JP2011098925A - 消毒剤の効力回復方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、過酸を主成分とする消毒剤の消毒能力を回復させる方法を提供することを課題とする。
【解決手段】過酸を主成分とする水溶液からなる消毒剤の効力回復方法であって、当該消毒剤にカルボン酸無水物を添加することにより、過酸の分解により低下した過酸の濃度を増加させることを特徴とする、方法。
【選択図】図1
【解決手段】過酸を主成分とする水溶液からなる消毒剤の効力回復方法であって、当該消毒剤にカルボン酸無水物を添加することにより、過酸の分解により低下した過酸の濃度を増加させることを特徴とする、方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、過酸を有効成分とした消毒剤の効力回復方法に関する。
消毒薬はその効力の順に、高水準消毒薬、中水準消毒薬、低水準消毒薬に分類される(Spauldingによる分類)。この中でも高水準消毒薬は、芽胞(中水準消毒薬、低水準消毒薬では殺菌できない)を含む、バクテリア、真菌、ウイルスなど殺菌スペクトルが幅広く、重要である。
過酸系の殺菌剤・消毒剤の代表例は過酢酸であるが、強い刺激臭があり、蒸気は目、呼吸器等の粘膜を激しく刺激し、取扱い時には換気の良い作業場所が必要であり、粘膜を守るためのマスクとゴーグルが欠かせない。
過酢酸同様に強い殺菌性を持つ高水準消毒薬としてアルデヒド系のグルタラールやフタラール及び二酸化塩素がある。しかし、何れも過酢酸同様、強い刺激臭があり、粘膜を守るためのマスクとゴーグルが必要である。また、グルタラール等アルデヒド製剤は、抗酸菌に対して殺菌作用の弱さが指摘されている。
過酸化水素は濃度7.5%、20℃の場合、芽胞の殺滅に、6時間必要である(非特許文献1)。
このように、高水準消毒薬である過酢酸、グルタラールやフタラールには強い刺激臭があることから、蒸気は目、呼吸器等の粘膜を激しく刺激し、取扱い時には換気の良い作業場所が必要であり、粘膜を守るためのマスクとゴーグルが欠かせないという欠点があった。
過酸系の殺菌剤・消毒剤の代表例は過酢酸であるが、強い刺激臭があり、蒸気は目、呼吸器等の粘膜を激しく刺激し、取扱い時には換気の良い作業場所が必要であり、粘膜を守るためのマスクとゴーグルが欠かせない。
過酢酸同様に強い殺菌性を持つ高水準消毒薬としてアルデヒド系のグルタラールやフタラール及び二酸化塩素がある。しかし、何れも過酢酸同様、強い刺激臭があり、粘膜を守るためのマスクとゴーグルが必要である。また、グルタラール等アルデヒド製剤は、抗酸菌に対して殺菌作用の弱さが指摘されている。
過酸化水素は濃度7.5%、20℃の場合、芽胞の殺滅に、6時間必要である(非特許文献1)。
このように、高水準消毒薬である過酢酸、グルタラールやフタラールには強い刺激臭があることから、蒸気は目、呼吸器等の粘膜を激しく刺激し、取扱い時には換気の良い作業場所が必要であり、粘膜を守るためのマスクとゴーグルが欠かせないという欠点があった。
特許文献1には過マレイン酸を有効成分とする刺激の少ない消毒剤についての記述がなされている。しかしながら、過マレイン酸の消毒剤の消毒能力を回復させることについては記述されていない。
特許文献2,3には無水酢酸と過酸化水素水溶液から過酢酸溶液を製造する方法が記述されている。しかしながら、過酢酸溶液の消毒能力および消毒能力の回復については記述されていない。
特許文献4には、殺菌製剤中の過酢酸濃度の維持をはかる為、リン酸塩や非イオン界面活性剤を添加して、安定化させる方法が記述されている。しかしながら、リン酸塩や非イオン界面活性剤を添加せず、消毒能力を回復させる方法については記述されていない。
このように、過酸を有効成分とする消毒剤はいくつか知られているが、リン酸塩や非イオン界面活性剤を添加せず、消毒能力を回復させる方法は知られていなかった。
特許文献2,3には無水酢酸と過酸化水素水溶液から過酢酸溶液を製造する方法が記述されている。しかしながら、過酢酸溶液の消毒能力および消毒能力の回復については記述されていない。
