JP2011117605A - ゴム製歯付ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】歯布を構成するフッ素系繊維の切断・飛散を抑制し、ベルトの高寿命化を図ること。
【解決手段】歯付ベルト1は、ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部2、及び、心線3が埋設された背部4を含む、ゴムを基材としたベルト本体10と、複数の歯部2の表面を被覆する歯布5とを有する。また、歯布5は、経糸6と少なくとも2種類の緯糸7とが織成された多重織構造を有し、経糸6がナイロン繊維であり、前記2種類の緯糸7のうちの前記歯布の表面側に位置する緯糸がフッ素系繊維である。さらに、フッ素系繊維の周囲に、ベルト本体10の加硫温度で軟化又は融解する、低融点繊維が配されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム製歯付ベルトに関する。
従来から、高負荷がかかるエンジンや駆動装置に使用されるゴム製歯付ベルトとして、ベルト長手方向に所定間隔で配置された歯部と、心線を埋設した背部と、歯部の表面を被覆する歯布とを有するものが一般的に知られている。
その中でも、特許文献1には、歯布として、経糸がナイロン繊維、緯糸がフッ素系繊維(ポリテトラフルオロエチレン:PTFE)及びポリウレタン弾性糸であるものを使用した歯付ベルトが開示されている。
特開2006−90338号公報
しかし、上記特許文献1のように、歯布にフッ素系繊維を使用した場合には、歯布表面に生じる衝撃や摩耗によってフッ素系繊維が切断・飛散する虞があった。
本発明の目的は、歯布を構成するフッ素系繊維の切断・飛散を抑制し、ベルトの高寿命化を図ることである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
第1の発明のゴム製歯付ベルトは、ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部、及び、心線が埋設された背部を含む、ゴムを基材としたベルト本体と、前記複数の歯部の表面を被覆する歯布とを有する歯付ベルトであって、
前記歯布が、経糸と少なくとも2種類の緯糸とが織成された多重織構造を有し、前記経糸がナイロン繊維であり、前記2種類の緯糸のうちの前記歯布の表面側に位置する緯糸がフッ素系繊維であり、前記フッ素系繊維の周囲に、前記ベルト本体の加硫温度で軟化又は融解する、低融点繊維が配されていることを特徴とするものである。
歯布を織成する緯糸のうち、歯布の表面側に位置する緯糸をフッ素系繊維とすることによって、歯布と歯付プーリとの間の摩擦を低減することができる。また、歯布の歯部との接着側に位置する緯糸にはフッ素系繊維以外の繊維を使用することで、歯布と歯部のゴムとの接着力を高めることが可能となる。
また、ベルト本体のゴムを高温で硬化(加硫)させるときに、低融点繊維が軟化又は融解し、歯布を構成する繊維間に流れ込んだ後、低融点繊維が結晶化する。そのため、歯付プーリへの噛み込み時、あるいは、歯付プーリからの噛み抜け時に、歯布表面に生じる衝撃や摩耗によってフッ素系繊維が切断・飛散するのが抑制される。これにより、ベルト本体をより長期間保護して、ベルトの歯欠けを防止することができ、高負荷走行時の高寿命化が可能となる。
ここで、前記低融点繊維としては、少なくともポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、又は、オレフィン系繊維を使用することができる(第2の発明)。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る歯付ベルトの断面斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の歯付ベルト1は、ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部2、及び、複数の心線3が埋設された背部4とを有するベルト本体と、複数の歯部2の表面を被覆する歯布5とを有する。
