JP2011121835A - 結晶の製造方法および結晶 - Google Patents
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Abstract
【課題】品質を向上した結晶の製造方法および結晶を提供する。
【解決手段】結晶の製造方法は、昇華法により結晶10を製造する方法であって、結晶10と異なる材料の下地基板を配置する工程と、設定温度まで昇温することで、下地基板上に第1の結晶11を成長する工程と、設定温度以上の温度で、第1の結晶11上に第2の結晶12を成長する工程とを備えている。第1の結晶11を成長する工程の雰囲気圧力は、第2の結晶12を成長する工程の雰囲気圧力よりも低い。
【選択図】図1
【解決手段】結晶の製造方法は、昇華法により結晶10を製造する方法であって、結晶10と異なる材料の下地基板を配置する工程と、設定温度まで昇温することで、下地基板上に第1の結晶11を成長する工程と、設定温度以上の温度で、第1の結晶11上に第2の結晶12を成長する工程とを備えている。第1の結晶11を成長する工程の雰囲気圧力は、第2の結晶12を成長する工程の雰囲気圧力よりも低い。
【選択図】図1
Description
本発明は結晶の製造方法および結晶に関し、たとえばAlxGa(1-x)N(0≦x≦1)(以下、AlGaNとも言う)結晶の製造方法およびAlGaN結晶に関する。
AlxGa(1-x)N(0≦x≦1)(アルミニウムガリウム窒素)などの結晶は、発光素子、電子素子、および半導体センサなどの半導体デバイスを形成するための材料として非常に有用である。
このようなAlGaN結晶の成長方法として、たとえば、昇華法により、下地基板を用いない自然核生成により成長する方法と、下地基板を用いて成長する方法とが挙げられる。自然核生成による成長では、大きなAlGaN結晶を安定して成長することが困難であった。このため、大きなAlGaN結晶を製造する場合には、一般的に下地基板を用いている。
下地基板を用いてAlGaN結晶を成長させる方法として、たとえば非特許文献1に、昇華法により炭化珪素(SiC)基板上にAlNを成長する方法が開示されている。
M. Miyanaga et al., "Evaluation of AlN single-crystal grown by sublimation method", Journal of Crystal Growth 300(2007), pp.45-49
しかしながら、上記特許文献1の結晶の成長方法には、以下の問題があることを本発明者は見出した。
すなわち、大気圧付近でAlN結晶を成長させると、SiC基板が高温に曝されるので、SiC基板が劣化しやすいという問題があることを本発明者は鋭意研究の結果見い出した。上記特許文献1では、窒素(N2)圧力を10〜90kPaに維持してAlN結晶を成長することが開示されている。このため、上記特許文献1では、SiC基板に孔があくなど下地基板が劣化する場合がある。下地基板に孔があくと、成長する結晶にも孔が発生してしまい、製造する結晶の品質が悪くなるという問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、品質を向上した結晶の製造方法および結晶を提供することである。
本発明の結晶の製造方法は、昇華法により結晶を製造する方法であって、結晶と異なる材料の下地基板を配置する工程と、設定温度まで昇温することで、下地基板上に第1の結晶を成長する工程と、設定温度以上の温度で、第1の結晶上に第2の結晶を成長する工程とを備えている。第1の結晶を成長する工程の雰囲気圧力は、第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも低い。
本発明者が鋭意研究した結果、減圧して結晶を成長することで、下地基板に孔があくことを抑制できることを見い出した。このため、第1の結晶を成長する工程の雰囲気圧力が第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも低い場合、第1の結晶を成長する際に下地基板に孔があくことを抑制できる。このため、下地基板に孔があくことを抑制した状態で、下地基板に第1の結晶を形成することができる。第1の結晶で下地基板を覆った状態で、設定温度以上で第2の結晶を成長すると、原料と第1の結晶とは同じ組成であるので、第1の結晶により下地基板が雰囲気に曝されることを抑制できる。このため、下地基板および第1の結晶に孔があくことを抑制できる。したがって、設定温度を第2の結晶の品質を向上する温度に設定することにより、孔があくことを抑制し、さらに品質を向上した結晶を製造することができる。
上記結晶の製造方法において好ましくは、第1および第2の結晶を成長する工程では、AlxGa(1-x)N(0≦x≦1)結晶を成長する。これにより、品質を向上したAlGaN結晶を製造することができる。
