JP2011119518A - 薄膜トランジスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン注入を行わずに低コストで製造できる構造形態を備えた薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】基板10上(又は第1下地膜11乃至第2下地膜12上)に設けられたポリシリコン半導体膜13と、ポリシリコン半導体膜13上に離間して設けられたソース電極15s及びドレイン電極15dと、ポリシリコン半導体膜13上にゲート絶縁膜14を介して設けられたゲート電極15gとを少なくとも有する。ポリシリコン半導体膜13は、面内方向にソース電極接続領域13s、チャネル領域13c及びドレイン電極接続領域13dを有し、チャネル領域13cにはドーパントが含まれておらず、ソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dは基板10側からソース電極側及びドレイン電極側に向かってドーパント一定濃度層21とドーパント減少傾斜層22’とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜トランジスタに関し、さらに詳しくは、イオン注入を行わずに低コストで製造できる構造形態を備えた薄膜トランジスタに関する。
薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及び有機ELディスプレイ等の駆動素子として用いられている。薄膜トランジスタには各種の構造形態があるが、低コストで製造可能な構造形態の代表例として、ポリシリコン半導体膜でチャネル領域、ソース側拡散領域及びドレイン側拡散領域を構成し、絶縁膜を設けた後にゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を一度の成膜とパターニングで同時形成することができるトップゲート・トップコンタクト型の薄膜トランジスタを挙げることができる。
こうした薄膜トランジスタの作製方法の一例としては、先ず、基材上にアモルファス半導体膜を形成した後にアニールしてポリシリコン半導体膜とし、次いで、ポリシリコン半導体膜上にイオン注入用マスクを形成した後にイオン注入と活性化アニールとを行って所定領域にソース側拡散領域とドレイン側拡散領域を形成し、次いで、イオン注入用マスクを除去した後に前記拡散領域を含むポリシリコン半導体膜をパターニング(アイランド化)し、次いで、アイランド化したポリシリコン半導体膜を覆うように絶縁膜を形成した後に前記拡散領域上にコンタクトホールを形成し、次いで、全面に金属膜を形成した後にパターニングしてゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を一括形成する(例えば特許文献1〜3を参照)。
特開平7−176753号公報 特開平9−213630号公報 特開平11−307777号公報
上記したトップゲート・トップコンタクト型の薄膜トランジスタの製造方法は、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を一度の成膜とパターニングで同時形成することができる点においては低コストで製造可能な構造形態ではあるものの、高価なイオン注入装置が必要であるとともにイオン注入時に危険なガスを使用しなければならない等の問題がある。
本発明者は、上記問題を解決するための研究を行っている過程で、図10に示すように、先ず、シリコン半導体膜成膜用のスパッタリングターゲットにドーパントを含有させてスパッタリングを行い、ドーパントを含有する導電性半導体膜111を基板110上に形成し(図10(A)参照)、次いで、その導電性半導体膜111をパターニングしてソース側拡散領域111sとドレイン側拡散領域111dとを形成し(図10(B)参照)、次いで、そのソース側拡散領域111sとドレイン側拡散領域111dを覆うようにシリコン半導体膜112を形成した後にチャネル領域を形成するためのマスク113を形成し(図10(C)参照)、次いで、パターニングしてチャネル領域にシリコン半導体膜112をパターン形成し(図10(D)参照)、次いで、全面に絶縁膜114を形成した後に前記拡散領域111s、111d上にコンタクトホール116を形成し(図10(E)参照)、次いで、全面に金属膜を形成した後にパターニングしてゲート電極115g、ソース電極115s及びドレイン電極115dを一括形成する(図10(F)参照)、イオン注入を不要としたトップゲート・トップコンタクト型の薄膜トランジスタの製造方法を検討した。しかしながら、シリコン半導体膜112と導電性半導体膜111とのエッチングレートがほぼ同じであることから、チャネル領域にシリコン半導体膜112を形成する際(図10(D)参照)に、ソース側拡散領域111sとドレイン側拡散領域111dとがオーバーエッチングされ易いという問題があった。こうした問題に対しては、エッチング制御を厳格に管理する必要があり、低コストでの生産には逆行してしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、イオン注入を行わずに低コストで製造できる構造形態を備えた薄膜トランジスタを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る薄膜トランジスタは、基板上に設けられたポリシリコン半導体膜と、前記ポリシリコン半導体膜上に離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ポリシリコン半導体膜の上又は下にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極とを少なくとも有する薄膜トランジスタであって、前記ポリシリコン半導体膜は、面内方向にソース電極接続領域、チャネル領域及びドレイン電極接続領域を有し、該チャネル領域にはドーパントが含まれておらず、該ソース電極接続領域及びドレイン電極接続領域は基板側からソース電極側及びドレイン電極側に向かってドーパント一定濃度層とドーパント減少傾斜層とを有することを特徴とする。
