JP2011120642A - 環状連結体 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸方向に対向し、隣接する環状部材が互いに分離(分解)自在に連結されることにより指輪等、環状、あるいは管状の装飾品その他の製品を構成する環状連結体において、環状部材の連結と分離を手軽に行うことを可能にする。
【解決手段】軸方向に対向し、この対向する突き合わせ面2a、3aが互いに接触した状態で連結される複数個の環状部材2、3から環状連結体1を構成し、軸方向に隣接する2個の環状部材2、3の内、一方の環状部材2の突き合わせ面2aから軸方向に凹部2bを形成し、他方の環状部材3の突き合わせ面3aに、凹部2bに軸方向に嵌合可能で、凹部2bに、環状部材2、3の放射方向に対向する凸部3bを形成する。
放射方向に対向する凹部2bの対向面2cと凸部3bの対向面3cの内、少なくともいずれか一方の対向面2c、3cに周方向の一方側から他方側へかけて放射方向内周側から外周側へ、もしくは外周側から内周側へ向かう傾斜を付ける。
【選択図】図1

Description

本発明は軸方向に対向し、隣接する環状部材が互いに分離(分解)自在に連結されることにより完成し、指輪等、環状の装飾品を始め、環状、あるいは管状の置物、遊戯具、装身具その他の製品(物品)を構成する環状連結体に関するものである。
複数個の環状部材がその軸方向に対向しながら配列し、隣接する環状部材が互いに分離自在に連結されることにより連結体を構成する場合、隣接する環状部材は主に螺合(ねじ)によって連結される方法と(特許文献1参照)、回転を利用した係合によって連結される方法(特許文献2参照)に大別される。
特開2008−100767号公報(請求項1、段落0019〜0040、図3〜図5) 特開平8−107981号公報(請求項1、段落0020〜0027、図1〜図4、図6〜図8)
特許文献1のように螺合による方法では連結状態で分離しにくく、安定性が高い利点があるため、例えば連結状態での使用時に何らかの外力を受けるような部材においては適切な連結方法と言える。但し、単なる装飾品や置物のように外力を受けることがないか、受けても程度が小さい製品においては連結と分離の手軽さに欠けるため、例えば複数個の環状部材の自由な配列や組み合わせが可能で、配列や組み合わせを相違させることで、外観に変化を与えるような製品には馴染まない。
特許文献2のように一方の環状部材の端部に鉤状の溝を形成する一方、他方の環状部材の端部に溝に係合可能な突起やフック等を形成する方法によれば、少なくともいずれか一方を他方に対して相対的に回転させることで、突起等を溝に嵌合させることができるため、螺合による方法より連結の手軽さはある。また螺合によれば、連結されるべき2個の環状部材が螺合に伴って互いに軸方向に接近することになるが、回転係合による方法では対向する環状部材間の距離に変化は生じない。
しかしながら、回転係合による方法では係合状態を解除する際に、突起を半径方向に押圧する作業を必要とするため、連結状態にある2個の環状部材の表面側から突起を押圧操作するための開口を形成しておくことが必要になる。従って例えば開口の形成が製品(連結体)の外観意匠(デザイン)、あるいは機能に与える影響が大きいために、環状部材の表面側から内部に向けて貫通する開口を形成することができない製品には適用することができない。
本発明は上記背景より、環状部材の連結と分離を手軽に行うことを可能にしながら、連結状態の解除のために表面側からの操作を必要としない形態の連結構造を有する環状連結体を提案するものである。
請求項1に記載の発明の環状連結体は、軸方向に対向し、この対向する突き合わせ面が互いに接触した状態で連結される複数個の環状部材を備え、軸方向に隣接する2個の環状部材の内、一方の環状部材の突き合わせ面から軸方向に凹部が形成され、他方の環状部材の突き合わせ面に、前記凹部に軸方向に嵌合可能で、前記凹部に、前記環状部材の放射方向に対向する凸部が形成され、
放射方向に対向する前記凹部の対向面と前記凸部の対向面の内、少なくともいずれか一方の対向面に周方向の一方側から他方側へかけて放射方向内周側から外周側へ、もしくは外周側から内周側へ向かう傾斜が付けられており、
前記軸方向に隣接する2個の環状部材は、一方の環状部材が軸の回りに他方の環状部材に対して相対的に回転させられることで、前記凸部の対向面と前記凹部の対向面が放射方向に互いに圧力を及ぼし合った状態で分離自在に連結可能であることを構成要件とする。
「環状部材の放射方向」とは、環状部材の軸に直交する断面形状が円環状でない場合を含めて環状部材の軸に直交する断面上の中心から外側へ伸びる方向を指すが、環状部材の断面形状が図示するような円環状であれば、放射方向は半径方向になるため、図示する例では放射方向は半径方向と同義になる。
「周方向の一方側から他方側へかけて」とは、環状部材の軸(中心)からの距離が等しい線上(円周上)の任意の2点を円弧に沿って結ぶときに、その内の一方の点から他方の点にかけての意味であり、「相対的に回転する環状部材の回転時の前方側から後方側へかけて」の意味である。「放射方向内周側から外周側へ」とは放射方向(半径方向)に見たときにその方向の外側(中心からの距離が大きい点)から内側(中心からの距離が小さい点)へ向かう向きを指し、「外周側から内周側へ」はその逆向きを指す。
対向面の傾斜が外周側から内周側へ向かうか、内周側から外周側へ向かうかは、隣接する環状部材が連結されるときに、一方の環状部材が他方の環状部材に対していずれの向きに回転するか(反時計回りか時計回りか)と、いずれかの対向面が放射方向内周側を向いているか、外周側を向いているかによって決まる。
例えば図3−(a)、(b)に示すように一方の(凸部を有する)環状部材が他方の(凹部を有する)環状部材に対して相対的に反時計回りに回転することにより他方の環状部材に連結される場合に、凸部の対向面が放射方向外周側を向き、凹部の対向面が放射方向内周側を向いている場合には、一方の環状部材が連結の向きへ回転することで、凸部の対向面が凹部の対向面に接触(密着)することにより連結状態になる。「連結」とは、両環状部材の軸回りの相対的な回転によって後述のように凸部の対向面と凹部の対向面が互いに半径方向に密着した状態を維持し、逆回りに力(捩りモーメント)を受けない限り、密着状態が解除されない状態のこと言う。
