JP2011107128A - 回転角度センサの校正方法 - Google Patents

回転角度センサの校正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い精度レベルで且つ複雑さを相当に少なくした、回転角度センサの校正方法の提供。
【解決手段】走査手段14は、回転子12の測度体を走査し、回転子12の回転角度位置に関連する実測角度値を発生させる。レーザジャイロスコープ18は、シャフト10の角速度を測定する。シャフト10の角速度に依存するレーザジャイロスコープ18からの信号が、回転角度に関して時間で積分され、基準角度値を得る。走査手段14からの実測角度値はこれらの基準角度値と比較され、その差から、実測角度値の各々に関連する修正変数が形成される。実測角度値及び実測角度値それぞれの関連する修正変数は、修正テーブルの形態で不揮発性メモリに保存される。回転角度の測定の間、実測角度値は、実測角度値の各々に関連する修正変数を用いて修正され、修正テーブル内に保存される。
【選択図】図1

Description

本発明は、特許請求項1の特徴部分に前置された節に記載された、回転角度センサの校正方法に関する。
回転角度センサは、回転物体の回転角度位置を測定するために使用される。特に、回転角度センサは、回転シャフトの回転角度位置を測定するために使用される。サーボドライブの場合、回転角度センサは、被動モータシャフトの回転角度位置を測定し、サーボドライブの作動行程、作動速度、作動加速度等を調節するために使用される。回転角度センサは、測定されるべき回転シャフトに、回転角度に忠実なやり方で結合されている回転子、つまり、明確な角度関係において回転シャフトと共に回転する回転子を有する。この目的で、回転子は、測定されるべき回転シャフト上、例えばモータシャフト上に、回転するように固定されたやり方で直接取り付けることができる。シャフトは同様に回転角度センサの入力シャフトとすることができ、この入力シャフトは、測定されるべきシャフト、例えばモータシャフトに、回転するように固定されたやり方で接続している。変速機によって回転シャフトに回転子を結合することも可能であり、その結果、回転子の回転速度は、回転シャフトに関して低速又は高速に連動する。回転子は、例えば静止したやり方で取り付けられている回転角度センサのハウジング内で回転角度センサの固定子上に配置されている静止している走査手段により走査される測度体を有する。インクリメンタル回転角度センサの場合、測度体は等距離の目盛りを含み、回転子の回転角度位置は、回転方向に依存したやり方で増分値を数えることにより測定される。アブソリュート回転角度センサの場合、測度体は通常、それぞれの回転角度位置のバイナリコーディングを含む。このような回転角度センサの多種多様な設計が、先行技術に属している。
回転角度センサにより測定される角度値の精度は多数の要因に依存している。一方で、この精度は、測度体の精度によって決まる。特に角度分解能の高い回転角度センサの場合では、相応に高い精度レベルが、膨大な製造複雑さに関連している。更に、回転角度センサにより出力される角度値の精度は、回転角度センサの内部製造公差の影響を受ける。最終的に、回転角度センサを、測定されるべき物体に、例えばサーボドライブのモータに適合させる際に、許容誤差により引き起こされる不正確さが生じる。
回転角度センサにより出力される角度値のこのような不正確さを低減するために、US 4 707 683は、回転角度センサを校正する実務を開示している。この目的で、回転シャフトに、好ましくは測定されるべきシャフトに、より高い精度レベルの基準回転角度センサが適合される。基準回転角度センサは、より高い精度レベルの回転角度位置を測定する。校正されるべき回転角度センサの実測角度値と、基準回転角度センサの基準角度値とが、各回転角度位置について測定され、互いに比較される。実測角度値と基準角度値との間の差は、不揮発性メモリ内に修正テーブルの形態で修正変数として保存され、対応する修正変数は、この修正テーブル内の実測各角度値に関連する。測定作業中、回転角度センサにより測定される実測角度値は各々、関連する修正変数を用いて修正され、修正された角度値の形態で出力される。
既知であるこの方法は、基礎的な構造が校正されるべき回転角度センサの構造に対応している基準回転角度センサを使用する。基準回転角度センサの精度レベルをより高くするために、基準回転角度センサが相応に複雑になる。基準回転角度センサの組立公差は校正精度に影響を与え、その結果、基準回転角度センサを正確に適合させるために、相応に膨大な尽力が必要となる。
US 4 707 683
本発明は、高い精度レベルで且つ複雑さを相当に少なくして校正することが可能な、回転角度センサの校正方法を明確に規定する、という目的に基づく。
