JP2012219053A - 過酢酸組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】芽胞を形成し、過酢酸/過酸化水素製剤に強い抵抗性を持つパエニバチルス属細菌やバチルス・セレウスなどの有害菌に対する有効な過酢酸含有殺菌組成物を提供する。
【解決手段】従来の過酢酸製剤を用いても、耐薬品性の高い芽胞形成菌であるバチルス・セレウス(Bacillus
cereus)に関しては、殺菌が難しいことが知られている。芽胞形成菌であるバチルス・セレウスやパエニバチルス属細菌に対し、過酢酸平衡組成物中の過酸化水素含有比率を低くした過酢酸組成物が高い殺菌効果を示すことを見出し、短時間での処理でも有効な過酢酸殺菌組成物を完成させた。
【選択図】なし
【解決手段】従来の過酢酸製剤を用いても、耐薬品性の高い芽胞形成菌であるバチルス・セレウス(Bacillus
cereus)に関しては、殺菌が難しいことが知られている。芽胞形成菌であるバチルス・セレウスやパエニバチルス属細菌に対し、過酢酸平衡組成物中の過酸化水素含有比率を低くした過酢酸組成物が高い殺菌効果を示すことを見出し、短時間での処理でも有効な過酢酸殺菌組成物を完成させた。
【選択図】なし
Description
本発明は食品・醸造・医療産業等の多くの分野で、製造装置や容器・包装資材等の殺菌・洗浄等の目的で幅広く使用される過酢酸殺菌組成物に関する。さらに、詳細には各種飲料食品関連および医療機器類に使用される過酢酸殺菌組成物に関する。
過酢酸製剤は低濃度でも殺菌力が強く即効性があり、抗菌スペクトルが広く、細菌芽胞、カビ、酵母等にも優れた効果を示す事から、殺菌処置が必要とされる食品・飲料産業場面で広く使用されている。しかし、従来の過酢酸製剤を用いても、耐薬品性の高い芽胞形成菌であるバチルス・セレウス(Bacillus
cereus)に関しては、殺菌が難しいことが知られている。
cereus)に関しては、殺菌が難しいことが知られている。
このバチルス・セレウスに対し、過酢酸組成物中の過酢酸濃度を500〜3000ppmとし、かつ過酸化水素/過酢酸比率を0.7以下に低く抑えた過酢酸組成物が、有効な殺菌性を示す事が開示されている。(特許文献1および非特許文献1)特許文献1では、一般的な過酢酸10%、過酸化水素15%を含む過酢酸系殺菌剤を水で希釈して過酢酸濃度が500〜3000ppmのものを調製すると記載されている。また、同文献の実施例1では、その調製液にさらに過酸化水素を加えて所望の過酸化水素/過酢酸比のサンプルを調製するように記載されている。
しかし、上記の過酢酸組成物に単に水を加えて希釈するという方法では、過酢酸と過酸化水素の比率は変化せず、過酸化水素/過酢酸比は1.5のままであり、また、それに過酸化水素をさらに加えるという方法では過酸化水素濃度が上昇するだけで、いずれにしても過酢酸濃度を500〜3000ppmとし、かつ過酸化水素/過酢酸比率を0.7以下に低く抑えた過酢酸組成物は得られない。
また、近年、各種飲料食品関連では、この過酢酸に対し強い抵抗性を示すパエニバチルス(Paenibacillus)属細菌等の耐性菌の問題が顕在化してきている。(特許文献2)
しかし、上記の過酢酸組成物に単に水を加えて希釈するという方法では、過酢酸と過酸化水素の比率は変化せず、過酸化水素/過酢酸比は1.5のままであり、また、それに過酸化水素をさらに加えるという方法では過酸化水素濃度が上昇するだけで、いずれにしても過酢酸濃度を500〜3000ppmとし、かつ過酸化水素/過酢酸比率を0.7以下に低く抑えた過酢酸組成物は得られない。
また、近年、各種飲料食品関連では、この過酢酸に対し強い抵抗性を示すパエニバチルス(Paenibacillus)属細菌等の耐性菌の問題が顕在化してきている。(特許文献2)
防菌防黴 2006年7月号 397〜400ページ
