JP2011128018A - 差圧計検査装置およびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上流側気体導出部と検査対象圧力計30に設けられる一方の差圧導入部とを接続する第1接続路と、下流側気体導出部と基準圧力計20に設けられる他方の差圧導入部とを接続する第2接続路との間を、一対の差圧導入部をバイパスして接続するバイパス通路5Bが設けられ、バイパス通路5Bを気体の通流が可能なバイパス状態と気体の通流が制限される検査状態とに切換自在な切換手段5が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、気体供給手段から気体の供給を開始する際に、基準圧力計及び校正対象圧力計に加わる圧力に大きな圧力変動がもたらされることを回避して、基準圧力計及び校正対象圧力計に及ぼす影響をできるだけ低減する点にある。さらに、基準圧力計としてマノメータ等のできるだけ簡便な圧力計を使用できる装置を得ることにある。
前記上流側気体導出部と前記基準圧力計に設けられる一方の差圧導入部とを接続する第1接続路と、前記下流側気体導出部と前記基準圧力計に設けられる他方の差圧導入部とを接続する第2接続路との間を、前記一対の差圧導入部をバイパスして接続するバイパス通路が設けられ、
前記バイパス通路を気体の通流が可能なバイパス状態と気体の通流が制限される検査状態とに切換自在な切換手段が設けられている点にある。
従って、本発明の第1特徴構成によれば、例えば、気体供給手段の供給開始時、或いはゼロ点調整時に、気体供給手段から供給される気体の圧力の変動が基準圧力計又は検査対象圧力計に伝播することによって基準圧力計又は検査対象圧力計の測定値が大きく変動する等の影響を低減することができる。
換言すると、気体供給手段として小型のものを使用できる。
すなわち、基準圧力計を安価なマノメータにて構成することによって、差圧計検査装置の機器コストを低減することが可能となる。
そして、基準圧力計をマノメータにて構成する場合においては特に、上流側気体導出部と前記基準圧力計に設けられる一方の差圧導入部とを接続する第1接続路と、前記下流側気体導出部と前記基準圧力計に設けられる他方の差圧導入部とを接続する第2接続路との間を、前記一対の差圧導入部をバイパスして接続するバイパス通路に気体を通流させることが可能な状態とすることによって、気体供給手段から供給される気体の圧力の変動が構造が簡単なマノメータ内の液に影響するのを避けることができ、マノメータ内の液面が変動し、ゼロ点調整がやりにくい、液が飛び出す等の問題を回避できる。
以下、図面に基づいて本発明の差圧計検査装置Eの実施形態を説明する。
本発明の差圧計検査装置Eは、図1に示すように、ポンプ等により構成される気体供給手段Pから気体の供給を受けて開放端で大気開放する主管路9と、その主管路9を通流する気体の流れに調整された差圧を発生する差圧発生手段1とを備え、差圧発生手段1より上流側の主管路位置に設けられる上流側気体導出部8Uと下流側の主管路位置に設けられる下流側気体導出部8Lとを、夫々、基準圧力計20の一対の差圧導入部20U及び20L、並びに検査対象圧力計30の一対の差圧導入部30U及び30Lに接続可能に構成されている。尚、差圧発生手段1は、ツマミの回動量に比例して気体の通流量を調節できる絞り弁にて構成されている。
又、上流側気体導出部8Uと基準圧力計20に設けられる差圧導入部20Uとを接続する第1接続路3aと、下流側気体導出部8Lと基準圧力計20に設けられる差圧導入部20Lとを接続する第2接続路4aとの間を、前記一対の差圧導入部(20U、20L)をバイパスして接続するバイパス通路5Bが設けられ、このバイパス通路を気体の通流が可能なバイパス状態と気体の通流が制限される検査状態とに切換自在な切換手段5が設けられている。