この関係で、一方の(凸部を有する)環状部材における凸部の対向面が、その回転時の前方側から後方側へかけて相対的に静止しているか、逆回りに回転する他方の(凹部を有する)環状部材における凹部の対向面に接近していくよう、図4−(a)、(b)に示すように凸部の対向面と凹部の対向面の少なくともいずれか一方に、回転時の前方側から後方側へかけて放射方向内周側から外周側へ向かう傾斜が付けられる。図4−(a)、(b)は凸部の対向面が放射方向外周側を向き、凹部の対向面が内周側を向いている場合の例を示している。
図4−(c)、(d)に示すように一方の(凸部を有する)環状部材が他方の(凹部を有する)環状部材に対して反時計回りに回転することにより他方の環状部材に連結される場合において、図4−(a)、(b)とは逆に、凸部の対向面が放射方向内周側を向き、凹部の対向面が外周側を向いている場合には、凸部の対向面と凹部の対向面の少なくともいずれか一方に、回転時の前方側から後方側へかけて放射方向外周側から内周側へ向かう傾斜が付けられる。
例えば「(凹部の対向面と凸部の対向面のいずれかに)周方向の一方側から他方側へかけて放射方向外側から内側へ向かう傾斜が付けられる」とは、換言すれば、周方向の一方側(回転時の前方側)から他方側(後方側)へかけて軸(中心)からの距離(半径)が変化すること、例えば周方向の一方側から他方側へかけて半径が次第に、あるいは段階的に増大するか、減少することを言う。
ここで言う「傾斜」は図3−(a)、(b)に示すように円弧状をなす環状部材の内周面に、図4−(a)に示すようにある特定の点を通る法線に垂直な接線を引き、凸部の対向面と凹部の対向面にも前記法線上に接線を引いたとき、環状部材内周面における接線と、対向面における接線とのなす角度が大きい場合に傾斜の程度が大きく、角度が小さい場合に傾斜の程度が小さいことになる。
この傾斜が付けられる一方の(凸部、または凹部の)対向面に対向する他方の(凹部、または凸部の)対向面には図4−(a)に示すように一方の(凸部、または凹部の)対向面と同様の向きの傾斜が付けられる場合と、図4−(b)に示すように一方の(凸部の)対向面に傾斜がなく、周方向の一方側から他方側へかけて軸(中心)からの距離(半径)に変化がない場合がある。
図4−(a)は凸部の対向面と凹部の対向面の双方に傾斜が付けられた場合で、凸部の対向面の傾斜の程度が凹部の対向面の傾斜の程度より大きい場合、(b)は凸部の対向面に傾斜がなく、凹部の対向面に傾斜が付けられた場合を示しているが、凸部の対向面の傾斜の程度が凹部の対向面の傾斜の程度より小さい場合もある。
対向面の傾斜は前記の通り、図4−(a)、(b)に示すように凸部の放射方向外周側の面が対向面になる場合には、凹部に凸部が軸方向に嵌合した状態から、凸部を有する環状部材の、凹部を有する環状部材に対する相対的な回転によって凸部と凹部のいずれかが回転する向きに見たとき、回転の前方側(周方向の一方側)から後方側(周方向の他方側)へかけて軸(中心)からの距離(半径)が次第に増大するように付けられる。
図4−(a)は凸部外周側の対向面と凹部内周側の対向面に、凸部を有する環状部材の、矢印で示す回転の前方側から後方側へかけて軸からの距離が増大するような傾斜が付けられた場合、(b)は凹部内周側の対向面のみに、凸部を有する環状部材の回転の前方側から後方側へかけて軸からの距離が増大するような傾斜が付けられた場合である。
図4−(c)、(d)に示すように凸部の放射方向内周側の面が対向面になる場合には、対向面の傾斜は逆に、凹部に凸部が軸方向に嵌合した状態から、回転の前方側(周方向の一方側)から後方側(周方向の他方側)へかけて軸(中心)からの距離(半径)が次第に減少するように付けられる。
図4−(c)は凸部内周側の対向面と凹部外周側の対向面に、凸部を有する環状部材の、矢印で示す回転の前方側から後方側へかけて軸からの距離が減少するような傾斜が付けられた場合、(d)は凹部外周側の対向面のみに、凸部を有する環状部材の回転の前方側から後方側へかけて軸からの距離が減少するような傾斜が付けられた場合である。(c)では凸部内周側対向面の傾斜の程度が凹部外周側対向面の傾斜の程度より大きい場合を示しているが、凸部内周側対向面の傾斜の程度は凹部外周側対向面の傾斜の程度より小さい場合もある。
図4−(e)、(f)に示すように凹部がその側の環状部材の厚さ方向(半径方向)の中途(中間部)に形成されている場合には、図4−(a)と(c)の組み合わせから、凸部外周側の対向面と凹部内周側の対向面が回転の前方側から後方側へかけて軸からの距離が増大するように傾斜し、凸部内周側の対向面と凹部外周側の対向面が回転の前方側から後方側へかけて軸からの距離が減少するように傾斜する。
または図4−(b)と(d)の組み合わせから、凹部内周側の対向面が回転の前方側から後方側へかけて軸からの距離が増大するように傾斜し、凹部外周側の対向面が回転の前方側から後方側へかけて軸からの距離が減少するように傾斜する。
図4−(e)に示す凸部と凹部の対向面は図4−(a)と(c)を組み合わせた形、(f)に示す凸部と凹部の対向面は図4−(b)と(d)を組み合わせた形であるが、凸部の対向面と凹部の対向面は図4−(a)と(d)を組み合わせた形、または図4−(b)と(c)を組み合わせた形になることもある。
いずれの場合も、対向面の傾斜はその対向面(凸部、もしくは凹部)を有する環状部材の、他方の環状部材に対する相対的な回転に伴い、回転の前方側(周方向の一方側)から後方側(周方向の他方側)へかけて他方の環状部材の対向面との距離が縮小する向きに入れられる(請求項2)。換言すれば、回転の前方側(周方向の一方側)から後方側(周方向の他方側)へかけて一方の環状部材の対向面が他方の環状部材の対向面に接近するような傾斜(曲面)が付けられる。傾斜は円弧面(筒状面)に対して入れられるから、基本的には円筒面等、曲面になるが、多角形状(多面体状)に入れられることもある。
例えば図4−(a)、(b)に示すように凸部が凹部の放射方向内周側に位置する場合、凸部の対向面は放射方向外周側を向き、凹部の対向面は放射方向内周側を向くから、前記のように対向面の傾斜は凸部の凹部側(外周側)の対向面と、凹部の凸部側(内周側)の対向面の少なくともいずれか一方に付けられる。
図4−(a)に示すように凸部の凹部側の対向面が回転の前方側(周方向の一方側)から後方側(周方向の他方側)へかけて軸(中心)からの距離(半径)が次第に増大するように付けられた場合には、凸部を有する環状部材の回転に伴い、凸部の対向面はその前方側から後方側へかけて次第に凹部の対向面に接近し(凹部の対向面との距離が縮小し)、接触していく。(b)の場合も同様に凸部を有する環状部材の回転に伴い、凸部の対向面はその前方側から後方側へかけて次第に凹部の対向面に接近し(凹部の対向面との距離が縮小し)、接触していく。