本発明は、これらの芽胞形成菌に対して、短時間で高い殺菌効果を示す過酢酸殺菌組成物を提供する。
本発明者らは、耐薬品性の高い芽胞形成菌であるバチルス・セレウスやパエニバチルス属細菌に対し、過酢酸平衡組成物中の過酸化水素含有比率を低くした過酢酸組成物が高い殺菌効果を示すことを見出した。そこで、鋭意検討した結果、本発明のバチルス・セレウスやパエニバチルス属細菌に有効な過酢酸殺菌組成物を完成させた。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1) 過酢酸濃度3200ppm以上かつ過酢酸/過酸化水素比が1〜25である過酢酸含有殺菌組成物。
(2) パエニバチルス属細菌およびバチルス・セレウスに対して殺菌性を示すことを特徴とする、(1)に記載の過酢酸含有殺菌組成物。
(3) (1)に記載の過酢酸含有殺菌組成物を用いる殺菌方法。
(4) (2)に記載の過酢酸含有殺菌組成物を用いる、パエニバチルス属細菌およびバチルス・セレウスに対する殺菌方法。
(5) 殺菌処理を60℃〜95℃で行うことを特徴とする、(3)または(4)に記載の殺菌方法。
(6) 殺菌処理を5秒〜60秒で行うことを特徴とする、(3)または(4)に記載の殺菌方法。
以下、本発明を詳しく説明する。
通常、過酢酸は過酸化水素と酢酸との平衡反応により生成され、該平衡組成物中の過酸化水素含有比率を低くすることで、芽胞形成菌であるバチルス・セレウスやパエニバチルス属細菌に有効な殺菌効果を発揮するが、その生成に当たり、過酸化水素と酢酸の極端な比率を用いる事は、経済性や安全性の面から見て好ましくない。製造の際に、過酸化水素の比率を極端に下げて過酢酸/過酸化水素の比率が著しく高い過酢酸組成物を得ようとすると、結果として酢酸濃度の高い平衡組成となり、危険性が高まるため扱いにくいものとなる。危険性を回避するために、希釈して過酢酸濃度を下げた低濃度過酢酸組成物とすれば、輸送・保管などの経済的な面から実用に合わないものとなる。
通常、過酢酸は過酸化水素と酢酸との平衡反応により生成され、該平衡組成物中の過酸化水素含有比率を低くすることで、芽胞形成菌であるバチルス・セレウスやパエニバチルス属細菌に有効な殺菌効果を発揮するが、その生成に当たり、過酸化水素と酢酸の極端な比率を用いる事は、経済性や安全性の面から見て好ましくない。製造の際に、過酸化水素の比率を極端に下げて過酢酸/過酸化水素の比率が著しく高い過酢酸組成物を得ようとすると、結果として酢酸濃度の高い平衡組成となり、危険性が高まるため扱いにくいものとなる。危険性を回避するために、希釈して過酢酸濃度を下げた低濃度過酢酸組成物とすれば、輸送・保管などの経済的な面から実用に合わないものとなる。
本発明の過酢酸組成物の合成方法は、安全性や経済性、また調製時間の速さなどから適切な方法を選択すればよい。
一般的な過酢酸組成物の調製方法としては、酢酸と過酸化水素を十分に混合して適度な温度条件下で数日から数週間ほど静置する方法が例示できる。この調製過程は、酢酸+過酸化水素←→過酢酸+水の平衡反応であるため、混合の際に酢酸と過酸化水素の量を適切に調整することで、過酢酸/過酸化水素比が1〜25となる過酢酸組成物が得られる。平衡に達した状態では、常に過酢酸・過酸化水素・酢酸・水を含む。
この調製方法の変法に、グリセリン酢酸エステルと過酸化水素から過酢酸組成物を得る方法などがある。
一般的な過酢酸組成物の調製方法としては、酢酸と過酸化水素を十分に混合して適度な温度条件下で数日から数週間ほど静置する方法が例示できる。この調製過程は、酢酸+過酸化水素←→過酢酸+水の平衡反応であるため、混合の際に酢酸と過酸化水素の量を適切に調整することで、過酢酸/過酸化水素比が1〜25となる過酢酸組成物が得られる。平衡に達した状態では、常に過酢酸・過酸化水素・酢酸・水を含む。
この調製方法の変法に、グリセリン酢酸エステルと過酸化水素から過酢酸組成物を得る方法などがある。
