JP2011125281A - 形質転換体の培養方法および異種タンパク質の生産方法 - Google Patents

形質転換体の培養方法および異種タンパク質の生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒト血清トランスフェリンに代表される異種タンパク質を培養液中に高効率に分泌できる形質転換体の培養方法、および該培養方法を用いた異種タンパク質の生産方法の提供を目的とする。
【解決手段】シゾサッカロミセス・ポンベを宿主とし、異種タンパク質構造遺伝子を導入した形質転換体を、カザミノ酸を含む培養液中で培養し、異種タンパク質を該培養液中に分泌させる、形質転換体の培養方法。また、該培養方法により培養した培養液から、前記異種タンパク質を取得する、異種タンパク質の生産方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、形質転換体の培養方法および異種タンパク質の生産方法に関する。
トランスフェリンは、Fe3+イオンと結合するタンパク質の1種であり、類似のタンパク質には、血清トランスフェリン、オボトランスフェリン、ラクトトランスフェリン、メラノトランスフェリンがある。これらのトランスフェリンは、Nローブ(N-lobe)とCローブ(C-lobe)の2つのドメインを有する約80kDaのタンパク質であり、鉄の代謝に深く関わっている。例えば、血清トランスフェリンは体内の鉄輸送に関わっており、ラクトフェリンは多くのほ乳動物の乳汁、涙等の体液中に含まれている。また、オボトランスフェリンは鳥類の卵白に含まれており、メラノトランスフェリンはメラニン細胞の表面に見られる。
トランスフェリンファミリーのうちヒト血清トランスフェリン(hTF)は、679残基のアミノ酸からなり、19個のジスルフィド結合と、Cローブに結合している2つのN結合型糖鎖とを有する。ヒト血清トランスフェリンは、鉄の輸送だけでなく、鉄の触媒活性により生じるフリーラジカルによる損傷に対する防御機構にも関与している。しかし、ヒト血清トランスフェリンは50年以上前に同定されているものの、鉄の輸送および放出に関する機構はいまだ完全には解明されていない。
鉄の輸送等の機構の理解には、トランスフェリンの全長組換えタンパク質の利用が非常に有効である。トランスフェリン生産の最も一般的な方法としては、ハムスター腎臓細胞(BHK細胞)を用いる方法が知られている。しかし、該方法は生産性が低い。これは、トランスフェリンが多くのジスルフィド結合を有しているためであると考えられる。前記方法以外にも多くのトランスフェリン生産方法が示されているが、それらの方法ではグリコシル化された全長トランスフェリンが得られない。例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)は異種遺伝子発現に広く用いられる株であるが、該株からはNローブまたはCローブのいずれかを有する部分トランスフェリンしか分泌されないため、全長トランスフェリンの生産は困難である(非特許文献1)。
一方、異種タンパク質の生産においては、分子遺伝学的および細胞生物学的に最も良く研究されている分裂酵母シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(以下、「S.ポンベ」という。)を用いる方法が知られている。S.ポンベは、出芽酵母であるサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)とは異なり、細胞分裂および転写形態がヒトに近く、人体に悪影響を及ぼす物質を含まない。そのため、S.ポンベを用いた多くの発現系(ヒトアンチスタチン、ヒトパピロマウイルスE7タンパク質、ヒトD2sドーパミンレセプター、ヒト成長ホルモン等。)が開発されている。しかし、S.ポンベを用いる方法では、異種タンパク質の種類によっては分泌量はそれほど多くはない。
Protein Expr. Purif.誌、1996年、第8巻1号、119−125頁
本発明は、ヒト血清トランスフェリンに代表される異種タンパク質を培養液中に高効率に分泌できる形質転換体の培養方法、および該培養方法を用いた異種タンパク質の生産方法の提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]S.ポンベを宿主とし、異種タンパク質構造遺伝子を導入した形質転換体を、カザミノ酸(casamino acids、以下、「CAA」という。)を含む培養液中で培養し、異種タンパク質を該培養液中に分泌させることを特徴とする形質転換体の培養方法。
[2]前記異種タンパク質がヒトトランスフェリンである、前記[1]に記載の形質転換体の培養方法。
[3]前記培養液中のCAAの含有量が、培養液に対して0.05〜20質量%である、前記[1]または[2]に記載の形質転換体の培養方法。
[4]前記培養液にさらにデキストラン硫酸ナトリウムが含まれている、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の形質転換体の培養方法。
[5]前記培養液中のデキストラン硫酸ナトリウムの含有量が、0.001〜1質量%である、前記[4]に記載の形質転換体の培養方法。
[6]前記培養液が、YES(yeast extract medium)培地、YPD(yeast extract-polypeptone-dextrose)培地またはMM(minimum media)培地である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の形質転換体の培養方法。
[7]前記形質転換体が、前記宿主の染色体に、分泌シグナル、プロモーター、異種タンパク質構造遺伝子およびターミネーターを含むベクターを導入して構築された形質転換体である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の形質転換体の培養方法。
[8]S.ポンベを宿主とし、異種タンパク質構造遺伝子を導入した形質転換体を、CAAを含む培養液中で培養し、前記異種タンパク質を培養液中に分泌させた後、該培養液から異種タンパク質を取得することを特徴とする異種タンパク質の生産方法。
[9]異種タンパク質がヒトトランスフェリンである、前記[8]に記載の異種タンパク質の生産方法。
[10]前記形質転換体が、前記宿主の染色体に、分泌シグナル、プロモーター、異種タンパク質構造遺伝子およびターミネーターを含むベクターを導入して構築された形質転換体である、前記[8]または[9]に記載の異種タンパク質の生産方法。
