JP2011128395A - 反射防止フィルムの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成形用スタンパーの少なくとも三辺に当接して該成形用スタンパーを所定位置に載置するためのガイド部材を備えた専用パレットに、成形用スタンパーを載置する工程(A)と、成形用スタンパーの一辺に沿って電離放射線硬化性樹脂を載せる工程(B)と、成形用スタンパー上に基材フィルムを載せる工程(C)と、電離放射線硬化性樹脂上の基材フィルムの上から、押圧部材を押圧しながら移動させ、電離放射線硬化性樹脂を成形用スタンパーからこぼさないで成形用スタンパーの全面に引き延ばす工程(D)と、基材フィルム側から電離放射線を照射して電離放射線硬化性樹脂を硬化する工程(E)と、硬化後の電離放射線硬化性樹脂と基材フィルムとの一体物を成形用スタンパーから引き剥がす工程(F)と、をその順で有する。
【選択図】図1
Description
本発明に係る製造方法及び製造装置で得られる反射防止フィルム10は、図9及び図10に示すように、基材フィルム11と、基材フィルム11上に設けられた電離放射線硬化性樹脂からなる反射防止層12とを少なくとも有する。そして、反射防止層12の表面には、反射防止能をもたらす微細な凹凸構造13が賦形されている。
載置工程(A)は、成形用スタンパー2の少なくとも三辺に当接してその成形用スタンパー2を所定位置に載置するためのガイド部材3を備えた専用パレット1に、成形用スタンパー2を載置する工程であり、載置台8は、この載置工程(A)を行う台である。
樹脂載せ工程(B)は、図4に示すように、成形用スタンパー2の一辺に沿った所定の部位に所定量の電離放射線硬化性樹脂14を載せる工程である。電離放射線硬化性樹脂14を載せる所定の部位とは、図5〜図7に示すように、四辺形の成形用スタンパー2の一辺に沿った所定長さH及び所定幅Wからなる長方形領域である。その長方形領域(H×W)に電離放射線硬化性樹脂14を載せることにより、その後の押圧部材5での引き延ばし時に電離放射線硬化性樹脂14が成形用スタンパー2からこぼれないようにして、成形用スタンパー2の一辺側から他辺側に向かって押圧部材5の一回の引き延ばし移動(ワンパス)で電離放射線硬化性樹脂14を引き延ばすことができる。ここでは、電離放射線硬化性樹脂14を成形用スタンパー2上の所定の長方形領域に載せるので、例えばガイド部材3に載せる従来の場合のようなガイド部材3と成形用スタンパー2との隙間に樹脂が入り込むことが無く、樹脂の飛び散り等の問題を防ぐことができる。なお、成形用スタンパー2の一辺に沿った長方形領域(H×W)に電離放射線硬化性樹脂14を載せない場合は、ワンパスで電離放射線硬化性樹脂14を引き延ばすことができない。
基材フィルム載せ工程(C)は、図4に示すように、成形用スタンパー2上に電離放射線硬化性樹脂14を載せた後に、その成形用スタンパー2上に基材フィルム11を載せる工程である。例えば、基材フィルム11が積層されているスタッカから自動機又は手動で成形用スタンパー2上に供給する方法を挙げることができる。自動機としては、基材フィルム11の上面(基材フィルム11に反射防止層を形成しない非成形面のこと。)を例えば吸引保持して成形用スタンパー2上の所定位置に載せる装置を挙げることができる。基材フィルム11の大きさは、特に限定されないが、通常は、成形用スタンパー2と同じ又は同程度の大きさの枚葉状のフィルムである。
樹脂引き延ばし工程(D)は、図4〜図6に示すように、電離放射線硬化性樹脂14上の基材フィルム11の上から、押圧部材5で基材フィルム11と電離放射線硬化性樹脂14とを押圧しながら移動させ、電離放射線硬化性樹脂14を成形用スタンパー2からこぼさないで成形用スタンパー2の全面に引き延ばす工程である。
硬化工程(E)は、図4に示すように、基材フィルム11側から電離放射線6を照射して電離放射線硬化性樹脂14を硬化する工程である。基材フィルム11は電離放射線を透過するので、基材フィルム11側から電離放射線6が照射される。電離放射線6は、上述したように、紫外線又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線等の荷電粒子線を用いることもできる。電離放射線を照射する電離放射線照射装置7としては市販のものを用いることができるが、専用パレット1の移送方向に直交する方向に配置することにより、移送中にワンパスで硬化処理することができる。通常は、紫外線硬化性樹脂が用いられるので、電離放射線としては、波長365nmの紫外線を紫外線照射装置で照射して紫外線硬化性樹脂を硬化する。
