JP2011094302A - 路盤材および舗装の施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】路盤膨張による舗装面の隆起を生じにくい路盤材およびこの路盤材を用いた舗装の施工方法を提供する。
【解決手段】一部又は全部が製鋼スラグである路盤材であって、下記(イ)〜(ハ)の条件を満たす材料からなる路盤材である。このような路盤材を、舗装の路盤に施工する。
(イ)JIS−A5015−1992の附属書2に規定する鉄鋼スラグの水浸膨張試験による膨張量が1.5%以下である。
(ロ)材料を、(a)エトリンガイト生成と固結を促進させる加速試験、(b)2年以上の施工試験、のいずれかの試験に供した後、その供試体のエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定し、該測定値が[圧縮強度(MPa)<−3.75×エトリンガイト含有率(mass%)+15]を満足する。
(ハ)JIS−K0058−1:2005に規定する利用有姿による溶出試験により測定されるpHが9.5超である。
【選択図】なし

Description

本発明は、製鋼スラグを含む路盤材であって、路盤膨張による舗装面の隆起を生じにくい路盤材、およびこの路盤材を用いた舗装の施工方法に関する。
道路や駐車場などのアスファルトコンクリート舗装では、路盤が膨張することにより舗装面が突然隆起することがある。このように路盤膨張を生じる主たる原因については、特に路盤材として製鋼スラグが使用されている場合は、スラグ中のf-CaO(遊離CaO)が水和する際に体積膨張を生じたり、或いは固結した製鋼スラグ路盤材中にエトリンガイトが生成し、体積膨張を生じるためであると考えられてきた。
従来、製鋼スラグ路盤材としては、2種以上のスラグを混合して用いる場合もあるが、例えば、エトリンガイト生成に起因した舗装面の隆起については、どのような製鋼スラグ(特に混合スラグ)を用いた場合に生じるおそれがあるのかを、的確に推定できるような手法は全く知られていない。
勿論、製鋼スラグを成分分析してエトリンガイトを生成する成分の存在やその含有量を特定することはできるが、施工された路盤材中でのエトリンガイトの生成には、スラグの組み合わせ、使用される温度や含水量など、種々の要因が複雑に関与していると考えられるため、製鋼スラグ中の成分やその含有量からエトリンガイトの生成量を推定することは極めて難しい。また、舗装面が隆起を生じるのは、エトリンガイトの生成量だけでなく、他の要因も関与している可能性がある。
このため従来では、(i)問題を生じるようなエトリンガイト生成の可能性が殆どないスラグのみを路盤材に使用する、(ii)路盤材用として混合したスラグを長期間(例えば、1年間)放置した後、路盤材に使用する、というような対応を採らざるを得ず、製鋼スラグを路盤材に適用するのに大きな制約があった。
一方、本発明者らによる調査の結果では、製鋼スラグ路盤材を使用したアスファルトコンクリート舗装において、路盤中でのf-CaOやエトリンガイトの生成量(含有率)が非常に少ない場合であっても、路盤膨張により舗装面が隆起する場合があることが判明した。このような路盤膨張は、f-CaOの水和やエトリンガイトの生成に起因するものでないことは明らかであり、その原因の解明と適切な対策が望まれ、特にそのような膨張を生じない路盤材の選定基準が明確になることが望まれていた。
したがって本発明の目的は、上述したような路盤膨張による舗装面の隆起を生じにくい路盤材およびこの路盤材を用いた舗装の施工方法を提供することにある。
本発明者は、製鋼スラグ路盤材を用いた既設のアスファルトコンクリート舗装について調査、検討した結果、以下のような事実を知見した。
(A)エトリンガイト生成に起因した舗装面の隆起については、舗装面の隆起を生じるか否かは、路盤材のエトリンガイト生成量だけに依存しているのではなく、路盤材のエトリンガイト生成量と固結状態(固結の程度)の両方に依存しており、舗装面の隆起を生じるか否かは、路盤材の最終的なエトリンガイト含有率と固結の程度(路盤材の圧縮強度)で整理でき、定量的な基準が得られることが判った。したがって、加速試験などによりエトリンガイトの生成と固結の進行がほぼ終息した段階にある材料のエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定し、その測定値を前記基準にあてはめることで、その材料が舗装面の隆起を生じさせない路盤材適性を有するか否かを判定できることが判った。
