JP2011111364A - 陽極接合用ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】 MEMS(マイクロエレクトロニクスメカニカルシステム)などの製造に好適な、シリコンウエハなどと低温で陽極接合が可能なガラスを提供すること。さらに好ましくは低温かつ低電圧で陽極接合が可能なガラスを提供すること。
【解決手段】 酸化物基準で、SiO成分、P成分、Al成分を含有し、Al成分に対するP成分の酸化物基準で表わされた質量%の比(P2/Al)が0.01以上である陽極接合用ガラス。
【選択図】なし

Description

本発明は、微小電気機械素子等に使用されるシリコン等の半導体や金属と陽極接合する場合に有用なガラスに関する。
陽極接合は、センサまたはアクチュエータ(機械的駆動機構)と、それを駆動する集積回路とが混在する微小電気機械素子において、外部要因から内部を保護するためにシリコンウエハとガラスを接合する方法、前記微小電気機械素子の製造プロセスにおける各種基板とガラス台座を接合する方法、またはシリコンウエハ等のマスク基板とガラスの支持部材を接合する方法として用いられている。
陽極接合は一般的にシリコンウエハとガラスとを300℃〜600℃に加熱した状態で電圧を印加し、両者を接合する技術である。ガラスによる封止は高い気密性が得られる点および共有結合による強固な接合が得られる観点から、陽極接合は主にMEMS(マイクロエレクトロニクスメカニカルシステム)の封止技術として利用されている。
近年、MEMSセンサーを搭載する民生用デバイスにおいて、デバイスの小型化が市場の潮流であり要求でもある。そこで、デバイスを小型化するためには、MEMSを小型化もしくは集積化する考えがある。また、集積回路とMEMS装置を混在させ複合化デバイスとする考えもある。しかし、現在の陽極接合では、特に気密封止用途において、陽極接合時の加熱によってMEMS素子が損傷を受ける問題や、陽極接合工程以前に行われるMEMS素子等の接合部位は陽極接合時の加熱に耐えうるものである必要があるために、接合の方法が限定される等の問題がある。従って、MEMS素子の小型化および集積化、集積回路とMEMS素子との複合化は困難である。そのため、陽極接合の低温化が期待されている。
一方で、デバイスの低コスト化という市場の要求もある。デバイスを構成するMEMSの製造では、従来の陽極接合の温度に耐えうる設備にする必要があり、製造コストが高くなる問題があった。そのため、陽極接合を低温化する事が期待されている。
低温で陽極接合するためには、高電圧を印可することが有効であるが、高電圧はMEMS素子を損傷させるため、低温で陽極接合を実施することは困難であった。
特許文献1には陽極接合用ガラスが開示されているが、加熱温度が最低でも240℃を要している。
特開2001−72433号公報
本発明の課題は低温で陽極接合が可能なガラスを提供することである。さらに好ましくは低温かつ低電圧で陽極接合が可能なガラスを提供することである。
本発明者は上記の課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定成分の含有範囲を規定することによって、上記の課題を解決することを見いだし、この発明を完成したものであり、その具体的な構成は以下の通りである。
(構成1)
酸化物基準で、SiO成分、P成分、Al成分を含有し、Al成分に対するP成分の酸化物基準で表わされた質量%の比(P2/Al)が0.01以上である陽極接合用ガラス。
(構成2)
SiO成分、P成分、Al成分の合量が50%以上である構成1に記載の陽極接合用ガラス。
(構成3)
LiO成分、NaO成分、KO成分、CsO成分から選ばれる1種以上を含有し、酸化物基準の質量%で表わされたこれらの成分の合計量が0.1〜20%である構成1または2に記載の陽極接合用ガラス。
(構成4)
MgO成分、CaO成分、ZnO成分、SrO成分、BaO成分から選ばれる1種以上を含有し、酸化物基準の質量%で表わされたこれらの成分の合計量が20%以下である構成1から3のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
(構成5)
酸化物基準の質量%で、
30%〜90%のSiO
0.1%〜40%のP
0.1%〜50%のAl
