JP2011119349A - 半導体レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents

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晋 吉本
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秀樹 松原
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良啓 赤羽
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Abstract

【課題】屈折率分布層上に活性層が配置された構成を備える窒化ガリウム系の半導体レーザ素子において、再成長の際に導入された歪みによる活性層への影響を抑える。
【解決手段】半導体レーザ素子1Aは、GaN基板11上に設けられ、窒化ガリウム系半導体からなり、一次元又は二次元で広がる周期的な屈折率分布を有する屈折率分布層17と、屈折率分布層17上に設けられた活性層27と、屈折率分布層17と活性層27との間に設けられたInGaNからなる歪緩和層25とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体レーザ素子及びその製造方法に関するものである。
特許文献1には、半導体レーザ素子が記載されている。この半導体レーザ素子は、主面を有する基板と、主面が延びる方向に沿って基板上に形成され、GaNよりなるエピタキシャル層と、エピタキシャル層よりも低屈折率である低屈折率材料とを含むフォトニック結晶層と、基板上に形成されたn型クラッド層と、基板上に形成されたp型クラッド層と、n型クラッド層およびp型クラッド層に挟まれ、キャリアが注入されると発光する活性層と、フォトニック結晶層の真上を覆うGaN層とを備えている。
国際公開第2006/062084号パンフレット
特許文献1には、半導体レーザ素子の構成の一例として、窒化ガリウム基板上に、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層、周期的な屈折率分布を有するフォトニック結晶層といった屈折率分布層、及びGaN層をこの順に積層した構成が記載されている。しかしながら、半導体レーザ素子の別の構成として、例えば屈折率分布層上に活性層を配置する場合がある。特許文献1の例ではフォトニック結晶層上にGaN層を設けているが、このGaN層はフォトニック結晶層をエッチング等により形成した後に再成長された層なので、その上に活性層を成長させた場合、再成長の際に導入された歪みの影響を活性層が受けてしまう。これにより、活性層の結晶品質が低下し、発光効率が抑制されてしまうという問題がある。
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、屈折率分布層上に活性層が配置された構成を備える窒化ガリウム系の半導体レーザ素子において、再成長の際に導入された歪みによる活性層への影響を抑えることを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明による半導体レーザ素子は、窒化ガリウム系半導体領域上に設けられ、窒化ガリウム系半導体からなり、一次元又は二次元で広がる周期的な屈折率分布を有する屈折率分布層と、屈折率分布層上に設けられた活性層と、屈折率分布層と活性層との間に設けられたInGaNからなる歪緩和層とを備えることを特徴とする。
また、本発明による半導体レーザ素子の製造方法は、窒化ガリウム系半導体領域上に窒化ガリウム系半導体層を成長させる工程と、窒化ガリウム系半導体層の一部を除去して、一次元又は二次元で広がる周期的な屈折率分布を有する屈折率分布層を形成する工程と、屈折率分布層上にInGaNからなる歪緩和層を成長させる工程と、歪緩和層上に活性層を成長させる工程とを備えることを特徴とする。
本発明者は、窒化ガリウム系の半導体レーザ素子において屈折率分布層上に活性層を成長させる場合、屈折率分布層と活性層との間にInGaN層を介在させることにより、再成長の際に導入された歪みが緩和されることを見出した。すなわち、上記した半導体レーザ素子及び半導体レーザ素子の製造方法によれば、屈折率分布層と活性層との間にInGaNからなる歪緩和層を備えることによって、再成長の際に導入された歪みによる活性層への影響を効果的に抑え、活性層の結晶品質を向上させて発光効率を高めることができる。
また、半導体レーザ素子は、歪緩和層のIn組成が0.05以上であることを特徴としてもよい。本発明者の知見によれば、歪緩和層のIn組成が0.05以上であることによって、再成長の際に導入される歪みをより効果的に緩和することができる。
また、半導体レーザ素子は、屈折率分布層における周期的な屈折率分布が二次元フォトニック結晶により構成されていることを特徴としてもよい。或いは、半導体レーザ素子は、屈折率分布層における周期的な屈折率分布が一次元回折格子により構成されていることを特徴としてもよい。上記した半導体レーザ素子及びその製造方法によれば、屈折率分布層としての二次元フォトニック結晶や一次元回折格子上に、高い結晶品質を有する活性層を成長させることができる。
