JP2011093771A - 炭化ケイ素単結晶、炭化ケイ素単結晶基板、および炭化ケイ素単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストや作業工数を増大させることなく高抵抗な炭化ケイ素単結晶を製造する。
【解決手段】昇華法により種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させて得られる炭化ケイ素単結晶であって、炭化ケイ素単結晶中のドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値を1×10−16〜1×1016atoms/cm3とする。例えば、浅い準位のアセクプターであるホウ素は、結晶成長高さに関わらずホウ素濃度は略一定となるが、浅い準位のドナーである窒素は、結晶成長に伴って低下し、最終的にはホウ素濃度以下になる。これに伴い、成長結晶の抵抗率は結晶成長に伴って増加していき、ホウ素濃度と窒素濃度とがほぼ同等の値になる領域において半絶縁性を示し、その後は窒素濃度の低下に伴って低下する。従って、ホウ素濃度と窒素濃度がほぼ同等の値になる領域を拡大することにより半絶縁性のウエハとして歩留まりを向上させることができる。
【選択図】図1
【解決手段】昇華法により種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させて得られる炭化ケイ素単結晶であって、炭化ケイ素単結晶中のドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値を1×10−16〜1×1016atoms/cm3とする。例えば、浅い準位のアセクプターであるホウ素は、結晶成長高さに関わらずホウ素濃度は略一定となるが、浅い準位のドナーである窒素は、結晶成長に伴って低下し、最終的にはホウ素濃度以下になる。これに伴い、成長結晶の抵抗率は結晶成長に伴って増加していき、ホウ素濃度と窒素濃度とがほぼ同等の値になる領域において半絶縁性を示し、その後は窒素濃度の低下に伴って低下する。従って、ホウ素濃度と窒素濃度がほぼ同等の値になる領域を拡大することにより半絶縁性のウエハとして歩留まりを向上させることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、昇華法によって製造される炭化ケイ素単結晶、この単結晶を用いた炭化ケイ素単結晶基板および炭化ケイ素単結晶の製造方法に関する。
一般に、高周波半導体デバイス用の基板材料には、105Ω・cm以上の高い抵抗特性(半絶縁特性)が要求される。従って、高周波半導体デバイス用の基板材料として利用される炭化ケイ素単結晶について、結晶内に含まれる不純物濃度であるドナー濃度とアクセプター濃度を低減させる開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記特許文献1に開示された技術は、ドナーとアクセプターの数量差を補償するように作用する真性点欠陥の数量を制御することによって高抵抗化を図るものであるが、この真性点欠陥の数量を制御することは技術的に困難であるという問題がある。また、浅い準位のドナーやアクセプターとなりうる不純物元素を非常に低い濃度で管理する必要がある。このため、管理に用いる原材料等にかけるコストや作業工数が増大するという問題もある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、コストや作業工数を増大させることなく製造できる、高抵抗な炭化ケイ素単結晶、この単結晶を用いた単結晶基板および炭化ケイ素単結晶の製造方法を提供する。
本発明の第1の特徴は、雰囲気ガス中で、炭化ケイ素を含む原料(昇華用原料50)を加熱昇華させ種結晶(種結晶60)上に炭化ケイ素単結晶を成長させて得られる炭化ケイ素単結晶であって、炭化ケイ素単結晶中のドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値が1×10−16〜1×1016atoms/cm3であることを特徴とする炭化ケイ素単結晶であることを要旨とする。
炭化ケイ素単結晶におけるドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値が1×10−16〜1×1016atoms/cm3であるため、炭化珪素単結晶は、105Ω・cm以上の高い抵抗特性(半絶縁特性)を持つことになる。