この製造方法により得られた過酢酸組成物を、水等の希釈液により所望の濃度に希釈して用いる。一般に過酢酸濃度が高いほど、殺菌効果は高い傾向にあるが、取扱性や経済性の観点から過酢酸濃度が3200ppm〜12000ppmが好ましく、より好ましい濃度は3400ppm〜10000ppm、さらに好ましい濃度は3400ppm〜8000ppmである。
また、過酢酸は、上記のように通常過酸化水素と酢酸の平衡反応で生成し、調製し終わった過酢酸組成物中には、過酢酸、過酸化水素および酢酸が平衡を保つ形で存在している。その過酢酸組成物中の過酢酸/過酸化水素の濃度比は、バチルス・セレウスやパエニバチルス属細菌に対する殺菌性の面からは1〜25が好ましく、2〜25がより好ましく、2.5〜25がさらに好ましい。
また、過酢酸は、上記のように通常過酸化水素と酢酸の平衡反応で生成し、調製し終わった過酢酸組成物中には、過酢酸、過酸化水素および酢酸が平衡を保つ形で存在している。その過酢酸組成物中の過酢酸/過酸化水素の濃度比は、バチルス・セレウスやパエニバチルス属細菌に対する殺菌性の面からは1〜25が好ましく、2〜25がより好ましく、2.5〜25がさらに好ましい。
本発明の過酢酸組成物を用いて殺菌処理を行う際の条件としては、該過酢酸組成物が芽胞などの菌体に作用する時間・温度として、より長時間・より高温が好ましい。
しかし、食品飲料容器の殺菌処理などにおいて、作業の効率性や容器の耐熱性等の実用性を考慮すれば、作用時間としては5秒〜120秒が好ましく、より好ましくは5秒〜60秒、さらに好ましくは5秒〜15秒である。また、殺菌処理の温度としては、60℃〜95℃が好ましく、より好ましくは65℃〜90℃、さらに好ましくは65℃〜75℃である。
しかし、食品飲料容器の殺菌処理などにおいて、作業の効率性や容器の耐熱性等の実用性を考慮すれば、作用時間としては5秒〜120秒が好ましく、より好ましくは5秒〜60秒、さらに好ましくは5秒〜15秒である。また、殺菌処理の温度としては、60℃〜95℃が好ましく、より好ましくは65℃〜90℃、さらに好ましくは65℃〜75℃である。
また、本発明の過酢酸組成物の作用形態には特に制限は無く、用いる対象・装置設備・状況に応じて最適な形態をとればよい。たとえば、容器の殺菌処理の場合、対象容器を本組成物に浸漬する方法が例示できる。あるいは、容器表面を洗浄するように本組成物を流動させる方法が例示できる。また、適量の本組成物を容器表面に噴霧する方法が例示できる。処理後は、残留している本組成物が十分に除かれるよう、対象物を清浄な無菌水等で洗浄するのが望ましい。処理後の本組成物は特段の支障がない限り再使用することができるが、過酢酸濃度の低下等に留意する必要がある。
また、本発明の過酢酸組成物に対し、その目的・用途に応じて、添加物等を加えてもよい。ただし、特に過酢酸の分解を引き起こす金属類・化合物類の添加は避けなければならない。また、食品飲料関係の場合、その添加剤の使用が人体などに安全か否かに留意する必要がある。
添加剤としては、過酢酸組成物の安定化剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ピロリン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸などが挙げられる。また、殺菌助剤としては、ベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、フェニルエチルアルコール、クロロブタノール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、p−エチルフェノール、p−プロピルフェノール、ショ糖グリセリンエステル、ソルビトール、グリセリントリ酢酸エステル、クロロ酢酸、ギ酸、ギ酸ナトリウムなどが挙げられる。洗浄助剤としては、一般的な界面活性剤であれば、特に制限されない。目的に応じてアニオン系、カチオン系、あるいはノニオン系界面活性剤から1種または2種以上を選択すればよいが、