本発明によれば、屈折率分布層上に活性層が配置された構成を備える窒化ガリウム系の半導体レーザ素子及びその製造方法において、再成長の際に導入された歪みによる活性層への影響を抑えることができる。
図1は、本発明の第1実施形態として、半導体レーザ素子1Aの構成を示す側断面図である。 図2は、二次元回折格子の一例として、格子間隔がaである三角格子を示す図である。 図3は、図2に示された三角格子が有する逆格子空間を示す図である。 図4(a)は、InPからなるフォトニック結晶構造の三角格子について、平面波展開法を用いてバンド計算を行った結果を示すフォトニックバンド図であり、特にTEモードに対する計算結果である。また、図4(b)は、図4(a)におけるS点近傍における拡大図である。 図5(a)及び図5(b)は、半導体レーザ素子1Aを作製する方法の主要な工程を示す側断面図である。 図6(a)及び図6(b)は、半導体レーザ素子1Aを作製する方法の主要な工程を示す側断面図である。 図7は、半導体レーザ素子1Aを作製する方法の主要な工程を示す側断面図である。 図8は、半導体レーザ素子1Aを作製する方法の主要な工程を示す側断面図である。 図9は、上記実施形態の一変形例に係る屈折率分布層17aの構成を示す平面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明による半導体レーザ素子及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1に示される、本発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子1Aは、主面11aを有するGaN基板11を備えている。GaN基板11は、本実施形態における窒化ガリウム系半導体領域である。一実施例では、GaN基板11はSiドープn型GaN基板である。或いは、GaN基板11はInGaN等の他の窒化ガリウム系半導体から成ってもよい。主面11aは、例えばGaN基板11の結晶のC面である。なお、主面11aは、GaN結晶の無極性面、すなわち{10−10}面(M面)または{11−20}面(A面)であってもよい。或いは、主面11aは、GaN結晶の半極性面(例えば{10−11}面、{10−13}面、{11−22}面、{20−21}面、またはIII族窒化物基板のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面からIII族窒化物基板のm軸の方向に63度以上80度未満の範囲の傾斜角で傾斜した面、など)であってもよい。GaN基板11の厚さは、例えば100[μm]である。
また、半導体レーザ素子1Aは、GaN基板11の主面11a上に設けられた活性層27を備えている。活性層27は、窒化ガリウム系半導体(例えばGaNやInGaN)によって構成される。一実施例では、活性層27は量子井戸構造29を有するが、活性層27の構造はこれに限定されるものではない。この量子井戸構造29は、交互に配列された井戸層29aおよび障壁層29bを含む。井戸層29aは例えばInGaN、InAlGaN等からなることができ、また障壁層29bは、井戸層29aよりも大きなバンドギャップのInGaN、InAlGaN等からなることができる。
また、半導体レーザ素子1Aは、屈折率分布層17を備えている。屈折率分布層17は、GaN基板11の主面11aと活性層27との間に設けられている。屈折率分布層17は、活性層27に沿って設けられており、一次元又は二次元において屈折率が周期的に変化する周期構造を含んでいる。一実施例では、この周期構造は二次元フォトニック結晶からなる二次元回折格子構造であり、また他の一実施例では、この周期構造は一次元回折格子構造である。
具体的には、屈折率分布層17は複数の空孔21を含んでいる。複数の空孔21は活性層27に沿った面方向に一次元または二次元に配列されており、屈折率分布層17の複数の空孔21以外の部分は例えばGaNから成る。複数の空孔21の半径は例えば70[nm]であり、隣り合う空孔21のピッチは例えば166[nm](三角格子の場合)である。屈折率分布層17の層厚は例えば100[nm]である。
また、半導体レーザ素子1Aは、n型クラッド層15を備えている。n型クラッド層15は、GaN基板11の主面11aと屈折率分布層17との間に設けられている。n型クラッド層15は、窒化ガリウム系半導体、例えばSiドープn型AlGaNからなる。n型クラッド層15の層厚は例えば2[μm]である。
また、半導体レーザ素子1Aは、歪緩和層25を備えている。歪緩和層25は、屈折率分布層17形成後の再成長の際に生じる結晶の歪みを緩和するために、屈折率分布層17と活性層27との間に設けられている。歪緩和層25は、アンドープInGaNから成る。歪緩和層25の層厚は例えば10[nm]である。なお、結晶の歪みを十分に緩和するために、歪緩和層25のIn組成は0.05以上であることが好ましい。
また、半導体レーザ素子1Aは、GaN系半導体層23を備えている。GaN系半導体層23は、屈折率分布層17と歪緩和層25との間に設けられている。GaN系半導体層23は、GaN系化合物半導体、例えばSiドープn型GaNから成る。GaN系半導体層23の層厚は例えば200[nm]である。
