JP2011109925A - イネ科植物の育成制御方法 - Google Patents

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【課題】イネ科植物の単位面積当たりの年間収穫量を増加させるため、1作当たりの栽培期間を短縮するとともに通常栽培期間における収穫量を維持できる、イネ科植物の育成制御方法を提供する。
【解決手段】外部光を遮蔽して人工光のみを植物に照射して、明期及び暗期の光周期で植物を育成する方法において、植物におけるHd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写量がピークに達する日よりも13〜3日前の間のいずれの日から、該転写量がピークに達する日からピークに達する日の7日後までの間のいずれの日までの10〜15日間エンド・オブ・デイ処理を行い、該エンド・オブ・デイ処理は明期の終了直後に遠赤色光を60分間以内の照射時間で植物に照射することにより行う、イネ科植物の育成制御方法。
【選択図】図1

Description

本願発明は、イネ科植物の育成制御方法、特に人工光のみを植物に照射する環境におけるイネ科植物の育成制御方法に関する。
通常の一般水田におけるイネ栽培は基本的に1年に1回行う1期作であることから、1作当たりの収穫量を増やすことが重要である。しかし、光照射や温度などの栽培条件を制御できる完全閉鎖系環境でのイネ栽培は、1年に数回栽培を行う多期作が可能であるため、年間を通しての収穫量を増大させることが重要となってくる。そして年間収穫量を増大させる方法としては、1作当たりの栽培期間を短くすること、及び1作当たりの収穫量を増やすことが考えられる。
特許文献1には、完全制御型光植物工場における植物育成用の光照射手段において、特定の複数の光質照射時期を含むことを特徴とする植物育成光の照射方法及び照射装置が開示されており、これにより収穫時期を早めることができると記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の発明は主に収穫量と無関係の草花の栽培期間を短縮するための方法であり、年間収穫量を増やすための方法ではない。
また、特許文献2には、人工光として青色光のみまたは青色光に加え遠赤色光を照射する光源手段を備えた、人工光を用いたイネ科植物の育苗装置が開示されており、これにより育苗時における定植後の花芽分化を促進し、育成期間を短縮することができると記載されている。しかしながら、特許文献2に記載の発明は主に品種改良における世代促進を実現するための方法であり、収穫量については記載されていない。
さらに、栽培光波長操作によるイネの収穫日数を短縮する技術として、エンド・オブ・デイ(End of day;EOD)処理が知られている。これは栽培期間を通じて明期終了直後に短時間の遠赤色光照射を行うものであり、これによりイネの出穂・収穫までの日数が短縮されると考えられている。しかしその一方で、EOD処理によって、一穂当たりの籾数や分げつ数が減少することから、収穫量はかえって減少してしまうという欠点がある。
一方、イネHd3a遺伝子は花芽形成に関連するとされており、Hd3a遺伝子の導入や発現制御により植物の開花時期を改変し得ることが知られている(特許文献3)。
特開2001−57816号公報 特開2002−345337号公報 特開2002−153283号公報
上述したように、これまで1作当たりの栽培期間を短縮する方法はいくつか知られているが、いずれの方法によっても年間収穫量の増加には至らなかった。そこで本発明は、イネ科植物の単位面積当たりの年間収穫量を増加させるため、1作当たりの栽培期間を短縮するとともに通常栽培期間における1作当たりの収穫量を維持できる、イネ科植物の育成制御方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、意外なことに、エンド・オブ・デイ(EOD)処理を、栽培の始めから終わりまでの通期ではなく、花芽形成関連遺伝子Hd3aの転写パターンを指標にした特定の期間のみに行うことで、栽培期間を短縮するとともにコメ収穫量の低下を抑えられることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、外部光を遮蔽して人工光のみを植物に照射して、明期及び暗期の光周期で植物を育成する方法において、植物におけるHd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写量がピークに達する日よりも13〜3日前の間のいずれの日から、該転写量がピークに達する日からピークに達する日の7日後までの間のいずれの日までの10〜15日間エンド・オブ・デイ処理を行い、該エンド・オブ・デイ処理は明期の終了直後に遠赤色光を60分間以内の照射時間で植物に照射することにより行う、イネ科植物の育成制御方法を提供する。本発明によれば、1作当たりの栽培期間を短縮するとともに通常栽培期間における1作当たりの収穫量を維持できることによって、単位面積当たりの年間収穫量を増加させることができる。
本発明は、また、エンド・オブ・デイ(EOD)処理期間を決めるため、植物におけるHd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写パターンをモニターしながら植物の育成を行う、上記イネ科植物の育成制御方法を提供する。栽培環境・条件が一定であれば、品種ごとに予めHd3a又はその相同遺伝子の転写パターンを明らかにしておくことにより、それに基づいて品種ごとにEOD処理開始時期及び終了時期を決定することができる。また、予めモニターしたものについても、さらにEOD処理とともにHd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写量をモニターしながら栽培することで、該転写量ピークをより正確に把握することができ、より正確かつ効果的な終了時期の決定が可能となる。
本発明は、また、エンド・オブ・デイ(EOD)処理をHd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写量がピークに達する日又は減少に転じた直後に終了する、上記イネ科植物の育成制御方法を提供する。EOD照射を終了する時期が転写ピークを過ぎれば過ぎるほど、栽培期間の短縮及び収穫量の減少抑制効果が弱まる傾向があるため、EOD処理を転写ピークに達する日又は減少に転じた直後に終了することで、より効果的に1作当たりの栽培期間を短縮するとともに通常栽培期間における1作当たりの収穫量の減少を抑えることができる。
本発明の方法によれば、エンド・オブ・デイ(EOD)処理を特定の期間のみに行うことで、栽培通期に渡ってEOD処理を行う場合に比べて、同程度に栽培期間を短縮できるだけでなく、1作当たりの収穫量の減少を抑え、その結果、単位面積当たりの年間収穫量を増加させることができる。また、EOD処理にかかる電気代も節約でき、コストダウンにも貢献する。
栽培開始時期の違いによるHd3a転写パターンの変化をリアルタイムPCRによって分析した結果を示す図であり、縦軸は8月屋外栽培の23日目のHd3a遺伝子転写量を1とした時の相対量である。 光植物工場栽培におけるイネのHd3a遺伝子転写パターンを電気泳動及びNIHイメージによって分析した結果を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(人工光によるイネ科植物の育成方法)