本発明の形質転換体の培養方法によれば、培養により産生したヒト血清トランスフェリン等の異種タンパク質が培養液中に高効率に分泌される。
また、本発明の異種タンパク質の生産方法によれば、前記培養方法により、培養液中に異種タンパク質が高効率に分泌されるため、目的の異種タンパク質を簡便に生産できる。
本実施例で用いたhTF発現ベクターの構成図である。 本実施例で用いたm−hTF発現ベクターの構成図である。 例4におけるhTF分泌量のウエスタンブロット法による解析写真である。 例5におけるhTF分泌量のウエスタンブロット法による解析写真である。 例6におけるhTF分泌量のウエスタンブロット法による解析写真である。 図5のhTFバンドから各レーンのhTF分泌量を定量したグラフである。 例7における形質転換体の量の経時変化を示したグラフである。 例8におけるhTFのmRNA転写量のノーザンブロット法による解析写真である。 例9におけるhTF分泌量のウエスタンブロット法による解析写真である。 図9のhTFバンドから各レーンのhTF分泌量を定量したグラフである。
<形質転換体の培養方法>
本発明の形質転換体の培養方法は、S.ポンベを宿主とし、異種タンパク質構造遺伝子を導入した形質転換体を、CAAを含む培養液中で培養し、異種タンパク質を該培養液中に分泌させる方法である。該培養方法によれば、形質転換体で産生した異種タンパク質が培養液中に高効率に分泌される。
本発明における「異種タンパク質構造遺伝子」とは、異種タンパク質をコードする遺伝子を意味する。また、本発明において「異種タンパク質」とは、宿主であるS.ポンベが本来産生しない(野生型のS.ポンベがそのタンパク質をコードする遺伝子を有さない。)タンパク質を意味する。
(宿主)
本発明における宿主は、本発明における形質転換体を製造するための宿主であり、S.ポンベからなる。
本発明に用いるS.ポンベは、野生型であってもよく、必要に応じて特定の遺伝子を欠失または失活させた変異型であってもよい。特定の遺伝子を欠失または失活させる方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、Latour法(Nucreic Acids Res.誌、2006年、第34巻2号、e11頁;国際公開第2007/063919号パンフレット等に記載)を用いることにより遺伝子を欠失させることができる。また、変異剤を用いた突然変異分離法(酵母分子遺伝学実験法、1996年、学会出版センター)や、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を利用したランダム変異法(ピーシーアール・メソッズ・アプリケーション(PCR Methods Appl.)、1992年、第2巻、28−33頁。)等により遺伝子の一部に変異を導入することにより該遺伝子を失活させてもよい。特定遺伝子を欠失または失活させたS.ポンベ宿主としては、例えば、国際公開第2002/101038号パンフレット、国際公開第2007/015470号パンフレット等に記載されている。
特定の遺伝子を欠失または失活させた変異型のS.ポンベとしては、8つのプロテアーゼ遺伝子を欠失させたA8株(遺伝子型:h leu1−32 ura4−C190T、△psp3、△isp6、△oma1、△ppp16、△fma2、△sxa2、△atg4、△ppp20、Applied Microbiology and Biotechnology誌、2009年8月11日オンライン公開、http://www.springerlink.com/content/7414l6q51803m344/)が好ましい。A8株は、8つのプロテアーゼが欠失していることで、産生した異種タンパク質の分解が低減されるため、異種タンパク質の生産性が向上する。
また、S.ポンベとしては、形質転換体を選択するためのマーカーを有するものを用いることが好ましい。例えば、ある遺伝子が欠落していることにより特定の栄養成分が生育に必須であるS.ポンベを使用することが好ましい。形質転換体を製造する際のベクターにこの欠落している遺伝子(栄養要求性相補マーカー)を組み込んでおくことにより、該形質転換体は宿主の栄養要求性が消失する。この宿主と形質転換体の栄養要求性の相違により、両者を区別して形質転換体を得ることができる。
例えば、イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(leu1遺伝子)が欠失または失活してロイシン要求性となっているS.ポンベを宿主とし、leu1遺伝子(栄養要求性相補マーカー)を有するベクターにより形質転換した後、ロイシン要求性が消失したものを選択することにより、ベクターが組み込まれた形質転換体を得ることができる。宿主において欠落により栄養要求性となる遺伝子は、形質転換体の選択に用いられるものであればleu1遺伝子には限定されず、オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(ura4遺伝子)等であってもよい。
[形質転換体]
本発明における形質転換体は、宿主であるS.ポンベに、異種タンパク質構造遺伝子を有するベクターが導入されることで形質転換したものである。
該ベクターとしては、例えば、異種タンパク質構造遺伝子と、前記異種タンパク質構造遺伝子の5’末端側に配置された、S.ポンベ内で機能する分泌シグナル遺伝子とを含む発現カセットを含むベクターが挙げられる。本発明における発現カセットとは、異種タンパク質構造遺伝子がコードする異種タンパク質を発現させ、培養液中に分泌させるために必要なDNAの組み合わせであり、分泌シグナル遺伝子、異種タンパク質構造遺伝子、S.ポンベ内で機能するプロモーターおよびターミネーターを含むものである。発現カセットには、さらに、5’−非翻訳領域、3’−非翻訳領域のいずれか1つ以上が含まれていてもよい。
プロモーターとターミネーターは、宿主であるS.ポンベ内で機能して異種タンパク質を発現できるものであればよい。S.ポンベ内で機能するプロモーターとしては、S.ポンベが本来有するプロモーター(転写開始活性が高いものが好ましい。)であってもよく、S.ポンベが本来有しないプロモーター(ウイルス由来のプロモーター等。)であってもよい。プロモーターは、同一ベクター内に2種以上存在していてもよい。