また、半導体レーザ素子1Aは、GaN系半導体層31、電子ブロック層33、p型クラッド層35およびp型コンタクト層37を備えている。これらの層は、活性層27上にこの順で積層されている。GaN系半導体層31は、例えばGaN層から成り、好ましくは、ドーパントによる光吸収を避けるためにアンドープである。電子ブロック層33は、例えばGaN系半導体層31より大きなバンドギャップのAlGaN層から成り、好ましくはp型ドーパントを含む。p型クラッド層35は、活性層27に正孔を供給すると共に、光閉じ込めのために活性層27の屈折率よりも小さなGaN系半導体から成る。p型クラッド層35は、例えばAlGaN層から成る。p型コンタクト層37は、良好な電気接触を提供するために、高濃度のドーパントを含むことが好ましい。p型コンタクト層37は、例えばp型GaN層またはp型AlGaN層から成る。
また、半導体レーザ素子1Aは、アノード電極41a及びカソード電極41bを備えている。アノード電極41aは、p型コンタクト層37上に設けられており、p型コンタクト層37とオーミック接触を成している。カソード電極41bは、GaN基板11の裏面11b上に設けられており、GaN基板11とオーミック接触を成している。
以上の構成を備える半導体レーザ素子1Aの作用について説明する。アノード電極41aとカソード電極41bとの間に電流を供給すると、p型コンタクト層37及びp型クラッド層35から活性層27へ正孔が注入され、GaN基板11及びn型クラッド層15から電子が注入される。活性層27へ正孔および電子(キャリア)が注入されると、キャリアの再結合が生じ、光が発生する。発生した光の波長は、活性層27を構成する半導体(本実施形態では、InGaNまたはAlInGaN)のバンドギャップによって決まる。また、活性層27が量子井戸構造29を有する場合には、井戸層29aの厚さも光の波長に大きく影響する。
活性層27において発生した光は、GaN系半導体層23,31によって活性層27内およびその付近に閉じ込められるが、光の一部はエバネッセント光として屈折率分布層17に到達する。屈折率分布層17に到達した光の波長と、屈折率分布層17の複数の空孔21による周期構造の周期とが一致する場合には、その光は周期構造に沿った方向に反射され、活性層27内を共振することとなる。
特に、屈折率分布層17の周期構造がフォトニック結晶構造である場合、活性層27の光の一部はエバネッセント光として屈折率分布層17に到達する。屈折率分布層17に到達したエバネッセント光の波長と、フォトニック結晶構造の周期とが一致する場合には、その周期に対応する波長において定在波が誘起される。定在波によるフィードバック効果により、レーザ発振を起こすことができる。
続いて、屈折率分布層17が二次元回折格子を有する場合について、更に詳細に説明する。二次元回折格子は、少なくとも二方向に同一の周期で並進させたときに重なり合うような性質を有する。このような二次元格子は、正三角形、正方形、または正六角形を一面に敷き詰めて配置し、その各頂点に格子点を設けることによって形成される。ここでは、正三角形を用いて形成される格子を三角格子、正方形を用いて形成される格子を正方格子、正六角形を用いて形成される格子を六角格子とする。
図2は、二次元回折格子の一例として、格子間隔がaである三角格子を示す図である。図2において、任意に選択された格子点Aに着目し、格子点Aから格子点Bに向かう方向をΓ−X方向とし、また格子点Aから格子点Cに向かう方向をΓ−J方向とする。ここでは、活性層27において生じる光の波長がΓ−X方向の格子周期に対応している場合について説明する。
屈折率分布層17は、以下に説明する3個の一次元回折格子群L、M及びNを含むと考えることができる。一次元回折格子群Lは、X軸方向に沿って設けられた一次元格子L、L及びLからなる。一次元回折格子群Mは、X軸方向に対して120°を成す方向に沿って設けられた一次元回折格子M、M及びMからなる。一次元回折格子群Nは、X軸方向に対して60°を成す方向に沿って設けられた一次元格子N、N及びNからなる。一次元回折格子群L、M及びNのそれぞれに含まれる一次元回折格子同士の間隔をdとし、一次元回折格子内における格子間隔をaとする。
まず、一次元回折格子群Lについて考える。格子点Aから格子点Bへ向かう方向に進む光は、格子点Bにおいて回折現象を生じる。回折方向は、ブラッグ条件2d・sinθ=mλ(m=0、±1、・・・)によって規定される。ここで、λは屈折率分布層17における光の波長である。2次のブラッグ反射(m=±2)を満足するように回折格子が形成されている場合には、θ=±60°、±120°の方向に別の格子点D、E、F及びGが存在する。また、m=0に対応する角度θ=0°、180°にも格子点A及びKが存在する。
格子点Bにおいて、例えば格子点Dに向けて回折された光は、格子点Dにおいて格子群Mに従って回折される。この回折は、格子群Lに従う回折現象と同様に考えることができる。次いで、格子点Dにおいて格子点Hに向けて回折された光は、格子群Nに従って回折される。このようにして、格子点H、格子点I、格子点Jと順に回折される。格子点Jから格子点Aに向けて回折される光は、格子群Nに従って回折される。
以上のように、格子点Aから格子点Bに進む光は、複数回の回折を経て、最初の格子点Aに到達する。このため、半導体レーザ素子1Aにおいては、ある方向に進む光が複数回の回折を経て元の格子点の位置に戻るので、各格子点間には定在波が立つ。したがって、屈折率分布層17の二次元回折格子構造は、光共振構造、つまり波長選択器および反射器として作用する。
