JP2011125945A - ツルーイング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】研削盤の砥石車の研削量の差による凹凸を効率的に平坦化するツルーイング方法を提供する。
【解決手段】ツルーイングロール9は砥石車7の凸部幅より広幅で、ツルーイングロール9と砥石車7を砥石幅方向の相対運動をさせることにより、砥石車7の凸部のみを選択的に除去して効率的に平坦化する。
砥石車7とツルーイングロール9との接触状態を検知するツルーイングモータ動力検知手段331を備え、検知出力に基づきツルーイングの開始と終了を判定し、開始までの迅速な動作と終了後の過剰なツルーイングの防止により、ツルーイング時間の短縮と過剰な砥石消耗を防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、研削盤の砥石車のツルーイング方法に関するものであり、詳しくは回転する砥石車外周のツルーイング対象面をツルアによってツルーイングする砥石車のツルーイング方法に関するものである。
研削後の砥石車の形状乱れを成形するためのツルーイング方法として、ツルーイングロールをトラバース送りして砥石車を成形する従来技術(例えば、特許文献1参照)がある。
図11に示すような幅が異なる複数の被加工部を持つ工作物Wを1枚の砥石車45を用いて研削する場合、プランジ研削とトラバース研削を併用して、できる限り砥石車45の消耗が均一となる研削サイクルを採用するが、砥石車45の幅方向の位置により研削量が異なることを完全に避けることは困難である。このため、研削量の多い研削作用面は研削による磨耗が大きく径の減少が大きくなり、研削量の少ない研削作用面は研削による磨耗が小さく径の減少が小さくなる。結果として、砥石車45の外周面の幅方向に凹凸が生じる。
砥石車45が研削による消耗で所望の研削性能を発揮できなくなった場合に、この凹凸の除去を含む砥石車45の成形が必要となり、ツルーイングが実施される。
特許文献1に記載の従来技術について以下に説明する。
図11に示す研削盤において、砥石車45は、Z軸と平行な回転軸を持つ砥石軸48に装着され、X軸方向に往復可能な砥石台41に保持される。ツルーイング装置47は、砥石車45の回転軸と平行な軸で回転するツルーイングロール46を備え、Z軸方向へ往復可能なテーブル42上に設置された主軸台43に配置される。
ツルーイングは以下のように実施する。
図12において、砥石車45をX軸方向でツルーイングロール46に接近させて砥石車45とツルーイングロール46が接触した状態で、ツルーイングロール46をZ軸方法へトラバースさせ砥石車45から抜けた位置で停止させる。次に、砥石車45をX軸方向でツルーイングロール46に接近する方向へ所定量送りツルーイングロール46を砥石車45に切込む。ツルーイングロール46をZ軸方向で先ほどと反対方向にトラバースさせ砥石車45から抜けた位置で停止させる。さらに、ツルーイングロール46を砥石車45に所定量切込み、ツルーイングロール46をZ軸方向で先ほどと反対方向にトラバースさせ砥石車45から抜けた位置で停止させる。以上の切込みとトラバース送りを繰り返して、砥石車45の外周面の凹凸がなくなった時点でツルーイングを終了する。
ここで、ツルーイングロール46の幅B6はツルーイングロールの低コスト化と、ツルーイング時の法線力を制限して所定の接触面圧を得るため通常5mm以下であり、砥石車の凹凸部の幅B1〜B4は通常5mm〜数十mm程度である。
特開2007−260880号公報
従来技術では、ツルーイングロール46の幅B6が最低凹部の幅B3より狭い場合が多く、この場合には砥石車表面が平坦化されるまでに砥石車の最低凹部が余分に除去され、過剰な砥石消耗とツルーイング時間の増大が避けられなかった。その詳細を以下に説明する。