この目的は、本発明によれば、特許請求項1の特徴を有する方法によって達成される。
本発明の有利な実施形態及び展開は、従属請求項に明記されている。
本発明によれば、前記回転角度センサを校正するために、基準回転角度センサとして、ジャイロスコープ、好ましくはレーザジャイロスコープが使用される。任意の種類の高精度のジャイロスコープ、例えば機械式ダイナミカリーチューンドジャイロスコープを使用することができる場合であっても、本発明を以下で、レーザジャイロスコープを参照して記載する。従って、「ジャイロスコープ」という、より一般的な語ではなく、「レーザジャイロスコープ」という語を使用する。ただし、本発明の範囲により、任意の高精度のジャイロスコープが網羅されるべきである。
レーザジャイロスコープはそれ自体知られている。レーザジャイロスコープは基本的にサニャック効果に基づく。レーザからの光ビームは、閉路(ループ)上を(時計方向及び反時計方向で)互いに逆行しその過程で干渉する、2つの部分ビームに分割される。前記閉路が回転すると、前記閉路の回転運動は、レーザビームが一方向に運動する場合は、前記レーザビームが伝搬する速度に加法的に重ね合わせられ、前記レーザビームが反対方向に運動する場合は、前記レーザビームが伝搬する速度に減法的に重ね合わせられる。これにより、前記閉路の回転速度に依存する前記2つのレーザビームの経路長の差が生じ、その結果、回転速度を干渉パターンを用いて測定することができる。レーザジャイロスコープは、2つの基本的な種類において設計することができる。能動型レーザジャイロスコープ(リングレーザジャイロスコープ(RLG)とも称される)、では、前記レーザが前記閉路の内側に位置する。このようなリングレーザジャイロスコープは、例えば、US 4,152,072やDE 39 21 424 A1に記載されている。受動型レーザジャイロスコープ(光ファイバジャイロスコープ(FOG)とも呼ばれる)では、前記レーザは光導波路により形成される前記閉路の外側に位置し、レーザビームは分割されて前記光導波路の両端に結合される。このような光ファイバジャイロスコープは、例えばEP 585 954 B1やEP 616 195 B1に記載されている。
前記RLGと前記FOGの相違点の幾つかとして、以下のようなものがある。
1.前記RLGの出力信号は、慣性回転速度に比例する周波数をもつパルス列である。パルスの累計(積算)数は回転角度に比例する。前記FOGの出力は、慣性速度に非線形に依存するアナログ信号であり、前記RLGと同様に、移動角度を得るには時間積分を必要とする。
2.前記FOGの非線形性を完全に補償することは困難であり、従って、回転速度が一定でない場合、誤差が発生することがある。前記RLGでは、隣接する出力パルスに対応する角度距離は、時間及び温度に関して極めて一定である。
本発明によれば、前記回転角度センサを校正するために、このようなレーザジャイロスコープが、前記回転角度に忠実なやり方で前記回転物体(問題を簡単にするため以下では「シャフト」と称する)に結合され、その結果、レーザジャイロスコープは、一定の角度依存性で前記シャフトと同期して回転する。前記レーザジャイロスコープは、その閉光路が前記回転シャフトの軸を包囲するようなやり方で、又は、前記閉光路が前記回転シャフトの外側に位置し、この回転シャフトの周りで旋回するようなやり方で、取り付けることができる。選択される配置は、前記回転角度センサの据付条件に依存する。いずれの場合にも、この配置は、前記ジャイロスコープの前記閉光路の平面に対して垂直な軸が、前記シャフトの回転軸に対して略平行に走るようなものとなる。前記2つの軸間に角度ずれがあると、スケール因子に誤差が生じることになる。もっとも、この誤差は、以下で記載するように、補償することができる。
前記回転角度センサを校正するために、前記レーザジャイロスコープは、前記回転物体、例えば前記シャフト又は前記回転子に、前記回転角度に忠実なやり方で結合される。それから、前記回転角度センサを使用して、前記測度体を走査することにより、測定されるべき前記回転シャフトの完全な1旋回にわたって前記回転角度位置を測定する。同時に、前記レーザジャイロスコープの角速度が測定される。前記FOGから前記回転角度位置の各々を得るために、測定された角速度が、進行した前記回転角度に関して時間で積分され、こうして各積分経路に対応する前記回転角度位置が得られる。前記走査手段により発生された前記実測角度値が、前記積分されたFOG出力により求められる前記基準角度値と比較される。前記実測角度値と前記基準角度値との間の差は、前記実測角度値の各々に関連するやり方でテーブルの形態にして不揮発性メモリ内に保存される。こうして実際の校正作業が完了する。前記レーザジャイロスコープは今や、前記回転角度センサ又は測定されるべき前記回転シャフトから除去し、必要に応じて別の回転角度センサを校正するために使用することができる。