本発明においては、基準圧力計20はマノメータにて構成されている。このマノメータは、差圧に対応して液面20Sの高さが変位する水柱管20Tと、目盛が記されたゲージ板20Pとを備え、前記ゲージ板20Pが、液面20Sの高さの変位方向である上下方向(図2の上下方向)にスライド自在に構成されている。水柱管20Tは、互いに平行な2つの直管部分と、その2つの直管部分の下側端部同士を接続する曲管部分とによってU字状に形成されたガラス等の透明な管より構成されている。そして、前記2つの直管部分の並び方向に平行な少なくとも一方の壁面が透明板にて構成され、内部を視認可能に形成されたケーシング20Cの内部に、固定する状態で収容されている。このケーシング20Cが、前記水柱管20Tの曲管部分が下方になり且つ直管部分が垂直方向となるように前記設置台座部に固定される。
前記ゲージ板20Pは、ケーシング20Cの前記透明な壁面の外面側に、図示しないガイド部分に嵌めこまれた状態で、スライド移動可能に保持されている。なお、このゲージ板20Pは、スライド移動操作後には、例えばガイド部分とゲージ板20Pとの間の摩擦力等により位置固定状態に保持されることが望ましいが、より確実に位置を固定するために、例えばセロファン粘着テープによる貼付固定や固定ネジによる押圧固定を行うことが考えられる。
次に、本発明の差圧計検査装置Eの使用方法について、作業項目毎に順を追って説明する。
(1)差圧計検査装置の設置作業
以下、本発明の差圧計検査装置Eの設置作業について説明する。
(1−1)収納箱から差圧計検査装置Eを取り出し、水平レベル計を確認しながら設置台座部の四隅に備えられた調整ネジにて差圧計検査装置Eの設置台座部が水平となるように調整する。
(1−2)マノメータを立設した姿勢で、その水柱管20Tに、液面20Sが水柱管20Tの高さの略半分の位置となるように水を注入する。
(1−3)マノメータを設置台座部に固定し、2本のゴム管をマノメータの水柱管20Tの両端部に接続する。又、この2本のゴム管の他端側のうち一方を第1接続路3aに接続し、他方を第2接続路4aに接続する。具体的には、図1におけるバイパス通路5Bより基準圧力計20側に設けられるゴム管接続部3b、4bにそれぞれ接続する。
(1−4)差圧計検査装置Eにおける各弁(差圧発生手段1を構成する絞り弁、通流量調整手段2を構成する絞り弁、基準圧力計閉止弁3及び4、切換手段5、検査対象圧力計閉止弁6及び7)が全て「開」の状態となっていることを確認する。このとき、差圧発生手段1及び通流量調整手段2については、気体の通流量が最大になるように弁の開度を最大にしておく。
(1−5)気体供給手段(ポンプ)Pの電源プラグを電源コンセントに接続する。
次に、検査対象圧力計30の準備手順を説明する。本発明の実施形態では、検査対象の差圧計としてVALIDYNE社のPS309を用いたが、これに限定されるものではない。
まず、検査対象圧力計30の電源をONにし、検査対象圧力計30のゼロ点調整を行う。このゼロ点調整に際しては、VALIDYNE社のPS309型圧力計の一対の圧力導入部を同一圧力として、ゼロ点調整を実行する。このときに該圧力計の表示値がゼロでない場合は、圧力計のゼロ点調整ネジを回して表示値をゼロに調整しておく。
以下、差圧計検査を行うための差圧計検査装置Eの調整について、図3、4に基づいて説明する。尚、図においては、開状態である弁を白抜きにて表し、閉止状態にある弁を塗りつぶしにて表す。又、各管路に沿って描かれる矢印は、その管路中の気体の通流方向を表し、その矢印の大きさが圧力の大きさを表す。ただし、矢印の大きさは理解の促進のために象徴的に表したものであって、その大きさが実際の圧力に正確に比例するものではない。
(3−1)上記(2)にて準備の完了した検査対象差圧計30を、上記(1)にて設置準備の完了した差圧計検査装置EのカプラCに接続する。
(3−2)差圧計検査装置Eの差圧発生手段1が全開であり、且つ、切換手段5が開の状態であることを確認する。
(3−3)気体供給手段(ポンプ)Pの電源をONにし、主管路9中に気体の供給を開始する。