ツルーイング時に砥石車45が実用的なオーダで除去されるには、所定以上のツルーイングロール46と砥石車45の法線方向の接触力が必要である。その力は砥石車45にツルーイングロール46が切込まれ、砥石車45とツルーイングロール46が相対的に弾性変位することで発生する。このときのツルーイングロール46の切込量をK、砥石除去深さをJ、砥石車45とツルーイングロール46の相対的な弾性変位をDとすると、J=K−Dとなる。切込量Kに対する除去深さJの比率C=J/Kは切込量と系の構造によって異なるが0.3〜0.7程度である。
突出しの大きい凸部から順にツルーイングされ、図13に示すように、凸部と最低凹部の段差Eが切込量Kより小さくなると、ツルーイングロールが凸部と最低凹部の両面に接触する、この状態での段差とツルーイング回数の関係は以下のように表せる。初期段差高さをEとすると、凸部の除去深さはK・C=Jとなり、最低凹部の除去深さは(K−E)・Cとなり、1回のツルーイング後の段差EはE=E−K・C+(K−E)・C=E(1−C)となる。2回目のツルーイング後の段差EはE=E(1−C)=E(1−C)となり、n回後の段差はE=E(1−C)となる。
この間の最低凹部の総除去深さHはH=n・J−E(1−(1−C))となり、これは本来不要な過剰な除去量である。
特許文献1に示す従来技術では、形修正ツルーイングと目立てツルーイングでツルアロールと砥石車の回転速度比率を変えることで、形修正ツルーイング時の切込量Kと除去深さJの比であるCを大きくして、最低凹部の過剰な除去を減少させることが可能である。しかしながら最低凹部の過剰な除去を完全には無くすことができない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、砥石車外周面の凸部を選択的にツルーイングし平坦化した後に全表面をツルーイングすることで、過剰な砥石除去とツルーイング時間の増大が生じないツルーイング方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、研削による消耗量の差により外周面に凹凸が発生した砥石車のツルーイングにおいて、前記砥石車の前記凹凸のうち最も低い凹部を除いた連続する凹凸部の合計幅より広いツルーイング作用面の幅を備えたツルアを用い、前記砥石車の回転軸を含む面内で前記砥石車の研削作用面に沿った相対運動をさせて、少なくとも、前記最も低い凹部に隣接する凸部のツルーイング時には前記ツルアを前記凸部と常に接触させながら前記相対運動をさせ、前記凸部の除去終了時には前記凸部の幅より広い幅で前記ツルアと前記砥石車を接触させることである。
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1に係る発明において、前記砥石車の回転軸を含む断面において前記砥石車の研削作用面の形状が直線で構成され、前記ツルアのツルーイング面が円筒または平面または円錐で、前記ツルアが前記砥石車の研削作用面に沿った併進運動と、前記ツルアを前記砥石車に切込む切込み運動をさせることである。
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1または請求項2に係る発明において、前記砥石車と前記ツルアとの接触状態を検知する接触検知手段を備えたツルーイング装置を用いて、前記接触検知手段の接触状態の検知出力変動と前記ツルアと前記砥石車の相対位置に基づき、前記砥石車のツルーイング終了判定をすることである。
請求項4に係る発明の特徴は、請求項3に係る発明において、前記ツルアを選択された凸部と常に接触させながら前記相対運動をさせ、選択された凸部の除去終了時には選択された凸部の幅より広い幅で前記ツルアと前記砥石車を接触させ、前記ツルーイング終了判定により、次の順番の凸部のツルーイングを開始することである。
