JP2011093457A - 車両およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関からのパワーを十分に用いて発進する。
【解決手段】所定勾配θref以上の登坂路で発進する際に、発進前のブレーキオンによる停車時には、エンジンから出力するパワーを増加したときにエンジンの回転数Neを上昇させるのに要するパワーのためにエンジンから出力するトルクが減少しない範囲として設定された発進前目標運転領域内でバッテリの入力制限Winに相当するパワーを出力する運転ポイントでエンジンを運転し、ブレーキオフされたときからは、エンジンの発進前目標運転領域内でのトルクの増加を伴って要求トルクTr*に基づく要求パワーPe*がエンジンから出力されると共に要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸に出力されるよう制御する。これにより、エンジンからのパワーを十分に用いて発進することができる。
【選択図】図9

Description

本発明は、車両およびその制御方法に関し、詳しくは、内燃機関と、動力を入出力する発電機と、駆動輪に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、駆動軸に動力を入出力する電動機と、発電機および電動機と電力のやりとりを行なう蓄電手段と、を備える車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、エンジンと、第1モータジェネレータと、キャリアとサンギヤとがそれぞれエンジンと第1モータジェネレータとに接続されると共にリングギヤが駆動軸に接続されたプラネタリギヤと、駆動軸に接続された第2モータジェネレータと、第1モータジェネレータおよび第2モータジェネレータと電力をやりとりする蓄電装置と、を備えるハイブリッド車両において、道路勾配がしきい値よりも大きいときには、エンジンの負荷運転によるトルクと第2モータジェネレータからのトルクとを用いて発進するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、道路勾配がしきい値よりも大きい登坂路で車両のずり下がりが発生していると判定されたときには、エンジンの動作点を変更してエンジンから駆動軸に出力するトルクを増大させることにより、車両のずり下がりを抑制している。
特開2008−179280号公報
しかしながら、上述の車両では、エンジンの動作点の変更の程度によっては、エンジンからのトルクを十分に発進に用いることができない場合があった。エンジンから大きなパワーを得るためにエンジンのトルクと回転数を大きくしようとすると、エンジンから出力するパワーの多くがエンジンの回転数を大きくするのに用いられたり、エンジンの回転数が急上昇するときには第1モータジェネレータによってエンジンの回転数を引き上げる結果、駆動軸にはエンジンからのトルクが出力されない場合も生じる。
本発明の車両およびその制御方法は、内燃機関からのパワーを十分に用いて発進することを主目的とする。
本発明の車両およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
内燃機関と、動力を入出力する発電機と、駆動輪に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりを行なう蓄電手段と、を備える車両であって、
車速とアクセル操作量とに基づいて前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記電動機から出力される駆動力だけでは登坂が困難となる路面勾配として予め定められた所定勾配以上の勾配の登坂路で発進する際、発進前の停車時には前記内燃機関から出力するパワーを増加したときに該内燃機関の回転数を上昇させるのに要するパワーのために前記内燃機関から出力するトルクが減少しない範囲として設定される前記内燃機関の運転ポイントの範囲であるトルク増加運転範囲内で前記蓄電手段を充電してもよい許容最大電力である入力制限に相当するパワーを出力する運転ポイントで前記内燃機関が運転されるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御し、発進が開始されたときから前記内燃機関の前記トルク増加運転範囲内のトルクの増加を伴って前記設定された要求駆動力に基づく前記内燃機関に要求される要求パワーが前記内燃機関から出力されると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、電動機から出力される駆動力だけでは登坂が困難となる路面勾配として予め定められた所定勾配以上の勾配の登坂路で発進する際、発進前の停車時には内燃機関から出力するパワーを増加したときに内燃機関の回転数を上昇させるのに要するパワーのために内燃機関から出力するトルクが減少しない範囲として設定される内燃機関の運転ポイントの範囲であるトルク増加運転範囲内で蓄電手段を充電してもよい許容最大電力である入力制限に相当するパワーを出力する運転ポイントで内燃機関が運転されるよう内燃機関と発電機とを制御し、発進が開始されたときから内燃機関のトルク増加運転範囲内のトルクの増加を伴って車速およびアクセル操作量に応じた駆動軸に要求される要求駆動力に基づく内燃機関に要求される要求パワーが内燃機関から出力されると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。これにより、発進が開始されたときからは、内燃機関から出力するパワーを増加したときに内燃機関から出力されるトルクが減少せずに増加するから、内燃機関からのパワーを十分に用いて発進することができる。
こうした本発明の車両において、前記制御手段は、前記内燃機関の回転数の変化量に対する前記内燃機関のトルクの変化量の割合が前記内燃機関を含む回転系の慣性モーメントに相当する割合より大きい範囲を前記トルク増加運転範囲として制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、トルク増加運転範囲をより確実に設定することができる。
また、本発明の車両において、前記設定された要求駆動力に基づく走行用パワーに前記入力制限に相当するパワーを加えることにより前記内燃機関に要求される要求パワーを設定する要求パワー設定手段を備え、前記制御手段は、発進前の停車時には、車速およびアクセル操作量が予め定められた所定の低車速および所定の大操作量のときの前記要求駆動力に基づく前記要求パワーと前記内燃機関のパワーに対する回転数およびトルクの関係として予め定められた所定の制約とに基づいて発進時の前記内燃機関を運転すべき目標運転ポイントである発進時目標運転ポイントを設定すると共に、前記内燃機関の運転ポイントを前記設定した発進時目標運転ポイントに向けて変化させるときの前記トルク増加運転範囲内で前記入力制限に相当するパワーを出力する運転ポイントを発進前の前記目標運転ポイントである発進前目標運転ポイントとして設定し、前記設定した発進前目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御し、発進が開始されたときから前記内燃機関の運転ポイントを前記トルク増加運転範囲内で前記設定した発進時目標運転ポイントに向けて変化させながら前記内燃機関から前記設定された要求パワーを出力すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、トルク増加運転範囲をより適正に設定することができ、内燃機関からのパワーを十分に用いた発進をより確実に行なうことができる。ここで、「所定の低車速」としては停車しているか走行しているかを判定するための停車判定車速などを用いることができ、「所定の大操作量」としてはアクセル操作量の最大操作量などを用いることができる。
