JP2011127692A - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成で被牽引時における引き摺りトルクを抑制することができる駆動力伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動力伝達装置1は、回転軸線Oの回りに回転するハウジング2と、ハウジング2に相対回転可能に配置されたインナシャフト3と、インナシャフト3と一体回転可能かつ回転軸線Oの方向に移動可能な環状のインナクラッチプレート4aと、ハウジング2と一体回転可能かつ回転軸線Oの方向に移動可能な環状のアウタクラッチプレート4bと、アウタクラッチプレート4bの内周側又はインナクラッチプレート4aの外周側に径方向に突出するように配置され、インナクラッチプレート4a及びアウタクラッチプレート4bを互いに離間させる方向の流動圧を潤滑油に付与する圧力付与部20aを有する凸状体20とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、駆動力伝達装置に関し、特に多板式のクラッチプレートを有するクラッチを備えた駆動力伝達装置に関する。
従来の駆動力伝達装置として、例えば四輪駆動車に搭載され、一対の回転部材をクラッチによってトルク伝達可能に連結するとともに、前輪又は後輪の一方が路面に接地した状態で牽引される被牽引時にクラッチの引き摺りトルクを低減するように構成されたものがある(例えば特許文献1参照)。
この駆動力伝達装置は、入力軸と共に回転する有底筒状のフロントハウジングと、このフロントハウジングの軸線上で回転可能な軸状のインナシャフトと、フロントハウジングとインナシャフトとをトルク伝達可能に連結するメインクラッチと、このメインクラッチの軸線に沿って並列するパイロットクラッチと、パイロットクラッチの動作によってフロントハウジングからの回転力をメインクラッチ側への押圧力に変換するカム機構とから構成されている。メインクラッチ,パイロットクラッチ,及びカム機構が収容されるフロントハウジングの収容空間には、潤滑油が充填されている。
カム機構は、パイロットクラッチに連結された第1カム部材と、インナシャフトに相対回転不能かつ軸方向移動可能に連結された第2カム部材とを有し、第1カム部材と第2カム部材との相対回転により軸方向の押圧力を発生させるように構成されている。第2カム部材の外周面及び内周面にはシール部材が設けられ、フロントハウジングの収容空間が、第2カム部材によって、メインクラッチ側の第1クラッチ室とパイロットクラッチ側の第2クラッチ室とに液密に区画されている。
メインクラッチは、インナクラッチプレート及びアウタクラッチプレートからなる湿式の多板クラッチであり、フロントハウジングとインナシャフトとの間に配置されている。そして、メインクラッチは、カム機構の第2カム部材から受ける押圧力によってインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートとを摩擦係合させ、フロントハウジングとインナシャフトとをトルク伝達可能に連結するように構成されている。
フロントハウジングの軸方向の底部には、フロントハウジングとインナシャフトとの差動回転によって作動するポンプ装置が配置されている。このポンプ装置は、被牽引時に潤滑油を第1クラッチ室から第2クラッチ室に圧送する。これにより、第2カム部材が潤滑油の圧力差によってメインクラッチから離れる方向の力を受け、メインクラッチの引き摺りトルクが低減される。
特開2008−14387号公報
しかしながら、特許文献1の駆動力伝達装置では、ポンプ装置等の新たな部品の追加が必要となり、小型化及び低コスト化の面ではなお改良の余地があった。
