JP2011103745A - ステータ製造方法およびステータ製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1直線把持部で、平角導体Dの第1直線部SP1を、第1リンクプレートSL1に平角導体Dの第1曲げ部B1を形成する第1関節JP1を挟んで隣接して配置される第2リンクプレートSL2で平角導体Dの第2直線部SP2を、第2リンクプレートSL2に平角導体Dの第2曲げ部B2を形成する第2関節JP2を挟んで隣接して配置される第3リンクプレートSL3で平角導体Dの第3直線部SP3を、それぞれ把持する第1工程と、リンクで接続される第1リンクプレートSL1と、第2リンクプレートSL2と、第3リンクプレートSL3でとが、スライドリンクLSを備えたスライド機構により同時に移動することで、平角導体Dに第1曲げ部B1と第2曲げ部B2とを形成させる第2工程と、を有し、九十九折状コイル10の曲げ形成を行う。
【選択図】図2
Description
そのため、従来からモータの小型化、高出力化についてさまざまな検討がなされてきている。
4つのベースに平角導体を把持し平行移動する機構を備えた平面曲げ装置を用い、略六角形のコイル素線を形成することで、コイルの曲げ加工の効率を向上している。具体的記載はないが、このコイル素線を複数重ね、コイルエンド同士をバスバなどで接合することで、複数のターン数を持つコイルが得られるものと推察される。
複数の導体を同時にボビンから巻き出し、波形巻き線形成装置に備えられた複数の所定ピッチに配置される支柱に対して、リニアガイドに沿って移動する移動ブロックにガイドされるノズルにより、導線を巻き付けていくことで、波形巻線のコイルを形成している。
ベンダを用いて平角導体をエッジワイズ曲げ加工する技術であり、平角導体をプレス機構で圧縮しながら支点ローラに沿ってエッジワイズ曲げ加工した後に、送り工程で送ることでエッジワイズ曲げコイルを形成している。
同心巻きコイルを両端の頭頂部をコイルの全幅だけずれるように、かつ隣接するスロット間隔の範囲内の長さとなるようにクランク形状に形成し、固定子コアに対して同心巻きコイルを籠状に配置してコイルエンドを接合することで矩形導体を用いた分布巻固定子を形成する技術である。
一般的に、集中巻コイルを用いるステータに比べて分布巻きのコイルを用いるステータの方が高出力化し易く、コギングトルクの問題を解決しやすい。分布巻きのコイルを用いるステータに関しては、特許文献1、特許文献3、及び特許文献4に示されるような同心巻きコイルを用いるものと、特許文献2に示されるような、コイルが波巻きされたステータとがある。
同心巻きコイルを用いる場合は、コイルエンドでの接合箇所が増える。その結果、接合箇所の増加は接合不良などの問題を生ずる虞があるため、接合箇所の少なくて済む波巻きのステータが検討されている。
これは、平角導体を用いてコイルを形成する場合、ステータコアに有するスロットとの関係などから、平角導体をエッジワイズ曲げ加工する必要があり、平角導体の捻れなどの問題も発生する為、単純に線材の波巻き方法を適用して加工することができないからである。
(1)ステータコアのスロットに挿入される導体を予め前記スロットに対応した九十九折状に形成して九十九折状コイルとし、前記ステータコアの前記スロットに対して前記九十九折状コイルを配設するステータ製造方法において、
前記導体が平角断面を有する平角導体であり、第1直線把持部で、前記平角導体の第1直線部を、前記第1直線把持部に前記平角導体の第1屈曲部を形成する第1関節部を挟んで隣接して配置される第2直線把持部で、前記平角導体の第2直線部を、前記第2直線把持部に前記平角導体の第2屈曲部を形成する第2関節部を挟んで隣接して配置される第3直線把持部で、前記平角導体の第3直線部を、それぞれ把持する第1工程と、
リンクで接続される前記第1直線把持部と、前記第2直線把持部と、前記第3直線把持部とが、スライド機構により同時に移動することで、前記平角導体に前記第1屈曲部と前記第2屈曲部とを形成させる第2工程と、
を有し、前記九十九折状コイルの曲げ形成を行うことを特徴とする。
前記第1直線把持部に対して前記第2直線把持部が前記平角導体の厚み分だけ前記平角導体の厚み方向にずれるクランク形成機構により、前記第1屈曲部にクランクを形成させる第3工程を有し、前記九十九折状コイルの曲げ形成を行うことを特徴とする。