凸部の対向面と凹部の対向面が互いに接近し(両対向面間距離が縮小し)、接触が進むことで、両対向面は次第に放射方向に圧力を及ぼし合うことになる。図4−(a)の場合、凸部に対向する凹部の(内周側の)対向面には必ずしも傾斜が付けられる必要はない。図4−(c)の場合も、凸部に対向する凹部の(外周側の)対向面には必ずしも傾斜が付けられる必要はない。
但し、図4−(a)、(c)に示すように凹部の対向面に、凸部が回転するときの前方側から後方側へかけて凸部の対向面と同様の向き、すなわち前方側から後方側へかけて軸(中心)からの距離(半径)が次第に増大する向きの傾斜が付けられることで、凸部を有する環状部材の回転によって急激にではなく、徐々に対向する両対向面を接触させることが可能になる。この場合、凸部の対向面と凹部の対向面の接触の進行により次第に圧力が増大するようにするには、図示するように凸部の対向面の傾斜より凹部の対向面の傾斜を緩くする方がよい。
図4−(c)、(d)に示すように凸部が凹部の放射方向外周側に位置する場合には、凸部の(内周側の)対向面と凹部の(外周側の)対向面の少なくともいずれか一方には回転の前方側(周方向の一方側)から後方側(周方向の他方側)へかけて逆に、軸(中心)からの距離(半径)が次第に縮小するように付けられる。図4−(c)は凸部の(内周側の)対向面と凹部の(外周側の)対向面の双方に傾斜を付け、凸部の対向面の傾斜を凹部の対向面の傾斜より緩くした場合、(d)は凸部の対向面に傾斜を付けず、凹部の対向面にのみ傾斜を付けた場合である。
軸方向に隣接する2個の環状部材は一方の凸部が他方の凹部に軸方向に嵌合することにより双方の突き合わせ面が接触(密着)した状態になる。この状態からは、一方の環状部材が他方の環状部材に対し、軸の回りに相対的に回転させられることにより凸部の、凹部側の面である対向面と、凹部の、凸部側の面である対向面が放射方向に互いに接触し合い、接触し合うことで、隣接する2個の環状部材が連結状態を維持する。「両環状部材が相対的に回転すること」は、一方の環状部材が静止したまま他方の環状部材が回転する場合と、両環状部材が互いに逆向きに回転する場合がある。
図4−(a)〜(d)の場合、凸部を有する環状部材の、凹部を有する環状部材に対する相対的な回転により凸部の対向面が凹部の対向面に接触し、接触したまま回転が進むことで、凸部の対向面は凹部の対向面を押圧し、凹部の対向面から反力を受けるため、凸部の対向面と凹部の対向面が互いに圧力を及ぼし合った状態で密着する状態になる。
図4−(a)、(b)は凸部を有する環状部材が矢印の向き、すなわち凸部が凹部に嵌合した状態で、凸部の対向面の凹部の対向面との距離が大きい(図4−(a)で言えば、凸部の放射方向の幅が小さい)側(反時計回り)に回転するときに、凹部の対向面と接触状態になり、逆向きに(時計回りに)回転することで、接触状態が解除される。
隣接する環状部材の連結状態が相対的な回転による放射方向の圧力の及ぼし合いで確保されることで、連結の解除時には連結時とは逆向きに相対的に回転させるのみで連結状態を解除することができるため、環状部材の連結と分離を手軽に行うことが可能であり、連結解除のために格別な操作を必要としない。
また軸方向に隣接する2個の環状部材の内、一方の凸部が他方の凹部に軸方向に嵌合し、双方の突き合わせ面が接触(密着)した状態から、軸回りの相対的な回転によって両環状部材が連結状態に至ることから、隣接する2個の環状部材の突き合わせ面が互いに接触した状態では、双方の凸部と凹部が接触するまでは互いに周方向に相対的に回転移動可能な状態にある。すなわち、両突き合わせ面が接触した状態で、凸部と凹部との間に周方向に遊び(クリアランス)が存在する状態にあるから、その遊びの範囲で、環状部材の製造誤差を相対的な回転によって吸収することが可能になっている。
例えば金属製の母材を鋳造して環状部材を製作する場合に、連結されるべき環状部材間で、鋳造後の収縮率の相違に起因して設計時の寸法と完成時とに差が生じている場合、この差は製造誤差となって残るが、軸方向の突き合わせ時に製造誤差を吸収し得る遊びが確保されていることで、相対的な回転による連結によって誤差を吸収しながら、連結されるべき環状部材を互いに連結することが可能になっている。
図4−(a)、(b)では凹部を有する環状部材の放射方向内周側から切り込みを入れることにより凹部を形成し、図4−(c)、(d)では凹部を有する環状部材の放射方向外周側から切り込みを入れることにより凹部を形成している。図4−(e)、(f)では凹部を有する環状部材の厚さ方向(放射方向)の中途(中間部)に軸方向に切り込みを入れる(くり抜く)ことにより凹部を形成している。
図4−(a)、(b)の場合、凸部が凹部に軸方向に嵌合する際には、凸部の放射方向内周側の表面が凹部のいずれかの部分に接触(衝突)することがないから、凸部の放射方向内周側の表面は必ずしも円弧面をなしている必要はない。同様に図4−(c)、(d)の場合には、凸部が凹部に軸方向に嵌合する際に、凸部の放射方向外周側の表面が凹部のいずれかの部分に接触(衝突)することがないから、凸部の放射方向外周側の表面は必ずしも円弧面をなしている必要はない。
但し、図4−(a)、(b)の場合には凸部の放射方向内周側の表面を、凹部を有する環状部材の内周面より突出させれば、例えば環状連結体を指輪として使用する場合に、指と干渉させることになるため、凸部の内周面を、凹部を有する環状部材の内周面と同一の曲面をなすよう、円弧面に形成している。
図4−(c)、(d)の場合に、凸部の放射方向外周側の表面を、凹部を有する環状部材の外周面より突出させれば、環状連結体の表面に凹凸を形成することになるため、図面では環状連結体の表面に凹凸が生じないよう、凸部の外周面を、凹部を有する環状部材の外周面と同一の曲面をなすよう、円弧面に形成している。
図4−(a)〜(d)のいずれの場合も、凹部の対向面に対向する凸部の対向面の反対側の表面が円弧面状に形成されていることで、凸部を有する環状部材の、凹部を有する環状部材に対する相対的な回転の前方側から後方側へかけて凸部の放射方向の幅が次第に増加する楔形の断面形状になっている。凸部の断面形状が回転の前方側から後方側へかけて楔形をすることで、凸部を有する環状部材の相対的な回転により凹部を放射方向に押圧する楔効果を凹部に対して発揮する。