この発明によれば、(ア)ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を一度の成膜とパターニングで同時形成することができる点において低コストで製造可能な構造形態であるトップゲート・トップコンタクト型の薄膜トランジスタを、高価なイオン注入装置を必要とせず且つイオン注入時の危険なガスを使用しないで得ることができる。イオン注入を行わないことを示す構造形態は、前記のドーパント減少傾斜層がドーパント一定濃度層の上に設けられていることに因る。さらに、(イ)ソース電極接続領域及びドレイン電極接続領域の上層を構成するドーパント減少傾斜層と、ドーパントが含まれていないチャネル領域のポリシリコン半導体膜とが同時成膜された構造形態を呈するので、その構造形態は、チャネル領域のみをパターン形成する場合のような厳格なエッチング制御を不要とする構造形態である。したがって、本発明に係る薄膜トランジスタによれば、イオン注入を行わずに低コストで製造できる構造形態を備えている。
なお、この発明は、ポリシリコン半導体膜の下にゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられているボトムゲート・トップコンタクト型の薄膜トランジスタを含み、この場合には、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を一度の成膜とパターニングで同時形成することはできないが、少なくとも高価なイオン注入装置を必要とせず且つイオン注入時の危険なガスを使用しないで得ることができ、さらにチャネル領域のみをパターン形成する場合のような厳格なエッチング制御を不要とする構造形態であるので、いずれにしても、トップゲート・トップコンタクト型の薄膜トランジスタの場合と同様、イオン注入を行わずに低コストで製造できる構造形態を備えている。
本発明に係る薄膜トランジスタにおいて、前記チャネル領域のポリシリコン半導体膜の厚さと、前記ソース電極接続領域及びドレイン電極接続領域のドーパント減少傾斜層の厚さとが同じである。
この発明によれば、チャネル領域のポリシリコン半導体膜の厚さと、ソース電極接続領域及びドレイン電極接続領域のドーパント減少傾斜層の厚さとが同じであるので、両者は同時成膜された構造形態ということができる。こうした構造形態は、チャネル領域のみをパターン形成する場合のような厳格なエッチング制御を不要とする構造形態であるので、イオン注入を行わずに低コストで製造できる。
本発明に係る薄膜トランジスタにおいて、前記ドーパントが、n型ドーパントであるリン、ヒ素及びアンチモンのうちのいずれか、又は、p型ドーパントであるボロン及びアルミニウムのうちのいずれかである。
この発明によれば、ソース電極接続領域及びドレイン電極接続領域をn型とすることもできるしp型とすることもできる。
本発明に係る薄膜トランジスタにおいて、前記ドーパント減少傾斜層のドーパント濃度が、6×1018〜3×1019/cmである。
この発明によれば、ドーパント減少傾斜層のドーパント濃度を前記範囲内とするので、ソース電極及びドレイン電極とドーパント減少傾斜層との間のコンタクト抵抗を問題が生じない程度に確保することができる。
本発明に係る薄膜トランジスタにおいて、前記基板がプラスチック基板である。
この発明によれば、イオン注入を不要とする構造形態を備えるので、ロール・トゥ・ロールで連続成膜可能なスパッタリング装置で製造可能となり、そのため、ロール巻き可能なプラスチック基板を適用することができる。その結果、プラスチック基板を適用したフレキシブルな薄膜トランジスタ搭載基板を連続製造でき、低コストな薄膜トランジスタとなる。
本発明に係る薄膜トランジスタによれば、高価なイオン注入装置を必要とせず且つイオン注入時の危険なガスを使用しないで得ることができ、さらにチャネル領域のみをパターン形成する場合のような厳格なエッチング制御を不要とする構造形態であるので、トップゲート・トップコンタクト型及びボトムゲート・トップコンタクト型のいずれの薄膜トランジスタにおいてもイオン注入を行わずに低コストで製造できる薄膜トランジスタである。こうした低コストの薄膜トランジスタは、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等の駆動素子及び回路素子として好ましく用いることができる。
また、本発明に係る薄膜トランジスタによれば、イオン注入を不要とする構造形態を備えるので、ロール巻き可能なフレキシブルなプラスチック基板を適用でき、その場合には、ロール・トゥ・ロールで連続成膜可能なスパッタリング装置で製造可能である。その結果、薄膜トランジスタ搭載基板を連続製造でき、低コストな薄膜トランジスタとなる。