0.1%〜20%のLiO、
の各成分を含有する構成1から4のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
(構成6)
酸化物基準の質量%で、
0%〜20%のNaO、
0%〜20%のKO、
0%〜20%のCsO、
の各成分を含有する構成1から5のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
(構成7)
酸化物基準の質量%で、
0%〜50%のB
0%〜50%のBi
0%〜50%のGeO
の各成分を含有する構成1から6のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
(構成8)
酸化物基準の質量%で、
0%〜20%のZrO
0%〜20%のTiO
の各成分を含有する構成1から7のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
(構成9)
酸化物基準の質量%で、
0〜20%のMgO、
0〜20%のCaO、
0〜20%のZnO、
0〜20%のSrO、
0〜20%のBaO
の各成分を含有する構成1から8のいずれかに記載のガラス。
(構成10)
As成分およびSb成分の合計の含有量が酸化物基準の質量%で0%〜5%である構成1から9のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
(構成11)
CeO成分およびSnO成分の合計の含有量が酸化物基準の質量%で0%〜5%である構成1から10のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
(構成12)
30℃〜400℃における平均線膨張係数が25×10−7−1〜70×10−7−1である構成1から11のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
本発明においてガラスとはアモルファスガラスおよび結晶化ガラスの両方を含む概念である。
本発明のガラスによれば、例えば200℃以下の低い温度で陽極接合が可能なガラスを提供することができる。このガラスを用いて陽極接合をすることにより、MEMS素子の熱的損傷を低減することができる。また、MEMS素子等の接着方法の選択肢がより多くなる。製造設備に高い耐熱性を持たせる必要が無くなるので、MEMSデバイスの製造を低コストで行うことが可能となる。
陽極接合試験の概要を説明する説明図である。
本発明のガラスを構成する各成分について説明する。なお、特に記載の無い場合、本明細書においては前記各成分は酸化物基準の質量%にて表現する。
ここで、「酸化物基準」とは、本発明のガラスの構成成分の原料として使用される酸化物、硝酸塩、炭酸塩等が溶融時にすべて分解され酸化物へ変化すると仮定して、ガラス中に含有される各成分の組成を表記する方法であり、この生成酸化物の質量の総和を100質量%として、ガラス中に含有される各成分の量を表記する。
本発明のガラスは 酸化物基準で、SiO成分、P成分、Al成分を含有し、Al成分に対するP成分の酸化物基準で表わされた質量%の比(P2/Al)が0.01以上である。上記成分を含み、P2/Alの値を0.01以上とすることにより、低温で接合可能な陽極接合用ガラスを提供することができる。
陽極接合性は、加電圧時のガラス自体の分極性と、ガラス中の可動イオンの動きに左右される。
SiO成分はガラス骨格を形成する成分である。また、P成分もSiO成分と同様にガラス骨格を形成する成分である。リン原子は4配位であるが5価であるため加電圧時にガラスが分極しやすくなる。一方で、Al成分は中間酸化物(ガラスにおいて網目形成酸化物と修飾酸化物の中間的な存在である酸化物)であるが、Pと共存することでガラス骨格がPO四面体とAlO四面体が架橋した安定した構造に変化する。このため、Al成分は電気的および化学的に安定したガラスの為には必要な成分であるが、P成分の量がAl成分に対して少なすぎると加電圧時にガラスが分極しにくくなってしまい、かつアルカリイオン等の可動性が低下してしまう。アルカリ金属酸化物成分は、陽極接合時の可動イオンとして接合性を向上させる成分である。陽極接合はアルカリイオン等がガラス中を可動することで可能となる原理のため、Al成分に対するP成分の質量%の比の値を0.01以上とすることによって、ガラスの化学的安定性を得つつ、ガラス中のアルカリイオン等が可動しやすくなり、低温で陽極接合が可能となる。この効果をより得やすくする為にはAl成分に対するP成分の質量%の比の値が0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることが最も好ましい。また、Al成分に対するP成分の質量%の比の値が30を超えると化学的耐久性が悪くなるため30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が最も好ましい。