前記第1屈曲部と前記第2屈曲部が形成された前記平角導体を、前記第1直線把持部、前記第2直線把持部、及び前記第3直線把持部から解放し、前記平角導体を回転機構により裏返す第4工程と、
固定把持部で、前記平角導体の前記第1直線部を、前記固定把持部に前記平角導体の第3屈曲部を形成する第3関節部を挟んで隣接して配置される第4直線把持部で、前記第1直線部と前記第2直線部に挟まれて隣接する第4直線部を、前記第1直線把持部で、前記平角導体の前記第3直線部を、前記第2直線把持部で、前記平角導体の前記第3直線部に隣接する第5直線部を、前記第3直線把持部で、前記平角導体の前記第5直線部に隣接する第6直線部を、それぞれ把持する第5工程と、
前記固定把持部に対してリンクで接続される前記第4直線把持部と、前記第1直線把持部と、前記第2直線把持部と、前記第3直線把持部とが、前記スライド機構により同時に移動することで、前記第3屈曲部と、前記第1関節部で形成される第4屈曲部と、前記第2関節部で形成される第5屈曲部とを、前記平角導体に形成する第6工程と、
を有し、前記九十九折状コイルの曲げ形成を行うことを特徴とする。
前記九十九折状コイルを前記ステータコアに配設した際に1周目となる1周目九十九折部を形成する1周目形成治具ユニットと、前記九十九折状コイルを前記ステータコアに配設した際に前記1周目の外側に配置される2周目九十九折部を形成する2周目形成治具ユニットと、を2セット備え、第1ステーションで前記1周目形成治具ユニットを用いて前記1周目九十九折部を形成した後、前記1周目形成治具ユニットを第2ステーションに送り、前記第1ステーションには前記2周目形成治具ユニットを送り、前記第1ステーションで前記2周目形成治具ユニットを用いて前記2周目九十九折部を形成し、前記第2ステーションで前記1周目形成治具ユニットを用いて前記1周目九十九折部を形成し、前記各ユニットを順に各ステーションに送って循環させて複数の前記九十九折状コイルを同時に製造することを特徴とする。
(5)ステータコアのスロットに挿入される導体を前記スロットに対応して予め九十九折状に形成して九十九折状コイルとし、前記ステータコアの前記スロットに対して前記波形形状コイルを配設するステータ製造装置において、
前記導体が平角断面を有する平角導体であり、前記平角導体を把持する複数の直線把持部と、前記複数の直線把持部をそれぞれリンクで接続し、隣接する前記直線把持部が所定の角度に配置されるように構成される関節部と、前記複数の直線把持部を同時に移動するスライド機構と、を備える形成治具ユニットを有し、前記形成治具ユニットで前記平角導体を把持し、前記スライド機構を動作させ、前記九十九折状コイルを形成することを特徴とする。
前記関節部に配置され、前記平角導体の厚み方向にずれて前記平角導体にクランクを形成させるクランク形成機構を有することを特徴とする。
前記直線把持部は、クランプ機構によって前記平角導体を把持し、前記クランプ機構は外力を加えることで前記平角導体を把持し、前記クランプ機構に加えた前記外力を除くことで前記平角導体を解放する機構を有することを特徴とする。
前記平角導体をキャッチして前記クランプ機構に近接させ、前記クランプ機構からアンクランプされた前記平角導体を、前記クランプ機構から遠ざけてリリースする移載機構を備えることを特徴とする。
前記形成治具ユニットを、既に形成済みの前記九十九折状コイルに対して傾斜させ、前記九十九折状コイルとの干渉を回避するスラント機構を備えることを特徴とする。
前記形成治具ユニットを複数備えて、前記形成治具ユニット間のピッチを可変させる可変ピッチ機構を備えることを特徴とする。
上記(1)に記載される発明の態様は、ステータコアのスロットに挿入される導体を予めスロットに対応した九十九折状に形成して九十九折状コイルとし、ステータコアのスロットに対して九十九折状コイルを配設するステータ製造方法において、導体が平角断面を有する平角導体であり、第1直線把持部で、平角導体の第1直線部を、第1直線把持部に平角導体の第1屈曲部を形成する第1関節部を挟んで隣接して配置される第2直線把持部で、平角導体の第2直線部を、第2直線把持部に平角導体の第2屈曲部を形成する第2関節部を挟んで隣接して配置される第3直線把持部で、平角導体の第3直線部を、それぞれ把持する第1工程と、リンクで接続される第1直線把持部と、第2直線把持部と、第3直線把持部とが、スライド機構により同時に移動することで、平角導体に第1屈曲部と第2屈曲部とを形成させる第2工程と、を有し、九十九折状コイルの曲げ形成を行うものである。