本発明に係る薄膜トランジスタの一例を示す模式断面図である。 半導体膜の構造形態を説明するための拡大図である。 ドーパント減少傾斜層及びドーパント一定濃度層の深さ方向におけるドーパント濃度の説明図である。 本発明に係る薄膜トランジスタの他の一例を示す模式断面図である。 薄膜トランジスタの製造方法の工程例(その1)を示す説明図である。 薄膜トランジスタの製造方法の工程例(その2)を示す説明図である。 実施例1のVd−Id曲線である。 参考例1のVd−Id曲線である。 参考例1で得られた半導体膜のSIMS結果である。 薄膜トランジスタの製造方法の他の工程例を示す説明図である。
以下、本発明に係る薄膜トランジスタについて図面を参照しつつ説明する。本発明は図面の形態や以下の実施形態に限定されるものではない。
[薄膜トランジスタ]
本発明に係る薄膜トランジスタ(以下「TFT」ともいう。)1は、図1に示すように、基板10上(又は第1下地膜11乃至第2下地膜12上)に設けられたポリシリコン半導体膜13と、ポリシリコン半導体膜13上に離間して設けられたソース電極15s及びドレイン電極15dと、ポリシリコン半導体膜13上にゲート絶縁膜14を介して設けられたゲート電極15gとを少なくとも有している。このTFT1において、ポリシリコン半導体膜13は、面内方向にソース電極接続領域13s、チャネル領域13c及びドレイン電極接続領域13dを有し、チャネル領域13cにはドーパントが含まれておらず、ソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dは基板10側からソース電極側及びドレイン電極側に向かってドーパント一定濃度層21とドーパント減少傾斜層22’とを有することに特徴がある。この構造形態は、トップゲート・トップコンタクト型のTFTである。
本発明に係るTFT1は、ポリシリコン半導体膜13の下にゲート絶縁膜14を介してゲート電極15gが設けられているボトムゲート・トップコンタクト型のTFTであってもよい。詳しくは、図4に示すように、基板10上(又は第1下地膜11乃至第2下地膜12上)に設けられたゲート電極15gと、ゲート電極15gを覆うように設けられたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上に設けられたポリシリコン半導体膜13と、ポリシリコン半導体膜13上に離間して設けられたソース電極15s及びドレイン電極15dと、ポリシリコン半導体膜13上に設けられた絶縁膜16とを少なくとも有している。このTFT1においても、ポリシリコン半導体膜13は、面内方向にソース電極接続領域13s、チャネル領域13c及びドレイン電極接続領域13dを有し、チャネル領域13cにはドーパントが含まれておらず、ソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dは基板10側からソース電極側及びドレイン電極側に向かってドーパント一定濃度層21とドーパント減少傾斜層22’とを有する。
以下、TFT1の構成要素について、図1のトップゲート・トップコンタクト型のTFTに基づいて詳しく説明する。
(基板)
基板10は、TFT1の支持基板をなすものであり、有機基板であっても無機基板であってもよい。有機基板としては、例えば、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリノルボルネン系樹脂、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、又は熱可塑性ポリイミド等からなる有機基板、又はそれらの複合基板を挙げることができる。こうした有機基板は、剛性を有するものであってもよいし、厚さが5μm〜300μm程度の薄いフレキシブルなフィルム状のものであってもよい。また、枚葉状で供給されるものでも、ロール状で供給されるものでもよい。フレキシブルな有機基板(プラスチック基板ともいう。)の使用は、TFT1をフレキシブルとすることができるので、ロール・トゥ・ロールでの製造に適用することができる。
また、無機基板としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、セラミックス基板等を挙げることができる。ガラス基板としては、厚さが0.05mm〜3.0mm程の液晶ディスプレイ用途のガラス基板であってもよいし、安価な無アルカリガラス基板等であってもよい。
(第1下地膜と第2下地膜)
第1下地膜11と第2下地膜12は、基板10上に必要に応じて形成される膜であり、その機能や目的に応じて必要な領域のみに形成されてもよいし全面に形成されてもよい。第1下地膜11と第2下地膜12は、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び酸窒化ケイ素の群から選択されるいずれかの材料で形成される。例えば密着膜として用いる場合には、クロム、チタン、アルミニウム、又はケイ素等からなる金属系の無機膜が好ましく用いられ、応力緩和膜やバッファ膜(熱緩衝膜)として用いる場合には、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜が好ましく用いられ、バリア膜として用いる場合には、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜が好ましく用いられる。これらの膜は、その機能や目的に応じて、単層で設けてもよいし、2層以上を積層してもよい。
好ましい例としては、図1に示すように、第1下地膜11を密着膜として、クロム、チタン、アルミニウム、又はケイ素等からなる金属系の無機膜を形成し、第2下地膜12をバッファ膜(熱緩衝膜)として、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜を積層することが好ましい。