請求項1に係る発明によれば、ツルーイング初期にはツルアと砥石車の外周面の凸部が接触しており、最低凹部にツルアが接触することはない。凸部のみが選択的に除去され、全ての凸部が最低凹部と同じ高さに平坦化された後に最低凹部を含む砥石車の全面がツルーイングされる。このため、最低凹部の過剰な除去が防止でき砥石寿命が長くなり、研削加工のコストを低下できる。さらに、効率的に段差除去ができツルーイング時間を短縮できるため、研削加工の効率を向上できる。
請求項2に係る発明によれば、工作物の加工部形状が円筒、円錐及びショルダ付き円筒、ショルダ付き円錐の研削加工における、コスト低下と、効率を向上できる。
請求項3に係る発明によれば、凸部のツルーイングが終了し段差がなくなったことを、ツルアと砥石車の接触幅が広くなることによる接触検知手段の出力変動で判定できるので、当該凸部の除去を終えたと判定した時点で、仕上げツルーイングサイクルを起動してツルーイングを終了する。これにより、余裕を見たツルーイングサイクルが不要となり、砥石の過剰な除去と、無駄な時間をなくしたツルーイングを実現できる。
請求項4に係る発明によれば、ツルアを選択された凸部と常に接触させながら前記相対運動をさせるので、従来技術のようなツルアと砥石車が接触しないで往復運動する無駄な行程がなく、砥石作用面に沿った相対運動中は全て砥石の除去作用があり、全ての凸部を最短時間で除去できる。選択された凸部の除去終了を接触検知手段の出力変動で判定できるので、余分な往復運動をすることなく次の凸部のツルーイングに移行できる。これにより、凸部の最短時間での除去と、余裕を見たツルーイングサイクルの廃止が可能となり、効率の良いツルーイングを実現できる。
本実施形態のツルーイング装置の全体構成を示す概略図である。 図1の側面図である。 本実施形態の砥石車の凹凸幅とツルーイングロールの幅の関係を示す概略図である。 本実施形態のツルーイング動作を示す概略図である。 本実施形態の最大凸部のツルーイング時のツルーイングロールと砥石車の相対位置を示す概略図である。 本実施形態のツルーイングロール位置とツルーイングモータ動力を示すグラフである。 本実施形態の2番目の凸部のツルーイング時のツルーイングロールと砥石車の相対位置を示す概略図である。 本実施形態の3番目の凸部のツルーイング時のツルーイングロールと砥石車の相対位置を示す概略図である。 本実施形態の最低凹部のツルーイング時のツルーイングロールと砥石車の相対位置を示す概略図である。 本実施形態のアンギュラ形研削への適用例を示す概略図である。 従来技術の全体構成を示す概略図である。 従来技術のツルーイング動作を示す概略図である 従来技術のツルーイング時の砥石除去状態を示す概念図である。
以下、本発明のツルーイング方法の実施の形態を説明する。
本実施形態の工作物の研削部の形状が円筒で構成された多段シャフトを研削する円筒研削盤の実施事例に基づき、図1〜図9を参照しつつ説明する。
図1および図2に示すように、研削盤1は、ベッド2を備え、ベッド2上にX軸方向に往復可能な砥石台3と、X軸に直交するZ軸方向に往復可能なテーブル4を備えている。砥石台3は砥石軸8を回転自在に支持し、砥石軸8を回転させる砥石軸回転モータ(図示省略する)を備えており、砥石車7は砥石軸8に着脱自在に装着されて回転駆動される。テーブル4上には、工作物Wの一端を把持して回転自在に支持し主軸モータ(図示省略する)により回転駆動される主軸5と、工作物Wの他端を回転自在に支持する心押し台6を備えており、工作物Wは主軸5と心押し台6により支持されて、研削加工時に回転駆動される。ツルーイングモータ11により回転駆動されるツルーイングロール9を回転自在に支持したツルーイング装置10が、主軸5に付設されている。
この研削盤1は、所定のプログラムを実行することで自動化された研削加工やツルーイングを実行する制御装置30を備えている。制御装置30の機能的構成として、砥石台3の送りを制御するX軸制御手段31、テーブル4の送りを制御するZ軸制御手段32、ツルーイング装置10を制御するツルーイング制御手段33、砥石軸8の回転を制御する砥石軸制御手段34などを具備している。また、ツルーイング制御手段33の内部にはツルーイングモータ11の動力を検知できるツルーイングモータ動力検知手段331を備えている。