特許文献4には、殺菌製剤中の過酢酸濃度の維持をはかる為、リン酸塩や非イオン界面活性剤を添加して、安定化させる方法が記述されている。しかしながら、リン酸塩や非イオン界面活性剤を添加せず、消毒能力を回復させる方法については記述されていない。
このように、過酸を有効成分とする消毒剤はいくつか知られているが、リン酸塩や非イオン界面活性剤を添加せず、消毒能力を回復させる方法は知られていなかった。
「消毒薬テキスト 新版」、発行 株式会社協和企画
本発明は、過酸を主成分とする消毒剤の消毒能力を回復させる方法を提供することを課
題とする。
題とする。
本発明者らは、リン酸塩や非イオン界面活性剤を使用せず、カルボン酸無水物の添加により、過酸を主成分とする消毒剤の消毒能力を回復できることを見出した。
本発明者らは、このようにして、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、このようにして、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)過酸を主成分とする水溶液からなる消毒剤の効力回復方法であって、当該消毒剤にカルボン酸無水物を添加することにより、過酸の分解により低下した過酸の濃度を増加させることを特徴とする、方法。
(2)過酸が2価のカルボン酸の過酸であり、カルボン酸無水物が2価のカルボン酸の無水物であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(3)過酸が過マレイン酸であり、カルボン酸無水物が無水マレイン酸であることを特徴とする(2)に記載の方法。
(4)効力が細菌芽胞に対する殺菌効果である(3)に記載の方法。
(5)消毒剤への無水マレイン酸添加後の過マレイン酸の濃度が20000ppm以上である(4)に記載の方法。
(1)過酸を主成分とする水溶液からなる消毒剤の効力回復方法であって、当該消毒剤にカルボン酸無水物を添加することにより、過酸の分解により低下した過酸の濃度を増加させることを特徴とする、方法。
(2)過酸が2価のカルボン酸の過酸であり、カルボン酸無水物が2価のカルボン酸の無水物であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(3)過酸が過マレイン酸であり、カルボン酸無水物が無水マレイン酸であることを特徴とする(2)に記載の方法。
(4)効力が細菌芽胞に対する殺菌効果である(3)に記載の方法。
(5)消毒剤への無水マレイン酸添加後の過マレイン酸の濃度が20000ppm以上である(4)に記載の方法。
過酸は、時間の経過に伴い式「過酸 + H2O → カルボン酸 + H2O2」のように分解し、カルボン酸と過酸化水素を生じるが、ここにカルボン酸無水物を添加することにより、式「カルボン酸無水物 + H2O2 → 過酸 」により、系中の過酸化水素を利用し、過酸を回復させることが可能となる。
また、本発明の方法は、用時に実施が可能であるため、安定剤が必要ない。
さらに、本発明の方法により、リン酸塩や非イオン界面活性剤を添加せず、消毒剤の消毒能力を回復させることができる。
また、本発明の方法は、用時に実施が可能であるため、安定剤が必要ない。
さらに、本発明の方法により、リン酸塩や非イオン界面活性剤を添加せず、消毒剤の消毒能力を回復させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の消毒剤の効力回復方法は、過酸を主成分とする水溶液からなる消毒剤にカルボン酸無水物を添加することにより、過酸の分解により低下した過酸の濃度を増加させることを特徴とする。
本発明の消毒剤の効力回復方法は、過酸を主成分とする水溶液からなる消毒剤にカルボン酸無水物を添加することにより、過酸の分解により低下した過酸の濃度を増加させることを特徴とする。
本発明において、消毒剤中の主成分である過酸としては、過マレイン酸、過酢酸、過プロピオン酸、過フタル酸、過コハク酸などが挙げられるが、これらに限定されない。過酸は、2価のカルボン酸の過酸であってもよいし、1価のカルボン酸の過酸であってもよい。