(B)路盤中のf-CaOやエトリンガイトの生成量(含有率)が非常に少ないにも拘わらず、路盤膨張による隆起を生じた舗装では、路盤中に鉄錆が多く含まれることが判った。これらの事実を基にさらに調査、検討を進めた結果、pHが比較的低く且つ製鋼スラグ由来の金属Feを含む材料を使用した場合、路盤材中の金属Feが酸化されて体積膨張を生じることで路盤が膨張し、舗装面の隆起を生じることが判った。したがって、これらの事実から、製鋼スラグ由来の金属Feを含む材料であっても、pHが比較的高い材料を路盤材に用いれば、上記原因による路盤膨張とこれにより生じる舗装面の隆起を適切に防止できることが判った。
(C)以上のように、製鋼スラグ路盤材を使用した舗装の隆起は、製鋼スラグに由来する全く独立した複数の要因によってそれぞれ引き起こされるおそれがあり、したがって、舗装の隆起を防止するには、それら全ての要因を考慮した路盤材適性を有する材料を用いる必要がある。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]一部又は全部が製鋼スラグである路盤材であって、下記(イ)〜(ハ)の条件を満たす材料からなることを特徴とする路盤材。
(イ)JIS−A5015−1992の附属書2に規定する鉄鋼スラグの水浸膨張試験による膨張量が1.5%以下である。
(ロ)材料を下記(a)、(b)のいずれかの試験に供した後、
(a)エトリンガイト生成と固結を促進させる加速試験
(b)2年以上の施工試験
その供試体のエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定し、該測定値が下記(1)式を満足する。
圧縮強度(MPa)<−3.75×エトリンガイト含有率(mass%)+15 …(1)
(ハ)JIS−K0058−1:2005に規定する利用有姿による溶出試験により測定されるpHが9.5超である。
[2]上記[1]の路盤材において、透水性舗装用の路盤材であり、下記(イ)〜(ハ)の条件を満たす材料からなることを特徴とする路盤材。
(イ)JIS−A5015−1992の附属書2に規定する鉄鋼スラグの水浸膨張試験による膨張量が1.5%以下である。
(ロ)材料を下記(a)、(b)のいずれかの試験に供した後、
(a)エトリンガイト生成と固結を促進させる加速試験
(b)2年以上の施工試験
その供試体のエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定し、該測定値が下記(1)式を満足する。
圧縮強度(MPa)<−3.75×エトリンガイト含有率(mass%)+15 …(1)
(ハ)JIS−K0058−1:2005に規定する利用有姿による溶出試験により測定されるpHが10.5超である。
[3]上記[1]又は[2]の路盤材において、(ロ)の条件において、エトリンガイト生成と固結を促進させる加速試験は、材料に石膏を添加して混合した供試体を用い、試験期間を28日以上とすることを特徴とする路盤材。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの路盤材を、舗装の路盤に施工することを特徴とする舗装の施工方法。
本発明の路盤材は、一部又は全部が製鉄スラグである路盤材でありながら、路盤膨張を生じにくく、このため路盤膨張による舗装面の隆起を適切に防止することができる。
路盤膨張の進行がほぼ終息したと推定される複数箇所の既設アスファルトコンクリート舗装について、舗装面の隆起の有無を路盤材のエトリンガイト含有率と固結状態(圧縮強度)との関係で示したグラフ 一部又は全部が製鋼スラグである材料であって、種々のpHを有する材料を路盤材として施工し、路盤内での鉄錆の発生状況と路盤膨張による舗装面の隆起の有無を調べた結果を示すグラフ
本発明が対象とするのは、一部又は全部が製鋼スラグからなる路盤材である。
製鋼スラグとは、鉄鋼製造プロセスの製鋼工程で発生するスラグであり、溶銑予備処理スラグ(例えば、脱燐スラグ、脱珪スラグなど)、転炉スラグ(脱炭スラグ)などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
また、一部が製鋼スラグである路盤材の場合、路盤材の残部には、コンクリート廃材、廃路盤材、レンガ廃材、製鋼スラグ以外の鉄鋼スラグ(例えば、高炉徐冷スラグなど)、鉄鋼スラグ以外のスラグ(例えば、ごみ溶融スラグなど)、砕石などの1種以上を用いることができる。
路盤材に製鋼スラグを使用した舗装の隆起には、製鋼スラグに由来する全く独立した複数の要因、すなわち下記(a)〜(c)の要因があると考えられる。
(a)製鋼スラグ中のf-CaOが水和する際に体積膨張を生じることで路盤が膨張し、舗装面の隆起を生じる。
(b)製鋼スラグを含む路盤材が固結し、この固結した路盤材中に製鋼スラグ由来成分によるエトリンガイトが生成し、体積膨張を生じることで路盤が膨張し、舗装面の隆起を生じる。
(c)製鋼スラグは金属Feを含んでいるが、pHが比較的低く且つ製鋼スラグ由来の金属Feを含む材料を路盤材として使用した場合、路盤材中の金属Feが酸化されて体積膨張を生じることで路盤が膨張し、舗装面の隆起を生じる。