この発進時目標運転ポイントと発進前目標運転ポイントとを設定する態様の本発明の車両において、ブレーキ操作またはブレーキ保持要求であるブレーキ指示により車両に制動力を付与する制動力付与手段を備え、前記制御手段は、発進前の前記ブレーキ指示による停車時には、前記所定勾配以上の登坂路で前記ブレーキ指示が解除されても停車している状態を保持するために前記電動機から前記駆動軸に出力可能な予め定められた最大トルクでは不足するトルクを釣合い用トルクとして設定し、前記設定した釣合い用トルクにマージンを加えて得られる停車解除用トルクに相当するトルクを前記内燃機関から出力すべき目標トルクとして設定すると共に前記入力制限に相当するパワーを前記設定した目標トルクで除することにより前記内燃機関を運転すべき目標回転数を設定し、前記設定した目標回転数と目標トルクとからなる停車解除用運転ポイントを前記発進前目標運転ポイントとして設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、ブレーキ指示が解除されたときに車両が登坂路で後退するの抑制することができ、発進前目標運転ポイントをより適正にトルク増加運転範囲内で設定することができる。この場合、 前記制御手段は、発進前の前記ブレーキ指示による停車時に前記停車解除用運転ポイントが前記トルク増加運転範囲内にないときには、前記内燃機関の回転数の変化量に対する前記内燃機関のトルクの変化量の割合が前記内燃機関を含む回転系の慣性モーメントに相当する割合より大きくなる所定の関係と前記入力制限に相当するパワーとに基づいて前記発進前目標運転ポイントを設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、発進前目標運転ポイントをより確実にトルク増加運転範囲内で設定することができる。更にこの場合、 前記制御手段は、発進前の前記ブレーキ指示による停車時に前記所定の関係と前記入力制限に相当するパワーとに基づく前記発進前目標運転ポイントで前記内燃機関を運転している最中に前記ブレーキ指示の解除により発進が開始されたときに、前記設定された要求駆動力が前記電動機の最大トルクと前記停車解除用トルクとの和に相当するトルクに至るまでは車両への制動力の付与が保持されるよう前記制動力付与手段を制御し、前記設定された要求駆動力が前記電動機の最大トルクと前記停車解除用トルクとの和に相当するトルクに至ったときには車両への制動力の付与が解除されるよう前記制動力付与手段を制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、ブレーキ指示が解除されたときに車両が登坂路で後退するのをより確実に抑制することができる。
また、発進時目標運転ポイントと発進前目標運転ポイントとを設定する態様の本発明の車両において、前記制御手段は、発進が開始されたときには、前記設定された発進前目標運転ポイントから前記設定された発進時目標運転ポイントに向かう前記内燃機関の運転ポイントの経路上における前記内燃機関のパワーに対する回転数およびトルクの関係としての登坂発進用動作ラインと前記設定された要求パワーとに基づく前記目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御する手段である、ものとすることもできる。
本発明の車両の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力する発電機と、駆動輪に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりを行なう蓄電手段と、を備える車両の制御方法であって、
前記電動機から出力される駆動力だけでは登坂が困難となる路面勾配として予め定められた所定勾配以上の勾配の登坂路で発進する際、発進前の停車時には前記内燃機関から出力するパワーを増加したときに該内燃機関の回転数を上昇させるのに要するパワーのために前記内燃機関から出力するトルクが減少しない範囲として設定される前記内燃機関の運転ポイントの範囲であるトルク増加運転範囲内で前記蓄電手段を充電してもよい許容最大電力である入力制限に相当するパワーを出力する運転ポイントで前記内燃機関が運転されるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御し、発進が開始されたときから前記内燃機関の前記トルク増加運転範囲内のトルクの増加を伴って車速およびアクセル操作量に応じた前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づく前記内燃機関に要求される要求パワーを前記内燃機関から出力すると共に前記要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の車両の制御方法では、電動機から出力される駆動力だけでは登坂が困難となる路面勾配として予め定められた所定勾配以上の勾配の登坂路で発進する際、発進前の停車時には内燃機関から出力するパワーを増加したときに内燃機関の回転数を上昇させるのに要するパワーのために内燃機関から出力するトルクが減少しない範囲として設定される内燃機関の運転ポイントの範囲であるトルク増加運転範囲内で蓄電手段を充電してもよい許容最大電力である入力制限に相当するパワーを出力する運転ポイントで内燃機関が運転されるよう内燃機関と発電機とを制御し、発進が開始されたときから内燃機関のトルク増加運転範囲内のトルクの増加を伴って車速およびアクセル操作量に応じた駆動軸に要求される要求駆動力に基づく内燃機関に要求される要求パワーを内燃機関から出力すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。これにより、発進が開始されたときからは、内燃機関から出力するパワーを増加したときに内燃機関から出力されるトルクが減少せずに増加するから、内燃機関からのパワーを十分に用いて発進することができる。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される登坂停車時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される登坂発進時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される発進前運転ポイント設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 登坂路で停車している状態でエンジン22を運転しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と発進時目標回転数Netagと発進時目標トルクTetagとを設定する様子を示す説明図である。 発進前目標運転領域の一例を示す説明図である。 発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にあるときに発進前目標回転数Tepreと発進前目標トルクTepreとを設定する様子を説明する説明図である。 発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にないときに発進前目標回転数Tepreと発進前目標トルクTepreとを設定する様子を説明する説明図である。 発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にあるときに登坂発進用動作ラインを用いて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。 発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にないときに登坂発進用動作ラインを用いて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。 車両が登坂を開始したときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 変形例の発進前目標運転ポイントを示す説明図である。 変形例の発進前目標運転ポイントを示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、駆動輪63a,63bや図示しない従動輪のブレーキを制御するためのブレーキアクチュエータ92と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モ
ータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量SOCを演算したり、演算した残容量SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキペダル85の踏み込みに応じて生じるブレーキマスターシリンダ90の圧力と車速とにより車両に作用させる制動力におけるブレーキの分担分に応じた制動トルクが駆動輪63a,63bや図示しない従動輪に作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧(以下、ブレーキ油圧という)を調整したり、ブレーキペダル85の踏み込みに無関係に、駆動輪63a,63bや従動輪に制動トルクが作用するようブレーキ油圧を調整したりすることができるように構成されている。ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)94により制御されている。ブレーキECU94は、駆動輪63a,63bや従動輪に取り付けられた図示しない車輪速センサからの各車輪速,図示しない操舵角センサからの操舵角などの信号を入力して、運転者がブレーキペダル85を踏み込んだときに駆動輪63a,63bや従動輪のいずれかがロックによりスリップするのを防止するアンチロックブレーキシステム機能(ABS)や運転者がアクセルペダル83を踏み込んだときに駆動輪63a,63bのいずれかが空転によりスリップするのを防止するトラクションコントロール(TRC),車両が旋回走行しているときに姿勢を保持する姿勢保持制御(VSC)なども行なう。