引き剥がし工程(F)は、図4及び図8に示すように、硬化後の電離放射線硬化性樹脂14と基材フィルム11との一体物10’を成形用スタンパー2から引き剥がす工程である。一体物10’の引き剥がしは、図8に示すように、一体物10’のいずすれか一辺を保持して上方に引き上げることにより行う。
こうして引き剥がされた反射防止フィルム10は、その後に必要に応じて各種の工程を経て、製品としての反射防止フィルム10となる。例えば、周縁を切断する切断工程、反射防止層12を保護するための保護フィルム(マスキングフィルム)をその凹凸構造13上に設ける工程等を設けてもよい。
反射防止フィルム10は、上記した本発明に係る製造方法及び製造装置で製造されたものであって、基材フィルム11と、基材フィルム11上に設けられた電離放射線硬化性樹脂からなる反射防止層12とを有している。そして、反射防止層12は、可視光領域の波長より小さい周期Pからなる突起15を有し、その突起15は、その高さhが150nm〜450nmである。
専用パレット1として厚さ15mmのアルミ鋼板を用い、成形用スタンパー2として陽極酸化法で作製した成形用スタンパー2を用い、その成形用スタンパー2の周縁に当接して成形用スタンパー2を専用パレット1上に固定するための4つのガイド部材3を成形用スタンパー2の各辺に対応する位置に接着した。なお、成形用スタンパー2は、純アルミ(純度99.9%)を陽極酸化とエッチングを繰り返したものであり、凹部の周期は約110nm〜130nmの範囲であり、その深さは350nm〜400nmの範囲の、釣鐘状の凹部からなる賦形型23を有するものである。賦形型23を形成した後に、スピンコート法により離型剤(商品名:オプツールHD−1100、ダイキン化成販売株式会社社製)を賦形型表面に塗工して離型処理を施し、室温下にて24時間放置した。その後、余剰の離型剤を除去するために専用希釈剤にてリンスを行い、室温にて乾燥させた。成形用スタンパー2の大きさは、短辺長さL1が420mmで長辺長さL2が530mmで厚さ1.75mmで、その重さは1200gである。ガイド部材3は長方形であり、長辺長さは380mmで短辺長さは50mmで厚さは1.70mmである。
実施例1で用いた専用パレット1、成形用スタンパー2、ガイド部材3を準備し、実施例1と同様にして、専用パレット1に成形用スタンパー2をガイド部材3を用いて載置した。さらに、成形用スタンパー2とガイド部材3との隙間を埋めるために、10mm幅のPTFEテープを用いて成形用スタンパー周縁部とガイド部材端部を張り合わせた。
比較例1において、成形を継続的に実施した結果、テープの粘着成分による目詰まりの発生を確認した。そのため、専用パレット1への成形用スタンパー2の固定は、PTFEテープを用いず、実施例1と同様、専用パレット1上に4つのガイド部材3を接着し、それらのガイド部材3を成形用スタンパー2の周縁に当接して成形用スタンパー2を固定し、それ以外は比較例1と同様にして成形を行った。
実施例1における成形用スタンパーを凹部の深さを520nm〜550nmの範囲にしたものを用いる以外は、実施例1と同様にして成形を行った。一体物を成形用スタンパーより引き剥がそうとしたところ、引き剥がすことができず、成形用スタンパーが専用パレットから浮き、反射防止フィルムを得ることができなかった。
2 成形用スタンパー
3,3’,3” ガイド部材
4 樹脂流下ノズル
5 押圧部材(押圧ロール)
6 電離放射線(UV)
7 電離放射線照射装置(UVランプ)
8 載置台
9 引き剥がし台
10 反射防止フィルム
10’ 一体物
11 基材フィルム
12 反射防止層
13 凹凸構造(モスアイ構造)
14 流下した後の電離放射線硬化性樹脂
15 突起
L2 成形用スタンパーの長辺長さ
H 樹脂を流下する所定部位(長方形領域)の長さ
W 樹脂を流下する所定部位(長方形領域)の幅
a1〜a12 長方形領域の所定長さHを12等分して12領域とした各領域
S1,S2,S3 成形用スタンパーの辺からの距離
P 突起の周期
h 突起の高さ
Claims (9)
- 微細な凹凸構造の反射防止層を有する反射防止フィルムを製造する方法であって、
成形用スタンパーの少なくとも三辺に当接して該成形用スタンパーを所定位置に載置するためのガイド部材を備えた専用パレットに、前記成形用スタンパーを載置する工程(A)と、
前記成形用スタンパーの一辺に沿って電離放射線硬化性樹脂を載せる工程(B)と、
