以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。なお、本願においては、特に説明がなされた場合を除き、「半径方向」とは、ホイールの半径方向を意味し、「軸方向」とは、ホイールの軸方向を意味し、「周方向」とは、ホイールの周方向を意味する。本願の図面において符号z1で示されているのは、ホイールの中心軸線である。この中心軸線z1は、一点鎖線で描かれている。
図1は、本発明の第1実施形態に係るホイール20が示された側面図である。図2は、ホイール20の断面図である。図2は、中心軸線z1を含む平面に沿った断面図である。図3は、タイヤの輪郭線が追加された断面図である。図3も、中心軸線z1を含む平面に沿った断面図である。図3において、タイヤの輪郭線は、2点鎖線で描かれている。ホイール20は、自動車用である。
図1、図2及び図3において、左右方向は軸方向である。図1、図2及び図3において、左側が外側であり、右側が内側である。
このホイール20は、ディスク22と、リム24と、凸部p1とを備えている。ディスク22は、ハブ用孔26及びボルト用孔28を備えている。ボルト用孔28にボルトが通されることにより、ホイール20がハブに固定される。リム24には、タイヤが装着される。
ホイール20の材質は、アルミニウム合金である。即ち、ホイール20は、いわゆるアルミホイールである。本発明では、ホイール20の材質は限定されない。上記凸部及び上記凹部の成形の容易性の観点から、ホイール20の材質として、アルミニウム合金が好ましい。
ディスク22とリム24とは、一体的に形成されている。ディスク22とリム24とが、溶接されていてもよい。
ホイール20の製造方法は限定されない。ホイール20の製造方法として、鋳造、ダイキャスト及び鍛造が例示される。ホイール20は、複数の部材が溶接されていてもよい。ホイール20は、いわゆる1ピースホイールであってもよいし、いわゆる2ピースホイールであってもよいし、いわゆる3ピースホイールであってもよい。
リム24は、ウェル34、外側ビードシート36、内側ビードシート38、外側リムフランジ40及び内側リムフランジ42を備えている。リム24は、アルミニウム合金からなる。リム24が他の金属から成ってもよい。
リム24に、凸部p1が設けられている。凸部p1は、リム24の表面に設けられている。凸部p1は、リム24の外周面に設けられている。複数の凸部p1が設けられている。
凸部p1は、ウェル34に設けられている。凸部p1は、ウェル34の表面に設けられている。凸部p1は、ウェル34の外周面に設けられている。
凸部p1は、筋状の突起である(図1参照)。凸部p1は、環状に延在している。凸部p1は、半径方向外側に向かって突出している。
図3が示すように、ホイール20には、タイヤ50が装着される。タイヤ50は、空気入りタイヤである。タイヤ50が装着された場合、ホイール20とタイヤ50とにより、空気室A1が形成される。凸部p1は、空気室A1の内部に面している。凸部p1は、空気室A1内の空気と接する位置に設けられている。凸部p1は、空気室A1内の空気とホイール20との接触面積を増加させる
凸部p1に代えて、凹部が設けられても良い。この凹部は、空気室A1内の空気とホイール20との接触面積を増加させる。空気室A1内の空気は、本願において、内部空気とも称される。
図4は、タイヤホイール組立体52の拡大断面図である。タイヤホイール組立体52は、ホイール20とタイヤ50とを有する。タイヤホイール組立体52では、ホイール20のリム24にタイヤ50が取り付けられている。
タイヤホイール組立体に係る本発明において、タイヤは限定されない。図4の実施形態に係るタイヤ50は、ランフラットタイヤである。ランフラットタイヤは、パンク状態で走行しうる。タイヤ50はランフラットタイヤでなくてもよい。
このタイヤ50は、トレッド54、ウイング56、サイドウォール58、クリンチ部60、ビード62、カーカス64、支持層66、ベルト68、バンド70、インナーライナー72及びチェーファー74を備えている。ベルト68及びバンド70は、補強層を構成している。ベルト68のみから、補強層が構成されてもよい。バンド70のみから、補強層が構成されてもよい。一点鎖線Eqは、タイヤ50の赤道面を表す。