しかし、リンク機構を利用して、平角導体の直線部を拘束する把持部と屈曲部を形成する関節部を有する治具を用いることで、平角導体を九十九折り状にエッジワイズ曲げ加工することが可能となる。そして、このように形成された九十九折状コイルを用いることで波巻きのステータを形成することが可能となる。
占積率の高いステータを形成するには、九十九折状コイルを複数重ねてコイルの巻回数を増やす必要がある。しかし、九十九折状コイルを重ねるためには、レーンチェンジする部分を用意しないと占積率を高めることが困難である。レーンチェンジは九十九折状コイルに設けたクランク部で行われ、九十九折状コイルを用いて多相のコイル籠を形成することが可能となる。したがって、多相のステータの形成が可能となる。
このため、1周目九十九折部と、2周目九十九折部とピッチが異なるようにそれぞれ別の形成治具ユニットを用い、これを各ステーションで循環させて使うことで、効率の良い九十九折状コイルの製作を可能とする。
上記(5)に記載される発明の態様は、ステータコアのスロットに挿入される導体をスロットに対応して予め九十九折状に形成して九十九折状コイルとし、ステータコアのスロットに対して九十九折状コイルを配設するステータ製造装置において、導体が平角断面を有する平角導体であり、平角導体を把持する複数の直線把持部と、複数の直線把持部をそれぞれリンクで接続し、隣接する直線把持部が所定の角度に配置されるように構成される関節部と、複数の直線把持部を同時に移動するスライド機構と、を備える形成治具ユニットを有し、形成治具ユニットで平角導体を把持し、スライド機構を動作させ、九十九折状コイルを形成するものである。
直線把持部の接続部分は所定の角度に配置されるような関節部として構成されているため、スライド機構を動作させて直線把持部を九十九折状に配置することができる。
クランク形成機構によって、平角導体にクランクを形成することが可能となる。九十九折状コイルにクランクを形成することで複数の九十九折状コイルを重ねてコイル籠を形成することができ、ステータに用いることが可能となる。
クランプ機構に直接推力発生装置を設けず、外部から加える力によってクランプ、アンクランプを可能とすることで、治具ユニットの構造の単純化を図ることができる。これは治具ユニットの循環に対してもメリットがある。また、推力発生装置を複数設ける必要がない点は、コストダウンにも貢献することができる。
キャッチ&リリースを行う移載機構を備えることで、平角導体Dをクランプ機構にクランプさせる作業を容易にすることができる。
スラント機構を備えることで、供給される平角導体と既に形成された九十九折状コイルとの干渉を防ぐことができる。
波巻きのステータを形成するためには、既に形成された九十九折状コイルに、新たに形成される九十九折状コイルを重ねてコイル束を形成する必要がある。この結果、新たに形成する九十九折状コイルのために供給する平角導体と既に形成された九十九折状コイルとは、その形成過程において干渉してしまう虞がある。よって、スラント機構を備えて、九十九折状コイルを回転させる時に、形成治具ユニットを既に形成済みの九十九折状コイルに対して傾斜させることで、この干渉を防ぐことができる。
可変ピッチ機構を備えることで、形成治具ユニットのピッチを変更させることが可能となる。このため、複数の形成治具ユニットを九十九折状コイルと平行に並べて用いる方式を採用でき、加工ラインの縮小を図ることが可能となる。
しかし、ピッチの異なる複数の形成治具ユニットは、九十九折状コイルと平行に並べるためには、九十九折状コイルに対応するように配置される必要がある。可変ピッチ機構を備えることで、この問題を解消しうる。
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態の九十九折状コイルの模式図を示す。
九十九折状コイル10は平角導体Dを九十九折り状に折り曲げて形成されている。平角導体Dは平角断面を有した導体であり、導電性の良い銅やアルミニウムなどの金属を用いて形成されている。平角導体Dの周囲は絶縁性の素材で覆われている。