上記の研削盤1で工作物Wの複数の被加工部を砥石車7を用いて、プランジ研削とトラバース研削を併用して構成される研削パターンで研削すると、図3または図4に示すように、砥石車7の研削作用面が研削量に応じて損耗し、研削量の差に起因する凹凸部が形成される。この凹凸の高低の順位と砥石幅方向での位置と幅は研削パターンにより決まり、同一パターンの研削サイクルを繰り返す場合一定である。所望の研削性能を維持するためには、凹凸部の除去を含む砥石形状の修正と砥粒の切れ味を再生するためのツルーイングが必要となる。なお、図3、図4では凹凸を誇張して図示してあるが、実際の凹凸量は数μm程度である。
上記のように損耗した砥石車7のツルーイング方法を図3〜図9に基づき説明する。
図3に示すように、砥石車7の最低凹部が砥石車7の端部に位置する場合は、最も低い凹部を除いた連続する凹凸部の合計幅は砥石車7の全幅から最低凹部の幅B3を引いた値B1+B2+B4となる。ツルーイングロール9の幅B5はB1+B2+B4より広く設定されている。図4に示すように、最も低い凹部が端部以外にある場合は、最も低い凹部を除いた連続する凹凸部の合計幅はB1+B2とB4となる。ツルーイングロール9の幅B5はB1+B2またはB4のいずれよりも広く設定されている。
ツルーイング時のツルーイングロールと砥石車の相対運動について、図4に基づき説明する。
ツルーイングロール9をZ軸方向にテーブル4により移動させ、図4に示すように、砥石車7の最初に除去する最大凸部とツルーイングロール9が接触できる位置bへ割出す。ツルーイングロール9と砥石車7を回転させ、砥石車7をX軸方向にツルーイングロール9に接近するように前進させる。砥石車7の凸部とツルーイングロール9が接触したら砥石車7の送りを停止する。このときの砥石車7とツルーイングロール9の接触は、ツルーイングモータ動力検知手段331によりツルーイングモータ11の動力が変動したことにより検知する。
次に、ツルーイングロール9を、砥石車7の凸部に接触した状態でZ軸方向にテーブル4により右進させ、砥石車7とツルーイングロール9の接触が終了する直前の位置cで停止する。ここで、接触が終了する直前の位置とは、ツルーイングロールの進行方向の後部が1mm程度砥石車のツルーイング部と接触する位置である。次に、砥石車7を所定の量X軸方向に前進させることにより、ツルーイングロール9を砥石車7に切込む。ツルーイングロール9を、先程と反対のZ軸方向に、砥石車7の凸部に接触した状態でテーブル4により左進させ、砥石車7とツルーイングロール9の接触が終了する直前の位置aで停止する。さらに、ツルーイングロール9を砥石車7に所定量切込み後に、ツルーイングロール9を位置cまで先程と反対方向に右進させる。図5に示すa〜c間のトラバースと切込みを砥石車7の最大凸部が除去されるまで繰り返す。最大凸部が除去されると2番目の凸部とツルーイングロールが接触するため接触幅が増大する。このときの、ツルーイング位置cにおけるツルーイングモータ11の動力変動をツルーイングモータ動力検知手段331により検知し、最大凸部の除去の終了を判定する。
図6にツルーイングモータ11の動力変動とツルーイングロール9のZ軸方向の位置との関係を示す、実線は凸部を除去中の動力で、破線は凸部の除去が終了して接触幅が増加した時の動力を示す。図中のツルーイングロールZ軸位置のCの位置での動力の大きさにより凸部の除去の終了判断をする。
