JP2011094878A - 過冷却可能な潜熱蓄熱材を用いた発熱体 - Google Patents

過冷却可能な潜熱蓄熱材を用いた発熱体 Download PDF

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Abstract

【課題】潜熱蓄熱材の過冷却を利用して、必要なときに発核材を用いて過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与しての結晶化を促し、微細な結晶を発生させ、潜熱を発生させて長時間にわたり熱を容易に利用することができ、しかも高周波誘導加熱器を用いて安全にかつ容易に結晶を融解して、過冷却潜熱蓄熱材に戻すことができるので、繰り返して使用できるように構成した発熱体の提供。
【解決手段】金属および/または金属含有物質以外の無機物および/または有機物からなる発核材4を用いて、過冷却した潜熱蓄熱材3の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与して結晶化を生じさせて潜熱を発生させることを特徴とする発熱体1、により課題を解決できる。
【選択図】図1

Description

本発明は過冷却可能な潜熱蓄熱材を用いた発熱体に関するものであり、さらに詳細には、潜熱蓄熱材の過冷却を利用して、必要なときに発核材を用いて過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与して結晶化を促し、微細な結晶を発生させ、潜熱を発生させて熱を容易に利用することができ、しかも高周波誘導加熱器などを用いて安全にかつ容易に結晶を融解して、過冷却潜熱蓄熱材に戻すことができるので、繰り返して使用できるように構成した発熱体に関するものである。
従来、鉄粉を主体とする発熱材を、通気性を有する袋に収納した発熱器具が知られており、この発熱器具を気密性のある外袋に収納して販売されている。この発熱器具を使用する時は、外袋を破って発熱器具を取出し、鉄粉を空気に曝すことにより酸化反応を進め、発熱させるものである。しかし、この発熱器具は、一旦使用すると、繰り返して使用できないため、廃棄されるので経済的でなく、廃棄に伴う環境汚染の問題もある。
そこで、繰り返して使用できる発熱器具として、酢酸ナトリウム水溶液中に鉄系材料で作られたたわみ性ストリップを発核材として用いたヒ−トパック(特許文献1参照)、過冷却状態にある液体にばね板で摺動摩擦力を与えて結晶化させて潜熱を取り出すようにした過冷却液体の任意固化装置(特許文献2参照)、プラスチック袋に酢酸ナトリウム水溶液を入れ金属弾力片(起動器)で結晶化させて潜熱を取り出すカイロであって、金属弾力片(起動器)の表面を加工処理したものを使用する簡易復元カイロ(特許文献3参照)、酢酸ナトリウムなどの蓄熱材の結晶の融解に自動車のエンジンの熱を利用し、過冷却状態の蓄熱材にショックまたは振動を与えて結晶化させて潜熱を発生させて自動車のキャビンの暖房を行うようにした自動車における即暖房方法および即暖房装置(特許文献4参照)、過冷却状態の酢酸ナトリウムなどの蓄熱材に直流または交流の電極を取り付けて電気的発核により結晶化させて潜熱を発生させる蓄熱槽(特許文献5参照)、熱電素子の吸熱する部分を過冷却状態の蓄熱材にセットし、電圧をかけて蓄熱材を局部的に冷却して結晶化させて潜熱を発生させる潜熱蓄熱機の発核装置(特許文献6参照)などが提案されている。
その他、繰り返して使用できる発熱器具として、袋内部に、過冷却状態の酢酸ナトリウム水和物水溶液からなる潜熱蓄熱材と、過冷却を開放して結晶化をトリガーする反転可能な湾曲した金属片などの過冷却開放手段を収容したものなどが多数の提案がなされている(特許文献7〜16参照)。
しかし、過冷却開放手段に用いられる金属トリガーは、酢酸ナトリウム水和物水溶液中に浸されているために腐食防止の方策をとる必要があり、コスト高になる問題があった。
ステンレスやアルミニウムなどの耐腐食性のある金属トリガーを使用すればこの問題は回避できるが、発熱器具を繰り返して使用するために、結晶化した酢酸ナトリウム水和物を加熱して液体あるいはゲル状にするために加熱する際に、一般家庭でも使用されている高周波電磁波による加熱機器は、スパークする恐れがあり危険を伴うので、もっぱら湯煎での加熱や、専用ヒータなどの使用に限られてしまい、加熱に時間を要し、煩雑となる問題があった。
また、酢酸ナトリウム水和物水溶液が氷点下になると、溶液に含まれる水分子の相転移による結晶化が進行してしまい、自然に凝固放熱が始まってしまうので例えば、極寒地などでは使用できないという問題があった。
特公昭60−1020号公報 実公平03−096335号公報 特開2000−342619号公報 特開平03−292214号公報 特開昭61−204293号公報 特開平06−28372号公報 特開2005−058592号公報 特開2004−248889号公報 特開2002−017767号公報 特開2000−342619号公報 特開平05−261127号公報 特開平03−037180号公報 特開平03−037058号公報 特開平01−164365号公報 特開昭53−023186号公報 特公2004−516876号公報
