JP2011116434A - フィルム及び包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリブチレンテレフタレートの耐熱性、ガスバリアー性を維持したまま、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性に優れるフィルム及びそれよりなる包装袋を提供する。
【解決手段】 ポリブチレンテレフタレート樹脂80〜98重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物2〜20重量%からなるフィルム及びそれよりなる包装袋を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなるフィルム及びそれよりなる袋に関するものである。
臭気の強い食品や廃棄物の包装等、ガスバリアー性や保香性が求められる包装袋には複合フィルムが多く使用されている。複合フィルムを用いる理由は、単層フィルムではヒートシール性が悪く製袋が困難であるため、ヒートシール性の優れたフィルムと複合化することにより用いられている。しかし、フィルムを積層するため生産性が悪く、経済的でないなどの問題がある。
そこで、ガスバリアー性及び耐熱性に優れ、食品包装袋として好適なものとして、ポリブチレンテレフタレート樹脂の単層フィルムをヒートシールした袋が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、電子レンジで使用し得る耐熱性の包装袋として好適なものとして特定のポリブチレンテレフタレート樹脂フィルムを使用した袋が提案されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、熱滅菌を必要とする包装袋として好適なものとして特定のポリブチレンテレフタレート樹脂フィルムを使用した袋が提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開平1−182255号公報(特許請求の範囲) 特開平3−164619号公報(特許請求の範囲) 特開平3−192117号公報(特許請求の範囲)
しかし、特許文献1や2及び3に提案されている包装袋は、引張強度や衝撃強度等のフィルム強度が脆弱でシール端部が裂け易くヒートシール性に劣るため、充填物や臭気が漏れ出すなどの問題があり包装袋として満足できるものではなかった。
また、使用時や製品輸送時の繰返し屈曲疲労によりピンホールが生じることがある。このピンホールは、充填物や臭気の漏れ出し、ガスバリアー性低下による充填物の腐敗などの問題を招き、包装袋としての機能を著しく低下させる。
これらの課題を解決できるポリブチレンテレフタレート樹脂製包装袋が望まれている。
そこで、本発明は上記課題を解決し、ポリブチレンテレフタレートの耐熱性及びガスバリアー性を維持したまま、ヒートシール性、耐ピンホール性及び耐衝撃性に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂製フィルム及びそれよりなる包装袋を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂に特定のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を配合することにより、ポリブチレンテレフタレートの優れた耐熱性とガスバリアー性を維持したまま、ヒートシール性、耐ピンホール性及び耐衝撃性の優れたフィルムとなることを見出し、本発明を完成させるに到った。
即ち、本発明はポリブチレンテレフタレート樹脂80〜98重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物2〜20重量%からなるフィルム及びそれよりなる包装袋に関するものである。
本発明に用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂は、1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分とテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分又はそのアルコールエステル成分とを縮合して得られるポリエステルである。一般的にポリブチレンテレフタレート樹脂として知られている範疇に属するものであれば如何なるものでも用いることができ、ポリブチレンテレフタレートを主体とする共重合体であってもよい。また、市販品として入手することもできる。
また、該ポリブチレンテレフタレート樹脂には、本発明の目的を阻害しない限り一般の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の物質、即ち、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、結晶化促進剤、結晶化遅延剤、他の熱可塑性樹脂、無機充填剤等を配合されてもよい。
本発明に用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂はO−クロロフェノール中で温度35℃の条件下で測定した固有粘度(IV値)が0.5dL/g〜2.5dL/gのものが好ましい。固有粘度が0.5dL/g以上では溶融膜が安定化し製膜性に優れ、固有粘度が2.5dL/g以下では押出時の負荷が低く製膜が容易である。
本発明に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニルの部分がケン化されたものであり、一般的にエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物として知られている範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能である。その中でも特にヒートシール性、耐ピンホール性及び耐衝撃性の優れたフィルムとなることからJIS K6924に準拠し測定した酢酸ビニル含量が5〜50重量%であり好ましくは15〜42重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化度20〜100モル%にケン化したエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物であることが好ましい。該エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は、例えば高圧法、乳化重合法等の公知の製造方法により製造されたエチレン−酢酸ビニル共重合体をメタノール、エタノールなどの低沸点アルコールと水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラートなどのアルカリからなる系で処理するケン化を施すことにより製造することができる。また、該エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は市販品であっても良い。
本発明のフィルムは、該ポリブチレンテレフタレート樹脂80〜98重量%及び該エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物2〜20重量%からなるものであり、好ましくはポリブチレンテレフタレート樹脂85〜95重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物5〜15重量%である。ここで、ポリブチレンテレフタレート樹脂の配合量が80重量%未満である場合、ポリブチレンテレフタレート樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の相溶性に劣り製膜加工が困難となる。一方、ポリブチレンテレフタレート樹脂の配合量が98重量%を超える場合、フィルム及び袋はヒートシール性、耐ピンホール性及び耐衝撃性に劣るものとなる。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の混合方法については、ポリブチレンテレフタレート樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物をドライブレンドにより混合する方法を適用することができる。或いはポリブチレンテレフタレート樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物をブレンド後、押出機で溶融混練し溶融混合体のペレットを得る方法も適用することができる。
本発明のフィルムの製造方法としては、フィルムの製造が可能であれば如何なる方法を用いることも可能であり、例えば、インフレーション成形法又はTダイ法など一般的な成形法を用いることができる。特にインフレーション成形法で製膜したフィルムは、Tダイ法で得られたフィルムに比べ引張強度が大きく、ガスバリアー性に優れる。また、インフレーション成形法では、チューブ状のフィルムが得られ、一定長にカットし一端をヒートシールすることにより容易にかつ安価に製袋出来るので好ましい。
かかるフィルムには、必要に応じ任意の率で一軸又は二軸延伸を加えてもよい。
本発明においてフィルムの厚さは10〜200μmの範囲であり、好ましくは15μm〜100μmである。10μm以下では包装袋として必要な機械的強度を有さず、200μm以上では柔軟性に欠け不適である。
本発明のフィルムは、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性、ガスバリアー性、耐熱性に優れることから、包装袋に適したものであり、保香性が求められる食品、例えばキムチ、タクアン等の漬物類、カレー、餃子等の食品類の包装袋に好適である。さらに、食品以外にも臭気の強い産業廃棄物や汚物等の医療用廃棄物の処理袋に好適である。なお、包装袋及び処理袋は、フィルムをヒートシールすることにより得ることが出来る。