本発明において、消毒剤に添加されるカルボン酸無水物は、無水マレイン酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水フタル酸、無水コハク酸などが挙げられるが、これらに限定されない。カルボン酸無水物は、2価のカルボン酸が分子内で脱水縮合したものでもよいし、1価のカルボン酸2分子が脱水縮合したものでもよい。また、消毒剤に添加されるカルボン酸無水物は、元々の過酸と同じ種類であることが好ましい。
過酸を主成分とする消毒剤の消毒能力の低下および回復について、図1を参照して、よ
り詳細に説明する。
1.消毒能力を回復すべき過酸含有消毒剤
過酸含有消毒剤は、時間が経過するとともに、「過酸 + H2O → カルボン酸 + H2O2」のように分解し、カルボン酸と過酸化水素を生じる。
例えば、過酸がマレイン酸の場合には、「過マレイン酸 + H2O → マレイン酸 + H2O2」のように分解し、マレイン酸と過酸化水素を生じる。
り詳細に説明する。
1.消毒能力を回復すべき過酸含有消毒剤
過酸含有消毒剤は、時間が経過するとともに、「過酸 + H2O → カルボン酸 + H2O2」のように分解し、カルボン酸と過酸化水素を生じる。
例えば、過酸がマレイン酸の場合には、「過マレイン酸 + H2O → マレイン酸 + H2O2」のように分解し、マレイン酸と過酸化水素を生じる。
2.過酸含有消毒剤の分解の進行
過酸を主成分とする消毒剤は、時間経過とともに、上記式のように分解が進行し、H2Oが減少し、H2O2が増加する。また、カルボン酸が増加し、過酸が減少する。
例えば、過酸が過マレイン酸の場合には、マレイン酸が増加し、過マレイン酸が減少する。
過酸を主成分とする消毒剤は、時間経過とともに、上記式のように分解が進行し、H2Oが減少し、H2O2が増加する。また、カルボン酸が増加し、過酸が減少する。
例えば、過酸が過マレイン酸の場合には、マレイン酸が増加し、過マレイン酸が減少する。
3.過酸の増加
分解が進行した過酸含有消毒剤にカルボン酸無水物を添加することにより、「カルボン酸無水物 + H2O2 → 過酸 」の式により、系中の過酸化水素を利用し、消毒剤中の過酸を増加させることができる。
例えば、カルボン酸無水物が無水マレイン酸の場合には、無水マレイン酸を添加することにより、式「無水マレイン酸 + H2O2 → 過マレイン酸 」により、消毒剤中の過マレイン酸を回復させることができる。
なお、過酸化水素は、過酸よりは安定であるが、水と水素に分解される。従って、所望の過酸の増加に、残存する過酸化水素の量が不十分な場合には、消毒剤の消毒効力をより増加させるために、過酸化水素を系中にさらに加えてもよい。
分解が進行した過酸含有消毒剤にカルボン酸無水物を添加することにより、「カルボン酸無水物 + H2O2 → 過酸 」の式により、系中の過酸化水素を利用し、消毒剤中の過酸を増加させることができる。
例えば、カルボン酸無水物が無水マレイン酸の場合には、無水マレイン酸を添加することにより、式「無水マレイン酸 + H2O2 → 過マレイン酸 」により、消毒剤中の過マレイン酸を回復させることができる。
なお、過酸化水素は、過酸よりは安定であるが、水と水素に分解される。従って、所望の過酸の増加に、残存する過酸化水素の量が不十分な場合には、消毒剤の消毒効力をより増加させるために、過酸化水素を系中にさらに加えてもよい。
本発明の方法の対象となる消毒剤の過マレイン酸の濃度としては、0.0001〜50質量%の範囲に維持すればよいが、細胞芽胞に対して使用される場合は、過マレイン酸濃度が2質量%(20,000質量ppm)以上であることが好ましく、抗酸菌に対して使用される場合は、過マレイン酸濃度が2.5〜50質量%であることが好ましく、バクテリアに対して使用される場合は、過マレイン酸濃度が0.3〜50質量%であることが好ましく、真菌に対して使用される場合は、過マレイン酸濃度が1.25〜50質量%であることが好ましく、ウイルスに対して使用される場合は、過マレイン酸濃度が0.1〜50質量%に維持することが好ましい。
他の過酸が使用される場合においても同様の濃度とすればよい。
他の過酸が使用される場合においても同様の濃度とすればよい。
本発明の消毒剤は、添加剤として、金属キレート剤、防食剤、色剤などのその他の成分を含んでもよい。
本明細書で用いられる用語「消毒」とは、細胞芽胞、抗酸菌、バクテリア、真菌、ウイルスなどを殺傷すること、または、その増殖機能を停止させることを意味する。
