JP2011117235A - コンクリートの打重ね管理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】打重ねのあるコンクリート打設工事におけるコールドジョイトなどの発生を抑制する方法を提供する。
【解決手段】コールドジョイントの発生抑制のために、実際に現在打設したコンクリートについて、電気伝導率を計測することで、そのコンクリートの凝結の進行を連続的に把握し、コンクリートの最適な打重ね時間間隔を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、打重ねのあるコンクリート打設工事におけるコールドジョイトなどの発生を抑制するための打重ね管理方法に関する。
コンクリートの凝結度合いと時間の関係を求めて管理する方法として、JIS A 6204には、モルタル供試体を利用して貫入針の貫入抵抗値を求めるプロクター貫入試験が規定されている。
一方、特許文献1には、スランプ試験用の突き棒を打設したコンクリートへ落下させて、その突き棒のコンクリートへの貫入量から現在の凝結の進行を把握する方法が記載されている。
JISに規定されるプロクター貫入試験結果による貫入抵抗値と時間の関係データは、粗骨材を除去したモルタルだけの供試体の試験結果に過ぎない。このため、実際に打設されたコンクリートにおいては、外気温や打設温度など現地での環境条件が異なる場合、前記凝結度合いと時間の関係データをそのまま利用できない問題がある。
これに対し、特許文献1に記載されたスランプ試験用の突き棒の貫入量により得られるデータは、実際に打設されたコンクリートに対して実施するものであるが、時間経過と共に連続的に変化するコンクリートの硬化程度を詳細に把握することはできない。
特開平8−94612号公報
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、コールドジョイントの発生抑制のために、実際に現在打設したコンクリートについて、電気伝導率を連続計測することで、そのコンクリートの凝結の進行を連続的に把握し、次回のコンクリートの打重ね時期を適切に管理することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明のコンクリートの打重ね管理方法は、コールドジョイントの発生を抑制するためのコンクリート打重ね部の管理方法において、第一層コンクリートを打設する第一打設段階と、前記第一打設段階終了直後に、その層のコンクリートの電気伝導率を測定するための計測センサーをそのコンクリート内に埋め込むセンサー設置段階と、前記計測センサーにより、その層のコンクリートの電気伝導率を測定する電気伝導率測定段階と、前記電気伝導率により、凝結の進行を把握し、コールドジョイントの発生が起こる所定凝結度合いまでの余裕時間を表示させる余裕時間表示段階と、 その余裕時間経過前に第二層コンクリートを打設する第二打設段階と、以後、前記センサー設置段階、電気伝導率測定段階、余裕時間表示段階とを順次、打重ねが無くなるまで繰り返すことを少なくとも備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコンクリートの打重ね管理方法であって、前記余裕時間表示段階において、余裕時間を越えそうな場合は、コールドジョイント発生抑制対策を実施して次回の打設段階に移行することを特徴とする。
ここで、コールドジョイント発生抑制対策としては、凝結遅延剤をコンクリート表面に塗布したり、コンクリートに再振動を付与するなどの手法がある。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のコンクリートの打重ね管理方法であって、前記余裕時間表示段階では、前記コンクリートの電気伝導率が凝結の進行過程で最大値を示した後に減少する特性を利用することにより所定凝結度合いまでの余裕時間を判定することを特徴とする。
現場で打設されるコンクリートが外気温や打設温度が供試体とは異なるのに対し、本発明では、実際に打設されたコンクリート内で凝結の進行に関連のある電気伝導率を計測するため、現場の環境条件に即した管理ができる効果がある。
また、本発明では、コンクリートの電気伝導率がコンクリートの凝結の進行とが深い関係があることを利用して、コンクリート層毎に電気伝導率を計測するため、そのコンクリートの凝結の進行状態を時間経過と共に把握する。このため、適切な余裕打ち重ね時間間隔を把握でき、コンクリートの打重ね管理を行うことができ、コールドジョイント発生抑制に効果がある。