本発明のフィルム及び袋は、ヒートシール性、耐ピンホール性及び耐衝撃性に優れ、かつ優れた耐熱性及びガスバリアー性を併せもち、特に臭気の強い食品や廃棄物の包装材として優れた適性を有するものである。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性及びガスバリアー性の試験方法を示す。
〜ヒートシール性〜
試料幅150mmのインフレーションフィルムを2枚重ね合わせた上にヒートシールバーへの融着防止を目的にポリイミドフィルムを置き、ヒートシールテスター(テスター産業社製)を用いて温度235℃、圧力0.2MPa、時間1秒の条件でヒートシールバーにより押さえて加熱接着を行った。試験片を幅15mmの短冊状に切断し、該加熱融着部分を引張試験機(島津製作所(株)社製、商品名オートグラフDCS500)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180度にてヒートシール性を測定した。
〜耐ピンホール性〜
恒温槽付ゲルボフレックステスター(テスター産業社製)を使用し、23℃の雰囲気温度下にてMIL B131に準拠して1000回屈曲させた後、屈曲部に発生したピンホールの数から耐ピンホール性を評価した。
〜耐衝撃性〜
パンクチャー衝撃試験機(メイリツエンヂニヤリング社製)を使用し、温度23℃、湿度60%の雰囲気温度下にてJIS P8134に準拠して衝撃強度を評価した。
〜ガスバリアー性〜
15cm四方のインフレーションフィルムを2枚重ね合わせ、3辺をインパルスシーラー(富士インパルス社製)を用いてヒートシールすることにより袋を得た。得られた袋中にキムチの素(桃屋製)を5g加え、袋の開封部をヒートシールすることにより密封した。密封した袋をガラス瓶中に保管し、一定期間毎(1日後、3日後及び1週間後)に臭気を嗅ぎ、ガスバリアー性の指標とした。
臭気が感じられないものを○、僅かに臭気が感じられるものを△、強い臭気が感じられるものを×とした。
実施例1
〜インフレーションフィルムの製造方法〜
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)(ポリプラスチックス株式会社製、商品名ジュラネックス800FP、固有粘度1.4dL/g)90重量%とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)(東ソー株式会社製、商品名メルセンH−7540、酢酸ビニル含有率25重量%、ケン化度75モル%、メルトマスフローレート2.8g/分)10重量%をドライブレンドした後、インフレーション成形機(株式会社プラコー製、スクリュー径50mm)を用いて製膜し、厚さ30μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性及びガスバリアー性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例2
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)10重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B2)(東ソー株式会社製、商品名メルセンH−6410、酢酸ビニル含有率28重量%、ケン化度40モル%、メルトマスフローレート16g/分)10重量%とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性及びガスバリアー性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例3
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)10重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B3)(東ソー株式会社製、商品名メルセンH−6960、酢酸ビニル含有率42重量%、ケン化度90モル%、メルトマスフローレート40g/分)10重量%とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性及びガスバリアー性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例4
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)90重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)10重量%の代わりに、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)95重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)(東ソー株式会社製、商品名メルセンH−7540、酢酸ビニル含有率25重量%、ケン化度75モル%、メルトマスフローレート2.8g/分)5重量%とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性及びガスバリアー性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例5
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)90重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)10重量%の代わりに、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)85重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)(東ソー株式会社製、商品名メルセンH−7540、酢酸ビニル含有率25重量%、ケン化度75モル%、メルトマスフローレート2.8g/分)15重量%とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性及びガスバリアー性を評価した。その結果を表1に示す
比較例1
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)90重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)10重量%の代わりに、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)のみとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性及びガスバリアー性を評価した。その結果を表1に示す。
得られたフィルムは、ヒートシール性、耐ピンホール性及び耐衝撃性に劣るものであった。
比較例2
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)10重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(C1)(東ソー株式会社製、商品名ウルトラセン710、酢酸ビニル含有率28重量%、メルトマスフローレート18g/分)10重量%とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐衝撃性及びガスバリアー性を評価した。その結果を表1に示す。
得られたフィルムは、ヒートシール性に劣るものであった。
比較例3
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)90重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)10重量%の代わりに、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A1)70重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B1)(東ソー株式会社製、商品名メルセンH−7540、酢酸ビニル含有率25重量%、ケン化度75モル%、メルトマスフローレート2.8g/分)30重量%とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムの製膜を行った。
該組成物は製膜時の吐出が変動し溶融膜が不安定となり、フィルムを得ることができず製膜性に劣るものであった。
Figure 2011116434

Claims (5)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂80〜98重量%及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物2〜20重量%からなるフィルム。
  2. エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が、JIS K6924に準拠し測定した酢酸ビニル含量が5〜50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル単位を20〜100モル%ケン化したものであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
  3. 請求項1又は2記載のフィルムからなる包装袋。
  4. 食品用である請求項3記載の包装袋。
  5. 産業廃棄物又は医療廃棄物の処理用袋である請求項3記載の包装袋。
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