九十九折状コイル10はエッジワイズ曲げ加工して形成され、ステータとして構成された際に、内側の1周目九十九折部AC1に配置される部分はピッチP1が狭く、2周目九十九折部AC2のピッチP2はピッチP1より広く形成され、外側の6周目九十九折部AC6に配置される部分はピッチP6が最も広く形成されている。従って九十九折部のピッチ間隔はステータの径や使用するコイルの断面寸法などの設計思想によっても異なるが、第1実施形態では周辺り6%程度の幅増加率となるように設計されている。
九十九折状コイル10の両端部には端子部ETが形成され、コイルエンド部CEに突出している。この九十九折状コイル10を複数重ねて円筒状に丸め、バスバを用いて端子部ETを接合して電気回路を形成することで、ステータを形成する。
図2に、治具ユニットを用いて九十九折状コイルを形成する予備工程1の様子を示す。
図3に、治具ユニットを用いて九十九折状コイルを形成する予備工程2の様子を示す。
治具ユニットJUに用意されるベースプレートBPには、固定把持部FPが固定され、固定把持部FPには回動可能に接続される第1リンクプレートSL1が接続されている。また第1リンクプレートSL1は、第2リンクプレートSL2、第3リンクプレートSL3と順に回動可能に接続されている。
ベースプレートBPにはカム溝CBが形成されており、カム溝CBは第3リンクプレートSL3の裏面に固定される図示しないカムフォロアと係合する。また、スライドリンクLSはベースプレートBPに第2支点F2により回動可能に接続され、前述のカムフォロアと係合する。
第1リンクプレートSL1は、第1支点F1によって固定把持部FPに係合されており、第1リンクプレートSL1、第2リンクプレートSL2、及び第3リンクプレートSL3に固定された平角導体Dがエッジワイズ曲げ加工される。図2及び図3では、端子部ETを形成している。
第2リンクプレートSL2には、第4クランプガイドCG4が備えられている。第3リンクプレートSL3には、第5クランプガイドCG5が備えられている。
第1クランプガイドCG1乃至第5クランプガイドCG5は、直線把持部に該当し平角導体Dを幅方向にクランプしてガイドする機能を有している。
また、第2リンクプレートSL2及び第3リンクプレートSL3は、第1リンクプレートSL1に対して上側にずれるクランク形成機構を備えている。
この結果、第1支点F1に回転支持された第1リンクプレートSL1と、第1リンクプレートSL1に接続される第2リンクプレートSL2、第2リンクプレートSL2に接続される第3リンクプレートSL3はそれぞれの関節JPで折れ曲がり、第1関節JP1で第1曲げ部B1を形成し、第2関節JP2で第2曲げ部B2を形成する。
図5に、治具ユニットを用いて九十九折状コイルを形成する曲げ工程2の様子を示す。
九十九折状コイル10の曲げ工程は図2及び図3で行った準備工程同様に、図4及び図5の曲げ工程においても平角導体Dにエッジワイズ曲げ加工を行う。
曲げ加工の施された平角導体Dを、治具ユニットJUにセットする。この際、第1直線部SP1は、固定把持部FPに備えられたガイドの間に、第2直線部SP2は、第1クランプガイドCG1の間に、第3直線部SP3は、第2クランプガイドCG2乃至第5クランプガイドCG5の間に配置される。その後、ガイドプレートCCが配置され、平角導体DをベースプレートBP側に保持する。
こうして、第1直線部SP1と第4直線部SP4の間に第3曲げ部B3が形成され、第4直線部SP4と第2直線部SP2の間に第1曲げ部B1が形成され、第2直線部SP2と第3直線部SP3の間に第2曲げ部B2が形成され、第3直線部SP3と第5直線部SP5の間に第4曲げ部B4が形成され、第5直線部SP5と第6直線部SP6の間に第5曲げ部B5が形成されることになる。
クランクCPを形成した後、平角導体Dを裏返して図4の曲げ工程1と図5の曲げ工程2を繰り返すことで、九十九折状コイル10を形成することが可能となる。
図6に、九十九折状コイルの曲げ加工の概念図を示す。
図7に、九十九折状コイルの曲げ加工過程(前)を示す。
図8に、九十九折状コイルの曲げ加工過程(後)を示す。
九十九折状コイル10を形成する際には、図6乃至図8に示すような手順で曲げられる。図7及び図8は、図4及び図5に対応し、それをまとめたのが図6である。図中、a0b0、c0等は各曲げ部を示しており、a0乃至a2は図5で示す第3曲げ部B3に対応し、b0乃至b2は第1曲げ部B1に、c0乃至c2は第2曲げ部B2に、d0乃至d2は第3曲げ部B3に、e0乃至e2は第4曲げ部B4に、f0乃至f2は第5曲げ部B5に対応する。