第1下地膜11を密着膜として形成する場合の厚さは、膜を構成する材質によってその範囲は若干異なるが、通常1nm〜200nm程度の範囲内であることが好ましく、3nm〜50nm程度の範囲内であることがより好ましい。一方、第2下地膜12をバッファ膜として形成する場合の厚さも実際に形成する膜の材質によってその範囲は若干異なるが、その厚さとしては、通常、100nm〜1000nm程度の範囲内であることが好ましく、成膜時間の点からは100nm〜500nm程度の範囲内であることがより好ましい。
こうした第1下地膜11と第2下地膜12は、各種の蒸着法、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等の各種の方法で形成することができるが、実際には、膜を構成する材質に応じた好ましい方法が採用される。通常は、DCスパッタリング法やRFマグネトロンスパッタリング法等が好ましく用いられる。
(ポリシリコン半導体膜)
ポリシリコン半導体膜13は、基板10上(第1下地膜11乃至第2下地膜12が設けられている場合にはその上。以下これらを単に「基板上」という。)に所定のパターンで形成されている。ポリシリコン半導体膜13は、図1及び図2に示すように、基板10の面内方向にソース電極接続領域13s、チャネル領域13c及びドレイン電極接続領域13dを有している。チャネル領域13cは、ドーパントが含まれていないノンドープのシリコン半導体膜22の形成領域であり、ソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dの厚さ(T+T)より薄い厚さTで形成されている。一方、ソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dは、基板10側からソース電極側及びドレイン電極側に向かってドーパント一定濃度層21とドーパント減少傾斜層22’とが積層した領域であり、チャネル領域13cの厚さTより厚い厚さ(T+T)で形成されている。
ドーパント一定濃度層21は、ソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dのポリシリコン半導体膜13の基板1側(下側)の層であって、含まれるドーパントの濃度が厚さ方向で一定の層である。ドーパント一定濃度層21の形成方法としては、先ず、ドーパントを含有するシリコンターゲットを用いたスパッタリング法でドーパント含有半導体膜を成膜し、次いで、成膜したドーパント含有半導体膜の多結晶化と活性化のためのアニール(好ましくはエキシマレーザーアニール)を行い、次いで、そのドーパント含有半導体膜をパターニングして所定パターンのドーパント一定濃度層21を形成する方法を挙げることができる。ドーパントとしては、n型ドーパントであるリン、ヒ素及びアンチモンのうちのいずれか、又は、p型ドーパントであるボロン及びアルミニウムのうちのいずれかを用いることができる。
ターゲット中へのドーパントの含有量は、後述する拡散アニールでドーパント減少傾斜層22’にどの程度のドーパントを拡散含有させるかに依存するので特に限定されないが、一例として、3×1019/cm〜1×1020/cm程度の含有量を挙げることができる。なお、パターニングは、レジストを用いたフォトリソグラフィで行うことができる。
こうして所定のパターンからなるドーパント一定濃度層21を形成することができる。このドーパント一定濃度層21の厚さTは特に限定されないが、一例として、30nm〜60nm程度の厚さを挙げることができる。なお、ドーパント一定濃度層21のドーパント濃度Cは、ドーパント減少傾斜層22’へのドーパントの拡散を考慮すると、例えば、3×1019/cm〜1×1020/cm程度の濃度を挙げることができる。
ドーパント減少傾斜層22’は、ドーパント一定濃度層21の上に設けられた層であって、含まれるドーパントの濃度がドーパント一定濃度層21からソース電極15s及びドレイン電極15d側(上側)に向かって傾斜的に徐々に又はリニアに減少する層である。ドーパント減少傾斜層22’の形成方法としては、先ず、ドーパント一定濃度層21の上に、ドーパントを含有しないシリコンターゲットを用いたスパッタリング法でドーパント非含有のシリコン半導体膜(真性シリコン半導体ともいう。)を成膜し、次いで、そのシリコン半導体膜を図1に示す所定のパターンにパターニングし、次いで、拡散アニール(好ましくはエキシマレーザーアニール)を行ってドーパント一定濃度層21からドーパント非含有のシリコン半導体膜にドーパントを拡散させてドーパント減少傾斜層22’を形成する方法を挙げることができる。こうしてドーパント一定濃度層21上にドーパント減少傾斜層22’を形成することができる。なお、パターニングは、上記同様、レジストを用いたフォトリソグラフィで行う。
ドーパント減少傾斜層22’の厚さTは特に限定されず、ドーパント一定濃度層21のドーパント濃度C、拡散アニール条件、その上に設けられるソース電極15s及びドレイン電極15dとのコンタクト抵抗等によって任意に設定され、一概には言えないが、一例としては、20nm〜30nm程度の厚さを挙げることができる。なお、ドーパント減少傾斜層22’のドーパント濃度Cは、ソース電極15s及びドレイン電極15dとのコンタクト抵抗を考慮すると、一例として、6×1018〜3×1019/cm程度の濃度を挙げることができる。
