JP2002532398A - 高活性を有する過酸化水素系消毒薬 - Google Patents

高活性を有する過酸化水素系消毒薬

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Abstract

(57)【要約】 消毒薬活性が改善された酸性過酸化水素水溶液が提供される。濃厚溶液は好ましくは約8%以下の過酸化物を含有し、使用時の濃度は約0.5%過酸化物である。その溶液はさらに、リン酸および/または1〜5個のホスホン酸基を有するホスホネートなどの0.1〜5.0%の少なくとも1つの酸化合物ならびに0.02〜5%の少なくとも1つのアニオン系界面活性剤をも含む。界面活性剤は、C8〜C16−アルキルアリールスルホン酸類、スルホン化C12〜C22カルボン酸類、C8〜C22−アルキルジフェニルオキサイドスルホン酸類、ナフタレンスルホン酸類、C8〜C22アルキルスルホン酸類ならびにそれらのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、そしてC8〜C18アルキル硫酸アルカリ金属塩、ならびにそれらの混合物から選択される。最も好ましくはこの溶液は、アルキル化ジフェニルオキサイドの塩などの乳化剤を含む。当該溶液は、腐食防止剤および/または低級アルコールも含むことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1998年12月14日出願の仮特許出願60/112047号の
継続出願である。
【0002】 (発明の分野) 本発明は消毒薬に関するものであり、詳細には、改良された消毒特性および抗
菌特性を有する過酸化水素溶液に関する。
【0003】 (発明の背景) 例えばブロック教授の編著(Disinfection, Sterilization, and Preservatio
n, edited and partially written by Professor Seymour S. Block, Fourth Ed
ition, published 1991 by Lea & Febiger, Pennsylvania)で考察されているよ
うに、広範囲の消毒薬が知られている。ある種の過酸化化合物、塩素化合物、フ
ェノール類、4級アンモニウム化合物および界面活性剤は、殺菌性を有すること
が知られている。殺菌速度は多くの場合で比較的遅く、揮発性の有機化合物を放
出したり、あるいは環境中に持続的残留物を残す化合物もある。
【0004】 過酸化水素は、分解生成物が水と酸素という無害なものであることから、さら
には広スペクトルの抗菌活性を有する傾向があることから、多くの利用分野で好
まれる。広スペクトル活性は、有害な生物が存在するがそれが何であるか確認さ
れていない状況では重要である。過酸化水素は不安定で経時的に分解する傾向が
あることから、いかなる期間にわたってそれを保存する場合にも、過酸化水素溶
液を安定化させる工程がなければならない。過酸化水素組成物の安定性向上に向
けては各種方途が提案されている。例えばスズ酸ナトリウム、硝酸ナトリウムお
よびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)は、1996年6月4
日に発行されたWinterton らの米国特許第5523012号に開示されているよ
うに、安定化剤として有用であると報告されている。さらに、従来使用されてい
るほとんどの消毒薬の主要な欠点は、細菌で汚染された物に消毒薬を施した後に
細菌数を減少させるのに要する時間であった。例えば、処理表面を消毒するのに
、消毒薬を施してから30分以上を要する場合がある。多くの状況で、その殺菌
速度は満足できるものからほど遠い。
【0005】 過酸化水素と各種界面活性剤との併用が知られている。例えばWinterton らは
米国特許第5523012号で、眼球に適合性の界面活性剤を約0.1%〜約1
.0%含むコンタクトレンズ用緩衝消毒液を開示している。Winterton はある実
験で、約0.4%のアニオン系スルホコハク酸界面活性剤を加えることで、aspe
rgillus fumigatus の殺菌時間が6.9分まで改善され、それに対して0.1%
ノニオン系界面活性剤を含む溶液では9.4分であったことを開示している。し
かしながら6.9分であっても、多くの利用分野においてあまりにも長い。 本発明は、過酸化水素に基づく溶液の効力の改善に関するものである。
【0006】 (発明の概要) 従って本発明は、i)溶液の約20重量%までの濃度の過酸化水素、ii)溶
液の0.05〜8.0重量%の濃度範囲の少なくとも1つのリンに基づく酸、な
らびにiii)溶液の0.02〜5重量%の濃度範囲のC8〜C16−アルキル
アリールスルホン酸類およびその酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、ス