格子点Aについて先に説明した回折作用は、二次元的に配置された全ての格子点において生じる。このため、Γ−X方向に伝搬する光は、ブラッグ回折によって二次元的に相互に結合していると考えられる。屈折率分布層17では、このような二次元的結合によって、コヒーレントな状態が形成されると考えられる。
図3は、図2に示された三角格子が有する逆格子空間を示す図である。図3には、逆格子空間における複数のブリリアンゾーンの各中心点Γが示されており、また、互いに隣接する2つのブリリアンゾーンの中心点Γ同士を相互に結ぶ直線と、該2つのブリリアンゾーン同士の境界線とが交差する点Xが示されており、更に、互いに隣接する3つのブリリアンゾーンが接する点Jが示されている。図3における点Γ、X及びJによって規定される方向は、上述したΓ−X方向およびX−J方向に対応する。
図4(a)は、InPからなるフォトニック結晶構造の三角格子について、平面波展開法を用いてバンド計算を行った結果を示すフォトニックバンド図であり、特にTEモードに対する計算結果である。また、図4(b)は、図4(a)におけるS点近傍における拡大図である。図1に示した屈折率分布層17は、図4(a)に示された分散関係、すなわちフォトニックバンド構造を有することができる。なお、フォトニックバンド構造とは、媒質内に設けられた周期的な屈折率分布に基づいて、光子のエネルギーに対して規定された分散関係をいう。
図4(a)及び図4(b)に示すように、点Γ及びその近傍の波数範囲では、図中の部分P,Sにおいて、バンド端が存在している。ここでは、部分Sを「第1バンド端」とし、部分Pを「第2バンド端」とする。第1バンド端の規格化周波数ωは約0.35となっており、第2バンド端の規格化周波数ωは約0.61となっている。ここで、点Γでは群速度(dλ/dk)=0なので、光の規格化周波数ωがωまたはωである場合には、定在波が立つことになる。GaNから成るフォトニック結晶構造(三角格子)に対して同様の計算を行うと、第1バンド端の規格化周波数ωは約0.47となり、第2バンド端の規格化周波数ωは約0.82となる。
続いて、本実施形態の半導体レーザ素子1Aの製造方法について説明する。図5〜図8は、本実施形態の半導体レーザ素子1Aを製造する方法の主要な工程を示す側断面図である。本実施形態では、半導体レーザのためのいくつかの窒化ガリウム系半導体層が、例えば有機金属気相成長法で形成される。
まず、図5に示されるように、GaN基板11を準備する。このGaN基板11を成長炉のサセプタ上に配置し、半導体レーザのための工程を施していく。まず、GaN基板11の主面11aのサーマルクリーニングを行ったのち、n型クラッド層15を成長させる。n型クラッド層15は例えばAlGaNといった窒化ガリウム系半導体からなることができる。このn型クラッド層15上には、屈折率分布層17(図1参照)となる窒化ガリウム系半導体層であるn型GaN層43を成長させる。n型GaN層43は、n型クラッド層15よりも大きい屈折率を有する。なお、n型GaN層43に代えて、InGaN層またはAlGaN層を成長させてもよい。n型GaN層43を成長させた後に、室温近くの温度まで成長炉の温度を下げて、基板W1を成長炉から取り出す。
次いで、n型GaN層43の一部を除去することにより、一次元又は二次元で周期的に配列された複数の凹部をn型GaN層43に形成する工程を説明する。図5(b)に示されるように、基板W1のn型GaN層43上に、複数の凹部を形成するためのレジスト45を均一に塗布する。このレジスト45は、例えば電子ビーム露光用のレジストである。そして、このレジスト45を露光することにより、図6(a)に示されるようにマスク19を形成する。マスク19は、複数の凹部のための開口の配列を有しており、これらの開口は、例えば三角格子、正方格子等の格子状に配列される。
マスク19を用いて、複数の凹部をGaN層43に形成する。この形成は、エッチングといった加工により行われる。図6(b)に示されるように、例えばドライエッチング装置においてマスク19を用いてn型GaN層43をエッチングして、周期的屈折率分布のパターンが形成された屈折率分布層17を形成する。屈折率分布層17には、マスク19の開口に対応して一次元又は二次元で周期的に配列された複数の空孔21の配列が形成される。複数の空孔21は、その配列の態様によって、一次元回折格子か或いは二次元フォトニック結晶を構成する。このエッチングの後にマスク19を除去して、基板W2が提供される。基板W2は、パターン形成された屈折率分布層17を含む。
再び基板W2を成長炉のサセプタ上に配置して、成長炉の温度を成長温度まで上昇させる。この後に、図7に示されるように、GaN系半導体層23を屈折率分布層17上に形成する。なお、GaN系半導体層23は、屈折率分布層17の複数の空孔21を保持したまま覆う。そして、GaN系半導体層23上に歪緩和層25を成長させる。歪緩和層25は、アンドープInGaNからなる。
引き続き、いくつかの窒化ガリウム系半導体層の成長を行う。図7に示されるように、InGaN歪緩和層25上に活性層27を成長させる。この活性層27は、複数の空孔21と光学的に結合される。一実施例では、活性層27は量子井戸構造29を有し、量子井戸構造29は交互に配列された井戸層29aおよび障壁層29bを含む。