凸部は凹部を放射方向に押圧する放射方向の成分を持てばよいから、放射方向に押圧する力は楔効果で発生する放射方向の成分を指す。図4−(a)〜(d)に示すように凸部が凹部に対して周方向に移動(回転)し、双方の対向面が接触するときには凸部の対向面からその回転の向きに凹部の対向面に力が作用する。
この周方向を向いた力は凸部の対向面に平行な成分と垂直な成分に分けられ、垂直な成分が凹部の対向面を放射方向に押圧する作用をする。凸部の対向面に垂直な成分が凹部の対向面を押圧することで、凸部の対向面は凹部の対向面からは反力を受けるため、凸部と凹部は互いに放射方向に圧力を及ぼし合う状態になる。
凸部と凹部が互いに接触し、圧力を及ぼし合った状態では、対向する凸部の対向面と凹部の対向面との間には、両者間に作用している圧力と、両対向面間の摩擦係数の積分の摩擦力が発生し、この摩擦力によって隣接する環状部材の連結状態が維持される。連結状態の解除時には摩擦力を超える力(捩りモーメント)が周方向に、凸部と凹部の分離の向き(軸に関して互いに逆向き)に、両環状部材に与えられることで連結状態が解除される。
凹部を有する環状部材の凹部が環状部材の厚さ方向(放射方向)の中途に形成される図4−(e)、(f)の場合には、凸部と凹部の放射方向両側の面が互いに接触し得る対向面になるため、凸部の凹部内への嵌合時に凸部が凹部内に納まるよう、凸部の両側の面の表面形状が凹部の両側の面の状態(曲面状態)に制限される。
従って凸部の両側の面を自由な曲面に形成することができず、凸部が凹部に軸方向に嵌合するとき、両者間(凸部の対向面と凹部の対向面との間)には少なくとも凸部が凹部内で周方向に移動できるだけのクリアランスが確保されている必要がある。
図4−(e)、(f)の場合には、凸部の放射方向両側(内周側と外周側)の面が対向面になり得るから、この凸部の両側の面を対向面として、環状部材の回転に伴って凹部の対向面と接触し、押圧し得る表面形状に形成することで、放射方向に圧力を及ぼし合う状態を凸部の両面に確保することができるため、凸部の片側の面でのみ接触させる場合より高い密着状態と、それによる連結状態での安定性を得ることが可能になる。
図4−(e)、(f)の場合、各凸部がその放射方向両側にある凹部の対向面から圧縮される形になることで、凸部の片側にのみ対向面が形成される場合の2倍の押圧力の作用が期待されるため、それだけ隣接する環状部材の連結状態で高い安定性が確保されることになる。隣接する環状部材の連結状態での安定性の向上により環状部材が分離しにくくなるため、環状部材の連結状態で環状連結体が外力を受けても連結状態を維持し易くなる。
図4−(a)〜(d)の場合でも、図5に示すように、あるいずれかの凸部の対向面と凹部の対向面との間に作用する押圧力が軸(中心)を通る放射方向を向くことで、その凸部と凹部の組に対し、軸(中心)を挟んで反対側に位置する凸部と凹部の組における双方の対向面間においても釣り合いを保つため、軸(中心)に関していずれの位置にあっても放射方向の内周側に位置する凸部、もしくは凹部と外周側に位置する凹部、もしくは凸部との間では互いに密着しようとする圧力が作用し合うことになる。
互いに接触し合う凸部と凹部の組は図1〜図3等に示すようにそれぞれが形成される環状部材の周方向に、軸(中心)に関して均等に複数箇所、形成されるが、互いに接触し合う、ある凸部と凹部間では相対的に内周側、もしくは外周側に位置する凸部(凹部)から外周側、もしくは内周側に位置する凹部(凸部)に圧力を及ぼす。接触によって圧力を及ぼし合う凸部と凹部は作用・反作用の関係にあるから、内周側から外周側に圧力が作用することは外周側から内周側へ圧力が作用することに等しい。
この例えば内周側の凸部(凹部)から外周側の凹部(凸部)に作用する押圧力は軸(中心)から放射方向外側に向かう力であるため、図5に示すように軸(中心)を挟んで反対側に位置する凹部(凸部)と凸部(凹部)間では外周側に位置する凹部(凸部)から内周側に位置する凸部(凹部)に向かって放射方向外側から中心側へ向かう力(押圧力)として作用し、放射方向の力として平衡する。
軸(中心)に関して互いに反対側に位置する(軸を通る放射方向の直線(直径)上に位置する)凸部と凹部の組の内、一方における放射方向内周側から外周側へ向かう力が他方における放射方向外周側から内周側へ向かう力になり、放射方向の直線上に位置する凸部と凹部間での力が釣り合いを保つことから、環状部材の周方向に形成される複数個の凸部と凹部の組は少なくとも放射方向の直線(直径)上に2箇所、あればよいことになる。
突き合わせ面は環状部材の軸に対して直交する面(平面、もしくは曲面)をなす場合と、直交する面に対して傾斜する面(平面、もしくは曲面)をなす場合があり、また環状部材の軸は必ずしも直線である必要はなく、曲線、または屈曲した線をなす場合もある。環状部材の軸が直線である場合には、環状連結体は筒形の形状をするが、曲線、または屈曲した線をなす場合には、図13に示すようにエルボ管のような形状をする。結局、環状部材の突き合わせ面の、軸に対する角度の設定(調整)によって複数個の環状部材から構成される環状連結体の形態(立体形状)は任意に形成される。
凸部の対向面と凹部の対向面が放射方向に互いに接触し、圧力を及ぼし合った状態では双方の対向面(凸部と凹部)が圧力によって僅かながら弾性変形する。凸部と凹部は弾性変形したときに復元力を発揮することで、隣接する2個の環状部材が連結状態を維持するため、環状部材には使用状態で弾性の性質を有する材料(延性材料)が使用される。
弾性の性質を有する材料であれば、素材は問われず、金属材料の他、合成樹脂(プラスチック)、木材等が使用される。凸部と凹部は材料にもよるが、例えば液化している材料を型に流し込んで硬化させることにより、あるいは凸部と凹部のない原形を切削することにより形成される。連結状態にある環状部材の分離時には、弾性変形している凸部と凹部の変形が復元する。
金属材料にはステンレス、真鍮、鉄、亜鉛、アルミニウム、チタン等の合金の他、金、銀、銅、プラチナ等の貴金属が含まれる。合成樹脂には具体的にPVC、ウレタン樹脂、ABS樹脂、FRP等の使用が適するが、これらには限定されない。