ルホン化C12〜C22カルボン酸類およびその酸のアルカリ金属塩およびアン
モニウム塩、C8〜C22−アルキルジフェニルオキサイドスルホン酸類および
その酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、ナフタレンスルホン酸類および
その酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C8〜C22アルキルスルホン
酸類およびその酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C8〜C18アルキ
ル硫酸アルカリ金属塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される少な
くとも1つのアニオン系界面活性剤を含む水溶液を提供する。
【0007】 一実施形態において、前記リンに基づく酸は、リン酸および1〜5個のホスホ
ン酸基を有するホスホネートからなる群から選択される。
【0008】 一実施形態において、前記リンに基づく酸は、リン酸、アミノトリ(メチレン
ホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ジエチレン
トリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノビス(
メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)および
それらの混合物からなる群から選択される。
【0009】 さらに別の実施形態では、前記溶液は約3重量%までの少なくとも1つの乳化
剤を含有する。
【0010】 別の実施形態において、前記乳化剤は、ポリオキシエチレン系界面活性剤およ
びC8〜C16アルキルフェノールアルコキシレート類などのヒドロトロピー剤
からなる群から選択される。
【0011】 さらに別の実施形態では、乳化剤はオクチルフェニルエトキシレートである。
【0012】 別の実施形態において前記溶液は、その溶液の0.05〜8.0重量%の過酸
化水素濃度を有する。
【0013】 さらに別の実施形態において前記溶液は、その溶液の0.05〜1.0重量%
の過酸化水素濃度を有する。
【0014】 さらに別の実施形態において過酸化水素濃度は、前記溶液の3.0〜8.0重
量%である。
【0015】 さらに別の実施形態において、前記アルキルアリールスルホネートは、ドデシ
ルベンゼンスルホネートまたはそれのアルカリ金属塩またはそれのアンモニウム
塩である。
【0016】 別の実施形態において前記溶液は、腐食防止剤を含有する。
【0017】 さらに別の実施形態において前記腐食防止剤は、ベンゾトリアゾール、ヒドロ
ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、硝酸ナトリウム、モリブ
デン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウムおよび安息香酸ナトリウムならびにそ
れらの組合せからなる群から選択される。
【0018】 さらに別の実施形態において前記腐食防止剤は、溶液の0.05〜10.0重
量%の濃度で存在する。
【0019】 別の実施形態において前記溶液は、メタノール、エタノールおよびイソプロパ
ノールなどのC1〜C6アルコールを0.1〜10.0重量%含有する。
【0020】 別の実施形態において前記溶液は、酢酸、グリコール酸、クエン酸、コハク酸
およびそれらの混合物などのモノもしくはポリカルボン酸またはそれらの混合物
を含む。
【0021】 さらに別の実施形態において前記溶液は、アルキル化アルコキシレート系界面
活性剤、アルキルアリールアルコキシレート系界面活性剤およびそれらの混合物
からなる群から選択されるノニオン系界面活性剤を含む。
【0022】 (好ましい実施形態の詳細な説明) 過去数年間にわたり、高希釈した場合に微生物に対して非常に有効で、ヒトそ
の他の動物に対する毒性が低く、環境に害を及ぼさない化学薬品開発に向けて鋭
意努力を行ってきた。全ての公知の消毒薬および抗菌薬の中では、分解生成物が
無害であることから、特に毒性および環境に対する害に関して、過酸化水素が特
に有望であるように思われる。例えば、1〜3%水溶液の濃度では過酸化水素は
、非腐食性および非刺激性であると考えられる。3〜7%水溶液の濃度では過酸
化水素は、非腐食性であるが眼球に対して刺激性であると考えられる。約8%を
超える水溶液の濃度では過酸化水素は腐食性であると考えられる。さらに高濃度
ではさらにその傾向が強く、強力な酸化剤でもある。
【0023】 迅速かつ効果的な作用を得る上で必要な比較的高濃度レベルの過酸化水素溶液
は、実用的でも経済的に存続できるものでもなく、危険有害商品規制を受け、取