次いで、活性層27上にGaN系半導体層31が成長される。GaN系半導体層31は、例えばGaN層であることができ、好ましくは、ドーパントによる光吸収を避けるためにアンドープ層からなる。このGaN系半導体層31上に、電子ブロック層33、p型クラッド層35およびp型コンタクト層37が順に成長される。電子ブロック層33は、例えばGaN系半導体層31より大きなバンドギャップのAlGaN層からなることができ、好ましくはp型ドーパントを含む。p型クラッド層35は、活性層27に正孔を供給すると共に、光閉じ込めのために活性層27の屈折率よりも小さな窒化ガリウム系半導体からなる。p型クラッド層35は、例えばAlGaN層からなることができる。p型コンタクト層37は、良好な電気接触を提供するために、高濃度のドーパントを含むことが好ましい。p型コンタクト層37は、例えばp型GaN層またはp型AlGaN層からなることができる。これらの成長により、基板W3が提供される。
この後、必要な場合には、GaN基板11の裏面の研削を行う。そして、図8に示されるように、p型コンタクト層37上にアノード電極41aを形成すると共に、GaN基板11の裏面11bにカソード電極41bを形成する。最後に、アノード電極41aおよびカソード電極41bが形成された基板W3をチップ状に分割する。こうして、半導体レーザ素子1Aが完成する。
本実施形態の半導体レーザ素子1A及びその製造方法による効果について説明する。前述したように、活性層が屈折率分布層上に配置される構造においては、再成長の際に導入された歪みの影響を活性層が受けてしまう。これにより、活性層の結晶品質が低下し、発光効率が抑制されてしまう。この問題に対し、本発明者は、窒化ガリウム系の半導体レーザ素子において屈折率分布層上に活性層を成長させる場合、屈折率分布層と活性層との間にInGaN層を介在させることにより、再成長の際に導入された歪みが緩和されることを見出した。すなわち、本実施形態の半導体レーザ素子1A及びその製造方法によれば、屈折率分布層17と活性層27との間にInGaNからなる歪緩和層25を備えることによって、再成長の際に導入された歪みによる活性層27への影響を効果的に抑え、活性層27の結晶品質を向上させて発光効率を高めることができる。
また、前述したように、歪緩和層25のIn組成は0.05以上であることが好ましい。本発明者の知見によれば、歪緩和層25のIn組成が0.05以上であることによって、再成長の際に導入される歪みをより効果的に緩和することができる。
ここで、以下の表1は、歪緩和層25のIn組成と活性層27のフォトルミネッセンス(PL)強度との関係を示す表である。ここで、歪緩和層25のIn組成が14%のときのPL強度を1として規格化している。表1に示すとおり、歪緩和層25のIn組成が大きいほど活性層27のPL強度が高いことがわかる。また、歪緩和層25のIn組成が0.05より小さい場合、PL強度が0.3[a.u.]といった小さな値となり、このような半導体レーザ素子1Aでは活性層27への電流密度を50[kA/cm]といった比較的大きな値としても発振に至ることは難しい。したがって、歪緩和層25のIn組成は0.05以上であることが好ましい。
Figure 2011119349
また、以下の表2は、活性層27の障壁層29b及び歪緩和層25のそれぞれにおける、好適なIn組成範囲及び膜厚範囲を示す表である。
Figure 2011119349

表2に示すように、例えば出力波長が400[nm]付近の帯域である場合、井戸層29aのIn組成は8%程度であり、障壁層のIn組成が上記範囲より大きいと、良好な量子井戸構造29を形成することが難しい。更に、高いIn組成で障壁層を形成すると結晶性の劣化を引き起こし、その影響が直近に位置する井戸層29aにまで及ぶ。なお、障壁層の厚さについての上記範囲は、良好な量子井戸構造29を形成するために好適な範囲であり、歪緩和層25も厚過ぎると結晶性が低下することとなるため上記範囲が好適である。
また、本実施形態のように、屈折率分布層17の周期構造は二次元フォトニック結晶構造であることが好ましい。これにより、活性層27で発生した光を効率良く反射させる周期構造を好適に実現できる。また、フォトニック結晶構造の特徴を活かして、ビーム・偏光などの制御が容易となり、応用用途を広げることができる。また、本実施形態の半導体レーザ素子1A及びその製造方法によれば、屈折率分布層17としての二次元フォトニック結晶構造上に、高い結晶品質を有する活性層27を成長させることができる。
(変形例)
上記実施形態では、屈折率分布層17の二次元フォトニック結晶の一例として、図2に示すような三角格子について説明した。しかしながら、屈折率分布層17の周期構造は、たとえば以下のようなものであってもよい。
図9は、上記実施形態の一変形例に係る屈折率分布層17aの構成を示す平面図である。図9に示すように、屈折率分布層17aは、複数の空孔21が正方格子(格子間隔d)を形成するように設けられていてもよい。図9において、任意に選択された格子点Wに着目し、格子点Wから格子点Pに向かう方向をΓ−X方向とし、また格子点Wから格子点Qへ向かう方向をΓ−M方向とする。ここでは、活性層27において発生する光の波長がΓ−X方向に関する格子周期に対応している場合について説明する。
屈折率分布層17aは、以下に説明する2個の一次元回折格子群U、Vを含むと考えることができる。一次元回折格子群Uは、Y軸方向に向けて設けられた複数の一次元格子(例えばU〜U)を含む。一次元回折格子群Vは、X軸方向に向けて設けられた一次元格子(例えばV〜V)を含む。