トレッド54は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド54は、路面と接地するトレッド面76を形成する。トレッド面76には、溝78が設けられている。この溝78により、トレッドパターンが形成されている。トレッド54は、キャップ層80とベース層82とを有している。キャップ層80は、架橋ゴムからなる。ベース層82は、他の架橋ゴムからなる。キャップ層80は、ベース層82の半径方向外側に位置している。キャップ層80は、ベース層82に積層されている。
サイドウォール58は、トレッド54の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール58は、架橋ゴムからなる。サイドウォール58は、カーカス64の外傷を防止する。サイドウォール58は、リブ84を備えている。リブ84は、軸方向外側に向かって突出している。パンク状態での走行のとき、このリブ84がリム24のフランジ(外側リムフランジ40及び内側リムフランジ42)と当接する。この当接により、ビード62の変形が抑制されうる。変形が抑制されたタイヤ50は、パンク状態での耐久性に優れる。
クリンチ部60は、サイドウォール58の半径方向略内側に位置している。クリンチ部60は、軸方向において、ビード62及びカーカス64よりも外側に位置している。クリンチ部60は、リム24のフランジ(外側リムフランジ40及び内側リムフランジ42)と当接している。
ビード62は、サイドウォール58の半径方向内側に位置している。ビード62は、コア88と、このコア88から半径方向外向きに延びるエイペックス90とを備えている。コア88はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。エイペックス90は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス90は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス64は、カーカスプライ92からなる。カーカスプライ92は、両側のビード62の間に架け渡されており、トレッド54及びサイドウォール58に沿っている。カーカスプライ92は、コア88の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ92には、主部94と折り返し部96とが形成されている。折り返し部96の端98は、ベルト68の直下にまで至っている。換言すれば、折り返し部96はベルト68とオーバーラップしている。このカーカス64は、いわゆる「超ハイターンアップ構造」を有する。超ハイターンアップ構造を有するカーカス64は、パンク状態におけるタイヤ50の耐久性に寄与する。このカーカス64は、パンク状態での耐久性に寄与する。
カーカスプライ92は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、45°から90°、さらには75°から90°である。換言すれば、このカーカス64はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
支持層66は、サイドウォール58の軸方向内側に位置している。支持層66は、カーカス64とインナーライナー72とに挟まれている。支持層66は、半径方向において、内向きに先細りであり外向きにも先細りである。この支持層66は、三日月に類似の形状である。支持層66は、高硬度な架橋ゴムからなる。タイヤ50がパンクしたとき、この支持層66が荷重を支える。この支持層66により、パンク状態であっても、タイヤ50はある程度の距離を走行しうる。このランフラットタイヤ50は、サイド補強型である。タイヤ50が、図1に示された支持層66の形状とは異なる形状を有する支持層を備えてもよい。なお、ランフラットタイヤは、中子型であってもよい。
カーカス64のうち、支持層66とオーバーラップしている部分は、インナーライナー72と離れている。換言すれば、支持層66の存在により、カーカス64は湾曲している。パンク状態のとき、支持層66には圧縮荷重がかかり、カーカス64のうち支持層66と近接している領域には引張り荷重がかかる。支持層66はゴム塊なので、圧縮荷重に耐えうる。カーカス64のコードは、引張り荷重に耐えうる。支持層66とカーカスコードとにより、パンク状態でのタイヤ50の縦撓みが抑制される。縦撓みが抑制されたタイヤ50は、パンク状態での操縦安定性に優れる。