り扱いおよび使用には特別な注意が必要であると考えられる。従来、低濃度の過
酸化水素の主要な欠点の1つは、それの抗菌作用が遅すぎるという点である。第
2の主要な欠点は、溶液を商業的に許容できるものとする程度に過酸化水素を安
定化させることは不可能であると考えられてきたという点である。例えば、先行
技術の文献では、0.1%過酸化水素水溶液は黄色ブドウ球菌で汚染された表面
を消毒するのに60分間を要するが、25.8%過酸化水素水溶液は黄色ブドウ
球菌で汚染された表面を消毒するのに20秒しか要しない。安全性の観点および
経済的観点の両方から、後者の溶液は商業的使用には許容できないことは明らか
である。
【0024】 リンに基づく酸およびアニオン系界面活性剤を加えることで、過酸化水素水溶
液の活性が大幅に高められることがわかった。そのリンに基づく酸は無機酸また
は有機酸である。特に好ましいものは、リン酸(H3PO4)および1〜5個のホ
スホン酸基を有するホスホネート類である。特に好ましいホスホネート類は、ア
ミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホス
ホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシ
エチルイミノビス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレン
ホスホン酸)である。それぞれは単独で用いることができるが、リン酸と少なく
とも1つの前記ホスホネートの混合物が好ましい。これらホスホン酸類の一部は
、商標BRIQUEST下に市販されており(Albright & Wilson から)、一部
は商標DEQUEST下に市販されている (Solutia Inc. から)。リンに基づく
酸の濃度は、溶液の0.05〜8.0重量%である。過酸化水素濃度が相対的に
低い溶液には、相対的に低い濃度が好ましい。溶液のpHは好ましくは約1〜約
9であり、特には1〜7であり、さらに詳細には約1〜約3である。
【0025】 前記アニオン系界面活性剤は、溶液の0.02〜5重量%の濃度範囲のC8〜
C16−アルキルアリールスルホン酸類およびその酸のアルカリ金属塩およびア
ンモニウム塩、スルホン化C12〜C22カルボン酸類およびその酸のアルカリ
金属塩およびアンモニウム塩、C8〜C22−アルキルジフェニルオキサイドス
ルホン酸類およびその酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、ナフタレンス
ルホン酸類およびその酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C8〜C22
アルキルスルホン酸類およびその酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C
8〜C18アルキル硫酸アルカリ金属塩、ならびにそれらの混合物からなる群か
ら選択される。好ましくはそのアニオン系界面活性剤は、アルキルアリールスル
ホネート、特にはC10〜C16アルキルベンゼンスルホネートまたはそれらの
混合物である。好ましいアニオン系界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホネー
ト、ならびにトリデシルベンゼンスルホネートおよびそれらの塩(例:ナトリウ
ム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)である。アルキルアリールスルホネートが
その生体分解性から好ましい。
【0026】 スルホン化C12〜C22カルボン酸類の中では、スルホン化9−オクタデカ
ン酸が好ましい。C8〜C22−アルキルジフェニルオキサイドスルホン酸およ
び塩の中では、ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸および4−ドデシル
化ジフェニルオキサイドスルホン酸二ナトリウム、アルキル化スルホン化ジフェ
ニルオキサイド二ナトリウム塩が好ましい。C8〜C22アルキルスルホン酸の
中では、1−オクタンスルホン酸、1−デカンスルホン酸およびトリデカンスル
ホン酸のナトリウム塩が好ましい。C8〜C18アルキル硫酸アルカリ金属塩の
中では、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
【0027】 過酸化水素溶液は、例えば3〜10重量%、好ましくは3〜8重量%の過酸化
水素という濃厚水溶液として調製することができ、それを末端ユーザが希釈する
ことができるか、あるいは溶液を例えば0.3〜1.0重量%という希釈液の形
で調製することができる。後述の実施例で示すように、約0.5重量%の溶液が
、細菌活性およびウィルス活性を大幅に低下させる上で有効である。