この状態でスライドリンクLSに力を加えるので、a2、e2、f2は曲げられた状態となり、e2には更にクランクCPが形成される。
このように、第1曲げ部B1に相当するb0乃至b2、第2曲げ部B2に相当するc0乃至c2は先に曲げられ、第3曲げ部B3に相当するa0乃至a2、第4曲げ部B4に相当するe0乃至e2、第5曲げ部B5に相当するf0乃至f2は後から曲げられる。つまり、同じコイルエンド部CEの山であっても、形成される曲げ部の曲げられる順番は異なってくる。
図10に、クランプガイドのアンクランプ時の概念側面図を示す。
クランプガイドCGには、平角導体Dが曲がらないようにガイドする機能を必要とするため、平角導体Dの幅方向から力を加えてクランプされていることが望ましい。この為、クランプガイドCGはパンダグラフ様の形状となっており、内部に圧縮バネCSを備えている。このため、図9に示す状態では平角導体Dに対して幅方向から力を加えてはさみこんでおり、図10のようにクランプガイドCGの下方向から力を加えている状態で、平角導体Dをアンクランプすることができる力を加えるのを止めれば図9のように平角導体Dを挟み込むことができる。
図12に、引込機構が平角導体を引き寄せた状態の斜視図を示す。
引込機構HMは図6に示す様に、治具ユニットJUに複数備えられており、平角導体DをクランプガイドCGに引き込むことが可能な構成となっている。
引込機構HMは、図11に示すように先端に引込爪HCを備えており、連結部材HBで昇降可能な構成となっている。また、引込爪HCは図示しないカムプレートによって開閉することが可能である。
したがって、図11に示すように治具ユニットJUから離れている平角導体Dを、引込爪HCを開いた状態でキャッチした後、図12に示すように、平角導体Dを治具ユニットJUに備えるクランプガイドCGでクランプできる位置に引き寄せることが可能となる。なお、図示しないが、通常の待機状態は図12よりも治具ユニットJU側に引込爪HCを開いた状態で待機させている。
図13に、複数の九十九折状コイルをエッジワイズ曲げ加工する様子を示す。
九十九折状コイル10を複数巻回する為には、回転軸板FBを必要とする。九十九折状コイル10のスロット内導線部SSが交互に回転軸板FBの裏表を通るように配置されている。
コイル束100は、第1九十九折状コイル10A乃至第4九十九折状コイル10Dが重ねられ、更に第5九十九折状コイル10Eを編み込んでいる。具体的には、図13の状態で第4曲げ部B4にクランクCPを形成し、その後、回転軸板FBを中心に反転させて次のエッジワイズ曲げ加工に移る。
図15に、九十九折状コイルの加工ラインについて概略図を示す。
図16に、加工ラインのタイミングチャートを示す。
九十九折加工機TMは前述した治具ユニットJUと、治具ユニットJUを加工後のコイル束100に対してスラントさせるスラント機構SMと、コイル束100を搬送する搬送ローラRMと、治具ユニットJUを段替えする段替機構JDと、平角導体Dをハンドリングするハンドリング機構CHと、平角導体Dをカットする切断機構CMと、平角導体Dが巻回されているボビンBRと、ボビンBRから巻き出された平角導体Dの癖を取るためにローラが千鳥に配置された矯正ローラTRを備えている。
各ステーションに設けられるスラント機構SMは、コイル束100に対して所定の角度で傾斜する機構を有している。そして、ボビンBRから巻き出される平角導体Dはハンドリング機構CHで捻れないように自在にホールドすることが可能となっている。ハンドリング機構CHの前後にはホース状のガイドが備えられており、管の内側に平角導体Dが通されている。そして、ハンドリング機構CHよりも治具ユニットJUよりの平角導体Dは、余裕を持たせてハンドリング機構CHにホールドされる。
タイミングチャートの一列目、「治具ユニット」は、「上昇端」と「下降端」の表示がある。「上昇端」は、図14に示されるスラント機構SMの上昇端でありコイル束100に対して治具ユニットJUが並行になった状態を指す。「下降端」はスラント機構SMの下降端であり、コイル束100に対して治具ユニットJUがスラントされ、所定の角度に保持されている状態を示す。
タイミングチャートの二列目、「曲げ加工」は、「曲げ」と「伸び」の表示がある。これは、「曲げ」は平角導体Dをエッジワイズ曲げ加工することを意味し、図2に示される位置から、図3に示される位置に治具ユニットJUのスライドリンクLSを動作させる事を意味する。「伸び」は、加工動作をしない状態を指す。