従って、本発明の目的は、簡素な構成で被牽引時における引き摺りトルクを抑制することができる駆動力伝達装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、潤滑油を収容する収容空間を有し、回転軸線の回りに回転する第1回転部材と、前記第1回転部材に相対回転可能に配置された第2回転部材と、前記第1回転部材の内周に嵌合して前記第1回転部材と一体回転可能かつ前記回転軸線の方向に移動可能な環状の第1クラッチプレートと、前記第1クラッチプレートと摩擦係合可能に配置され、前記第2回転部材の外周に嵌合して前記第2回転部材と一体回転可能かつ前記回転軸線の方向に移動可能な環状の第2クラッチプレートと、前記第1クラッチプレートの摩擦面の内周側又は前記第2クラッチプレートの摩擦面の外周側に径方向に突出するように配置され、前記第1クラッチプレート及び前記第2クラッチプレートを互いに離間させる方向の流動圧を前記潤滑油に付与する圧力付与部を有する凸状体とを備えた駆動力伝達装置を提供する。この構成によれば、潤滑油の流動圧によって第1クラッチプレートと第2クラッチプレートが離間する。
また、前記凸状体は、前記圧力付与部の厚さ方向寸法が周方向中央部側から周方向先端部に向かって漸次小さくなる寸法に設定された板状であるとよい。この構成によれば、潤滑油が回転軸線の方向に流動し、流動圧が発生する。
また、前記凸状体は、前記圧力付与部が前記第1クラッチプレート側又は前記第2クラッチプレート側に開口する凹状の曲面で形成するとよい。この構成によれば、より滑らかに潤滑油が回転軸線の方向に流動する。
本発明によると、簡素な構成で被牽引時における引き摺りトルクを抑制することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置が搭載された車両の概略を説明するために示す平面図。 図2は、本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置の全体を説明するために示す断面図。 図3(a)は本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置におけるインナクラッチプレートを、図3(b)は本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置におけるアウタクラッチプレートをそれぞれ示す側面図。 図4は、図3のA−A断面図。 図5は、本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置の動作を説明するために概略化して示す断面図。 図6は、本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置におけるアウタクラッチプレートの変形例を説明するために示す側面図。 図7(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る駆動力伝達装置における凸状体の変形例を説明するために示す断面図。
[実施の形態]
図1は四輪駆動車の概略を示す。図1に示すように、四輪駆動車101は、駆動力伝達装置1,エンジン102,トランスアクスル103,一対の前輪104及び一対の後輪105を備えている。
駆動力伝達装置1は、四輪駆動車101における前輪側から後輪側に至る駆動力伝達経路に配置され、かつ四輪駆動車101の車体(図示せず)にディファレンシャルキャリア106を介して支持されている。
そして、駆動力伝達装置1は、プロペラシャフト107とドライブピニオンシャフト108とをトルク伝達可能に連結し、この連結状態においてエンジン102の駆動力を後輪105に伝達し得るように構成されている。駆動力伝達装置1の詳細については後述する。
エンジン102は、その駆動力をトランスアクスル103を介してフロントアクスルシャフト109に出力することにより、一対の前輪104を駆動する。
また、エンジン102は、その駆動力をトランスアクスル103を介してプロペラシャフト107,駆動力伝達装置1,ドライブピニオンシャフト108,リヤディファレンシャル110及びリヤアクスルシャフト111に出力することにより、一対の後輪105を駆動する。
〔駆動力伝達装置1の全体構成〕