S.ポンベが本来有するプロモーターとしては、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター、チアミンの代謝に関与するnmt1遺伝子プロモーター、グルコースの代謝に関与するフルクトース−1、6−ビスホスファターゼ遺伝子プロモーター、カタボライト抑制に関与するインベルターゼ遺伝子のプロモーター(国際公開第99/23223号パンフレット参照)、熱ショックタンパク質遺伝子プロモーター(国際公開第2007/26617号パンフレット参照)等が挙げられる。
S.ポンベが本来有しないプロモーターとしては、例えば、特開平5−15380号公報、特開平7−163373号公報、特開平10−234375号公報に記載されている動物細胞ウイルス由来のプロモーターが挙げられ、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター、SV40プロモーターが好ましく、ヒトサイトメガロウイルスプロモーターが特に好ましい。
S.ポンベ内で機能するターミネーターとしては、S.ポンベが本来有するターミネーターであってもよく、S.ポンベが本来有しないターミネーターであってもよい。ターミネーターは、同一ベクター内に2種以上存在していてもよい。
ターミネーターとしては、例えば、特開平5−15380号公報、特開平7−163373号公報、特開平10−234375号公報に記載されているヒト由来のターミネーターが挙げられ、ヒトリポコルチンI(LPI)ターミネーターが好ましい。
分泌シグナル遺伝子は、発現した異種タンパク質を宿主細胞外に分泌させる機能を有する分泌シグナルをコードする遺伝子である。分泌シグナル遺伝子が結合した異種タンパク質構造遺伝子からN末端側に分泌シグナルが結合した異種タンパク質が発現する。該タンパク質は、宿主内の小胞体やゴルジ装置等で分泌シグナルが削除され、その後分泌シグナルが削除された異種タンパク質が細胞外に分泌される。本発明における分泌シグナル遺伝子(および分泌シグナル)はS.ポンベ内で機能することが必要である。S.ポンベ内で機能する分泌シグナル遺伝子としては、例えば、国際公開第1996/23890号パンフレットに記載のものが使用できる。具体的には、例えば、P3分泌シグナル(34アミノ酸残基)をコードするP3分泌シグナル遺伝子等が挙げられる。
異種タンパク質構造遺伝子とは、異種タンパク質をコードする遺伝子である。異種タンパク質は、特に限定されないが、トランスフェリンが好ましく、ヒト血清トランスフェリン(以下、「hTF」という。)が特に好ましい。
ベクター中の発現カセットの数は、1個のみであってもよく、2個以上であってもよい。ベクター中の発現カセットの数が2個以上であれば、S.ポンベの染色体の同一箇所に複数の発現カセットが連続して組み込まれる。
本発明におけるベクターは、発現カセットを1〜16個有することが好ましく、2〜8個有することがより好ましい。
発現カセットの数が1個以上であれば、S.ポンベの染色体に組み込まれる発現カセットの数が増加し、異種タンパク質の発現量が増加する。発現カセットの数が16個以下であれば、ベクターが大きくなりすぎることでベクターの組み込み効率が低下することを抑制しやすい。発現カセットの数が4個以下であれば、ベクターの組み込み効率を高くしやすい。
また、1つの発現カセット内に複数の異種タンパク質構造遺伝子が配置されているベクターを用いてもよい。
また、本発明におけるベクターは、前述したように、選択マーカーを含むことが好ましい。例えば、宿主の栄養要求性に応じて前記栄養要求性相補マーカーを組み込んだベクターを使用することが好ましい。
また、本発明においては、異種タンパク質の生産性の点から、プロモーター、分泌シグナル遺伝子、異種タンパク質構造遺伝子およびターミネーターを含む染色体組込型ベクターを用いて、宿主であるS.ポンベの染色体にそれらを組み込むことが好ましい。該方法は、異種タンパク質を分裂酵母で高効率かつ安定に発現させるのに効果的である(Biothechnol. Bioeng.誌、2002年、第80巻1号、22−32頁;J. Biosci. Bioeng.誌、2004年、第98巻5号、366−373頁;Yeast誌、第23巻2号、83−99頁;Appl. Microbiol. Biotechnol.誌、2006年、第73巻2号、404−420頁参照)。
染色体組込型ベクターとしては、例えば、発現カセットが2つの組換え部位で挟み込まれているものが挙げられる。前記組換え部位とは、S.ポンベの染色体における相同組換えの標的部位に対して相同組換えを行わせることのできる塩基配列を有する部位である。また、標的部位とは、S.ポンベの染色体内で発現カセットを組み込む標的となる部位である。標的部位は、ベクターの組換え部位を該標的部位に対して相同組換えを行わせる塩基配列とすることにより自由に設定することができる。
染色体組込型ベクターの具体例としては、例えば、2つのleu1遺伝子の間に、プロモーター、分泌シグナル遺伝子、異種タンパク質構造遺伝子およびターミネーター含む発現カセットが挿入されたベクターが挙げられる。該染色体組込型ベクターを用いることにより、S.ポンベの染色体のleu1遺伝子座に、発現カセットを直接組み込むことができる。
本発明におけるベクターは、環状DNA構造または線状DNA構造を有するベクターであり、S.ポンベの細胞に導入する際には線状のDNA構造で導入することが好ましい。すなわち、通常用いられるプラスミドDNAのような環状DNA構造を有するベクターである場合には、制限酵素でベクターを線状に切り開いた後にS.ポンベの細胞に導入することが好ましい。
ベクターは、両端それぞれに組換え部位の一部が存在するような線状DNA構造とすることができれば、環状DNA構造を有するベクターを切り開く方法以外の方法、例えばPCRによる酵素的な増幅法や化学合成法等で構築してもよい。
本発明におけるベクターを構築するためには、例えば、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19等の大腸菌由来のプラスミドを好適に用いることができる。大腸菌由来のプラスミドを用いて構築したベクターは、通常、大腸菌内での複製のために必要な「ori」と呼ばれる複製開始領域を有する。また、前述のような大腸菌由来のプラスミドを用いない場合であっても、本発明におけるベクターを構築し増幅するために大腸菌を使用する場合は前記「ori」が利用されるため、「ori」を有するベクターが得られる。
この場合、相同組換えに用いる際のベクターは、大腸菌内での複製のために必要であった「ori」と呼ばれる複製開始領域が除去されていることが好ましい。これにより、前述したベクターを染色体に組み込む際に、その組み込み効率を向上させることができる(特開2000−262284号公報参照)。