本発明の目的は、潜熱蓄熱材の過冷却を利用して、必要なときに発核材を用いて過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与しての結晶化を促し、微細な結晶を発生させ、潜熱を発生させて長時間にわたり熱を容易に利用することができ、形状や大きさの異なる他の被加熱体の加熱にも使用可能にし、雨水などで濡れても発熱させることができ、しかも高周波誘導加熱器を用いたり、温水や加熱空気などの加熱流体と接触させて安全にかつ容易に結晶を融解して、過冷却潜熱蓄熱材に戻すことができるので、繰り返して使用できるように構成した発熱体を提供することである。
前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の発明は、金属および/または金属含有物質以外の無機物および/または有機物からなる発核材を用いて、過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与して結晶化を生じさせて潜熱を発生させることを特徴とする発熱体である。
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発熱体において、過冷却可能な潜熱蓄熱材を液密状態に密封した第1区画と、第1区画内に、過冷却した潜熱蓄熱材の結晶化を生じさせるための、金属および/または金属含有物質以外の無機物および/または有機物からなる発核材を充填した第2区画であって、第1区画内の潜熱蓄熱材が第2区画内へ通過して入ることができるが、前記発核材は通過して第1区画内へ流出することができない細孔を有する潜熱蓄熱材通路を少なくとも1つ以上備えた第2区画を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項3記載の発明は、請求項2記載の発熱体において、第1区画を形成する第1容器内に、第2区画を形成する第2容器が収容されていることを特徴とする。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項2記載の発熱体において、第1区画を形成する第1容器内に、第2区画が第1容器と一体的に形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項5記載の発明は、請求項3あるいは請求項4記載の発熱体において、第1容器内に互いに潜熱蓄熱材通路により連結された2つ以上の第1区画が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発熱体において、発核材が角張った形状の粒子であるか、針状物であることを特徴とする。
本発明の請求項7記載の発明は、請求項2から請求項6のいずれかに記載の発熱体において、第2区画内に発核材が、第2区画の容積の5容量%以上、100容量%未満充填されていることを特徴とする。
本発明の請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の発熱体において、発熱体の少なくとも1面に断熱材が積層されていることを特徴とする。
本発明の請求項1記載の発明は、潜熱蓄熱材の過冷却を利用して、必要なときに発核材を用いて過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与しての結晶化を促し、微細な結晶を発生させ、潜熱を発生させて長時間にわたり熱を容易に利用することができ、形状や大きさの異なる他の被加熱体の加熱にも使用可能にし、雨水などで濡れても発熱させることができ、しかも高周波誘導加熱器を用いたり、温水や加熱空気などの加熱流体と接触させて安全にかつ容易に結晶を融解して、過冷却潜熱蓄熱材に戻すことができるので、繰り返して使用できるという顕著な効果を奏す。
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発熱体と同じ顕著な効果を奏する上、必要が生じた際に第2区画内の発核材を用いて第2区画内の過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与して結晶化を促して微細な結晶を発生させると、この微細な結晶の成長が短時間の間に潜熱蓄熱材通路を経て第1区画内の過冷却した潜熱蓄熱材の結晶化を促して、そして第1区画および第2区画の結晶化が良好に進行して全潜熱を発生させることができるというさらなる顕著な効果を奏す。
本発明の請求項3記載の発明は、第1容器を作製して用意し、そして別に作製した第2容器を第1容器中に収容して発熱体を製造できるので、プロセスが簡単で明瞭となり、ミスなく確実に発熱体を製造できるというさらなる顕著な効果を奏す。
本発明の請求項4記載の発明は、例えば第1容器の所定の箇所をヒートシールしたり接着剤で接着して区切り、一方の区画を第1区画とし、他方の区画を第2区画とするなどして発熱体を製造できるので、プロセスが簡単になり、コストダウンにもなるというさらなる顕著な効果を奏す。
本発明の請求項5記載の発明は、例えば第1容器が袋の形状をしたものであると、複数の第1区画が形成されていると発熱体がよりフレキシブルになって取り扱い易くなり、発熱体を丸めたり、折り曲げたり、折り畳んだりできるので、形状や大きさの異なる他の被加熱体によくフィットさせて加熱できるというさらなる顕著な効果を奏す。