複数の歯部2と背部4とを有するベルト本体10は、ゴムを基材とする。このベルト本体10に使用される原料ゴムは、水素化ニトリルゴム(HNBR)を始めとして、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)、クロロプレンゴムなどの耐熱老化性の改善されたものが好適である。
特に、少なくとも歯部2を構成するゴムの硬度が、JIS−A硬度で89度〜97度であることが好ましい。また、50%伸張時のモジュラスが少なくとも5MPa以上であることが好ましい。このような高モジュラスなゴムとして、例えば、HNBRと、HNBRにポリメタクリル酸亜鉛を高度に微分散させたもの(例えば、日本ゼオン製、商品名「ZSC」等)をブレンドしたものに、シリカ、カーボン、及び、短繊維を配合して補強したものが好適に用いられる。これにより、ベルト本体10のモジュラスが高まり、高負荷走行時においても歯部2の歯付ベルト1との噛み合いが維持される。
ベルト本体10の背部4には、それぞれベルト長手方向に延在する複数の心線3が、ベルト幅方向に並べて背部4に埋設されている。この心線3は、化学繊維からなる下撚りコードを多数本撚り合わせた太径撚糸心線である。また、心線3を構成する化学繊維としては、例えば、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサザール)繊維、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、炭素繊維等を好適に使用できる。
また、心線3として、歯付ベルト1の1mm幅当たりの心線断面積が、1.10〜1.70mmの範囲内のものが使用される。より好ましくは、心線断面積が1.10〜1.66mmの範囲のものが好ましいが、製造上のバラツキや心線断面積測定上の誤差が発生する可能性があり、上限値は1.70mmとなってもよい。心線3の断面積を上記範囲内に設定することにより、屈曲疲労性の悪化、及び、心線3の撚り締まりによる初期伸びの増大に起因するベルト故障を抑制でき、高負荷走行時の耐久性に優れた歯付ベルト1が得られる。さらに、撚り数をT(回/m)、太さをD(tex)としたときに、K=T×D1/2/960の式で算出される撚係数Kが、1.5≦K≦2.5の範囲内にあるコードが使用されることが好ましい。心線3の撚係数を上記範囲内に設定することにより、屈曲疲労性の悪化、及び、心線3の撚り締まりによる初期伸びの増大に起因するベルト故障を一層抑制でき、高負荷走行時の耐久性がさらに優れた歯付ベルト1が得られる。
尚、ベルト1の幅方向に心線3が密に配置されていると、ベルト1のモジュラスが高くなる。具体的には、歯付ベルト1の幅方向に並ぶ心線3の本数をn、心線径をDc(mm)、ベルト幅(背部4の幅)をB(mm)としたときに、R=n×Dc/B×100で求められる、ベルト1の心線占有率Rが、75%以上であることが好ましい。尚、ここでの「心線径」とは、ベルト本体10内に埋設された状態での心線3の径である。このように、心線占有率を75%以上に設定することにより、高負荷時においても歯付プーリとの噛み合いを維持できる、モジュラスの高い歯付ベルトが得られる。
さらに、ベルト幅方向の心線間距離(ピッチ)は、無張力状態における心線径以下であることが好ましい。尚、「無張力状態」とは、背部4に埋設される前の、心線3に張力がほとんど作用していない状態(より具体的には、張力4.9N(0.5kgf)以下の状態)を示す。このように、心線間距離を無張力状態における心線径以下とすることで、ベルト幅方向に関して心線3が密に配置され、モジュラスの高い歯付ベルト1が得られる。
歯布5は、ベルト幅方向に延在する経糸6とベルトの長手方向に延在する緯糸7とを織成してなる繊維織物を基材とする。また、この繊維織物は、平織物や綾織物、朱子織物などからなる。この繊維織物を構成する繊維材料としては、例えば、アラミド繊維、ウレタン弾性糸、脂肪族繊維糸(6ナイロン、66ナイロン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等)等を使用できる。
