JP2011095363A - 反射スクリーン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スクリーン基板10の観察面100aの法線に対して垂直方向および水平方向に、曲面を有する凹部11が複数形成され、凹部11は投影光を反射する投影光反射部12を備え、スクリーン基板10の観察面100aに向けて投射された投影光を、観察面側100aに反射する反射スクリーン100であって、投影光の入射方向に対して水平方向に最隣接する凹部11の中央を繋いだ隣接ラインに対して、複数の凹部11の一部が規則に従い直交する方向にずらして形成され、ずらした凹部11の反射光とそれに隣り合う凹部11の反射光との光路差を、投影光のコヒーレンス長よりも長く構成した。
【選択図】図3
Description
このことから、少なくとも、ずらした単位形状部とそれに隣り合う単位形状部との間ではシンチレーションの発生を防止でき、ぎらつきの少ない高画質な映像を表示することができる。
このことから、スクリーン基板の全体に単位形状部が交互にずれた配置となり、隣り合う単位形状部との間ではシンチレーションが発生しなくなり、ぎらつきを防止でき高画質な映像を表示することができる。
このような寸法を採用することで、単位形状部の反射光とそれに隣り合う単位形状部の反射光との光路差を、投影光のコヒーレンス長よりも長く構成でき、隣り合う単位形状部との間ではシンチレーションの発生を防止できる。
(実施形態)
図1は本実施形態にかかる反射スクリーンと光源との位置関係を示す断面図である。また、図2は本実施形態における反射スクリーンの正面図である。
図1、図2に示すように、反射スクリーン100は、反射スクリーン100の観察面100aの中心点Cを通る法線NLに対して垂直方向(Y軸方向)にずれた位置に配置された光源Pから、観察面100aに向けて斜めに投射された投影光LPを、反射スクリーン100の観察側(Z軸正方向側)に反射するものである。そして、反射スクリーン100は、法線NLがZ軸と平行に配置されている。
スクリーン基板10は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂を用いて形成され可撓性を有している。また、スクリーン基板10は、例えば、染色等によって全体が黒色の光吸収材によって着色され、可視光を吸収可能に形成されている。
図3はスクリーン基板に形成された凹部の形状を示し、図3(a)は図2のA部拡大図、図3(b)は同図(a)のB−B断線に沿う概略断面図、図3(c)は同図(a)のC−C断線に沿う概略断面図である。
凹部11は、図3(b),(c)に示すように、X軸方向およびY軸方向の断面が半球状の曲面を有している。そして、凹部11には投影光LPを反射する投影光反射部12と、投影光反射部12以外の部分に外光Loを吸収する外光吸収部13とを備えている。
外光吸収部13は、スクリーン基板10の基材を黒色にすること、または凹部11の内壁面にブラックカーボン粉末などの光吸収性材料を塗布するなどの方法にて、光を吸収できるように構成されている。
なお、凹部11の半球の直径としては例えば25μm〜500μm程度に形成されている。
そして、保護層の上でスクリーン基板10の観察面100a側の最表面には、反射防止膜が形成されても良い。反射防止膜は、保護層と同様な材料で形成され、保護層の表面での投影光または外光などの反射を防止するように保護層との間で屈折率が調整されていることが好ましい。
図4はスクリーン基板における凹部の隣接ラインを示す模式平面図である。図5は一つの隣接ライン上における凹部の配列を示す模式配列図である。
図4に示すように、スクリーン基板10において、投影光の入射方向に対して水平方向に最も近くに隣接する凹部11の中央を繋いだ線を隣接ラインKとすると、この隣接ラインKは投影光の入射側から反対側に凸の円錐曲線(円、楕円、放物線、双曲線など)になっている。そして、それぞれの隣接ラインKは交差することなく、光の拡がりに沿うように、光源に近い側から遠い側に拡がるように形成されている。
このように、円錐曲線で隣接ラインKが形成されていることから、近接型のプロジェクターなどの光源に対応して投影光の反射光率を高めることが可能である。