ブレーキECU94は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってブレーキアクチュエータ92を駆動制御したり、各車輪速に関する信号や必要に応じてブレーキアクチュエータ92の状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、ブレーキECU94は、ブレーキホールドスイッチ89からのオン信号としてのブレーキホールド信号をハイブリッド用電子制御ユニット70から受信したときには、オン信号としてのブレーキホールド信号を受信するまでのブレーキ油圧が保持されるようブレーキアクチュエータ92を制御し、ブレーキホールドスイッチ89からのオフ信号としてのブレーキホールド信号をハイブリッド用電子制御ユニット70から受信したときには、基本的にブレーキペダル85の踏み込みに応じたブレーキ油圧となるようブレーキアクチュエータ92を制御する。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出してアクセル開度として設定するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ87からの車速V,路面の勾配を検出する勾配センサ88からの勾配θ,運転席近傍に取り付けられ登坂路などで停車した後にブレーキペダル85を戻してもブレーキ油圧を保持する停車保持制御の実行を指示するブレーキホールドスイッチ89からのブレーキホールド信号などが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に登坂路で停車中にブレーキオフされて発進する際の動作について説明する。図2は登坂停車時制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図3は登坂発進時制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、いずれのルーチンもハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される。図2の登坂停車時制御ルーチンは、所定勾配θref以上の登坂路でブレーキオンされて停車してからブレーキオフされるまで所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行され、図3の登坂発進時制御ルーチンは、所定勾配θref以上の登坂路でブレーキオンによる停車中にブレーキオフされてから車速Vが停車判定車速Vref(例えば、時速3kmや時速5kmなど)を超えるまで所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。まず、登坂停車時の制御について説明する。なお、実施例では、ブレーキオンとは、登坂路で車両がずり下がることがない程度のブレーキペダル85の踏み込みをいうものとする。また、所定勾配θrefは、実施例では、モータMG2から出力可能なトルクとして制御用に予め定められた最大トルクTm2max(例えば定格トルクより若干小さいもの)を出力しても登坂することができない勾配の下限値として予め実験により求められたものを用いるものとした。したがって、実施例のハイブリッド自動車20では、所定勾配θref以上の登坂路でブレーキオンされて停車したときには、次に発進する際にモータMG2からのトルクに加えてエンジン22から駆動軸としてのリングギヤ軸32aにトルクを出力する必要があると判断し、エンジン22が運転されているときにはその状態を保持し、エンジン22の運転が停止されているときにはモータMG1からのモータリングトルクによってエンジン22を直ちに始動する。
図2の登坂停車時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ87からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車両が登坂路で発進する前にエンジン22を運転すべき目標運転ポイントである発進前目標運転ポイントにおける発進前目標回転数Nepreおよび発進前目標トルクTepreなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量SOCとに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。さらに、発進前目標回転数Nepreと発進前目標トルクTepreについては、後述する図4の発進前運転ポイント設定ルーチンにより設定されたものを入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定し(ステップS110)、入力した発進前目標回転数Nepreと発進前目標トルクTepreとをそれぞれエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに設定する(ステップS120)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。図中、アクセル開度Accの最大値であるアクセル最大開度Accmax,車両が停車しているか走行しているかを判定するための停車判定車速Vref,アクセル最大開度Accmaxと停車判定車速Vrefとに基づいて設定される発進する際に車両に要求されるトルクの最大値である発進時最大要求トルクTrmaxについても示してある。
続いて、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS130)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。登坂路で停車している状態でエンジン22を運転しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図6に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の3つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクと、ブレーキ油圧によりリングギヤ軸32aに作用するブレーキトルクTbとを示す。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。なお、モータMG2から出力されるトルクTm2は、リングギヤ軸32aの正回転方向である車両の前進方向に作用するトルクとして図示したが、アクセルオフされており要求トルクTr*が十分に小さい場合には、エンジン22の発進前目標運転ポイントによってはリングギヤ軸32aの負回転方向である車両の後進方向に作用するトルクとなる場合がある。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (1)
Tm1*=-ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
次に、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いてモータMG2から出力すべきトルクの仮の値としての仮トルクTm2tmpを式(3)により計算し(ステップS140)、モータMG2から出力可能な最大トルクTm2maxで仮トルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS150)。ここで、式(3)は、前述した図6の共線図から容易に導き出すことができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (3)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、運転者のブレーキオン操作に基づくブレーキ指令を設定し(ステップS160)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に、ブレーキ指令についてはブレーキECU94にそれぞれ送信して(ステップS170)、登坂停車時制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。さらに、ブレーキ指令を受信したブレーキECU94は、ブレーキ指令に相当するブレーキ油圧により駆動輪63a,63bや従動輪に制動トルクが作用するようブレーキアクチュエータ92を制御する。こうした制御により、所定勾配θref以上の登坂路でブレーキオンされて停車してからブレーキオフされるまでは、エンジン22を発進前目標運転ポイントで運転すると共に駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力しながらブレーキオンによる停車した状態を保持することができる。以上、登坂停車時の制御について説明した。
次に、エンジン22の発進前目標運転ポイントなどを設定する処理について説明する。図4は発進前運転ポイント設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定勾配θref以上の登坂路でブレーキオンされて停車したときに実行される。