また、SiO成分、P成分、Al成分が安定したガラス骨格を形成する為にはこれらの成分の合量が50%以上であることが好ましく、55%以上であることが好ましく、60%以上であることが最も好ましい。また、これらの成分の合量は99.9%以下であることが好ましい。
成分は上述の通りガラス骨格を形成する成分であり、この成分を含有し、Al成分に対する比の値を上記の範囲内とすることにより、陽極接合時にアルカリイオン等が可動しやすくなる効果が得られることはすでに上述の通りであるが、この成分が0.1%未満であると上述の効果が得られにくくなる為、0.1%以上含有することが好ましく、2%以上含有することがより好ましく、4%以上含有することが最も好ましい。また、40%を超えると化学的耐久性が悪くなるために含有量は40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、28%以下が最も好ましい。
SiO成分は上述の通り、ガラス骨格を形成する成分であり、その含有量が30%未満であると、シリコンウエハと同等の平均線膨張係数が得難くなるためSiO成分の含有量の下限は30%以上とすることが好ましく、35%以上とすることがより好ましく、40%以上とすることが最も好ましい。
また、本発明のガラスの溶融温度をより低くし、低温溶融性を得やすくするためには、前記SiO成分の含有量の上限は90%以下とすることが好ましく、80%以下とすることがより好ましく、70%以下とすることが最も好ましい。
Al成分は上述の通り、本発明のガラス骨格を形成することができ、また、ガラスの分相を抑制する成分である。さらに、シリコン結晶と近似したCTE−温度曲線を得るのに必要な成分でもある。Al成分が0.1%未満であると、平均線膨張係数が大きくなりやすくなるとともに、ガラスの分相傾向が大きくなりやすく、熱間成型時に失透が生じやすくなるため、0.1%以上とすることが好ましく、5%以上とすることがより好ましく、8%以上とすることが最も好ましい。
またAl成分の含有量が50%を超えると溶融温度が高温になるとともに、ガラス転移点が高くなるため、熱間加工性が悪くなりやすい。従って、Al成分は50%以下とすることが好ましく、45%以下とすることがより好ましく、40%以下とすることが最も好ましい。
ここで、CTE−温度曲線とは下記の式において、T1とT2の温度範囲を充分に狭くした時の、ある温度TにおけるCTEをy軸に、温度をx軸としてプロットした時に得られる曲線を言う。
CTE=(LT2−LT1)/{L×(T2−T1)}
L:室温における試料の長さ(本発明においては室温を30℃と定義する。)
T1:T1の時の試料の長さ
T2:T2の時の試料の長さ
また、SiO成分の量に対するP成分の量の比は加電圧時の分極性およびガラスの化学的耐久性向上に寄与し、酸化物基準の質量%で表わされたP/SiOの比の値は、0.08以上1.00以下が望ましい。比が0.08未満になると、ガラスが加電圧時に分極しづらくなる場合がある。一方、比が1.00を越えると、ガラスの化学的耐久性が低下する場合がある。
また、SiO成分の量に対するAl成分の量の比は加電圧時の分極性に寄与し、加電圧時の分極性を高める為には酸化物基準の質量%で表わされたAl/SiOの比の値は、0.12以上が望ましい。この比が0.12未満になると、ガラスが加電圧時に分極しづらくなる場合がある。