特に好ましくは、第2級アルキルスルホン酸ナトリウムまたはアルキルベンゼンスルホン酸とポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(LES70%)を85:15の割合で配合したものである。
添加剤としては、過酢酸組成物の安定化剤として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ピロリン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸などが挙げられる。また、殺菌助剤としては、ベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、フェニルエチルアルコール、クロロブタノール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、p−エチルフェノール、p−プロピルフェノール、ショ糖グリセリンエステル、ソルビトール、グリセリントリ酢酸エステル、クロロ酢酸、ギ酸、ギ酸ナトリウムなどが挙げられる。洗浄助剤としては、一般的な界面活性剤であれば、特に制限されない。目的に応じてアニオン系、カチオン系、あるいはノニオン系界面活性剤から1種または2種以上を選択すればよいが、
特に好ましくは、第2級アルキルスルホン酸ナトリウムまたはアルキルベンゼンスルホン酸とポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(LES70%)を85:15の割合で配合したものである。
過酢酸は、過酸化水素同様、過酸化物であり、その殺菌効果は、過酢酸が分解して発生する酢酸+水+活性酸素のうちの活性酸素によるものと考えられる。すなわち、発生した活性酸素が、細菌などの対象微生物の酵素タンパク等構成分子を酸化して、その機能を失わせるために微生物が死滅するとみられる。また、過酢酸/過酸化水素濃度比を1以上に高めることにより、バチルス・セレウスやパエニバチルス属細菌の芽胞に対してより有効となることに関し、その詳細なメカニズムは明らかではないが、過酢酸がパエニバチルス属細菌等の芽胞の胞子膜を透過して芽胞内部で殺菌効果を発揮し、過酸化水素はその過酢酸の胞子膜透過性を阻害するため、と考えられる。
本発明による過酢酸組成物は、その優れた殺菌力から、パエニバチルス属細菌やバチルス・セレウスを含む菌類・微生物の汚染・混入が問題となる分野・用途で使用でき、たとえば、食品関連、無菌包装容器、設備機器・容器類、室内環境殺菌、医療関連、高水準消毒・内視鏡・透析ライン・その他医療機器類・院内環境殺菌、リネン関連、農・漁業関連設備器具類、病原菌殺菌などで用いることが出来る。
本発明の過酢酸組成物は、以下のようにして調製した。
35%過酸化水素と、氷酢酸または80%酢酸を適量混合し、さらに0.3%となるようピロリン酸を加えて攪拌し、均一な溶液とした。これを40℃温浴中に3日間静置した。さらに室温で3日間静置して所望の過酢酸組成物を得た。
該方法で、35%過酸化水素:10.0%、氷酢酸:89.7%、ピロリン酸:0.3%とした場合、得られた過酢酸組成物において、過酢酸濃度は7.4%、過酸化水素は0.3%、酢酸は83%であり、過酢酸/過酸化水素濃度比は25であった。
また、35%過酸化水素:52.3%、80%酢酸:47.4%、ピロリン酸:0.3%とした場合、過酢酸濃度は12.1%、過酸化水素は12.9%、 酢酸は28%であり、過酢酸/過酸化水素濃度は0.9であった。