RLGを使用する際には、上述の積分は必要ではなく、代わりにパルス計数が使用される。
前記回転角度センサを使用して前記回転角度を測定する際、前記測度体を走査することによりそれぞれ得られる前記実測角度値は、前記メモリに保存された前記修正変数を用いて、この実測角度値に関連するやり方で修正され、このやり方で修正された前記実測角度値は、更なる処理のために角度値の形態で出力される。
本発明による前記方法は、大きな直径、例えば30cm以上の回転子直径を有する回転角度センサを校正するのに特に適している。直径の大きな回転角度センサは、例えば、中空の穴にリング形のセンサが取り付けられた、従来の校正エンコーダを取り付けることができる中実の機械式シャフトがない大きなモータの場合に使用される。直径の大きなこのような回転角度センサは、高い角度分解能を備えて製造することができる。前記測度体の対応する目盛りに応じたこのような高い角度分解能は、前記測度体の目盛りの精度に課される要求が過度に高くない場合、費用効果的なやり方で製造することができる。対照的に、前記レーザジャイロスコープを用いた角度測定の精度は非常に高い。なぜなら、この角度測定が前記レーザ光の位相シフトに基づくからである。前記FOGは主として回転速度を測定することから、前記ジャイロスコープ出力角度は、その出力を時間に関して積分することにより得られる。これにより、前記出力の雑音要素も積分され、「酔歩」型の前記積分された雑音要素は時間と共に増加する傾向がある。従って、前記角度誤差を最小にするために、測定(シャフトの回転速度)は極力高速であるべきである。データ処理自体はオフラインで行うことができる。
これにより、本発明によれば、角度分解能が高く、高い精度レベルである回転角度センサを、極めて費用効果的なやり方で製造することができるという利点が生じる。前記測度体の精度に課された要求が高くないことから、前記高い角度分解能は、費用効果的なやり方で達成することができる。前記高い精度レベルは、前記レーザジャイロスコープを用いた校正によって達成される。前記レーザジャイロスコープがそれぞれ前記回転角度センサを校正するためにのみ必要となることから、多様な回転角度センサを校正するために前記比較的高価なレーザジャイロスコープを使用することができ、その結果、前記レーザジャイロスコープの費用は重要ではなくなる。上述したように、前記ジャイロスコープを取り付ける精度は、校正の精度に関して重要ではない。
前記回転角度センサは、その製造及び組立中に校正することができる。前記校正の結果として、この場合、前記測度体の不正確さ、据付公差、及び起こりうる据付偏心が排除される。
有利には、前記校正は、前記回転角度センサが測定物体上、例えばサーボドライブの前記モータ上に取り付けられた時にのみ実行することもできる。寸法が大きいために分割片から製造されその場で組み立てられるリング形のセンサが重要な例でもある。前記測定物体上に既に取り付けられた前記回転角度センサを校正するということは、前記回転角度センサの内部における不正確さや公差だけでなく、前記回転角度センサを前記測定物体に結合する際の組立公差や不正確さも、誤りの修正中に考慮されて排除される、という更なる利点を有する。
厳密な校正には、前記ジャイロスコープの前記スケール因子が、要求される校正精度と両立し得る精度で既知となることが必要である。従って、本発明の実施形態では、前記ジャイロスコープの正確なスケール因子を得るために、誤差補償が実行される。
条件によっては、レーザジャイロスコープは、温度変動、振動、及び電子ドリフトの影響を受けやすい。前記回転シャフトが校正作業全体で1回のみ旋回すればよいため、このようなドリフトは、実際には前記回転角度センサの校正に影響を与えない。こうして、前記校正は、不利なドリフトが生じない非常に短い時間で実行することができる。
更に、レーザジャイロスコープは、地球の自転の影響も受ける。地球の自転の影響は、比較的僅かではあるが、地理的緯度、及び局所垂直線に対する回転軸の配向に依存する。誤差補償処置により、前記ドリフト及び地球の自転の影響をも排除することができる。
以下では、本発明を、図面に模式的に示した例示的な実施形態を用いて説明する。
校正中の回転角度センサの断面図。 回転角度センサの校正のブロック図。 ジャイロスコープ信号への影響の略図。
図1は、例えばサーボドライブのモータに取り付けられるような回転角度センサの軸方向断面図を模式的に示す。