パンク状態での縦歪みの抑制の観点から、支持層66の硬度は60以上が好ましく、65以上がより好ましい。通常状態(タイヤ50に正規内圧が負荷された状態)の乗り心地性の観点から、硬度は90以下が好ましく、80以下がより好ましい。硬度は、「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。図1に示された断面にこのデュロメータが押し付けられ、硬度が測定される。測定は、23℃の温度下でなされる。
支持層66の下端100は、エイペックス90の上端102よりも、半径方向において内側に位置している。換言すれば、支持層66はエイペックス90とオーバーラップしている。
支持層66の上端104は、ベルト68の端106よりも軸方向において内側に位置している。換言すれば、支持層66はベルト68とオーバーラップしている。
パンク状態での縦歪みの抑制の観点から、支持層66の最大厚みは3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、7mm以上が特に好ましい。タイヤ50の軽量の観点から、最大厚みは、25mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。
ベルト68は、カーカス64の半径方向外側に位置している。ベルト68は、カーカス64と積層されている。ベルト68は、カーカス64を補強する。ベルト68は、内側層108及び外側層110からなる。図4から明らかなように、内側層108の幅は、外側層110の幅よりも大きい。図示されていないが、内側層108及び外側層110のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層108のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層110のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト68の軸方向幅は、タイヤ50の最大幅の0.85倍以上1.0倍以下が好ましい。ベルト68が、3以上の層を備えてもよい。
バンド70は、ベルト68を覆っている。図示されていないが、このバンド70は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド70は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト68が拘束されるので、ベルト68のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
タイヤ50が、バンド70に代えて、ベルト68の端の近傍のみを覆うエッジバンドを備えてもよい。タイヤ50が、バンド70と共に、エッジバンドを備えてもよい。
インナーライナー72は、カーカス64の内周面に接合されている。インナーライナー72は、架橋ゴムからなる。インナーライナー72には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー72は、タイヤ50の内圧を保持する。
車両の走行により、タイヤ50は発熱する。また、パンク状態での走行により、タイヤ50は顕著に発熱する。この熱は、タイヤ50を劣化させる。
タイヤ50の熱は、ホイール20を経由して、外部に放出される。凸部p1は、この放熱を促進しうる。この放熱の詳細については、後述される。
図5は、本発明の第2実施形態に係るホイール120の断面図である。図5は、中心軸線z1を含む平面に沿った断面図である。ホイール120は、自動車用である。図5において、左右方向は軸方向である。図5において、左側が外側であり、右側が内側である。
このホイール120は、ディスク122とリム124と凸部p2とを備えている。ディスク122は、ハブ用孔(図示されず)及びボルト用孔(図示されず)を備えている。ボルト用孔にボルトが通されることにより、ホイール120がハブに固定される。リム124には、タイヤが装着される。
リム124は、ウェル134、外側ビードシート136、内側ビードシート138、外側リムフランジ140及び内側リムフランジ142を備えている。リム124は、アルミニウム合金からなる。リム124が他の金属から成ってもよい。
リム124に、凸部p2が設けられている。凸部p2は、リム124の表面に設けられている。凸部p2は、リム124の内周面に設けられている。複数の凸部p2が設けられている。