LiO、NaO成分、KO、CsOの各成分は、陽極接合時の可動イオンとして振る舞い、ガラスを陽極接合に使用可能とする成分である。ガラスが陽極接合可能となるためには、これらの成分から選ばれる1種以上の成分の合計が0.1%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましく、1%以上であることが最も好ましい。また、これらの成分から選ばれる1種以上の成分の合計が20%を超えると平均線膨張係数が大きくなりやすく、熱間成型時に失透が生じやすく、化学的耐久性が悪化しやすくなることから、なるため、20%以下とすることが好ましく、16%以下とすることがより好ましく、12%以下とすることが最も好ましい。
LiO、NaO、KO、CsOの各成分は陽極接合時の可動イオンとなりうる成分であり、溶融温度を低下させやすくする成分である。これらの各成分は上記の合量の範囲内で任意に添加することができる。ただし各成分の含有量が大きくなると平均線膨張係数が大きくなりやすく、化学的耐久性が悪くなることから、その各々の成分の含有量はそれぞれ、好ましくは20%以下、より好ましくは16%以下であり、最も好ましくは12%以下である。
LiO、NaO、KO、CsOの各成分の中でも特にLiO成分はアルカリイオンの中で最もイオン半径が小さいため陽極接合時にイオンが動きやすく、陽極接合の低温化に寄与する成分である為、0.1%以上含有することが好ましく、0.5%以上含有することがより好ましく、1%以上含有することが最も好ましい。
NaOを含有する場合、NaO/Alは、0.13以下が望ましい。比が0.13を越えると、平均線膨張係数が大きくなりやすい。さらに、シリコン結晶と近似したCTE−温度曲線が得がたくなる。
NaO成分とLiO成分を同時に含む場合、NaO/LiOは、1.00以下が望ましい。比が1.0を越えると、アルカリ混合効果のため体積抵抗率が高くなり、陽極接合性が低下する。ガラスの体積抵抗率が小さいとより低温で陽極接合が可能となりやすい。
また、LiO成分を含有させる場合、より陽極接合時にLiイオンをより動き易くする為にはNaO、KO、CsOを含有させないことが好ましい。
MgO成分、CaO成分、ZnO成分、SrO成分、BaO成分の各成分はガラスの溶融性を向上させる成分であるが、これらの成分から選ばれる1種以上の成分の合計を20%以下とすることによりガラス溶融時の清澄性の効果を得やすくすることができる。これらの成分から選ばれる1種以上の成分の合計はより好ましくは15%以下であり、最も好ましくは11%以下である。
MgO成分、CaO成分は溶融温度を低くさせやすくする任意で添加できる成分である。ただし含有量が大きくなると、ガラス転移点が高くなるとともに、熱間成型時の失透性が増大するため、その含有量の上限は、それぞれ好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは11%以下である。
SrO成分は溶融温度を低下させやすくする任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと平均線膨張係数が大きくなりやすくなるため、その含有量の上限は、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは11%以下である。
BaO成分はガラスの分相を抑制しやすくするとともに、溶融温度を低下させやすくする任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと平均線膨張係数が大きくなりやすくなるため、その含有量の上限は、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは11%以下である。
ZnO成分は平均線膨張係数を小さくさせうる成分である。ただし過度に添加量が多いとかえって平均線膨張係数が大きくなりやすくなるため、その含有量の上限は、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは11%以下である。
成分もSiO成分と同様にガラス骨格を形成しうる成分であり、任意で含有できるが、この成分の含有量が50%を超えるとガラスの平均線膨張係数が大きくなるとともに、分相傾向が増大するため、前記B成分の含有量の上限は50%以下とすることが好ましく、40%以下とすることがより好ましく、30%以下とすることが最も好ましい。また、可動イオンの動きを抑制する働きもあるため、B成分は含まなくともよい。