さらに、前記繊維織物として、少なくとも2種類の緯糸7と1種類の経糸6とが織成された多重織(2重織)構造のものを採用することもできる。この場合、経糸6をナイロン繊維とし、緯糸7にはフッ素系繊維、ナイロン繊維、及び、ウレタン弾性糸を使用することが好ましい。また、緯糸7のうちの、少なくとも歯布5の表面側(歯付プーリとの噛み合い側)に位置する(露出する)緯糸7としては、歯布5と歯付プーリとの間の摩擦を低減するために、摩擦係数が低いフッ素系繊維(例えば、PTFE繊維)を使用することが好ましい。一方、歯布5の歯部2との接着側に位置する緯糸7には、フッ素系繊維以外の繊維(ナイロン繊維やウレタン弾性糸)を使用することで、歯布5と歯部2を構成するゴムとの接着力を高めることが可能となる。
また、フッ素系繊維の周囲に、ゴムを基材とするベルト本体10の加硫温度で融解又は軟化する性質を有する、低融点繊維が配されていることが好ましい。具体的には、例えば、フッ素系繊維と低融点繊維が混撚されている、又は、フッ素系繊維が低融点繊維によってカバーされているなどの形態が含まれる。尚、ベルト本体10の加硫条件(加硫温度や加硫時間)は、特に限定されるものではなく、加硫剤や加硫促進剤の種類や加硫手段等を考慮して、通常、ムーニー粘度計やその他の加硫挙動測定機を用いて測定した加硫曲線を参照して決定される。このようにして決定される一般的な加硫条件は、加硫温度100〜200℃で、加硫時間1分〜5時間程度である。必要により二次加硫を行ってもよい。
この場合、ベルト本体10の加硫時に低融点繊維が軟化又は融解し、歯布5を構成する繊維間に流れ込んだ後、低融点繊維が結晶化する。そのため、歯付プーリへの噛み込み時、あるいは、歯付プーリからの噛み抜け時に、歯布5の表面に生じる衝撃や摩耗によってフッ素系繊維が切断・飛散するのが抑制される。これにより、ベルト本体10をより長期間保護して、ベルトの歯欠けを防止することができ、高負荷走行時の高寿命化が可能となる。
ここで、低融点繊維としては、例えば、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、又は、オレフィン系繊維を使用することができる。
低融点繊維として使用可能なポリアミド系繊維としては、W−アミノカルボン酸成分又はジカルボン酸成分とジアミンとの組み合わせからなる、共重合ポリアミド類のものがある。
ポリエステル系繊維としては芯鞘型複合繊維が好ましい。融点がベルト本体10の加硫温度よりも高い芯成分のポリエステル系ポリマーは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、それらの共重合体であり、加硫温度よりも融点の低い鞘成分の共重合ポリエステルは、二塩基酸とジオールの重縮合反応で得られ、その例としては、テレフタル酸とジエチレングリコールをベースに共重合成分として、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられ、その組み合わせ及び共重合比率により融点を調整可能である。
オレフィン系繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維(例えば、高密度ポリエチレン繊維、中密度ポリエチレン繊維、低密度ポリエチレン繊維、直鎖状低密度ポリエチレン繊維、超高分子量ポリエチレン繊維)などが挙げられる。
また、これらを共重合させたものでも良く、さらには、ベルト加硫温度で軟化又は融解する繊維であれば、その撚糸方法や構成について特に限定されるものではない。さらに、これら低融点繊維の表面に、接着処理剤との親和性を上げることを目的として、プラズマ処理等がなされてもよい。
この歯布5は、以下のような工程を含む一連の接着処理を経て、歯部2を構成するゴムに接着される。
(1)歯布5を構成する繊維織物を、レゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス処理液(以下、RFL処理液という)に含浸し、乾燥させる。
ここで、前記RFL処理液には、硫黄化合物の水分散物、キノンオキシム系化合物、メタアクリレート系化合物、マレイミド系化合物、のうち少なくとも1つの加硫助剤、又は、これらの加硫助剤を水に分散させたものを添加することが好ましい。