35%過酸化水素と、氷酢酸または80%酢酸を適量混合し、さらに0.3%となるようピロリン酸を加えて攪拌し、均一な溶液とした。これを40℃温浴中に3日間静置した。さらに室温で3日間静置して所望の過酢酸組成物を得た。
該方法で、35%過酸化水素:10.0%、氷酢酸:89.7%、ピロリン酸:0.3%とした場合、得られた過酢酸組成物において、過酢酸濃度は7.4%、過酸化水素は0.3%、酢酸は83%であり、過酢酸/過酸化水素濃度比は25であった。
また、35%過酸化水素:52.3%、80%酢酸:47.4%、ピロリン酸:0.3%とした場合、過酢酸濃度は12.1%、過酸化水素は12.9%、 酢酸は28%であり、過酢酸/過酸化水素濃度は0.9であった。
なお、過酢酸の濃度は以下の方法によって求めた。
(1)トータルパーオキサイド濃度の測定
過酢酸を含む溶液0.1gに純水約20mlを加え、(1+9)硫酸10ml、1Nヨウ化カリウム溶液10ml、0.5%モリブデン酸アンモニウム溶液1〜2滴を加えてN/10チオ硫酸ナトリウム標準液で滴定した。
(2)過酸化水素濃度の測定
同じ過酢酸を含む溶液0.1gに純水約20mlを加え、(1+9)硫酸10ml、フェロイン指示薬2〜3滴を加えてN/10硫酸セリウム標準液で滴定した。
過酢酸濃度は、次式により、(1)トータルパーオキサイド濃度から(2)過酸化水素濃度を引いた値を過酢酸に換算して求めた。
過酢酸濃度(%)=(トータルパーオキサイド濃度%−過酸化水素濃度%)×76/34
(1)トータルパーオキサイド濃度の測定
過酢酸を含む溶液0.1gに純水約20mlを加え、(1+9)硫酸10ml、1Nヨウ化カリウム溶液10ml、0.5%モリブデン酸アンモニウム溶液1〜2滴を加えてN/10チオ硫酸ナトリウム標準液で滴定した。
(2)過酸化水素濃度の測定
同じ過酢酸を含む溶液0.1gに純水約20mlを加え、(1+9)硫酸10ml、フェロイン指示薬2〜3滴を加えてN/10硫酸セリウム標準液で滴定した。
過酢酸濃度は、次式により、(1)トータルパーオキサイド濃度から(2)過酸化水素濃度を引いた値を過酢酸に換算して求めた。
過酢酸濃度(%)=(トータルパーオキサイド濃度%−過酸化水素濃度%)×76/34
殺菌効果の検証には、バチルス・セレウス、パエニバチルス属細菌および芽胞形成菌であるバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)を用いた。
また、各種飲料食品関連では、殺菌効果の指標を5D以上としており、それを本発明の過酢酸組成物の殺菌効果の指標とした。
ここで、D値(1D)とは、一定の温度において被実験組成物で殺菌処理を行った場合に、対象微生物の初菌数(当初芽胞数)(N0)と生残菌数(N)の比(N/N0)が1/10となるのに要する処理時間(分)である。
また、被実験組成物の所定殺菌時間は0.25分(15秒)とした。そして、この所定殺菌時間0.25分をD値で除した値(0.25/1D)を殺菌効果の指標とし、それが5以上である場合、5D以上として十分な殺菌効果があると判定した。
ここで、D値(1D)とは、一定の温度において被実験組成物で殺菌処理を行った場合に、対象微生物の初菌数(当初芽胞数)(N0)と生残菌数(N)の比(N/N0)が1/10となるのに要する処理時間(分)である。
また、被実験組成物の所定殺菌時間は0.25分(15秒)とした。そして、この所定殺菌時間0.25分をD値で除した値(0.25/1D)を殺菌効果の指標とし、それが5以上である場合、5D以上として十分な殺菌効果があると判定した。
なお、非耐熱のPETボトル無菌充填に関して、ボトリング各社で用いられている処理温度、過酢酸濃度、処理時間はそれぞれ異なるが、一般的には処理温度53℃〜65℃、処理時間10秒〜20秒で行なわれている事から、所定殺菌時間を0.25分(15秒)と定めた。
(殺菌試験法)
(1)20ml容滅菌済みビーカーに、過酢酸組成物の試験液9mlを分取した。