図2は駆動力伝達装置の全体を示す。図2に示すように、駆動力伝達装置1は、ディファレンシャルキャリア106(図1に示す)に対して相対回転可能な第1回転部材としてのハウジング2と、このハウジング2に相対回転可能な第2回転部材としてのインナシャフト3と、このインナシャフト3とハウジング2との間に介在するメインクラッチ4と、このメインクラッチ4に回転軸線Oに沿って並列するパイロットクラッチ5と、このパイロットクラッチ5の押圧力を発生させる駆動機構6と、この駆動機構6によるパイロットクラッチ5の押圧力の発生によってハウジング2の回転力をメインクラッチ4の押圧力に変換するカム機構7とから大略構成されている。
(ハウジング2の構成)
ハウジング2は、図2に示すように、フロントハウジング8、及びフロントハウジング8に螺着等により一体に回転するように結合されたリヤハウジング9からなり、ディファレンシャルキャリア106(図1に示す)内に回転軸線Oを中心軸線として回転可能に収容されている。ハウジング2には、潤滑油(図示せず)を収容する収容空間2aが設けられている。
フロントハウジング8は、リヤハウジング9側に開口する収容空間8a、及びこの収容空間8aに露出するストレートスプライン嵌合部8bを有し、エンジン102(図1に示す)にトランスアクスル103(図1に示す)及びプロペラシャフト107(図1に示す)を介して連結され、全体が有底円筒部材によって形成されている。そして、フロントハウジング8は、エンジン102の駆動力をプロペラシャフト107から受けてリヤハウジング9と共に回転軸線Oの回りに回転し得るように構成されている。
リヤハウジング9は、第1〜第3ハウジングエレメント10〜12を溶接等により一体に結合してなり、フロントハウジング8の開口内周面に螺着され、かつヨーク13に軸受14を介して回転可能に支持されている。リヤハウジング9には、フロントハウジング8の収容空間8aの開口方向と同一の方向に開口する円環状の収容空間9aが設けられている。ヨーク13は、収容空間9a内でカップリングケースに固定され、段状の円筒部材によって形成されている。
第1ハウジングエレメント10は、リヤハウジング9の内周側に配置され、全体が磁性材料からなる円筒部材によって形成されている。第1ハウジングエレメント10の内周面は、インナシャフト3における小径の円筒部3bの外周面との間にシール部材15が介装されている。
第2ハウジングエレメント11は、リヤハウジング9の外周側に配置され、全体が第1ハウジングエレメント10と同様に磁性材料からなる円筒部材によって形成されている。第2ハウジングエレメント11の外周面は、フロントハウジング8の内周面との間にシール部材16が介装されている。
第3ハウジングエレメント12は、第1ハウジングエレメント10と第2ハウジングエレメンと11との間に介在し、全体がステンレス鋼等の非磁性材料からなるハウジングエレメント連結用の円環状部材によって形成されている。
(インナシャフト3の構成)
インナシャフト3は、図2に示すように、各外径が互いに異なる大小2つの円筒部3a,3b、及びこれら両円筒部3a,3b間に介在する段差部3cを有し、ハウジング2の回転軸線O上に配置され、かつハウジング2に軸受17,18を介して相対回転可能に支持され、全体が円筒部材によって形成されている。
大径の円筒部3aの外周面には、フロントハウジング8の収容空間8aに露出するストレートスプライン嵌合部30aが設けられている。
小径の円筒部3bの内周面には、ドライブピニオンシャフト108(図1に示す)にスプライン嵌合するストレートスプライン嵌合部30bが設けられている。
段差部3cは、インナシャフト3の外部において両円筒部3a,3b間に介在して配置され、全体がカム機構7におけるメインカム7a(後述)に対向する平面で形成されている。
(メインクラッチ4の構成)
メインクラッチ4は、図2に示すように、複数のアウタクラッチプレート4b(第1クラッチプレート)及び複数のインナクラッチプレート4a(第2クラッチプレート)を有する摩擦式の多板クラッチからなり、フロントハウジング8とインナシャフト3との間に配置され、かつ収容空間8aに収容されている。そして、メインクラッチ4は、インナクラッチプレート4a及びアウタクラッチプレート4bのうち互いに隣り合うクラッチプレート同士を摩擦係合させ、またその摩擦係合を解除してハウジング2とインナシャフト3とを断続(トルク伝達)可能に連結するように構成されている。