図4の発進前運転ポイント設定ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、バッテリ50の入力制限Winや勾配センサ88からの勾配θなど設定に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS400)。バッテリ50の入力制限Winは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量SOCとに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
続いて、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accの最大値であるアクセル最大開度Accmaxと車両が停車しているか否かを判定するための停車判定車速Vrefとに基づいて、発進する際に車両に要求されるトルクの最大値である発進時最大要求トルクTrmaxを設定すると共に(ステップS410)、設定した発進時最大要求トルクTrmaxに基づいて車両が発進する際にエンジン22に要求されるパワーの最大値である発進時最大要求パワーPemaxを設定する(ステップS420)。ここで、発進時最大要求トルクTrmaxは、実施例では、図5の要求トルク設定用マップに対して、アクセル最大開度Accmaxと停車判定車速Vrefとを与えて導出された要求トルクTr*を発進時最大要求トルクTrmaxとして設定するものとした。また、車両が発進する際にエンジン22に要求される要求パワーPe*は、実施例では、要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものからバッテリ50の入力制限Winを減じて更にロスLossを加えたものとして次式(4)により計算することができるから、エンジン22の発進時最大要求パワーPemaxも、式(4)を用いて設定することができる。即ち、式(4)中、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kvを乗じること(Nr=kv・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めることができるが、この式(4)のうち要求トルクTr*に代えて発進時最大要求トルクTrmaxを用いると共にリングギヤ軸32aの回転数Nrとして停車判定車速Vrefに換算係数kvを乗じたものを用いて計算されたパワーを、発進時最大要求パワーPemaxとして設定することができる。なお、実施例では、発進時最大要求Trmaxや発進時最大要求パワーPemaxの「車両が発進する際」とは、ブレーキオンによる停車中にブレーキオフされてから車速Vが停車判定車速Vrefを超えるまでをいうものとする。
Pe*=Tr*・Nr-Win+Loss (4)
次に、設定した発進時最大要求パワーPemaxに基づいて車両が発進する際にエンジン22を運転すべき目標運転ポイントとしての発進時目標回転数Netagと発進時目標トルクTetagとを設定する(ステップS430)。この設定は、エンジン22のパワーに対する回転数およびトルクの関係である動作ライン(例えば、エンジン22の効率よりもパワーの出力を優先する高トルク用動作ラインなど)と発進時最大要求パワーPemaxとに基づいて行なわれる。エンジン22の動作ラインの一例と発進時目標回転数Netagと発進時目標トルクTetagとを設定する様子を図7に示す。図示するように、発進時目標回転数Netagと発進時目標トルクTetagは、動作ラインと発進時最大要求パワーPemax(Netag×Tetag)が一定の曲線との交点により求めることができる。こうして設定されたエンジン22の発進時目標運転ポイントは、登坂路でブレーキオフされると共にアクセルペダル83の踏み込み(アクセルオフからの踏み込み)や踏み増し(アクセルオンからの踏み込み量の増加)により駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求される要求トルクTr*が増加して車両が移動(登坂)を開始すると共に、エンジン22に要求される要求パワーPe*が増加したときに、車速Vが停車判定車速Vrefを超えて車両が走行を開始したと判断されるタイミングにおいてエンジン22の要求パワーPe*として想定される最大パワー(発進時最大要求パワーPemax)に対応する運転ポイントいうことができる。こうした処理により、車両が登坂路で発進する前のエンジン22の目標運転ポイントである発進前目標運転ポイントを設定するための前処理として、エンジン22の発進時目標回転数Netagと発進時目標トルクTetagとからなる発進時目標運転ポイントを設定することができる。
こうして発進時目標運転ポイントを設定すると、現在停車している登坂路でブレーキオフされても停車している状態を保持するためにモータMG2から出力可能な制御用の最大トルクTm2maxでは不足するトルクとしてリングギヤ軸32aに要求される釣合い用トルクTrbalを勾配θを用いて次式(5)により計算すると共に(ステップS440)、計算した釣合い用トルクTrbalに対応するエンジン22のトルクに登坂開始用のマージンαを加えて得られるトルクをエンジン22から出力する停車解除用トルクTesetとして次式(6)により計算し(ステップS450)、入力したバッテリの入力制限Winに値−1を乗じたものとロスLossとの和を車両が発進する前にエンジン22に要求されるパワーである発進前要求パワーPepreとして設定する(ステップS460)。式(5)では、車両質量Mと重力加速度gと勾配θと車両に作用する力のリングギヤ軸32のトルクへの換算係数kmとに基づく後進方向へのトルクから、モータMG2の最大トルクTm2maxと減速ギヤ35のギヤ比Grとに基づく前進方向へのトルクを減じて釣合い用トルクTrbalを計算する。登坂開始用のマージンαは、エンジン22の運転ポイントを変更せずにモータMG2から最大トルクTm2maxを出力することによって所定勾配θref以上の登坂路で停車している状態を解除して車両が発進することが可能なトルクとして、実験などにより求められたものを用いることができる。また、発進前要求パワーPepreは、前述した式(4)のうちリングギヤ軸32aの回転数Nrを値0としたときに得られるパワーに相当する。
Trbal=M・g・km・sinθ-Tm2max・Gr (5)
Teset=(1+ρ)・Trbal + α (6)
続いて、エンジン22の発進前目標トルクTepreと発進前目標回転数Nepreとのうち、発進前目標トルクTepreの仮の値である発進前仮トルクTetmpには停車解除用トルクTesetを設定すると共に発進前目標回転数Nepreの仮の値である発進前仮回転数Netmpには発進前要求パワーPepreを発進前仮トルクTetmpで除したものを設定し(ステップS470)、設定されたエンジン22の発進時目標運転ポイント(Netag,Tetag)を基準として、即ちエンジン22の運転ポイントを発進時目標運転ポイントに向けて変化させるときに、エンジン22の回転数Neの変化量である回転数変化量ΔNeに対するエンジン22から出力されるトルクTeの変化量であるトルク変化量ΔTeの割合がエンジン22やモータMG1を含む回転系の慣性モーメントIに相当する値Icより大きくなる範囲を、車両が登坂路で発進する前のエンジン22の目標運転領域である発進前目標運転領域に設定する(ステップS480)。図8に発進前目標運転領域の一例を示す。図中、一点鎖線が、発進時目標運転ポイントを基準としてエンジン22の回転数変化量ΔNeに対するトルク変化量ΔTeの割合が慣性モーメントIに相当する値Icに等しくなる関係を示し、斜線でハッチングした領域(ΔTe/ΔNe=Icの線上は除く)が、発進前目標運転領域を示す。実施例では、車両が発進する前の停車状態でエンジン22に要求されるパワーは発進前要求パワーPepreであるから、この発進前目標運転領域のうち、図中に太い実線で示す発進前要求パワーPepreが一定の曲線上の運転ポイントでエンジン22の発進前目標運転ポイントが設定される。ここで、エンジン22から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを増加させるためにエンジン22から出力するパワーを増加するときを考えると、エンジン22の回転数を上昇させている最中にはエンジン22から出力されるパワーの一部がエンジン22の回転数を上昇させるのに用いられるなど、エンジン22やモータMG1を含む回転系の回転変化が生じている最中にはエンジン22から実際に出力されるトルクが十分に増加しない場合がある。こうした回転系の回転変化が生じている最中にエンジン22から実際に出力されるトルクTecは、回転系の回転変化によるエンジン22から出力されるトルクの変化分をエンジン22の回転数Neを用いて表すために回転系の慣性モーメントIに換算係数を乗じたものとして予め定められた値Icと、更にエンジン22から現在出力されているトルクTebと単位時間Δtと回転数変化量ΔNeおよびトルク変化量ΔTeとを用いて、次式(7)により表すことができる。したがって、実施例の発進前目標運転領域は、エンジン22から出力するパワーを増加したときにエンジン22の回転数Neを上昇させるのに要するパワーのためにエンジン22から出力するトルクが減少しない範囲として設定されることが解る。