Bi成分およびGeO成分もSiO成分と同様にガラス骨格を形成しうる成分であり、任意で含有できるが、これらの各々の成分の含有量が50%を超えると平均線膨張係数が大きくなる為、前記Bi成分とGeO成分の各々の含有量の上限はそれぞれ50%以下とすることが好ましく、40%以下とすることがより好ましく、30%以下とすることが最も好ましい。
ZrO成分およびTiO成分はガラスの体積抵抗率を低下させる成分であり、任意で含有できるが、これらの各々の成分の含有量が20%を超えると不溶物が発生する為、前記ZrO成分とTiO成分の各々含有量の上限はそれぞれ20%以下とすることが好ましく、15%以下とすることがより好ましく、11%以下とすることが最も好ましい。ガラスの体積抵抗率が小さいとより低温で陽極接合が可能となりやすい。
As成分およびSb成分はガラスの清澄剤として任意で添加できる成分である。ただし多量に加えても清澄効果は大きくならないため、As成分および/またはSb成分の含有量は5%を上限とし、好ましくは4%以下、最も好ましくは3%以下である。
しかし、As成分およびSb成分は近年人体や環境への影響を考慮して使用が控えられる傾向にあり、この点においてはこれらの成分はできるだけ含有しないことが好ましい。本発明のガラスにおいては上記清澄剤の代替としてCeO成分および/またはSnO成分を使用できる。これらの成分もAs成分およびSb成分と同様に多量に加えても清澄効果は大きくならないため、CeO成分および/またはSnO成分の含有量は5%を上限とし、好ましくは4%以下、最も好ましくは3%以下である。
As成分とSb成分は、ガラスの分極性に寄与する場合がある。AsはSbよりも電気陰性度が高いため、酸化物基準の質量%で表わされたSb/(Sb+As)は0.20以下が望ましい。比が0.2を越えるとガラスが過熱および加電圧時に分極性が低下する傾向にある。より電気陰性度が高い成分を含有すると、ガラスは分極しやすくなる場合がある。
PbO成分はガラスを製造、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要があり、そのためのコストを要するため、本発明のガラスにPbOを含有させるべきでない。
本発明のガラスの平均線膨張係数は、30℃から300℃の範囲において、25×10−7−1〜70×10−7−1の範囲である。より好ましい態様においては30℃から300℃の範囲において、27×10−7−1〜62×10−7−1の範囲の平均線膨張係数を得ることができる。
本発明のガラスの製造方法としては、公知の溶融法を用いる事が出来る。すなわち、本発明のガラスが酸化物基準で表わされた組成となるように珪砂、硼酸、酸化アルミニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、亜砒酸、五酸化アンチモン、酸化錫、酸化セリウム等からなるガラス原料を、石英、アルミナまたは白金などからなる坩堝へ充填する。そして電気炉、ガス炉などの溶融炉で加熱溶融する。本発明のガラスはガラス原料の溶融温度が1600℃以下であり、前記溶融炉での加熱溶融時の温度は1450℃〜1600℃、好ましい態様においては1450℃〜1550℃の温度で溶融することができる。
溶融後、必要に応じ清澄、撹拌を行いガラスを均質化させ、その後成形型に溶融ガラスを流しこみ急冷することによって成形、徐冷炉において徐冷する。
本発明の陽極接合用ガラスはアモルファスガラスの状態であってもシリコンと近似した平均線膨張係数を得られるが、得られたガラスを熱処理し負の熱膨張係数を有する結晶を析出させることにより、ガラス全体の熱膨張係数をさらに調整することも可能である。このときの熱処理は500℃〜900℃で1時間〜30時間熱処理し核形成を行い、その後、600℃〜1000℃で核形成よりも高い温度で1時間〜30時間熱処理し結晶成長を行う。結晶化の熱処理後は緩やかに降温し徐冷する。析出させる結晶は負の熱膨張係数を有する点でβ−石英固溶体が好ましい。シリコンウエハとの熱膨張をより近似させる為には結晶化ガラスの結晶化度は質量%で50%以下が好ましく、47%以下が最も好ましい。同様の理由から結晶化度の下限は3%が好ましい。また、析出する結晶の平均結晶粒径は50nm〜200nmの範囲が好ましい。アルカリ金属酸化物を多く含有させることにより可動イオンが増加し陽極接合温度の低温化に寄与するが、アルカリ金属酸化物は熱膨張を大きくする成分である。従って、アルカリ金属酸化物の含有量を少なくすることによってガラスの熱膨張係数を低くし、シリコンウエハと陽極接合用ガラスの熱膨張を近似させようとすると、陽極接合の低温化と相反することとなる。しかし、結晶化ガラスはガラス相の部分でアルカリ金属酸化物の含有量を多くして陽極接合時の低温化を図りつつ、負の熱膨張係数を有する結晶相析出させることによって全体として低熱膨張性を得ることが可能となる。
