JP2011124840A - 無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャリア数が経時的に変化した場合でも、良好なACP特性を維持する。
【解決手段】所定の周波数帯域の送信信号を送信する無線通信装置であって、マルチキャリアの送信信号を増幅するための電力増幅器と、予め、隣接チャンネル漏洩電力特性に基づいて設定された前記送信信号の送信出力設定値と前記電力増幅器のバイアス電圧設定値との対応関係を示すバイアス設定データと、前記送信信号を送信するサブキャリア数と前記送信出力設定値のキャリア数補正値との対応関係を示すキャリア数補正データと、を記憶する記憶部と、前記キャリア数補正データから前記送信信号を送信しようとするサブキャリア数に対応するキャリア数補正値を取得し、取得したキャリア数補正値を用いて前記送信出力設定値を補正し、前記バイアス設定データを基に、前記キャリア数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定する制御部と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信装置に関する。
例えば、下記特許文献1には、無線通信装置における送信回路の隣接チャンネル漏洩電力(ACP:Adjacent Channel Leakage Power)を最適化するために、バイアス電圧に応じて送信信号を増幅する電力増幅器(パワーアンプ)のACP特性に基づいて設定した、送信信号の目標送信出力とバイアス電圧との対応関係を示すバイアス設定テーブルを用意し、このバイアス設定テーブルを用いて現在の目標送信出力に対応するバイアス電圧を設定する技術が開示されている。
特開2009−100446号公報
ところで、データを複数のサブキャリア(搬送波、以下、単にキャリアという)に割り当てるマルチキャリア変調による無線通信システムでは、データを割り当てるキャリア数が経時的に変化する場合がある。例えば、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)に準拠する無線通信システムであるLTE(Long Term Evolution)の場合、基地局が、送信タイミング毎に、各LTE端末に割り当てる1または複数のキャリアを決定するため、キャリア数(帯域幅)が経時的に変化する。なお、基地局からLTE端末への送信(下り)は、上述の如く、マルチキャリア送信であるが、LTE端末から基地局への送信(上り)は、シングルキャリア送信(SC−FDMA)である。
キャリア数が経時的に変化する無線通信システムにおいて、キャリア数(帯域幅)によらず、送信出力(電力)を同一とする制約がある場合がある(電力規定)。図21は、キャリア数1の送信(シングルキャリア送信)とキャリア数2の送信(2キャリア送信)の送信波形の比較である。送信出力を同一とする設定がある場合、例えば、図21に示すように、2キャリア送信では、シングルキャリア送信と比べ、2倍の帯域幅を有するが、ピーク出力値が3dB少なく、送信出力は同一となる。
上記の制約(例えば、シングルキャリア送信時の送信出力とマルチキャリア送信時の送信出力を同一設定とする電力規定)がある場合、信号のひずみの大小は、ピーク出力、及び帯域幅に依存するため、キャリアの数の影響を受けることになる。具体的には、キャリアの数が多いときは、キャリアの数が少ない場合に比べて、ピーク出力は低下するが、帯域幅が広がることで、信号の歪特性は劣化する。
従って、上記の制約下においては、あるキャリアの数の送信を前提としたACP特性を良好にするパワーアンプの出力制御(パワーアンプのバイアス電圧の制御)を、若しくは、その制御値を、他のキャリアの数の送信に適用した場合、当該他のキャリアの数の送信におけるACP特性は必ずしも良好にならないという問題がある。例えば、シングルキャリア送信時におけるACP特性を良好にするパワーアンプの出力制御をマルチキャリア送信時に適用した場合、マルチキャリア送信におけるACP特性は必ずしも良好にならないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、キャリア数が経時的に変化した場合であっても、良好なACP特性を維持し得る技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る無線通信装置は、所定の周波数帯域の送信信号を送信する無線通信装置であって、マルチキャリアの送信信号を増幅するための電力増幅器と、予め、隣接チャンネル漏洩電力特性に基づいて設定された前記送信信号の送信出力設定値と前記電力増幅器のバイアス電圧設定値との対応関係を示すバイアス設定データと、前記送信信号を送信するサブキャリア数と前記送信出力設定値のキャリア数補正値との対応関係を示すキャリア数補正データと、を記憶する記憶部と、前記キャリア数補正データから前記送信信号を送信しようとするサブキャリア数に対応するキャリア数補正値を取得し、取得したキャリア数補正値を用いて前記送信出力設定値を補正し、前記バイアス設定データを基に、前記キャリア数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定する制御部と、を備えることを特徴とする。
また、上記無線通信装置において、前記記憶部は、前記送信信号の送信周波数設定値と前記送信出力設定値の周波数補正値との対応関係を示す周波数補正データを、さらに記憶し、前記制御部は、前記周波数補正データから前記送信信号の送信周波数設定値に対応する周波数補正値を更に取得し、取得した周波数補正値を用いて前記送信出力設定値を補正し、前記バイアス設定データを基に、前記キャリア数補正値および前記周波数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定するようにしてもよい。