本明細書で用いられる用語「消毒剤」とは、細胞芽胞、抗酸菌、バクテリア、真菌、ウイルスなどに対して、「消毒」する能力を有し、抗菌性、殺菌性も含むものである。
本明細書で用いられる用語「細菌芽胞」とは、好気性桿菌バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、クロストリディウム(Clostriduim)属に属する嫌気性桿菌などが、増殖期の終わりに形成する耐久型細胞を意味する。
本明細書で用いられる用語「抗酸菌」とは、当業者に周知の抗酸性染色陽性の細菌をいい、マイコバクテリウム属に属する細菌を含む。
本明細書で用いられる用語「消毒剤の効力回復」とは、消毒剤の消毒能力を回復させること、すなわち、カルボン酸無水物添加前の過酸濃度よりも高い濃度、例えば、調製直後の消毒剤中の過酸濃度まで、もしくはこれに近い濃度まで、またはそれ以上の濃度まで、過酸濃度を増加させることをいい、過酸の分解により消毒能力が低下した消毒剤の消毒能
力を回復させることを含む。すなわち、「回復」は、カルボン酸無水物の添加前と比較して、添加後の過酸の濃度が増加していること、および、添加後の過酸の濃度が実質的に増加していることを含む。
本明細書で用いられる用語「消毒剤」とは、細胞芽胞、抗酸菌、バクテリア、真菌、ウイルスなどに対して、「消毒」する能力を有し、抗菌性、殺菌性も含むものである。
本明細書で用いられる用語「細菌芽胞」とは、好気性桿菌バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、クロストリディウム(Clostriduim)属に属する嫌気性桿菌などが、増殖期の終わりに形成する耐久型細胞を意味する。
本明細書で用いられる用語「抗酸菌」とは、当業者に周知の抗酸性染色陽性の細菌をいい、マイコバクテリウム属に属する細菌を含む。
本明細書で用いられる用語「消毒剤の効力回復」とは、消毒剤の消毒能力を回復させること、すなわち、カルボン酸無水物添加前の過酸濃度よりも高い濃度、例えば、調製直後の消毒剤中の過酸濃度まで、もしくはこれに近い濃度まで、またはそれ以上の濃度まで、過酸濃度を増加させることをいい、過酸の分解により消毒能力が低下した消毒剤の消毒能
力を回復させることを含む。すなわち、「回復」は、カルボン酸無水物の添加前と比較して、添加後の過酸の濃度が増加していること、および、添加後の過酸の濃度が実質的に増加していることを含む。
本発明の消毒剤は、細胞芽胞(例えば、Bacillus subtilisの芽胞)、抗酸菌(例えば、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellurare、Mycobacterium kansasii)、バクテリア(例えば、Staphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、Escherichia coli、Salmonella enteritidis、Bacillus subtillis、Clostridium perfringens)、真菌(例えば、Aspergillus niger、Penicillium citrinum)、ウイルス(例えば、Aujeszky’s disease virus、Infectious bursal disease virus)などに使用することができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、これら実施例にのみ、限定を受けないことは言うまでもない。
実施例1. 過マレイン酸の製造
30%過酸化水素水(和光純薬製:特級)10mlに無水マレイン酸(和光純薬製:特級)8.8gを加熱溶解することで過マレイン酸溶液を製造した。殺菌試験時に適切な濃度に希釈し使用した。
30%過酸化水素水(和光純薬製:特級)10mlに無水マレイン酸(和光純薬製:特級)8.8gを加熱溶解することで過マレイン酸溶液を製造した。殺菌試験時に適切な濃度に希釈し使用した。
実施例2. 滴定による分析
本発明の消毒剤は、過マレイン酸と過酸化水素の二種類の混合物であることから、濃度定量は、硫酸セリウム−チオ硫酸ナトリウム法を使用した。以下に概要を記す。