本発明の請求項6記載の発明は、発核材が球若しくはたまご状であると過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与できず、結晶化を促すことが困難であるが、発核材が角張った形状の粒子であるか、針状物であると、過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重を付与し易く、容易に結晶化を促すことができるというさらなる顕著な効果を奏す。
本発明の請求項7記載の発明は、第2区画内に発核材が、第2区画の容積の5容量%以上、100容量%未満充填されていると、過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与し易く、容易に結晶化を促すことができるというさらなる顕著な効果を奏す。
本発明の請求項8記載の発明は、発熱体の少なくとも1面に断熱材が積層されていると、過冷却した潜熱蓄熱材の結晶化により発生する潜熱が外部に散逸し難く、長時間にわたり熱を有効に利用することができるというさらなる顕著な効果を奏す。
本発明の発熱体の1例を模式的に説明するための説明図である。 本発明の発熱体の他の例を模式的に説明するための説明図である。 本発明の発熱体の他の例を模式的に説明するための説明図である。 (1)、(2)は本発明の発熱体の他の例を模式的に説明するための説明図である。 図4に示した本発明の発熱体を凸状充填部を軸方向にして丸めた状態を模式的に説明するための説明図である。 過冷却した潜熱蓄熱材中に発核材を充填した小袋を用いる場合、小袋の大きさと小袋に充填する発核材の粒子の数との関係をテストした結果を模式的に示す説明図である。
次に本発明の内容を、図を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の発熱体の1例を模式的に説明するための説明図である。
図1に示した本発明の発熱体1は、可撓性のあるプラスチック系袋2の中に、過冷却状態にした潜熱蓄熱材3(例えば、酢酸ナトリウム水溶液)および無機物および/または有機物からなる発核材4が密封して充填されている。
発核材4同士を擦り合わせるなどして過冷却した潜熱蓄熱材4の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与することにより、結晶化を促し、微細な結晶を発生させることができる。結晶が発生すると、潜熱が発生するので、その熱を長時間にわたり利用することができる。
本発明において、局部的点圧荷重を付与するとは、例えば発核材を過冷却状態にした潜熱蓄熱材の上から落下させるとか、過冷却状態にした潜熱蓄熱材中に分散させた発核材を手で押すとかして、過冷却状態にした潜熱蓄熱材の一部に局部的に例えばピンポイントで圧荷重をかける例を挙げることができる。
本発明において、摩擦を付与するとは、例えば過冷却状態にした潜熱蓄熱材中に分散させた発核材を手で擦すったり、揉んだりして、あるいは過冷却した潜熱蓄熱材中に発核材を充填した小袋を入れた場合には、その子袋を擦すったり、揉んだりして、過冷却状態にした潜熱蓄熱材の一部に局部的に例えばピンポイントで圧荷重をかける例を挙げることができる。
図2は本発明の発熱体の他の例を模式的に説明するための説明図である。
図2に示した本発明の発熱体1Aは、過冷却可能な潜熱蓄熱材3を液密状態に密封した第1区画5と、第1区画5内に、過冷却した潜熱蓄熱材の結晶化を生じさせるための、無機物および/または有機物からなる発核材4を充填した第2区画6を備えており、第1区画5を形成する第1容器2A(可撓性のあるプラスチック系袋)内に、第2区画6が第1容器2Aと一体的に形成されている。
第2区画6は、第1区画5内の潜熱蓄熱材3が第2区画6内へ通過して入ることができるが、第2区画6内の発核材4は通過して第1区画5内へ流出することができない細孔(平均内径d)を有する潜熱蓄熱材通路7を少なくとも1つ以上備えている。
第2区画6の発核材4同士を擦り合わせるなどして第2区画6内の過冷却した潜熱蓄熱材4の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与することにより、結晶化を促し、微細な結晶を発生させると、結晶化は潜熱蓄熱材通路7を経て第1区画5内へ進行し、全体が短時間で結晶化する。結晶が発生すると、潜熱が発生するので、その熱を長時間にわたり利用することができる。
図3は本発明の発熱体の他の例を模式的に説明するための説明図である。
図3に示した本発明の発熱体1Bは、可撓性のあるプラスチック系袋2の中に、過冷却状態にした潜熱蓄熱材3(例えば、酢酸ナトリウム水溶液)が密封して充填されて第1区画5を形成している。
そして第1区画5内に、過冷却した潜熱蓄熱材3の結晶化を生じさせるための、無機物および/または有機物からなる発核材4を充填した小袋2Bからなる第2区画6を備えている。
小袋2Bは、第1区画5内の潜熱蓄熱材3が小袋2B内へ通過して入ることができるが、小袋2B内の発核材4は通過して第1区画5内へ流出することができない細孔(平均内径d)を有する潜熱蓄熱材通路7を少なくとも1つ以上備えている。
小袋2Bの発核材4同士を擦り合わせるなどして小袋2B内の過冷却した潜熱蓄熱材4の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与することにより、結晶化を促し、微細な結晶を発生させると、結晶化は潜熱蓄熱材通路7を経て第1区画5内へ進行し、全体が短時間で結晶化する。結晶が発生すると、潜熱が発生するので、その熱を長時間にわたり利用することができる。