また、上記無線通信装置において、前記記憶部は、前記送信信号の送信周波数設定値と前記送信出力設定値の周波数補正値との対応関係を示す周波数補正データを、さらに記憶し、前記制御部は、前記現在の送信周波数設定値が前記周波数帯域の端部に含まれる場合、前記キャリア数補正値および前記周波数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定する一方、前記送信信号の送信周波数設定値が前記周波数帯域の端部を除く所定範囲に含まれる場合、前記キャリア数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定するようにしてもよい。
また、上記無線通信装置において、前記記憶部は、前記バイアス設定データを変調クラス毎に記憶し、前記制御部は、前記バイアス電圧設定値を決定する際、現在の変調クラスに対応するバイアス設定データを使用するようにしてもよい。
また、上記無線通信装置は、前記送信信号を送信する送信部の温度を検出する温度検出部をさらに備え、前記制御部は、前記温度検出部によって検出された前記温度に応じて、前記現在の送信出力設定値をさらに補正するようにしてもよい。
本発明に係る無線通信装置によれば、送信周波数及に依存せずに、良好なACP特性を維持することができ、その結果、信号品質の低下を抑制することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る無線通信装置10のブロック構成図である。 無線通信装置10における送信部13のブロック構成図である。 送信部13におけるバイアス電圧生成部13iの回路構成例である。 無線通信装置10における制御部15の送信時における動作を示すフローチャートである。 送信出力校正テーブル14cの一例を示す図である。 常温時、シングルキャリア送信時のパワーアンプ13jのACP特性を示す図である。 バイアス設定テーブル14aの一例を示す図である。 常温時、4キャリア送信時のパワーアンプ13jのACP特性を示す図である。 キャリア数補正テーブル14fの一例を示す図である。 帯域制限フィルタを通過して最終的に送信される送信信号の送信出力−周波数特性を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る無線通信装置20のブロック構成図である。 無線通信装置20における制御部15’の送信時における動作を示すフローチャートである。 周波数補正テーブル14bの一例を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る無線通信装置30のブロック構成図である。 無線通信装置30における制御部15’’の送信時における動作を示すフローチャートである。 送信出力温度補正テーブル14dの一例を示す図である。 高温時、シングルキャリア送信時のパワーアンプ13jのACP特性を示す図である。 バイアス温度補正テーブル14eの一例を示す図である。 無線通信装置30の処理の概念図である。 周波数補正テーブル14bの変形例である周波数補正テーブル14b’を示す図である。 マルチキャリア送信における送信信号の送信出力−周波数特性を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信装置10のブロック構成図である。この図1に示すように、第1実施形態における無線通信装置10は、他の無線通信装置と適応変調方式を用いて無線通信を行うものであり、アンテナ11、受信部12、送信部13、記憶部14及び制御部15を備えている。
なお、無線通信装置10は、例えば、OFDMに準拠した信号を送信するものであり、LTE、WiMAXまたはXGP等の無線通信システムで用いられる。
アンテナ11は、受信電波を受信部12にて処理可能な受信信号に変換し、当該受信信号を受信部12に出力する。また、このアンテナ11は、送信部13から入力される送信信号を送信電波に変換して送信する。受信部12は、アンテナ11から入力される受信信号をベースバンド周波数へダウンコンバートすることにより、制御部15にて処理可能な受信ベースバンド信号を生成し、当該受信ベースバンド信号を制御部15に出力する。
送信部13は、制御部15から入力される送信ベースバンド信号を送信周波数(無線周波数:RF)へアップコンバートすることで送信信号を生成し、当該送信信号をアンテナ11に出力する。図2は、送信部13のブロック構成図である。この図2に示すように、送信部13は、IFローカル発振器13a、IFミキサ13b、AGC電圧生成部13c、IF段AGCアンプ13d、IFアンプ13e、RFローカル発振器13f、RFミキサ13g、RF段AGCアンプ13h、バイアス電圧生成部13i、パワーアンプ13j(電力増幅器)、及び帯域制限フィルタ13kから構成されている。
IFローカル発振器13aは、中間周波数(IF)のIFローカル信号IFLOを生成してIFミキサ13bに出力する。IFミキサ13bは、制御部15から入力される送信ベースバンド信号と、IFローカル発振器13aから入力されるIFローカル信号IFLOとを乗算することにより、送信ベースバンド信号を中間周波数へアップコンバートし、その結果生成される送信IF信号をIF段AGCアンプ13dに出力する。
AGC電圧生成部13cは、制御部15から入力されるAGC電圧設定値に応じたAGC電圧を生成し、当該生成したAGC電圧をIF段AGCアンプ13d及びRF段AGCアンプ13hに出力する。IF段AGCアンプ13dは、AGC電圧生成部13cから入力されるAGC電圧に応じた増幅度(ゲイン)にて、IFミキサ13bから入力される送信IF信号を増幅してIFアンプ13eに出力する。IFアンプ13eは、所定の増幅度にて、IF段AGCアンプ13dから入力される送信IF信号を増幅してRFミキサ13gに出力する。
RFローカル発振器13fは、制御部15(詳細には送信周波数設定部15b)によって設定された送信周波数(無線周波数:RF)のRFローカル信号RFLOを生成してRFミキサ13gに出力する。RFミキサ13gは、IFアンプ13eから入力される送信IF信号と、RFローカル発振器13fから入力されるRFローカル信号RFLOとを乗算することにより、送信IF信号を送信周波数(無線周波数)へアップコンバートし、その結果生成される送信信号をRF段AGCアンプ13hに出力する。RF段AGCアンプ13hは、AGC電圧生成部13cから入力されるAGC電圧に応じた増幅度にて、RFミキサ13gから入力される送信信号を増幅してパワーアンプ13jに出力する。