図3は、ドーパント減少傾斜層22’及びドーパント一定濃度層21の深さ方向におけるドーパント濃度(C、C)の説明図である。ドーパント一定濃度層21及びドーパント減少傾斜層22’のドーパント濃度(C、C)は、二次イオン質量分析計(SIMS:Secondary Ionization Mass Spectrometer)で測定することができる。SIMSは、濃度が既知の標準物質を用いた検量線法によって定量分析を行うことができ、図3に示すように、深さ方向のドーパント原子の定量分析を行うことができる。
ソース電極接続領域13sとドレイン電極接続領域13dとの間(面内方向の間)には、ドーパント非含有のシリコン半導体膜22が形成されている。このシリコン半導体膜22は、上記したドーパント減少傾斜層22’と同じ成膜工程と拡散アニール工程を経て形成される。しかし、シリコン半導体膜22は、ドーパント減少傾斜層22’とは異なりその下層にドーパント一定濃度層21が無く、その結果、シリコン半導体膜22内へのドーパントの拡散が起こらず、したがって、シリコン半導体膜22はドーパントを含んでいない。なお、チャネル領域13cのシリコン半導体膜22と、ソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dとの間の境界23(図1及び図2中の破線部参照。)には、シリコン半導体膜22側に一部ドーパントが拡散している領域も存在するが、ドーパント減少傾斜層22’の厚さTが約数十nm(例えば20〜30nm)であるのに対し、チャネル領域13cの幅は数μmから数十μmであるので、例えばエキシマレーザーを用いた場合におけるドーパントのチャネル領域13c内への拡散は、チャネル領域13cの全体幅から見れば、相対的に、境界23の近傍のみであるということができ、したがって、チャネル領域13cのシリコン半導体膜22はドーパントを含有していない、ということができる。チャネル領域13cのシリコン半導体膜22の厚さTは、上記したドーパント減少傾斜層22’の厚さTと同じであり、一例として、20nm〜30nm程度の厚さを挙げることができる。
(ゲート絶縁膜)
ゲート絶縁膜14は、図1に示すように、コンタクトホール(符号33。図6参照。)を開けた形態でポリシリコン半導体膜13を覆うように形成されている。そのコンタクトホールは、ポリシリコン半導体膜13にソース電極15sとドレイン電極15dとを形成する部分に開けられている。ゲート絶縁膜14は、ゲート絶縁膜として適しているものであれば各種の材料を用いることができる。
ゲート絶縁膜用材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等のケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等を好ましく挙げることができる。また、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化スカンジウム、チタン酸バリウムストロンチウムのうち少なくとも1種又は2種以上を挙げることができる。特に酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等のケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等が好ましい。これら材料からなるゲート絶縁膜14の形成は、成膜手段としてスパッタリング法や各種CVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できるが、低温成膜が要求される場合には、成膜手段として低温成膜可能なスパッタリング法又はプラズマCVD法を好ましく適用できる。これら材料からなるゲート絶縁膜14の厚さは、通常、0.1〜0.3μm程度である。
また、ゲート絶縁膜用材料として、液状にしたシリカ(SiOの水和物)又はポリイミド樹脂等の絶縁膜用材料を用いてもよい。こうした絶縁膜用材料を塗布法で成膜し、その後にレジストを用いてパターニングして、ゲート絶縁膜14を形成することができる。また、感光性を有するゲート絶縁膜用材料を塗布法で成膜し、その後に露光現像して所定パターンのゲート絶縁膜14を形成してもよい。こうしたゲート絶縁膜14の厚さは、通常、0.1〜3μm程度である。
なお、本発明において、上記の「拡散アニール」は、通常、ドーパント非含有のシリコン半導体膜を形成した後に行われるが、その段階で行わずに、コンタクトホールを有するゲート絶縁膜14を形成した後に行ってもよい。この段階で拡散アニールを行う場合は、コンタクトホールで露出した部分を主に拡散させることができるという利点がある。
(ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極)
ゲート電極15gは、図1に示すように、コンタクトホールが形成されたゲート絶縁膜14上であってチャネル領域13cの上方に所定のパターンで設けられている。また、ソース電極15s及びドレイン電極15dは、図1に示すように、ゲート絶縁膜14のコンタクトホールを介してポリシリコン半導体膜13のソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dに接続した所定のパターンで設けられている。図1に示す態様では、各電極は、同じ電極材料を同時に成膜した後に同時にパターニングして形成できるので、製造コストを低減できるという利点がある。