図4(1)、(2)は本発明の発熱体の他の例を模式的に説明するための説明図である。
図4(1)、(2)に示した本発明の発熱体1Cは、プラスチック系多層積層体のシート2Cおよび2Dを用いて公知の熱成形およびヒートシールにより、縦方向に延在する複数の凸状充填部8と、この凸状充填部8に沿って隣接する凸状充填部8同士を連結する複数の凹状連結部9(ヒートシール部)が形成されており、そして凸状充填部8内に潜熱蓄熱材3が密封して充填されている。
凸状充填部8内の潜熱蓄熱材3は潜熱蓄熱材通路7Aにより相互に連結されており、潜熱蓄熱材3は潜熱蓄熱材通路7Aを経て他の凸状充填部8内へ移動可能に構成されている。
発熱体1Cの凹状連結部9および周辺部10は凹状連結部9および周辺部10にそれぞれ対応するプラスチック系多層積層体のシート2Cおよび2Dの部分をヒートシールして形成されている。
本発明で使用する、プラスチック系多層積層体のシート2Cおよび2Dは、潜熱蓄熱材6が直接接触するため、ピンホールやクラックの発生がなく、高強度で耐久性を有することが強く要求されるので、これらの要求性能を満たすように材質や構造や形状などの特性を決めることが好ましい。
プラスチック系多層積層体2C、2Dとしては、具体的には、例えば、熱圧着性を有する線状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)にナイロンフィルム(NY)が積層され、必要に応じて、PE、PP、PETなどのフィルムを積層したプラスチック系多層積層体や、ポリ塩化ビニルや熱可塑性ポリウレタンなどを例示することができる。
本発明で使用する断熱材としては、具体的には、例えば、可撓性のあるポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、セルロースファイバー、ロックウール、グラスウールや、ポリエステルや不織布などのフェルトなどを上げることができるが、容器が破損し、内部の溶液が漏出した場合には、吸湿性のある不織布などのフェルトを使用しておくと、漏出した溶液を吸収して、溶液の飛散などを防ぐことができる。
図4(1)、(2)に示した本発明の発熱体1Cは、過冷却可能な潜熱蓄熱材3を液密状態に密封した複数の凸状充填部8(第1区画5)と、凸状充填部8(第1区画5)内に、過冷却した潜熱蓄熱材の結晶化を生じさせるための、無機物および/または有機物からなる発核材4を充填した第2区画6を備えており、凸状充填部8(第1区画5)を形成する第1容器2E(可撓性のあるプラスチック系袋)内に、第2区画6が第1容器2Eと一体的に形成されている。
図4(1)に示したように、第2区画6は、凸状充填部8(第1区画5)内の潜熱蓄熱材3が第2区画6内へ通過して入ることができるが、第2区画6内の発核材4は通過して凸状充填部8(第1区画5)内へ流出することができない細孔(平均内径d)を有する潜熱蓄熱材通路7を少なくとも1つ以上備えている。
第2区画6の発核材4同士を擦り合わせるなどして第2区画6内の過冷却した潜熱蓄熱材4の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与することにより、結晶化を促し、微細な結晶を発生させると、結晶化は潜熱蓄熱材通路7を経て凸状充填部8(第1区画5)内へ進行し、結晶化はさらに潜熱蓄熱材通路7Aを経て隣の凸状充填部8(第1区画5)内へ次々に進行し、全体が短時間で結晶化する。結晶が発生すると、潜熱が発生するので、その熱を長時間にわたり利用することができる。
図5に示したように、図4に示した本発明の発熱体1Cは、凸状充填部8を軸方向にして丸めることができる。そのためコンパクトに収納・持ち運びが可能で、形状が複雑な被加熱体(例えば人体の腕や足など)に巻き付けて利用することができる。
本発明の発熱体を構成する袋などの容器の材質、厚さ、長さ、幅、奥行などや容量などは特に限定されるものではなく、使用目的や使用条件、使用環境などに適するように決めることができる。
本発明で使用する潜熱蓄熱材3は、融解潜熱が大きく、入手が容易で、安価な潜熱蓄熱材を用いることが好ましい。
本発明で使用する潜熱蓄熱材3としては、具体的には、例えば、酢酸ナトリウム3水塩、チオ硫酸ナトリウム5水塩、リン酸水素二ナトリウム12水塩などから選ばれる潜熱蓄熱材を挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を混合して使用することもできる。さらにこれらに、相分離防止剤を混合して使用することもできる。
寒冷地で使用するような場合は、凍結などの問題があるので、潜熱蓄熱材3に凍結防止剤としてエチレングリコールなどの多価アルコール類を所定量添加した潜熱蓄熱材を使用する必要がある。
例えば、凍結防止剤としてエチレングリコールを所定量添加すると、−20℃でも数時間は凍結しない。
これらの潜熱蓄熱物質の中でも、酢酸ナトリウム3水塩(食品添加物である)は、蓄熱量が大きく入手も容易で安価であり本発明において好ましく使用できる。
酢酸ナトリウム3水塩(CH3 COONa・3H2 O)と、水(精製水)と、エチレングリコール[C2 H4 (OH)2 ]からなる潜熱蓄熱物質を使用する場合のこれらの3成分の配合量とその効果を次に述べる。