複製開始領域が除去されたベクターの構築方法は特に限定されないが、発現カセットがない側の2つの組換え部位の間に複製開始領域が挿入された前駆体ベクターを構築しておき、前述のように線状DNA構造とすると同時に複製開始領域が切り出されるようにする方法が好ましい。これにより、簡便に複製開始領域が除去されたベクターを得ることができる。
また、特開平5−15380号公報、特開平7−163373号公報、国際公開第96/23890号パンフレット、特開平10−234375号公報等に記載された発現ベクターやその構築方法を適用して、発現カセットおよび組換え部位(例えば、前述の2つのleu1遺伝子。)を有する前駆体ベクターを構築し、さらに通常の遺伝子工学的手法で該前駆体ベクターから複製開始領域を除去して染色体組込型ベクターを得る方法であってもよい。
本発明におけるS.ポンベの形質転換方法は、特に限定されず、Okazaki等のリチウム酢酸を用いた形質転換法(Nucleic Acids Res.誌、1990年、18巻22号、6485−6489頁)、特開2000−262284号公報に記載の形質転換法等の公知の方法が使用できる。
[培養液]
培養液としては、公知の酵母培養培地を用いることができ、S.ポンベが資化しうる炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、S.ポンベの培養を効率良く行えるものであればよい。培養液としては、天然培地を用いてもよく、合成培地を用いてもよい。
炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、スクロース等の糖が挙げられる。
窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機酸または無機酸のアンモニウム塩、ペプトンが挙げられる。
無機塩類としては、例えば、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウムが挙げられる。
培養液の具体例としては、例えば、YES(yeast extract medium)培地、MM(minimum media)培地、YPD(yeast extract-polypeptone-dextrose)培地等が挙げられる。なかでも、異種タンパク質の分泌量が多く生産性に優れる点から、MM培地、YPD培地が好ましく、コスト面からMM培地が特に好ましい。
本発明における培養液は、CAAを含有している。培養液にCAAが含まれていることにより、培養液中に分泌される異種タンパク質の量が増加する。
培養液中のCAAの含有量は、培養液に対して、0.05〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。CAAの含有量が培養液に対して0.05質量%以上であれば、異種タンパク質の分泌量が向上する。CAAの含有量が培養液に対して20質量%以下であれば、培養液に容易に溶解できる。
また、本発明の培養液には、CAAに加えて、他の添加剤が含有されていてもよい。他の添加剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤であるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)、デオキシコール酸;ノニオン性界面活性剤であるTritonX−100;ポリエチレングリコール(PEG8000等。)等が挙げられる。これらの添加剤を加えることにより、異種タンパク質の分泌量がさらに増加する。なかでも、生分解性かつ生体適合性のポリマーであり、医薬品でも広く応用されているDSSが好ましい。DSSは、例えば、抗アテローム硬化症薬(Atherosclerosis誌、1978年、第31巻2号、217−229頁参照)、遺伝子伝達システム(Eur. J. Pharm. Sci.誌、2003年、第19巻4号、191−202頁;Int. J. Pharm.誌、2006年、第320巻1−2号、143−149頁)にも応用されている。
培養液中のDSSの含有量は、0.001〜1質量%が好ましく、0.01〜0.1質量%がより好ましい。DSSの含有量が0.001〜1質量%であれば、DSSによる効果が充分に得られやすい。
培養方法は、公知の酵母培養方法を用いることができ、例えば振とう培養、攪拌培養等が使用できる。
培養温度は、23〜37℃が好ましい。また、培養時間は適宜決定できる。また、培養は、回分培養であってもよく、連続培養であってもよい。
<異種タンパク質の生産方法>
本発明の異種タンパク質の生産方法は、前述した形質転換体の培養方法を利用することで、目的の異種タンパク質を生産する方法である。すなわち、S.ポンベを宿主とし、異種タンパク質構造遺伝子を導入した形質転換体を、CAAを含む培養液中で培養し、異種タンパク質を培養液中に分泌させた後、該培養液から前記異種タンパク質を取得する方法である。
形質転換体の培養方法については、前述のとおりである。
培養液から異種タンパク質の取得は、公知のタンパク質取得方法を用いることができる。例えば、遠心分離等により培養液から菌体(形質転換体)を分離し、公知のタンパク質精製方法を行うことで異種タンパク質を取得できる。
本発明の異種タンパク質の生産方法では、目的の異種タンパク質が高効率で培養液中に分泌されてくるため、形質転換体を破砕する工程を経なくても、高い生産性で目的の異種タンパク質を生産できる。
また、本発明の異種タンパク質の生産方法は、連続培養により形質転換体を培養することで、効率良く異種タンパク質を取得することができる。例えば、一定時間培養した培養液から異種タンパク質を取得すると共に培養上清を回収し、該培養上清に再び培養液を加えて培養することを繰り返し、形質転換体を連続的に培養する方法が挙げられる。
以上説明した本発明の形質転換体の培養方法、および異種タンパク質の生産方法では、CAAを含む培養液を用いて培養を行うことで、培養液中に産生した異種タンパク質が高効率に分泌されるため、目的の異種タンパク質を簡便かつ高い生産性で生産できる。また、DSS等の他の添加剤を加えれば、異種タンパク質の分泌量がさらに増加するため、より高い生産性が達成される。
CAAの添加により異種タンパク質の分泌量が増加する機構については明らかではないが、アニオン性界面活性剤であるDSS、デオキシコール酸等の添加による異種タンパク質の分泌量の増加は、分泌小胞のエキソサイトーシスを含む分泌機構の効率を向上させているものと思われる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[S.ポンベ]