ゲート電極材料、ソース電極材料及びドレイン電極材料は、ポリシリコン半導体膜13のソース電極15s及びドレイン電極15dとのオーミック接触が考慮されて選択され、例えば、アルミニウム、タングステン、タンタル、モリブデンのいずれかの金属、又はその金属を含む合金又は複合金属を好ましく挙げることができる。また、耐熱性を向上させる目的で、アルミニウムを主原料とし、シリコン等の他元素を添加した金属材料も同様の効果を発揮するので、好ましく用いることができる。ゲート電極15g、ソース電極15s及びドレイン電極15dは、成膜手段として真空蒸着法又はスパッタリング法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。各電極の厚さは、通常、0.1〜0.3μm程度である。
(その他の膜)
ゲート電極15g、ソース電極15s及びドレイン電極15dを形成した後においては、全体を覆う透明な保護膜(図示しない)を設けてもよい。保護膜の形成材料としては、少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物等を挙げることができる。具体的には、金属酸化物としては、SiO、Al等を挙げることができ、金属窒化物としては、Si、AlN等を挙げることができ、金属炭化物としては、SiC、TiC等を挙げることができ、金属酸窒化物としては、SiON、SiAlON等を挙げることができる。保護膜の形成方法としては、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、レーザー蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相成長法(CVD法)等を挙げることができる。保護膜の厚さは、成膜条件によって任意に設計されるために一概には言えないが、通常10nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、50nm〜150nmの範囲内であることがより好ましい。
(他の実施形態)
次に、図4のボトムゲート・トップコンタクト型のTFT1’について、図1に示すトップゲート・トップコンタクト型のTFT1と異なる点のみについて説明する。図4に示す態様のTFT1’は、基板10上にゲート電極15gを形成し、そのゲート電極15gを覆うようにゲート絶縁膜14を形成し、そのゲート絶縁膜14上に、上述したポリシリコン半導体膜13を形成している点に特徴がある。なお、図1で説明した構成要素と同じ符号を用いた構成要素は、図1で示した技術内容(材料、成膜手段等)と同じであるのでその説明は省略する。
図4に示した形態では、ゲート絶縁膜14がポリシリコン半導体膜13の下層として設けられているので、そのゲート絶縁膜14を熱緩衝膜として用いれば、図1に示すバッファ膜12を省略することができる。また、ポリシリコン半導体膜13上に、コンタクトホールを有した態様で設けられる絶縁膜16は、図1で示したゲート絶縁膜14と同じ技術内容を適用することができる。
以上、図1に示すTFT1によれば、(ア)ゲート電極15g、ソース電極15s及びドレイン電極15dを一度の成膜とパターニングで同時形成することができる点において低コストで製造可能な構造形態であるトップゲート・トップコンタクト型のTFT1を、高価なイオン注入装置を必要とせず且つイオン注入時の危険なガスを使用しないで得ることができる。イオン注入を行わないことを示す構造形態は、前記のドーパント減少傾斜層22’がドーパント一定濃度層21の上に設けられていることに因る。さらに、(イ)ソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dの上層を構成するドーパント減少傾斜層22’と、ドーパントが含まれていないチャネル領域13cのポリシリコン半導体膜22とが同時成膜された構造形態を呈するので、その構造形態は、チャネル領域13cのみをパターン形成する場合のような厳格なエッチング制御を不要とする構造形態である。したがって、本発明に係るTFT1によれば、イオン注入を行わずに低コストで製造できる構造形態を備えている。
また、本発明によれば、ポリシリコン半導体膜13の下にゲート絶縁膜14を介してゲート電極15gが設けられている図4に示すボトムゲート・トップコンタクト型のTFT1’を含み、この場合には、ゲート電極15g、ソース電極15s及びドレイン電極15dを一度の成膜とパターニングで同時形成することはできないが、少なくとも高価なイオン注入装置を必要とせず且つイオン注入時の危険なガスを使用しないで得ることができ、さらにチャネル領域13cのみをパターン形成する場合のような厳格なエッチング制御を不要とする構造形態であるので、いずれにしても、トップゲート・トップコンタクト型のTFT1の場合と同様、イオン注入を行わずに低コストで製造できる構造形態を備えている。
[製造方法]
次に、上記本発明に係るTFTを製造する方法の一例を説明する。図5及び図6は、TFTの製造方法の工程例(その1、その2)を示す説明図である。なお、それぞれの詳しい内容は上記したので、ここでは経時的な工程プロセスについて簡単に説明する。
先ず、図5(A)に示すように、基板10上に第1下地膜11と第2下地膜12とをその順で成膜する。このとき、第1下地膜11は密着膜であり、第2下地膜12はバッファ膜(熱緩衝膜)であることが好ましい。次に、図5(B)に示すように、第2下地膜12上に、ドーパント含有シリコンターゲットを用いたスパッタリング法でアモルファスシリコン半導体膜を成膜した後、例えばエキシマレーザーでアニール31を行って結晶化と活性化を行い、ポリシリコン半導体膜13を形成する。なお、このアニール31と後述のアニール32をパルス状のエキシマレーザーで行うことにより、局部的に高いエネルギーを照射することになるものの、全体として高温になりにくく、耐熱性が乏しい例えばプラスチック基板であっても問題なく適用することができるという利点がある。なお、パルス状のエキシマレーザーアニールの条件としては、一例として、XeClエキシマレーザーを用い、パルス幅を10〜50nsec、デューティー比を0.1〜0.5程度とし、エネルギー密度を150〜400mJ/cmの範囲とすることができる。