タイミングチャートの四列目、「クランプ、アンクランプ」は、「押圧」と「伸び」の表示がある。「押圧」は、平角導体Dをアンクランプしている図10に示す状態であり、「伸び」は図9に示す平角導体Dをクランプしている状態である。なお、コイル有りと示す区間は、クランプガイドCGに平角導体Dが保持されている区間を示す。
タイミングチャートの七列目、「コイル順送」は、「起動」と「停止」の表示があり、図14の搬送ローラRMを駆動させてコイル束100を送る状態を「起動」、搬送ローラRMが動作しない状態を「停止」として示している。
なお、二点差線で囲んである部分は必要回数繰り返して、九十九折状コイル10を形成する。第1実施形態の九十九折状コイル10は、8山同じピッチで形成した後に、段替機構JDにより治具ユニットJUを段替えして次の周を形成するため、二点差線部分は8回繰り返した後、レーンチェンジを行うことになる。
九十九折状コイル10は頂点TPにおいて隣り合う九十九折状コイル10と干渉する。このため、クランクCPを設けて隣り合う九十九折状コイル10との干渉を回避している。具体的には第1九十九折状コイル10Aは頂点TPを境にクランクCPによって図17の紙面奥側にクランクされるので、第2九十九折状コイル10Bを上に重ねることが可能となる。第2九十九折状コイル10Bも同様に、頂点TPを境にクランクCPによって紙面奥側にクランクされるので、第3九十九折状コイル10Cが重ねられる。これを繰り返すことにより、平角導体Dの厚みの約2倍の厚みのコイル束100が形成される。
なお、図示されない側のコイルエンド部CEについても同様の事が言える。
まず、第1実施形態の九十九折加工機TMを備えた加工ラインPLを用いることで、波巻きコイルを用いたステータを製造することが可能となる点が挙げられる。
第1実施形態のステータ製造方法は、用いられる導体が平角断面を有する平角導体Dであり、第1直線把持部で、平角導体Dの第1直線部SP1を、第1直線把持部となる第1リンクプレートSL1に平角導体Dの第1曲げ部B1を形成する第1関節JP1を挟んで隣接して配置される第2直線把持部となる第2リンクプレートSL2で平角導体Dの第2直線部SP2を、第2リンクプレートSL2に平角導体Dの第2屈曲部となる第2曲げ部B2を形成する第2関節JP2を挟んで隣接して配置される第3直線把持部となる第3リンクプレートSL3で平角導体Dの第3直線部SP3を、それぞれ把持する第1工程と、リンクで接続される第1リンクプレートSL1と、第2リンクプレートSL2と、第3リンクプレートSL3でとが、スライドリンクLSを備えたスライド機構により同時に移動することで、平角導体Dに第1曲げ部B1と第2曲げ部B2とを形成させる第2工程と、を有し、九十九折状コイル10の曲げ形成を行うものである。
そして、この第3工程から第6工程を繰り返すことで九十九折状コイル10を連続的に形成することが可能となる。
コストダウンの為にも九十九折状コイル10及びコイル束100の製造の自動化は必須である。したがって、自動化可能な製造方法及び製造装置の提供を可能としたことに意義があるといえる。
(第2実施形態)
第2実施形態の九十九折加工機TMは第1実施形態の九十九折加工機TMとほぼ同じであるが、加工ラインPLの構成が異なる。
図18に、第2実施形態の加工ラインの構成図を示す。
第2実施形態の加工ラインPLは治具ユニットJUが一列に並ぶよう12個並べられ、加工ラインPLが構成されている。治具ユニットJUは、治具ピッチX1で配置され、治具ピッチX1は可変ピッチ機構により自在にピッチを変更することができる。これは、治具ユニットJUの幅が、九十九折状コイル10をステータコアに配設した際に最も内側に配置される1周目九十九折部AC1を形成する1周目形成治具ユニットより、1周目九十九折部AC1の外側に配置される2周目九十九折部AC2を形成する2周目形成治具ユニットの方が幅は広い。同様に最も広くなる6周目九十九折部AC6を形成する6周目形成治具ユニットは最も広い幅を必要とする。
ライン長X2は、治具ピッチX1の最大長で12個分横に並べた長さと同じ長さを確保してある。なお、ボビンBRや矯正ローラTR、切断機構CM等の設備については平角導体Dの本数分必要であるが、図18では省略している。