(1)酢酸ナトリウム3水塩の配合量が多く、水と、エチレングリコールの配合量が少ない発熱体の場合は、酢酸ナトリウム3水塩の配合量が多いので発熱量が大きく、最高温度が高く、持続温度も高く、持続時間も長くなる。一方、外部からの衝撃で自然に発核したり、もしくは局部的点圧荷重若しくは摩擦を与えなくても自然に発核する恐れがある。
(2)酢酸ナトリウム3水塩の配合量が少なく、水と、エチレングリコールの配合量が多い発熱体の場合は、酢酸ナトリウム3水塩の配合量が少ないので発熱量および最高温度が下がり、持続温度も下がり、持続時間も短くなる。一方、酢酸ナトリウム3水塩の配合量が少ないので安定して過冷却にすることができる。また、エチレングリコールの配合量が多いので極寒地でも凍結し難くなる。しかし、エチレングリコールにより溶液の粘度が高くなるため、発核し難くなり、発核に手間取る恐れがある。
(3)酢酸ナトリウム3水塩の配合量が多く、水の配合量が少なく、エチレングリコールの配合量が多い発熱体の場合は、酢酸ナトリウム3水塩の配合量が多いので発熱量が大きく、最高温度が高く、持続温度も高く、持続時間も長くなる。一方、安定して過冷却にすることができる。また、エチレングリコールの配合量が多いので極寒地でも凍結し難くなる。しかし、エチレングリコールにより溶液の粘度が高くなるため、発核し難くなり、発核に手間取る恐れがある。
したがって、酢酸ナトリウム3水塩、水、エチレングリコーからなる潜熱蓄熱物質を使用する場合、本発明の発熱体の使用目的などにより配合量を決めることが肝要である。
本発明で使用する、無機物および/または有機物からなる発核材は金属、金属含有物質以外の発核材である。
本発明で使用する角張った形状の粒子の発核材とは、後述するように鋭利な角がある発核材であるか、針状物であり、球状、若しくは、たまご状でなく、毬栗状、金平糖状のものも含むものである。
本発明で使用する無機物からなる発核材は、金属、金属含有物質を含まないかあるいは含んでいても少量であって、本発明の発熱体中に収容した潜熱蓄熱材を結晶化させたのち、高周波誘導加熱器を用いて結晶を融解して、過冷却潜熱蓄熱材に戻す際に、発核材に起因して火花がでたり、スパ−クしたりせず、安全に結晶を融解できる発核材である。中でも、金属、金属含有物質を含まない発核材が好ましく使用できる。
本発明で使用する無機物からなる発核材は、具体的には、例えば、鉱物であって、蛇紋粉、セピオライト(海泡石)(ミルコンS−15、商品名:昭和KDE株式会社製)、パリゴルスカイト(ポレイシイPF−2、商品名:昭和KDE株式会社製)、ワイン珪藻土、ワラストナイト(珪灰石)、ゼオライト(沸石)、御影石(花崗岩)、大理石、珊瑚石、寒水石、バーミキュライト(蛭石)、トルマリン(電気石)、蛍石、方解石、ガラス繊維、蛇紋岩、無機物として、ガラス片、食塩などを挙げることができる。
本発明で使用する有機物からなる発核材は、具体的には、例えば、木片、ポリエチレン、ゴム、セロハン、プラスチック系フィルム、紙などを挙げることができる。
これらの無機物、有機物は1種あるいは2種以上を任意の割合で混ぜて使用することができる。
本発明で使用する発核材の選定に当たっては、角のあるもの、擦り合わせたときに抵抗の大きいもの(擦り合わせたときゴリゴリするもの)、電子レンジでの加熱を考慮して金属および/または金属含有物質以外のもの、熱的変形が起こり難いもの、および硬度の大きいもの、個体密度の大きいものからなる群から選ぶことが好ましい。
本発明で使用するのに好適な発核材を順に具体例について良いものから記載すると、大理石(大型)、御影石、川石(大磯砂利を破砕したもの)、オハジキ(破砕片)、トルマリン(破砕片)>珊瑚石、寒水石、方解石、ワイン珪藻土、>>食塩、大理石(小型)>>ゼオライト、蛍石、バーミキュライト、トルマリン(成形品)、蛇紋粉、セピオライト、パリゴルスカイト、ワラストナイト>川石(大磯砂利の原形)、オハジキ(原型)、ビー玉、プラスチック、ガラス繊維、ゴム、フィルムなどである。
これらの結果から、同じ物質でも、大きいほど擦り合わせ操作が容易であり、確実に発核し易くなることが判る。
同じ物質でも、数が多いほど擦り合わせたときの接触面積が広く、抵抗が大きく、発核し易いことが判る。
寸法が大きくても、発核材の個体数が多くても、表面が滑り易いものは抵抗が小さく、発核せず、川石(大磯砂利の原形)のように角のないものは、抵抗が小さく、発核し難いことが判る。
しかし、川石(大磯砂利の原形)を破砕し、角のあるものとすれば発核することが判る。
また、軟らかいと、擦り合わせたときに発核材が粉砕したり、形状が変化したりするなど、結晶化に必要なエネルギーが、別のエネルギーとして作用されるため、硬いものほど擦り合わせたときの形状変化が少なく、発核し易いことが判る。
発核しにくい材料(例えば、川石やバーミキュライト)も、発核しやすい角のある材料(例えば、御影石や破砕したオハジキなど)と混合して使用すると、擦り合わせたときの抵抗が大きく、発核し易い。
これらの無機物、有機物からなる発核材を使用して、下記の試験方法を用いて過冷却した潜熱蓄熱材(酢酸ナトリウム水溶液(酢酸ナトリウム塩:水質量比=55:45)の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与して結晶化するかどうかを試験した。
試験結果を表1に示す。表1には発核材の名称の他に、材質、モース硬度、真比重、各試験法で使用した発核材の粒径、結晶化の試験結果および備考などが記載されている。