凸部p2は、ウェル134に設けられている。凸部p2は、ウェル134の表面に設けられている。凸部p2は、ウェル134の内周面に設けられている。
凸部p2は、筋状の突起である(図5参照)。凸部p2は、環状に延在している。凸部p2は、周方向の全体に亘って延在している。凸部p2は、半径方向内側に向かって突出している。
凸部p2の位置を除き、ホイール120は、前述したホイール20と同じである。
凸部p2は、ホイール120の表面積を増大させている。凸部p2は、放熱を促進しうる。
図6は、本発明の第3実施形態に係るホイール150の断面図である。図6は、中心軸線z1を含む平面に沿った断面図である。ホイール150は、自動車用である。図6において、左右方向は軸方向である。図6において、左側が外側であり、右側が内側である。図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図である。
このホイール150は、ディスク152とリム154と凸部p3とを備えている。ディスク152は、ハブ用孔(図示されず)及びボルト用孔(図示されず)を備えている。ボルト用孔にボルトが通されることにより、ホイール150がハブに固定される。リム154には、タイヤが装着される。
リム154は、ウェル164、外側ビードシート166、内側ビードシート168、外側リムフランジ170及び内側リムフランジ172を備えている。リム154は、アルミニウム合金からなる。リム154が他の金属から成ってもよい。
リム154に、凸部p3が設けられている。凸部p3は、リム154の表面に設けられている。凸部p3は、リム154の内周面に設けられている。複数の凸部p3が設けられている。
凸部p3は、ウェル164に設けられている。凸部p3は、ウェル164の表面に設けられている。凸部p3は、ウェル164の外周面に設けられている。凸部p3は、周方向で等間隔おきに設けられている(図7参照)。
凸部p3は、筋状の突起である(図6参照)。凸部p3は、軸方向に延在している。凸部p3は、半径方向外側に向かって突出している(図7参照)。なお凸部p3は、軸方向に対して傾斜していてもよい。この傾斜は、外部空気の乱流(後述)を促進しうる。また凸部p3は、曲がって延在していてもよい。この曲がりは、外部空気の乱流(後述)を促進しうる。
凸部p3の配置を除き、ホイール150は、前述したホイール20と同じである。
凸部p3は、ホイール150の表面積を増大させる。凸部p3は、放熱を促進しうる。
図8は、本発明の第4実施形態に係るホイール180の断面図である。図9は、中心軸線z1を含む平面に沿ったホイール180の断面図である。ホイール180は、自動車用である。図8及び図9において、左右方向は軸方向である。図8及び図9において、左側が外側であり、右側が内側である。
このホイール180は、ディスク182とリム184と凸部p4と凸部p5とを備えている。ディスク182は、ハブ用孔(図示されず)及びボルト用孔(図示されず)を備えている。ボルト用孔にボルトが通されることにより、ホイール180がハブに固定される。リム184には、タイヤが装着される。ディスク182は、前述したホイール20のディスク22と同じである。リム184は、前述したリム24と同じである。
リム184は、ウェル185、外側ビードシート186、内側ビードシート188、外側リムフランジ190及び内側リムフランジ192を備えている。リム184は、アルミニウム合金からなる。リム184が他の金属から成ってもよい。
リム184に、凸部p4及び凸部p5が設けられている。凸部p4及び凸部p5は、リム184の表面に設けられている。凸部p4は、リム184の外周面に設けられている。複数の凸部p4が設けられている。凸部p4は、前述した凸部p1と同じである。凸部p5は、リム184の内周面に設けられている。複数の凸部p5が設けられている。
凸部p4及び凸部p5は、ウェル185に設けられている。凸部p4及び凸部p5は、ウェル185の表面に設けられている。凸部p4は、ウェル185の外周面に設けられている。凸部p5は、ウェル185の内周面に設けられている。
凸部p4及び凸部p5は、筋状の突起である。凸部p4及び凸部p5は、環状に延在している。凸部p4及び凸部p5は、周方向の全体に亘って延在している。凸部p4は、半径方向外側に向かって突出している。凸部p5は、半径方向内側に向かって突出している。
凸部p4及び凸部p5は、ホイール180の表面積を増大させている。凸部p4及び凸部p5は、放熱を促進しうる。