本発明の第2の特徴は、抵抗率が1×105Ω・cm以上であることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、前記ドナーは、窒素、リン、砒素の少なくともいずれかであり、前記アクセプターは、ホウ素、アルミニウムの少なくともいずれかであることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、前記ドナーは、窒素、リン、砒素の少なくともいずれかであり、前記アクセプターは、ホウ素、アルミニウムの少なくともいずれかであることを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、第1から第3の特徴にかかるいずれかの炭化ケイ素単結晶を加工して炭化ケイ素単結晶基板が得られることを要旨とする。
本発明の第5の特徴は、黒鉛部材(黒鉛製坩堝10)を有する製造装置(製造装置1)を用いて、黒鉛部材に炭化ケイ素を含む原料(昇華用原料50)を入れ、雰囲気ガス中において、原料を加熱昇華させ、種結晶(種結晶60)上に単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、原料を黒鉛部材に入れる前に、黒鉛部材を、圧力が100Pa〜100kPaの不活性ガス雰囲気中で、かつ、温度を2000℃以上に保持する純化処理工程を有することを要旨とする。
本発明の第6の特徴は、製造装置を用いて、雰囲気ガス中において、原料を加熱昇華させ、種結晶上に単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、原料を加熱昇華させ、種結晶上に単結晶を成長させる工程において、成長過程における単結晶中のドナー濃度がアクセプター濃度以下になった時点で雰囲気ガスに微量の窒素ガスを導入することにより、ドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値を1×10−16〜1×1016atoms/cm3に制御する制御工程を有することを要旨とする。
本発明の第7の特徴は、製造装置を用いて、黒鉛部材に原料を入れ、雰囲気ガス中において原料を加熱昇華させ、種結晶(種結晶60)上に単結晶を成長させて製造される炭化ケイ素単結晶であって、純化処理工程と制御工程とによって製造され、炭化ケイ素単結晶中のドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値が1×10−16〜1×1016atoms/cm3であり、抵抗率が1×105Ω・cm以上であり、ドナーは、窒素、リン、砒素の少なくともいずれかであり、アクセプターは、ホウ素、アルミニウムの少なくともいずれかであることを要旨とする。
本発明では、浅い準位のドナー濃度とアクセプター濃度とをほぼ同程度の濃度に保持させる制御が比較的に容易であるため、ドナー濃度とアクセプター濃度を極めて低く管理する必要性があまりない。よって、コストや作業工数が増大させることなく、高い歩留まりで高抵抗の炭化ケイ素単結晶を製造することができる。
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
(1)本発明の概要
図1は、不純物濃度・抵抗率と単結晶の成長高さとの関係を示したグラフである。具体的には、図1(a)は、不純物濃度と成長高さとの関係を示し、図1(b)は抵抗率と成長高さとの関係を示している。
図1は、不純物濃度・抵抗率と単結晶の成長高さとの関係を示したグラフである。具体的には、図1(a)は、不純物濃度と成長高さとの関係を示し、図1(b)は抵抗率と成長高さとの関係を示している。
炭化ケイ素単結晶に含まれる不純物の中で電気抵抗に影響を及ぼすものとして、浅い準位のアセクプターであるホウ素と、浅い準位のドナーである窒素と、が挙げられる。ホウ素は、原料や坩堝等の黒鉛部材に含まれ、結晶成長中に除去することが困難である。このため、図1(a)に示すように、結晶成長高さに関わらずホウ素濃度は略一定となる。一方、窒素は、原料、坩堝等の黒鉛部材および雰囲気ガス等に含まれる。成長結晶中の窒素濃度は、結晶成長に伴って低下し、最終的にはホウ素濃度以下になる。これに伴い、成長結晶の抵抗率は、図1(b)に示すように、結晶成長に伴って増加していき、ホウ素濃度と窒素濃度とがほぼ同等の値になる領域(図1(a)の斜線部分)において半絶縁性を示し、その後は窒素濃度の低下に伴って低下する。従って、半絶縁性のウエハとして歩留まりを向上させるには、ホウ素濃度と窒素濃度がほぼ同等の値になる領域を拡大することが必要になる。