本実施例では、S.ポンベとしてウラシル要求性株(ARC039、遺伝子型:h leu1−32 ura4−C190T)、および、8つのプロテアーゼ遺伝子を欠失させたA8株(遺伝子型:h leu1−32 ura4−C190T、△psp3、△isp6、△oma1、△ppp16、△fma2、△sxa2、△atg4、△ppp20)を用いた。前記A8株は、ヒト成長ホルモン(hGH)のタンパク質分解の効率が最低であるA7−3株(遺伝子型:h leu1−32 ura4−C190T、△psp3、△isp6、△oma1、△ppp16、△fma2、△sxa2、△atg4、Applied Microbiology and Biotechnology誌、2006年、第73巻2号、404−420頁参照)由来であり、ura4遺伝子カセットを用いた標的オープンリーディングフレーム(ORF)の遺伝子置換によりあらかじめ構築された株である。
[培地]
培養に用いた培地を以下に示す。
(1)YES(Yeast extract)培地:0.5%バクトイーストエキス(Becton Dichinson(BD)社製、米国)、3%グルコース、SPサプリメント(Qbiogene社製、加国)。
(2)YPD(yeast extract-polypeptone-dextrose)培地:1%バクトイーストエキス(BD社製、米国)、2%バクトペプトン(BD社製、米国)、2%グルコース。
(3)MM培地(最少培地、1,000mL):KHPO(3g)、NaHPO(2.2g)、NHCl(5g)、グルコース(20g)、MgCl・6HO(1.05g)、CaCl(11mg)、KCl(1g)、NaSO(40mg)、パントテン酸(1mg)、ニコチン酸(10mg)、イノシトール(10mg)、ビオチン(10μg)、ホウ酸(0.5mg)、MnSO(0.4mg)、ZnSO・7HO(0.4mg)、FeCl・6HO(0.2mg)、HMoO(0.04mg)、KI(0.1mg)、CuSO・5HO(0.04mg)、クエン酸(1mg)、アデニン(75mg)、ヒスチジン(75mg)、リシン(75mg)。
前記各培地には、栄養要求性を満たすために、必要に応じて培地1000mLに対してウラシル(37.5mg)またはロイシン(75mg)を添加した。
[形質転換体の培養条件]
形質転換体の培養は、前記YES、YPD、MM培地ならびにMM培地に寒天を含む最少培地(MMA)を用いて30℃で行った。
また、プラスミドベクターの調製には、大腸菌DH10B株(Invitrogen社製)を用いた。
[ウエスタンブロット法による解析]
形質転換体の培養液の上澄を、同量のアセトンに加え、一晩インキュベートした後、10,000×gで10分間遠心分離を行い、上澄を除いて乾燥し、濃縮した抽出物を得た。該抽出物は、ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)のサンプルバッファー500μLに溶解し、80℃で5分間インキュベートした。その後、20μLのサンプルを、5〜20%の濃度勾配を有するSDS−PAGEゲルにて電気泳動し、PVDF膜(Bio-Rad Laboratories社製、米国)にブロットした。一次抗体としては、1:500に希釈したマウスポリクローナル抗hTF抗体(cederlane Lab.社製)を用い、二次抗体としては、1:3,000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウスIgG抗血清(GE healthcare, Piscataway社製、米国)を用いた。ブロットしたPVDF膜に対し、吸引式免疫反応システム(SNAP i.d.、Millipore社製)を用いて免疫検出解析を行った。該免疫検出解析には、血中から精製したhTF(Apo)(アポタンパク質、和光純薬社製)を標準マーカーとして用いた。また、該免疫検出解析におけるhTFバンド(hTFに特異的なシグナル)は、高感度化学発光(ECL-plus、GE healthcare社製、米国)により可視化し、LAS4000イメージングシステム(富士フィルム社製)で検出した。検出したhTFバンドは、マルチゲージイメージアナライザー(富士フィルム社製)を用いて定量化した。
[RNAの精製およびノーザンブロット法]
RNeasyキット(Qiagen社製)用いて、酵母から全RNAを単離し、得られたRNAをホルムアルデヒドゲルで電気泳動し、ついでポール・バイオダイン転写膜(ポール社製、米国)にブロットした。プレハイブリダイゼーションとハイブリダイゼーションは、検出キット(AlkPhos Direct kit、GE healthcare社製、米国)を用いて、Cooper等の方法(Nature誌、1997年、第385巻6618号、744−747頁)により行った。転写物はCDP−star検出試薬(GE healthcare社製、米国)を用いて可視化し、LAS4000イメージングシステムで検出した。
[例1]
<hTF発現ベクターの構築>
Isoai等の方法(Biotechnol. Bioeng.誌、2002年、80巻1号、22−32頁参照)により、D−アミノ酸オキシダーゼ発現ベクターを基礎にして、hTFの分泌発現に用いる染色体組込型のhTF発現ベクター(マルチカセットベクター、pTL2OSTFN−CF−4XL、図1)を構築した。該hTF発現ベクターには、2つのleu1遺伝子断片の間に、強力なプロモーターであるヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーターと、該プロモーターの下流に配置されたhTF遺伝子とを含むhTF発現カセットが4つ連続して配置されている。該hTF発現ベクターを用いることにより、S.ポンベの染色体のleu1遺伝子座に前記4つのhTF発現カセットを直接組み込むことができる。
pTL2OSTFN−CF−4XLの構築手順は、以下のとおりである。
図1に示すように、FLAGエピトープをコードするタグ配列を含むhTF遺伝子のORF(2097塩基対)を合成した(GeneArt社(独国)に委託)。なお、前記合成断片におけるコドンは、S.ポンベの3つの高発現遺伝子(adh1遺伝子、tpi1遺伝子、gdp1遺伝子)から得られる高バイアスのコドン表に照らして変換した。次に、前記合成断片を、hCMVプロモーターとヒトリポコルチンI(LPI)ターミネーターの間に挿入した遺伝子断片を作製し、該遺伝子断片を組込型ベクターpXL1のマルチクローニングサイト(MCS)に挿入してベクターpTL2OSTFN−CFを構築した。