(2)40℃〜70℃の温浴中に設置し、攪拌しながら5分間保持した。
(3)芽胞液1mlを接種し、所定時間経過後に1mlを採取して、氷冷した不活化剤9mlと直ちに混和した。
(4)段階希釈し、標準寒天培地(日水製薬製)で混釈後、35℃・2日間培養した。
(5)コロニー数をカウントして生残菌数とし、D値を算出した。
(1)20ml容滅菌済みビーカーに、過酢酸組成物の試験液9mlを分取した。
(2)40℃〜70℃の温浴中に設置し、攪拌しながら5分間保持した。
(3)芽胞液1mlを接種し、所定時間経過後に1mlを採取して、氷冷した不活化剤9mlと直ちに混和した。
(4)段階希釈し、標準寒天培地(日水製薬製)で混釈後、35℃・2日間培養した。
(5)コロニー数をカウントして生残菌数とし、D値を算出した。
(実施例1)
パエニバチルス属細菌としてパエニバチルス・チベンシス(Paenibacillus chibensis)を用い、殺菌効果を評価した。当初芽胞数は3.2×106cfu/mlとした。用いた過酢酸組成物は、過酢酸濃度:過酸化水素(ppm)=3000:1041、3500:1215、4000:1388、5000:1735であった。
以下に、その結果を示す。
パエニバチルス属細菌としてパエニバチルス・チベンシス(Paenibacillus chibensis)を用い、殺菌効果を評価した。当初芽胞数は3.2×106cfu/mlとした。用いた過酢酸組成物は、過酢酸濃度:過酸化水素(ppm)=3000:1041、3500:1215、4000:1388、5000:1735であった。
以下に、その結果を示す。
上記の結果より、パエニバチルス・チベンシスに対し、過酢酸5000ppm/過酸化水素1735ppmの過酢酸組成物では、60℃で指標5D以上であった。過酢酸4000ppm/過酸化水素1388ppm、および過酢酸3500ppm/過酸化水素1215ppmの過酢酸組成物では、70℃で指標5D以上であった。過酢酸3000ppm/過酸化水素1041ppmでは、指標5Dは得られなかった。
(実施例2)
バチルス・セレウスを用い、殺菌効果を評価した。当初芽胞数は1.2×106cfu/mlとした。用いた過酢酸組成物は、過酢酸濃度:過酸化水素(ppm)=3500:1215であった。
以下に、その結果を示す。
バチルス・セレウスを用い、殺菌効果を評価した。当初芽胞数は1.2×106cfu/mlとした。用いた過酢酸組成物は、過酢酸濃度:過酸化水素(ppm)=3500:1215であった。
以下に、その結果を示す。
上記の結果より、バチルス・セレウスに対しては、過酢酸濃度3500ppm/過酸化水素濃度1215ppmの過酢酸組成物により65℃以上において、5D以上の殺菌効果が示された。
(比較例1)
パエニバチルス属細菌としてパエニバチルス・ファビスポラス(Paenibacillus favisporus)を用い、殺菌効果を評価した。当初芽胞数は1.5×107cfu/mlとした。用いた過酢酸組成物は、過酢酸濃度:過酸化水素(ppm)=6000:12000であった。
以下に、その結果を示す。
パエニバチルス属細菌としてパエニバチルス・ファビスポラス(Paenibacillus favisporus)を用い、殺菌効果を評価した。当初芽胞数は1.5×107cfu/mlとした。用いた過酢酸組成物は、過酢酸濃度:過酸化水素(ppm)=6000:12000であった。
以下に、その結果を示す。
上記の結果より、過酢酸/過酸化水素濃度比が1を下回った過酢酸組成物では、パエニバチルス・ファビスポラスに対して、70℃の高温条件下でも5Dを得られないことが示された。
(比較例2)
パエニバチルス属細菌としてパエニバチルス・チベンシス(Paenibacillus chibensis)を用い、殺菌効果を評価した。当初芽胞数は6.1×105cfu/mlとした。用いた過酢酸組成物は、過酢酸濃度:過酸化水素(ppm)=4000:6667、6000:10000、8000:13333であった。