バイアス電圧生成部13iは、制御部15から入力されるバイアス電圧設定値に応じたバイアス電圧を生成し、当該生成したバイアス電圧をパワーアンプ13jに出力する。パワーアンプ13jは、バイアス電圧生成部13iから入力されるバイアス電圧に応じた増幅度にて、RFミキサ13gから入力される送信信号を増幅して帯域制限フィルタ13kに出力する。帯域制限フィルタ13kは、パワーアンプ13jから入力される送信信号を所定の周波数帯域(システム帯域)に制限するバンドパスフィルタであり、帯域制限後の送信信号をアンテナ11に出力する。
図3は、上記のバイアス電圧生成部13iをDC−DCコンバータを用いて構成した場合の回路構成例である。図中の可変抵抗R1、R2の抵抗値設定によって、バイアス電圧を決定することができる。つまり、これら可変抵抗R1及びR2として、制御部15から入力されるバイアス電圧設定値に応じて抵抗値を調整可能なディジタル可変抵抗等の抵抗値可変デバイスを用いることで、パワーアンプ13jに印加すべきバイアス電圧を制御することが可能となる。
図1に戻り、記憶部14は、予め、隣接チャンネル漏洩電力特性(ACP特性)に基づいて設定された送信信号の送信出力設定値とパワーアンプ13jのバイアス電圧設定値との対応関係を示すバイアス設定テーブル14a(バイアス設定データ)と、送信出力設定値とAGC電圧設定値との対応関係を示す送信出力校正テーブル14cと、送信信号を送信するサブキャリア数と送信出力設定値のキャリア数補正値との対応関係を示すキャリア数補正テーブル14f(キャリア数補正データ)とを記憶している。
制御部15は、無線通信装置10の全体動作を統括制御するものであり、その機能として、送信信号を送信する際に(送信ベースバンド信号を送信部13に出力する際に)、送信信号の送信出力を設定する送信出力設定部15aと、送信信号の送信周波数を設定する送信周波数設定部15bとを備えている。
この制御部15は、送信信号を送信する際に、上記の送信出力校正テーブル14cを参照して、送信出力設定部15aにて設定された送信出力(送信出力設定値)に対応するAGC電圧設定値を取得し、当該取得したAGC電圧設定値を送信部13のAGC電圧生成部13cに出力する。
さらに、制御部15は、送信信号を送信する際に、上記のキャリア数補正テーブル14fを参照して、送信信号を送信しようとするサブキャリア数に対応するキャリア数補正値を取得し、当該キャリア数補正値を用いて、送信出力設定部15aにて設定された送信出力設定値を補正し、続いて、上記のバイアス設定テーブル14aを参照して、キャリア数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を取得し、当該取得したバイアス電圧設定値を送信部13のバイアス電圧生成部13iに出力する。
続いて、上記のように構成された無線通信装置10のマルチキャリアの送信時における動作について、図4〜図11を参照しながら詳細に説明する。
図4は、送信信号の送信時において制御部15が実行する送信出力制御処理を示すフローチャートである。この図4に示すように、送信信号を送信する際に(送信ベースバンド信号を送信部13に出力する際に)、まず、制御部15の送信出力設定部15aは、例えば変調クラスが変更された際、送信信号の送信出力を設定し(ステップS1)、また、送信周波数設定部15bは、送信信号の送信周波数を設定する(ステップS2)。
そして、制御部15は、上記のように送信出力設定値を得ると、記憶部14に記憶されている送信出力校正テーブル14cを参照して、送信出力設定値に対応するAGC電圧設定値を取得する(ステップS3)。
無線通信装置10の仕様により、出力に大きなダイナミックレンジが必要な場合は、図2に示したように、IF段、RF段それぞれにAGCアンプを用いることが多い。送信部13において送信出力の校正を行う場合は、仕様により定められた送信出力校正テーブル14cの値に送信出力が収まるよう、AGC電圧を調整して行う。図5は、送信出力校正テーブル14cの一例を示す図である。図5において、左側が送信出力設定値を表し、右側がAGC電圧設定値を表している。なお、図5では、AGC電圧設定値を段階的に表記しており、AGC電圧設定値が「1024」の場合、AGC電圧は3(V)に対応した関係となる。
つまり、例えば、送信出力設定値が「26(dBm)」であった場合、図5に示す送信出力校正テーブル14cからAGC電圧設定値として「877」が得られる(この「877」はAGC電圧2.57(V)に対応する)。
これにより、送信部13のAGC電圧生成部13cは、AGC電圧設定値に応じたAGC電圧を生成してIF段AGCアンプ13d及びRF段AGCアンプ13hに出力することになる。
さらに、制御部15は、記憶部14に記憶されているキャリア数補正テーブル14fを参照して、送信信号のサブキャリア数に対応するキャリア数補正値を取得し(ステップS4)、当該取得したキャリア数補正値を用いて、送信出力設定値を補正する(ステップS5)。
さらに、制御部15は、記憶部14に記憶されているバイアス設定テーブル14aを参照して、キャリア数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を取得し(ステップS6)、当該取得したバイアス電圧設定値を送信部13のバイアス電圧生成部13iに出力する(ステップS7)。これにより、送信部13のバイアス電圧生成部13iは、キャリア数補正値による補正後のバイアス電圧設定値に応じたバイアス電圧を生成してパワーアンプ13jに出力することになる。
以下、上記のステップS4〜S7の処理について詳細に説明する。
図6は、常温(35°C)時のシングルキャリア送信時のパワーアンプ13jのACP特性を示す図である。図6は、バイアス電圧が3.6(V)および4.2(V)のときの変調クラス毎のACP特性を示している。縦軸がACPの値(dB)を示しており、横軸がパワーアンプ13jの出力値(dBm)を示している。出力が高くなるに従い、ACP特性は劣化していくが、同じ変調クラスの信号を出力する場合において、バイアス電圧により、ACP特性は異なっていることが分かる。また、同じバイアス電圧においても、変調クラスが異なると、ACP特性は異なっていることが分かる。