上記結晶の製造方法において好ましくは、第1の結晶を成長する工程は、30分以下である。
本発明者が鋭意研究した結果、第1の結晶を成長する時間、つまり設定温度までの昇温時間が30分以内の場合に、下地基板に孔が発生することをより効果的に低減できることを見い出した。このため、第1の結晶を成長する工程が30分以下の場合、より品質を向上した結晶を製造することができる。
上記結晶の製造方法において好ましくは、第1の結晶を成長する工程の雰囲気圧力は、第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも50kPa以下低い。
本発明者が鋭意研究した結果、第1の結晶を成長する雰囲気圧力を第2の結晶を成長する雰囲気圧力よりも50kPa以下低くした場合に、下地基板に孔が発生することをより効果的に低減できることを見い出した。このため、第1の結晶を成長する工程の雰囲気圧力を第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも50kPa以下低くすることにより、品質を向上した結晶を製造することができる。
上記結晶の製造方法において好ましくは、第2の結晶を成長する工程は、設定温度で、第2の結晶の一部を成長する工程と、設定温度を超えた温度で、第2の結晶の残部を成長する工程とを含む。
これにより、第2の結晶の残部の成長速度を向上できるので、製造コストを低減できる。
本発明の結晶は、第1の結晶と、第1の結晶上に形成された第2の結晶とを備え、第1および第2の結晶の空孔数は、81%以下である。
本発明の結晶は、孔の発生が抑制された第1の結晶上に第2の結晶が形成されているので、第2の結晶に発生する孔が抑制され、品質を向上することができる。
本発明の結晶の製造方法および結晶によれば、結晶の品質を向上することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態における結晶10を説明する。結晶10は、第1の結晶11と、第1の結晶11上に形成された第2の結晶12とを備えている。
図1を参照して、本実施の形態における結晶10を説明する。結晶10は、第1の結晶11と、第1の結晶11上に形成された第2の結晶12とを備えている。
第1の結晶11および第2の結晶12は、同じ材料であり、たとえばAlGaN、SiC、セレン化亜鉛(ZnSe)などであり、好ましくはAlGaNであり、より好ましくはAlNである。
第1および第2の結晶11、12の空孔数の割合は、81%以下であり、63%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。第1および第2の結晶11、12の空孔数の割合が上記範囲内の場合、第1および第2の結晶11、12を備えた結晶10を用いて半導体デバイス等の材料に好適に用いることができる。なお、第1および第2の結晶11、12の空孔数の割合はほぼ同じである。
上記空孔数の割合は、光学顕微鏡により、視野を50μm四方として、10点以上において、主面上の空孔の面積を測定し、主表面の面積に対する空孔の面積の割合を求めた値である。
第1の結晶11の厚みH11は、たとえば1mm以上10mm以下であり、第2の結晶12の厚みH12は、たとえば1mm以上50mm以下である。
第1および第2の結晶11、12は、低転位領域11a、12aと、高転位領域11b、12bとをそれぞれ有している。なお、「高転位領域11b、12b」とは、低転位領域11a、12aよりも転位密度が高い領域を意味し、低転位領域11a、12aと比べて、たとえば2桁程度以上転位密度が高い領域である。たとえば、高転位領域11b、12bの転位密度は1×108cm-2を超えており、低転位領域11a、12aの転位密度は1×108cm-2以下であり、好ましくは1×106cm-2以下である。
本実施の形態では、第1の結晶11の高転位領域11bは積層方向に延びており、第2の結晶12の高転位領域12bは第1の結晶11の高転位領域11bを引継ぎ、かつ積層方向と交差する方向に延びている。つまり、第2の結晶12の転位密度は、第1の結晶11の転位密度よりも低い。
続いて、図1〜図3を参照して、本実施の形態における結晶10の製造方法について説明する。本実施の形態では、図2に示す結晶製造装置100を用いて、昇華法により結晶10を製造する。
ここで、図2を参照して、本実施の形態の結晶の製造に使用可能な成長装置である結晶製造装置100の主要な構成について説明する。この結晶製造装置100は、昇華法により結晶成長する装置である。
図2に示すように、結晶製造装置100は、チャンバー101と、加熱体121と、反応容器123と、加熱部125と、制御部131、132とを主に備えている。