硫黄化合物の水分散物としては、例えば、硫黄の水分散物やテトラメチルチウラムジスルフィドなどが採用され得る。キノンオキシム系化合物としては、例えば、p-キノンジオキシムなどが採用され得る。メタアクリレート系化合物としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレートやトリメチロールプロパントリメタクリレートなどが採用され得る。マレイミド系化合物としては、例えば、N,N’-m-フェニレンビスマレイミドやN,N’-(4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド)などが採用され得る。
尚、上述した「当該加硫助剤を水に分散させたもの」における「水」は、例えばアルコールなどのメタノールを若干程度含むものであってもよい。これによれば、「当該加硫助剤」が水に対して不溶性の場合であっても、「当該加硫助剤」の水に対する親和性が向上して「当該加硫助剤」が分散し易くなる。
このように、RFL処理液に加硫助剤を添加することで以下の効果が期待される。即ち、RFL処理液中に含まれるゴムラテックス成分と外層ゴム(後記(2)のゴム糊処理や(3)のCoat処理で形成されるゴム糊又は圧延ゴムを意味する。Coat処理が省略される場合は歯部2を構成するゴムを意味する。)との層間の化学的結合力が強化されることで、接着性が向上し、歯布5の剥離が抑制される。更に期待される効果として、RFL処理液中に含まれるゴムラテックス成分自身の化学的結合力(架橋の力)が強化され、その結果、接着層の凝集破壊による剥離(即ち、層間剥離)よりも、接着対象である上記外層ゴムの破壊による剥離が先行すると考えられる。
また、RFL処理液に加硫助剤を添加する場合、繊維織物の含浸処理を2回に分けて実行してもよい。この場合、まず、1回目のRFL含浸処理においては、RFL処理液には、前述した何れの加硫助剤も添加しないこととする。これは、1回目の処理工程においては、ゴムラテックス成分の架橋よりもRFの熱硬化を優先するためである。
一方、2回目のRFL含浸処理においては、1回目のRFL処理液と比較してゴムラテックス成分を多く含み、硫黄化合物の水分散物、キノンオキシム系化合物、メタアクリレート系化合物、マレイミド系化合物、のうち少なくとも1つの加硫助剤、又は、加硫助剤を水に分散させたものを添加したRFL処理液を使用する。尚、1回目の含浸処理と2回目の含浸処理とで、RFL処理液のゴムラテックス成分の割合に差を設けるのは、親和性の異なる繊維とゴムの両方に対する、RFL層の接着性を高めるためである。
(2)繊維織物に、ゴム組成物を溶剤に溶かしたゴム糊からなる接着処理剤を付着させた後にベーキング処理する、2種類のゴム糊処理(P1処理、S1処理)を行う。
(3)繊維織物の表面に、ゴム糊と圧延ゴムとをこの順にコーティングする。本工程は、Coat処理とも称される。「この順に」とあるのは、詳細には「繊維織物から歯部2へ向かって、この順に」を意味する。ここで、RFL処理液に加硫助剤を添加した場合には、このCoat処理で使用するゴム糊と圧延ゴムにも、RFL処理液に添加した加硫助剤と同一の加硫助剤を添加することが好ましい。これにより、(a)RFL処理液で処理された繊維織物とゴム糊の間の接着力、(b)RFL処理液で処理された繊維織物と圧延ゴムの間の接着力、(c)RFL処理液で処理された繊維織物とゴム糊と圧延ゴムの間の接着力、の著しい改善が期待される。
尚、上記(1)〜(3)の処理は、全てを行う必要はなく、必要に応じて、何れか1つ、あるいは、2以上の複数を組み合わせて行う。例えば、(1)の処理においてRFL処理液に加硫助剤を添加する場合には、この処理のみで繊維織物とゴム間の接着力がかなり高められることから、(2)のゴム糊処理を省略してもよい。
(耐久試験)
次に、2軸高負荷走行試験を用いた耐久試験を行って、本発明の歯付ベルトの技術的効果を検証した。
[試験条件]
試験機:2軸高負荷走行試験機
評価ベルトサイズ:130H14M20(ベルト歯数:130歯、歯型:H14M、ベルト幅:20mm)
駆動プーリ歯数:33歯
従動プーリ歯数:61歯
設定張力:550N
回転数:1200rpm
負荷:従動プーリに対して626Nm(走行条件1)、554Nm(走行条件2)、480Nm(走行条件3)の何れか