例えば、変調クラスがBPSKの場合においては、出力が28(dBm)の時は、4.2(V)のバイアス設定の方が3.6(V)のバイアス設定よりもACP特性は優れているが、出力が26(dBm)以下の時は、3.6(V)のバイアス設定の方が4.2(V)のバイアス設定よりもACP特性は優れている。また、変調クラスが16QAMの場合においては、出力が27(dBm)の時は、4.2(V)のバイアス設定の方が3.6(V)のバイアス設定よりもACP特性は優れているが、出力が26(dBm)以下の時は、3.6(V)のバイアス設定の方が4.2(V)のバイアス設定よりもACP特性は優れている。また、変調クラスがQPSKの場合においては、出力が28(dBm)の時は、4.2(V)のバイアス設定の方が3.6(V)のバイアス設定よりもACP特性は優れているが、出力が27(dBm)以下の時は、3.6(V)のバイアス設定の方が4.2(V)のバイアス設定よりもACP特性は優れている。
すなわち、通常、パワーアンプ13jのバイアス電圧は、最大出力時のACP特性を考慮して設定されるが、最大出力時のACP特性を良好にするためにバイアス電圧を4.2(V)に設定した場合、出力を下げた時のACPは、この出力における最適なACPになっていないことになる。
そこで、本実施形態では、使用するパワーアンプ13jのACP特性に基づいて設定された、送信信号の送信出力設定値とパワーアンプ13jのバイアス電圧設定値との対応関係を示すバイアス設定テーブル14aを用意し、これを用いて送信出力の校正を行い、さらに実際の出力送信時において所定の出力に対応するパワーアンプ13jのバイアス設定を行うことにする。バイアス設定テーブル14aは、送信出力設定値に応じた、最適なACPが得られるバイアス電圧設定値を対応させたもので、使用する変調クラスごとにテーブルを用意しておく。パワーアンプ13jはバイアス電圧を変更すると、ゲインも変化するため、送信出力の校正時に、バイアス設定テーブル14aの電圧設定を用いて、出力調整を行うこととする。
図7にパワーアンプ13jのACP特性が最適になるバイアス設定テーブル14aの一例を示す。この図7に示すように、バイアス設定テーブル14aは、変調クラス毎に設定された構成となっている。この図7において、DAC1、DAC2、DAC3、DAC4は、図3に示すバイアス電圧生成部13iの可変抵抗R1、R2に設定する抵抗値に対応した電圧値である。可変抵抗R1、R2の設定値がDAC1、DAC2の場合、バイアス電圧は3.6Vとなり、可変抵抗R1、R2の設定値がDAC3、DAC4の場合、バイアス電圧は4.2Vとなる。
なお、図7において、10(dBm)と−20(dBm)の間のバイアス電圧設定値は、前後の値と同じであるので省略している。
このバイアス設定テーブル14aを用いて、送信出力設定値に応じてバイアス電圧を設定すれば、図6に示すパワーアンプ13jのACP特性において、変調クラスがBPSKの場合、26(dBm)以下の時に3.6(V)のバイアス電圧が設定されて、良好なACP特性を維持することとなり、変調クラスがQPSKの場合、27(dBm)以下の時に3.6(V)のバイアス電圧が設定されて、良好なACP特性を維持することとなり、変調クラスが16QAMの場合、26(dBm)以下に時は3.6(V)のバイアス電圧が設定されて、良好なACP特性を維持することとなる。これにより、パワーアンプ13jは、どの出力設定においても良好なACP特性となり、信号品質の劣化、および送信スプリアスを最小限に抑えた送信特性を得ることが可能となる。
図8は、常温(35°C)時の4キャリア送信時のPAバイアスとACP特性の関係を示す図である。既に述べたように、基地局からLTE端末への送信(下り)は、キャリア数(帯域幅)が経時的に変化し得るマルチキャリア送信である。シングルキャリア送信時とマルチキャリア送信時では、例えば、図6及び図8に示すように、ACP特性が異なる。即ち、マルチキャリア送信時における最適バイアス値は、シングルキャリア送信時における最適バイアス値と異なる。従って、マルチキャリア送信時には、図9に示すキャリア数補正テーブル4fを用いて、パワーアンプのバイアス補正を行う。
具体的には、例えば、26dBmのBPSK送信を4キャリアで行う場合、ステップS4において、図9に示すキャリア数補正テーブル4fからキャリア数補正値として「−2.5(dBm)」が得られる。ここで、送信出力設定値が「27(dBm)」であった場合、ステップS5において、送信出力設定値は「24.5(dBm)」に補正される。そして、ステップS6において、図7のバイアス設定テーブルから24.5dBmに相当するバイアス値(ここでは、R1にDAC1、R2にDAC2)が選択される。このように得られたバイアス電圧設定値に対応するバイアス電圧として3.6(V)がバイアス電圧生成部13iにて生成され、良好なACP特性が維持されることとなる。
このようにマルチキャリア用のキャリア数補正テーブル4fを用いることで、送信周波数帯域が随時変動するマルチキャリアのシステムにおいても、常に最適な歪特性が得られ、良好な送信特性を得ることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信装置10によれば、キャリア数及び送信出力に依存せずに、良好なACP特性を維持することができ、その結果、信号品質の低下を抑制することが可能となる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
無線通信装置においては、送信回路の最終段に、送信信号の送信周波数を所定の周波数帯域(システム帯域)に制限する帯域制限フィルタを設けることにより、帯域外への不要輻射(つまり、隣接する別の周波数帯域を使用する無線システムに対する影響)を抑制することが一般的である。図10は、帯域制限フィルタを通過して最終的に送信される送信信号の送信出力−周波数特性を示す図である。この図10に示すように、送信信号の送信出力は、帯域制限フィルタの特性から、システム帯域の端部(帯域端)に近づく程低下し、中心周波数近傍でほぼ一定となることがわかる。