まず、一次元回折格子群Uについて考える。格子点Wから格子点Pに達した光は、格子点Pにおいて回折現象を生じる。回折方向は、三角格子の場合と同様に、ブラッグ条件2d・sinθ=mλ(m=0、±1、・・・)によって規定される。2次のブラッグ反射(m=±2)を満足するように回折格子が形成されている場合には、θ=±90°の角度に別の格子点Q,Rが存在し、m=0に対応する角度θ=0°,180°にも格子点W,Sが存在する。
格子点Pにおいて格子点Qへ向けて回折された光は、格子点Qにおいて一次元回折格子群Vに従って回折される。この回折は、一次元回折格子群Uに従う回折現象と同様に考えることができる。次いで、格子点Qにおいて格子点Tへ向けて回折される光は、一次元回折格子群Uに従って回折される。このようにして順次に回折されていく。格子点Tから格子点Wへ向けて回折される光は、一次元回折格子群Vに従って回折される。
このように、格子点Wから格子点Pへ進んだ光は、複数回の回折を経て、最初の格子点Wに到達する。すなわち、或る方向に進む光が複数回の回折を経て元の格子点に戻るので、各格子点間には定在波が立つ。したがって、屈折率分布層17aの二次元回折格子は、光共振器として作用する。
屈折率分布層17aの二次元回折格子では、任意の格子点Wにおいて生じる上記現象が全ての格子点において生じ得る。このため、Γ−X方向に伝搬する光が、ブラッグ回折によって二次元的に相互に結合していると考えられる。屈折率分布層17aの二次元回折格子では、この二次元的結合によって3つのΓ−X方向が結合しあってコヒーレントな状態が形成されると考えられる。
(実施例1)
有機金属気相成長法を用いて、青紫色二次元フォトニック結晶レーザを作製した。原料として、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)、トリメチルアルミニウム(TMA)、アンモニア(NH)、モノシラン(SiH)、シクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を用いた。
{0001}面を主面とするn型GaN基板をサセプタ上に配置した後に、成長炉にNHとHを供給して炉内の圧力30[kPa]において、摂氏1050度の基板温度で10分間のサーマルクリーニングを行った。炉内圧力を大気圧にした後に、以下の順に成膜を行った。まず、基板温度を摂氏1100度に上昇させた後、TMG、TMA、NH、SiHを供給し、n型クラッド層となる厚さ2[μm]のn型Al0.03Ga0.97N結晶を成長した。次に、基板温度を維持したままTMG、TMI、NH、SiHを供給し、二次元フォトニック結晶のための窒化ガリウム系半導体層である厚さ100[nm]のn型GaN結晶を成長した。
基板温度を降温した後に、成長炉からエピタキシャルウェハを取り出し、以下のとおりフォトニック結晶のためのマスクを形成した。電子ビーム露光用フォトレジストをウェハ上に塗布し、スピンコータを用いて均一なレジスト膜を形成した。電子ビーム露光装置を用いて、レジスト膜の300[μm]角のエリア内に、フォトニック結晶のための正方格子パターン(半径186[nm]、ピッチ85[nm])を描画した。このレジスト膜の現像を行ってマスクを形成した後に、反応性イオンエッチング装置にエピタキシャルウェハを配置した。レジストマスクを用いてエッチングガスClによりn型GaN層を部分的に除去して転写し、パターンに対応した空孔の配列を有するn型GaN層(屈折率分布層)を形成した。この後に、結晶成長のためにエピタキシャルウェハからレジストマスクを除去した。
上記エピタキシャルウェハをサセプタ上に再度配置した後に、基板温度を成長温度(摂氏1100度)に上昇させた。炉内圧力を大気圧として、TMG、NH、SiHを供給し、200[nm]のn型Al0.05Ga0.95N層を屈折率分布層上に成長した。なお、屈折率分布層の空孔内部におけるこのn型Al0.05Ga0.95N層の成長速度は、空孔以外の屈折率分布層上の領域における成長速度と比較して極めて遅く、このn型Al0.05Ga0.95N層は屈折率分布層の空孔を残したままその上を覆うように成長する。
そして、成長炉の温度を下げ、歪緩和層を形成した。具体的には、摂氏800度の基板温度で、TMG、TMI、NHを供給し、歪緩和層となる厚さ10[nm]のアンドープIn0.07Ga0.93N層を成長した。
続いて、3周期の量子井戸構造を有する活性層を歪緩和層上に形成した。具体的には、摂氏880度の基板温度で、TMG、TMI、NHを供給し、厚さ15[nm]のアンドープIn0.01Ga0.99N障壁層を成長し、その上に、摂氏800度の基板温度で、TMG、TMI、NHを供給し、厚さ3[nm]のアンドープIn0.07Ga0.93N井戸層を成長した。この工程を繰り返すことにより、3周期の多重量子井戸活性層を形成した。