モータ(図示せず)のシャフト10上に、回転子12が、回転するように固定されたやり方で置かれる。回転子12は、それ自体知られているやり方で、走査手段14により走査されるインクリメンタル又はアブソリュートの測度体を有する。走査は、知られているやり方で、光学的に、磁気的に、誘導的に、容量的に、又はその他の何らかのやり方で実行することができる。走査手段14は、例えば回転角度センサのハウジングを形成することもできる固定子16内に静止するように配置される。固定子16は、回転するように固定されたやり方で、モータ(図示せず)のハウジングに接続されている。回転シャフト10上には、レーザジャイロスコープ18が、回転するように固定されたやり方で配置され、こうして、シャフト10の軸を中心に、シャフトと同期して、回転角度に忠実なやり方で回転する。
走査手段14及びレーザジャイロスコープ18からの信号は、電子的評価手段20に供給され、図2を用いて説明するやり方で処理される。
図2に示す校正の間、回転子12及びレーザジャイロスコープ18を備えたシャフト10は、1回(以上)の完全な旋回により回転する。この場合、走査手段14は、回転子12の測度体を走査し、回転子12の各回転角度位置に対応する実測角度値を発生させる。これらの実測角度値は比較器22に供給される。同時に、レーザジャイロスコープ18がシャフト10の角速度を測定する。この角速度は、FOGの場合、積分器24において、それぞれ進行した回転角度に関して時間で積分され、その結果、シャフト10の各回転角度位置に関連する基準角度値が得られる。これらの基準角度値は同じく、比較器22に供給される。比較器22では、走査手段14の最新の各実測角度値が、レーザジャイロスコープ18の基準角度値と比較される。実測角度値と基準角度値との間の差から修正変数が形成される。評価手段14由来の各実測角度値aをこの実測角度値のために計算した修正変数cに関連させた修正テーブルが、不揮発性メモリ26(EPROM)内に保存される。
校正作業がこのように完了すれば、レーザジャイロスコープ18は回転角度センサ又はシャフト10から除去することができる。評価手段20は今度は測定作業に切り替えられる。このことは、図2において、点線を用いて描かれている切替スイッチ28が右に移動することにより象徴的に示されている。
測定作業中、走査手段14により求められた実測角度値が修正ユニット30に供給される。同時に、メモリ26が、実測角度値を用いて処理され、最新の各実測角度値aに関連する修正変数cを修正ユニット30に出力する。修正ユニット30では、走査手段14由来の実測角度値が修正変数に応じて修正され、このやり方で修正された実測角度値が、更なる処理のために角度値32の形態で出力される。
回転角度センサの校正の精度については、要求される校正精度と両立し得る精度で、ジャイロスコープ出力の積分が行われる角度範囲を知ることが必要である。ジャイロの校正は、以下の2つのステップを含む。
1.ジャイロ出力バイアス(シャフトが停止状態である時の出力信号)を求めるステップ。
2.ジャイロスケール因子(機械式回転軸とジャイロ受感軸との間のずれ効果を含むもの)を求めるステップ。
ジャイロスケール因子は、回転時のその指示角度、つまり非常に正確に既知となる機械的回転角度を測定することにより得ることができる。これは、原則として、厳密に校正された基準角度範囲が利用可能である場合、任意の角度範囲にわたって行うことができよう。従って、本発明は、実際上、回転子12のフル回転の角度範囲が360°であることを活用している。そこで、校正されるべき回転角度センサは、フル回転の角度範囲を、所望の精度に対応する精度で分解すればよい。全ての角度センサは、電子雑音によってのみ限定されるフル回転の精度での繰り返し性をもつ。従って、校正されるべき角度センサを使用して、角度センサの分解能によってのみ限定される精度で、同じ指針位置にて開始し終了する1つのフル旋回を確立することができる。このようにして、ジャイロスコープのスケール因子は、校正されるべき角度センサの回転子12の1つのフル旋回の角度範囲にわたってジャイロスコープ出力を積分することにより計算することができる。
図3は、ジャイロスコープ出力に対する誤差の影響を概略的に示す。誤差は、一定のバイアス誤差と、雑音として描かれている確率的誤差と、ジャイロスコープの感度(ゲイン)を表す増幅器に象徴されるスケール因子Aとを含む。