Tec=Teb+ΔTe/Δt - Ic・(ΔNe/Δt) (7)
こうしてエンジン22の発進前目標運転領域を設定すると、エンジン22の発進前仮回転数Netmpと発進前仮トルクTetmpとからなる発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にあるか否かを判定し(ステップS490)、発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にあるときには、発進前仮回転数Netmpと発進間仮トルクTemtpとをそれぞれ発進前目標運転ポイントの目標回転数Nepreと目標トルクTepreとに設定すると共に(ステップS500)、車両が登坂路で要求トルクTr*により移動(登坂)を開始することができる程度にアクセルペダル83が踏み込まれるまでブレーキ油圧の保持を要求するブレーキ保持フラグFとして初期値の値0を保持する(ステップS510)。また、発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にないときには、エンジン22の回転数変化量ΔNeに対するトルク変化量ΔTeの割合が回転系の慣性モーメントIに相当する値Icにマージンβを加えて得られる値に等しくなる関係(ΔTe/ΔNe=Ic+β)と発進前要求パワーPepreとに基づいて、発進前目標回転数Nepreと発進前目標トルクTepreとを設定すると共に(ステップS520)、ブレーキ保持フラグFに値1を設定する(ステップS530)。発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にあるときに発進前目標回転数Tepreと発進前目標トルクTepreとを設定する様子を図9に示し、発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にないときに発進前目標回転数Tepreと発進前目標トルクTepreとを設定する様子を図10に示す。図9および図10中、図8と同様に、一点鎖線は発進時目標運転ポイントを基準としてエンジン22の回転数変化量ΔNeに対するトルク変化量ΔTeの割合が慣性モーメントIに相当する値Icに等しくなる関係を示し、太い実線は発進前目標運転領域における発進前要求パワーPepreが一定となる範囲を示す。図9に示すように、発進前仮運転ポイント(Neset1,Teset1)が発進前目標運転領域内にあるときには、この発進前仮運転ポイントがそのまま発進前目標運転ポイント(Nepre,Tepre)として設定される。図10に示すように、発進前仮運転ポイント(Neset2,Teset2)が発進前目標運転領域内にないときには、発進時目標運転ポイントを基準として関係(ΔTe/ΔNe=Ic+β)を満たす運転ポイントが発進前目標運転ポイント(Nepre,Tepre)として設定される。マージンβは、エンジン22の運転ポイントを発進時目標運転ポイントに向けて変化させるときにエンジン22の回転数Neを上昇させるのに要するパワーのためにエンジン22から出力するトルクが減少しない発進前目標運転領域内で、エンジン22の発進目標運転ポイントを設定するためのものである。
こうして発進前目標運転領域内で発進前目標運転ポイントを設定すると、発進前目標運転ポイントから発進時目標運転ポイントまでの直線経路上におけるエンジン22のパワーに対する回転数およびトルクの関係を発進用動作ラインとして設定して(ステップS540)、発進前運転ポイント設定ルーチンを終了する。図9および図10中、それぞれ太線矢印で示したものが発進用動作ラインの一例である。以上、発進前運転ポイントの設定について説明した。次に、登坂発進時の制御について説明する。
図3の登坂発進時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセル開度Accや車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の入力制限Win,登坂発進用動作ライン,停車解除用トルクTeset,ブレーキ保持フラグFなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、登坂発進用動作ラインと停車解除用トルクTesetとブレーキ保持フラグFは、図4の発進前運転ポイント設定ルーチンにより設定されたものを入力するものとした。なお、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2やバッテリ50の入力制限Winの入力については、前述した。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を図5の要求トルク設定用マップを用いて設定すると共にエンジン22に要求される要求パワーPe*を前述の式(4)により設定する(ステップS210)。なお、式(4)を用いることにより、バッテリ50の入力制限Winの範囲内でエンジン22からパワーを出力して発進することができる。
続いて、設定した要求パワーPe*に基づいてエンジン22を運転すべき目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS220)。この設定は、入力した登坂発進用動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて行なわれる。登坂発進用動作ラインを用いて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図11と図12とに示す。図11は発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にあるときの様子を示し、図12は発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にないときにないときの様子を示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、太線矢印で示す登坂発進用動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
次に、設定した目標回転数Ne*を用いて前述の式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算し(ステップS230)、要求トルクTr*やトルク指令Tm1*を用いて式(3)によりモータMG2の仮トルクTm2tmpを計算すると共に(ステップS240)、モータMG2から出力可能な最大トルクTm2maxで仮トルクTm2tmpを制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS250)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信する(ステップS260)。
そして、入力したブレーキ保持フラグFを調べ(ステップS270)、ブレーキ保持フラグFが値0のときには、運転者のアクセル操作による要求トルクTr*の出力によって発進できる、即ち、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに対してエンジン22からの停車解除トルクTesetに相当するトルク(Teset/(1+ρ))とモータMG2からの最大トルク(Tm2max・Gr)とを出力することにより発進できると判断し、ブレーキ油圧を解除するブレーキ解除指令をブレーキECU94に送信して(ステップS310)、登坂発進時制御ルーチンを終了する。ブレーキ解除指令を受信したブレーキECU94は、ブレーキ油圧により駆動輪63a,63bや従動輪に制動トルクが作用しているときにはブレーキ油圧が解除され、既にブレーキ油圧が解除されているときにはその状態を保持するようブレーキアクチュエータ92を制御する。こうした制御により、ブレーキオフされたときにアクセルペダル83の踏み込みや踏み増しに応じて登坂路で移動(登坂)を開始することができる。
ブレーキ保持フラグFが値1のときには、運転者のアクセル操作による要求トルクTr*が登坂路で移動(登坂)開始可能な程度に大きくなったか否かをモータMG2の最大トルクTm2maxと停車解除用トルクTesetと減速ギヤ35のギヤ比Grおよび動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(8)により判定し(ステップS280)、要求トルクTr*が車両の登坂開始が可能な程度に大きいと判定されるまでは、ブレーキ指令をブレーキECU94に送信して(ステップS320)、登坂発進時制御ルーチンを終了する。式(8)は、前述の式(5)および式(6)から得ることができる。こうした制御により、運転者によるアクセルペダル83の踏み込みや踏み増しにより要求トルクTr*が車両の移動(登坂)開始が可能な程度に大きくなるまでは、ブレーキオフされても車両が登坂路でずり下がることなく停車した状態を保持することができる。
Tr*≧Tm2max・Gr+Teset/(1+ρ) (8)