以下に、その結果を示す。
パエニバチルス属細菌としてパエニバチルス・チベンシス(Paenibacillus chibensis)を用い、殺菌効果を評価した。当初芽胞数は6.1×105cfu/mlとした。用いた過酢酸組成物は、過酢酸濃度:過酸化水素(ppm)=4000:6667、6000:10000、8000:13333であった。
以下に、その結果を示す。
上記の結果より、過酢酸/過酸化水素濃度比が0.6である過酢酸組成物では、過酢酸濃度が8000ppmあっても、比較例1と同様、パエニバチルス・チベンシスに対して、5Dの殺菌効果は得られなかった。
(比較例3)
バチルス・サブチリスを用い、殺菌効果を評価した。当初芽胞数は1.1×106cfu/mlとした。用いた過酢酸組成物は、過酢酸濃度:過酸化水素(ppm)=2000:694であった。
以下に、その結果を示す。
バチルス・サブチリスを用い、殺菌効果を評価した。当初芽胞数は1.1×106cfu/mlとした。用いた過酢酸組成物は、過酢酸濃度:過酸化水素(ppm)=2000:694であった。
以下に、その結果を示す。
上記の結果より、バチルス・サブチリスでは、過酢酸2000ppm/過酸化水素694ppmの過酢酸組成物で、40℃において5D以上が得られた。
本発明による過酢酸組成物は、食品関連、無菌包装容器、設備機器・容器類、室内環境殺菌、医療関連、高水準消毒・内視鏡・透析ライン・その他医療機器類・院内環境殺菌、リネン関連、農・漁業関連設備器具類、病原菌殺菌などの分野・用途で、パエニバチルス属細菌やバチルス・セレウスを含む有害菌の殺菌操作に有効な組成物である。
Claims (6)
- 過酢酸濃度3200ppm以上かつ過酢酸/過酸化水素比が1〜25である過酢酸含有殺菌組成物。
- パエニバチルス属細菌およびバチルス・セレウスに対して殺菌性を示すことを特徴とする、請求項1に記載の過酢酸含有殺菌組成物。
- 請求項1に記載の過酢酸含有殺菌組成物を用いる殺菌方法。
- 請求項2に記載の過酢酸含有殺菌組成物を用いる、パエニバチルス属細菌およびバチルス・セレウスに対する殺菌方法。
- 殺菌処理を60℃〜95℃で行うことを特徴とする、請求項3または4に記載の殺菌方法。
- 殺菌処理を5秒〜60秒で行うことを特徴とする、請求項3または4に記載の殺菌方法。
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JP2011085475A JP2012219053A (ja) | 2011-04-07 | 2011-04-07 | 過酢酸組成物 |
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---|---|---|---|---|
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-
2011
- 2011-04-07 JP JP2011085475A patent/JP2012219053A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3801021A4 (en) * | 2018-05-31 | 2022-03-09 | Evonik Operations GmbH | SPORICIDAL METHODS AND COMPOSITIONS |
US11570988B2 (en) * | 2018-05-31 | 2023-02-07 | Evonik Operations Gmbh | Sporicidal methods and compositions |
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