図5(b)は隣接ラインKが凹部11の中央を通る配置である。このような配置を基準にして、本実施形態では図5(a)に示すように、隣接ラインKに対して凹部11の並びの一つ置きに、凹部11が隣接ラインKの直交する方向にずらして形成されている。図5では網かけを付加した凹部11が、凹部11の中央に隣接ラインKが通っている。また、隣接する凹部11のずらし量は5μm以上に設定されている。そして、隣接ラインKの上下の隣接ラインにも同様な配列で、各凹部11が隙間なく接するように配置されている。
なお、隣接ラインKは円錐曲線であるが、ここでは便宜上、隣接ラインKを直線として表現している。
次に上記のような構成の反射スクリーンの製造方法の一例について簡単に説明する。
図6は反射スクリーンの製造方法を示す工程図である。
図6(a)に示すように、ソーダガラスなどのガラス基板20の上にマスク21を形成する。マスク21は、酸化クロム(CrO)膜を下地として、その上にクロム(Cr)膜、および酸化クロム(CrO)膜をスパッタリング法などにより成膜したものである。なお、マスク21を成膜する前に、ガラス基板20の表面をサンドブラスト加工し、ガラス基板20の表面を粗く形成してマスク21の密着力を向上させてもよい。
そして、マスク21に対して凹部を形成する位置に数μm程度の開口部22を形成する。開口部22はフォトエッチングまたはレーザー加工を用いて形成する。
エッチング液としては、一水素二フッ化アンモニウム系のエッチング液が用いられる。
続いて、ガラス基板20からマスク21を剥離することで、ガラス基板20は元転写型として完成する。
そして、図6(d)に示すように、電鋳型28の形状をポリ塩化ビニル(PVC)シートなどのスクリーン基板10に熱および圧力を加えて転写する。このようにして、スクリーン基板10に単位形状部である凹部11が複数形成される。
ここではスクリーン基板10として光吸収材料を含む黒色のポリ塩化ビニル(PVC)シートが用いられる。
反射層は、スクリーン基板10に反射材料を斜め方向からスパッタリングまたは蒸着することで凹部11内に選択的に形成することができる。このようにして、スクリーン基板10の凹部11に投影光反射部12と外光吸収部13を形成することができる。また、必要に応じて、反射層とスクリーン基板10との密着力を確保するために、成膜の前にスクリーン基板10の表面をIPA(イソプロピルアルコール)による洗浄や大気プラズマ、コロナ放電などを用いて表面改質を行ってもよい。さらに、反射層26の表面にSiO2などの保護膜を設けてもよい。
なお、反射材料をスクリーン基板10表面にスプレーして反射層を形成してもよい。
このような反射スクリーン100は、図1で説明したように、反射スクリーン100の観察面100aの中心点Cを通る法線NLに対して垂直方向(Y軸方向)にずれた位置に配置されたプロジェクターなどの光源Pから、観察面100aに向けて斜めに投影光LPが投射され、反射スクリーン100に映像が映しだされる。
ここで、隣り合う凹部の配置位置をずらして光路差を調整することでシンチレーションを防止することについて説明する。
図7は2つの凹部で反射される反射光の光路差を説明する模式図である。
図では隣接ラインに対して直交する方向に隣の凹部がずれて形成された状態であり、手前側の凹部11aとその奥側の凹部11bとを表示している。手前側の凹部11aの投影光反射部に入射した投影光LP1は反射されて反射光Lr1が反射される。同様に、手前側の凹部11bの投影光反射部に入射した投影光LP2は反射されて反射光Lr2が反射される。このとき、反射光Lr1、Lr2が等距離進んだときの差が光路差Dとなる。
また、このシンチレーションは、凹部11からの反射光Lrの光路差Dが投影光LPの光源のコヒーレンス長(可干渉距離)よりも長い場合には発生しないことが分かった。
投影光LPの光源の種類にもよるが、一般的な光源として超高圧水銀ランプ、キセノン、ハロゲンなどのランプを用いた場合、隣り合う凹部11における反射光Lrの光路差Dを5μm以上とすることで、コヒーレンス長よりも光路差Dを長くすることができる。
以上のことから、隣り合う凹部11における反射光Lrの光路差Dをコヒーレンス長よりも光路差Dを長くすることで、シンチレーションを防止できる。
つまり、凹部11が交互にずれた配置となり、隣り合う凹部11との間ではシンチレーションが発生しなくなり、ぎらつきを防止でき高画質な映像を表示することができる。