但し、結晶化ガラスは内部に析出する結晶相とガラス相との硬度の違いにより、研磨後の表面に微細な凸凹が生じこの凸凹が原因となって陽極接合後の強度が充分に得られない場合があるため、陽極接合用ガラスとしてはアモルファスガラスであることがより好ましい。また、アモルファスガラスを陽極接合用ガラスとする場合、結晶を析出させる為の熱処理工程が不要の為、製造コストが少なくてすむ。
徐冷を終えたガラスは必要に応じて切断、研削加工を施して所望の形状とすると共に、接合面を研磨することがより好ましい。このときの接合面の表面性状はJIS B0601に規定される算術平均粗さRaで10.0nm以下であることが好ましく、5.0nm以下であることが最も好ましい。
また、徐冷炉から取りだしたガラスを粉末状に加工し、バインダー、溶媒等と混合してスラリー化し、その後ドクターブレード法等によりグリーンシートを成形し、グリーンシートを乾燥、焼結して板状の陽極接合用部材を作成する事も可能である。スラリーにはアルミナやコージェライトなどのセラミックス粉末を混合して熱膨張係数や機械的強度等の物性を調整することも可能である。
本発明の陽極接合用ガラスについて、シリコンウエハとの陽極接合試験を実施した。
[ガラスの作製]
本発明の実施例について説明する。ガラスが酸化物基準の質量%で表わされた表1〜2に示す組成比となるように珪砂、硼酸、酸化アルミニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、亜砒酸、五酸化二リン、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、酸化亜鉛、五酸化アンチモン、酸化錫、酸化セリウム等からなるガラス原料バッチを調製した。バッチはアルミナまたは白金坩堝へ充填し、電気炉により1400〜1550℃の温度で6〜24時間加熱溶融した。溶融したガラスを板状に成型し徐冷した。作製したガラスについてJOGIS(日本光学硝子工業会規格)16−2003「光学ガラスの常温付近の平均線膨張係数の測定方法」に則り、温度範囲を30℃から300℃の範囲に換えて平均線膨張係数を測定した。測定した平均線膨張係数(α)の値を表1〜2に示す。
[ガラスの加工]
接合試験に適した形状のガラスサンプルとする為、作製した板状ガラスから所望サイズの円柱状にくりぬき、スライス加工により所望の厚みのディスク状の基板に切断にして、両面精密研磨機にて研磨を実施した。その後、Zygo社製のNew Viewにてガラスサンプル表面の算術平均粗さRaを測定した。加工後のガラスサンプルの形状、算術平均粗さRaを表1〜2に記載する。
[接合試験]
シリコンウエハと作製したガラスサンプルの陽極接合試験を実施した。
シリコンウエハは株式会社フェローテックシリコン社製のホウ素をドープしたP型、シリコン純度は約約99.999996%、方位は(100)±1.0°、比抵抗1〜20Ω・cm、直径は76.5mm、厚さ0.8mmを使用した。
陽極接合は、アユミ工業株式会社のAB40特注品(神奈川県産業技術センター所有)を使用し、図1に示す様にシリコンウエハ側をプラス、ガラス側をマイナスにして温度200℃、直流電圧800Vを10分間印加することで行った。
この時の最大電流値(mA)を表1〜2に記載する。
接合試験後、接合の評価をおこなった。評価はシリコンウエハと接合したガラスサンプルの面積をガラスサンプルの片面全体の面積で割った値を接合割合(%)として評価した。接合試験後に暗く変色した領域をシリコンウエハと接合した領域とした。















Figure 2011111364










Figure 2011111364
表1〜2に示す通り、比較例1のガラスは接合面積が31%であったのに対し、本発明の陽極接合用ガラスは接合面積が64%〜100%であり、200℃の低温でも良好な接合性を示した。