上記下記(a)〜(c)の各要因による路盤膨張が生じないようにするため、本発明の路盤材は、一部又は全部が製鋼スラグからなり且つ下記(イ)〜(ハ)の条件を満たす材料で構成される。
(イ)JIS−A5015−1992の附属書2に規定する鉄鋼スラグの水浸膨張試験による膨張量が1.5%以下である。
(ロ)材料を下記(a)、(b)のいずれかの試験に供した後、
(a)エトリンガイト生成と固結を促進させる加速試験
(b)2年以上の施工試験
その供試体のエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定し、該測定値が下記(1)式を満足する。
圧縮強度(MPa)<−3.75×エトリンガイト含有率(mass%)+15 …(1)
(ハ)JIS−K0058−1:2005に規定する利用有姿による溶出試験により測定されるpHが9.5超である。
以下、本発明の路盤材の上記(イ)〜(ハ)の条件について説明する。
・(イ)の条件
製鋼スラグ中のf-CaO(遊離CaO)が水和する際に体積膨張を生じることで路盤が膨張することは従来から知られており、JIS−A5015−1992の附属書2に規定された鉄鋼スラグの水浸膨張試験による材料の膨張量(水浸膨張:80℃、10日間)が1.5%超では、f-CaOが水和する際の体積膨張により舗装面が隆起するおそれがある。このため本発明の路盤材は、JIS−A5015−1992の附属書2に規定された鉄鋼スラグの水浸膨張試験による膨張量が1.5%以下であることを条件とする。また、この膨張量は0.5%以下であることが、より好ましい。
・(ロ)の条件
路盤材中に製鋼スラグ由来成分によるエトリンガイトが生成して舗装面の隆起を生じるか否かは、路盤材のエトリンガイト生成量だけに依存しているのではなく、路盤材のエトリンガイト生成量と固結状態(固結の程度)の両方に依存しており、舗装面の隆起を生じるか否かは、路盤材の最終的なエトリンガイト含有率と固結の程度(路盤材の圧縮強度)で整理でき、定量的な基準が得られる。したがって、加速試験などによりエトリンガイトの生成と固結の進行がほぼ終息した段階にある材料のエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定し、その測定値を前記基準にあてはめることで、その材料が舗装面の隆起を生じさせない路盤材適性を有するか否かを判定できる。
路盤材として製鋼スラグを用いた既設のアスファルトコンクリート舗装であって、路盤膨張の進行(路盤材のエトリンガイト生成と固結の進行)がほぼ終息したと推定される複数箇所のアスファルトコンクリート舗装について、舗装面の隆起の有無を調べるとともに、採取した路盤材サンプルのエトリンガイト含有率と固結状態を調べた。なお、この調査では、舗装面長さ20cmで2cm以上の高低差がある場合に「舗装面の隆起」と判断した。
エトリンガイト含有率は、採取した路盤材サンプルを縮分・粉砕した後、X線回折により定量した。
路盤材の固結状態については、次のようにして得られた圧縮強度で評価した。まず、採取した路盤材サンプルの固結状態を、以下のような基準で3段階評価し、指数化した。
固結指数1:スコップで解砕可能な程度の固結状態
固結指数2:スコップでは解砕できないが、電動ハンマーで解砕可能な程度の固結状態
固結指数3:電動ハンマーで解砕可能であるが、解砕に長時間を要する固結状態
一方、同じ路盤から採取した他の路盤材サンプルについて、JIS−A1108:2006に規定する「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠してコア供試体の圧縮強度を測定し、複数サンプル(n=5)の平均値を求めた。その平均値を、上記固結指数と対応させたところ、以下のような結果となった。
固結指数1=圧縮強度平均値:約3MPa
固結指数2=圧縮強度平均値:約6MPa
固結指数3=圧縮強度平均値:約9MPa
なお、各路盤材サンプルの圧縮強度は、コア供試体の高さがその直径の2倍より小さい場合には、JIS−A1107:2002に規定する「コンクリートからのコアの採取方法並びに強度試験方法」に基づいて測定値を補正し、直径の2倍の高さをもつコア供試体の圧縮強度に換算した。また、角柱供試体しか作成できない場合には、JIS−A1114:2002に規定する「コンクリートからの角柱供試体の採取方法及び強度試験方法」に準拠して圧縮強度を測定した。
