JP2011116544A - Oaローラおよびoaローラ用コーティング剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】OAローラは、金属製のローラ本体の外周面に、硬化性を有するバインダ樹脂とバインダ樹脂100質量部あたり、25〜120質量部の顔料と、15〜55質量部の、架橋剤としてのアミノ樹脂とを含むコーティング剤を塗布したのちバインダ樹脂を硬化および架橋反応させて形成されたコーティング層を備える。OAローラ用コーティング剤は、前記バインダ樹脂、顔料、および架橋剤としてのアミノ樹脂を含む。
【選択図】図1
Description
この原因としては、駆動ローラ等がベルト等と長時間に亘って繰り返し接触することによって、粗面化した外周面が摩耗して摩擦力が低下したり、コーティング層が剥離してローラ本外の外周面から失われたりすることが考えられる。
また架橋剤の含有割合が多すぎる場合にはコーティング層が硬くなって表面の摩擦係数が低下してベルトとの滑りが生じやすくなり、顔料の含有割合が多すぎる場合にはコーティング層が脆くなって却ってローラ本体の外周面から剥離しやすくなるという問題があった。
すなわち本発明は、金属製のローラ本体の外周面に、架橋剤としてのアミノ樹脂との反応によって硬化する硬化性を有するバインダ樹脂と、前記バインダ樹脂100質量部あたり、25質量部以上、120質量部以下の顔料と、15質量部以上、55質量部以下の前記アミノ樹脂とを含むコーティング剤を塗布したのちバインダ樹脂を硬化させて形成されたコーティング層が設けられていることを特徴とするOAローラである。
前記バインダ樹脂は水系ウレタン樹脂であるのが好ましい。前記水系ウレタン樹脂を含むコーティング剤は、溶媒として水を用いて形成できるため、環境に及ぼす負荷を低減できる。
また顔料は、少なくとも針状の突起を有する顔料を含んでいるのが好ましい。前記顔料の針状の突起は、コーティング層の表面からミクロな突起として突出して、ベルトとの引っ掻き効果によりOAローラの摩擦係数を向上するとともに、前記高い摩擦係数を長期間に亘って維持する効果に優れている。
前記バインダ樹脂としては硬化性を有し、かつ架橋剤としてのアミノ樹脂と反応させることで架橋密度を高めることができる種々の樹脂が使用可能であり、特に水系ウレタン樹脂が好ましい。前記水系ウレタン樹脂を含むコーティング剤は、溶媒として水を用いて形成できるため、環境に及ぼす負荷を低減できる。
前記アミノ樹脂としては、これに限定されないが例えばメチル化高イミノメラミン樹脂の溶液であるサイテック社製のサイメル(登録商標)323、325、327、328、385、部分メチル化メラミン樹脂の溶液である同社製のサイメル370、373、3749、n−ブチル化メラミン樹脂の溶液である三井化学(株)製のユーバン(登録商標)120、あるいはメチルエーテル化メラミン樹脂の溶液である日立化成(株)製のメラン(登録商標)552等の1種または2種以上が挙げられる。
含有割合が前記範囲未満では、アミノ樹脂を含有させることによる、バインダ樹脂の架橋密度を高めて、コーティング層が、特に高温、高湿環境下で部分的に変形したりベルト等に貼り付いたり、貼り付いたコーティング層がローラ本体の外周面から剥離したりするのを防止する効果が得られない。
また前記いずれの場合においても、コーティング層の、ローラ本体の外周面に対する密着性が僅かに低下する傾向もある。
なおバインダ樹脂として、先に説明したエマルションや水溶液を用いるとともに、アミノ樹脂として先に説明した溶液を用いる場合、前記アミノ樹脂の含有割合は、前記エマルションや水溶液中の固形分(バインダ樹脂)100質量部あたりの、溶液中の固形分(アミノ樹脂)の質量部である。
前記体質顔料としては、例えばカオリン等のクレーや、あるいは沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ等の1種または2種以上が挙げられる。
含有割合が前記範囲未満では、顔料を含有させることによる、バインダ樹脂の硬化時に膜の収縮を緩和して、硬化後のコーティング層の、金属製のローラ本体の外周面に対する密着性を高めて剥離を防止する効果が得られない。
なおこれらの問題が生じるのをより一層有効に防止して、前記金属製のローラ本体の外周面に対する密着性に優れたコーティング層を形成することを考慮すると、顔料の含有割合は、前記範囲内でもバインダ樹脂100質量部あたり45質量部以上であるのが好ましく、100質量部以下であるのが好ましい。
前記顔料としては、例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウムナトリウム、ホウ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、二ホウ化チタン、石膏、アルミナ、クリソタイル、セピオライトまたはゾノトライト等の1種または2種以上が挙げられる。また、沖縄県産の星の砂などの混合物であってもよい。
前記顔料は、2以上の突起の少なくとも1つがコーティング層中に埋まってアンカー効果を発揮するため、ベルトの刺激や磨耗による顔料の脱落を防止できる上、残りの突起がコーティング層の表面からミクロな突起として突出してベルトとの引っ掻き効果によりOAローラの摩擦係数を向上するとともに、前記高い摩擦係数を長期に亘って維持するために機能する。そのため、より長期間に亘ってOAローラの良好な特性を維持することができる。