人工光による育成方法とは、外部光を遮蔽して人工光のみを植物に照射して、明期及び暗期の光周期で植物を育成する方法である。人工光による育成は、通常行われている方法であればよく、安定した栽培が可能である観点から、完全制御型光植物工場(例えば、特許文献3に記載の育苗装置)を用いて育成することが好ましい。完全制御型光植物工場であれば、栽培条件が一定であるため、後述のHd3a又はその相同遺伝子の転写パターンのモニタリングは、一つの品種につき一回のみで足りるとの利点もある。
照射する人工光としては、光合成ができれば特に限定されないが、特に光合成に有効とされる赤色光と青色光との組合せであることが好ましい。赤色光は波長が640〜690nmの光であり、例えば、波長ピークが680nmである赤色レーザ(LD)光を使用することができる。青色光は波長が420〜470nmの光であり、例えば、波長ピークが450nmである青色LED光を使用することができる。照射光量は赤色光と青色光との合計で300μmol/m/sec程度以上であればよく、好ましくは500μmol/m/sec以上である。
本発明の育成制御方法によって育成するイネ科植物は、特に限定されないが、産業上利用性の観点から、収穫量を増やす需要のあるイネが好ましく、イネとしては、例えば、コシヒカリ、ササニシキ、あきたこまち等の品種が挙げられる。また、本発明の育成制御方法はHd3a又はその相同遺伝子を発現する他の短日植物にも応用できる。なお、温度・湿度、定植間隔、及び養液組成などの条件は、植物の種類によって当業者が適宜に選択することができる。
(Hd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写パターンの測定)
Hd3a遺伝子は、イネにおいて花芽形成を誘導するとされる遺伝子であり、そのcDNAの全長は、540bpである(AB052944)。Hd3aの相同遺伝子とは、イネ以外の植物由来の花芽形成誘導遺伝子であって、Hd3a遺伝子がコードするHd3aタンパク質と高い相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子をいう。イネにおいて、Hd3a遺伝子は特異的に葉で発現しているとの報告があるため、Hd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写量は植物の葉を用いて測定することが好ましい。
mRNAの転写量の測定は、全RNAの抽出、及びHd3a又はその相同遺伝子のmRNAの定量によって行われる。全RNAの抽出は例えば市販の核酸抽出キットを用いて、Hd3a又はその相同遺伝子のmRNAの定量は例えばRT−PCR等の方法によって行われることができる。使用されるプライマーはHd3a又はその相同遺伝子の配列に従って当業者が適宜に設計することができ、RT−PCRの反応条件も配列の長さやプライマーによって当業者が適宜に決定することができる。定量に際して、内部標準として例えばユビキチン等が使用できる。
Hd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写パターンのモニタリングは、1〜7日に一回で葉の一部を採取して、分析することによって行う。そのうち、最も転写量の高い日を転写ピークに達する日とする。モニタリング期間は、植物の止め葉まで行えばよいが、転写ピークを判明した時点で終了してもよい。
初めて育成する品種については、Hd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写量をモニターしながら育成を行い、これに基づいてエンド・オブ・デイ(EOD)処理開始時期、終了時期、及び処理期間を決定する。同じ育成環境・条件であれば、決められたEOD処理条件に従って、育成制御することができる。すなわち、一つの品種につきモニタリングが一回のみで足りる。予めモニターした品種についても、さらにEOD処理とともに転写量をモニターしながら育成することがより好ましい。この場合、転写量ピークをより正確に把握することができ、より正確かつ効果的な終了時期の決定が可能となる。
(エンド・オブ・デイ処理)
本発明におけるエンド・オブ・デイ(EOD)処理は、明期の終了直後に遠赤色光を60分間以内の照射時間で植物に照射することにより行う。遠赤色(FR)光は波長が700〜800nmの光であり、例えば波長が730nmの遠赤色LED光を使用することができる。照射時間は60分以内であればよく、30分程度で十分である。照射強度は50〜300μWであることが好ましい。なお、明期の終了直後とは、明期の終了後30分以内をいう。
EOD処理により短日植物は栽培期間短縮効果が得られるが、そのうち特に収穫量が重要なイネに関して、栽培期間を短縮できるとともに1作当たりの収穫量の減少を抑えられる観点から、栽培通期ではなく、Hd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写量がピークに達する日よりも13〜3日前の間のいずれの日から、該転写量がピークに達する日からピークに達する日の7日後までの間のいずれの日までの10〜15日間エンド・オブ・デイ処理を行うことが好ましい。なお、転写量がピークに達する日よりも13〜3日前とは、転写ピークに達する日を0日として、その−13日〜−3日の間をいう。また、転写量がピークに達する日からピークに達する日の7日後までの間とは、転写ピークに達する日を0日として、その0日〜+7日の間をいう。
EOD処理は、Hd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写量がピークに達する日又は減少に転じた直後に終了することが特に好ましい。これによれば、より高い栽培期間の短縮効果及び収穫量の維持効果が得られる。なお、転写量が減少に転じた直後とは、転写量がピークに達する日から2日以内をいう。転写量がピークに達する日の翌日のEOD処理を最後に終了することが好ましく、転写量がピークに達する日のEOD処理を最後に終了することが最も好ましい。また、EOD処理期間は10〜15日であればよく、好ましくは10〜14日間又は11〜14日間である。およそ15日間を超えた期間に渡ってEOD処理を行うと、収穫量の減少抑制効果が弱まる傾向がある。また、転写量がピークに達する日からおよそ1週間後以降にもEOD処理を続けると、栽培期間の短縮の効果及び収穫量の減少抑制効果が弱まる傾向がある。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(栽培例1 光植物工場におけるイネの栽培方法)
イネ(コシヒカリ)の種を4日間吸水させ発芽を誘導した。その後、ウレタンに播種して暗黒下で3日間栽培した後、表1に記載の育苗期用養液を加えて、赤色レーザ(LD)光(450μmol/m/secの光量)と青色LED光(50μmol/m/secの光量)の下に移し1週間栽培した。使用した赤色レーザ光の波長ピークは、680nmであり、青色LED光の波長ピークは450nmであった。その後11日間栽培したあと、30cm四方に10株程度で、畝間約7cm、株間約10cmで定植し、外部光を遮蔽して人工光のみを植物に照射する光植物工場において栽培した。赤色レーザ光(450μmol/m/secの光量)と青色LED光(50μmol/m/secの光量)の下で表1に記載の生育期用養液で栽培を行った。また、通期に渡って明期暗期の周期は12hrずつであった。
Figure 2011109925