その他、本耐久試験で使用されるベルトの、ゴム配合、心線構成、及び、歯布構成を、表1、表2、及び、表3にそれぞれ示す。また、表1には、使用されている3種類のゴム配合(R-0,R-1,R-2)のそれぞれについて、硬度(JIS−A硬度)とM50(50%伸張モジュラス:MPa)も併記している。
Figure 2011117605
Figure 2011117605
Figure 2011117605
表3に示すように、5種類の歯布のうち、F−2の緯糸には、フッ素系繊維であるPTFE繊維が配合されている。さらに、F−3,F−4,F−5の3種類の歯布には、緯糸に、PTFE繊維だけでなく、ゴム加硫温度で軟化又は融解する性質を有する低融点繊維である、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、オレフィン系繊維がそれぞれ配合されている。具体的には、本試験で使用したベルトのゴム加硫条件は、加硫温度165℃、加硫時間30分である。一方で、今回使用したポリエステル系繊維(ユニチカ株式会社製「コルネッタ」)は、芯部融点が256℃、鞘部融点が160℃である。また、ポリアミド系繊維(ユニチカ株式会社製「フロールM」)は融点が135℃である。さらに、オレフィン系繊維(東洋紡績株式会社製「ダイニーマ」)は融点が140℃である。
また、歯布接着処理に用いられる、RFL処理液の配合、ゴム糊処理(P1処理及びS1処理)の配合、及び、Coat処理用ゴム配合を、表4、表5、及び、表6にそれぞれ示す。
Figure 2011117605
Figure 2011117605
Figure 2011117605
尚、上記表1〜表6中、特記ない限り、数字の単位は[wt%]であり、斜線は「添加なし」又は「処理なし」を意味する。
そして、表1〜表6に示す、ゴム配合、心線構成、歯布構成、及び、歯布接着処理によって製造した14種類のベルトについて、上述した試験条件で耐久試験を行った。その結果を表7、表8に示す。また、14種類のベルトTG−1〜14のうち、低負荷試験(走行条件3)の結果、耐久性が比較的低いと判断できる、TG−1〜5のベルトについては、より高負荷の試験(走行条件1,2)は省略している。一方、高負荷試験(走行条件1又は走行条件2)の結果、耐久性が比較的高いと判断できる、TG−8〜14のベルトについては、より低負荷の試験(走行条件2又は走行条件3)は省略している。
Figure 2011117605
Figure 2011117605
尚、表7、表8に示されているように、14種類のベルトで、心線のピッチや心線断面積、及び、心線占有率といった、心線に関する条件を異ならせてある。
表7、表8中のベルトの1mm幅当たりの心線断面積は、以下の式で算出される。
ベルト1mm幅当たりの心線断面積(mm/ベルト1mm)
=(ベルト幅(mm)/心線ピッチ(mm))×1本当たりの心線断面積(mm/本)÷ベルト幅(mm)
=1本当たりの心線断面積(mm/本)/心線ピッチ(mm
ここで、1本当たりの心線断面積(mm/本)は、各々の心線について、ベルト断面(歯山部分)のSEM画像解析から心線断面積を算出し、心線本数nで平均した値である。また、心線ピッチ(mm)は、ベルト断面の心線中心間距離を連続10カ所測定し、それらを平均した値である。但し、ベルト幅が狭く、10カ所も測定できない場合には、連続5カ所を測定し、これらを平均した値を採用している。尚、心線中心間距離は、SEMや投影機などの公知の装置を用いて測定した。
また、心線占有率(%)は、以下の式で算出される。
心線占有率(%)
=心線の有効本数n(本)×心線径Dc(mm)÷ベルト幅B(mm)×100
尚、心線の有効本数nとは、ベルトの幅方向に並ぶ心線の数であるが、表7、表8では、ベルト幅Bを心線ピッチで除して、小数点以下を切り捨てた値としている。
また、表7、表8において、「予成型の有無」とは、ベルト製造工程において、「予成型工法」を採用したか否かを示している。「予成型工法」とは、歯型を有する金型によって歯布と歯部とを予め成型してから、得られた予備成型体の上に心線と背部を構成する未加硫ゴムを巻いた後、全体を加硫缶で加硫する工法のことである。この予成型工法においては加硫前に歯布と歯部が成型されるため、加硫時に、背部を構成する未加硫ゴムを心線の間から内側(腹側)へ流動させ、歯布を緊張させて歯部を形成する必要がない。そのため、心線間距離(ピッチ)を狭くすることが可能となる。従って、実施形態の説明において述べたように、ベルト幅方向の心線ピッチを、無張力状態における心線径以下まで小さくした、高モジュラスのベルトを作製する場合には、この予成型工法が適している(表7のベルトTG−7〜14)。