インナクラッチプレート4a及びアウタクラッチプレート4bは、環状に形成され、その側面40a及び40bを互いに対向させて回転軸線O上に交互に配置されている。
インナクラッチプレート4aは、その内周縁にストレートスプライン嵌合部41aを有し、ストレートスプライン嵌合部41aをストレートスプライン嵌合部30aに嵌合させてインナシャフト3の円筒部3aに一体回転可能かつ回転軸線Oの方向に沿って移動可能に連結されている。
複数のインナクラッチプレート4aのうちパイロットクラッチ側最端部のインナクラッチプレート4aは、メインクラッチ4の入力部として機能し、カム機構7のメインカム7a(後述)からメインクラッチ4側に押圧力を受けると、この押圧方向への移動によって他のインナクラッチプレート4aとアウタクラッチプレート4bとを摩擦係合させるように構成されている。
インナクラッチプレート4aには、その円周方向に沿って並列し、かつ回転軸線O方向に開口する油孔42aが設けられている。
インナクラッチプレート4aの外周面には、放射方向に突出する複数の凸状体20(図2では1個のみ示す)が設けられている。これら複数の凸状体20の詳細については後述する。
アウタクラッチプレート4bは、その外周部にストレートスプライン嵌合部41bを有し、ストレートスプライン嵌合部41bをストレートスプライン嵌合部8bに嵌合させてフロントハウジング8(ハウジング2)に一体回転可能かつ回転軸線Oの方向に沿って移動可能に連結されている。
(パイロットクラッチ5の構成)
パイロットクラッチ5は、図2に示すように、駆動機構6の駆動によるアーマチャ6bの電磁コイル6a側への移動によって互いに摩擦係合可能な円環状の摩擦板からなる複数のインナクラッチプレート5a及び複数のアウタクラッチプレート5bを有し、アーマチャ6bとリヤハウジング9との間に配置され、かつフロントハウジング8の収容空間8aに収容されている。
インナクラッチプレート5a及びアウタクラッチプレート5bは、環状に形成され、その側面50a及び50bを互いに対向させて回転軸線O上に交互に配置されている。
インナクラッチプレート5aは、その内周縁にストレートスプライン嵌合部51aを有し、ストレートスプライン嵌合部51aを後述するパイロットカム7bのストレートスプライン嵌合部70bに嵌合させてパイロットカム7bと相対回転不能かつ軸方向移動可能に連結されている。
アウタクラッチプレート5bは、その外周部にストレートスプライン嵌合部51b,を有し、ストレートスプライン嵌合部51bをストレートスプライン嵌合部8bに嵌合させてフロントハウジング8に相対回転不能かつ軸方向移動可能に連結されている。
(駆動機構6の構成)
駆動機構6は、図2に示すように、電磁コイル6a及びアーマチャ6bを有し、ハウジング2の回転軸線O上に配置されている。そして、駆動機構6は、電磁コイル6aの電磁力の発生によるアーマチャ6bの電磁コイル6a側への移動によってパイロットクラッチ5のインナクラッチプレート5a及びアウタクラッチプレート5bを摩擦係合させるように構成されている。
電磁コイル6aは、リヤハウジング9の収容空間9aに収容され、かつヨーク13に取り付けられている。そして、電磁コイル6aは、図2に破線で示すように、通電によってヨーク13,パイロットクラッチ5,アーマチャ6b及びリヤハウジング9等に跨って磁気回路Gを形成し、アーマチャ6bにリヤハウジング9側への移動力を付与するための電磁力を発生させるように構成されている。
アーマチャ6bは、その外周部に回転軸線Oに沿ったストレートスプライン嵌合部60bを有し、ストレートスプライン嵌合部60bをストレートスプライン嵌合部8bに嵌合させてフロントハウジング8に相対回転不能かつ軸方向移動可能に連結されている。
(カム機構7の構成)
