JP2011094976A - 地震衝撃力の測定システムおよび測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】染料或いは顔料を破壊強度の異なる複数種類のマイクロカプセル9に封入し、該マイクロカプセルを配して形成される感圧発色体5を、地下埋設物である地下壁2や地下杭11に垂直方向及び水平方向に略等間隔なマトリクス状に複数配設して、地下壁が受けた地震衝撃力に応じてマイクロカプセルが破壊され、該マイクロカプセルに封入された染料或いは顔料が放出されることによって発現する発色の状態によって地下壁が受けた地震衝撃力を二次元的或いは三次元的に測定する。
【選択図】図5
Description
ところで地下埋設物の地震被害の程度については、目視等によっては知ることが難しく、そこで地下杭として埋設された鉄筋に導線を接続し該導線を電気抵抗測定器に接続して、通常時における電気抵抗値を予め測定しておき、地震が発生した場合は地震後の電気抵抗値を測定して前記通常時の測定値と比較し、異なる測定値を得た場合には基礎杭が破壊若しくは損傷を受けたと評価するように構成したもの(特許文献1)や、地下埋設物に振動装置で振動を与え、該振動によって発生する反射波の状態を地震前と地震後とで比較することによって基礎杭の破壊の有無や程度を評価するようにしたものが提唱されている(特許文献2)。しかしながらこれらのものは、地下埋設物の破壊の有無や程度を評価するものであって、構造物がどれ程の衝撃力を受けたかを知るものではない。
また、受けた外力によって生じる応力に比例して発光する応力発光材料を用い、該応力発光材料の発光状態を観測することで応力測定をするようにしたもの(特許文献3)や、二液反応により発光する発光前駆体を、所定の応力で破壊される脆性材料に封入して基礎杭内部に挿入し、地震により基礎杭に生じた応力によって脆性材料が破壊されると二液が反応して発光するよう構成し、該発光の有無を観測することで所定以上の応力を受けたか否かを検知するようにしたものが知られている(特許文献4)。
請求項2の発明は、感圧発色体は、染料が染料前駆体であるとともに、該染料前駆体と反応して染料前駆体を発色せしめる顕色剤が含有され、カプセルの破壊によって放出される染料前駆体が顕色剤と反応することによる発色の濃度によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする請求項1記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項3の発明は、感圧発色体は、カプセルの破壊によって発現する染料或いは顔料の発色の濃度によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする請求項1記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項4の発明は、感圧発色体は、カプセルが破壊強度別に区分されて配され、該カプセルの破壊によって発現する染料或いは顔料の発色の区分によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする請求項1記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項5の発明は、感圧発色体は、破壊強度別に色相の異なる染料或いは顔料が封入されたカプセルが破壊強度別に配され、該カプセルの破壊によって発現する染料或いは顔料の発色の色相によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする請求項1記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項6の発明は、被検体の衝撃力測定部位は、地下壁の外面部であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項7の発明は、被検体の衝撃力測定部位は、地下杭の外面部であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項8の発明は、被検体の衝撃力測定部位は、地下杭の外面部全周であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項9の発明は、感圧発色体は、担体に担持されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項10の発明は、地下埋設物の被検体が地震によって受ける衝撃力を可視化して測定する地震衝撃力の測定方法であって、該地震衝撃力の測定方法は、染料或いは顔料を破壊強度の異なる複数種類のカプセルに封入して形成する感圧発色体を前記被検体の衝撃力測定部位に複数マトリクス状に配し、被検体が受けた地震衝撃力に応じてカプセルが破壊されて染料或いは顔料が放出されることによる発色の状態によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする地震衝撃力の測定方法である。
しかも、該感圧発色体は、衝撃力が最大となった時に該最大の衝撃力に応じてカプセルが破壊され、染料或いは顔料が放出することになるから、染料或いは顔料の発色状態を目視することで衝撃力の最大値を知ることが出来て、構造物が受けた最大衝撃力を簡単に測定することができる。
また、大地震が発生した場合、リアルタイムでの測定は困難である場合も多いが、該感圧発色体は時間が経過しても変色や退色が少ない上、仮令変色や退色があったとしても、一度カプセルから放出された染料或いは顔料は未放出のものとは明瞭に異なる発色状態を呈するため、地震発生の後に測定を行っても正確な測定データを得ることができる。従って、停電等の事故が発生した場合であってもデータが消失してしまうといったようなトラブルがなく、確実に衝撃力を測定することができる。
そして、衝撃力測定部位に感圧発色体を設けるだけで衝撃力測定をおこなうことができるため、設置が簡単であり、地震による衝撃力の測定システムを簡単なものとすることができる。しかも、設置が簡単であることから、測定地点を広範囲に設けることができて、より正確な地震衝撃力の測定をおこなうことができる。
さらに本発明によれば、複数の感圧発色体がマトリクス状に被検体に配されるため、地震の衝撃力が被検体に作用した様子を面で測定することができて、一点での測定に比べ、被検体が受けた地震の衝撃の様子を正確に知ることができる。 つまり、地震の衝撃力を測定するにあたっては、測定地点における地形や地層等の状況により正確な測定値が得られない場合があり、また、被検体の測定部位によって受けた衝撃力が異なる場合があるので、地震衝撃力の測定地点を一箇所のみとした場合、被検体全体が受けた衝撃力の測定としては正しい測定結果が得られない可能性がある。しかしながら、複数の感圧発色体をマトリクス状に配することによって、地震の衝撃力測定を、被検体の面部が受けた衝撃力として二次元的、三次元的に測定することができて、より正確な地震衝撃力の測定が行える。