次に、他の凹部の配置について説明する。隣接ライン上の凹部の配置はいろいろな配置を採ることができる。
図8、図9、図10は、一つの隣接ライン上における凹部の配列を示す模式配列図である。以下の凹部は隣接ラインKが中央を通る凹部11aと、この凹部11aを基準にして光源から遠ざかる方向にずらした凹部11bと、光源から近づく方向にずらした凹部11cとを用いた配置の組み合わせである。なお、隣接ラインは円錐曲線であるが、ここでは便宜上、隣接ラインを直線として表現している。
この配列では、一つの組の中では隣の凹部とのずれは同等であるが、組と組の繋がり部分では2倍のずれになっている。
この配列では、一つの組の中では隣の凹部とのずれは同等に形成されている。
このように、図8に示す凹部11a,11b,11cの配列では隣り合う凹部11a,11b,11cに対してずらして形成され、凹部11a,11b,11cの反射光によるシンチレーションを防止することが可能である。
図9(a)に示す凹部の配列は、隣接ラインKが中央を通る2つの凹部11aの一方側に2つの凹部11bを配置し、その並びを隣接ラインKに沿って繰り返す配列である。
図9(b)に示す凹部の配列は、隣接ラインKが中央を通る3つの凹部11aの一方側に3つの凹部11bを配置し、その並びを隣接ラインKに沿って繰り返す配列である。
図9(d)に示す凹部の配列は、隣接ラインKが中央を通る2つの凹部11aの一方側に1つの凹部11bを配置し、その隣に1つの凹部11a、続けて1つの凹部11bを配置し、その並びを隣接ラインKに沿って繰り返す配列である。
なお、凹部11bの代わりに凹部11cであっても同じである。
図10(b)に示す凹部の配列は、2つの凹部11bの一方側に2つの凹部11aを配置し、その隣に2つの凹部11cを配置し、その並びを隣接ラインKに沿って繰り返す配列である。
図10(d)に示す凹部の配列は、1つの凹部11bの一方側に2つの凹部11aを配置し、その隣に1つの凹部11c、続いて2つの凹部11aを配置し、その並びを隣接ラインKに沿って繰り返す配列である。
このように、一つの凹部11の反射光Lrとそれに隣り合う凹部11の反射光Lrとの光路差Dを、投影光LPのコヒーレンス長よりも長くなるように、凹部11の中央を繋いだ隣接ラインKに対して、複数の凹部11の一部が規則に従い直交する方向にずらして形成されている。
このことから、ずらした凹部11とそれに隣り合う凹部11との間ではシンチレーションの発生を防止でき、ぎらつきの少ない高画質な映像を表示することができる。
また、本実施形態では投影光を反射させる単位形状部を凹部にて形成したが、凸部で形成してもよい。
Claims (4)
- スクリーン基板の観察面の法線に対して垂直方向および水平方向に、曲面を有する凹部または凸部からなる単位形状部が複数形成され、前記単位形状部は投影光を反射する投影光反射部を備え、前記スクリーン基板の観察面に向けて投射された投影光を、観察面側に反射する反射スクリーンであって、
投影光の入射方向に対して水平方向に最隣接する前記単位形状部の中央を繋いだ隣接ラインに対して、複数の前記単位形状部の一部が規則に従い直交する方向にずらして形成され、
ずらした前記単位形状部の反射光とそれに隣り合う前記単位形状部の反射光との光路差を、投影光のコヒーレンス長よりも長く構成したことを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
前記隣接ラインに沿った一つの前記単位形状部を基準とすると、その両側に隣り合う前記単位形状部が、前記隣接ラインに対して直交する方向にずらして形成されていることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1または2に記載の反射スクリーンにおいて、
前記隣接ラインが光の入射側から反対側へ凸の円錐曲線であることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項3に記載の反射スクリーンにおいて、
前記単位形状部が半球状であり、球径が25μm以上、500μm以下であり、
前記単位形状部の一部が規則に従い前記隣接ラインに対して直交する方向に5μm以上、50μm以下の位置をずらして形成されていることを特徴とする反射スクリーン。
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