(2)製造装置
図2を用いて、本発明の実施形態として示す炭化珪素単結晶の製造装置1を説明する。図2は、本発明の実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造装置の概略を示す断面図である。
図2を用いて、本発明の実施形態として示す炭化珪素単結晶の製造装置1を説明する。図2は、本発明の実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造装置の概略を示す断面図である。
図2に示すように、炭化珪素単結晶の製造装置1は、黒鉛製坩堝10(以下、適宜坩堝10と略す)と、該黒鉛製坩堝10の少なくとも側面を覆う石英管20と、該石英管20の外周側に配置された誘導加熱コイル30とを有する。
黒鉛製坩堝10は、反応容器本体11および蓋体12からなる。黒鉛製坩堝10は、支持棒40により石英管20の内部に固定される。反応容器本体11の底部11aには、炭化珪素を含む粉体である昇華用原料50が収容される。石英管20の両端はステンレス製のチャンバー21によって密封されている。チャンバー21の一部には、アルゴンガス(Arガス)を流入させるアルゴンガス用流入口22と、アルゴンガスに微量の窒素ガスを混合した混合ガスを流入させる混合ガス用流入口23と、石英管20内部のガスを排出する排出口24とが形成されている。
蓋体12は、反応容器本体11の上部開口11bを塞ぐと共に、反応容器本体11の上端部の内周面に螺合により着脱自在に設けられる。蓋体12の裏面側には、炭化珪素を含む種結晶60が取り付けられている。この種結晶60の支持手段は、ネジ止め等の機械的結合でも良く、接着剤による接合でも良い。
昇華用原料50は、炭化珪素を含む粉体の炭化珪素原料である。黒鉛製坩堝10の内部が所定の温度条件及び圧力条件になると、昇華用原料50は、昇華して昇華ガスGとなる。昇華用原料50が、種結晶60上に再結晶して成長することにより、炭化珪素単結晶が形成される。
誘導加熱コイル30は、反応容器本体11の底部11aに対応する高さ位置に配設された第1誘導加熱コイル31と、蓋体12の裏面に支持された種結晶60に対応する高さ位置に配設された第2誘導加熱コイル32とからなる。前記支持棒40を移動させて黒鉛製坩堝10の高さ位置を変えることにより、第1誘導加熱コイル31の高さ位置に、反応容器本体11の底部11aに収容された昇華用原料50を対応させて配置させると共に、第2誘導加熱コイル32の高さ位置に、蓋体12に支持された種結晶60を対応させて配置させることができる。
本実施形態では、チャンバーには、少なくとも2本のガス導入管を接続する。そのうちの1本は、アルゴンガス用流入口22に接続されて、単結晶成長の主たる雰囲気ガスである高純度アルゴンガスをチャンバーに導入する第1のガス導入管であり、他の一本は混合ガス用流入口23に接続されて、アルゴンガスと窒素との混合ガスをチャンバーに導入する第2のガス導入管である。
第2のガス導入管には、アルゴンガスに対して微量の窒素ガスを含んだ市販の標準ガスボンベを接続し、混合ガスの流量を調整するマスフローコントローラが設けられる。第1のガス導入管にも、ガスの流量を調整するマスフローコントローラが設けられる。これらのマスフローコントローラによって、アルゴンガスに対する窒素の量を自在かつ精密に制御できる。特殊な構造の装置等を使用しないため、簡素で低コストである。マスフローコントローラを操作することによって、成長結晶が所定高さ以上になったタイミングで、前記混合ガスを坩堝内に導入し始め、成長終了まで導入を続ける。
(3)炭化ケイ素単結晶の製造方法
本実施形態による炭化ケイ素単結晶の製造方法を図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態による炭化珪素単結晶の製造方法を説明する図である。
本実施形態による炭化ケイ素単結晶の製造方法を図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態による炭化珪素単結晶の製造方法を説明する図である。