チャンバー101は、排気口101aを有している。このチャンバー101の周りには、チャンバー101の内部と外部との通気を確保するように加熱体121が設けられている。この加熱体121の周りには、反応容器123が設けられている。この反応容器123の外側中央部には、加熱体121を加熱するための高周波加熱コイルなどの加熱部125が設けられている。
加熱体121および反応容器123の一方端部には、反応容器123内に配置されたチャンバー101へたとえば窒素ガスなどのキャリアガスを流すための導入口121a、123aと、反応容器123の外部へキャリアガスを排出するための排出口121b、123bとを有している。
反応容器123の導入口123aおよび排出口123bには、制御部131、132がそれぞれ設けられている。制御部131、132は、反応容器123の導入口123aおよび排出口123bをそれぞれ介して、チャンバー101の内部の雰囲気圧力を制御する。制御部131、132は、たとえば導入口123aに導入されるキャリアガスの流量および排出口123bから排出されるキャリアガスの流量を調整することにより、チャンバー101の内部の雰囲気圧力を制御する。
また、反応容器123の上部および下部には、チャンバー101の上方および下方の温度を測定するための放射温度計127a、127bが設けられている。
なお、上記結晶製造装置100は、上記以外の様々な要素を含んでいてもよいが、説明の便宜上、これらの要素の図示および説明は省略する。
まず、図2および図3に示すように、下地基板13を準備する。下地基板は、製造する結晶11と異なる材料であり、AlN結晶を成長させる場合にはSiC基板、サファイア基板などの異種基板を用いる。また、たとえば2インチ以上の大きさの主表面を有する下地基板13を準備することが好ましい。これにより、大口径のAlGaNバルク結晶を成長させることができる。準備した下地基板13は、チャンバー101の上部に設置する。
次に、結晶10の原料17を準備する。原料17は、たとえばAlN結晶を製造する場合には、多結晶のAlNである。準備した原料17は、下地基板13と互いに向かい合うように、チャンバー101の下部に設置する。
次に、設定温度まで昇温することで、下地基板13上に第1の結晶11を成長する。この第1の結晶11を成長する工程の雰囲気圧力は、後述する第2の結晶12を成長する工程での雰囲気圧力よりも低く、50kPa以下低いことが好ましく、80kPa以下低いことが好ましい。この場合、第1の結晶11を成長している間に、下地基板13に孔が発生することをより効果的に低減できるので、後述する第2の結晶12の品質を向上することができる。第1の結晶11を成長する工程の雰囲気圧力は、たとえば10kPa以上40kPa以下である。なお、第1の結晶11を成長する工程の雰囲気圧力は、結晶性を維持する観点からたとえば10kPa以上であることが好ましい。
具体的には、設定温度まで原料17を加熱部125により加熱する。なお、設定温度は、原料17が昇華する温度以上の温度である。この加熱により、原料17が昇華して昇華ガスを生成する。この昇華ガスを、原料17よりも低温に設置されている下地基板13の表面に再度固化させる。これにより、下地基板13上に第1のN結晶11が成長する。
第1の結晶11を成長する工程では、チャンバー101の内部を設定温度まで昇温する。設定温度は、たとえば2150℃以上である。また、設定温度は、たとえばチャンバー101において原料17の温度を意味する。
また、第1の結晶11を成長する時間、つまり室温(たとえば25℃程度)から設定温度までの昇温時間は、60分以下が好ましく、30分以下がより好ましい。この場合、第1の結晶11を成長している間に、下地基板13に孔が発生することをより効果的に低減できるので、後述する第2の結晶12の品質をより向上することができる。
この工程では、下地基板13を保護する観点から、たとえば1mm以上10mm以下の厚みの第1の結晶11を成長する。
この工程の雰囲気圧力は低いので、下地基板13の昇華を抑制できるため、図3に示すように、下地基板13を覆うように第1の結晶12を形成できる。しかし、雰囲気圧力が低いので、第1の結晶11には、高転位領域11bが発生する。
次に、図3に示すように、設定温度以上の温度で、第1の結晶11上に第2の結晶12を成長する。この第2の結晶12を成長する工程の雰囲気圧力は、第1の結晶11を成長する工程の雰囲気圧力よりも高く、50kPa以上高いことが好ましい。たとえばAlGaN結晶を成長する場合、窒素(N)の蒸気圧が高いため、アルミニウム(Al)やガリウム(Ga)が堆積しNが抜けやすいが、第2の結晶12を成長する工程の雰囲気圧力を第1の結晶11を成長する工程の雰囲気圧力の50kPa以上高くできるので、N抜けを抑制することができる。これにより、成長する第2の結晶12の品質を向上できる。第2の結晶12を成長する工程での雰囲気圧力は、たとえば90kPa以上100kPa以下である。