【0028】 約0.3〜1.0重量%、特には約0.5重量%の過酸化水素を含む溶液は、
家庭用および商業用の消毒薬、殺細菌剤、殺ウィルス剤、清浄剤および洗浄剤と
しての用途に好適である。約3〜4重量%を含む溶液は、多目的洗浄剤ならびに
保健施設、家庭および商業施設における代替漂白剤としての用途に好適である。
約6〜8重量%の過酸化水素を含む溶液は、特に施設用途、保健用途および食品
用途における殺胞子剤、殺菌剤、殺ウィルス剤、殺細菌剤、広スペクトル清浄剤
、汎用洗浄剤および代替漂白剤としての使用に好適である。
【0029】 溶液に、他の界面活性剤を乳化剤として存在させることができる。例えばある
種の乳化剤は、有機物やグリースの付着した表面のクリーニングならびに溶液へ
の安定性付与において有効である。代表的には、乳化剤は過酸化水素100部当
たり乳化剤約10〜30部の濃度で存在する。ヒドロトロピー剤、特にはC8〜
C16アルキルフェノールアルコキシレート類が好ましい。
【0030】 好ましくは乳化剤は、溶液の約0.1〜0.2重量%の濃度でのポリオキシエ
チレンおよびフェノールエチレンオキサイド乳化剤の混合物である。好ましい乳
化剤は、C8〜C16アルキルフェノールアルコキシレート類、例えばオクチル
フェノールエトキシレートである。
【0031】 短鎖アルコール、例えばC1〜C6アルコール、特にはメタノール、エタノー
ルまたはイソプロパノールを加えて、有機汚染物に対する別のクリーニング能力
を付与することができる。短鎖アルコールの好ましい濃度は組成物の約0.1〜
約10重量%である。そのアルコールの添加は、より良好な殺菌活性を提供する
ものと考えられている。
【0032】 過酸化水素は広い活性スペクトルを有することから、多くの異なる利用分野に
おいて有用である。保健分野では、その溶液を病院、診療所、臨床検査室、歯科
医院、家庭看護施設および長期看護施設で用いることができる。それはまた、食
品および飲料の加工および製造、畜産、接客業ならびに雑役業務のような全般的
衛生にも用いることができる。
【0033】 本発明の溶液は、例えば1年以上の長い貯蔵寿命を有する。それは、これまで
に知られている低濃度過酸化水素溶液(例えば約0.5重量%過酸化水素溶液)
が急速に分解するのが一般的であるという事実を考慮すると驚くべきものである
【0034】 本発明の溶液の好ましい製造方法は、蒸留水または精製水に対して、リンに基
づく酸およびアニオン系界面活性剤ならびに任意選択で乳化剤を加えてから、過
酸化水素を加える工程を有するものである。アルコール類、香料、着色剤、染料
、腐食防止剤などの他の成分がある場合には、それらは好ましくは、過酸化水素
より前に添加する。
【0035】 以下の実施例を参照することで、本発明についての理解をさらに深めることが
できる。
【0036】 実施例I 蒸留水695重量部、75%リン酸(H3PO4)20重量部、50%ブリクエ
スト(Briquest)301−50A(商標)アミノトリ(メチレンホスホ
ン酸)75重量部、45%ヒドロトロピー剤Dowfax(商標)アルキル化ス
ルホン化ジフェニルオキサイド二ナトリウム塩乳化剤25重量部、98%Bio
soft(商標)ドデシルベンゼンスルホン酸25重量部、Triton X−
405 70%(商標)オクチルフェノールエトキシレート乳化剤10重量部お
よび50%過酸化水素150重量部を用いて、本発明の溶液(溶液A)を調製し
た。上記成分を不動態化容器中で混合し、過酸化水素を溶液に加える最後の成分
とした。溶液のpHは1.27であった。
【0037】 この溶液のアリコートについて、ミコバクテリア活性、殺胞子活性、殺真菌活
性、殺細菌活性および殺ウィルス活性を調べ、市販の消毒薬と比較した。殺細菌
活性および殺ウィルス活性の試験については、アリコートを水で希釈し、水15
部に対して溶液1部とした。
【0038】 定量的キャリア試験をサンプルについて行った。試験方法には、カナダ一般規
格委員会(Canadian General Standards Board)の規格(標題「Assessment of
Efficacy of Antimicrobial Agents for Use on Environmental Surfaces and
Medical Devices」(CGSB 1997))の必須要件を組み入れ、その方法はさらに、非
多孔性表面で使用される液体殺菌剤の殺ウィルス活性評価のためのASTM要件
にも準拠している。
【0039】 ミコバクテリア試験、殺胞子試験、殺真菌試験、殺細菌試験のためのキャリア
表面としては、ガラスバイアルの内側底面を用いた。殺ウィルス試験のキャリア
表面としては、ステンレス鋼ディスクを用いた。標準化試験での使用は極めて困
難であることから、絹縫合糸ループは用いなかった。
【0040】 いずれの試験微生物も最初に、最終濃度5%でウシ血清に懸濁させた。この生