次に、ツルーイングロール9をaの位置まで左進させ、2番目の凸部のツルーイングを開始する。このときのツルーイング対象の幅は最大凸部の幅B1と初期の2番目の凸部の幅B2の合計となる。ツルーイングロール9を砥石車7に所定の量切込み後に、ツルーイングロール9を、砥石車7の凸部に接触した状態で、ツルーイングロール9と3番目の凸部が接触しない最大右進位置dまで右進させる。次に、ツルーイングロール9を所定の量切込み後に、砥石車7の凸部に接触した状態で、位置aまで先程と反対方向に左進させる。次に、ツルーイングロール9を所定の量切込み後、位置dまで先程と反対方向に右進させる。図7に示すa〜d間のトラバースと切込みを砥石車7の2番目の凸部が除去されるまで繰り返す。この時の、ツルーイングロール9と砥石車7の最大接触幅はB1+B2である。2番目の凸部が除去されると最低凹部とツルーイングロールが接触するため接触幅が増大しツルーイングロール9の幅B5で接触する。このときの、ツルーイングロール9の位置dにおけるツルーイングモータ11の動力変動の検知により2番目の凸部の除去の終了を判定する。
次に、砥石車7をツルーイングロール9が3番目の凸部に当らない余裕を見た位置までX軸方向に後退させる。ツルーイングロール9をZ軸方向に移動させ、3番目の凸部とツルーイングロール9が接触できる位置fへ割出す。砥石車7をX軸方向にツルーイングロール9に接近するように前進させる。3番目の凸部とツルーイングロール9が接触したら砥石車7の送りを停止する。このときの砥石車7とツルーイングロール9の接触は、ツルーイングモータ動力検知手段331によりツルーイングモータ11の動力が変動したことにより検知する。
次に、ツルーイングロール9を、3番目の凸部に接触した状態でZ軸方向に左進させ、3番目の凸部とツルーイングロール9の接触が終了する直前の位置eで停止する。次に、ツルーイングロール9を所定の量切込み後に、先程と反対方向に右進させ、3番目の凸部とツルーイングロール9の接触が終了する直前の位置gで停止する。さらに、ツルーイングロール9を所定の量切込み後に、ツルーイングロール9を、位置eまで先程と反対方向に左進させる。図8に示すe〜g間のトラバースと切込みを砥石車7の3番目の凸部が除去されるまで繰り返す。3番目の凸部が除去されると最低凹部とツルーイングロールが接触するため接触幅が増大する。このときの、ツルーイング位置eにおけるツルーイングモータ11の動力変動の検知により3番目の凸部の除去の終了を判定する。
以上の凸部のツルーイング時は、常に砥石車7の凸部とツルーイングロール9が接触し、ツルーイングロール9と砥石車7の最低凹部の接触は最終トラバースの1回のみである。凸部のみが選択的に除去できるため、最低凹部の過剰な除去が防止でき、凸部の除去時間も短縮できる。
次に、ツルーイングロールをgの位置まで右進し、図9に示す、最低凹部を含む砥石車7のa〜g間の全幅の仕上げツルーイングを開始する。仕上げツルーイングサイクルは、所定のツルーイングロール9の切込後、左進し位置aで停止する、さらに所定のツルーイングロール9の切込後、右進し位置gで停止する、次に切込無しで左進する。上記のような仕上げツルーイングのサイクルが採用されるが、該当の研削に最適な条件で仕上げツルーイングサイクルを決定すればよい。仕上げツルーイングサイクルが終了した時点でツルーイングを終了する。
なお、本実施例ではツルーイングモータ11の動力を検知してツルーイングロール9と砥石車7の接触を検知したが、ツルーイングロール9に加わる抵抗力やアコースティックエミッション(AE)信号などの他の検知手段を用いてもよい。
また、本実施例では砥石車7とツルーイングロール9が円筒形状の場合について説明したが、図10に示すショルダ付き円筒工作物の研削に使用される、アンギュラ形砥石車15にも適用可能である。この場合は、そろばん玉状のツルーイングロール16を用いて、砥石車15のショルダ面のツルーイングはZ軸方向を切込としX軸方向に往復運動し、砥石車15の円筒部加工面のツルーイングはX軸方向を切込としZ軸方向に往復運動させることでツルーイングする。