具体的には、チャンバー101内が設定温度に到達しているので、設定温度以上で原料17を加熱部125により加熱する。この加熱により、原料17が昇華して昇華ガスを生成する。この昇華ガスを、原料17よりも低温に設置されている下地基板13上の第1の結晶11の表面に再度固化させる。これにより、第1の結晶11上に第2の結晶12を成長できる。
第2の結晶12を成長する工程では、設定温度で、第1の結晶11に接するように第2の結晶12の一部を成長し、その後、設定温度を超えた温度で、第2の結晶12の一部上に、第2の結晶12の残部を成長してもよい。この場合には、第2の結晶12の残部の成長速度を向上できるので、製造コストを低減できる。また、この場合、コストを低減して厚みの大きな結晶10を製造する観点から、たとえば、設定温度で1mm以上50mm以下の厚みの第2の結晶の一部を成長した後に、設定温度を超える温度で1mm以上50mm以下の厚みの第2の結晶12を成長する。
第1の結晶11は原料17よりも低温に設定されているので、第1の結晶は昇華されにくく、この第1の結晶11に下地基板13が覆われているので、第2の結晶12の下地基板になる第1の結晶11および下地基板13に孔が発生することを抑制できる。このため、この工程では、孔の発生が抑制された第2の結晶12を成長することができる。また、第1の結晶11に発生した高転位領域11bは、第2の結晶12において、図3に示すように、高転位領域11bを引き継ぐが、成長方向と交差する方向(本実施の形態では、成長方向と直交する方向)に広がる。このため、第2の結晶12の成長方向にしたがって、高転位領域12bを低減することができる。さらに、この工程の雰囲気圧力は高いので、品質を向上した第2の結晶12を成長することができる。
第1および第2の結晶11、12を成長する工程では、雰囲気圧力を制御している。たとえば図2に示す制御部131、132により、キャリアガスの流量、速度を調整する。具体的には、第1の結晶11を成長する工程と、第2の結晶12を成長する工程との間に、制御部131によりチャンバー101内へ流すキャリアガスの流量(または流速)を増加するとともに、制御部132によりチャンバー101からキャリアガスを排出する排出量を減少する。この場合、チャンバー101内の雰囲気圧力を高めることができる。制御部131によりキャリアガスの流速を上げることにより、チャンバー101内の雰囲気を加圧する速度を高めることもできる。
次に、少なくとも下地基板13を除去する。本実施の形態では、下地基板13のみを除去しているが特に限定されず、下地基板13、および、第1の結晶12、第2の結晶の一部を除去してもよい。
除去する方法は特に限定されず、たとえば切断、研削、へき開など機械的な除去方法を用いることができる。切断とは、電着ダイヤモンドホイールの外周刃を持つスライサーなどで機械的に少なくとも下地基板13を除去することをいう。研削とは、砥石を回転させながら表面に接触させて、厚み方向に削り取ることをいう。へき開とは、結晶格子面に沿って下地基板13を分割することをいう。なお、エッチングなど化学的な除去方法を用いてもよい。その後、結晶10の両面を研削、研磨などにより平坦化してもよい。
上記工程を実施することにより、図1に示す本実施の形態の結晶10を製造することができる。
以上説明したように、本実施の形態における結晶10およびその製造方法によれば、結晶10と異なる材料の下地基板13を配置する工程と、設定温度まで昇温することで、下地基板13上に第1の結晶11を成長する工程と、設定温度以上の温度で、第1の結晶11上に第2の結晶12を成長する工程とを備え、第1の結晶11を成長する工程の雰囲気圧力は、第2の結晶12を成長する工程の雰囲気圧力よりも低い。
本発明者が鋭意研究した結果、減圧して結晶を成長することで、下地基板13に孔があくことを抑制できることを見い出した。このため、第1の結晶11を成長する工程の雰囲気圧力が第2の結晶12を成長する工程の雰囲気圧力よりも低い場合、第1の結晶11を成長する条件において下地基板13に孔があくことを抑制できる。このため、下地基板13に孔があくことを抑制した状態で、下地基板に第1の結晶11を形成することができる。第1の結晶11で下地基板13を覆った状態で、設定温度以上で第2の結晶を成長すると、原料17と第1の結晶11とは同じ組成であるので、第1の結晶11により下地基板13が雰囲気に曝されることを抑制できる。このため、下地基板13および第1の結晶11に孔があくことを抑制できる。したがって、設定温度を第2の結晶12の品質を向上する温度に設定することにより、孔があくことを抑制し、さらに品質を向上した結晶10を製造することができる。
特に、第1の結晶11に発生した高転位領域11bは、第2の結晶12において、成長方向と交差する方向(本実施の形態では、成長方向と直交する方向)に延びる。このため、第2の結晶12の転位密度を低減することもできる。