次に、図5(C)に示すように、そのポリシリコン半導体膜13をレジストを用いたフォトリソグラフィでパターニングし、所定パターンのドーパント一定濃度層21を形成する。次に、図5(D)に示すように、所定パターンのドーパント一定濃度層21を覆うように、ドーパントを含有しないシリコンターゲットを用いてノンドープのシリコン半導体膜を形成し、その後に、例えばエキシマレーザーでアニール32を行ってドーパント一定濃度層21からノンドープのシリコン半導体膜中にドーパントの拡散を行う。こうして図5(E)に示すように、ノンドープのシリコン半導体膜にドーパントが拡散したドーパント減少傾斜層22’と、ノンドープのシリコン半導体膜にドーパントが拡散していないシリコン半導体膜22とを形成する。
次に、図6(F)に示すように、ノンドープのシリコン半導体膜にドーパントが拡散したドーパント減少傾斜層22’をソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dとする部分と、ノンドープのシリコン半導体膜にドーパントが拡散していないシリコン半導体膜22をチャネル領域13cとする部分とを残すようにパターニングする。ここでのパターニングは、エッチングレートがほぼ同じドーパント一定濃度層21と、それを覆うように設けられたドーパント減少傾斜層22’及びノンドープのシリコン半導体膜22とを同時にエッチングするので、エッチング制御を厳格に管理する必要がなく、低コストでの生産に適している。
次に、図6(G)に示すように、エッチングされたポリシリコン半導体膜13を覆うようにゲート絶縁膜14を形成した後、ソース電極接続領域13s及びドレイン電極接続領域13dの所定の部位にコンタクトホール33を形成する。次に、その全面に金属膜15を成膜した後、パターニングして、ゲート電極15g、ソース電極15s及びドレイン電極15dを形成する。こうして、図6(I)に示す態様のトップゲート・トップコンタクト型のTFT1を形成する。
こうしたTFTの製造方法によれば、イオン注入を行わないので、高価なイオン注入装置を用いなくてもよく、且つ危険なガスの処理を行わなくてもよいというメリットがあり、製造コストの低減に寄与することができる。しかも、インラインでの連続処理が難しいイオン注入を行わないので、例えばロール巻き可能なフレキシブルなプラスチック基板を用い、スパッタリング法等のインラインでの連続処理可能な手段を適用すれば、ロール・トゥ・ロールにより極めて効率的な製造を行うことができ、著しい低コスト化を実現することができる。
以下、実施例と比較例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
基材10として厚さ100μmのプラスチック基板を用い、その上の全面に厚さ5nmの窒化アルミニウム膜(密着膜)を第1下地膜11としてスパッタ法で形成し、さらにその第1下地膜11上の全面に厚さ300nmの酸化ケイ素膜(バッファ膜)を第2下地膜12としてスパッタ法で形成した(図6(A))。その第2下地膜12上に、リンをドーパントとして含むターゲットを用いたスパッタリング法で厚さ60nmのアモルファスシリコン半導体膜を形成し、その後、全面にレーザー光(波長308nmのXeClエキシマレーザー、300Hz発振、照射面でのエネルギー密度325mJ/cm、レーザーパルス幅30nsec)をスキャンして、ポリシリコン半導体膜13に結晶化させるとともに活性化を行った(図6(B))。その後、このポリシリコン半導体膜13をフォトリソグラフィによりパターニングして所定パターンのドーパント一定濃度層21を形成した(図6(C))。
次に、ドーパント一定濃度層21を覆うように厚さ30nmのノンドープのシリコン半導体膜を形成した。その後、そのシリコン半導体膜にレーザー光(波長308nmのXeClエキシマレーザー、300Hz発振、照射面でのエネルギー密度265mJ/cm、レーザーパルス幅30nsec)をスキャンして、ドーパント一定濃度層21上に設けられたシリコン半導体膜をドーパント減少傾斜層22’に変化させた(図6(D)(E))。なお、ドーパント減少傾斜層22’は、ドーパント一定濃度層21中のドーパントを拡散させたものである。
次に、ドーパント減少傾斜層22’とドーパント一定濃度層21とノンドープのシリコン半導体膜22とを有する半導体膜を、フォトリソグラフィ(SFガスを用いたドライエッチング)によりアイランド化して所定パターンのポリシリコン半導体膜13を形成した(図6(F))。その後、それらを覆うように酸化ケイ素からなる厚さ100nmのゲート絶縁膜14をスパッタリング法で形成し、その後、そのゲート絶縁膜14にフォトリソグラフィ(フッ酸を用いたエッチング)でコンタクトホール33を形成した(図6(G))。その後、厚さ100nmのアルミニウム膜をスパッタリング法で形成し、フォトリソグラフィで各電極(ゲート電極15g、ソース電極15s、ドレイン電極15d)を形成した(図6(H)(I))。こうして実施例1に係るTFT1を作製した。
[参考例1]
実施例1において、ドーパント一定濃度層21上に形成したノンドープのシリコン半導体膜22の厚さを60nmにした他は、実施例1と同様にして、参考例1に係るTFTを作製した。この参考例1では、ドーパント減少傾斜層22’の厚さが60nmであり、実施例1でのドーパント減少傾斜層22’の厚さ(30nm)の2倍の厚さである。