図1は、以上のような調査・測定の結果を整理し、舗装面の隆起の有無を路盤材のエトリンガイト含有率と固結状態(圧縮強度)との関係で示したものである。同図によれば、路盤材のエトリンガイト含有率と圧縮強度が下記(1)式を満足するアスファルトコンクリート舗装は、舗装面の隆起が生じていない。これに対して、路盤材のエトリンガイト含有率と圧縮強度が下記(1)式を満足しないアスファルトコンクリート舗装は、一部に舗装面の隆起が生じていないものもあるが、殆どが舗装面の隆起を生じている。したがって、エトリンガイト生成と固結の進行がほぼ終息した路盤材のエトリンガイト含有率と圧縮強度が下記(1)式を満足する領域にあれば、舗装面の隆起は生じないと考えてよい。
圧縮強度(MPa)<−3.75×エトリンガイト含有率(mass%)+15 …(1)
このため本発明の路盤材は、アスファルトコンクリート舗装の路盤材として施工した場合に膨張による舗装面の隆起を生じさせないために、材料を下記(a)、(b)のいずれかの試験に供した後、その供試体のエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定し、この測定値が上記(1)式を満足することを条件とする。
(a)エトリンガイト生成と固結を促進させる加速試験
(b)2年以上の施工試験
ここで、上記(a)、(b)の試験は、材料をエトリンガイト生成と固結の進行がほぼ終息した状態にするために行うものである。
上記(a)の加速試験には種々の方法があるが、例えば、エトリンガイトの生成を促進させるために材料に石膏を添加して混合した供試体を用い、且つ試験期間を28日以上とする条件で行うことが好ましい。試験期間が28日以上であれば、エトリンガイト生成と固結の進行がほぼ終息した状態とすることができる。具体的な試験条件は、例えば、次のようにする。装置及び器具、試料の調整、供試体の作成については、JIS−A5015−1992の付属書2に規定する鉄鋼スラグの水浸膨張試験方法に従う。供試体となる材料の粒度は、路盤材として施工する粒度とし、材料には、エトリンガイトの生成を促進させるために少量の石膏を添加・混合する。通常、石膏の添加量は0.5〜5mass%(好ましくは1〜3mass%)程度とする。試験温度は10〜40℃(好ましくは20〜30℃)とし、試験期間は28日以上とする。この試験期間を経た供試体を回収し、さきに図1に関する説明で述べた方法でエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定する。
また、上記(b)の施工試験は、試験用の施工区を設け、実際の施工と同じ条件で舗装の施工を行う。施工区の大きさは任意であり、例えば、上述の加速試験規模(JIS−A5015の場合は15cm)でもよいが、一般には4m以上×3m以上とするのが好ましい。この施工試験を2年以上とするのは、施工後2年経過すればエトリンガイト生成と固結の進行がほぼ終息するからである。なお、試験期間を5年以上とすれば更に確実である。この試験期間を経た供試体を回収し、さきに図1に関する説明で述べた方法でエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定する。
・(ハ)の条件
一般に、製鋼スラグは相当量の金属Feを含んでいるが、アスファルトコンクリート舗装において、pHが比較的低く且つ製鋼スラグ由来の金属Feを含む材料を路盤材として使用した場合、路盤材中の金属Feが酸化されて体積膨張を生じることで路盤が膨張し、舗装面の隆起を生じる。したがって、pHが比較的高い材料を用いれば、上記原因による路盤膨張とこれにより生じる舗装面の隆起を適切に防止することができる。
図2は、一部又は全部が製鋼スラグである材料であって、種々のpHを有する材料を、アスファルトコンクリート舗装の路盤材として施工し、鉄錆の発生状況と路盤膨張による舗装面の隆起の有無を調べた結果を示している。材料は、製鋼スラグ単体又は製鋼スラグと高炉徐冷スラグ、廃コンクリートの1種以上を混合したものであり、いずれも製鋼スラグ由来の金属Feを6〜12mass%程度含んでいる。施工前の材料のpHは、JIS−K0058−1:2005に規定する利用有姿による溶出試験により測定した。
施工して2年後のアスファルトコンクリート舗装について、路盤膨張による舗装面の隆起の有無を調べた。この調査では、舗装面長さ20cmで2cm以上の高低差がある場合に「舗装面の隆起」と判断した。また、そのアスファルトコンクリート舗装の路盤から路盤材を採取し、この路盤材サンプルの発錆状態を目視観察し、以下のような基準で4段階評価し、指数化した。
錆指数1:灰色
錆指数2:薄茶色
錆指数3:茶色
錆指数4:濃い茶色〜赤褐色
図2によれば、pHが9.5以下の材料の錆指数が高く(錆指数3〜4)、路盤膨張による舗装面の隆起を生じている。これに対して、pHが9.5超の材料は、錆指数が低く(錆指数1〜2)、路盤膨張による舗装面の隆起を生じていない。