前記成形用スタンパー上に基材フィルムを載せる工程(C)と、
前記電離放射線硬化性樹脂上の基材フィルムの上から、押圧部材を押圧しながら移動させ、前記電離放射線硬化性樹脂を前記成形用スタンパーからこぼさないで該成形用スタンパーの全面に引き延ばす工程(D)と、
前記基材フィルム側から電離放射線を照射して前記電離放射線硬化性樹脂を硬化する工程(E)と、
硬化後の前記電離放射線硬化性樹脂と前記基材フィルムとの一体物を前記成形用スタンパーから引き剥がす工程(F)と、をその順で有することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。 - 前記電離放射線硬化性樹脂を、前記成形用スタンパーの一辺に沿った所定長さH及び所定幅Wからなる長方形領域に載せる、請求項1に記載の反射防止フィルムの製造方法。
- 前記長方形領域の所定長さHを12等分して12領域としたとき、該長方形領域の両端から少なくとも2番目の領域それぞれに載せる電離放射線硬化性樹脂量を、少なくとも中央の4領域それぞれに載せる電離放射線硬化性樹脂量よりも多くする、請求項2に記載の反射防止フィルムの製造方法。
- 前記成形用スタンパーが、可視光領域の波長より小さい周期からなる突起を有し且つ該突起の高さが150nm〜450nmの反射防止層を形成するための賦形型を有し、該成形用スタンパーから前記一体物を引き剥がすときの引き剥がし強度が0.020〜2.0N/25mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
- 製造される反射防止フィルムが、基材フィルムと、該基材フィルム上に設けられた電離放射線硬化性樹脂からなる反射防止層とを有し、前記反射防止層は、可視光領域の波長より小さい周期からなる突起を有し、該突起の高さが150nm〜450nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
- 微細な凹凸構造の反射防止層を有する反射防止フィルムを製造する装置であって、
成形用スタンパーの少なくとも三辺に当接して該成形用スタンパーを所定位置に載置するためのガイド部材を備えた専用パレットに、該成形用スタンパーを載置するための載置台(a)と、
前記成形用スタンパーの一辺に沿って電離放射線硬化性樹脂を載せる樹脂載せ装置(b)と、
前記成形用スタンパー上に基材フィルムを載せる搭載装置(c)と、
前記電離放射線硬化性樹脂上の基材フィルムの上から、押圧部材を押圧しながら移動させ、前記電離放射線硬化性樹脂を前記成形用スタンパーからこぼさないで該成形用スタンパーの全面に引き延ばす樹脂引き延ばし装置(d)と、
前記基材フィルム側から電離放射線を照射して前記電離放射線硬化性樹脂を硬化する硬化装置(e)と、
硬化後の前記電離放射線硬化性樹脂と前記基材フィルムとの一体物を前記成形用スタンパーから引き剥がす引き剥がし台(f)と、
前記成形用スタンパーを載置した専用パレットを前記(a)〜(f)の順で搬送する搬送装置(g)と、を備えたことを特徴とする反射防止フィルムの製造装置。 - 前記樹脂載せ装置において、
前記電離放射線硬化性樹脂を前記成形用スタンパーの一辺に沿った所定長さH及び所定幅Wからなる長方形領域に載せ、
前記電離放射線硬化性樹脂を載せるための樹脂流下ノズルが、前記成形用スタンパーの一辺に沿って等間隔で複数配置された固定型多連ディスペンサノズル、又は、前記成形用スタンパーの一辺に沿って移動する移動型ディスペンサノズルである、請求項6に記載の反射防止フィルムの製造装置。 - 前記樹脂載せ装置において、
前記固定型多連ディスペンサノズル又は前記移動型ディスペンサノズルを制御して、前記長方形領域を長手方向に12等分して12領域としたとき、該長方形領域の両端から少なくとも2番目の領域それぞれに載せる電離放射線硬化性樹脂量を、少なくとも中央の4領域それぞれに載せる電離放射線硬化性樹脂量よりも多くする、請求項7に記載の反射防止フィルムの製造装置。 - 前記成形用スタンパーが、可視光領域の波長より小さい周期からなる突起を有し且つ該突起の高さが150nm〜450nmの反射防止層を形成するための賦形型を有し、該成形用スタンパーから前記一体物を引き剥がすときの引き剥がし強度が0.020〜2.0N/25mmである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造装置。
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