第一層コンクリート打設後の構成図である。 第二層コンクリート打設後の構成図である。 コンクリートの電気伝導率とプロクター試験の貫入抵抗値の関係図である。 (a)及び(b)は、外気温が異なった場合のコンクリートの電気伝導率とプロクター試験の貫入抵抗値との関係図である。
本発明は、第一層コンクリートを打設する第一打設段階と、前記第一打設段階終了直後に、その層のコンクリートの電気伝導率を測定するための計測センサーをそのコンクリート内に埋め込むセンサー設置段階と、前記計測センサーにより、その層のコンクリートの電気伝導率を測定する電気伝導率測定段階と、前記電気伝導率により、凝結の進行を把握し、コールドジョイントの発生が起こる所定凝結度合いまでの余裕時間を表示させる余裕時間表示段階と、 その余裕時間経過前に第二層コンクリートを打設する第二打設段階と、以後、前記センサー設置段階、電気伝導率測定段階、余裕時間表示段階とを順次、打重ねが無くなるまで繰り返すことを少なくとも備えている。
図1(a)は、本発明の一実施形態における第一層コンクリート1を打設した状態を示す。ここで、80は鉄筋、90は型枠を示す。
10は、第一層コンクリート1を打設直後に、埋め込まれた第一層用埋込センサーを示す。この埋込センサー10は、図(b)にも示すように、電気伝導率検出のため所定位置に対向して固定された一対のセンサー電極50y,50zを内部に備えている。50bはそれら電極50y,50zと接続するためのケーブルを示す。
50は、制御部である。制御部50は、テーブル50bを経由してセンサー電極50y,50z間に対して所定時間毎に電気伝導率を検出する。制御部50は、表示部50aを有し、表示部50aは、その時間毎の電気伝導率を表示する。100は作業台であり、この上に設置した制御部50により、時間経過と共にコンクリートの電気伝導率の変化を表示部50aで見ることができる。
一般に、打設コンクリートの電気伝導率は時間経過と共にその硬化程度によって変化する。即ち、コンクリート内の各種成分、例えば、珪酸三カルシウム[(CaO)(SiO)]、珪酸二カルシウム[(CaO)(SiO)]、アルミン酸三カルシウム[(CaO)(Al)(FeO)]、鉄アルミン酸四カルシウム[(CaO)(Al)(Fe)]などが水分によってイオン化する。コンクリート成分の溶出量は時間が経過するのにつれて増加するので電気伝導率は増加する。一方、コンクリートの硬化は水和反応で増大し、水和反応で生成した水和物がイオンの移動を妨げるため、コンクリートの電気伝導率が低下する。
以上のことから、コンクリート打設直後からの電気伝導率の変化は時間経過と共に増大し、最大値を超えた後に低下する曲線を形成する。図3にその電気伝導率の測定例を示し、特性曲線Dが電気伝導率である。
以上の電気伝導率の増大・減小の挙動でコンクリートの凝結の進行を把握することは容易である。
図3には、さらに、そのコンクリートの硬化する状態を、別途用意した供試体に「突き棒」をコンクリートへ圧入させる際の貫入抵抗値(N/mm)を示してある。図3における特性曲線Pが測定した貫入抵抗値を示す。一般には、貫入抵抗値(N/mm)が0.1(N/mm)前後の範囲の値でコンクリートの凝結が急激に進む。そこで、貫入抵抗値0.1(N/mm)に相当するコンクリートの電気伝導率(S/m)を前記所定凝結度合いまでの余裕時間とする。図3における点Qが貫入抵抗値0.1(N/mm)に対応した電気伝導率であり、横軸における点Qに対応した経過時間からコールドジョイントに繋がる凝結の進行状況であることを知ることができる。
この実施形態では、貫入抵抗値0.1(N/mm)を第二層コンクリートの時期、すなわち打重ね時期の限界としているが、これに限定されるものではなく、0.01〜1.0(N/mm)の貫入抵抗値の範囲で打重ね時期の限界を任意に選択することが可能である。
図3におけるプロクター試験に用いる「突き棒」による所定時間毎に測定した貫入抵抗値(N/mm)の曲線は、次の方法で得るものである。すなわち、現場で打設するコンクリートと同一配合、同一時期のコンクリートを用いて供試体を作成する。供試体は、水抜き状態でコンクリート用材料を混合した後、水を注入して混練することによりコンクリートに生成するものであり、このコンクリート生成時を材令の開始時間として室内あるいは現場でプロクター試験を実施することにより所定時間毎の貫入抵抗値を測定する。
図4は、外気温が異なる場合のコンクリート凝結における電気伝導率(S/m)の変化及びプロクター試験の貫入抵抗値(N/mm)の変化を実験によって測定した結果を示し、右縦軸が電気伝導率(S/m)、左縦軸が貫入抵抗値(N/mm)、横軸が打設直後からのコンクリート凝結の経過時間である。図4において、(a)は外気温が20℃、(b)は外気温が30℃である。