成物を希釈してから試験に供しなければならなかった場合は、炭酸カルシウムと
して200ppmの標準硬度を有する水を希釈剤として用いた。水は AOAC Inte
rnational(1990)における処方に従って得た。
【0041】 pH7.2のリン酸緩衝液を用いて、殺胞子試験および殺細菌試験において、
胞子および栄養細菌細胞の希釈液を製造し、膜フィルタの洗浄を行った。ミコバ
クテリア試験および殺真菌試験に使用される希釈液およびフィルタ洗浄液は、無
菌の標準生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)であった。アール均衡塩類溶
液を用いて、感染性アッセイの前にウィルスの希釈液を調製した。
【0042】 試験消毒薬のミコバクテリア活性、殺胞子活性、殺真菌活性および殺細菌活性
の定量的分析の一般的工程は、i)挿入物をバイアルの中央に置いてキャリアを
接種し、ii)接種キャリアを染色し、iii)挿入物を取り出し、iv)接種キャリア
へ試験消毒薬を添加し、v)既知温度で既知曝露時間終了時に試験消毒薬を希釈
し、vi)濾過し、そしてvii)培地上へフィルタを載置し、次いでインキュベーシ
ョンを行う工程を含んでいた。次に、コロニー形成単位(CFU)を測定した。
【0043】 殺胞子試験および細菌試験の場合には消毒薬に代えてリン酸緩衝液を乾燥接種
物に施し、ミコバクテリア試験および殺真菌試験では無菌生理食塩水を施した以
外、試験キャリアと同様にして対照キャリアを用いた。試験では、各7個の試験
キャリアに対して3個の対照キャリアを設けた。
【0044】 殺ウィルス活性の場合、各ステンレス鋼製ディスクにウシ血清中の試験ウィル
スを接種した。接種物が乾燥した後、それを必要な接触時間および温度で、アー
ルの緩衝液または試験消毒薬のいずれかに曝露した。各ディスクを溶出液/希釈
液の入ったバイアルに入れ、渦撹拌して接種物を回収した。ウィルスプラークア
ッセイ用に、対照溶出液および試験溶出液を細胞培養物に接種した。次に、プラ
ーク形成単位(PFU)を測定した。擬陽性の結果を回避するため、細胞単層を
試験品の非殺ウィルス性および非細胞毒性希釈液に曝露し、つぎにその単層をプ
ラークアッセイに用いることで、さらなる対照試験を行った。そのような前曝露
単層上のプラーク数がアール液に曝露したものと同じ場合に、試験品には妨害は
なかったものと見なした。試験においては、各5個の試験キャリアに対して3個
の対照キャリアを設けた。
【0045】 試験結果を表Iおよび表IIに示す。
【表1】
【0046】
【表2】 ATCC 19659 枯草菌;ATCC 7955 スポロゲネス菌; ATCC 15442 緑膿菌;ATCC 6538 黄色ブドウ球菌; ATCC 10708 豚コレラ菌;ATCC 15755 ミコバクテリウ
ム−テレ;ATCC 9533 毛瘡白癬菌;ATCC VR−192
ポリオウイルスI型のセービンワクチン株。 **CFU=コロニー形成単位;PFU=プラーク形成単位。
【0047】 実施例II 文献(Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants, Fin
al Action AOAC XV, 1995, Part 6.3.03)記載の方法に従って、実施例Iの溶液
Aについてさらに試験を行った。
【0048】 試験微生物のサンプルを5%ウシ血清と混合した。溶液A各56mLを200
ppm合成硬水4リットルで希釈した。各希釈液を20℃で微生物に施し、1m
L当たりの微生物カウントを、溶液処理前、溶液処理の30秒後および60秒後
に求めた。結果は表III に示してある。
【表3】 ATCC 33592 黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性);ATCC 5
1572 エンテロコッカス−フェカーリス(バンコマイシン耐性)。
【0049】 実施例III 文献(Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants, Fin
al Action AOAC XV, 1995, Part 6.3.03)記載の方法に従って、実施例Iの溶液
Aについてさらに試験を行った。
【0050】 試験微生物のサンプルを5%ウシ血清と混合した。未希釈の溶液Aを20℃で
微生物に施し、1mL当たりの微生物カウントを、溶液処理前、溶液処理の30
秒後および60秒後に求めた。結果は表IVに示してある。
【表4】
【0051】 実施例IV 実施例IIによる試験に変更を加え、微生物に50%ウシ血清を加えた。溶液
A各56mLを200ppm合成硬水4リットルで希釈した。各希釈液を20℃
で微生物に施し、1mL当たりの微生物カウントを、溶液処理前、溶液処理の3