送信信号の送信出力はシステム帯域内で一定にすることが望ましいため、図10に示すように、中心周波数近傍の送信出力に比べて帯域端の送信出力が大きくなるように、帯域制限フィルタの前段に配置されるパワーアンプの出力制御を行う必要がある。しかしながら、パワーアンプの出力に着目すると、帯域端に比べて中心周波数近傍の送信出力が大きくなることから、図10に示すように、中心周波数近傍に比べて帯域端のACPが劣化し、信号品質が低下するという問題がある。第2実施形態は、送信周波数に依存することなく最適なACPを維持するように、パワーアンプ13jのバイアス電圧を設定できるようにするものである。
図11は、本発明の第1実施形態に係る無線通信装置20のブロック構成図である。なお、図11において、図1と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。図11に示すように、第2実施形態に係る無線通信装置20は、記憶部14’は、第1実施形態で説明したバイアス設定テーブル14a、送信出力校正テーブル14c及びキャリア数補正テーブル14fに加えて、送信周波数設定値と送信出力設定値の周波数補正値との対応関係を示す周波数補正テーブル14b(周波数補正データ)を記憶している。
また、第2実施形態における制御部15’は、第1実施形態で説明した制御部15の機能に加えて、AGC電圧設定処理を行う際に、上記の周波数補正テーブル14bを参照して、送信周波数設定部15bにて設定された送信周波数(送信周波数設定値)に対応する送信出力設定値の周波数補正値を取得し、当該周波数補正値および上記キャリア数補正値を用いて、送信出力設定部15aにて設定された送信出力設定値を補正し、続いて、上記のバイアス設定テーブル14aを参照して、キャリア数補正値および周波数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を取得し、当該取得したバイアス電圧設定値を送信部13のバイアス電圧生成部13iに出力する機能を有している。
続いて、上記のように構成された無線通信装置20のマルチキャリアの送信時における動作について、図12および図13を参照しながら詳細に説明する。
図12は、送信信号の送信時において制御部15’が実行する送信出力制御処理を示すフローチャートである。この図12に示すように、送信信号を送信する際に(送信ベースバンド信号を送信部13に出力する際に)、まず、制御部図12の送信出力設定部15aは、例えば変調クラスが変更された際、送信信号の送信出力を設定し(ステップS11)、また、送信周波数設定部15bは、送信信号の送信周波数を設定する(ステップS12)。
そして、制御部15’は、上記のように送信出力設定値を得ると、記憶部14’に記憶されている送信出力校正テーブル14cを参照して、送信出力設定値に対応するAGC電圧設定値を取得する(ステップS13)。
一方、制御部15’は、記憶部14’に記憶されている周波数補正テーブル14bを参照して、送信周波数設定値に対応する送信出力設定値の周波数補正値を取得し(ステップS14)、当該取得した周波数補正値を用いて、送信出力設定値を補正する(ステップS15)。
ここで、制御部15’は、上記のように補正後の送信出力設定値を得ると、記憶部14’に記憶されている送信出力校正テーブル14cを参照して、補正後の送信出力設定値に対応するAGC電圧設定値を再取得し、当該再取得したAGC電圧設定値を送信部13のAGC電圧生成部13cに出力する(ステップS16)。
これにより、送信部13のAGC電圧生成部13cは、補正後のAGC電圧設定値に応じたAGC電圧を生成してIF段AGCアンプ13d及びRF段AGCアンプ13hに出力することになる。
さらに、制御部15’は、記憶部14’に記憶されているキャリア数補正テーブル14fを参照して、送信信号のサブキャリア数に対応するキャリア数補正値を取得し(ステップS17)、当該取得したキャリア数補正値を用いて、周波数補正値による補正後の送信出力設定値をさらに補正する(ステップS18)。
さらに、制御部15’は、記憶部14’に記憶されているバイアス設定テーブル14aを参照して、周波数補正値およびキャリア数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を取得し(ステップS19)、当該取得したバイアス電圧設定値を送信部13のバイアス電圧生成部13iに出力する(ステップS20)。これにより、送信部13のバイアス電圧生成部13iは、周波数補正値およびキャリア数補正値による補正後のバイアス電圧設定値に応じたバイアス電圧を生成してパワーアンプ13jに出力することになる。
以下、上記のステップS14〜S20の処理について詳細に説明する。
既に述べたように、送信部13において、帯域制限フィルタ13kの前段に配置されたパワーアンプ13jの出力に着目すると、帯域端(周波数帯域の端部)に比べて中心周波数近傍の送信出力が大きくなることから、図10に示すように、中心周波数近傍に比べて帯域端のACPが劣化し、信号品質が低下するという問題があった。
これに対して、本実施形態では、送信周波数に依存せずにACPが適切な値に維持されるよう、送信周波数設定値と送信出力設定値の周波数補正値との対応関係を示す周波数補正テーブル14bを用意した。図13は、周波数補正テーブル14bの一例を示す図である。この図13に示すように、Index「8」の2310.3125(MHz)を中心周波数とすると、この中心周波数における周波数補正が最も小さく、帯域端に近づく程、周波数補正が大きくなるように設定されている。
具体的には、例えば、送信周波数設定値が「2300.3125(MHz)」であった場合、ステップS14において、図13に示す周波数補正テーブル14bから周波数補正値として「1.0(dBm)」が得られる。ここで、送信出力設定値が「26(dBm)」であった場合、ステップS15において、送信出力設定値は「27(dBm)」に補正される。そして、ステップS16において、送信出力校正テーブル14cから補正後の送信出力設定値「27(dBm)」に対応するAGC電圧設定値「881」が得られる。
このように得られたAGC電圧設定値「881」に対応するAGC電圧として2.58(V)がAGC電圧生成部13cにて生成されることになる。