(栽培例2 屋外におけるイネの栽培方法)
定植までは上記光植物工場内におけるイネの栽培方法と同条件で栽培した。その後、ハウスに移して、30cm四方に10株程度で、畝間約7cm、株間約10cmで定植し、太陽光の下、生育期用養液で栽培を行った。
(実施例1 屋外栽培イネにおけるHd3a遺伝子転写パターンの測定)
イネを栽培例2にしたがって栽培し、栽培期間中に葉の先端数cmを切り取り液体窒素で凍結保存した。その後凍結葉をコーンラージで粉砕し、QiagenのRNeasy Plant mini kitを用いてメーカープロトコールにしたがって全RNAを抽出した。
その後、PrimeScript RT−PCRキット(タカラバイオ)でHd3a RNAを増幅した。Hd3aの増幅には、以下のプライマーを使用した:
Hd3a−Forward:5’−GCTCACTATCATCATCCAGCATG−3’(配列番号1)
Hd3a−Reverse:5’−CCTTGCTCAGCTATTTAATTGCATAA−3’ (配列番号2)
なお、増幅用プライマーの設計には、Ishikawa R., et al. Plant Cell 17:3326−3336 (2005) Suppression of the floral activator Hd3a is the principal cause of the night break effect in riceを参考にした。
また、ユビキチンを内部標準とした。ユビキチンの増幅には、以下のプライマーを使用した:
Ubq−Forward:5’−AACCAGCTGAGGCCCAAGA−3’ (配列番号3)
Ubq− Reverse:5’−ACGATTGATTTAACCAGTCCATGA−3’ (配列番号4)
RT−PCRはまず、50℃、30分で逆転写反応を行い、94℃、2分で逆転写酵素の失活を行った。続いて、94℃・30秒、60℃・30秒、72℃・1分のサイクルを26回繰り返すことにより、目的核酸の増幅を行った。得られた増幅産物は、4%のアガロースゲル電気泳動により分析し、NIHイメージを用いて定量を行った。または、Applied Biosystems 7500 Real−Time PCR Systemを用いて、リアルタイムPCRによる定量を行った。
リアルタイムPCRの結果を図1及び表2に示した。図1及び表2から、屋外でイネ栽培を行ったとき、異なる播種時期、すなわち、異なる日長・気温条件下においても、Hd3aの転写ピークまでの日数と出穂までの日数との間に相関関係があることが判明した。転写ピークを示す時期に、イネの花芽形成に関する重要な働きが植物体内で起きていることが予想された。
Figure 2011109925