互いに対向する凸部の対向面と凹部の対向面の少なくともいずれか一方には、図6、図7に示すように対向する側へ突出する突起が形成されることもある(請求項3)。この場合、一方の環状部材の相対的な回転により図7−(a)、(b)に示すように突起がそれに対向する対向面に接触するときに、部分的に対向する対向面を押圧し、突起は対向面から反力を受ける。突起の、対向面との接触面積は突起がない場合より小さいから、突起と対向面との接触面には高い圧力が作用するため、対向する凸部と凹部の密着の程度が強まる。
このいずれかの対向面に突起が形成される場合には、突起に対向する側の対向面における突起の形成高さに図6−(a)、(b)に示すように突起が入り込む溝を形成することで、突起が形成される対向面の、突起以外の部分(面)をそれに対向する対向面に接触させると同時に、突起を溝の内周面にも接触させることができるため、2通りの押圧力を及ぼし合う状態を得ることができる。この場合、突起以外の部分(面)はそれに対向する対向面に面で接触し、突起は溝の内周面に点で、もしくは線で接触する状態になる。
図8−(a)は図7と同様に凸部が凹部の内周側に位置する場合に、突起を凸部の外周側に位置する凹部の対向面に形成した場合において、突起が凸部の対向面に接触し始めたときの様子を、(b)は突起が凸部の対向面に完全に接触した状態を示している。
軸方向に隣接する2個の環状部材の内、一方の環状部材に形成された凹部と、他方の環状部材に形成された凸部の対向面の少なくともいずれか一方に、周方向の一方側から他方側へかけて放射方向外側から内側へ向かう傾斜を付けているため、両環状部材の相対的な回転のみによって凸部と凹部間で互いに放射方向に圧力を及ぼし合った状態で両環状部材を連結することができる。
両環状部材の連結状態で、凸部を有する環状部材と凹部を有する環状部材が互いに放射方向に圧力を及ぼし合った状態を維持することができることで、連結状態での環状連結体の安定性が確保される。
隣接する環状部材の連結状態が相対的な回転による放射方向の圧力の及ぼし合いで確保されることで、連結の解除時には連結時とは逆向きに相対的に回転させるのみで連結状態を解除することができるため、環状部材の連結と分離を手軽に行うことが可能であり、連結解除のために格別な操作を必要としない。
(a)は凸部が凹部の内周側に位置する場合の隣接する環状部材の連結時の様子を示した環状連結体の斜視図、(b)は環状連結体を(a)の反対側から見たときの斜視図である。 (a)は図1−(a)に示す2個の環状部材の突き合わせ面を互いに接触させたときの様子を示した斜視図、(b)は2個の環状部材を相対的に回転させて双方の凸部と凹部を接触させ、連結した状態を示した斜視図である。 (a)は環状連結体が図2−(a)に示す状態にあるときの、一方の環状部材の凸部が他方の環状部材の凹部に軸方向に嵌合した状態を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)、(b)は環状連結体が図2−(b)に示す状態にあるときの、一方の環状部材の凸部が他方の環状部材の凹部に軸方向に嵌合した状態を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)である。 (a)、(b)は凹部がそれを有する環状部材の内周側に位置する場合の凸部と凹部の関係を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)、(c)、(d)は凹部がそれを有する環状部材の外周側に位置する場合の凸部と凹部の関係を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)、(e)、(f)は凹部がそれを有する環状部材の放射方向中途に位置する場合の凸部と凹部の関係を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)である。 環状部材の軸(中心)を挟んで片側に位置し、環状部材の内周側の凸部から外周側の凹部へ向かって作用する圧力が、軸(中心)の反対側に位置し、環状部材の外周側の凹部から内周側の凸部に向かって作用する様子を模式的に示した平面図である。 (a)は凸部に突起を形成した場合の隣接する環状部材の連結前の両環状部材の位置を示した環状連結体の斜視図、(b)は連結状態になったときの両環状部材の位置を示した環状連結体の斜視図である。 (a)は環状部材が図6−(a)の状態にあるときの凸部と凹部の関係を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)、(b)は環状部材が図6−(b)の状態にあるときの凸部と凹部の関係を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)である。 (a)は凸部が凹部の内周側に位置する場合に、突起を凸部の外周側に位置する凹部の対向面に形成した場合の、突起の凸部対向面への接触開始時の様子を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)、(b)は完全な接触状態を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)である。 (a)は放射方向中途に形成された凹部を有する環状部材と、その凹部に嵌合する凸部を有する環状部材の突き合わせ時の様子を示した斜視図、(b)は環状連結体を(a)の反対側から見たときの様子を示した斜視図である。 (a)は図9に示す環状部材における凸部と凹部の嵌合状態を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)、(b)は相対的な回転により凸部が凹部に接触したときの様子を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)である。 (a)は凹部がその環状部材の放射方向中途に形成された場合において、凹部とそれに嵌合する凸部がL形の形状をする場合の両環状部材の突き合わせ時の様子を示した斜視図、(b)は環状連結体を(a)の反対側から見たときの様子を示した斜視図である。 (a)は図11に示す環状部材における凸部と凹部の嵌合状態を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)、(b)は相対的な回転により凸部が凹部に接触したときの様子を示した突き合わせ面を通る断面図(端面図)である。 軸(中心)を通る直径上の高さ(厚さ)が相違する形状を有する複数個の環状部材の連結により環状連結体の軸が曲線、または屈曲した線をなした状態で組み合わせられた場合の例を示した立面図である。 (a)は軸方向に隣接する2個の環状部材の径が互いに相違する場合の3個の環状部材の連結例を示した斜視図、(b)は3個の環状部材を(a)の反対側から見たときの様子を示した斜視図である。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1−(a)、(b)は軸方向に対向し、この対向する突き合わせ面2a、3aが互いに接触した状態で連結される複数個の環状部材2、3を備え、軸方向に隣接する2個の環状部材2、3の内、一方の環状部材2の突き合わせ面2aから軸方向に凹部2bが形成され、他方の環状部材3の突き合わせ面3aに、凹部2bに軸方向に嵌合可能で、凹部2bに放射方向に対向する凸部3bが形成され、凸部3bと凹部2bが放射方向に互いに圧力を及ぼし合った状態で分離自在に連結可能である環状連結体1の構成例を示している。