なお、図5では、送信出力設定値「27(dBm)」に対応するAGC電圧設定値「881」の記載を省略しているが、送信出力設定値「27(dBm)」に対応するAGC電圧設定値は、送信出力設定値「26(dBm)」と「28(dBm)」との中間値になるため、「881」となる。
そして、4キャリア送信時であった場合、ステップS17において、図9に示すキャリア数補正テーブル4fからキャリア数補正値として「−2.5(dBm)」が得られ、ステップS18において、送信出力設定値が「27(dBm)」から「24.5(dBm)」にさらに補正される。そして、ステップS19において、図7のバイアス設定テーブルから24.5dBmに相当するバイアス値(ここでは、R1にDAC1、R2にDAC2)が選択される。このように得られたバイアス電圧設定値に対応するバイアス電圧として3.6(V)がバイアス電圧生成部13iにて生成され、良好なACP特性が維持されることとなる。
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信装置20によれば、キャリア数、送信周波数及び送信出力に依存せずに、良好なACP特性を維持することができ、その結果、信号品質の低下を抑制することが可能となる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
パワーアンプ13jのACP特性は温度により変化する。パワーアンプ13jは、一般的に高温下では常温下に比べてパワーアンプ13jの出力段の飽和点が下がり、同一出力送信時にはACPが劣化する。低温下では逆に、常温下に比べてACPが良好になる傾向にある。従って、送信出力の温度補正を行う際、AGC電圧による出力のみの補正を行うと、常に最適なACPが得られるバイアス電圧になるとは限らない。第3実施形態は、送信出力の温度補正時においても、常に最適なACPを維持するようにパワーアンプ13jのバイアス電圧を設定できるようにするものである。
図14は、本発明の第3実施形態に係る無線通信装置30のブロック構成図である。なお、図14において、図11と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。図14に示すように、第3実施形態に係る無線通信装置30は、送信部13の温度を検出する温度検出部16を新たに備えている。これに伴い、第3実施形態における記憶部14’ ’は、第2実施形態で説明したバイアス設定テーブル14a、周波数補正テーブル14b、送信出力校正テーブル14c及びキャリア数補正テーブル14fに加えて、AGC電圧を温度補正するために設定された、温度検出値と送信出力設定値の温度補正値との対応関係を示す送信出力温度補正テーブル14dと、バイアス電圧を温度補正するために設定された、温度検出値と送信出力設定値の温度補正値との対応関係を示すバイアス温度補正テーブル14eとを記憶している。
また、第3実施形態における制御部15’’は、第1実施形態および第2実施形態で説明した制御部15の機能に加えて、AGC電圧設定処理を行う際に、温度検出部16から取得した温度検出値(つまり送信部13の温度)に基づいて、送信出力温度補正テーブル14dを用いてAGC電圧を温度補正する機能と、バイアス電圧設定処理を行う際に、同じく温度検出値に基づいて、バイアス温度補正テーブル14eを用いてバイアス電圧を温度補正する機能とを有している。
続いて、上記のように構成された無線通信装置30のマルチキャリアの送信時における動作について、図15〜図18を参照しながら詳細に説明する。
図15は、送信信号の送信時において制御部15’’が実行する送信出力制御処理を示すフローチャートである。この図15に示すように、送信信号を送信する際に(送信ベースバンド信号を送信部13に出力する際に)、まず、制御部15’’の送信出力設定部15aは、送信信号の送信出力を設定し(ステップS31)、また、送信周波数設定部15bは、送信信号の送信周波数を設定する(ステップS32)。さらに、制御部15’’は、温度検出部16から温度検出値を取得する(ステップS33)。
そして、制御部15’’は、記憶部14’’に記憶されている送信出力温度補正テーブル14dを参照して、温度検出値に対応する送信出力設定値の温度補正値を取得し(ステップS34)、当該取得した温度補正値を用いて、送信出力設定値を補正する(ステップS35)。また、制御部15’’は、記憶部14’’に記憶されている周波数補正テーブル14bを参照して、送信周波数設定値に対応する送信出力設定値の周波数補正値を取得し(ステップS36)、当該取得した周波数補正値を用いて、送信出力設定値をさらに補正する(ステップS37)。
そして、制御部15’’は、記憶部14’’に記憶されている送信出力校正テーブル14cを参照して、補正後の送信出力設定値に対応するAGC電圧設定値を取得し(ステップS38)、取得したAGC電圧設定値を送信部13のAGC電圧生成部13cに出力する(ステップS39)。
以下、上記のステップS34〜S39の処理について詳細に説明する。
図16は、送信出力温度補正テーブル14dの一例を示す図である。送信出力温度補正テーブル14dは、同じAGC電圧の下で、温度が変化したときの、常温(35°C)を基準とした送信出力のずれ量を示している。図16に示すように、送信出力は、同じAGC電圧の設定の下では、高温時に下がり、低温時には上がるものとなる。例えば、出力設定が26(dBm)の時に、70°Cでは、35°Cのときと比較して送信出力が2.06(dB)低下しており、10°Cでは、送信出力が1.81(dB)上昇している。
従って、高温時にはAGC電圧を上げて出力を高くし、低温時にはAGC電圧を下げて出力を抑えるように、この送信出力温度補正テーブル14dに基づいてAGC電圧を調整して、各温度において所定の出力がずれないように補正を行う。具体的には、例えば、送信出力設定値が「26(dBm)」で、温度検出値が「70°C」の場合、ステップS14において、送信出力温度補正テーブル14dから温度補正値として「2.06(dB)」が得られ、ステップS15において、温度補正値「2.06(dB)」を用いて送信出力設定値は「28(dBm)」に補正される。