各治具ユニットは2セット12個用意されて、第1ステーション1STから第12ステーション12STまで並べられる。
治具ピッチX1は、各周のコイル長さとしているので、前述の状態であれば第1ステーション1STであれば2周目九十九折部AC2と同じ幅であり、第2ステーション2STは1周目九十九折部AC1と同じ幅としている。そして、各ステーションが各周N山目の形成を行うように配置する。
なお、実際にはN→N+1周のレーンチェンジ部では、スロット間ピッチがN周目のスロット間ピッチと異なっていたり、山形曲げ形成方向が異なっていたり、クランクCPの方向が異なっていたりする為、治具ユニットJUはN周目治具、N→N+1周レーンチェンジ用治具、N+1周目治具のように交互に運用される必要がある。したがって、前述12個の治具ユニットJU以外にレーンチェンジ用に治具ユニットJUを複数個用意する必要がある。
加工ラインPLの設置面積の縮小は生産効率に影響する為、加工ラインPLの小型化を実現することで生産効率の向上を図ることが可能となる。
(第3実施形態)
第3実施形態の九十九折加工機TMは第2実施形態の九十九折加工機TMとほぼ同じであるが、加工ラインPLの構成が異なる。
図19に、第3実施形態の加工ラインの構成図を示す。
第3実施形態の加工ラインPLは第2実施形態の加工ラインPLよりも、設備長さが半分で済む。加工ラインPLのライン長X3は、治具ユニットJUを上下に重ねて配置することで、ライン長X2よりも短縮でき、更に生産効率の向上を図ることができる。
前述した図14に示されるように、スラント機構SMは一方向に傾く構成となっている為逆方向に干渉することはなく、治具ユニットJUを上下に配置することが可能である。
例えば、九十九折状コイル10のピッチや、コイル束100を円筒状に巻いた時の周数などは設計によって変更されることを妨げない。それに伴う加工ラインPLのステーション数の変更も妨げない。
2ST 第2ステーション
12ST 第12ステーション
10 九十九折状コイル
100 コイル束
B1 第1曲げ部
B2 第2曲げ部
B3 第3曲げ部
B4 第4曲げ部
B5 第5曲げ部
BP ベースプレート
BR ボビン
CB カム溝
CC ガイドプレート
CE コイルエンド部
CG クランプガイド
CP クランク
D 平角導体
ET 端子部
F1 第1支点
F2 第2支点
FB 回転軸板
FP 固定把持部
HB 連結部材
HC 引込爪
HM 引込機構
JD 段替機構
JP 関節
JU 治具ユニット
LS スライドリンク
PL 加工ライン
RM 搬送ローラ
SL1 第1リンクプレート
SL2 第2リンクプレート
SL3 第3リンクプレート
SM スラント機構
SP1 第1直線部
SP2 第2直線部
SP3 第3直線部
SP4 第4直線部
SP5 第5直線部
SP6 第6直線部
SS スロット内導線部
TM 九十九折加工機
TP 頂点
TR 矯正ローラ
Claims (10)
- ステータコアのスロットに挿入される導体を予め前記スロットに対応した九十九折状に形成して九十九折状コイルとし、前記ステータコアの前記スロットに対して前記九十九折状コイルを配設するステータ製造方法において、
前記導体が平角断面を有する平角導体であり、
第1直線把持部で、前記平角導体の第1直線部を、
前記第1直線把持部に前記平角導体の第1屈曲部を形成する第1関節部を挟んで隣接して配置される第2直線把持部で、前記平角導体の第2直線部を、
前記第2直線把持部に前記平角導体の第2屈曲部を形成する第2関節部を挟んで隣接して配置される第3直線把持部で、前記平角導体の第3直線部を、
それぞれ把持する第1工程と、
リンクで接続される前記第1直線把持部と、前記第2直線把持部と、前記第3直線把持部とが、スライド機構により同時に移動することで、前記平角導体に前記第1屈曲部と前記第2屈曲部とを形成させる第2工程と、
を有し、前記九十九折状コイルの曲げ形成を行うことを特徴とするステータ製造方法。 - 請求項1に記載のステータ製造方法において、
前記第1直線把持部に対して前記第2直線把持部が前記平角導体の厚み分だけ前記平角導体の厚み方向にずれるクランク形成機構により、前記第1屈曲部にクランクを形成させる第3工程を有し、前記九十九折状コイルの曲げ形成を行うことを特徴とするステータ製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載のステータ製造方法において、