このとき、気体供給手段Pにて加圧されて主管路9に供給された気体は、図3の点線矢印に示すように、全開状態の差圧発生手段1を通流すると共に、主管路9の差圧発生手段1より上流側の主管路位置に設けられた上流側気体導出部8U及び第1接続路3aに供給されることとなる。そして、切換手段5が開状態になっていることにより通流可能なバイパス通路5Bを経由して、第2接続路4a及び下流側気体導出部8Lを通流して主管路9に戻される。つまり、圧力供給装置(ポンプ)Pにて加圧され供給された気体は、バイパス通路5Bを通流して基準圧力計20をバイパスすることとなり、圧力変動が少なくとも基準圧力計20に及ぼす影響を低減することができるものとなる。
(3−4)前記気体供給手段(ポンプ)Pの電源をONにしたまま、前記通流量調整手段2によって前記主管路9を通流する気体の量を調整し、主管路9内の圧力が所定の正値(ゲージ圧)となるようにする。具体的には、主管路圧力計Mの指示圧が0.05MPaとなるように大気開放弁2の開度を調整する。
(3−5)マノメータのゼロ点調整を行う。
この、マノメータのゼロ点調整は、図5(a)及び図5(b)に示すように気体供給手段Pから気体が供給されて主管路9を気体が流れ、上流側気体導出部8Uと下流側気体導出部8Lとの間に差圧が発生している状態で、バイパス通路5Bをバイパス状態として、ゲージ板20Pを水柱管20Tに対して相対スライド移動させ、水柱管20T内に形成される液面20Sの位置にゲージ板20Pのゼロ点目盛位置を合わせることによって行う。ゲージ板20Pには、事前にこの水柱管20Tに0.5kPa、1.0kPa、及び、2.0kPaの各差圧を付与したときに液面20Sが示す高さに対応した目盛が記されており、この液面20Sの高さがゲージ板20Pの夫々の目盛の位置にあるときには、その数値に表される差圧が上流側気体導出部8Uと下流側気体導出部8Lとの間に発生していることになる。このゼロ点調整において、バイパス通路5Bはバイパス状態(開状態)に維持するため、図5に示す液面20Sの左右差は殆ど発生しない。この図では、理解を容易とするため、左右の液面高さを大きく異ならせて示しているが、実際は、両者は近接した位置関係を取る。
(4−1)機器確認表を準備する。
機器確認表は、下記の表1に示すように、横にマノメータのゲージ板20Pの読取値(0kPa、0.5kPa、1.0kPa、2.0kPa)及び判定結果の記入欄が並び、縦にその検査対象圧力計30に対応する検査対象圧力計30の測定値を記入可能なマトリックスとなっている。
尚、本発明に係る主管路圧力計Mの指示値、基準圧力計20の読取値、及び検査対象圧力計30の測定値は、いずれもゲージ圧である。
前記基準圧力計20のゼロ点調整後に、バイパス通路5Bを検査状態(閉状態)とし、差圧発生手段1により発生させる差圧を変化させて、変化させた状態夫々での基準圧力計20の読取値と検査対象圧力計30の測定値とを比較対照して検査対象圧力計30の検査を行う。
すなわち、図4に示すように、切換手段5を閉止すると、差圧発生手段1の上流側、つまり高圧側の圧力が、上流側気体導出部8U及び第1接続路3aから差圧導入部20Uに供給され、且つ、差圧発生手段1の下流側、つまり低圧側の圧力が、下流側気体導出部8L及び第2接続路4aから差圧導入部20Lに供給される。そして、この高圧側の圧力と低圧側の圧力との差圧の大きさに比例して、基準圧力計20の水柱管20T内の水の液面20Sが、高圧側より低圧側に移動することとなる。
この差圧は、上流側気体導出部8Uから分岐している接続路6aと、下流側気体導出部8Lから分岐している接続路7aとの間、すなわち、検査対象圧力計の一対の差圧導入部間にも同様に現れることになる。
すなわち、検査対象圧力計30の計測精度は±0.25%FS(フルスケール)であり、フルスケールは55kPaであるため、計測精度の許容誤差は55kPa×0.0025≒0.14kPaとなる。従って、基準圧力計20の読取値と検査対象圧力計30の計測値との差が±0.14kPaの範囲内であれば合格となる。