また、例えば、送信周波数設定値が「2300.3125(MHz)」であった場合、ステップS36において、図13に示す周波数補正テーブル14bから周波数補正値として「1.0(dBm)」が得られ、ステップS37において、送信出力設定値は「29(dBm)」に補正される。そして、ステップS38において、送信出力校正テーブル14cから補正後の送信出力設定値「29(dBm)」に対応するAGC電圧設定値「889」が得られる。
このように得られたAGC電圧設定値「889」に対応するAGC電圧として2.6(V)がAGC電圧生成部13cにて生成されることになる。
なお、図5では、送信出力設定値「29(dBm)」に対応するAGC電圧設定値「889」の記載を省略しているが、送信出力設定値「29(dBm)」に対応するAGC電圧設定値は、送信出力設定値「28(dBm)」と「30(dBm)」との中間値になるため、「889」となる。
一方、制御部15’’は、記憶部14’’に記憶されているバイアス温度補正テーブル14eを参照して、温度検出値に対応する送信出力設定値の温度補正値を取得し(ステップS40)、記憶部14’’に記憶されているキャリア数補正テーブル14fを参照して、送信信号のキャリア数に対応する送信出力設定値のキャリア数補正値を取得する(ステップS41)。そして、制御部15’’は、ステップS35及びS37で補正された送信出力設定値を、ステップS40で取得した温度補正値およびステップS41で取得したキャリア数補正値を用いてさらに補正した後、記憶部14’’に記憶されているバイアス設定テーブル14aを参照して、補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を取得し(ステップS42)、当該取得したバイアス電圧設定値を送信部13のバイアス電圧生成部13iに出力する(ステップS43)。
以下、上記のステップS40〜S43の処理について詳細に説明する。図17は、高温(65°C)時のシングルキャリア送信時のパワーアンプ13jのACP特性を示す図である。高温(65°C)時のパワーアンプ13jのACP特性は、図6に示す常温(35°C)時の特性に比べて、特性が低出力側に1(dBm)シフトした形になり、常温時の特性に比べて、同じ送信出力ではACPは劣化している。これは、高温下では常温下に比べてパワーアンプ13jの出力段の飽和点が下がるためである。例えば、26(dBm)の出力で16QAMの変調波を送信する場合、常温時では、図6に示すように、3.6(V)のバイアス電圧で最適なACPが得られるが、高温時においては同じく26(dBm)出力においては、図17に示すように、4.2(V)のバイアス電圧で最適なACPが得られることとなる。すなわち、高温時においては26(dBm)出力における最適なバイアス設定は、常温時の27(dBm)出力設定におけるバイアス設定と同じになる。
図18は、バイアス温度補正テーブル14eの一例を示す図である。バイアス温度補正テーブル14eは、同じACP特性の下で、温度が変化したときの、常温(35°C)を基準とした送信出力のずれ量を示している。図18に示すように、送信出力は、同じACP特性の下では、高温時に上がり、低温時には下がるものとなる。例えば、出力設定が335°Cで26(dBm)の時に得られるACPに比べて、65°Cの場合、35°Cの時と比較して送信出力が1.00(dB)上昇した時のACPと同じ値になる。また、10°Cの場合、送信出力が0.71(dB)低下した時のACPと同じ値になる。
従って、温度変化時には、バイアス温度補正テーブル14eに基づいてバイアス電圧を調整して、各温度において最適なACP特性が得られるように補正を行う。具体的には、例えば、送信出力設定値が「26(dBm)」、送信周波数設定値が「2300.3125(MHz)」、送信キャリア数が「4」、温度検出値が「65°C」の場合、温度補正値として「1.00(dB)」、周波数補正値として「1.00(dBm)」、キャリア数補正値として「−2.5(dB)」が選択され、結果として25.5dBmに相当するバイアス値(ここでは、R1にDAC1、R2にDAC2)が選択されるものとなる。
図19は、無線通信装置30の処理の概念図である。無線通信装置30の制御部15’’は、図19に示すように、送信出力値、送信周波数、キャリア数、検出温度(回路温度)から、各補正量を算出し、最終的な送信出力、バイアス値を決定する。
以上説明したように、第3実施形態に係る無線通信装置30によれば、キャリア数、送信周波数及び送信出力、さらに温度に依存せずに、良好なACP特性を維持することができ、その結果、信号品質の低下を抑制することが可能となる。
以上、第1、第2、第3の各実施形態によれば、キャリア数が経時的に変化した場合であっても、良好なACP特性を維持し、信号品質の低下を抑制することができるようになる。具体的には、第1、第2、第3の各実施形態によれば、キャリア数補正値を用いて、割り当てるキャリア数に応じたキャリア数毎の最適なパワーアンプの出力制御を実現することができるようになる。また、第2の実施形態によれば、さらに、中心周波数近傍の送信出力に比べて帯域端のACPが劣化する点を考慮したパワーアンプの出力制御も実現することもできるようになる。また、第3の実施形態によれば、さらに、温度変化を考慮したパワーアンプの出力制御も実現することもできるようになる。
また、記憶部14(記憶部14’,記憶部14’’)内に記憶された各種テーブルに基づいて、キャリア数補正、周波数補正等を行うため、出力をモニターして調整する等の付属回路を必要とせず、小型化、低コスト化が実現できる。また、キャリア数補正テーブル14f等の値を変調クラス毎に規定したため、変調クラス毎に最適なACP特性が得られるようになる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態では、キャリア数補正テーブルの値は、キャリア数1を基準とした補正値を示しているが、キャリア数2以上の所定のキャリア数を基準とした補正値としても良い。