図1〜図12では2個の環状部材2、3から環状の形状(指輪形状)の環状連結体1が構成される場合の例を示しているが、環状部材2、3、4の数は任意であり、環状連結体1の形態も任意である。図13は3個以上の環状部材2〜4から全体的に屈曲した、あるいは湾曲した形態の管状の環状連結体1の構成例を示している。図13に示す環状連結体1は図1〜図12に示す環状連結体1が、軸の方向を変化させながら軸方向に連なった形でもある。
環状連結体1は図13に示す形態の環状連結体1の一部を構成する少なくとも2個の環状部材2、3、すなわち軸(中心)を挟んで両側に位置する突き合わせ面2a、3aにおける高さ(厚さ)が相違する環状部材2、3のみから構成される場合もある他、図13に示す環状連結体1に、その少なくとも一部の1個以上の環状部材2が屈曲した、あるいは湾曲した軸方向に、同一向きで、あるいは逆向きに連なることもある。この他、環状連結体1を構成する各環状部材2〜4の外径の寸法が相違し、隣接する環状部材2、3の外周面(表面)間、環状部材3、4の外周面(表面)間で段差が形成されることもある。
また図1〜図12では環状連結体1が指輪を構成していることから、環状部材2〜4(環状連結体1)の内周が円弧状で、外周も円弧状である場合を示しているが、環状連結体1の内周と外周は楕円状、多角形状等、円弧状でない場合もある。
「放射方向」は前記の通り、環状部材2〜4の軸に直交する断面形状が円環状でない場合を含めて環状部材2〜4の軸に直交する断面上、中心から伸びる方向を指すが、図示するように環状部材2〜4の断面形状が円環状であれば、半径方向になる。以下では「放射方向」を半径方向と言う。
更に図面では各環状部材2〜4の突き合わせ面2a、3a、4aを全面に亘って平面状(平坦面)にしているが、隣接する環状部材2、3、環状部材3、4同士の連結時に面で接触した状態になれば、必ずしも全面が平面状である必要はない。例えば突き合わせ面2a、3a、4aには周方向に連続した、もしくは断続的な溝が形成されることもある他、周方向に間隔を置き、放射(半径)方向を向いた溝が形成されることもある。
溝が形成される場合には、平面状である場合の突き合わせ面2a、3a、4aにおける凹凸面等の不陸の影響が低減されるため、平面状の突き合わせ面2a、3a(3a、4a)同士が突き合わせられた状態で連結される場合より、高い密着状態を得ることが可能である。
図面では凸部3bを、周方向の前方側と後方側に軸方向に対して傾斜した面を有する四角錐台形状に形成しているが、凸部3bと凹部2bは双方が互いに環状部材2、3の軸方向に嵌合し、半径方向に面で接触可能な形状をしていればよいため、凸部3bと凹部2bの立体形状は任意である。「面で接触」とは、複数の線が集合することで面積を持った面をなすような場合を含む。凸部3bは具体的には図示するような多角錐形状、あるいは多角錐台形状の他、円錐形状、円錐台形状、半球形状、(回転)楕円体形状等に形成される。凹部2bは凸部3bの形状に対応した形状になる。
半径方向に対向する凹部2bの対向面2cと凸部3bの対向面3cの内、少なくともいずれか一方の対向面2c(3c)には周方向の一方側から他方側へかけて半径方向内周側から外周側へ、もしくは外周側から内周側へ向かう傾斜が付けられる。この傾斜により軸方向に隣接する2個の環状部材2、3は、一方の環状部材2が軸の回りに他方の環状部材3に対して相対的に回転させられることで、凸部3bの対向面3cと凹部2bの対向面2cが半径方向に互いに圧力を及ぼし合った状態で分離自在に連結される。
対向面2c(3c)は環状部材2、3の相対的な回転を伴いながら、半径方向に圧力を及ぼし合うから、基本的には曲面状に形成されるが、多面体状に形成されることもある。対向面2c、3cの傾斜の向きは凹部2bの対向面2cであるか、凸部3bの対向面3cであるかにより、またその対向面2c、3cが半径方向内周側を向いた面であるか、外周側を向いた面であるかによって異なる。
図3、図4−(a)、(b)に示すように凸部3bの対向面3cが半径方向外周側を向いた面である場合に、矢印で示すように凸部3bが反時計回りに回転するとき、回転の前方側から後方側へかけて次第に半径方向外周側にある凹部2bの対向面2cに接触していくから、半径方向外周側を向いた凸部3bの対向面3cは回転の前方側から後方側へかけて断面上の中心(軸)からの距離が増加する(遠ざかる)傾斜が付けられる。
図4−(c)、(d)に示すように凸部3bの対向面3cが半径方向内周側を向いた面である場合には、同様の理由から、回転の前方側から後方側へかけて断面上の中心(軸)からの距離が減少する(接近する)傾斜が付けられる。
凹部2bの対向面2cが半径方向内周側を向いた面であり、凹部2bが凸部3bとは逆に、時計回りに回転するときには(図3)、凸部3bとの関係は凸部3bが凹部2bに対して反時計回りに回転するときと同じであるから、対向面2cの凸部3bに対する相対的な回転の前方側から後方側へかけて(凸部3bの相対的な回転の向きとは逆)断面上の中心(軸)からの距離が減少する(接近する)傾斜が付けられる。
凹部2bの対向面2cが半径方向外周側を向いた面であり、凹部2bが凸部3bとは逆に、時計回りに回転するときにも(図4−(c)、(d))、凸部3bとの関係は凸部3bが凹部2bに対して反時計回りに回転するときと同じであるから、対向面2cの凸部3bに対する相対的な回転の前方側から後方側へかけて(凸部3bの相対的な回転の向きとは逆)断面上の中心(軸)からの距離が増加する(遠ざかる)傾斜が付けられる。