[評価]
(1)実施例1と参考例1のTFTについて、Vd−Id曲線を半導体パラメータアナライザ装置(アジレント社製:4156C)を用いて測定した。なお、両者ともトランジスタのW/Lを10μm/10μmとして測定した。その結果を図7及び図8に示した。実施例1のTFTは、参考例1に比べて高いドレイン電流Idを示した。その理由は、参考例1のTFTでは、ノンドープのシリコン半導体膜22を実施例1の2倍の厚さで形成しているので、拡散アニールによりドーパントが拡散したドーパント減少傾斜層22’に十分なドーパントが拡散しておらず、ドレイン電極15dとドーパント減少傾斜層22’とのコンタクト抵抗が高くなっているためと推察される。
(2)参考例1のTFTについて、ドーパント減少傾斜層22’及びドーパント一定濃度層21の深さ方向におけるドーパント濃度をSIMS(Physical Electronics社製、PHI 6650)によって測定した。図9はその結果である。図9中の符号P1はドーパント減少傾斜層22’の電極側(上側)の表面位置を示しており、符号P2はドーパント減少傾斜層22’とドーパント一定濃度層21との境界位置(P1位置から深さ60nmの位置)を示している。ドーパント一定濃度層21のドーパント濃度は、約3×1019/cm程度であった。一方、ドーパント減少傾斜層22’のドーパント濃度は、電極側(上側)から基板側(下側)に向かって約2×1019〜3×1019/cm程度の範囲で傾斜していた。
また、ドーパント減少傾斜層22’の厚さが参考例1の半分である実施例1のTFTでは、そのSIMS結果(図示しない)は参考例1のSIMS結果(図9参照)のP1位置から深さ30nmの位置(符号P3:実施例1のTFTにおけるドーパント減少傾斜層の電極側(上側)の表面位置)から右方向のグラフ形態と同じであった。すなわち、実施例1のTFTにおいて、図9中の符号P3はドーパント減少傾斜層22’の電極側(上側)の表面位置を示しており、符号P2はドーパント減少傾斜層22’とドーパント一定濃度層21との境界位置(P3位置から深さ30nmの位置)を示している。ドーパント一定濃度層21のドーパント濃度は約3×1019/cm程度であり、一方、ドーパント減少傾斜層22’のドーパント濃度は約6×1018〜3×1019/cm程度であった。この結果と上記図7及び図8のVd−Id曲線とから、ドレイン電極及びソース電極が接続するドーパント減少傾斜層22’のドーパント濃度が6×1018/cm以上であれば、十分なコンタクト抵抗とすることができることが分かった。
1,1’ 薄膜トランジスタ(TFT)
10 基材
11 第1下地膜
12 第2下地膜
13 ポリシリコン半導体膜
13s ソース電極接続領域
13c チャネル領域
13d ドレイン電極接続領域
14 絶縁膜
15 金属膜
15s ソース電極
15g ゲート電極
15d ドレイン電極
16 絶縁膜
21 ドーパント一定濃度層
22’ ドーパント減少傾斜層
22 ドーパントを含まない半導体膜
23 境界
31 アニール(結晶化及び活性化)
32 拡散アニール(ドーパントの拡散)
33 コンタクトホール
ドーパント一定濃度層の厚さ
ドーパント減少傾斜層の厚さ
ドーパントを含まない半導体膜の厚さ
P1 参考例1のTFTにおけるドーパント減少傾斜層の電極側(上側)の表面位置
P2 参考例1のTFTにおけるドーパント減少傾斜層とドーパント一定濃度層との境界位置
P3 実施例1のTFTにおけるドーパント減少傾斜層の電極側(上側)の表面位置

Claims (5)

  1. 基板上に設けられたポリシリコン半導体膜と、前記ポリシリコン半導体膜上に離間して設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記ポリシリコン半導体膜の上又は下にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極とを少なくとも有する薄膜トランジスタであって、
    前記ポリシリコン半導体膜は、面内方向にソース電極接続領域、チャネル領域及びドレイン電極接続領域を有し、該チャネル領域にはドーパントが含まれておらず、該ソース電極接続領域及びドレイン電極接続領域は基板側からソース電極側及びドレイン電極側に向かってドーパント一定濃度層とドーパント減少傾斜層とを有することを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. 前記チャネル領域のポリシリコン半導体膜の厚さと、前記ソース電極接続領域及びドレイン電極接続領域のドーパント減少傾斜層の厚さとが同じである、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  3. 前記ドーパントが、n型ドーパントであるリン、ヒ素及びアンチモンのうちのいずれか、又は、p型ドーパントであるボロン及びアルミニウムのうちのいずれかである、請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタ。
  4. 前記ドーパント減少傾斜層のドーパント濃度が、6×1018〜3×1019/cmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
  5. 前記基板がプラスチック基板である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
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