0秒後および60秒後に求めた。結果は表Vに示してある。
【表5】
【0052】 実施例VI 市販のクリーナーとの比較で、溶液Aの希釈溶液のクリーニング効率を求める
ための試験を行った。試験手順CAN/CGSB2.1、方法20.3を用い、
酸化鉄粉顔料、ケロセン、ストッダード溶剤、白色ワセリン、潤滑油およびショ
ートニングからなる合成土を白色ビニルタイルに施した。対照として、125p
pm硬水中の1%CGSB標準洗剤液を用いた。
【0053】 溶液Aの一部を125ppm硬水で希釈して、過酸化水素約0.06%を含む
溶液Bを得た。溶液Aの別の一部を125ppm硬水で希釈して、過酸化水素約
0.01%を含む溶液Cを得た。市販の次亜塩素酸ナトリウム漂白剤のサンプル
を1:20で希釈して、溶液Dを得た。
【0054】 汚れたタイルを各試験溶液50mLでクリーニングした。クリーニング効率値
は、反射率測定値に基づいたものとした。結果は表VIに示してある。
【表6】
【手続補正書】
【提出日】平成13年8月3日(2001.8.3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項17】 約1〜約3のpHを有する請求項16に記載の溶液。
【手続補正書】
【提出日】平成14年5月13日(2002.5.13)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】 一実施形態において、前記リンに基づく酸は、リン酸および1〜5個のホスホ
ン酸基を有するホスホネート(ホスホン酸)からなる群から選択される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】 リンに基づく酸およびアニオン系界面活性剤を加えることで、過酸化水素水溶
液の活性が大幅に高められることがわかった。そのリンに基づく酸は無機酸また
は有機酸である。特に好ましいものは、リン酸(H3PO4)および1〜5個のホ
スホン酸基を有するホスホネート(ホスホン酸)類である。特に好ましいホスホ
ネート(ホスホン酸)類は、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキ
シエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレン
ホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)、エチ
レンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)である。それぞれは単独で用いるこ
とができるが、リン酸と少なくとも1つの前記ホスホネート(ホスホン酸)の混
合物が好ましい。これらホスホン酸類の一部は、商標BRIQUEST下に市販
されており(Albright & Wilson から)、一部は商標DEQUEST下に市販さ
れている (Solutia Inc. から)。リンに基づく酸の濃度は、溶液の0.05〜8
.0重量%である。過酸化水素濃度が相対的に低い溶液には、相対的に低い濃度
が好ましい。溶液のpHは好ましくは約1〜約9であり、特には1〜7であり、
さらに詳細には約1〜約3である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 33/42 A61K 33/42 47/02 47/02 47/10 47/10 47/12 47/12 47/20 47/20 A61P 31/02 A61P 31/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C076 AA12 DD07 DD09 DD26 DD41 DD57 FF34 FF43 GG45 4C086 AA01 HA19 HA22 MA05 MA06 MA17 MA63 NA05 ZB33 ZB35 4H011 AA02 BA01 BA05 BB18 BC03 BC06 BC07 BC17 BC18 BC19 DA13 DH03

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 i)溶液の約20重量%までの濃度の過酸化水素、ii)溶
    液の0.1〜8.0重量%の濃度範囲の少なくとも1つのリンに基づく酸、なら
    びにiii)溶液の0.02〜5重量%の濃度範囲のC8〜C16−アルキルア
    リールスルホン酸類およびその酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、スル
    ホン化C12〜C22カルボン酸類およびその酸のアルカリ金属塩およびアンモ
    ニウム塩、C8〜C22−アルキルジフェニルオキサイドスルホン酸類およびそ
    の酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、ナフタレンスルホン酸類およびそ