まず、図3に示すように、純化処理工程S1を行う。坩堝10や断熱材は窒素が多く含まれる黒鉛部材であるため、純化処理工程S1によって黒鉛部材中に含まれる窒素を低減させることができる。具体的には、坩堝10および断熱材をアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中に保持する。この場合、圧力を100kPa以下、温度を2000℃以上とし、5時間以上保持することが好ましい。
次に、配置工程S2を行う。純化処理工程S1を経た坩堝10を構成する蓋体12の裏面に炭化ケイ素単結晶からなる種結晶60を取り付け、反応容器本体11内に炭化ケイ素からなる粉体状の昇華用原料50を収容し、蓋体12を反応容器本体11に取り付ける。
次に、昇華・成長工程S3を行う。昇華用原料50が昇華する温度(例えば、2500℃程度)にまで坩堝10を加熱する。昇華用原料50が昇華して昇華ガスGが発生し、種結晶60の表面上から単結晶が成長する。
ここで、成長結晶の高さが、図4に示すように、成長結晶中における窒素濃度とホウ素濃度とが等しくなるときの所定高さheになった時点で坩堝内に微量(例えば、アルゴンガスに対して0.5〜100ppm程度)の窒素ガスを導入する。この窒素ガス導入する制御工程は、単結晶が成長し終わるまで続ける。この成長結晶の所定高さheは、予め実験やシミュレーション等によって算出される。成長結晶が所定高さheになったか否かの判断は、結晶の成長速度と成長時間に基づいて行われる。
(4)ドナー濃度とアクセプター濃度との差
炭化ケイ素単結晶中におけるドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値は、1×10−16〜1×1016atoms/cm3であり、好ましくは、1×10−16〜0.5×1016atoms/cm3である。
炭化ケイ素単結晶中におけるドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値は、1×10−16〜1×1016atoms/cm3であり、好ましくは、1×10−16〜0.5×1016atoms/cm3である。
(5)抵抗率
炭化ケイ素単結晶の抵抗率は、1×105Ω・cm以上であることが好ましい。1×105Ω・cm以上であるため、高周波半導体デバイス用の基板材料に用いることができる。
炭化ケイ素単結晶の抵抗率は、1×105Ω・cm以上であることが好ましい。1×105Ω・cm以上であるため、高周波半導体デバイス用の基板材料に用いることができる。
(6)ドナーおよびアクセプター
ドナーとしては、窒素、リン、砒素の少なくともいずれかであることが好ましい。アクセプターとしては、ホウ素、アルミニウムの少なくともいずれかであることが好ましい。
ドナーとしては、窒素、リン、砒素の少なくともいずれかであることが好ましい。アクセプターとしては、ホウ素、アルミニウムの少なくともいずれかであることが好ましい。
(7)純化処理工程
前述した純化処理工程S1について詳細に説明する。一般的に、黒鉛部材には、数百ppm程度の窒素が含まれている。これらの窒素は気孔中ではなく、黒鉛層間にトラップされた状態か、または、炭素原子と置換された状態で存在している。この窒素を低減するために、結晶を成長させる前の黒鉛部材を、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中に、例えば、圧力を100kPa以下、温度を2000℃以上とした状態で、5時間以上保持する。大気圧に近い圧力条件下においても、十分な窒素低減効果が得られる。
前述した純化処理工程S1について詳細に説明する。一般的に、黒鉛部材には、数百ppm程度の窒素が含まれている。これらの窒素は気孔中ではなく、黒鉛層間にトラップされた状態か、または、炭素原子と置換された状態で存在している。この窒素を低減するために、結晶を成長させる前の黒鉛部材を、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中に、例えば、圧力を100kPa以下、温度を2000℃以上とした状態で、5時間以上保持する。大気圧に近い圧力条件下においても、十分な窒素低減効果が得られる。