いずれの場合も、凹部2bと凸部3bを問わず、傾斜が付けられている対向面2c(3c)の傾斜はその側の環状部材2(3)が他方の環状部材3(2)に対する相対的な回転に伴い、他方の環状部材3(2)の対向面3c(2c)との距離が縮小する向きに入れられる。
図1〜図3は凹部2bがその環状部材2の半径方向内周側に形成された場合の隣接する環状部材2、3の連結例を示している。図面では環状連結体1が指輪として使用される場合の環状連結体1の構成例を示しているが、環状連結体1は環状の装飾品を始め、環状、あるいは管状の置物、遊戯具、装身具その他の製品(物品)を構成する。
図1〜図3の例では図3−(a)に示すように凸部3bが凹部2bに軸方向に嵌合した状態では凸部3bが凹部2b内で周方向の連結側への回転の向きに移動可能な空隙(クリアランス)が確保されており、(b)に示すように凸部3bが連結側へ回転することにより凸部3bの対向面3cが凹部2bの対向面2cに接触し、連結状態になる。連結側への回転の向きは図2、図3でのLockの向きを指す。
凹部2bは凹部2bを有する環状部材2の突き合わせ面2a側から軸方向奥側へかけて一定(同一)の幅(半径方向の幅)と長さ(周方向の長さ:周長)を持って形成されることもあるが、図1、図2では凸部3bを凹部2bに嵌合させるときに衝突により嵌合できない事態が発生することを回避するために、凸部3bと凹部2bの周長が突き合わせ面2a、3a側から軸方向奧側へかけて縮小するように形成している。凸部3bと凹部2bの幅が突き合わせ面2a、3a側から軸方向奧側へかけて縮小するように形成されることもある。
このことから、図3−(a)、(b)中、黒塗り(細かい点を入れた範囲)の部分は凹部2b内で凸部3bが移動可能な空間を示し、凹部2b内での周方向の両側にある白抜きの部分は周長が突き合わせ面2a側から軸方向奧側へかけて縮小する凹部2bの側面を示している。この側面には凸部3bが周方向の回転時に係止し、停止するため、側面は係止部(ストッパ)として機能する。
凸部3bを有する環状部材3の、凹部2bを有する環状部材2に対する相対的な回転により図3−(a)から(b)に移行するときには、図4−(a)に示すように凸部3bの外周側の対向面3cが凹部2bの対向面2cに接触し、接触が進む程、凸部3bの対向面3cが凹部2bの対向面2cを半径方向外周側へ押圧し、逆に凹部2bの対向面2cは凸部3bの対向面3cを半径方向内周側へ押圧する。凸部3bの対向面3cと凹部2bの対向面2cが半径方向に圧力を及ぼし合うことで、環状部材2、3は連結状態を維持する。
図1−(a)、(b)は隣接する環状部材2、3の各突き合わせ面2a、3aを対向させたまま、軸方向に互いに接近させ、環状部材3の凸部3bを環状部材2の凹部2bに軸方向に嵌合させようとしている状況を示している。(a)は凹部2bを有する環状部材2側から見たときの様子であるが、(b)は凸部3bを有する環状部材3側から見たときの様子を示している。
図2−(a)は凸部3bを凹部2bに嵌合させたときの様子を、(b)は両環状部材2、3を相対的に回転させ、凸部3bの対向面3cを凹部2bの対向面2cに接触させ、両対向面2c、3c間に圧力を発生させた連結状態を示している。
図6、図7は凸部3bの対向面3cと凹部2bの対向面2cの少なくともいずれか一方に、対向する側へ突出する突起5を形成した場合の隣接する環状部材2、3の組み合わせ例を示す。
この場合、隣接する環状部材2、3の相対的な回転に伴い、突起5がそれに対向する対向面2c(3c)に接触し、対向面2c(3c)との間で圧力を及ぼし合う状態にすることもできるが、図6、図7では突起5が形成された側である対向面3c(2c)の反対側の対向面2c(3c)の、突起5の形成レベルに突起5が入り込む溝6を形成し、この溝6の突起5側の面である接触面6aに、突起5の接近により接触圧力が増大する向きの傾斜を付けている。ここではまた、凸部3bの凹部2bへの嵌合と同時に溝6に突起5が嵌合するよう、図6−(a)、(b)に示すように溝6をL字状に形成している。
溝6の接触面6aは図7−(a)に示す凸部3bと凹部2bの嵌合位置から、(b)に示す接触状態への位置までにかけ、突起5が形成されている凸部3b、もしくは凹部2bを有する環状部材3(2)の相対的な回転に伴い、突起5との半径方向の距離が次第に小さくなるような傾斜が付けられる。
図6、図7ではまた、凸部3bの対向面3cに突起5を突設(形成)しているが、図8−(a)、(b)に示すように突起5は凹部2bの対向面2cに形成されることもある。図8に示すように突起5が凹部2bの対向面2cに形成される場合には、凸部3bの対向面3cには突起5が入り込む溝が形成される場合とされない場合がある。溝が形成されない場合には、突起5のみが凸部3bの対向面3cに接触することになる。図8−(a)、(b)は凸部3bの対向面3cに溝が形成されない場合を示している。
突起5以外の部分では凸部3bの対向面3cが凹部2bの対向面2cに面で接触することにより互いに圧力を及ぼし合うが、突起5はそれが対向する対向面3c(2c)との間では点、もしくは線で接触することにより互いに圧力を及ぼし合う。突起5が対向面3c(2c)に対し、点や線で接触した状態で、凸部3bと凹部2bが密着した状態を維持することから、面のみで接触する場合より接触部分の圧力が高くなる。
この結果、凸部3bと凹部2bは両者間に突起5がない場合より高い圧力で互いに密着するため、隣接する環状部材2、3間の密着状態での安定性が高まる。このように突起5が凸部3bに形成される場合と凹部2bに形成される場合のいずれも、突起5は凸部3bの対向面3cと凹部2bの対向面2cとの接触による両環状部材2、3間の密着状態を補う働きをする。
図9、図10は凹部2bが一方の環状部材2の突き合わせ面2aの半径方向中途に形成された場合の、凹部2bと、それに嵌合し、接触する凸部3bとの関係を示している。図9−(a)、(b)はいずれも凸部3bが凹部2bに嵌合するときの様子を示している。(a)は凸部3bを有する環状部材3を見下ろす側から見たときの様子を、(b)は凹部2bを有する環状部材2を見上げたときの様子を示している。
凹部2bが環状部材2の突き合わせ面2aの半径方向中途に形成された場合、凸部3bの半径方向両側の面が対向面3c、3cとなり、凸部3bはこの両側の対向面3c、3cにおいて凹部2bの対向面2c、2cに接触し得る状態になる。凸部3bの対向面3c、3cと凹部2bの対向面2c、2cの内、少なくともいずれか一方は凸部3bを有する環状部材2の、環状部材3に対する相対的な回転の前方側から後方側へかけて半径方向の幅が次第に増大する向きに傾斜する。