続いて、成長炉の温度を上げ、摂氏1100度の成長温度においてTMGおよびNHを供給し、GaN系半導体層としての厚さ100[nm]のアンドープGaN層を成長した。その上に、TMG、TMA、NH、CpMgを供給し、電子ブロック層としての厚さ20[nm]のp型Al0.12Ga0.88N層を成長した。また、TMG、TMA、NH、CpMgを供給し、p型クラッド層としての厚さ600[nm]のp型Al0.07Ga0.93N層を成長した。また、TMG、NH、CpMgを供給し、コンタクト層としての厚さ50[nm]のp型GaN層を成長した。これらの成長の後に、エピタキシャルウェハを成長炉から取り出して、Ni/Auからなる300[μm]角のアノード電極をp型GaN層上に形成した。また、GaN基板を厚さ100[μm]まで研削した後に、基板の裏面全体にTi/Auからなるカソード電極を形成した。
以上の工程を経たのち、300[μm]角のフォトニック結晶パターンを含むように1[mm]角のチップを切り出した。そして、このチップをステムに搭載し、Auからなるワイヤを用いてボンディングを行い、このチップを通電可能とした。この青紫色二次元フォトニック結晶レーザ素子に室温でパルス電流(繰り返し周波数1[kHz]、パルス幅500[nsec])を印加したとき、電流密度20[kA/cm]で明確な閾値をもって光出力が増大し、フォトニック結晶レーザとしての発振が確認された。
(実施例2)
有機金属気相成長法を用いて、青紫色分布帰還型レーザを作製した。その際、原料として、TMG、TMI、TMA、NH、SiH、及びCpMgを用いた。
まず、{0001}面を主面とするn型GaN基板をサセプタ上に配置した後に、成長炉にNHとHを供給して炉内の圧力30[kPa]において、摂氏1050度の基板温度で10分間のサーマルクリーニングを行った。炉内圧力を大気圧にした後に、以下の順に成膜を行った。まず、基板温度を摂氏1100度に上昇させた後、TMG、TMA、NH、およびSiHを供給し、n型クラッド層となる厚さ2[μm]のn型Al0.03Ga0.97N結晶を成長した。次に、基板温度を維持したままTMG、TMI、NH、およびSiHを供給し、一次元回折格子のための厚さ100[nm]のn型GaN結晶を成長した。
基板温度を降温した後に、成長炉からエピタキシャルウェハを取り出し、以下のとおり一次元回折格子のためのマスクを形成した。電子ビーム露光用フォトレジストをウェハ上に塗布し、スピンコータを用いて均一なレジスト膜を形成した。電子ビーム露光装置を用いて、一次元回折格子パターン(ピッチ80[nm]、領域50[mm]×600[mm])をレジスト膜に描画した。このレジスト膜の現像を行ってマスクを形成した後に、反応性イオンエッチング装置にエピタキシャルウェハを配置した。レジストマスクを用いてエッチングガスClによりn型GaN層を部分的に除去して転写し、パターンに対応した一次元回折格子構造を有するn型GaN層(屈折率分布層)を形成した。この後に、結晶成長のためにエピタキシャルウェハからレジストマスクを除去した。
以降、実施例1と同様にして、n型Al0.05Ga0.95N層(200[nm])、歪緩和層としてのアンドープIn0.07Ga0.93N層(10[nm])、活性層、GaN系半導体層としてのアンドープGaN層(100[nm])、電子ブロック層としてのAl0.12Ga0.88N層(20[nm])、p型クラッド層としてのp型Al0.07Ga0.93N層(600[nm])、及びコンタクト層としてのp型GaN層(50[nm])を成長した。これらの成長の後に、Ni/Auアノード電極をp型GaN層上に形成し、GaN基板を研削した後に、基板の裏面にTi/Auカソード電極を形成した。
以上の工程を経たのち、1[mm]角のチップを切り出した。そして、このチップをステムに搭載し、Auからなるワイヤを用いてボンディングを行い、このチップを通電可能とした。この青紫色分布帰還型レーザ素子に室温でパルス電流(繰り返し周波数1[kHz]、パルス幅500[nsec])を印加したところ、レーザ発振が確認された。
(実施例3)
有機金属気相成長法を用いて、青紫色二次元フォトニック結晶レーザを作製した。原料として、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)、トリメチルアルミニウム(TMA)、アンモニア(NH)、モノシラン(SiH)、シクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を用いた。
{20−21}面を主面とするn型GaN基板をサセプタ上に配置した後に、成長炉にNHとHを供給して炉内の圧力30[kPa]において、摂氏1050度の基板温度で10分間のサーマルクリーニングを行った。炉内圧力を大気圧にした後に、以下の順に成膜を行った。まず、基板温度を摂氏1100度に上昇させた後、TMG、TMA、NH、SiHを供給し、n型クラッド層となる厚さ2[μm]のn型Al0.03Ga0.97N結晶を成長した。次に、基板温度を維持したままTMG、TMI、NH、SiHを供給し、二次元フォトニック結晶のための窒化ガリウム系半導体層である厚さ100[nm]のn型GaN結晶を成長した。
基板温度を降温した後に、成長炉からエピタキシャルウェハを取り出し、以下のとおりフォトニック結晶のためのマスクを形成した。電子ビーム露光用フォトレジストをウェハ上に塗布し、スピンコータを用いて均一なレジスト膜を形成した。電子ビーム露光装置を用いて、レジスト膜の300[μm]角のエリア内に、フォトニック結晶のための正方格子パターン(半径186[nm]、ピッチ85[nm])を描画した。このレジスト膜の現像を行ってマスクを形成した後に、反応性イオンエッチング装置にエピタキシャルウェハを配置した。レジストマスクを用いてエッチングガスClによりn型GaN層を部分的に除去して転写し、パターンに対応した空孔の配列を有するn型GaN層(屈折率分布層)を形成した。この後に、結晶成長のためにエピタキシャルウェハからレジストマスクを除去した。