表1中の結晶化の欄に記載の%は発核材の充填率(容量%、あるいは質量%)を示す。
試験方法:
試験方法A:過冷却した前記潜熱蓄熱材(11g)が入ったポリエチレン製筒状容器(φ3.3×6.0cm)に、表面から3cm位の高さから発核材を落下・投入する。
試験方法B:過冷却した前記潜熱蓄熱材(80g)が入った多重積層フィルム袋からなる容器(8.5×11.0cm)に、発核材を詰めた(小袋の容量100%に対して発核材を20〜30容量%あるいは50〜60容量%充填した)小袋(ポリエチレン袋、3.0×5.0cm)を入れ過冷却した潜熱蓄熱材中で揉んで擦り合わせる。
試験方法C:過冷却した前記潜熱蓄熱材(80g)が入った多重積層フィルム袋からなる容器(8.5×11.0cm)に、発核材(約5g/約30g)を分散投入して(前記潜熱蓄熱材100質量%に対して5〜10質量%あるいは30〜40質量%)、過冷却した潜熱蓄熱材中で揉んで擦り合わせる。
Figure 2011094878
表1中の試験結果の◎、○、△、×は下記の結果を表す。
◎:投入とほぼ同時に結晶が現れた。擦り合わせたらすぐに結晶が現れた。
○:投入したら、数秒後に結晶が現れた。10数秒擦り合わせたら結晶が現れた。
△:投入したが、少し時間を置いて結晶が現れた。擦り合わせたがなかなか結晶が現れない。
×:投入したが結晶が現れない。擦り合わせても結晶が現れない。
表1中の試験結果の*1〜*7は下記の状態を表す。
*1:落下させた際に、発核材が表面に水平に落下し、表面に水平に浮いた。
*2:落下させた際に、発核材が表面に垂直に突き刺さるように落下した。
*3:小石程度の大きさの発核材2個を擦り合わせた。
*4:大きさの異なる発核材を多数袋詰めして潜熱蓄熱材中で擦り合わせた。
*5:(1)1g程度の束を潜熱蓄熱材中に投入したら結晶が現れた。(2)1g以下の4〜5本の束を潜熱蓄熱材中に投入したら結晶が現れなかった。どちらも表面に垂直に突き刺さるように落下した。
*6:潜熱蓄熱材中に分散させる潜熱蓄熱材の量の大小により結晶化が影響を受ける。
*7:発核材を破砕し、角のある形状にして試験した。
表1から、試験方法A、試験方法Bおよび試験方法Cのいずれの場合も、無機物または有機物からなる発核材を用いて、過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与することによって結晶化を生じさせて潜熱を発生させることができることが判る。
前記試験以外に、画鋲、爪楊枝、削って先端を鋭利にした鉛筆、あるいは砕いた川砂利、砕いたオハジキなど鋭利な角がある発核材を用いて、過冷却した潜熱蓄熱材の表面に突き刺して局部的点圧荷重を付与すると結晶化が生じた。
しかし0.4mmボールペンおよび先が丸い箸など鋭利な角がなく丸まった先端部を有する発核材を用いて、過冷却した潜熱蓄熱材の表面に突き刺して局部的点圧荷重を付与すると結晶化が生じなかった。
このようにおなじ無機物または有機物からなる発核材を用いても、鋭利な角がある発核材の場合には、結晶化を生じさせて潜熱を発生させることができるが、鋭利な角がなく丸まった先端部を有する発核材の場合には、結晶化できない場合があることが判った。
また、おなじ無機物または有機物からなる発核材であっても、小袋に高密度で充填したり、あるいは多数束ねて集結させたり、分散させる場合も分散量を多くすることにより、結晶化を生じさせて潜熱を発生させることができることが判った。
前記鋭利な角度とは、あまり鋭角であると、第2区画や小袋を突き破って漏出してしまう恐れがあるので、下限値はそのような角度より大きい角度であり、上限値はあまり鈍角であると、結晶化を生じさせて潜熱を発生させることができない恐れがあるので、結晶化を生じさせて潜熱を発生させることができる角度が上限値である。
発核材の形状は、例えば鋭利な角度を有する正四面体では好ましくなく、前記範囲の角度を有する立方体が好ましい。
発核材の小袋内の充填率(容積%)は5%以上100%未満の範囲で使用がこのましい。より好ましくは、25%以上70%以下、特に好ましくは、30%以上50%以下である。5%未満では小袋中の発核材どうしに大きな間隔が生じ、擦り合わせ操作が難しく、結晶化のスムースな進行が損なわれる恐れがあり、上限値を超えると発核材どうしが互いに押し合って、がっちり固定されてしまい、小袋中で擦り合わせることが困難になり、結晶化のスムースな進行が損なわれる恐れがある。また、小袋に常に不要な圧力がかかり、小袋の材質によっては擦り合わせる際に破袋する恐れがある。
本発明の発熱体を適用する被加熱体は特に限定されるものではない。具体的には、例えば人体あるいは人体の各部分、ガラス窓の曇り止めや車のフロントガラスの霜取り、食品などを挙げることができる。
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
次に実施例および比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図3に示したように、プラスチック系多層積層体(フィルム)を用いてヒートシールして縦10cm×横9cmの大袋1Bおよび縦7cm×横3cmの潜熱蓄熱材通路7を1つ以上備えた小袋2Bを作った。
小袋2B中に発核材3として粉砕した砂利を10g入れた。そして大袋1B中に、酢酸ナトリウム3水塩(CH3 COONa・3H2 O)123g、水(水道水)7gからなる過冷却した潜熱蓄熱材3(130g)を入れ、次いで発核材3を入れた小袋2Bを入れて液密に封入して本発明の発熱体1Bを作った。