(2)上記実施形態では、パワーアンプ13jに3.6(V)または4.2(V)のバイアス電圧を設定したが、本発明は、これらのバイアス電圧値に限定されるものではなく、また、2つのバイアス電圧値に限定されるものではない。バイアス電圧は、パワーアンプ13jの特性によって異なる値となるので、バイアス設定テーブル14aは、パワーアンプ13jの特性に応じて設定される。また、上記実施形態では、送信出力設定値とバイアス電圧設定値との対応関係が変調クラス毎に設定されたバイアス設定テーブル14aを用意したが、変調クラスによって、送信出力設定値とバイアス電圧設定値との対応関係が異ならない場合には、変調クラス毎に送信出力設定値とバイアス電圧設定値との対応関係を設定する必要はない。
(3)上記実施形態では、図13に示したように、中心周波数から帯域端までの広い範囲について、送信周波数設定値と周波数補正値との対応関係を設定した周波数補正テーブル14bを用いた場合を例示した。これに対し、他の無線システムに与える不要輻射の影響が最も大きい(つまりACP特性の劣化が最も大きい)部分は帯域端であることから、図20に示すように、帯域端(周波数帯域の端部)に含まれる送信周波数設定値に対応する周波数補正値として「0」以外の値が設定され、帯域端を除く所定範囲に含まれる送信周波数設定値に対応する周波数補正値として「0」が設定された周波数補正テーブル14b’を用いて良い。
このような周波数補正テーブル14b’を用いることにより、周波数補正テーブルを特性劣化の顕著な帯域端に絞られ、帯域端以外の送信周波数設定値に対する補正処理が省略されるため、送信動作時における処理負荷を軽減することが可能となる。なお、周波数補正値として「0」が設定された部分で補正処理が省略されることを意味するため、図20では中心周波数に対応する周波数補正値「0」のみを図示している。
(4)上記実施形態では、予め記憶部14’(14’’)に記憶されたバイアス設定テーブル14a、キャリア数補正テーブル14f及び周波数補正テーブル14bを用いて、キャリア数、送信周波数及び送信出力に依存せずに良好なACP特性を維持可能なバイアス電圧設定値を決定する場合を例示した。これに対して、例えば、記憶部14’(14’’)にバイアス設定テーブル14a及びキャリア数補正テーブル14fを記憶しておき、送信周波数設定値が帯域端を除く所定範囲に含まれる場合、バイアス設定データ14aから送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定する一方、送信周波数設定値が帯域端に含まれる場合、周波数補正値およびキャリア数補正値による送信出力設定値を補正し、バイアス設定データ14aから補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定する機能を有する制御部を設けても良い。
これにより、上記(3)の変形例で説明したものと同じ効果(処理負荷の軽減)を得ることができる。
10、20…無線通信装置、11…アンテナ、12…受信部、13…送信部、14、14’,14’’…記憶部、15、15’、15’’…制御部、16…温度検出部、13j…パワーアンプ(電力増幅器)、14a…バイアス設定テーブル(バイアス設定データ)、14b…周波数補正テーブル(周波数補正データ)、14f…キャリア数補正テーブル(キャリア数補正データ)

Claims (5)

  1. 所定の周波数帯域の送信信号を送信する無線通信装置であって、
    マルチキャリアの送信信号を増幅するための電力増幅器と、
    予め、隣接チャンネル漏洩電力特性に基づいて設定された前記送信信号の送信出力設定値と前記電力増幅器のバイアス電圧設定値との対応関係を示すバイアス設定データと、
    前記送信信号を送信するサブキャリア数と前記送信出力設定値のキャリア数補正値との対応関係を示すキャリア数補正データと、を記憶する記憶部と、
    前記キャリア数補正データから前記送信信号を送信しようとするサブキャリア数に対応するキャリア数補正値を取得し、取得したキャリア数補正値を用いて前記送信出力設定値を補正し、前記バイアス設定データを基に、前記キャリア数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定する制御部と、
    を備えることを特徴とする無線通信装置。
  2. 前記記憶部は、前記送信信号の送信周波数設定値と前記送信出力設定値の周波数補正値との対応関係を示す周波数補正データを、さらに記憶し、
    前記制御部は、前記周波数補正データから前記送信信号の送信周波数設定値に対応する周波数補正値を更に取得し、取得した周波数補正値を用いて前記送信出力設定値を補正し、前記バイアス設定データを基に、前記キャリア数補正値および前記周波数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  3. 前記記憶部は、前記送信信号の送信周波数設定値と前記送信出力設定値の周波数補正値との対応関係を示す周波数補正データを、さらに記憶し、
    前記制御部は、前記現在の送信周波数設定値が前記周波数帯域の端部に含まれる場合、前記キャリア数補正値および前記周波数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定する一方、前記送信信号の送信周波数設定値が前記周波数帯域の端部を除く所定範囲に含まれる場合、前記キャリア数補正値による補正後の送信出力設定値に対応するバイアス電圧設定値を決定することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  4. 前記記憶部は、前記バイアス設定データを変調クラス毎に記憶し、
    前記制御部は、前記バイアス電圧設定値を決定する際、現在の変調クラスに対応するバイアス設定データを使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  5. 前記送信信号を送信する送信部の温度を検出する温度検出部をさらに備え、
    前記制御部は、前記温度検出部によって検出された前記温度に応じて、前記現在の送信出力設定値をさらに補正することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
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