なおバインダ樹脂として、先に説明したエマルションや水溶液を用いる場合、前記体質顔料や針状の突起を有する顔料等の含有割合は、前記エマルションや水溶液中の固形分(バインダ樹脂)100質量部あたりの顔料の質量部である。
また顔料としては、前記体質顔料、針状の突起を有する顔料等、複数種の機能の異なる顔料を併用してもよい。その場合には、前記各顔料の機能の相乗効果によって、より一層長期間に亘ってOAローラの良好な特性を維持することができる。併用する場合、顔料の含有割合は、併用する2以上の顔料の合計の、前記固形分100質量部あたりの質量部が、本願発明で規定した範囲内である必要がある。
コーティング剤は、先に説明したように溶媒として水を用いた水系とするのが、環境に及ぼす負荷を低減する上で望ましい。
例えばバインダ樹脂として、先に説明したように水系のエマルションまたは水溶液の状態で供給されるものを用いる場合には、前記エマルションまたは水溶液に、前記所定の含有割合となるように顔料とアミノ樹脂とを添加するとともに必要に応じてその他の添加剤を加えることで、前記水系のコーティング剤が得られる。
前記コーティング剤を、例えばアルミニウム、銅、真鍮、ステンレス鋼等の金属からなる円筒状ないし円柱状のローラ本体の外周面に、スプレーコート法等の任意の塗布方法によって塗布したのち乾燥させて水等の溶媒を除去し、さらに加熱してバインダ樹脂を硬化反応させるとともに、架橋剤としてのアミノ樹脂の作用によって架橋反応させることでコーティング層が形成されてOAローラが得られる。
なお本発明では摩擦係数μを、図1に示す装置を用いて、オイラーのベルト式に準拠した測定方法によって測定した値でもって表すこととする。
次に、一端に質量W(g)の錘6を取り付けたベルト7の他端を前記荷重計5に接続するとともに、前記ベルト7の錘6側の一端をOAローラ3よりも下側に垂れ下がらせた状態で、前記ベルト7を、中心軸4を中心とする中心角度θ(°)の範囲に亘って前記OAローラ3のコーティング層2の表面に接触させる。
μ=(1/θ)ln(F/W) (1)
によって摩擦係数μを求める。
塗布厚みが前記範囲未満では、厚みが均一なコーティング層を形成できないおそれがある。
また塗布厚みが前記範囲を超える場合にはタレ等を生じてコーティング層の外観が悪くなるおそれがあり、また乾燥性等の作業性が低下するおそれがある。
〈実施例1〉
前出の三洋化成工業(株)製のパーマリンUA−300〔ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水系エマルション、固形分濃度38質量%〕に、これも前出のサイテック社製のサイメル327〔メチル化高イミノメラミン樹脂のイソブタノール溶液、固形分濃度88〜92質量%〕と、クレー〔含水カオリン系、BASF社製のASP−170〕とを配合してコーティング剤を調製した。
前記コーティング剤を、外径24φ、長さ22.6mmのアルミニウム(A6063)製のローラ本体の外周面にスプレーコート法によって塗布し、室温で30分間程度で静置して乾燥させ、次いで90℃で10分間の予備乾燥をしたのち140℃で15分間加熱してバインダ樹脂を硬化および架橋反応させてコーティング層を形成して、OAローラを作製した。
バインダ樹脂としてのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部あたりの、前記クレーの含有割合を10質量部(比較例1)、20質量部(比較例2)、25質量部(実施例2)、45質量部(実施例3)、100質量部(実施例4)、120質量部(実施例5)、150質量部(比較例3)としたこと以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製し、OAローラを作製した。
バインダ樹脂としてのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部あたりの、メチル化高イミノメラミン樹脂の含有割合を10質量部(比較例4)、15質量部(実施例6)、25質量部(実施例7)、45質量部(実施例8)、55質量部(実施例9)、60質量部(比較例5)としたこと以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製し、OAローラを作製した。
サイメル327に代えて、サイテック社製のサイメル370〔部分メチル化メラミン樹脂のイソブタノール溶液、固形分濃度86〜90質量%〕を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製し、OAローラを作製した。
前記コーティング剤における、バインダ樹脂としてのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(パーマリンUA−300の固形分)100質量部あたりの、部分メチル化メラミン樹脂(サイメル370の固形分)の含有割合は36質量部とした。
サイメル327に代えて、アミノ樹脂とは別種の架橋剤である日清紡ケミカル(株)製のカルボジライト(登録商標)E−02〔ポリカルボジイミドの水系エマルション、固形分濃度40質量%〕を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製し、OAローラを作製した。