次に、pTL2OSTFN−CFを制限酵素PvuI−NheIにより切断したhTF発現カセットを含む断片と、pTL2OSTFN−CFをPvuI−SpeIにより切断したhTF発現カセットを含む断片とを連結し、hTF発現カセットが2つ連続して配置されたpTL2OSTFN−CF−2XLを構築した。次に、前記と同様に、pTL2OSTFN−CF−2XLの2つのhTF発現カセットを含むPvuI−NheI断片と、2つのhTF発現カセットを含むPvuI−SpeI断片を連結することにより、染色体組込型のhTF発現ベクターである、hTF発現カセットが4つ連続して配置されたpTL2OSTFN−CF−4XLを構築した。
前記hTF発現ベクターは、BsiWIで直線化して形質転換に用いた。
[例2]
<変異型hTF(m−hTF)発現ベクターの構築>
糖鎖付加されない変異型トランスフェリン(m−hTF)を発現させるために、下記m−hTF発現ベクターを作製した。
hTF遺伝子から2つのN−結合型糖鎖付加部位(N−K−S449、N−V−T647)を消失させ、かつその5’末端から57塩基対を欠失させたm−hTF遺伝子(2040塩基対)を合成した(GeneArt社(独国)に委託)。なお、前記m−hTF遺伝子のコドンは、前記hTF発現ベクターの場合と同様に、S.ポンベにおける高バイアスのコドンに変換した。次に、m−hTF遺伝子を、染色体組込型ベクターpSL6P3におけるP3分泌シグナル(34アミノ酸残基)遺伝子の下流にサブクローニングして、染色体組込型のm−hTF発現ベクターであるpTL2P3hTF(S449A/T647A)−SL6を作製した(図2)。
前記m−hTF発現ベクターは、BsiWIで直線化して形質転換に用いた。
[例3]
<形質転換体の作製>
Okazaki等の酢酸リチウムを用いた形質転換法(Nucleic Acids Res.誌、1990年、18巻22号、6485−6489頁)により、BsiWIで直線化したhTF発現ベクター(pTL2OSTFN−CF−4XL)を用いて、8つのプロテアーゼ遺伝子に欠失のある変異型S.ポンベである前記A8株を形質転換し、hTF発現カセットをS.ポンベのleu1遺伝子座に組み込んだ。形質転換体は、30℃で1時間YES培地により培養した後、ロイシン不含MMA培地を用いてスクリーニングした。形質転換体は、さらにYES培地により30℃で2〜3日振盪培養した後、ウエスタンブロット法による解析によってhTF分泌量を確認し、分泌量が最大の形質転換体(以下、この形質転換体を特に「形質転換体A」という。)を選択した。
また、m−hTF発現ベクター(pTL2P3hTF(S449A/T647A)−SL6)を用いて、前記方法と同様にして、分泌量が最大の形質転換体(以下、この形質転換体を特に「形質転換体B」という。)を選択した。
なお、野生型S.ポンベ(ARC039)を用いて同様にしてウエスタンブロット解析を行ったところ、A8株は野生型S.ポンベに比べてhTF分泌量が多いことが確認された(データ省略)。これは、A8株では、内在性のプロテアーゼによるタンパク分解活性が低いためであると考えられる。
[例4]
<CAA添加によるhTF分泌量への影響>
例3で得られた形質転換体Aを、YES培地、MM培地、2%CAAを含むMM培地、YPD培地、2%CAAを含むYPD培地により、それぞれ60時間培養し、得られた培養液の上澄を遠心分離してウエスタンブロット法により解析した。その結果を図3に示す。
図3は、形質転換体Aを上記各培地で培養した後の培養液について、前記ウエスタンブロット法を実施し、培地の違いによるhTF分泌量の違いを解析したLAS4000イメージングシステムによる検出写真である。図3のレーン1はhTF(100ng)、レーン2はMagicMarkTM XPである。また、レーン3はYES培地、レーン4はMM培地、レーン5は2%CAAを含むMM培地、レーン6はYPD培地、レーン7は2%CAAを含むYPD培地による培養結果である。
図3に示すように、YES培地による培養(レーン3)では、MM培地による培養(レーン4)に比べて、hTF分泌量が少なかった。
また、MM培地による培養では、CAAを添加することにより、hTF分泌量が顕著に増加した(レーン4、5)。同様に、YPD培地による培養においても、CAAの添加によりhTF分泌量が顕著に増加した(レーン6、7)。該結果の原因としては、以下のことが考えられる。すなわち、A8株には約50個以上のプロテアーゼ遺伝子が残存していると推定されており、これらの残存するプロテアーゼによるタンパク質分解活性をCAAが低下させることで、hTF分泌量が増加している可能性が考えられる。
また、CAAの添加の有無に関わらず、hTF分泌量は、MM培地を用いた場合とYPD培地を用いた場合とでほぼ同程度であった(レーン4〜7)。YPD培地がMM培地に比べて窒素含量が著しく多いことから、該結果はhTF分泌量が窒素量に依存しないことを示している。MM培地はYPD培地に比べて安価であるため、コスト面からMM培地が好ましい。
[例5]
<他の添加物のhTF分泌量への影響>
分泌経路においては、分泌タンパクの大部分が小胞体とゴルジ体を経由して輸送され、ついでエキソサイトーシスにより細胞外に分泌される。加えて、細胞壁の周囲の細胞膜領域または単細胞生物のペリプラズムは、タンパク分泌において効果的な浸透障壁として機能する。また、ゲオバチルス・サーモレオボランス(Geobacillus thermoleovorans)においては、これまでに質量平均分子量8000のポリエチレングリコール(PEG8000)、アニオン性界面活性剤(SDS、デオキシコール酸等)またはノニオン性界面活性剤(Tweens)により、α−アミラーゼの分泌量が増加することが報告されている(Lett. Appl. Microbiol.誌、2003年、36巻4号、191−196頁)。そこで、S.ポンベによるhTF生産において、界面活性剤等の他の添加物がhTF分泌量に与える影響について解析した。
培地は、MM培地を使用した。また、添加剤としては、界面活性剤であるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS、質量平均分子量5000)、Tween20、TritonX−100、デオキシコール酸およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)と、界面活性剤以外のデキストラン(質量平均分子量5000)、PEG8000を使用した。ポリエチレングリコールは分裂酵母の形質転換に用いられる合成ポリマーであり、細胞膜の浸透性を向上させると考えられている。