カム機構7は、図2に示すように、インナシャフト3からの回転力を受けて回転する環状のメインカム7a、このメインカム7aにハウジング2の回転軸線Oに沿って並列する環状のパイロットカム7b、及びこのパイロットカム7bとメインカム7aとの間に介在するカムフォロア7cを有し、メインクラッチ4とリヤハウジング9との間に配置され、かつフロントハウジング8の収容空間8aに収容されている。そして、カム機構7は、パイロットクラッチ5のクラッチ動作によってハウジング2からの回転力を受け、メインクラッチ4のクラッチ力となる押圧力に変換するように構成されている。
メインカム7aは、パイロットカム7bの回転によって発生するカム力をカムフォロア7cから受けてメインクラッチ4の複数のインナクラッチプレート4aのうち入力側のインナクラッチプレート4aを押圧するクラッチプレート押圧部70aを有し、カム機構7のメインクラッチ4側に回転軸線Oに沿って移動可能に配置されている。
クラッチプレート押圧部70aには、インナシャフト3のストレートスプライン嵌合部30aに嵌合するストレートスプライン嵌合部700aが設けられている。また、クラッチプレート押圧部70aには、円周方向に沿って並列し、かつ軸線方向両端面に開口する複数の貫通孔701aが設けられている。
パイロットカム7bは、リヤハウジング9の第1ハウジングエレメント10との間に軸受19を介在させ、インナシャフト3に相対回転可能に配置されている。
パイロットカム7bの外周縁には、インナクラッチプレート5aのストレートスプライン嵌合部51aに相対回転不能かつ移動可能に嵌合するストレートスプライン嵌合部70bが設けられている。
メインカム7a及びパイロットカム7bの対向面には、それぞれ周方向に延びる複数のカム溝702a及び702bが形成されている。カム溝702a,702bは、周方向の中央部で軸方向深さが最も深く、端部に向かって浅くなるように形成されている。カムフォロア7cは、カム溝702a,702bの間に配置され、カム溝702a,702の中央部(中立位置)から周方向に転動することでメインカム7aとパイロットカム7bとを離間させ、メインクラッチ4のクラッチ力となる押圧力を発生させる。
(凸状体の構成)
次に、本実施の形態に示す駆動力伝達装置における凸状体につき、図3及び図4を用いて説明する。図3(a)はインナクラッチプレート4aを示し、図3(b)はアウタクラッチプレート4bを示す。図4は凸状体の断面形状を示す。
インナクラッチプレート4aの側面40aには、例えば木材パルプ或いはアラミド繊維等からなる、環状に形成されたシート状の摩擦材43aが貼り付けられている。摩擦材43aの表面は、アウタクラッチプレート4bの側面40bと摩擦係合する摩擦面44aとなる。インナクラッチプレート4aの摩擦材43aの外周側には、インナクラッチプレート4aの径方向に突出するように配置された複数の板状の凸状体20が設けられている。
アウタクラッチプレート4bの側面40bのうち、インナクラッチプレート4aの摩擦面44aに対向する領域が摩擦面44bとなる。側面40bの摩擦面44bの外周側には、駆動力伝達装置1に組み付けられた状態においてインナクラッチプレート4aの凸状体20と軸方向に対向し、凸状体20で発生した流動圧を受ける受面45bが設けられている。
複数の凸状体20(実施の形態では4個)は、図3に示すように、それぞれが周方向の両側に圧力付与部20aを有し、インナクラッチプレート4aの外周面に等間隔をもって一体に形成されている。
圧力付与部20aは、図4に示すように、厚さ方向寸法がインナクラッチプレート4aの周方向の中央部側から先端部に向かって漸次小さくなる寸法に設定されている。
圧力付与部20aには、インナクラッチプレート4aの回転に伴う潤滑油への衝突によってその流れを分岐させる分岐面200a、及びインナクラッチプレート4a,アウタクラッチプレート4bを互いに離間させる方向の流動圧を潤滑油に付与するための複数の圧力付与面201aが設けられている。