この純化処理工程S1は、結晶成長用の装置や一般的な真空加熱装置を用いても可能である。大型のチャンバーを備えた真空加熱装置を用いれば一度に多数の黒鉛部材の純化処理が可能である。このように、純化処理工程S1を行うことにより、結晶成長前半において、窒素濃度をホウ素濃度に近づけて、ホウ素濃度と窒素濃度がほぼ同等の値になる領域を拡大することができる。
(8)制御工程
前述したように、制御工程S31では、成長結晶が、窒素濃度とホウ素濃度とが等しくなるときの所定の成長高さになった時点において、微量の窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを導入する。成長結晶の所定高さは、予め、実験やシミュレーションによって算出される。微量の窒素量とは、温度や圧力等の成長条件によって異なるが、概ね、アルゴンガスに対して0.5〜100ppmが好ましい。このように、結晶成長後半において窒素を補てんすることにより、窒素濃度をホウ素濃度に近づけて、ホウ素濃度と窒素濃度がほぼ同等の値になる領域を拡大することができる。
前述したように、制御工程S31では、成長結晶が、窒素濃度とホウ素濃度とが等しくなるときの所定の成長高さになった時点において、微量の窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを導入する。成長結晶の所定高さは、予め、実験やシミュレーションによって算出される。微量の窒素量とは、温度や圧力等の成長条件によって異なるが、概ね、アルゴンガスに対して0.5〜100ppmが好ましい。このように、結晶成長後半において窒素を補てんすることにより、窒素濃度をホウ素濃度に近づけて、ホウ素濃度と窒素濃度がほぼ同等の値になる領域を拡大することができる。
(9)作用・効果
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
雰囲気ガス中で、炭化ケイ素を含む原料50を加熱昇華させ種結晶60上に炭化ケイ素単結晶を成長させて得られる炭化ケイ素単結晶であって、炭化ケイ素単結晶中のドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値が1×10−16〜1×1016atoms/cm3であることを特徴とする炭化ケイ素単結晶である。炭化ケイ素単結晶におけるドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値が1×10−16〜1×1016atoms/cm3であるため、炭化珪素単結晶は、105Ω・cm以上の高い抵抗特性(半絶縁特性)を持つことになる。
抵抗率が1×105Ω・cm以上である。このため、本発明の炭化珪素単結晶は、高周波半導体デバイス用の基板材料に用いることができる。
前記ドナーは、窒素、リン、砒素の少なくともいずれかであり、前記アクセプターは、ホウ素、アルミニウムの少なくともいずれかである。これらは入手が容易なため、ドーパントの相互補償を利用して高歩留まりで高抵抗の炭化ケイ素単結晶を低コストで得ることができる。
前記炭化ケイ素単結晶を加工して炭化ケイ素単結晶基板が得られるため、ドーパントの相互補償を利用して、高歩留まりで高抵抗の炭化ケイ素単結晶基板を低コストで得ることができる。
黒鉛部材を有する製造装置1を用いて、昇華用原料50を入れ、雰囲気ガス中において、昇華用原料50を加熱昇華させ、種結晶60上に単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、昇華用原料50を黒鉛部材に入れる前に、黒鉛部材を、圧力が100Pa〜100kPaの不活性ガス雰囲気中で、かつ、温度を2000℃以上に保持する純化処理工程S1を有する。
従って、黒鉛部材の純化処理を利用して、結晶成長前半の窒素濃度をホウ素濃度に近づけ、ドーパントの相互補償を利用して高歩留まりで高抵抗の炭化ケイ素単結晶を得ることができる。
純化処理工程S1は、100Pa〜100kPaの不活性ガス雰囲気中で行うため、100Pa以下の圧力で行う場合に比べて、圧力を低下させなくて済む。従って、処理時間の短縮及びコストの低減となる。
