記パターン反転用膜に由来するラインが形成されることにより、前記LSパターン(c)の反転パターン、すなわちスペース幅約130nm/ピッチ約260nmのスペースアンドラインのレジストパターン(以下「SLパターン」という。)、が形成された。
(実施例2)
実施例1の反転パターン(SLパターン)の形成において、工程(1)で用いたフォトマスク(6%ハーフトーン)を、ライン幅120nm/ピッチ300nmのLSパターンをターゲットとするフォトマスク(6%ハーフトーン)に変更した以外は同様にしてパターン形成を行った。
その結果、第一のレジスト膜に形成されたLSパターンのライン部分がTMAH水溶液に溶解して除去されると共に、当該LSパターンのスペース部分に、パターン反転用膜に由来するラインが形成されることにより、当該LSパターンの反転パターン、すなわちスペース幅約120nm/ピッチ約300nmのSLパターンが形成された。
<実施例3>
表3に示す各成分を混合して溶解し、第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物と、パターン反転用組成物とをそれぞれ調製した。
Figure 2011128610
表3中の各略号は以下の意味を有する。また、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:上記化学式(A1−1)で表される質量平均分子量(Mw)10000、分散度1.60の共重合体。構成単位の割合(モル%)a1:a2:a3=35:45:20。
(A)−4:下記化学式(A1−3)で表される質量平均分子量(Mw)7000、分散度1.60の共重合体。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、a2:a1:a3:a5’=25:45:15:15である。
(A)−5:下記化学式(A”−1)で表される質量平均分子量(Mw)2600、分散度2.00の共重合体。式中、( )の右下の符号は、該符号が付された構成単位の割合(モル%)を示し、a6’:a7’=70:30である。
Figure 2011128610
(B)−5:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(B)−6:下記化学式(B5)で表される化合物からなる酸発生剤。
Figure 2011128610
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−2:PGMEAとPGMEとの混合溶剤(PGMEA:PGME=6:4(質量比))。
(S)−5:1−ブトキシ−2−プロパノール。
(S)−6:4−メチル−2−ペンタノール(メチルイソブチルカルビノール)とジブチルエーテルとの混合溶剤(メチルイソブチルカルビノール:ジブチルエーテル=1:9(質量比))。
(実施例3)
[工程(1)]
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物(1−2)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、120℃で60秒間のPABを行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次に、該レジスト膜に対し、ArF露光装置NSR−S308F(ニコン社製;NA=0.92,Crosspole)により、ライン幅55nm/ピッチ220nmのLSパターンをターゲットとするフォトマスク(6%ハーフトーン)を介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、110℃で60秒間の条件でPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間の条件でアルカリ現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。その後、150℃で60秒間のポストベーク処理をさらに行った。
その結果、前記レジスト膜に、ライン幅55nm、ピッチ220nmの1:3のLSパターン(以下「LSパターン(d1)」という。)が形成された。
前記LSパターン(d1)のスペース部分の前記シリコンウェーハ上に、上記レジスト組成物(1−3)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、120℃で60秒間のPABを行い、乾燥することにより、膜厚約100nmのレジスト膜を形成した。
次に、上記レジスト組成物(1−3)による該膜厚約100nmのレジスト膜に対し、ArF露光装置NSR−S308F(ニコン社製;NA=0.92,Crosspole)により、マスクパターンを介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、90℃で60秒間の条件でPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%TMAH水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間の条件でアルカリ現像した。
その結果、LSパターン(d1)のスペース部分の中央に、新たにライン幅55nmのラインパターン(ライン幅55nm、ピッチ220nmの1:3の第二のLSパターン(d2))が形成され、最初のLSパターン(d1)と第二のLSパターン(d2)とで最終的にライン幅55nm、ピッチ110nmの1:1のLSパターン(d)が形成された。
[工程(2)]
前記のLSパターン(d)を、前記リソグラフィー用洗浄液(当該洗浄液のpH2.6)を用いて洗浄した。具体的には、パターン全体に向かって、「前記リソグラフィー用洗浄液」を、シリコンウェーハに対して垂直方向からノズルより30秒間吹き付ける(塗出する)ことによって洗浄し、振り切り乾燥を行った。
[工程(3)]
次に、洗浄後のパターンに対して、140℃で60秒間のハードベークを行った。
[工程(4)]
次いで、前記LSパターン(d)が形成された該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物(2−2)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のPABを行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜(パターン反転用膜)を形成した。
次に、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて30秒間のアルカリ現像を行った。
その結果、前記LSパターン(d)のライン部分がTMAH水溶液に溶解して除去されると共に、当該LSパターン(d)のスペース部分に、前記パターン反転用膜に由来するラインが形成されることにより、当該LSパターン(d)の反転パターン、すなわちスペース幅約55nm/ピッチ約110nmのSLパターンが形成された。
1…支持体、2…第一のレジスト膜、3…フォトマスク、6…パターン反転用膜

Claims (13)

  1. 支持体上に、第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物を塗布して第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、露光後ベークを行い、アルカリ現像して第一のレジストパターンを形成する工程(1)と、
    前記第一のレジストパターンを、酸性のリソグラフィー用洗浄液を用いて洗浄する工程(2)と、
    前記の洗浄後の第一のレジストパターンをベークする工程(3)と、
    前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布してパターン反転用膜を形成し、アルカリ現像することにより前記第一のレジストパターンを除去してレジストパターンを形成する工程(4)と
    を有することを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記リソグラフィー用洗浄液は、そのpHが4.5以下である請求項1記載のパターン形成方法。
  3. 前記リソグラフィー用洗浄液は、界面活性剤を含有する酸性溶液である請求項1又は2記載のパターン形成方法。
  4. 前記工程(3)におけるベーク温度が100℃以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  5. 前記パターン反転用膜は、前記工程(3)後における第一のレジストパターンよりも低いアルカリ現像溶解性を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  6. 前記第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物が、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)および酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A)を含有するものであり、
    前記パターン反転用組成物が、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B’)および酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A’)を含有するものであり、
    前記基材成分(A’)が、前記基材成分(A)が有する酸解離性溶解抑制基よりも脱保護エネルギーが高い酸解離性溶解抑制基を有するものである請求項1〜5のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  7. 前記第一の化学増幅型ポジ型レジスト組成物が、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)および酸解離性溶解抑制基を有する基材成分(A)を含有するものであり、
    前記パターン反転用組成物が、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B’)および酸解離性溶解抑制基を有さない基材成分(A”)を含有するものである請求項1〜5のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  8. 前記基材成分(A)が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する樹脂成分(A1)を含有する請求項6又は7記載のパターン形成方法。
  9. 前記樹脂成分(A1)が、さらに、−SO−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)、及びラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位を有する請求項8記載のパターン形成方法。
  10. 前記樹脂成分(A1)が、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項8又は9記載のパターン形成方法。
  11. 前記第一のレジスト膜を溶解しない有機溶剤が、アルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤および水酸基を有さないエーテル系有機溶剤からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜10のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  12. 前記第一のレジストパターンが、ラインパターンおよび/またはドットパターンを含む請求項1〜11のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  13. 前記第一のレジストパターンが、化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いたパターニングを2回以上行うことにより形成されたレジストパターンである請求項1〜12のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
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