    の酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C8〜C22アルキルスルホン酸
    類およびその酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C8〜C18アルキル
    硫酸アルカリ金属塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される少なく
    とも1つのアニオン系界面活性剤を含む水溶液。
  2. 【請求項2】 過酸化水素濃度が溶液の0.05〜8.0重量%である請求
    項1に記載の溶液。
  3. 【請求項3】 前記リンに基づく酸が、リン酸、1〜5個のホスホン酸基を
    有するホスホネートおよびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1に
    記載の溶液。
  4. 【請求項4】 前記溶液が約3重量%までの少なくとも1つの乳化剤を含有
    する請求項1に記載の溶液。
  5. 【請求項5】 前記溶液が約3重量%までの少なくとも1つの乳化剤を含有
    する請求項2に記載の溶液。
  6. 【請求項6】 前記溶液が約3重量%までの少なくとも1つの乳化剤を含有
    する請求項3に記載の溶液。
  7. 【請求項7】 前記乳化剤が、ポリオキシエチレン系界面活性剤およびヒド
    ロトロピー剤からなる群から選択される請求項4に記載の溶液。
  8. 【請求項8】 前記乳化剤が、ポリオキシエチレン系界面活性剤およびヒド
    ロトロピー剤からなる群から選択される請求項5に記載の溶液。
  9. 【請求項9】 前記乳化剤が、ポリオキシエチレン系界面活性剤およびヒド
    ロトロピー剤からなる群から選択される請求項6に記載の溶液。
  10. 【請求項10】 前記ヒドロトロピー剤が、アルキル化スルホン化ジフェニ
    ルオキサイドおよびアルキル化スルホン化ジフェニルオキサイド塩から選択され
    る請求項8に記載の溶液。
  11. 【請求項11】 前記乳化剤が、C8〜C16アルキルフェノキシポリエト
    キシエタノールである請求項8に記載の溶液。
  12. 【請求項12】 前記アルキルアリールスルホネートがドデシルベンゼンス
    ルホネートまたはそのアルカリ金属塩もしくはそのアンモニウム塩である請求項
    2に記載の溶液。
  13. 【請求項13】 前記アルキルアリールスルホネートがドデシルベンゼンス
    ルホネートまたはそのアルカリ金属塩もしくはそのアンモニウム塩である請求項
    3に記載の溶液。
  14. 【請求項14】 前記アルキルアリールスルホネートがドデシルベンゼンス
    ルホネートまたはそのアルカリ金属塩もしくはそのアンモニウム塩である請求項
    6に記載の溶液。
  15. 【請求項15】 前記溶液が、該溶液の0.05〜1.0重量%の過酸化水
    素濃度を有する請求項1に記載の溶液。
  16. 【請求項16】 前記溶液が、該溶液の0.05〜1.0重量%の過酸化水
    素濃度を有する請求項3に記載の溶液。
  17. 【請求項17】 前記溶液が、該溶液の0.05〜1.0重量%の過酸化水
    素濃度を有する請求項6に記載の溶液。
  18. 【請求項18】 前記溶液が、該溶液の0.05〜1.0重量%の過酸化水
    素濃度を有する請求項9に記載の溶液。
  19. 【請求項19】 前記溶液が、該溶液の0.05〜1.0重量%の過酸化水
    素濃度を有する請求項13に記載の溶液。
  20. 【請求項20】 0.1〜10重量%の短鎖アルコールをさらに含む請求項
    3に記載の溶液。
  21. 【請求項21】 リン酸、1〜5個のホスホン酸基を有するホスホネート、
    アニオン系アルキルアリールスルホン酸、アルキルフェノールアルコキシレート
    およびアルキル化スルホン化ジフェニルオキサイド塩を含む請求項1に記載の溶
    液。
  22. 【請求項22】 さらに0.1〜10.0重量%の腐食防止剤をも含有する
    請求項21に記載の溶液。
  23. 【請求項23】 アルキル化界面活性剤、アルキルアリールアルコキシレー
    ト系界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択されるノニオン系界面
    活性剤をさらに含む請求項21に記載の溶液。
  24. 【請求項24】 前記溶液が、約0.05〜約4.0重量%の濃度でモノカ
    ルボン酸またはポリカルボン酸を含む請求項2に記載の溶液。
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