前記添加剤を0.001%〜0.1%の範囲内でMM培地に添加し、形質転換体Aを30℃で60時間振とう培養した。その後、培養上澄を濃縮し、hTF分泌量をウエスタンブロット法による解析で検出した。その結果を図4に示す。
図4は、前記添加剤を添加したMM培地、または無添加のMM培地で形質転換体Aを培養した後の培養液について、前記ウエスタンブロット法を実施し、添加物の有無および種類によるhTF分泌量の違いを解析したLAS4000イメージングシステムによる検出写真である。図4のレーン1および11はhTF(100ng)である。また、レーン2は添加剤なし、レーン3は0.01%DSS添加、レーン4は0.002%DSS添加、レーン5は0.01%デキストラン添加、レーン6は0.001%Tween20添加、レーン7は0.002%TritonX−100添加、レーン8は0.01%デオキシコール酸添加、レーン9は0.002%デオキシコール酸添加、レーン10は0.1%PEG8000添加のMM培地による培養結果である。
図4に示すように、無添加のMM培地による培養(レーン2)に比べて、DSSを添加したMM培地による培養(レーン3、4)ではhTF分泌量が顕著に増加した。DSSは弱いポリアニオン性界面活性剤であり、1個のグルコシル残基に対し2〜3個の硫酸基を有する無水グルコースユニットの枝分かれ鎖を有している。一方、DSSと同じ骨格で硫酸基を有していない、同等の分子量の中性の多糖デキストランを添加した培養(レーン5)では、hTF分泌量にはほとんど変化がなかった。この結果は、デキストランの添加量を0.001%、0.01%、0.1%と変化させても同様であった(データ省略)。該結果は、DSSの添加によるhTF分泌量が増加には、多糖骨格よりもむしろ硫酸基が影響していることを示唆している。
ノニオン性界面活性剤であるTween20を添加した培養(レーン6)では、hTF分泌量が減少した。0.001%以上の濃度でTween20を添加すると形質転換体Aの生育が阻害されるという結果が得られたことから(データ省略)、該生育阻害によりhTF分泌量が減少したと考えられる。また、ノニオン性界面活性剤であるTritonX−100を添加した培養(レーン7)では、形質転換体Aの生育への影響はほとんど見られないものの(データ省略)、hTF分泌量が増加した。
アニオン性界面活性剤であるデオキシコール酸を添加した培養(レーン8、9)では、hTF分泌量が顕著に増加した。一方、アニオン性界面活性剤であるSDSを0.001%以上添加した培養では、形質転換体Aが生育しなかった。
また、PEG8000を0.1%添加した培養(レーン10)では、hTF分泌量が増加した。しかし、1%のPEG8000を添加すると、形質転換体の生育が阻害された(データ省略)。
[例6]
<DSSおよびCAAの添加によるhTF分泌量への影響>
次に、DSSの添加がCAA存在下でhTF分泌量にどのような影響を与えるかを検討した。
0.01%DSSもしくは2%CAA、または0.01%DSSと2%CAAの両方を添加したMM培地で形質転換体Aを60時間培養し、その培養液の上澄を濃縮してウエスタンブロット法により解析した。その結果を図5に示す。
図5は、DSSおよび/またはCAAを添加したMM培地、または無添加のMM培地で形質転換体Aを培養した後の培養液について、前記ウエスタンブロット法を実施し、CAA、DSSの添加によるhTF分泌量の違いを解析したLAS4000イメージングシステムによる検出写真である。図5のレーン2および6はhTF(100ng)である。また、レーン1は無添加、レーン3は0.01%DSS添加、レーン4は2%CAA添加、レーン5は0.01%DSSと2%CAAの添加のMM培地による培養結果である。
また、レーン1およびレーン3〜5のhTF分泌量を定量した結果を図6に示す。図6は、図5の各レーンにおいて検出されたhTFバンドを、マルチゲージイメージアナライザーを用いて定量した結果を示したグラフである。
図5および図6に示すように、無添加のMM培地による培養(レーン1、カラム1)に比べて、DSSのみを添加した培養(レーン3、カラム2)では、hTF分泌量が約3倍に増加した。また、CAAのみを添加した培養(レーン4、カラム3)では、無添加の培養に比べてhTF分泌量が約5倍に増加した。そして、DSSとCAAを両方添加した培養(レーン5、カラム4)では、それらの相乗効果により、無添加の培養に比べてhTF分泌量が約7倍に増加した。このように、CAAのみを添加してもhTF分泌量が増加するが、DSSとCAAを両方添加するとhTF分泌量がさらに増加することが確認された。
[例7]
<DSSおよびCAAの添加による形質転換体の生育への影響>
次に、DSS、CAAの添加が形質転換体の生育に与える影響について検討した。
0.01%DSSもしくは2%CAA、または0.01%DSSと2%CAAの両方を添加したMM培地で形質転換体Aを126時間培養し、細胞量(形質転換体量)の経時変化を610nmの濁度(OD610)を測定することにより観察した。その結果を図7に示す。
図7において、●が添加剤を添加していないMM培地による培養の結果であり、○が0.01%DSSを添加したMM培地による培養の結果であり、×が2%CAAを添加したMM培地による培養の結果であり、■が0.01%DSSと2%CAAの両方を添加したMM培地による培養の結果である。
図7に示すように、DSS、CAAの添加の有無にかかわらず、最終的な細胞量は同程度であった。該結果は、DSSおよびCAAが形質転換体の生育において栄養として使われているわけではないことを示唆している。また、DSSのみを添加した培養では、培養の初期段階(24−60時間)では添加による効果はほとんどないが、CAAを添加した培養では初期段階でわずかに生育速度が低下した。該生育速度の低下は、CAAを添加することでhTFが過剰に発現し、その過剰量のhTFが形質転換体の生育に不利に働いたためであると考えられる。
これらの結果は、質量平均分子量500,000のDSSを用いた場合でも同様であった(データ省略)。また、透析後のDSSでも同様の効果が得られた(データ省略)。
[例8]
<hTF遺伝子発現のノーザンブロット解析>
CAAおよびDSSの添加によるhTF分泌量の増加の要因を調べるため、CAAおよびDSSがhTFのmRNA転写量に与える影響について検討した。