以上の結果、ツルーイング初期にはツルーイングロール9と砥石車7の外周面の凸部が常に接触しており、最低凹部にツルーイングロール9が接触することはない。凸部のみが選択的に除去され、凸部が最低凹部と同じ高さになった後に最低凹部を含む砥石車7の全面がツルーイングされる。このため、最低凹部の過剰な除去が防止でき砥石寿命が長くなるため、研削加工のコストを低下できる。さらに、効率的に段差除去ができツルーイング時間を短縮できるため、研削加工の効率を向上できる。
凸部とツルーイングロール9の接触をツルーイングモータ11の動力変動で判定できるので、ツルーイングロール9が砥石車7の凸部に接触するまでは高速でツルーイングロール9を砥石車7に接近させ、接触検知後にツルーイングを開始することが可能で、ツルーイング開始までに必要な時間を短縮できる。
ツルーイングロールが選択された凸部に常に接触しながら必要な幅だけ往復しツルーイングするので、従来のように砥石車とツルーイングロールが接触しない無駄な行程を省略できる。
凸部の除去が終了し段差がなくなったことを、ツルーイングロール9と砥石車7の接触幅が広くなることによるモータ動力検知手段331の出力変動で判定できる。凸部の除去を終えたと判定した時点で、次の凸部のツルーイングサイクルまたは仕上げサイクルを起動してツルーイングを終了することができる。
以上より、凹凸のパターンに対応した最短行程でツルーイングでき、さらに、あらかじめ余裕を見たツルーイングサイクルを実施する必要がなくなり、無駄な時間を短縮し、効率的なツルーイングを実現できる。
工作物の加工部形状が円筒、円錐及びショルダ付き円筒、ショルダ付き円錐の研削加工における、コスト低下と、効率向上ができる。
<本実施形態の変形態様>
上記の実施形態では回転式のツルーイングロール9、16を備えた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ツルーイングロール9、16をツルーイングブロックとして静止した状態でツルーイングするツルーイング方法にも適用可能である。
W:工作物 4:テーブル 7、15、45:砥石車 9、16、46:ツルーイングロール 10、47:ツルーイング装置 11:ツルーイングモータ 331:ツルーイングモータ動力検知手段

Claims (4)

  1. 研削による消耗量の差により外周面に凹凸が発生した砥石車のツルーイングにおいて、前記砥石車の前記凹凸のうち最も低い凹部を除いた連続する凹凸部の合計幅より広いツルーイング作用面の幅を備えたツルアを用い、前記砥石車の回転軸を含む面内で前記砥石車の研削作用面に沿った相対運動をさせて、少なくとも、前記最も低い凹部に隣接する凸部のツルーイング時には前記ツルアを前記凸部と常に接触させながら前記相対運動をさせ、前記凸部の除去終了時には前記凸部の幅より広い幅で前記ツルアと前記砥石車を接触させるツルーイング方法。
  2. 前記砥石車の回転軸を含む断面において前記砥石車の研削作用面の形状が直線で構成され、前記ツルアのツルーイング面が円筒または平面または円錐で、前記ツルアが前記砥石車の研削作用面に沿った併進運動と、前記ツルアを前記砥石車に切込む切込み運動をさせる、請求項1記載のツルーイング方法。
  3. 前記砥石車と前記ツルアとの接触状態を検知する接触検知手段を備えたツルーイング装置を用いて、前記接触検知手段の接触状態の検知出力変動と前記ツルアと前記砥石車の相対位置に基づき、前記砥石車のツルーイング終了判定をする、請求項1または請求項2に記載のツルーイング方法。
  4. 前記ツルアを選択された凸部と常に接触させながら前記相対運動をさせ、選択された凸部の除去終了時には選択された凸部の幅より広い幅で前記ツルアと前記砥石車を接触させ、前記ツルーイング終了判定により、次の順番の凸部のツルーイングを開始する請求項3に記載のツルーイング方法。
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