[考察]
表7、表8に示されているように、ベルト1mm当たりの心線断面積が小さい(<1.10)、比較例のベルトTG−1は、最も負荷の低い走行条件3でも、30時間程度でベルト故障が生じ、耐久性がかなり低い。一方、ベルトTG−1よりも心線断面積が大きく、また、心線の撚係数が1.5≦K≦2.5(表2参照)の範囲内にあるベルトTG−2〜5では、ベルトTG−1と比べて、同じ走行条件3で4倍以上の寿命が得られており、耐久性が向上していることがわかる。
また、ベルトTG−1やTG−3〜5とは異なる歯布(経糸と2種類の緯糸とが織成された多重織構造の歯布(F−2〜F−5))が用いられた、ベルトTG−2及びTG−6〜14では、より高負荷の走行条件1又は走行条件2で、200時間以上の寿命が得られており、TG−1及びTG−3〜5よりも耐久性に優れていることがわかる。
また、TG−9〜11は、TG−8と歯布の条件以外はほとんど同じであるが、高負荷の走行条件1において1.6倍以上の寿命が得られている。これは、TG−8では緯糸に低融点繊維が使用されていない歯布F−2を用いているのに対し、TG−9〜11では、緯糸に、低融点繊維であるポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、オレフィン系繊維とを使用している(表2参照)ことが要因である。即ち、緯糸のフッ素系繊維(PTFE繊維)の周りに低融点繊維が配されることによって、フッ素系繊維の切断・飛散が抑制され、ベルト本体のゴムが長期間にわたって保護されるからであると考えられる。
また、ベルトTG−8〜14は、歯布接着時のRFL処理を2回に分けて実施し、且つ、2回目のRFL処理液には、加硫助剤が配合されている。これにより、歯布の接着力が高まり、このような処理を行っていないベルトTG−6,7よりも耐久性が向上していると考えられる。
さらに、ベルトTG−7〜14は、ベルト製造工程において、「予成型工法」が採用されることにより、心線ピッチが、無張力状態における心線径よりも小さくなっている。このように、ベルトTG−1〜6と比べてベルト幅方向に関して心線が密に配置されて、心線占有率が大きくなり(75%以上)、モジュラスが高くなっていることによって、耐久性が高くなっていると考えられる。
さらに、心線構成としてA−5を採用しているTG−13は、A−4を採用しているTG−12と比べて、走行条件1での走行寿命が伸びている。これは、A−5の心線構成では、張力維持性が良好で、心線の処理時に張力が上がるため、撚り締まりによる初期伸びを抑えて、ベルトの伸びによる歯欠けを抑制することができるためである。
本発明の実施形態に係る歯付ベルトの断面斜視図である。
1 歯付ベルト
2 歯部
3 心線
4 背部
5 歯布
6 経糸
7 緯糸
10 ベルト本体

Claims (2)

  1. ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部、及び、心線が埋設された背部を含む、ゴムを基材としたベルト本体と、前記複数の歯部の表面を被覆する歯布とを有する歯付ベルトであって、
    前記歯布が、経糸と少なくとも2種類の緯糸とが織成された多重織構造を有し、
    前記経糸がナイロン繊維であり、前記2種類の緯糸のうちの前記歯布の表面側に位置する緯糸がフッ素系繊維であり、
    前記フッ素系繊維の周囲に、前記ベルト本体の加硫温度で軟化又は融解する、低融点繊維が配されていることを特徴とするゴム製歯付ベルト。
  2. 前記低融点繊維が、少なくともポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、又は、オレフィン系繊維から選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載のゴム製歯付ベルト。
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