(実施例2 光植物工場栽培イネのHd3a転写パターンの測定)
イネ(コシヒカリ)を栽培例1にしたがって栽培した。栽培期間中に葉の先端数cmを切り取り液体窒素で凍結保存した。実施例1にしたがって、RNAを抽出して、RT−PCRを行った。得られた増幅産物は、4%のアガロースゲル電気泳動により分析し、NIHイメージによってHd3aの転写パターンを測定した。結果は図2に示した。
(実施例3 光植物工場栽培イネのEOD処理時期と収穫量との相関)
実施例2と同じ品種のイネを実施例2と同じ条件で栽培し、明期終了直後30分間に渡って、50〜60μWの強さで遠赤色(FR)LED光(波長ピーク:730nm)を照射してEOD処理を行った。サンプル毎にEOD処理を行う時期を変化させた時のイネの出穂日数及び単位面積当たりの収穫量を測定した(表3)。
Figure 2011109925

表3から、EOD処理を栽培通期に渡って行ったEODイネ(1)は、通常栽培イネ(EOD処理無し)に比べて出穂日数を13日も短縮できたが、収穫量が半分近くにまで減少してしまった。一方、EOD処理を行う期間をHd3aの転写ピーク(播種後28日目頃)付近の11〜14日間に限定することにより、出穂日数短縮と同時に収穫量の減少を抑えることが出来た(EODイネ(2)、(3))。その結果、光植物工場のように1年を通して複数回のイネ栽培を行う場合において、単位面積当たりの年間収穫量が最大で約17%増大する計算となる。
表3からは、また、照射の開始時期はHd3a遺伝子の転写ピークの13〜3日前が望ましく、終了時期は転写ピークに達する日から転写ピークに達する日から7日後までが望ましいことを判明した。また、EOD照射を終了する時期が転写ピークを過ぎれば過ぎるほど、出穂日数の長期化及び収穫量の減少が見られた(EODイネ(2)、(3)、(4))。このことから、遠赤色光の照射をHd3a遺伝子の転写ピークに達する時点、又は減少に転じた直後に終了したほうがより望ましいと考えられる。

Claims (3)

  1. 外部光を遮蔽して人工光のみを植物に照射して、明期及び暗期の光周期で植物を育成する方法において、植物におけるHd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写量がピークに達する日よりも13〜3日前の間のいずれの日から、該転写量がピークに達する日からピークに達する日の7日後までの間のいずれの日までの10〜15日間エンド・オブ・デイ処理を行い、該エンド・オブ・デイ処理は明期の終了直後に遠赤色光を60分間以内の照射時間で植物に照射することにより行う、イネ科植物の育成制御方法。
  2. エンド・オブ・デイ処理期間を決めるため、植物におけるHd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写パターンをモニターしながら植物の育成を行う、請求項1記載の方法。
  3. エンド・オブ・デイ処理をHd3a又はその相同遺伝子のmRNAの転写量がピークに達する日又は減少に転じた直後に終了する、請求項1又は2に記載の方法。
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