〈比較例7〉
サイメル327に代えて、アミノ樹脂とは別種の架橋剤である第一工業製薬(株)製のエラストロン(登録商標)BN69〔ブロックイソシアネート化合物の溶液、固形分濃度40質量%〕を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製し、OAローラを作製した。
〈高温、高湿試験〉
前記各実施例、比較例で作製したOAローラの外周面を構成するコーティング層の表面に、ポリイミド製のベルトを直接に接触させた状態で、前記ベルトをOAローラの外周面に巻き付けて、温度60℃、相対湿度80%の高温、高湿環境下で7日間静置したのち状態を観察して、下記の基準でコーティング層を評価した。
×:コーティング層は、部分的に変形したりベルト等に貼り付いたりしていた。
〈密着性試験〉
前記各実施例、比較例で作製したOAローラにおける、コーティング層の密着性を、日本工業規格JIS K5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に所載の試験方法に則って試験し、試験結果を評価した。すなわち試験結果を、JIS K5600−5−6の表1に従って6段階に分類し、分類0〜2が密着性良好、分類3〜5が密着性不良と判定した。
前記各実施例、比較例で作製したOAローラにおける、コーティング層の表面の、前記ポリイミド製のベルトに対する摩擦係数を、先に説明した図1の装置を用いて測定した結果から、前記式(1)によって求めた。
以上の結果を表1〜表3に示す。
また表1の実施例1〜5と比較例1〜3の結果より、顔料としてのクレーの含有割合は、バインダ樹脂100質量部あたり25質量部以上、120質量部以下である必要があり、特に45質量部以上、100質量部以下であるのが好ましいことが判った。
〈実施例11〜13〉
体質顔料としてのクレー(前出のASP−170)に代えて、テトラピック状を呈する酸化亜鉛ウィスカ〔パナソニック(株)製のパナテトラ(登録商標)〕を、バインダ樹脂としてのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部あたり25質量部(実施例11)、65質量部(実施例12)、100質量部(実施例13)の割合で含有させたこと以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製し、OAローラを作製した。
体質顔料としてのクレー(前出のASP−170)と、テトラピック状を呈する酸化亜鉛ウィスカ(前出のパナテトラ)とを併用したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製し、OAローラを作製した。バインダ樹脂としてのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部あたりの両顔料の含有割合は、クレーが30質量部、酸化亜鉛ウィスカが35質量部、合計量が65質量部であった。
バインダ樹脂としてのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部あたりの両顔料の含有割合を、クレー65質量部、酸化亜鉛ウィスカ30質量部、合計量95質量部としたこと以外は実施例14と同様にしてコーティング剤を調製し、OAローラを作製した。
バインダ樹脂としてのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部あたりの両顔料の含有割合を、クレー65質量部、酸化亜鉛ウィスカ65質量部、合計量130質量部としたこと以外は実施例14と同様にしてコーティング剤を調製し、OAローラを作製した。
W 質量
θ 中心角度
1 ローラ本体
2 コーティング層
3 OAローラ
4 中心軸
5 荷重計
6 錘
7 ベルト
Claims (5)
- 金属製のローラ本体の外周面に、硬化性を有するバインダ樹脂と、前記バインダ樹脂100質量部あたり、25質量部以上、120質量部以下の顔料と、15質量部以上、55質量部以下の、前記バインダ樹脂の架橋剤としてのアミノ樹脂とを含むコーティング剤を塗布したのちバインダ樹脂を硬化および架橋反応させて形成されたコーティング層が設けられていることを特徴とするOAローラ。
- 前記バインダ樹脂は水系ウレタン樹脂である請求項1に記載のOAローラ。
- 前記顔料は、少なくとも体質顔料を含んでいる請求項1または2に記載のOAローラ。
- 前記顔料は、少なくとも針状の突起を有する顔料を含んでいる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のOAローラ。
- 金属製ローラ本体の外周面にコーティング層を備えたOAローラの、前記コーティング層を形成するためのコーティング剤であって、硬化性を有するバインダ樹脂と、前記バインダ樹脂100質量部あたり、25質量部以上、120質量部以下の顔料と、15質量部以上、55質量部以下の、前記バインダ樹脂の架橋剤としてのアミノ樹脂とを含むことを特徴とするOAローラ用コーティング剤。
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