タイヤで発生した熱がホイールを経由して外部に放出されるまでの熱伝導の経路は、主として2つである。主な熱伝導の経路は、以下で説明される第1の伝熱経路及び第2の伝熱経路である。
先ず、第1の経路について説明がなされる。タイヤの熱は、空気室A1の空気に伝導される。この伝導により、内部空気(空気室A1の空気)の温度が上昇する。空気室A1の空気に伝導された熱は、ホイールに伝導される。ホイールの熱は、外部空気(大気)に放出される。これが第1の伝熱経路である。即ち、第1の伝熱経路は、次の(1a)、(2a)、(3a)、(4a)の順である。
[第1の伝熱経路]
(1a)タイヤ
(2a)内部空気(空気室内の空気)
(3a)ホイール
(4a)外部空気(大気)
次に、第2の伝熱経路について説明がなされる。タイヤの熱は、タイヤとホイールとの接触面を通じて、ホイールに直接伝導される。伝導されたホイールの熱は、外部空気(大気)に放出される。これが第2の伝熱経路である。即ち、第2の伝熱経路は、次の(1b)、(2b)、(3b)の順である。
[第2の伝熱経路]
(1b)タイヤ
(2b)ホイール
(3b)外部空気(大気)
図3が示すように、第1実施形態に係る凸部p1は、内部空気とホイールとの接触面積を増大させる。凸部p1により、上記第1の伝熱経路における、内部空気からホイールへの熱伝導が促進される。この熱伝導の促進により、外部空気への放熱が促進される。内部空気と接する位置に設けられた凸部p1は、タイヤからの熱エネルギーの吸収効率を向上させる。
同様に、第3実施形態に係る凸部p3は、内部空気とホイールとの接触面積を増大させる。凸部p3は、上記第1の伝熱経路における、内部空気からホイールへの熱伝導を促進する。この熱伝導の促進により、外部空気への放熱が促進される。
一方、第2実施形態に係る凸部p2は、外部空気とホイールとの接触面積を増大させる。凸部p2は、上記第1の伝熱経路における、ホイールから外部空気への熱伝導を促進する。この熱伝導の促進により、外部空気への放熱が促進される。同様に、凸部p2は、上記第2の伝熱経路における、ホイールから外部空気への熱伝導を促進する。この熱伝導の促進により、外部空気への放熱が促進される。
上記実施形態では、凸部が用いられていたが、凸部に代えて凹部が設けられても良い。凹部によっても、表面積が増大しうる。凹部と凸部とが併用されてもよい。凹部と凸部とが交互に配置されてもよい。
上記第1実施形態及び上記第3実施形態では、凸部が、内部空気とホイールとの接触面積を増大させる。内部空気に接しうる凸部及び/又は凹部は、内部空気からホイールへの熱伝導を促進する。内部空気に接しうる凸部及び/又は凹部は、内部空気の熱エネルギーを効果的に吸収しうる。
上記第2実施形態では、凸部が、ホイールと外部空気との接触面積を増大させる。外部空気に接しうる凸部及び/又は凹部は、ホイールから外部空気への熱伝導を促進する。
上記第4実施形態では、凸部が、内部空気とホイールとの接触面積を増大させ、且つ、ホイールと外部空気との接触面積を増大させる。よって、タイヤからの熱の吸収と、外気への熱の放出とが促進されうる。
外部空気に接しうる凸部及び/又は凹部は、ホイールの回転に伴い、外部空気の乱流を発生させる。この乱流は、ホイール表面近傍の外部空気の置換を促進しうる。この乱流は、放熱を促進しうる。
凸部の形状は、限定されない。凸部の形状として、筋山及びピンプルが例示される。凸部の断面形状、体積、数、表面積等は、限定されない。凸部の断面形状として、矩形、U字形、三角形及び半円形が例示される。
凹部の形状は、限定されない。凹部の形状として、溝及びディンプルが例示される。凹部の断面形状、体積、数、表面積等は、限定されない。凹部の断面形状として、矩形、U字形、三角形及び半円形が例示される。
乱流の発生を促進する観点からは、凹部よりも凸部のほうが好ましい。
凸部及び/又は凹部の位置は、限定されない。凸部及び/又は凹部は、ホイールのいずれかの箇所に設けられる。例えば、凸部及び/又は凹部は、ディスクに設けられても良い。この場合、凸部及び/又は凹部は、ディスクの内側に設けられても良いし、ディスクの外側に設けられても良い。例えば、凸部及び/又は凹部は、リムフランジ、ビードシート又はウェルに設けられても良い。エア漏れ抑制の観点から、凸部及び/又は凹部は、タイヤとの当接面を避けて設けられるのが好ましい。ビードシートの内側面(内周面)に凸部及び/又は凹部が設けられても良い。ビードシートの内側面に設けられた凸部及び/又は凹部は、特に、タイヤから直接伝達された熱(上記伝熱経路2を参照)を効果的に放出しうる。