(1)過酸化水素の濃度定量法
100ml容コニカルビーカーに過マレイン酸溶液(濃度50〜5,000ppm)をマイクロピペットで1ml採取し、10%硫酸溶液10mlを加える。0.1N硫酸セリウム標準溶液で滴定し、硫酸セリウムの黄色が消失したところを終点(Aml)とする。
下式で、過酸化水素濃度を定量した。
過酸化水素濃度(%(w/w))=A×0.17×f1
f1:0.1N硫酸セリウム標準溶液のファクター
(2)過マレイン酸の濃度定量法
過酸化水素濃度測定後の溶液に10%ヨウ化カリウム溶液1mlを添加する。0.01Nチオ硫酸ナトリウム標準液で淡黄色になるまで滴定し、1%可溶性デンプン溶液を約1ml加え、暗青色が消えたところを終点(Bml)とする。
ブランクの測定:精製水1mlを採取後、上記の過酸化水素濃度分析法を繰り返し、ブランク値(B0ml)を求める。
下式で、過マレイン酸濃度を求めた。
過マレイン酸濃度(%(w/w))=(B− B0)×0.066×f2
f2:0.01Nチオ硫酸ナトリウム標準溶液のファクター
本発明の消毒剤は、過マレイン酸と過酸化水素の二種類の混合物であることから、濃度定量は、硫酸セリウム−チオ硫酸ナトリウム法を使用した。以下に概要を記す。
(1)過酸化水素の濃度定量法
100ml容コニカルビーカーに過マレイン酸溶液(濃度50〜5,000ppm)をマイクロピペットで1ml採取し、10%硫酸溶液10mlを加える。0.1N硫酸セリウム標準溶液で滴定し、硫酸セリウムの黄色が消失したところを終点(Aml)とする。
下式で、過酸化水素濃度を定量した。
過酸化水素濃度(%(w/w))=A×0.17×f1
f1:0.1N硫酸セリウム標準溶液のファクター
(2)過マレイン酸の濃度定量法
過酸化水素濃度測定後の溶液に10%ヨウ化カリウム溶液1mlを添加する。0.01Nチオ硫酸ナトリウム標準液で淡黄色になるまで滴定し、1%可溶性デンプン溶液を約1ml加え、暗青色が消えたところを終点(Bml)とする。
ブランクの測定:精製水1mlを採取後、上記の過酸化水素濃度分析法を繰り返し、ブランク値(B0ml)を求める。
下式で、過マレイン酸濃度を求めた。
過マレイン酸濃度(%(w/w))=(B− B0)×0.066×f2
f2:0.01Nチオ硫酸ナトリウム標準溶液のファクター
実施例3. 殺菌データ
FDA石炭酸係数測定法(微生物学実験書(廣川書店)第11章 消毒薬の検定)に準じた方法を用いた。
細菌芽胞は、Bacillus subtilis ATCC 6633を液体ブイヨン培地で24時間培養後、Sterlinin,J.M.およびMandelstem,J.,Biochem.J.1969;113:29に記載の方法に従って芽胞を調製し、
滅菌蒸留水に懸濁したものを85℃で10分間処理し、栄養型を死滅させた後、5℃で保存し、106〜107CFU/mlとなるように滅菌蒸留水に懸濁し、芽胞供試菌液とした。なお、芽胞数は10倍ずつ段階希釈した試験液をブイヨン寒天培地に混釈培養して得たコロニー数から算出した。
細菌芽胞Bacillus subtilis ATCC 6633に対する過マレイン酸溶液の濃度調製は下記のように行った。
FDA石炭酸係数測定法(微生物学実験書(廣川書店)第11章 消毒薬の検定)に準じた方法を用いた。
細菌芽胞は、Bacillus subtilis ATCC 6633を液体ブイヨン培地で24時間培養後、Sterlinin,J.M.およびMandelstem,J.,Biochem.J.1969;113:29に記載の方法に従って芽胞を調製し、
滅菌蒸留水に懸濁したものを85℃で10分間処理し、栄養型を死滅させた後、5℃で保存し、106〜107CFU/mlとなるように滅菌蒸留水に懸濁し、芽胞供試菌液とした。なお、芽胞数は10倍ずつ段階希釈した試験液をブイヨン寒天培地に混釈培養して得たコロニー数から算出した。
細菌芽胞Bacillus subtilis ATCC 6633に対する過マレイン酸溶液の濃度調製は下記のように行った。
殺菌試験の結果を表2に示した。
この結果、細菌芽胞(Bacillus subtilis ATCC 6633)に対する殺菌に必要な過マレイン酸濃度は0.172mol/L(22800ppm)近辺ということがわかった。