本発明の発熱体1B中の小袋2Bを擦って過冷却した潜熱蓄熱材3の一部に局部的点圧荷重を付与すると短時間で結晶化が起こり、結晶化は潜熱蓄熱材通路7を経て本発明の発熱体1B中の潜熱蓄熱材3全体に進行し、完全に結晶化した。
潜熱蓄熱材3全体が完全に結晶化した本発明の発熱体1Bを、ガーゼで包み、その上から食品包装用ラップフィルム(原材料:ポリ塩化ビニリデン)で包み、500W電子レンジ内に入れて約2分加熱すると結晶はすべて溶解し、その間にスパーク(放電)及び発熱体1Bの形状変化は全く見られなかった。
また、潜熱蓄熱材3全体が完全に結晶化した本発明の発熱体1Bを卓上コンロ上で沸騰する湯の入った鍋中に入れて約5.5分加熱すると結晶はすべて溶解した。
(実施例2)
実施例1で使用した大袋1Bおよび潜熱蓄熱材通路7を1つ以上備えた小袋2Bを作った。小袋2B中には発核材3として粉砕した砂利を10g入れた。
そして大袋1B中に、酢酸ナトリウム3水塩(CH3 COONa・3H2 O)40g、エチレングリコール5gからなる過冷却した潜熱蓄熱材3(45g)を入れ、次いで発核材3を入れた小袋2Bを入れて液密に封入して本発明の発熱体1B−1を作った。
本発明の発熱体1B−1を−15℃以下の冷凍庫内に放置して、自然に結晶化が生じるかどうかを観察した。
その結果、本発明の発熱体1B−1は−15℃以下の冷凍庫内に放置しても自然に結晶化しなかった。
そこで、本発明の発熱体1B−1中の小袋2Bを擦って過冷却した潜熱蓄熱材3の一部に局部的点に圧荷重を付与すると短時間で結晶化が起こり、結晶化は潜熱蓄熱材通路7を経て本発明の発熱体1B中の潜熱蓄熱材3全体に進行し、完全に結晶化した。
実施例2の場合と比較するために、大袋1B中に、酢酸ナトリウム3水塩(CH3 COONa・3H2 O)のみからなる過冷却した潜熱蓄熱材3(45g)を入れ、次いで発核材3を入れた小袋2Bを入れて液密に封入して本発明の発熱体1B−2を作った。
本発明の発熱体1B−2を同様にして−15℃以下の冷凍庫内に放置して、自然に結晶化が生じるかどうかを観察した。本発明の発熱体1B−2は−15℃以下の冷凍庫内に放置すると約4分から19分後に、自然に結晶化した。
また、実施例2の場合と比較するために、大袋1B中に、酢酸ナトリウム3水塩(CH3 COONa・3H2 O)40gと水5gからなる過冷却した潜熱蓄熱材3(45g)を入れ、次いで発核材3を入れた小袋2Bを入れて液密に封入して本発明の発熱体1B−3を作った。
本発明の発熱体1B−3を同様にして−15℃以下の冷凍庫内に放置して、自然に結晶化が生じるかどうかを観察した。本発明の発熱体1B−3は−15℃以下の冷凍庫内に放置すると約24分から32分後に、自然に結晶化した。
以上の結果から、本発明の発熱体を寒冷地で使用するような場合は、凍結する問題がある上、凍結膨張により発熱体が膨張して破損するなどの問題も生じる恐れがあるので、凍結防止剤としてエチレングリコールなどの多価アルコール類を所定量添加した潜熱蓄熱材を使用する必要があることが判る。
(実施例3)
実施例1と同様にして大袋1B(但し、100cm2 =縦8.5cm×横12.0cm)および潜熱蓄熱材通路7を1つ以上備えた、それぞれ大きさ10.4cm2 、24.0cm2 、28.0cm2 、35.0cm2 、52.0cm2 の小袋2Bを作った。それぞれの小袋2B中には、発核材3として約3〜7mmの角のある砂利状の大理石を10g入れた。
そして大袋1B中に、酢酸ナトリウム3水塩(CH3 COONa・3H2 O)80gからなる過冷却した潜熱蓄熱材3を入れ、次いで、それぞれ、発核材3を10g入れた小袋2Bを入れて液密に封入して本発明の発熱体1Bを作った。
そして、本発明の発熱体1B中の小袋2Bを(1)指先で押圧する、および(2)手で揉んで、過冷却した潜熱蓄熱材3の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与した。
すると大きさ10.4cm2 の小袋2Bを使用した本発明の発熱体1Bの場合は、(1)および(2)の場合いずれも即座に結晶化が起こり、結晶化は潜熱蓄熱材通路7を経て本発明の発熱体1B中の潜熱蓄熱材3全体に進行し、完全に結晶化した。この場合は小袋2Bが小さいので少しの衝撃などの局部的点圧荷重若しくは摩擦で即座に結晶化が起こるので、注意を要する。
大きさ24.0cm2 、28.0cm2 の小袋2Bを使用した本発明の発熱体1Bの場合は(1)の場合は30秒間指先で擦った時に結晶化が起こり、一方、(2)の場合は即座に結晶化が起こり、結晶化は潜熱蓄熱材通路7を経て本発明の発熱体1B中の潜熱蓄熱材3全体に進行し、完全に結晶化した。
大きさ35.0cm2 、52.0cm2 の小袋2Bを使用した本発明の発熱体1Bの場合は(1)の場合は30秒間指先で擦っても結晶化せず、一方、(2)の場合は30秒間手で揉むと結晶化が起こり、結晶化は潜熱蓄熱材通路7を経て本発明の発熱体1B中の潜熱蓄熱材3全体に進行し、完全に結晶化した。(2)の場合は30秒間手で揉むと結晶化が起ったが、小袋2Bが大きすぎるので局部的点圧荷重若しくは摩擦で即座には結晶化が起こらず、注意を要する。
(実施例4)