以上の結果から、本発明の路盤材は、アスファルトコンクリート舗装の路盤材として施工した場合に膨張による舗装面の隆起を生じさせないために、JIS−K0058−1:2005に規定する利用有姿による溶出試験により測定されるpHが9.5超であることを条件とする。なお、このpH測定の供試体となる材料の粒度は、当然、路盤材として施工する粒度のものである。
また、より膨張を生じにくい路盤材とするには、pHの下限値をより高く設定することが好ましい。具体的には、好ましくはpH10.5超、より好ましくはpH11.5超、特に好ましくはpH12.5超とすることが好ましい。
また、透水性舗装に施工された路盤材は、雨水と接触することによりpHが低下しやすいので、透水性舗装用としての路盤材は、pHの下限値をより高く設定することが好ましい。具体的には、好ましくはpH10.5超、より好ましくはpH11.5超、特に好ましくはpH12.5超とすることが好ましい。
ここで、透水性舗装とは、路面に降った雨水を舗装内部の隙間から地中に浸透させる機能を持った舗装であり、アスファルトコンクリート舗装の場合、粘度の高い改質アスファルトを使用するとともに、粗骨材の割合を高めて空隙率を高めに設定する条件で施工される。一般に、透水性舗装の透水係数は1.0×10−2cm/sec以上である。
以上のように(イ)〜(ハ)の条件を満足する本発明の路盤材は、さきに挙げた(a)〜(c)の要因による舗装面の隆起を生じさせない路盤材適性を有するので、そのままアスファルトコンクリート舗装などの舗装の路盤に施工することができる。
なお、上述した(イ)〜(ハ)の条件は、アスファルトコンクリート舗装の路盤材として施工した場合に膨張による舗装面の隆起を生じさせない路盤材適性を有する材料を選定する選定方法において、材料の選定条件にすることもできる。すなわち、この選定方法では、一部又は全部が製鋼スラグからなる材料のなかで、上述した(イ)〜(ハ)の条件を満足する材料を舗装面の隆起を生じさせない路盤材適性を有する材料として選定するものである。
表1に示す水浸膨張量、溶出pH、2年間の施工試験後にその路盤材をコアボーリングして評価した圧縮強度及びエトリンガイト含有率の製鋼スラグを含む路盤材を用いてアスファルトコンクリート舗装した。舗装して2年経過した後、複数箇所の舗装面の隆起の有無を調べた。舗装面長さ20cmで2cm以上の高低差がある場合に「舗装面の隆起」と判断した。
本実施例の結果では、本発明の路盤材を用いたアスファルトコンクリート舗装は、舗装面の隆起を生じることがなかった。
Figure 2011094302

Claims (4)

  1. 一部又は全部が製鋼スラグである路盤材であって、下記(イ)〜(ハ)の条件を満たす材料からなることを特徴とする路盤材。
    (イ)JIS−A5015−1992の附属書2に規定する鉄鋼スラグの水浸膨張試験による膨張量が1.5%以下である。
    (ロ)材料を下記(a)、(b)のいずれかの試験に供した後、
    (a)エトリンガイト生成と固結を促進させる加速試験
    (b)2年以上の施工試験
    その供試体のエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定し、該測定値が下記(1)式を満足する。
    圧縮強度(MPa)<−3.75×エトリンガイト含有率(mass%)+15 …(1)
    (ハ)JIS−K0058−1:2005に規定する利用有姿による溶出試験により測定されるpHが9.5超である。
  2. 透水性舗装用の路盤材であり、下記(イ)〜(ハ)の条件を満たす材料からなることを特徴とする請求項1に記載の路盤材。
    (イ)JIS−A5015−1992の附属書2に規定する鉄鋼スラグの水浸膨張試験による膨張量が1.5%以下である。
    (ロ)材料を下記(a)、(b)のいずれかの試験に供した後、
    (a)エトリンガイト生成と固結を促進させる加速試験
    (b)2年以上の施工試験
    その供試体のエトリンガイト含有率と圧縮強度を測定し、該測定値が下記(1)式を満足する。
    圧縮強度(MPa)<−3.75×エトリンガイト含有率(mass%)+15 …(1)
    (ハ)JIS−K0058−1:2005に規定する利用有姿による溶出試験により測定されるpHが10.5超である。
  3. (ロ)の条件において、エトリンガイト生成と固結を促進させる加速試験は、材料に石膏を添加して混合した供試体を用い、試験期間を28日以上とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の路盤材。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の路盤材を、舗装の路盤に施工することを特徴とする舗装の施工方法。
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