本実施の形態における結晶10の製造方法において好ましくは、下地基板13はSiCであり、結晶10はAlGaNである。大気圧付近ではAlGaNは昇華してガスになりにくい一方、SiC基板はAlGaNを昇華させる温度では昇華しやすい。このため、従来、AlGaNを成長する雰囲気では、SiC基板の昇華により、原料17の昇華ガス(AlGaNガス)が下地基板13に到達する前にSiC基板が昇華してしまうという問題があった。しかし、本実施の形態では、上述したように、減圧して第1の結晶11を成長することにより、下地基板13が昇華されることを抑制できるので、SiC基板を下地基板に用いても、品質を向上したAlGaN結晶を成長できる。このため、大きなAlGaN結晶を成長することもできる。
このように本実施の形態における結晶10は、品質を向上できるので、たとえばトンネル磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子などの種々の磁気抵抗効果を利用した機能デバイス、発光ダイオード、レーザダイオードなどの発光素子、整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、スピンFET、HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)などの電子素子、温度センサ、圧力センサ、放射線センサ、可視−紫外光検出器などの半導体センサ、SAWデバイスなどに好適に広く用いることができる。
(実施の形態2)
図4を参照して、本実施の形態における結晶20について説明する。本実施の形態における結晶20は、実施の形態1の結晶10の第2の結晶10において、高転位領域12bが低減されている。
図4を参照して、本実施の形態における結晶20について説明する。本実施の形態における結晶20は、実施の形態1の結晶10の第2の結晶10において、高転位領域12bが低減されている。
結晶20の空孔数は、81%以下であり、63%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。空孔率が上記範囲内の場合、半導体デバイス等の材料に好適に用いることができる。
続いて、図4および図5に示すように、本実施の形態における結晶20の製造方法について説明する。
まず、実施の形態1にしたがって、下地基板13上に、第1および第2の結晶11、12を成長する。
次に、図5に示すように、下地基板13、第1の結晶11および第2の結晶12の一部を除去する。第2の結晶12の高転位領域12bが多く発生している領域を除去することが好ましい。本実施の形態では、図5における線21で除去している。
第1および第2の結晶11、12の高転位領域11b、12bは、たとえばTEMで観察できるので、高転位領域11b、12bを特定することができる。このため、第2の結晶12の高転位領域12bを低減した位置(線21)で下地基板13、第1の結晶11および第2の結晶12の高転位領域12bを除去することができる。
上記工程を実施することにより、図4に示す本実施の形態の結晶20を製造することができる。
以上説明したように、本実施の形態における結晶20およびその製造方法によれば、第2の結晶12の品質の良好な部分のみを切り出すことにより、結晶20を製造している。このため、品質を向上した結晶20を製造することができる。
本実施例では、第1の結晶を成長する工程の雰囲気圧力が、第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも低いことによる効果について調べた。
(本発明例1〜6)
本発明例1〜6のAlGaN結晶は、基本的には実施の形態1にしたがって、製造した。
本発明例1〜6のAlGaN結晶は、基本的には実施の形態1にしたがって、製造した。
具体的には、まず、下地基板13として、2インチで、主面が(0001)面のSiC単結晶基板を準備した。また、下記の表1に記載のそれぞれの結晶の原料17をチャンバー101の内部に配置した。
次に、チャンバー101の雰囲気圧力を下記の表1に記載の圧力にして、下記の表1に記載の時間で、室温から設定温度まで昇温して、下記の表1の組成比のAlGaNを第1の結晶11として成長した。設定温度は、原料17の温度とし、本発明例1〜6では、2250℃とした。
次に、キャリアガスの流量を200sccmまで増加して、チャンバー101の雰囲気圧力を90kPaに加圧し、設定温度(原料17の温度が2250℃)で、下記の表1に記載の組成比のAlGaNを第2の結晶12として成長した。
以上の工程を実施することにより、本発明例1〜6の2インチのAlGaN結晶を製造した。
(比較例1および2)
比較例1および2のAlGaN結晶は、基本的には、本発明2および5と同様に製造したが、第1の結晶11を成長する雰囲気圧力と第2の結晶12を成長する雰囲気圧力とを同じ90kPaとした点において異なっていた。
比較例1および2のAlGaN結晶は、基本的には、本発明2および5と同様に製造したが、第1の結晶11を成長する雰囲気圧力と第2の結晶12を成長する雰囲気圧力とを同じ90kPaとした点において異なっていた。