スケール因子の補償は、完全な旋回が厳密に360°であることに基づく。従って、開始/終了位置の正確な識別を行わねばならない。エンコーダを正弦/余弦出力信号で校正する場合、開始/終了地点を選択して繰り返し識別することができる。このようなエンコーダでは、通常多くの旋回周期があり、開始/終了地点は例えば特定の周期における正弦信号のゼロ交差として規定することができる。この方法の精度は以下の2つの要因により限定される。1.連続する試料間の有限時間周期。2.量子化に起因する雑音、及び信号自体における内部雑音。それらの2つの要因に起因する誤差は、2つ以上のゼロ交差に基づいて開始/終了地点を計算することにより実質排除することができる。このことは、他のゼロ交差の一部又は全部を識別し、選ばれたゼロ開始/ストップ地点に対するそれらの既知の公称角度位置を考慮しつつ、それらの角度位置の平均をとることにより行うことができる。別法として、公称開始/終了地点に隣接する、サンプリングされた多数の地点を使用して、その正確な位置を推定することができる。
別法として、エンコーダとは無関係の手段を使用することができる。例えば、回転シャフト上にミラーを取り付けることができ、光源及び受光器(好ましくはオートコリメータシステム)が静止するように取り付けられる。オートコリメータ軸がミラー表面に対して垂直となる都度、パルスが発生することになる。
FOG出力の時間積分により得られるものとしての基準角度は、以下の2つの要因により損なわれることがわかった。
1.出力信号が、回転速度に完全に比例するものでない。
2.出力信号が、積分時にいわゆる「酔歩」角度誤差を生じさせる、内部物理的機構に起因する不規則雑音を含む。
第1の要因は、補償ルックアップテーブルにより最小になる。第2の要因は、数回の旋回の平均をとることにより最小になる。N回の旋回の結果の平均をとれば、Nの平方根だけ酔歩が低減される。このことは、ジャイロ雑音が時間の確率関数であり、連続した旋回において相関していない(又は単に弱く相関している)ことに起因している。対照的に、基準として光学エンコーダ等の従来のエンコーダを用いると、結果として生じる誤差は実質、各回転で同じものとなり、平均をとることで精度は改良されない(雑音に関連する誤差を除いて)。
本発明の別の態様としては、回転角度センサが使用されている場所の地理的緯度とは無関係の、及び回転軸の局所垂直線に対する配向とは無関係の、地球の自転が誘起する誤差を無視する校正精度を提供するということがある。地球は、その軸を中心に、360°/24時間=0.0042°/秒の速度で回転する。地理的緯度αでは、回転速度は0.0042°/秒×cosαである。例えば、32°の緯度では、回転速度は0.0036°/秒である。従って、ジャイロスコープ1旋回の10秒の実験時間では、ジャイロスコープは360°+0.036°となる。
地球の自転に起因する誤差、及びジャイロスコープのバイアスに起因する誤差により、各回転角度位置に関連する基準角度値の総合的な誤差Θは、

Θ=∫(ジャイロバイアス+地球速度)dt

となる。
本発明によれば、この誤差は、異なる補償方法により補償し排除することができる。
方法1:
回転子12が静止している時にジャイロスコープ18の出力電圧を測定し、総オフセット(バイアス+地球速度)を得る。総オフセットのこの値を、ジャイロスコープ18の出力から減算してから積分器24において積分する。その後、回転子12を回転させ、ジャイロスコープのオフセット修正出力を、回転子12のフル回転にわたって積分して360°で除算し、誤差を補償した角度スケール因子を得る。
方法2:
回転子12及びジャイロスコープを、360°のフル回転で時計方向及び反時計方向に回転させる。時計方向回転及び反時計方向回転にわたって積分したジャイロスコープ出力を加算すると、角度センサのゼロ回転に等しくなるであろうが、積分されたジャイロスコープ出力は、

Θ=∫(ジャイロバイアス+地球速度)dt

となるであろう。
2つの積分を減算し2で除算すると、ジャイロスコープにより測定された360°の角度、従ってジャイロスコープのスケール因子が提供されることになる。
この方法は、以下の利点を提供する。
‐ジャイロスコープを、シャフト上に取り付け、依然として電力供給し、スリップリング又は無線通信の必要なく、ケーブルによって測定システムの非回転部分と通信させることができる。
‐各段階におけるジャイロスコープバイアス及び地球の自転の要素が相殺される。
方法3:
回転角度センサ上の静止している固定子、例えばモータ固定子に、付加的な第2のジャイロスコープを取り付ける。この第2のジャイロスコープは、バイアス及び地球の自転の誤差の影響のみを測定する。従って、バイアス及び地球の自転の誤差を同様に補償するために、ジャイロスコープ18により測定される角度値を、付加的な第2のジャイロスコープの出力により修正することができる。

Claims (10)

  1. 回転角度に忠実なやり方で回転物体(シャフト10)に結合されている回転子(12)と、固定子(16)と、前記固定子(16)上に配置されている走査手段(14)、該走査手段(14)は、前記回転子(12)の測度体を走査し、前記回転子(12)の回転角度位置に関連する実測角度値を発生させる、とを有する回転角度センサの校正方法であって、