図4においては、コンクリート材料は、温度、練り上がり温度、養生温度を一定にして凝結させている。図4(a)及び(b)において、特性曲線D1、D2が電気伝導率、プロットP1,P2が貫入抵抗値である。図4に示すように、外気温が20℃の場合において、プロクター試験の貫入抵抗値が0.5(N/mm)となる経過時間は約260分であり、30℃の場合においては、200分である。すなわち、外気温20℃に対し、外気温30℃では、凝結の進行時間が約60分早まる。
一方、電気伝導率のピーク値R1、R2は、外気温が20℃の場合は、約190分、外気温が30℃の場合は、約130分であり、プロクター試験の貫入抵抗値と同様に約60分早まっている。以上のことから、外気温が異なっている場合であっても、測定した電気伝導度に基づいてコンクリートの凝結の進行を把握することができる。
この実施形態における図1では、第一層コンクリート1を打設する第一打設段階と、センサー10を埋め込むセンサー設置段階と、制御部50により電気伝導率を連続測定する抵抗値測定段階と、余裕時間表示段階とまでを示す。
図2は、第二層コンクリート2を打設する第二打設段階後の構成図を示す。図1の余裕時間表示段階において、前記余裕時間以内までに第二層コンクリート打設により第一コンクリート層表面を覆うことができる場合には、凝結遅延剤の塗布や再振動付与などのコールドジョイント発生抑制対策を行うことなく、第二層コンクリート2の打設段階に移行する。これに対し、前記余裕時間以内までに第二層コンクリート打設ができない場合は、凝結遅延剤の塗布や再振動付与などのコールドジョイント発生抑制対策を実施し、打重ねに支障のない凝結の状態を維持して第二コンクリート層打設に備える。
30は、第一層コンクリート1と第二層コンクリート2との打設層の接続面を示す。
図2において、40は、第一層コンクリート打設時の埋込センサーの設置位置を示す。ケーブル50bの先端に設けた埋込センサー10,20などは着脱自在として、コンクリート内に残してもよく、そのセンサー部分をコンクリートから掘り出して次回の打設後に再度使用してもよい。
図2における20は、打設した第二層コンクリート2内に埋め込んだ第二層用埋込センサーである。さらに、第二層コンクリート1の打設段階と、センサー20を埋め込むセンサー設置段階と、制御部50により電気伝導率を測定する電気伝導率測定段階と、余裕時間表示段階と続く。ここで、表示部50aに表示される次回コンクリート打設までの余裕時間を見ながら次のコンクリート打設段階へ入り、順次各段階を繰り返す。
1 第一層コンクリート
2 第二層コンクリート
10 第一層用埋込センサー
20 第二層用埋込センサー
30 コンクリート打設層接続面
40 ケーブルから分離された不要の埋込センサー
50 制御部
50a 表示部
50b ケーブル
50y 50z 電極
80 鉄筋
90 型枠
100 作業台

Claims (3)

  1. コールドジョイントの発生を抑制するためのコンクリート打重ね部の管理方法において、
    第一層コンクリートを打設する第一打設段階と、
    前記第一打設段階終了直後に、その層のコンクリートの電気伝導率を測定するための計測センサーをそのコンクリート内に埋め込むセンサー設置段階と、
    前記計測センサーにより、その層のコンクリートの電気伝導率を測定する電気伝導率測定段階と、
    前記電気伝導率により、凝結の進行を把握し、コールドジョイントの発生が起こる所定凝結度合いまでの余裕時間を表示させる余裕時間表示段階と、
    その余裕時間経過前に第二層コンクリートを打設する第二打設段階と、
    以後、前記センサー設置段階、電気伝導率測定段階、余裕時間表示段階とを順次、打重ねが無くなるまで繰り返すことを少なくとも備えることを特徴とするコンクリートの打重ね管理方法。
  2. 前記余裕時間表示段階において、前記余裕時間を越えそうな場合は、コールドジョイント発生抑制対策を実施して次回の打設段階に移行することを特徴とする請求項1記載のコンクリートの打重ね管理方法。
  3. 前記余裕時間表示段階では、前記コンクリートの電気伝導率が凝結の進行過程で最大値を示した後に減少する特性を利用することにより所定凝結度合いまでの余裕時間を判定することを特徴とする請求項1または2記載のコンクリートの打重ね管理方法。
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