(評価方法)
本発明例1〜6および比較例1、2の結晶について、下地基板13および第1の結晶11との界面の空孔密度を測定した。空孔数の割合の測定は、光学顕微鏡により、視野を50μm四方とし、10点において、主面上の空孔の面積を測定し、主表面の面積に対する空孔の面積の割合を求めた値である。その結果を下記の表1に記載する。
本発明例1〜6および比較例1、2の結晶について、下地基板13および第1の結晶11との界面の空孔密度を測定した。空孔数の割合の測定は、光学顕微鏡により、視野を50μm四方とし、10点において、主面上の空孔の面積を測定し、主表面の面積に対する空孔の面積の割合を求めた値である。その結果を下記の表1に記載する。
(評価結果)
表1に示すように、第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも低い雰囲気圧力で第1の結晶を成長した本発明例1〜6は、第1および第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力を同じにした比較例1および2に比べて、空孔数の割合を81%以下に低減できた。
表1に示すように、第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも低い雰囲気圧力で第1の結晶を成長した本発明例1〜6は、第1および第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力を同じにした比較例1および2に比べて、空孔数の割合を81%以下に低減できた。
特に、第1の結晶を成長する工程が第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも80kPa以下低かった本発明例1、2、4および5は、空孔数の割合を63%と非常に低減できた。
さらに、第1の結晶を成長する工程が30分以下で、かつ第1の結晶を成長する工程の雰囲気圧力が第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも80kPa以下低かった本発明例1および4は、空孔数の割合を45%以下と最も低減できた。
以上より、本実施例によれば、第1の結晶を成長する工程の雰囲気圧力を、第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも低くすることにより、結晶に発生する空孔を低減できることが確認できた。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、各実施の形態および実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,20 結晶、11 第1の結晶、11a,12a 低転位領域、11b,12b 高転位領域、12 第2の結晶、13 下地基板、17 原料、21 線、100 結晶製造装置、101 チャンバー、101a 排気口、121 加熱体、121a,123a 導入口、121b,123b 排出口、123 反応容器、125 加熱部、127a,127b 放射温度計、131,132 制御部。
Claims (6)
- 昇華法により結晶を製造する方法であって、
前記結晶と異なる材料の下地基板を配置する工程と、
設定温度まで昇温することで、前記下地基板上に第1の結晶を成長する工程と、
前記設定温度以上の温度で、前記第1の結晶上に第2の結晶を成長する工程とを備え、
前記第1の結晶を成長する工程の雰囲気圧力は、前記第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも低い、結晶の製造方法。 - 前記第1および第2の結晶を成長する工程では、AlxGa(1-x)N(0≦x≦1)結晶を成長する、請求項1に記載の結晶の製造方法。
- 前記第1の結晶を成長する工程は、30分以下である、請求項1または2に記載の結晶の製造方法。
- 前記第1の結晶を成長する工程の雰囲気圧力は、前記第2の結晶を成長する工程の雰囲気圧力よりも50kPa以下低い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結晶の製造方法。
- 前記第2の結晶を成長する工程は、
前記設定温度で、前記第2の結晶の一部を成長する工程と、
前記設定温度を超えた温度で、前記第2の結晶の残部を成長する工程とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の結晶の製造方法。 - 第1の結晶と、
前記第1の結晶上に形成された第2の結晶とを備え、
前記第1および第2の結晶の空孔数は、81%以下である、結晶。
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