実施例1と同様にして大袋1B(但し、100cm2 =縦8.5cm×横12.0cm)を作った。そして大袋1B中に、酢酸ナトリウム3水塩(CH3 COONa・3H2 O)80gからなる過冷却した潜熱蓄熱材3および発核材3として約3〜7mmの角のある砂利状の大理石を10g(対潜熱蓄熱材質量比=12.5%)、30g(対潜熱蓄熱材質量比=37.5%)、60g(対潜熱蓄熱材質量比=75.0%)、90g(対潜熱蓄熱材質量比=112.5%)をそれぞれ入れ、液密に封入して本発明の発熱体1Bを作った。
そして、本発明の発熱体1B中の小袋2Bを(1)指先で押圧する、および(2)手で揉んで、過冷却した潜熱蓄熱材3に点圧荷重を付与した。
すると10gおよび30g入れた本発明の発熱体1Bの場合は(1)および(2)の場合いずれも結晶化しなかった。
60gおよび90g入れた本発明の発熱体1Bの場合は(1)および(2)の場合いずれも即座に結晶化した。この場合は結晶化した本発明の発熱体1Bを湯中で加熱して結晶を溶解した後、冷却過程で少しの振動などで自然結晶化が起こるので、注意を要する。
図6は、過冷却した潜熱蓄熱材中に発核材を充填した小袋を用いる場合、小袋の大きさと小袋に充填する発核材の粒子の数との関係をテストした結果を模式的に示す説明図である。
図6において、縦方向の矢印は小袋の大きさを示し、図中の大は小袋が大きいことを、図中の小は小袋が小さいことをそれぞれ示す。
図6において、横方向の矢印は発核材の粒子の数を示し、図中の多は発核材の粒子の数が多いこと(充填率が大)を、図中の少は発核材の粒子の数が少ない(充填率が小)ことをそれぞれ示す。
図6中の◎、○、△、×は下記のテスト結果を表す。
◎:少し動かした程度、もしくは落とした程度で結晶化が始まる。
○:上から指で軽く押す程度で結晶化が始まる。
△:上から指で揉むと結晶化が始まる。
×:強く擦り合わせても、なかなか結晶が始まらない。
図6から、結晶化は小袋中の発核材の充填率に依存することが判った。
本発明の加熱体を使用するときには、容易に発核させることができるが、持ち歩きしたり移動したりする間に発核材が擦れ合って発核しないようにするためには、小袋中の発核材は過冷却した潜熱蓄熱材中に相互に離れて分散させるのではなく、小袋中でお互いに押し合って固定されている状態にするのが好ましいことが判る。
以上の結果、小袋中の発核材の充填率(容積%)は小袋の容積に対して5%以上100%未満が好ましく、25%以上70%以下がより好ましく、30%以上50%以下が特に好ましいことが判った。
本発明の発熱体は、潜熱蓄熱材の過冷却を利用して、必要なときに発核材を用いて過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与しての結晶化を促し、微細な結晶を発生させ、潜熱を発生させて長時間にわたり熱を容易に利用することができ、形状や大きさの異なる他の被加熱体の加熱にも使用可能にし、しかも高周波誘導加熱器を用いたり、温水や加熱空気などの加熱流体と接触させて安全にかつ容易に結晶を融解して、過冷却潜熱蓄熱材に戻すことができるので、繰り返して使用できるという顕著な効果を奏すので、産業上の利用価値は甚だ大きい。
1、1A、1B、1B−1、1B−2、1B−3、1C、1D 発熱体
2A、2E 第1容器
2B 小袋(第2容器)
2C、2D プラスチック系多層積層体シート
3 潜熱蓄熱材
4 発核材
5 第1区画
6 第2区画
7 潜熱蓄熱材通路
8 凸状充填部
9 凹状連結部
10 周辺部
12 ヒートシール部

Claims (8)

  1. 金属および/または金属含有物質以外の無機物および/または有機物からなる発核材を用いて、過冷却した潜熱蓄熱材の一部に局部的点圧荷重若しくは摩擦を付与して結晶化を生じさせて潜熱を発生させることを特徴とする発熱体。
  2. 過冷却可能な潜熱蓄熱材を液密状態に密封した第1区画と、第1区画内に、過冷却した潜熱蓄熱材の結晶化を生じさせるための、金属および/または金属含有物質以外の無機物および/または有機物からなる発核材を充填した第2区画であって、第1区画内の潜熱蓄熱材が第2区画内へ通過して入ることができるが、前記発核材は通過して第1区画内へ流出することができない細孔を有する潜熱蓄熱材通路を少なくとも1つ以上備えた第2区画を備えたことを特徴とする請求項1記載の発熱体。
  3. 第1区画を形成する第1容器内に、第2区画を形成する第2容器が収容されていることを特徴とする請求項2記載の発熱体。
  4. 第1区画を形成する第1容器内に、第2区画が第1容器と一体的に形成されていることを特徴とする請求項2記載の発熱体。
  5. 第1容器内に互いに潜熱蓄熱材通路により連結された2つ以上の第1区画が形成されていることを特徴とする請求項3あるいは請求項4記載の発熱体。
  6. 発核材が角張った形状の粒子であるか、針状物であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の発熱体。
  7. 第2区画内に発核材が、第2区画の容積の5容量%以上、100容量%未満充填されていることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の発熱体。
  8. 発熱体の少なくとも1面に断熱材が積層されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の発熱体。
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