実施例4. 過マレイン酸の濃度の回復試験
実施例1で製造した過マレイン酸溶液中の過マレイン酸濃度を測定したところ、製造直後には、0.80mol/Lであった。20℃にて放置したところ、2日間で、この溶液中の過マレイン酸が完全に分解した。
上記過マレイン酸が完全に分解した溶液に、再度無水マレイン酸8.8gを加え溶解し、過マレイン酸の濃度を測定したところ0.78mol/Lであった。
これは分解前の濃度を無水マレイン酸添加により回復させることが可能であると同時に細菌芽胞の殺菌に必要な濃度(0.17mol/L)の4−5倍に達しており、回復させた溶液に於いても4−5倍希釈の状態で細菌芽胞用の消毒剤として使用可能であることを示している。
実施例1で製造した過マレイン酸溶液中の過マレイン酸濃度を測定したところ、製造直後には、0.80mol/Lであった。20℃にて放置したところ、2日間で、この溶液中の過マレイン酸が完全に分解した。
上記過マレイン酸が完全に分解した溶液に、再度無水マレイン酸8.8gを加え溶解し、過マレイン酸の濃度を測定したところ0.78mol/Lであった。
これは分解前の濃度を無水マレイン酸添加により回復させることが可能であると同時に細菌芽胞の殺菌に必要な濃度(0.17mol/L)の4−5倍に達しており、回復させた溶液に於いても4−5倍希釈の状態で細菌芽胞用の消毒剤として使用可能であることを示している。
実施例5. 過マレイン酸の製造条件と過マレイン酸濃度
無水マレイン酸(MAn)と30%過酸化水素水を表3の各種混合比にて混ぜ合わせ、過マレイン酸を作成した。
無水マレイン酸(MAn)と30%過酸化水素水を表3の各種混合比にて混ぜ合わせ、過マレイン酸を作成した。
表3から分かるように、混合する無水マレイン酸の割合が大きくなる程、生成する過マレイン酸の濃度が大きくなることが分かる。
これより、細菌芽胞の殺菌に必要な濃度(0.17mol/L)の過マレイン酸を生成する為にはある一定割合以上の無水マレイン酸を30%過酸化水素に添加する必要があることが分かる。
また、無水マレイン酸から過マレイン酸を生成する反応は、無水マレイン酸と過酸化水素または水との競争反応である為、使用する過酸化水素水は濃度が高いものであるほど、無水マレイン酸から過マレイン酸に変換される効率が高くなる。
なお、仕込み比、無水マレイン酸/過酸化水素=3/1の場合、無水マレイン酸が溶解し難く、また安定性も低下するため好ましくない。
これより、細菌芽胞の殺菌に必要な濃度(0.17mol/L)の過マレイン酸を生成する為にはある一定割合以上の無水マレイン酸を30%過酸化水素に添加する必要があることが分かる。
また、無水マレイン酸から過マレイン酸を生成する反応は、無水マレイン酸と過酸化水素または水との競争反応である為、使用する過酸化水素水は濃度が高いものであるほど、無水マレイン酸から過マレイン酸に変換される効率が高くなる。
なお、仕込み比、無水マレイン酸/過酸化水素=3/1の場合、無水マレイン酸が溶解し難く、また安定性も低下するため好ましくない。
本発明により、過酸を主成分とする水溶液からなる消毒剤の効力を回復させることができる。
また、過酸化水素の再利用により、コスト低減、廃棄物の削減に繋がる。
また、過酸化水素の再利用により、コスト低減、廃棄物の削減に繋がる。
Claims (5)
- 過酸を主成分とする水溶液からなる消毒剤の効力回復方法であって、当該消毒剤にカルボン酸無水物を添加することにより、過酸の分解により低下した過酸の濃度を増加させることを特徴とする、方法。
- 過酸が2価のカルボン酸の過酸であり、カルボン酸無水物が2価のカルボン酸の無水物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 過酸が過マレイン酸であり、カルボン酸無水物が無水マレイン酸であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 効力が細菌芽胞に対する殺菌効果である請求項3に記載の方法。
- 消毒剤への無水マレイン酸添加後の過マレイン酸の濃度が20000ppm以上である請求項4に記載の方法。
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