また、実施例2の組成のガラスサンプルについて、接合時の直流電圧を600Vに変更した以外は上記と同様の条件で接合試験をした。その結果接合割合は97%であり、良好な接合結果を得た。
また、実施例2の組成のガラスについて700℃で20時間保持し、その後昇温して740℃で10時間保持して熱処理することにより結晶を析出させ結晶化ガラスとした。作製した結晶化ガラスについてX線回折分析をしたところ、主結晶相はβ石英固溶体であった。また、結晶化度は、質量%で45%であった。この結晶化ガラスの平均線膨張係数は33×10−7−1であった。この結晶化ガラスを実施例2と同様にディスク状のサンプルを作製し実施例2と同様の条件で陽極接合試験を行った。その結果接合割合は90%であり、良好な接合結果を得た。
その他、本発明のガラス組成例を表3〜16に示す。
Figure 2011111364
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1 プラス電極
2 ヒーター
3 マイナス電極兼ヒーター
4 シリコンウエハ
5 ガラスサンプル

Claims (12)

  1. 酸化物基準で、SiO成分、P成分、Al成分を含有し、Al成分に対するP成分の酸化物基準で表わされた質量%の比(P2/Al)が0.01以上である陽極接合用ガラス。
  2. SiO成分、P成分、Al成分の合量が50%以上である請求項1に記載の陽極接合用ガラス。
  3. LiO成分、NaO成分、KO成分、CsO成分から選ばれる1種以上を含有し、酸化物基準の質量%で表わされたこれらの成分の合計量が0.1〜20%である請求項1または2に記載の陽極接合用ガラス。
  4. MgO成分、CaO成分、ZnO成分、SrO成分、BaO成分から選ばれる1種以上を含有し、酸化物基準の質量%で表わされたこれらの成分の合計量が20%以下である請求項1から3のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
  5. 酸化物基準の質量%で、
    30%〜90%のSiO
    0.1%〜40%のP
    0.1%〜50%のAl
    0.1%〜20%のLiO、
    の各成分を含有する請求項1から4のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
  6. 酸化物基準の質量%で、
    0%〜20%のNaO、
    0%〜20%のKO、
    0%〜20%のCsO、
    の各成分を含有する請求項1から5のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
  7. 酸化物基準の質量%で、
    0%〜50%のB
    0%〜50%のBi
    0%〜50%のGeO
    の各成分を含有する請求項1から6のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
  8. 酸化物基準の質量%で、
    0%〜20%のZrO
    0%〜20%のTiO
    の各成分を含有する請求項1から7のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
  9. 酸化物基準の質量%で、
    0〜20%のMgO、
    0〜20%のCaO、
    0〜20%のZnO、
    0〜20%のSrO、
    0〜20%のBaO
    の各成分を含有する請求項1から8のいずれかに記載のガラス。
  10. As成分およびSb成分の合計の含有量が酸化物基準の質量%で0%〜5%である請求項1から9のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
  11. CeO成分およびSnO成分の合計の含有量が酸化物基準の質量%で0%〜5%である請求項1から10のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
  12. 30℃〜400℃における平均線膨張係数が25×10−7−1〜70×10−7−1である請求項1から11のいずれかに記載の陽極接合用ガラス。
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