分岐面200aは、インナクラッチプレート4aの軸方向から見た場合に、図3に示すように径方向の中央部で窪むように湾曲しており、凸状体20の周方向の幅は、径方向の内側で広く、中央部で狭く、外側で広くなるように形成され、潤滑油がこの中央部に集まるように流動する。また、圧力付与面201aはアウタクラッチプレート4b側に開口する凹状の曲面でそれぞれ形成され、周方向に対する傾斜が分岐面200a側から徐々に大きくなる曲面に沿って潤滑油が流動する。
そして、複数の凸状体20は、インナクラッチプレート4aの回転時に各圧力付与部20aが分岐面200aで潤滑油を分岐させるとともに、圧力付与面201a,201aでインナクラッチプレート4aからアウタクラッチプレート4bを離間させる方向の流動圧を潤滑油に付与するように構成されている。流動圧は、主としてアウタクラッチプレート4bの受面45bに作用する。
〔駆動力伝達装置1の動作〕
次に、本実施の形態に示す駆動力伝達装置の動作につき、図1,図2及び図5を用いて説明する。図5はインナクラッチプレートの回転に伴うアウタクラッチプレートの動作状態を示す。
図1において、四輪駆動車101のエンジン102がトルクを発生すると、その回転駆動力がトランスアクスル103及びプロペラシャフト107を介してハウジング2に伝達され、ハウジング2が回転駆動される。
電磁コイル6aが非通電状態にある場合には、電磁コイル6aを基点とした磁気回路Gが形成されず、パイロットクラッチ5における内外のクラッチプレート同士が摩擦係合することがない。
このため、カム機構7においてメインクラッチ4のクラッチ力となる押圧力が発生せず、メインクラッチ4のインナクラッチプレート4aとアウタクラッチプレート4bとが互いに摩擦係合せず、エンジン102の回転駆動力はハウジング2からインナシャフト3に伝達されない。
一方、電磁コイル6aが通電されると、磁気回路Gが形成され、アーマチャ6bがパイロットクラッチ5における内外のクラッチプレート同士を摩擦係合させる方向に移動する。
このため、アーマチャ6bの移動による押圧によってパイロットクラッチ5のクラッチプレート同士が摩擦係合し、ハウジング2とインナシャフト3の差動回転力がパイロットクラッチ5を介してカム機構7のパイロットカム7bに伝達される。
これに伴い、パイロットカム7bがメインカム7aと相対的に回転し、この回転力がカム機構7において発生するカム作用によってメインクラッチ4のクラッチ力となる押圧力に変換され、この押圧力によってメインクラッチ4における内外のクラッチプレート同士を摩擦係合させる方向にメインカム7aが移動する。
これにより、メインクラッチ4における内外のクラッチプレート同士が摩擦係合し、エンジン102の回転駆動力がハウジング2からインナシャフト3に伝達され、さらにインナシャフト3からドライブピニオンシャフト108を介してリヤディファレンシャル110に伝達される。そして、リヤディファレンシャル110からリヤアクスルシャフト111を介して後輪105に伝達され、後輪105が回転駆動される。
ところで、エンジン102を始動せず、電磁コイル6aが通電されない場合に、パイロットクラッチ5において内外のクラッチプレート同士間に介在する潤滑油の粘性に基づく摩擦係合力に起因して所謂引き摺りトルクが発生することがある。
例えば、四輪駆動車101が後輪105を接地させて一方向(例えば車両前方)に二輪牽引される場合である。この場合、ハウジング2が車体に対して回転せず、インナシャフト3のみが回転する状態となり、インナシャフト3の回転力がカム機構7のメインカム7aに伝達される。
これに伴い、メインカム7aが回転し、これに連れてパイロットカム7bが回転する。パイロットクラッチ5のインナクラッチプレート5aとアウタクラッチプレート5bとの間に介在する潤滑油の粘性に基づく摩擦係合力が大きいと、メインカム7aとパイロットカム7bとが相対回転し、この回転力がカム機構7において発生するカム作用によってメインクラッチ4のクラッチ力となる押圧力に変換され、この押圧力によってメインクラッチ4における内外のクラッチプレート同士を摩擦係合させる方向にメインカム7aが移動する。