ブレーキ保持フラグFが値1のときに要求トルクTr*が登坂路で車両の移動(登坂)開始が可能な程度に大きくなったと判定されたときには、運転者のアクセル操作による要求トルクTr*を十分に出力できない可能性がある、即ち、エンジン22から停車解除用トルクTesetに相当するトルク(Teset/(1+ρ))よりも小さいトルクしか出力できないためにモータMG2からの最大トルク(Tm2max・Gr)を出力しても車両は登坂開始できない可能性があるため、車両の登坂開始が確実に可能となるトルクを前述の式(8)と同様の関係を示す次式(9)によりモータMG2のトルク指令Tm2*として再設定してモータECU40に送信すると共に(ステップS290)、ブレーキ保持フラグFに値0を設定して(ステップS300)、ブレーキ解除指令をブレーキECU94に送信し(ステップS310)、登坂発進時制御ルーチンを終了する。図13に、車両が移動(登坂)を開始したときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す。こうした制御により、モータMG2から最大トルクTm2maxよりも若干大きなトルクが一時的に出力されるのを許容して、運転者のアクセル操作による要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力し登坂を開始することができる。
Tm2*=[Tr*-Teset/(1+ρ)]/Gr (9)
こうして車両が登坂を開始すると、車速Vの上昇に応じてエンジン22の要求パワーPe*が徐々に大きくなるから、図11や図12に示したように、エンジン22の運転ポイントは登坂発進用動作ライン上を発進前目標運転ポイントから発進時目標運転ポイントに向けて変化する。実施例では、発進時目標運転ポイントを基準として発進前目標運転領域内で発進前目標運転ポイントを設定したから、要求パワーPe*の増加に伴ってエンジン22の運転ポイントが変化したときに、エンジン22の回転数Neを上昇させるのに要するパワーのためにエンジン22から出力されるトルクは減少することなく増加する。これにより、エンジン22からのパワーを十分に用いて発進することができる。また、エンジン22の発進前目標運転ポイントについて、釣合い用トルクTrbalに対応するエンジン22からのトルクに登坂開始用のマージンαを加えて得られるトルクをエンジン22から出力する停車解除用トルクTesetとして設定し、基本的には停車解除用トルクTesetをエンジン22の発進前目標運転ポイントの目標トルクTepreとするから、アクセル操作に対するモータMG2の良好な応答性を考慮すると、ブレーキオフされたときに登坂路で車両が後退するのを抑制することができる。さらに、停車解除用トルクTesetと発進前要求パワーPepreとに基づく運転ポイントが発進前目標運転領域内にないときには、発進前目標運転領域内で発進前目標運転ポイントを設定すると共に、要求トルクTr*が登坂路で登坂可能な程度に大きくなるまではブレーキ油圧を保持するから、ブレーキオフされたときに車両が登坂路で後退するのを抑制することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、所定勾配θref以上の登坂路で発進する際に、発進前のブレーキオンによる停車時には、エンジン22から出力するパワーを増加したときにエンジン22の回転数Neを上昇させるのに要するパワーのためにエンジン22から出力するトルクが減少しない範囲として設定された発進前目標運転領域内でバッテリ50の入力制限Winに相当するパワーを出力する運転ポイントでエンジン22を運転し、ブレーキオフされたときからは、エンジン22の発進前目標運転領域内でのトルクの増加を伴って要求トルクTr*に基づく要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共に要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるよう制御するから、エンジン22からのパワーを十分に用いて発進することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、登坂路でブレーキオンされて停車したときに発進前目標運転ポイントを設定して登坂停車時制御を行ない、ブレーキオフされたときに登坂発進時制御を行なうものとしたが、登坂路でブレーキオンされて停車したときに発進前目標運転ポイントを設定して登坂停車時制御を行ない、その後にブレーキホールドスイッチ89がオンされてブレーキ油圧を保持する停車保持制御が実行され、ブレーキホールドスイッチ89がオフされたときに登坂発進時制御を行なうものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、ブレーキオンによる停車中にブレーキオフされたときに登坂発進時制御が行なわれてアクセルペダル83の踏み込みや踏み増しによって車両が発進するものとして説明したが、ブレーキオンされておらずアクセルペダル83の踏み込みに応じて登坂路でリングギヤ軸32aに対してエンジン22とモータMG2とから出力されている前進方向のトルクと車重による後進方向へのトルクとが釣り合っている最中にアクセルペダル83が踏み増されたときにエンジン22の運転ポイントを発進前目標運転ポイントから発進時目標運転ポイントに向けて変化させるものや、ブレーキオン且つアクセル全開とされている最中にブレーキオフされたときにエンジン22の運転ポイントを発進前目標運転ポイントから発進時目標運転ポイントに向けて変化させるもの、などとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、停車解除用トルクTesetと発進前要求パワーPepreとに基づくエンジン22の発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にないときにのみブレーキ保持フラグFに値1を設定して要求トルクTr*が車両の登坂開始が可能となる程度に大きくなるまでブレーキ油圧を保持するものとしたが、エンジン22の発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にあるか否かにかかわらずに要求トルクTr*が車両の登坂開始が可能となる程度に大きくなるまでブレーキ油圧を保持するものとしてもよい。この場合、エンジン22の発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にあるときに、要求トルクTr*が車両の登坂開始が可能な程度に大きくなったときにはモータMG2のトルク指令Tm2*の再設定は行なわずに直ちにブレーキ油圧を解除すればよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、停車解除用トルクTesetと発進前要求パワーPepreとに基づくエンジン22の発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にないときにのみ、エンジン22の回転数変化量ΔNeに対するトルク変化量ΔTeの割合が回転系の慣性モーメントIに相当する値Icにマージンβを加えて得られる値に等しくなる関係(ΔTe/ΔNe=Ic+β)と発進前要求パワーPepreとに基づいて発進前目標運転ポイントを設定するものとしたが、発進前仮運転ポイントが発進前目標運転領域内にあるか否かに拘わらず関係(ΔTe/ΔNe=Ic+β)と発進前要求パワーPepreとに基づいて発進前目標運転ポイントを設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、登坂路での釣合い用トルクTrbalに対応する停車解除用トルクTesetと発進前要求パワーPepreとに基づいて発進前目標運転ポイントを基本的に設定するものとしたが、図13に示す変形例の発進前目標運転ポイント(Nepre1,Tepre1)のように発進時目標運転ポイントにおける目標トルクTetagと発進前要求パワーPepreとに基づいて発進前目標運転ポイントを設定したり、図14に示す変形例の発進前目標運転ポイント(Nepre2,Tepre2)のように例えばモータMG1やピニオンギヤ33の上限回転数に基づく停車中におけるエンジン22の最大回転数Nemaxと発進前要求パワーPepreとに基づいて発進前目標運転ポイントを設定するものなど、発進前目標運転領域内で発進前目標運転ポイントを設定するものであれば如何なるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転ポイントを発進時目標運転ポイントに向けて変化させるときに回転数変化量ΔNeに対するトルク変化量ΔTeの割合が値Icより大きくなる範囲として設定されたエンジン22の発進前目標運転領域内でエンジン22の発進前目標運転ポイントを設定すると共に、ブレーキオフされたときには発進前目標運転ポイントから発進時目標運転ポイントに向かう経路上の運転ポイントでエンジン22が運転されてエンジン22から要求パワーPe*が出力されると共にリングギヤ軸32aには要求トルクTr*が出力されるよう制御するものとしたが、エンジン22の発進時目標運転ポイントを設定することなく、エンジン22の停車解除用トルクTesetとバッテリ50の入力制限Winに相当する発進前要求パワーPepreとに基づいて発進前目標運転ポイントを設定すると共に、ブレーキオフされたときには発進前目標運転ポイントからその後にエンジン22の運転ポイントを変化させるときに例えば関係(ΔNe/ΔTe=Ic+β)を満たす範囲で要求パワーPe*に基づく目標運転ポイントでエンジン22が運転されてエンジン22から要求パワーPe*が出力されると共にリングギヤ軸32aには要求トルクTr*が出力されるよう制御するなどとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、登坂路についての所定勾配θrefは、モータMG2から出力可能なトルクとして制御用に予め定められた最大トルクTm2maxを出力しても登坂することができない勾配の下限値であるものとしたが、こうした下限値より若干小さい勾配であるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、停車判定車速Vrefとアクセル最大開度Accmaxとに基づく要求トルクTr*を発進時目標運転ポイントを設定するための発進時最大要求トルクTrmaxとして用いるものとしたが、停車判定車速Vrefより若干大きい車速やアクセル最大開度Accmaxより若干小さいアクセル開度などに基づく要求トルクTr*を発進時目標運転ポイントを設定するために用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、登坂路でブレーキオンによる停車中にはエンジン22が発進前目標運転ポイントで運転されるようエンジン22とモータMG1とを制御すると共に駆動軸としてのリングギヤ軸32aには要求トルクTr*が出力されるようモータMG2を制御し、ブレーキ指令に相当するブレーキ油圧により駆動輪63a,63bや従動輪に制動トルクが作用するようブレーキアクチュエータ92を制御するものとしたが、登坂路でブレーキオンによる停車中にはエンジン22が発進前目標運転ポイントで運転されるようエンジン22とモータMG1とを制御すると共にモータMG2からはトルクが出力されないようモータMG2を制御し、ブレーキ指令に相当するブレーキ油圧により駆動輪63a,63bや従動輪に制動トルクが作用するようブレーキアクチュエータ92を制御するものとしてもよい。こうすれば、モータMG2の発熱やロスによる電力消費を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図16の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図16における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両の形態やこうした車両の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、車速Vとアクセル開度Accとに基づいて要求トルクTr*を設定する図2の登坂停車時制御ルーチンのステップS110の処理や図3の登坂発進時制御ルーチンのステップS210の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、所定勾配θref以上の登坂路で停車しているときに、停車判定車速Vrefおよびアクセル最大開度Accmaxとによる発進時最大要求トルクTrmaxに基づく発進時最大要求パワーPemaxと動作ラインとに基づいて発進時目標運転ポイント(Netag,Tetag)を設定し、エンジン22の運転ポイントを発進時目標運転ポイントに向けて変化させたときに回転数Neを上昇させるのに要するパワーのためにトルクTeが減少しない範囲として設定される発進前目標運転領域内で発進前目標運転ポイント(Nepre,Tepre)を設定する図4の発進前運転ポイント設定ルーチンを実行し、所定勾配θref以上の登坂路でブレーキオンによる停車中にブレーキオフされるまではエンジン22が発進前目標運転ポイントで運転されると共に要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信する図2の登坂停車時制御ルーチンを実行し、こうした停車中にブレーキオフされた以降は発進前目標運転ポイントから発進時目標運転ポイントまでの経路上の発進用動作ラインと要求パワーPe*とに基づく運転ポイントでエンジン22が運転されると共にリングギヤ軸32aに要求トルクTr*が出力されるようエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*とを設定すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信する図3の登坂発進時制御ルーチンのステップS200〜S260の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と目標回転数Ne*および目標トルクTe*に基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24とトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。また、要求トルクTr*とバッテリ50の入力制限Winとに基づいてエンジン22の要求パワーPe*を設定する図3の登坂発進時制御ルーチンのステップS210の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求パワー設定手段」に相当し、ブレーキペダル85の踏み込みに応じてまたはブレーキホールドスイッチ89からのブレーキホールド信号に基づいて駆動輪63a,63bや図示しない従動輪に制動トルクを作用させるためのブレーキ油圧を調整するブレーキアクチュエータ92やブレーキマスターシリンダ90,ブレーキホイールシリンダ96a〜96dが「制動力付与手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力するものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる差動作用を有するものなど、駆動輪に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力するものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、発電機および電動機と電力のやりとりを行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「要求駆動力設定手段」としては、車速Vとアクセル開度Accとに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセルペダルに替わるレバーの操作量を用いるものなど、車速とアクセル操作量とに基づいて駆動軸に要求される要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、所定勾配θref以上の登坂路で停車しているときに発進時最大要求トルクTrmaxに基づく発進時最大要求パワーPemaxと動作ラインとに基づいて発進時目標運転ポイントを設定し、エンジン22の運転ポイントを発進時目標運転ポイントに向けて変化させたときに回転数Neを上昇させるのに要するパワーのためにトルクTeが減少しない範囲として設定される発進前目標運転領域内で発進前目標運転ポイントを設定し、所定勾配θref以上の登坂路でブレーキオンによる停車中にブレーキオフされるまではエンジン22が発進前目標運転ポイントで運転されると共に要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し、こうした停車中にブレーキオフされた以降は発進前目標運転ポイントから発進時目標運転ポイントまでの経路上の発進用動作ラインと要求パワーPe*とに基づく運転ポイントでエンジン22が運転されると共にリングギヤ軸32aに要求トルクTr*が出力されるようエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*とを設定すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2を設定し、目標回転数Ne*および目標トルクTe*に基づいてエンジン22を制御すると共にトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するものに限定されるものではなく、電動機から出力される駆動力だけでは登坂が困難となる路面勾配として予め定められた所定勾配以上の勾配の登坂路で発進する際、発進前の停車時には内燃機関から出力するパワーを増加したときに内燃機関の回転数を上昇させるのに要するパワーのために内燃機関から出力するトルクが減少しない範囲として設定される内燃機関の運転ポイントの範囲であるトルク増加運転範囲内で蓄電手段を充電してもよい許容最大電力である入力制限に相当するパワーを出力する運転ポイントで内燃機関が運転されるよう内燃機関と発電機とを制御し、発進が開始されたときから内燃機関のトルク増加運転範囲内のトルクの増加を伴って設定された要求駆動力に基づく内燃機関に要求される要求パワーが内燃機関から出力されると共に設定された要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。