前記第1屈曲部と前記第2屈曲部が形成された前記平角導体を、前記第1直線把持部、前記第2直線把持部、及び前記第3直線把持部から解放し、前記平角導体を回転機構により裏返す第4工程と、
固定把持部で、前記平角導体の前記第1直線部を、
前記固定把持部に前記平角導体の第3屈曲部を形成する第3関節部を挟んで隣接して配置される第4直線把持部で、前記第1直線部と前記第2直線部に挟まれて隣接する第4直線部を、
前記第1直線把持部で、前記平角導体の前記第3直線部を、
前記第2直線把持部で、前記平角導体の前記第3直線部に隣接する第5直線部を、
前記第3直線把持部で、前記平角導体の前記第5直線部に隣接する第6直線部を、それぞれ把持する第5工程と、
前記固定把持部に対してリンクで接続される前記第4直線把持部と、前記第1直線把持部と、前記第2直線把持部と、前記第3直線把持部とが、前記スライド機構により同時に移動することで、前記第3屈曲部と、前記第1関節部で形成される第4屈曲部と、前記第2関節部で形成される第5屈曲部とを、前記平角導体に形成する第6工程と、
を有し、前記九十九折状コイルの曲げ形成を行うことを特徴とするステータ製造方法。 - 請求項3に記載のステータ製造方法において、
前記九十九折状コイルを前記ステータコアに配設した際に1周目となる1周目九十九折部を形成する1周目形成治具ユニットと、
前記九十九折状コイルを前記ステータコアに配設した際に前記1周目の外側に配置される2周目九十九折部を形成する2周目形成治具ユニットと、を2セット備え、
第1ステーションで前記1周目形成治具ユニットを用いて前記1周目九十九折部を形成した後、前記1周目形成治具ユニットを第2ステーションに送り、前記第1ステーションには前記2周目形成治具ユニットを送り、前記第1ステーションで前記2周目形成治具ユニットを用いて前記2周目九十九折部を形成し、前記第2ステーションで前記1周目形成治具ユニットを用いて前記1周目九十九折部を形成し、
前記各ユニットを順に各ステーションに送って循環させて複数の前記九十九折状コイルを同時に製造することを特徴とするステータ製造方法。 - ステータコアのスロットに挿入される導体を前記スロットに対応して予め九十九折状に形成して九十九折状コイルとし、前記ステータコアの前記スロットに対して前記九十九折状コイルを配設するステータ製造装置において、
前記導体が平角断面を有する平角導体であり、
前記平角導体を把持する複数の直線把持部と、
前記複数の直線把持部をそれぞれリンクで接続し、隣接する前記直線把持部が所定の角度に配置されるように構成される関節部と、
前記複数の直線把持部を同時に移動するスライド機構と、を備える形成治具ユニットを有し、
前記形成治具ユニットで前記平角導体を把持し、前記スライド機構を動作させ、前記九十九折状コイルを形成することを特徴とするステータ製造装置。 - 請求項5に記載のステータ製造装置において、
前記関節部に配置され、前記平角導体の厚み方向にずれて前記平角導体にクランクを形成させるクランク形成機構を有することを特徴とするステータ製造装置。 - 請求項5または請求項6に記載のステータ製造装置において、
前記直線把持部は、クランプ機構によって前記平角導体を把持し、
前記クランプ機構は外力を加えることで前記平角導体を把持し、前記クランプ機構に加えた前記外力を除くことで前記平角導体を解放する機構を有することを特徴とするステータ製造装置。 - 請求項5乃至請求項7のいずれか1つに記載のステータ製造装置において、
前記平角導体をキャッチして前記クランプ機構に近接させ、
前記クランプ機構からアンクランプされた前記平角導体を、前記クランプ機構から遠ざけてリリースする移載機構を備えることを特徴とするステータ製造装置。 - 請求項5乃至請求項8のいずれか1つに記載のステータ製造装置において、
前記形成治具ユニットを、既に形成済みの前記九十九折状コイルに対して傾斜させ、前記九十九折状コイルとの干渉を回避するスラント機構を備えることを特徴とするステータ製造装置。 - 請求項5乃至請求項9のいずれか1つに記載のステータ製造装置において、
前記形成治具ユニットを複数備えて、前記形成治具ユニット間のピッチを可変させる可変ピッチ機構を備えることを特徴とするステータ製造装置。
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