図9、図10は凸部3bの両側の対向面3c、3cの傾斜が凹部2bの両側の対向面2c、2cの傾斜より緩い場合を示しているが、図4−(e)に示すように逆に対向面2c、2cの傾斜が対向面3c、3cの傾斜より緩い場合もあれば、(f)に示すように一方の対向面3c、2cに傾斜がない場合もある。
図9、図10は凸部3bがI字形の断面形状である場合の例であるのに対し、図11、図12は凸部3bをL字形の断面形状に形成した場合の例を示している。凸部3bがL字形の断面形状をすることで、凸部3bは凹部2bの対向面2c、2cに挟み込まれ得る、半径方向両側に対向面3c、3cを有する本体部分と、それ以外の基部とに区分される。
凸部3bが基部を有しない場合には、凸部3bを幅方向(半径方向)に曲げようとする圧力や荷重に対して抵抗できる要素がないため、幅方向に曲げ変形し易い。具体的にはI字状の形状から凸部3bの断面2次モーメントが小さいため、根元に受ける曲げモーメントによって破断し易い状態に置かれている。これに対し、凸部3bが基部を有する場合には、基部が曲げモーメントに対する抵抗要素になり、断面2次モーメントが増大するため、半径方向に受ける圧力や荷重による変形のし易さが低下し、破断の可能性も低下する。
図9、図10に示すように凸部3bの断面形状がI形の場合、凸部3bが半径方向(幅方向)に圧力(外力)を受けたときに、凸部3bの根元の回りに曲げ変形する可能性があり、その変形が繰り返されることで、破断する可能性がある。そこで、凸部3bの断面形状をL字形にすることで、半径方向の圧力(外力)に対する抵抗力を上げることができ、曲げ変形しにくくなるため、破断の可能性を低下させることが可能になっている。
図11、図12の場合、凸部3bが基部を有することで凸部3bの断面形状がL形になりながらも、半径方向内周側と外周側に対向面3c、3cが形成されるから、凸部3bが図9、図10の場合と同様に半径方向両側に位置する凹部2bの対向面2c、2cから半径方向(幅方向)に圧力を受ける状態になることもある。
図11、図12はまた、凸部3bの外周側の対向面3cに突起5を形成すると共に、対向面3cに対向する凹部2bの対向面2cに、突起5が入り込む溝6を形成した場合示している。この場合の突起5の機能は図6、図7の例で述べたことと同じである。
図14は軸方向に隣接する2個の環状部材2、3(3、4)の径が互いに相違する場合の、3個の環状部材2〜4の連結例を示している。ここでは下方(下段)側から次第に径が小さくなる3個の環状部材2〜4の組み合わせ例を示しているが、相対的に径が大きい環状部材2と径が小さい環状部材3が交互に組み合わせられることもある。
図14に示すように例えば下方(下段)側から上方(上段)側へかけて次第に径が小さくなる環状部材2〜4の組み合わせ例の場合、軸方向の端部以外の位置(軸方向中間部)に配置される環状部材3は径の大きい突き合わせ面3aとそれより径の小さい突き合わせ面3aを持つから、凸部3bを除く環状部材3の本体部分は基本的には図示するように環状の円錐台形状、あるいは角錐台形状になる。
図14の場合、軸方向の端部に位置する環状部材2、4の突き合わせ面2a、4aには凸部2dと凹部のいずれかが形成され、軸方向中間部に位置する環状部材3の両突き合わせ面3a、3aにはそれぞれ凹部3dと凸部3bが形成されるか、または凹部3d、3d、もしくは凸部3b、3bが形成される。図14では最下部に位置する環状部材2の上側の突き合わせ面2aに凸部2dを形成し、最上部に位置する環状部材4の下側の突き合わせ面4aに凹部4bを形成している関係で、中間部の環状部材3の下側の突き合わせ面3aに凹部3dを、上側の突き合わせ面3aに凸部3bを形成している。
最下部の環状部材2の突き合わせ面2aと最上部の環状部材4の突き合わせ面4aに、共に凹部2b、4bを形成した場合は、中間部の環状部材3の両突き合わせ3a、3aに凸部3b、3bが形成され、環状部材2の突き合わせ面2aと環状部材4の突き合わせ面4aに凸部2d、4d(仮想の符号)を形成した場合は、環状部材3の両突き合わせ面3a、3aに凹部3b、3bが形成される。環状部材2の突き合わせ面2aに凹部2bを形成し、環状部材4の突き合わせ面4aに凸部4d(仮想の符号)を形成した場合は、中間部の環状部材3の下側の突き合わせ面3aに凸部3bが形成され、上側の突き合わせ面3aに凹部3dが形成される。
1……環状連結体、
2……環状部材、2a……突き合わせ面、2b……凹部、2c……対向面、2d……凸部、
3……環状部材、3a……突き合わせ面、3b……凸部、3c……対向面、3d……凹部、
4……環状部材、4a……突き合わせ面、4b……凹部、
5……突起、
6……溝、6a……接触面。

Claims (3)

  1. 軸方向に対向し、この対向する突き合わせ面が互いに接触した状態で連結される複数個の環状部材を備え、軸方向に隣接する2個の環状部材の内、一方の環状部材の突き合わせ面から軸方向に凹部が形成され、他方の環状部材の突き合わせ面に、前記凹部に軸方向に嵌合可能で、前記凹部に、前記環状部材の放射方向に対向する凸部が形成され、
    放射方向に対向する前記凹部の対向面と前記凸部の対向面の内、少なくともいずれか一方の対向面に周方向の一方側から他方側へかけて放射方向内周側から外周側へ、もしくは外周側から内周側へ向かう傾斜が付けられており、
    前記軸方向に隣接する2個の環状部材は、一方の環状部材が軸の回りに他方の環状部材に対して相対的に回転させられることで、前記凸部の対向面と前記凹部の対向面が放射方向に互いに圧力を及ぼし合った状態で分離自在に連結可能であることを特徴とする環状連結体。
  2. 前記傾斜が付けられている前記対向面の傾斜はその側の環状部材が他方の環状部材に対する相対的な回転に伴い、他方の環状部材の対向面との距離が縮小する向きに入れられていることを特徴とする請求項1に記載の環状連結体。
  3. 前記凸部の対向面と前記凹部の対向面の少なくともいずれか一方に、対向する側へ突出する突起が形成されていることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の環状連結体。
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