また、「要求パワー設定手段」としては、要求トルクTr*とバッテリ50の入力制限Winとに基づいてエンジン22の要求パワーPe*を設定するものに限定されるものではなく、バッテリ50の入力制限Winを用いないものなど、設定された要求駆動力に基づいて内燃機関に要求される要求パワーを設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制動力付与手段」としては、ブレーキペダル85の踏み込みに応じてまたはブレーキホールドスイッチ89からのブレーキホールド信号に基づいて駆動輪63a,63bや図示しない従動輪に制動トルクを作用させるためのブレーキ油圧を調整するブレーキアクチュエータ92やブレーキマスターシリンダ90,ブレーキホイールシリンダ96a〜96dに限定されるものではなく、ブレーキ操作またはブレーキ保持要求であるブレーキ指示により車両に制動力を付与するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、87 車速センサ、88 勾配センサ、89 ブレーキホールドスイッチ、90 ブレーキマスターシリンダ、92 ブレーキアクチュエータ、94 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、96a〜96d ブレーキホイールシリンダ、MG1,MG2 モータ。

Claims (8)

  1. 内燃機関と、動力を入出力する発電機と、駆動輪に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりを行なう蓄電手段と、を備える車両であって、
    車速とアクセル操作量とに基づいて前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    前記電動機から出力される駆動力だけでは登坂が困難となる路面勾配として予め定められた所定勾配以上の勾配の登坂路で発進する際、発進前の停車時には前記内燃機関から出力するパワーを増加したときに該内燃機関の回転数を上昇させるのに要するパワーのために前記内燃機関から出力するトルクが減少しない範囲として設定される前記内燃機関の運転ポイントの範囲であるトルク増加運転範囲内で前記蓄電手段を充電してもよい許容最大電力である入力制限に相当するパワーを出力する運転ポイントで前記内燃機関が運転されるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御し、発進が開始されたときから前記内燃機関の前記トルク増加運転範囲内のトルクの増加を伴って前記設定された要求駆動力に基づく前記内燃機関に要求される要求パワーが前記内燃機関から出力されると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
    を備える車両。
  2. 請求項1記載の車両であって、
    前記制御手段は、前記内燃機関の回転数の変化量に対する前記内燃機関のトルクの変化量の割合が前記内燃機関を含む回転系の慣性モーメントに相当する割合より大きい範囲を前記トルク増加運転範囲として制御する手段である、
    車両。
  3. 請求項1または2記載の車両であって、
    前記設定された要求駆動力に基づく走行用パワーに前記入力制限に相当するパワーを加えることにより前記内燃機関に要求される要求パワーを設定する要求パワー設定手段
    を備え、
    前記制御手段は、発進前の停車時には、車速およびアクセル操作量が予め定められた所定の低車速および所定の大操作量のときの前記要求駆動力に基づく前記要求パワーと前記内燃機関のパワーに対する回転数およびトルクの関係として予め定められた所定の制約とに基づいて発進時の前記内燃機関を運転すべき目標運転ポイントである発進時目標運転ポイントを設定すると共に、前記内燃機関の運転ポイントを前記設定した発進時目標運転ポイントに向けて変化させるときの前記トルク増加運転範囲内で前記入力制限に相当するパワーを出力する運転ポイントを発進前の前記目標運転ポイントである発進前目標運転ポイントとして設定し、前記設定した発進前目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御し、発進が開始されたときから前記内燃機関の運転ポイントを前記トルク増加運転範囲内で前記設定した発進時目標運転ポイントに向けて変化させながら前記内燃機関から前記設定された要求パワーを出力すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する手段である、
    車両。
  4. 請求項3記載の車両であって、
    ブレーキ操作またはブレーキ保持要求であるブレーキ指示により車両に制動力を付与する制動力付与手段
    を備え、
    前記制御手段は、発進前の前記ブレーキ指示による停車時には、前記所定勾配以上の登坂路で前記ブレーキ指示が解除されても停車している状態を保持するために前記電動機から前記駆動軸に出力可能な予め定められた最大トルクでは不足するトルクを釣合い用トルクとして設定し、前記設定した釣合い用トルクにマージンを加えて得られる停車解除用トルクに相当するトルクを前記内燃機関から出力すべき目標トルクとして設定すると共に前記入力制限に相当するパワーを前記設定した目標トルクで除することにより前記内燃機関を運転すべき目標回転数を設定し、前記設定した目標回転数と目標トルクとからなる停車解除用運転ポイントを前記発進前目標運転ポイントとして設定する手段である、
    車両。
  5. 請求項4記載の車両であって、
    前記制御手段は、発進前の前記ブレーキ指示による停車時に前記停車解除用運転ポイントが前記トルク増加運転範囲内にないときには、前記内燃機関の回転数の変化量に対する前記内燃機関のトルクの変化量の割合が前記内燃機関を含む回転系の慣性モーメントに相当する割合より大きくなる所定の関係と前記入力制限に相当するパワーとに基づいて前記発進前目標運転ポイントを設定する手段である、
    車両。
  6. 請求項5記載の車両であって、
    前記制御手段は、発進前の前記ブレーキ指示による停車時に前記所定の関係と前記入力制限に相当するパワーとに基づく前記発進前目標運転ポイントで前記内燃機関を運転している最中に前記ブレーキ指示の解除により発進が開始されたときに、前記設定された要求駆動力が前記電動機の最大トルクと前記停車解除用トルクとの和に相当するトルクに至るまでは車両への制動力の付与が保持されるよう前記制動力付与手段を制御し、前記設定された要求駆動力が前記電動機の最大トルクと前記停車解除用トルクとの和に相当するトルクに至ったときには車両への制動力の付与が解除されるよう前記制動力付与手段を制御する手段である、
    車両。
  7. 請求項3ないし6のいずれか1つの請求項に記載の車両であって、
    前記制御手段は、発進が開始されたときには、前記設定された発進前目標運転ポイントから前記設定された発進時目標運転ポイントに向かう前記内燃機関の運転ポイントの経路上における前記内燃機関のパワーに対する回転数およびトルクの関係としての登坂発進用動作ラインと前記設定された要求パワーとに基づく前記目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御する手段である、
    車両。
  8. 内燃機関と、動力を入出力する発電機と、駆動輪に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりを行なう蓄電手段と、を備える車両の制御方法であって、
    前記電動機から出力される駆動力だけでは登坂が困難となる路面勾配として予め定められた所定勾配以上の勾配の登坂路で発進する際、発進前の停車時には前記内燃機関から出力するパワーを増加したときに該内燃機関の回転数を上昇させるのに要するパワーのために前記内燃機関から出力するトルクが減少しない範囲として設定される前記内燃機関の運転ポイントの範囲であるトルク増加運転範囲内で前記蓄電手段を充電してもよい許容最大電力である入力制限に相当するパワーを出力する運転ポイントで前記内燃機関が運転されるよう前記内燃機関と前記発電機とを制御し、発進が開始されたときから前記内燃機関の前記トルク増加運転範囲内のトルクの増加を伴って車速およびアクセル操作量に応じた前記駆動軸に要求される要求トルクに基づく前記内燃機関に要求される要求パワーが前記内燃機関から出力されると共に前記要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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