これにより、メインクラッチ4のインナクラッチプレート4aとアウタクラッチプレート4bとが押し付けられて摩擦摺動し、引き摺りトルクが発生する。そして、その引き摺りトルクに抗してインナシャフト3が回転すると、摩擦熱によってインナクラッチプレート4a及びアウタクラッチプレート4bが発熱する。この発熱量が大きいと、潤滑油の性能や摩擦材43aの摩擦特性が劣化する虞がある。
この点、本実施の形態においては、二輪被牽引時にハウジング2が非回転状態でインナシャフト3のみが回転すると、図5に示すように、インナクラッチプレート4aの矢印R方向への回転によって潤滑油から凸状体20の圧力付与部20aが圧力a1〜a3を受ける。
圧力付与部20aの分岐面200aが潤滑油から圧力a1を受けると、この圧力a1が軸方向に分岐して潤滑油に流動圧として付与されるため、これら流動圧がインナクラッチプレート4aから離間する方向(矢印b1,b2方向)に沿って軸方向に隣接するアウタクラッチプレート4b,4b側に作用する。
また、圧力付与部20aの圧力付与面201a,201aが潤滑油からそれぞれ圧力a2,a3を受け、これら圧力a2,a3が潤滑油に流動圧として付与されるため、これら流動圧もインナクラッチプレート4aから離間する方向(矢印b1,b2)に沿ってアウタクラッチプレート4b,4b側に作用する。
このため、複数のアウタクラッチプレート4bのうち互いに隣り合う2つのアウタクラッチプレート4b,4bがその間に介在するインナクラッチプレート4aから離間する方向に移動する。
これにより、パイロットクラッチ5において内外のクラッチプレート同士間に介在する潤滑油の粘性に基づく摩擦係合力に起因して引き摺りトルクが発生し、メインカム7aがメインクラッチ4における入力側のインナクラッチプレート4aを押圧しても、この押圧力と反対の方向にアウタクラッチプレート4bがインナクラッチプレート4aから流動圧を受けることになる。従って、インナクラッチプレート4aとアウタクラッチプレート4bとの摩擦摺動による摩擦熱を抑制することができる。
以上、本発明の駆動力伝達装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
(1)上記実施の形態では、ハウジング2がプロペラシャフト107に連結され、インナシャフト3がドライブピニオンシャフト108に連結されている場合について説明したが、これとは逆に、ハウジング2をドライブピニオンシャフト108に連結し、インナシャフト3をプロペラシャフト107するとともに、ハウジング2と一体回転するアウタクラッチプレート4bに複数の凸状体20を設けてもよい。このように形成したアウタクラッチプレート4bの一例を図6に示す。凸状体20の各部の構成及び機能は上記実施の形態と同様であるので、図3に示したものと同一の符号を付してその説明は省略する。
(2)上記実施の形態では、凸状体20の圧力付与部20aが分岐面200a及び圧力付与面201aを有し、圧力付与面201aがアウタクラッチプレート4b側に開口する凹状の曲面でそれぞれ形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図7(a)〜(c)に示すような断面形状をもつ凸状体30〜50でもよい。
図7(a)に示す凸状体30は、圧力付与部30aが分岐面300a及び圧力付与面301aを幅方向両側に有し、圧力付与面301aがアウタクラッチプレート4b側を指向する扁平面でそれぞれ形成されている。
図7(b)に示す凸状体40は、圧力付与部40aが圧力付与面400aを幅方向両側に有し、圧力付与面400aがアウタクラッチプレート4b側を指向する扁平面でそれぞれ形成されている。
図7(c)に示す凸状体50は、圧力付与部50aが分岐面500a及び圧力付与面501aを幅方向片側(クラッチプレートの回転方向前側)に有し、圧力付与面501aがアウタクラッチプレート4b側を指向する扁平面で形成されている。
(3)上記実施の形態では、凸状体20が4個である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば1個,2個あるいは5個以上でもよく、凸状体20が少なくとも1つ設けられていれば、引き摺りトルクによるインナクラッチプレート4a及びアウタクラッチプレート4bの発熱を抑制する効果がある。