    該方法が、以下のステップ、即ち、
    ‐基準回転角度センサが、前記回転子(12)の前記回転角度位置を測定し、前記回転子(12)の前記回転角度位置の各々に関連する基準角度値を発生させるステップと、
    ‐前記実測角度値が、対応する前記回転角度位置に関連する前記基準角度値と比較されるステップと、
    ‐前記実測角度値と前記基準角度値との間の差から、前記実測角度値の各々に関連する修正変数が形成されるステップと、
    ‐前記実測角度値(a)及び該実測角度値(a)それぞれの関連する修正変数(c)が、修正テーブルの形態で不揮発性メモリ(26)内に保存されるステップと、
    ‐前記回転角度の測定の間、前記実測角度値が、該実測角度値(a)の各々に関連する前記修正変数(c)を用いて修正され、前記修正テーブル内に保存されるステップと、
    ‐前記修正された実測角度値が、角度値(32)の形態で出力されるステップと、
    を有する方法において、
    ジャイロスコープ、好ましくはレーザジャイロスコープ(18)が基準回転角度センサとして使用されること、
    前記レーザジャイロスコープ(18)が、前記回転角度センサを校正するために、前記回転角度に忠実なやり方で前記回転シャフト(10)に結合され、且つ、前記シャフトと共に前記シャフト(10)の軸を中心に回転すること、
    前記シャフト(10)の角速度に依存する前記レーザジャイロスコープからの信号が、前記シャフト(10)の1旋回に対する前記回転角度に関して時間で積分されること、及び
    各回転角度位置が、基準角度値である、該回転角度位置に至るまで積分された前記レーザジャイロスコープ(18)からの前記信号に関連付けられること、
    を特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記レーザジャイロスコープ(18)が前記シャフト(10)に解放可能に結合されること、
    前記レーザジャイロスコープ(18)が、校正の目的で、前記回転角度センサの据付後に前記シャフト(10)に結合されること、及び
    前記レーザジャイロスコープ(18)が、校正後、前記シャフト(10)から再び分離されること、
    を特徴とする方法。
  3. 請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記レーザジャイロスコープ(18)が光ファイバジャイロスコープであることを特徴とする方法。
  4. 請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記レーザジャイロスコープ(18)がリングレーザジャイロスコープであることを特徴とする方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記レーザジャイロスコープ(18)の前記信号が、前記実測角度値と比較される前に誤差補償されることを特徴とする方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、
    前記レーザジャイロスコープ(18)の角度値が、前記回転子(12)を1フル旋回で回転させ、積分された前記基準角度値を360°と規定することにより求められるスケール因子(A)により補償されることを特徴とする方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、
    前記積分された角度値がN回のフル旋回について測定され、N個の前記値の平均が、360°の基準角度を規定することに対する前記角度センサの雑音の影響を低減するために使用されることを特徴とする方法。
  8. 請求項5に記載の方法であって、
    レーザジャイロスコープ(18)として使用される光ファイバジャイロスコープの角度誤差が、数回の旋回にわたる前記信号の酔歩の平均をとることにより低減されることを特徴とする方法。
  9. 請求項5に記載の方法であって、
    補償されるべき前記誤差が、前記回転子(12)を、時計方向に、続いて反時計方向にフル旋回で回転させることにより求められることを特徴とする方法。
  10. 請求項5に記載の方法であって、
    第2のレーザジャイロスコープが、補償レーザジャイロスコープとして、前記固定子(16)上に配置されること、及び
    前記レーザジャイロスコープ(18)からの前記基準角度値の前記誤差が、前記補償レーザジャイロスコープとの比較により排除されること、
    を特徴とする方法。
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