この値に従って上記表1を見れば、機器番号(1)及び(2)の圧力計は基準圧力計20の読取値と検査対象圧力計30の計測値との差が±0.14kPaの範囲内に収まっているから合格となる。また、機器番号3の圧力計の計測値は基準圧力計20の読取値の全ての場合において0.00kPaまたは0.01kPaを示しており、この圧力計は故障していると考えられる。さらに、機器番号4の圧力計は、基準圧力計20の読取値が1.0kPa及び2.0kPaの場合において該読取値と検査対象圧力計30の計測値との差が±0.14kPaの範囲内以上であるから、検査に不合格となる。
(イ)上記実施形態では、切換手段5を、バイパス通路5B中を気体が通流可能な状態と遮断する状態とに切り替えられるように構成したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、切換手段5を開度の調整が可能な絞り弁として構成し、バイパス通路5B中を通流可能な気体の量を調整するように構成することも可能である。
2 通流量調整手段
3a 基準圧力計側高圧供給管路(第1接続路)
4a 基準圧力計側低圧供給管路(第2接続路)
5 切換手段
5B バイパス通路
8U 上流側気体導出部
8L 下流側気体導出部
9 主管路
20 基準圧力計
20U 高圧側接続路(差圧導入部)
20L 低圧側接続路(差圧導入部)
30 検査対象圧力計
30U 高圧側接続路(差圧導入部)
30L 低圧側接続路(差圧導入部)
P 気体供給手段
E 差圧計検査装置
Claims (6)
- 気体供給手段から気体の供給を受けて開放端で開放する主管路と、
前記主管路を通流する気体の流れに調整された差圧を発生する差圧発生手段とを備え、
前記差圧発生手段より上流側の主管路位置に設けられる上流側気体導出部と下流側の主管路位置に設けられる下流側気体導出部とを、夫々、基準圧力計の一対の差圧導入部、及び検査対象圧力計の一対の差圧導入部に接続可能に構成された差圧計検査装置であって、
前記上流側気体導出部と前記基準圧力計に設けられる一方の差圧導入部とを接続する第1接続路と、前記下流側気体導出部と前記基準圧力計に設けられる他方の差圧導入部とを接続する第2接続路との間を、前記一対の差圧導入部をバイパスして接続するバイパス通路が設けられ、
前記バイパス通路を気体の通流が可能なバイパス状態と気体の通流が制限される検査状態とに切換自在な切換手段が設けられている差圧計検査装置。 - 前記主管路における、開放端よりも上流側であって且つ前記下流側気体導出部よりも下流側に、気体の通流量を調整する通流量調整手段が設けられている請求項1記載の差圧計検査装置。
- 前記基準圧力計がマノメータにて構成されている請求項1又は2記載の差圧計検査装置。
- 前記マノメータが、差圧に対応して液面の高さが変位する水柱管と、目盛が記されたゲージ板とを備え、
前記ゲージ板が、前記液面の高さの変位方向である上下方向にスライド自在に構成されている請求項3に記載の差圧計検査装置。 - 前記気体供給手段から気体が供給されて前記主管路を気体が流れ、前記上流側気体導出部と前記下流側気体導出部との間に差圧が発生している状態で、
前記バイパス通路を前記バイパス状態として、
前記ゲージ板を前記水柱管に対して相対スライド移動させて、前記水柱管内に形成される液面の位置に前記ゲージ板のゼロ点目盛位置を合わせるゼロ点調整を行う請求項4記載の差圧計検査装置の使用方法。 - 前記基準圧力計の前記ゼロ点調整後に、前記バイパス通路を前記検査状態とし、前記差圧発生手段により発生させる差圧を変化させて、変化させた状態夫々での前記基準圧力計の読取値と前記検査対象圧力計の測定値とを比較対照して前記検査対象圧力計の検査を行う請求項5記載の差圧計検査装置の使用方法。
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