成長過程における単結晶中のドナー濃度がアクセプター濃度以下になる時点で、雰囲気ガスに微量の窒素ガスを導入することにより、ドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値を1×10−16〜1×1016atoms/cm3に制御する制御工程S31を有する。このため、結晶成長後半の窒素濃度をホウ素濃度に近づけ、ドーパントの相互補償を利用して高歩留まりで高抵抗の炭化ケイ素単結晶を得ることができる。
製造装置1を構成する黒鉛部材を、圧力が100Pa〜100kPaの不活性ガス雰囲気中で、かつ、温度を2000℃以上に保持して純化処理すると共に、成長過程における単結晶中のドナー濃度がアクセプター濃度以下になる時点で、前記雰囲気ガスに微量の窒素ガスを導入して、ドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値が1×10−16〜1×1016atoms/cm3となるようにする。
このように純化処理された製造装置1を用いて、雰囲気ガス中で炭化ケイ素を含む原料を加熱昇華させ種結晶60上に単結晶を成長させることにより、炭化ケイ素単結晶中のドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値が1×10−16〜1×1016atoms/cm3であり、抵抗率が1×105Ω・cm以上であり、ドナーは、窒素、リン、砒素の少なくともいずれかであり、アクセプターは、ホウ素、アルミニウムの少なくともいずれかである炭化ケイ素単結晶を製造することができる。
従って、本実施形態にかかる炭化ケイ素単結晶の製造方法によれば、ドーパントの相互補償を利用して、高歩留まりで高抵抗の炭化ケイ素単結晶を得ることができる。このような制御は、技術的にも比較的に容易であり、必然的にドナー濃度およびアクセプター濃度を極めて低く管理する必要性も低い。このように、製造上の手法および評価方法は、極めてシンプルでかつ低コストで再現性も高く、工業的観点から非常に優れている。
本発明を実施例を通じて更に具体的に説明する。
・実施例1
純化処理についての実施例1を説明する。実施例1に係る坩堝(黒鉛部材)を、アルゴンガス雰囲気中に、圧力を90Pa、温度を2300℃とした状態で、10時間保持する純化処理工程を施した。一方、従来例1に係る坩堝には、純化処理工程を施さなかった。
純化処理についての実施例1を説明する。実施例1に係る坩堝(黒鉛部材)を、アルゴンガス雰囲気中に、圧力を90Pa、温度を2300℃とした状態で、10時間保持する純化処理工程を施した。一方、従来例1に係る坩堝には、純化処理工程を施さなかった。
それぞれの坩堝に、原料を収容して種結晶を取り付けて炭化ケイ素単結晶を成長させ、成長結晶から切り出したウエハの抵抗値を比較した。
実施例1において、ウエハ全面で抵抗値が1×105(Ω・cm)以上の半絶縁性を示す部位のうち種結晶に最も近い位置h1(図4参照)は、従来例に対して約25%短かった。これによって、実施例1の方が歩留まりが高くなることが判明した。また、従来例1の坩堝を用いて成長させた単結晶では、実施例1における位置h1に対応する部位の抵抗値は、1×105(Ω・cm)未満であった。
実施例1及び従来例1による成長結晶における高さ位置h1でのSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)分析を行ったところ、表1に示す結果が得られた。
・実施例2
次に、実施例2の製造方法について説明する。実施例2の製造方法では、結晶成長の途中で、窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを導入する制御工程を行った。
次に、実施例2の製造方法について説明する。実施例2の製造方法では、結晶成長の途中で、窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを導入する制御工程を行った。
実施例2では、窒素ガス濃度とホウ素ガス濃度が等しくなる時点の成長結晶の高さhe(図4参照)で、アルゴンガスに微量の窒素ガスを混合した混合ガスを坩堝内に導入してそのまま結晶成長させた。混合ガス中における窒素ガスの濃度は、アルゴンガスに対して3ppmとした。一方、従来例2では、前記混合ガスを導入することなく、結晶成長させた。それぞれの成長末期の高さ位置h3でのSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)分析を行ったところ、表2の結果となった。