請求項2の発明とすることにより、感圧発色体は、地震の衝撃力を受けてカプセルが破壊されることで、染料前駆体と顕色剤とが反応し、これによって発色する染料の発色の濃度によって地震の衝撃力が測定されるため、既に発色している染料或いは顔料をカプセルに封入するものに比べて染料の変色や退色を抑えることができる。
請求項3の発明とすることにより、感圧発色体に顕色剤を含有させる必要がないため、感圧発色体の材料数の削減、製造工程数の削減に貢献できる。
請求項4の発明とすることにより、地震の衝撃力測定にあたっては、感圧発色体の発色した区分を調べれば良いため、測定を簡単かつ正確に行うことができる。
請求項5の発明とすることにより、地震の衝撃力測定は、感圧発色体の発色した色相のうち、最大破壊強度のカプセルに封入されていた染料或いは顔料の色相を調べれば良いため、測定を簡単かつ正確に行うことができる。
請求項6の発明とすることにより、地下壁を有する被検体が受ける地震の衝撃力を二次元的、三次元的に測定することができて、より正確な地震衝撃力の測定が行える。
請求項7の発明とすることにより、地下杭を有する被検体が受ける地震の衝撃力を二次元的、三次元的に測定することができて、より正確な地震衝撃力の測定が行える。
請求項8の発明とすることにより、被検体が受けるあらゆる方向からの地震衝撃力を測定することができて、地震衝撃力がどの方向から伝播したかを知ることができる。
請求項9の発明とすることにより、感圧発色体を地中から取り出す場合、担体に担持されている感圧発色体を担体から抜き出すせば良く、掘削して感圧発色体を地中から取り出したりする必要のない測定システムとすることができる。
図1に示すように、1は被検体である構造物であって、該構造物1は、地下部分に地下埋設物である地下壁2が垂直状に形成されている。そして、該地下壁2の外壁面側には、長尺の板材である担体3が、長尺方向を上下にして複数本(本実施の形態では7本)が略等間隔となるように地下壁2に沿って埋設されている。該担体3は、例えば熱硬化性プラスチック或いはステンレス板等の硬性部材によって形成されており、図2(A)に示すように、担体3の表面中央部位には、担体3の上端部3aから下端部3bに至る溝部3cが形成されている。そして、該溝部3cの左右両側面には、それぞれ上端部3aから下端部3bに至る凹溝3d、3eが対向して形成されている。
尚、発色濃度を測定するにあたっては、目視による測定であっても良いし、或いは濃度計等を用いて定量的な測定としても良い。
或いは、図7に示すように、感圧発色体5を大きな一枚のシート体として構成し、該感圧発色体5によって地下杭11の外周面11aを覆うようにして貼り付けても良い。この場合、隙間のない状態で地震の衝撃力を測定することが出来るため、より一層緻密な地震衝撃力の分布の測定を行うことができると共に、感圧発色体5を直接地下杭11に貼着することで担体3および発色体取付けプレート4が不要となり、部品点数の減少を図ることができる。
2 地下壁
5 感圧発色体
9 マイクロカプセル
11 地下杭
Claims (10)
- 地下埋設物の被検体が地震によって受ける衝撃力を可視化して測定する地震衝撃力の測定システムであって、該地震衝撃力の測定システムは、染料或いは顔料が破壊強度の異なる複数種類のカプセルに封入されて形成される感圧発色体が前記被検体の衝撃力測定部位に複数マトリクス状に配され、被検体が受けた地震衝撃力に応じてカプセルが破壊されて染料或いは顔料が放出されることによる発色の状態によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする地震衝撃力の測定システム。
- 感圧発色体は、染料が染料前駆体であるとともに、該染料前駆体と反応して染料前駆体を発色せしめる顕色剤が含有され、カプセルの破壊によって放出される染料前駆体が顕色剤と反応することによる発色の濃度によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする請求項1記載の地震衝撃力の測定システム。
- 感圧発色体は、カプセルの破壊によって発現する染料或いは顔料の発色の濃度によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする請求項1記載の地震衝撃力の測定システム。
- 感圧発色体は、カプセルが破壊強度別に区分されて配され、該カプセルの破壊によって発現する染料或いは顔料の発色の区分によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする請求項1記載の地震衝撃力の測定システム。
- 感圧発色体は、破壊強度別に色相の異なる染料或いは顔料が封入されたカプセルが破壊強度別に配され、該カプセルの破壊によって発現する染料或いは顔料の発色の色相によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする請求項1記載の地震衝撃力の測定システム。
- 被検体の衝撃力測定部位は、地下壁の外面部であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の地震衝撃力の測定システム。
- 被検体の衝撃力測定部位は、地下杭の外面部であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の地震衝撃力の測定システム。
- 被検体の衝撃力測定部位は、地下杭の外面部全周であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の地震衝撃力の測定システム。
- 感圧発色体は、担体に担持されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の地震衝撃力の測定システム。
- 地下埋設物の被検体が地震によって受ける衝撃力を可視化して測定する地震衝撃力の測定方法であって、該地震衝撃力の測定方法は、染料或いは顔料を破壊強度の異なる複数種類のカプセルに封入して形成する感圧発色体を前記被検体の衝撃力測定部位に複数マトリクス状に配し、被検体が受けた地震衝撃力に応じてカプセルが破壊されて染料或いは顔料が放出されることによる発色の状態によって被検体が受けた地震衝撃力を測定することを特徴とする地震衝撃力の測定方法。
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