上記エピタキシャルウェハをサセプタ上に再度配置した後に、基板温度を成長温度(摂氏1100度)に上昇させた。炉内圧力を大気圧として、TMG、NH、SiHを供給し、200[nm]のn型Al0.05Ga0.95N層を屈折率分布層上に成長した。なお、屈折率分布層の空孔内部におけるこのn型Al0.05Ga0.95N層の成長速度は、空孔以外の屈折率分布層上の領域における成長速度と比較して極めて遅く、このn型Al0.05Ga0.95N層は屈折率分布層の空孔を残したままその上を覆うように成長する。
そして、成長炉の温度を下げ、歪緩和層を形成した。具体的には、摂氏800度の基板温度で、TMG、TMI、NHを供給し、歪緩和層となる厚さ10[nm]のアンドープIn0.07Ga0.93N層を成長した。
続いて、3周期の量子井戸構造を有する活性層を歪緩和層上に形成した。具体的には、摂氏880度の基板温度で、TMG、TMI、NHを供給し、厚さ15[nm]のアンドープIn0.01Ga0.99N障壁層を成長し、その上に、摂氏800度の基板温度で、TMG、TMI、NHを供給し、厚さ3[nm]のアンドープIn0.07Ga0.93N井戸層を成長した。この工程を繰り返すことにより、3周期の多重量子井戸活性層を形成した。
続いて、成長炉の温度を上げ、摂氏1100度の成長温度においてTMGおよびNHを供給し、GaN系半導体層としての厚さ100[nm]のアンドープGaN層を成長した。その上に、TMG、TMA、NH、CpMgを供給し、電子ブロック層としての厚さ20[nm]のp型Al0.12Ga0.88N層を成長した。また、TMG、TMA、NH、CpMgを供給し、p型クラッド層としての厚さ600[nm]のp型Al0.07Ga0.93N層を成長した。また、TMG、NH、CpMgを供給し、コンタクト層としての厚さ50[nm]のp型GaN層を成長した。これらの成長の後に、エピタキシャルウェハを成長炉から取り出して、Ni/Auからなる300[μm]角のアノード電極をp型GaN層上に形成した。また、GaN基板を厚さ100[μm]まで研削した後に、基板の裏面全体にTi/Auからなるカソード電極を形成した。
以上の工程を経たのち、300[μm]角のフォトニック結晶パターンを含むように1[mm]角のチップを切り出した。そして、このチップをステムに搭載し、Auからなるワイヤを用いてボンディングを行い、このチップを通電可能とした。この青紫色二次元フォトニック結晶レーザ素子に室温でパルス電流(繰り返し周波数1[kHz]、パルス幅500[nsec])を印加したとき、電流密度20[kA/cm]で明確な閾値をもって光出力が増大し、フォトニック結晶レーザとしての発振が確認された。
本発明による半導体レーザ素子は、上記した実施形態及び変形例に限られるものではなく、他にも様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では屈折率分布層の周期構造の一例として二次元フォトニック結晶構造からなる二次元回折格子、並びに一次元回折格子を例示したが、本発明における周期構造はこれらに限られず、他の様々な微細構造に適用できる。
1A…半導体レーザ素子、11…GaN基板、15…n型クラッド層、17,17a…屈折率分布層、19…マスク、21…空孔、23,31…GaN系半導体層、27…活性層、29…量子井戸構造、29a…井戸層、29b…障壁層、33…電子ブロック層、35…p型クラッド層、37…p型コンタクト層、41a…アノード電極、41b…カソード電極。

Claims (5)

  1. 窒化ガリウム系半導体領域上に設けられ、窒化ガリウム系半導体からなり、一次元又は二次元で広がる周期的な屈折率分布を有する屈折率分布層と、
    前記屈折率分布層上に設けられた活性層と、
    前記屈折率分布層と前記活性層との間に設けられたInGaNからなる歪緩和層と
    を備えることを特徴とする、半導体レーザ素子。
  2. 前記歪緩和層のIn組成が0.05以上であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記屈折率分布層における周期的な屈折率分布が二次元フォトニック結晶により構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記屈折率分布層における周期的な屈折率分布が一次元回折格子により構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体レーザ素子。
  5. 窒化ガリウム系半導体領域上に窒化ガリウム系半導体層を成長させる工程と、
    前記窒化ガリウム系半導体層の一部を除去して、一次元又は二次元で広がる周期的な屈折率分布を有する屈折率分布層を形成する工程と、
    前記屈折率分布層上にInGaNからなる歪緩和層を成長させる工程と、
    前記歪緩和層上に活性層を成長させる工程と
    を備えることを特徴とする、半導体レーザ素子の製造方法。
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