次に、それぞれの成長結晶からウエハを切り出して抵抗値を比較した。実施例2では、種結晶からの距離がheよりも高い部位から切り出した全てのウエハ全面で、1×105(Ω・cm)以上の値を示した。一方、従来例2では、種結晶からの距離がh3よりも高い部位から切り出したウエハの抵抗値は、1×105(Ω・cm)未満であった。
このことから、窒素濃度とホウ素濃度の差の絶対値が小さい方が、ウエハの抵抗値が1×105(Ω・cm)以上の値を示すことが確認できた。
以上の実施例1,2より、純化処理工程を行うと共に、アルゴンガスと窒素との混合ガスを導入する制御工程を行うことにより、ウエハの抵抗を高くして歩留まりを向上させることができることが判明した。
1…製造装置、 10…黒鉛製坩堝(坩堝)、 11…反応容器本体、 11a…底部、 11b…上部開口、 12…蓋体、 20…石英管、 21…チャンバー、 22…アルゴンガス用流入口、 23…混合ガス用流入口、 24…排出口、 30…誘導加熱コイル、 31…第1誘導加熱コイル、 32…第2誘導加熱コイル、 40…支持棒、 50…昇華用原料(原料)、 60…種結晶、 S1…純化処理工程、 S2…配置工程、 S3…昇華・成長工程、 S31…制御工程、 G…昇華ガス
Claims (7)
- 雰囲気ガス中で、炭化ケイ素を含む原料を加熱昇華させ種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させて得られる炭化ケイ素単結晶であって、
炭化ケイ素単結晶中のドナー濃度とアクセプター濃度との差の絶対値が1×10−16〜1×1016atoms/cm3であることを特徴とする炭化ケイ素単結晶。 - 抵抗率が1×105Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素単結晶。
- 前記ドナーは、窒素、リン、砒素の少なくともいずれかであり、前記アクセプターは、ホウ素、アルミニウムの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化ケイ素単結晶。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化ケイ素単結晶を加工して得られる炭化ケイ素単結晶基板。
- 黒鉛で形成された黒鉛部材を有する製造装置を用いて、前記黒鉛部材に炭化ケイ素を含む原料を入れ、雰囲気ガス中において、前記原料を加熱昇華させ、種結晶上に単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、
前記原料を前記黒鉛部材に入れる前に、前記黒鉛部材を、圧力が100Pa〜100kPaの不活性ガス雰囲気中で、かつ、温度を2000℃以上に保持する純化処理工程を有する炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 黒鉛で形成された黒鉛部材を有する製造装置を用いて、雰囲気ガス中において、前記原料を加熱昇華させ、種結晶上に単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、
前記原料を加熱昇華させ、種結晶上に単結晶を成長させる工程において、前記単結晶中の前記ドナー濃度が前記アクセプター濃度以下になる時点で、前記雰囲気ガスに微量の窒素ガスを導入することにより、前記ドナー濃度と前記アクセプター濃度との差の絶対値を1×10−16〜1×1016atoms/cm3に制御する制御工程を有する炭化ケイ素単結晶の製造方法。 - 黒鉛で形成された黒鉛部材を有する製造装置を用いて、前記黒鉛部材に前記原料を入れ、雰囲気ガス中において、前記原料を加熱昇華させ前記種結晶上に前記単結晶を成長させて製造される炭化ケイ素単結晶であって、
前記純化処理工程と前記制御工程とによって製造され、
前記炭化ケイ素単結晶中の前記ドナー濃度と前記アクセプター濃度との差の絶対値が1×10−16〜1×1016atoms/cm3であり、
前記抵抗率が1×105Ω・cm以上であり、
前記ドナーは、窒素、リン、砒素の少なくともいずれかであり、前記アクセプターは、ホウ素、アルミニウムの少なくともいずれかである炭化ケイ素単結晶。
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