0.01%DSSもしくは2%CAA、または0.01%DSSと2%CAAの両方を添加したMM培地で、形質転換体Aを30℃で16時間、および48時間培養し、形質転換体Aを遠心分離により回収し、ノーザンブロット法により解析した。ノーザンブロットのプローブとしては、hTF遺伝子のORFにおける約500塩基対のDNA断片を用いた。結果を図8に示す。
図8は、CAAおよび/またはDSSを添加したMM培地、または無添加のMM培地で形質転換体Aを培養した後の培養液について、前記ノーザンブロット法を実施し、添加物の有無および種類によるmRNA転写量の違いを解析したLAS4000イメージングシステムによる検出写真である。レーン1が無添加、レーン2が0.01%DSS添加、レーン3が2%CAA添加、レーン4が0.01%DSSおよび2%CAA添加のMM培地による培養結果である。また、図8においては、上側がmRNAの結果であり、下側がrRNAの結果である。
図8に示すように、16時間の培養でも48時間の培養でも、DSS、CAAを添加した培養(レーン2〜4)におけるmRNAの転写量は、無添加の培養(レーン1)における転写量と同程度であった。このように、DSS、CAAの添加は、mRNAの転写量には影響を及ぼさなかった。
[例9]
<グリコシル化の有無のhTF分泌量への影響>
hTFは2つのN−結合型グリコシル化部位を432位と629位に有しており、該N−グリコシル化部位のモチーフ配列はAsn−Xaa−Ser/Thrで共通している。S.セレビシエ、P.パストリスでは、グリコシル化されていない変異型hTFを発現させることが報告されており、hTF分泌量がhTFのグリコシル化の有無に影響を受ける可能性が考えられる。また、S.ポンベにおいて、N−結合型オリゴサッカライドは、核となる骨格構造と、ガラクトマンナンからなる大きな外部鎖とからなる。そのため、この巨大な炭水化物構造が、DSSの添加によりhTF分泌量を増加させることに起因している可能性が考えられる。そこで、グリコシル化されていないm−hTFの分泌量が、DSS、CAAの添加によって、どのような影響を受けるかを検討した。
0.01%DSSもしくは2%CAA、または0.01%DSSと2%CAAの両方を添加したMM培地で、例3で得られた形質転換体Bを60時間培養し、その培養液の上澄を濃縮してウエスタンブロット法により解析した。その結果を図9に示す。
図9は、DSSおよび/またはCAAを添加したMM培地、または無添加のMM培地で形質転換体Bを培養した後の培養液について、前記ウエスタンブロット法を実施し、CAA、DSSの添加によるhTF分泌量の違いを解析したLAS4000イメージングシステムによる検出写真である。レーン1は無添加、レーン2は0.01%DSS添加、レーン3は2%CAA添加、レーン4は0.01%DSSおよび2%CAA添加のMM培地による培養結果である。
また、レーン1〜4のhTF分泌量を定量した結果を図10に示す。図10は、図9の各レーンにおいて検出されたhTFバンドを、マルチゲージイメージアナライザーを用いて定量した結果を示したグラフである。
図9および図10に示すように、DSSのみを添加した培養(レーン2、カラム2)は、無添加のMM培地による培養(レーン1、カラム1)に比べて、m−hTF分泌量が約3倍に増加した。また、CAAのみを添加した培養(レーン3、カラム3)では、無添加のMM培地による培養に比べてm−hTF分泌量が約4倍に増加した。さらに、DSSとCAAを両方添加した培養(レーン4、カラム4)では、無添加のMM培地による培養に比べてm−hTF分泌量が約6倍に増加した。このように、DSS、CAAの添加によるm−hTF分泌量の増加割合は、例6の形質転換体AのhTF分泌量の結果と比較すると若干小さいものとなった。しかし、これは培養上澄中において、m−hTFがhTFよりもプロテアーゼによるタンパク分解に対する安定性が低いためであると考えられる。
該結果から、DSS、CAAの添加によるhTF分泌量の増加は、hTFのグリコシル化には依存していないことがわかった。

Claims (10)

  1. シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)を宿主とし、異種タンパク質構造遺伝子を導入した形質転換体を、カザミノ酸(casamino acids)を含む培養液中で培養し、異種タンパク質を該培養液中に分泌させることを特徴とする形質転換体の培養方法。
  2. 前記異種タンパク質がヒトトランスフェリン(hTF)である、請求項1に記載の形質転換体の培養方法。
  3. 前記培養液中のカザミノ酸の含有量が、培養液に対して0.05〜20質量%である、請求項1または2に記載の形質転換体の培養方法。
  4. 前記培養液にさらにデキストラン硫酸ナトリウムが含まれている、請求項1〜3のいずれかに記載の形質転換体の培養方法。
  5. 前記培養液中のデキストラン硫酸ナトリウムの含有量が、0.001〜1質量%である、請求項4に記載の形質転換体の培養方法。
  6. 前記培養液が、YES(yeast extract medium)培地、YPD(yeast extract-polypeptone-dextrose)培地またはMM(minimum media)培地である、請求項1〜5のいずれかに記載の形質転換体の培養方法。
  7. 前記形質転換体が、前記宿主の染色体に、分泌シグナル、プロモーター、異種タンパク質構造遺伝子およびターミネーターを含むベクターを導入して構築された形質転換体である、請求項1〜6のいずれかに記載の形質転換体の培養方法。
  8. シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)を宿主とし、異種タンパク質構造遺伝子を導入した形質転換体を、カザミノ酸(casamino acids)を含む培養液中で培養し、異種タンパク質を培養液中に分泌させた後、該培養液から前記異種タンパク質を取得することを特徴とする異種タンパク質の生産方法。
  9. 異種タンパク質がヒトトランスフェリン(hTF)である、請求項8に記載の異種タンパク質の生産方法。
  10. 前記形質転換体が、前記宿主の染色体に、分泌シグナル、プロモーター、異種タンパク質構造遺伝子およびターミネーターを含むベクターを導入して構築された形質転換体である、請求項8または9に記載の異種タンパク質の生産方法。
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