(4)上記の実施の形態では、インナクラッチプレート4a又はアウタクラッチプレート5bに一体に凸状体20を形成したが、別体の凸状体20をインナクラッチプレート4a又はアウタクラッチプレート5bと一体回転するように配置してもよい。
1…ディファレンシャルキャリア、2…ハウジング、3…インナシャフト、3a…円筒部、30a…ストレートスプライン嵌合部、3b…円筒部、30b…ストレートスプライン嵌合部、3c…段差面、4…メインクラッチ、4a…インナクラッチプレート、40a…側面、41a…ストレートスプライン嵌合部、42a…油孔、43a…摩擦材、44a…摩擦面、4b…アウタクラッチプレート、40b…側面、41b…ストレートスプライン嵌合部、44b…摩擦面、45b…受面、5…パイロットクラッチ、5a…インナクラッチプレート、50a…軸線方向端面、51a…ストレートスプライン嵌合部、5b…アウタクラッチプレート、50b…軸線方向端面、51b…ストレートスプライン嵌合部、6…駆動機構、6a…電磁コイル、6b…アーマチャ、60b…ストレートスプライン嵌合部、7…カム機構、7a…メインカム、70a…クラッチプレート押圧部、700a…ストレートスプライン嵌合部、701a…貫通孔、702a…カム溝、7b…パイロットカム、70b…ストレートスプライン嵌合部、702b…カム溝、7c…カムフォロア、8…フロントハウジング、8a…収容空間、8b…ストレートスプライン嵌合部、9…リヤハウジング、9a…収容空間、10…第1ハウジングエレメント、11…第2ハウジングエレメント、12…第3ハウジングエレメント、13…ヨーク、14…軸受、15…シール部材、16…シール部材、17〜19…軸受、20,30,40,50…凸状体、20a,30a,40a,50a…圧力付与部、200a,300a,500a…分岐面、201a,301a,400a,501a…圧力付与面、101…四輪駆動車、102…エンジン、103…トランスアクスル、104…前輪、105…後輪、106…ディファレンシャルキャリア、107…プラペラシャフト、108…ドライブピニオンシャフト、109…フロントアクスルシャフト、110…リヤディファレンシャル、111…リヤアクスルシャフト、G…磁気回路、O…回転軸線

Claims (3)

  1. 潤滑油を収容する収容空間を有し、回転軸線の回りに回転する第1回転部材と、
    前記第1回転部材に相対回転可能に配置された第2回転部材と、
    前記第1回転部材の内周に嵌合して前記第1回転部材と一体回転可能かつ前記回転軸線の方向に移動可能な環状の第1クラッチプレートと、
    前記第1クラッチプレートと摩擦係合可能に配置され、前記第2回転部材の外周に嵌合して前記第2回転部材と一体回転可能かつ前記回転軸線の方向に移動可能な環状の第2クラッチプレートと、
    前記第1クラッチプレートの摩擦面の内周側又は前記第2クラッチプレートの摩擦面の外周側に径方向に突出するように配置され、前記第1クラッチプレート及び前記第2クラッチプレートを互いに離間させる方向の流動圧を前記潤滑油に付与する圧力付与部を有する凸状体と
    を備えた駆動力伝達装置。
  2. 前記凸状体は、前記圧力付与部の厚さ方向寸法が周方向中央部側から周方向先端部に向かって漸次小さくなる寸法に設定された板状である請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  3. 前記凸状体は、前記圧力付与部が前記第1クラッチプレート側又は前記第2クラッチプレート側に開口する凹状の曲面で形成されている請求項2に記載の駆動力伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014095499A (ja) * 2012-11-08 2014-05-22 Sharp Corp 断熱箱体およびその製造方法、並びに、それを備えた機器

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