凸部及び/又は凹部は、周方向の全体に設けられても良いし、周方向の一部に設けられても良い。
凸部及び/又は凹部は、軸方向の全体に設けられても良いし、軸方向の一部に設けられても良い。
タイヤに近接しており、放熱効果が高いという観点から、凸部及び/又は凹部は、リムに設けられるのが好ましい。内部空気からホイールへの熱伝導を促進する観点から、凸部及び/又は凹部は、ウェルに設けられるのがより好ましい。
放熱をより促進する観点から、内部空気に接する面に凸部及び/又は凹部が設けられ、且つ、外部空気に接する面に凸部及び/又は凹部が設けられても良い。この一例が、上記第4実施形態のホイール180である。例えば、ウェルの外周面に凸部及び/又は凹部が設けられ、且つ、ウェルの内周面に凸部及び/又は凹部が設けられても良い。この一例が、上記第4実施形態のホイール180である。この場合、ホイールの熱吸収が促進され且つ外部空気への放熱も促進されるので、タイヤの温度上昇が効果的に抑制されうる。
以上の説明から明らかなように、本発明に係るホイールとして、次のホイールA、B及びCが可能である。
[ホイールA]:外部空気に接しうる凸部及び/又は凹部を有する。
[ホイールB]:内部空気に接しうる凸部及び/又は凹部を有する。
[ホイールC]:外部空気に接しうる凸部及び/又は凹部と、内部空気に接しうる凸部及び/又は凹部とを有する。
好ましくは、上記凸部及び/又は凹部は、ホイールの回転に伴い、乱流を発生させる。
なお、内部空気に接しうる凸部及び/又は凹部は、内部空気に乱流を発生させうる。この乱流は、ホイール表面近傍における内部空気の置換を促進する。この乱流は、内部空気の熱のホイールへの伝達を促進する。この乱流は、ホイールによる吸熱を促進しうる。
図3において両矢印H1で示されているのは、凸部の高さである。表面積を増加する観点から、高さH1は、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上がより好ましい。ホイール重量を抑制する観点から、高さH1は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下がより好ましい。
凹部の深さF1(図示されず)は限定されない。表面積を増加する観点から、深さF1は、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上がより好ましい。ホイール強度の観点から、高さF1は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下がより好ましい。
図3において両矢印W1で示されているのは、凸部の幅である。表面積を増加する観点から、幅W1は、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上がより好ましい。ホイール重量を抑制する観点から、高さH1は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下がより好ましい。
凹部の幅W2(図示されず)は限定されない。表面積を増加する観点から、幅W2は、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上がより好ましい。ホイール強度の観点から、幅W2は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下がより好ましい。
図3において両矢印T1で示されているのは、凸部のピッチである。ホイールの成形の容易性の観点から、ピッチT1は、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上がより好ましい。表面積を増加する観点から、ピッチT1は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下がより好ましい。
図1において両矢印Waで示されるのは、ウェル34の軸方向幅(mm)である。タイヤからの吸熱及び/又は外部への放熱を促進する観点から、上記ピッチT1は、(Wa/10)mm以下が好ましく、(Wa/20)mm以下がより好ましい。ホイールの生産性の観点から、上記ピッチT1は、(Wa/100)mm以上が好ましく、(Wa/80)mm以上がより好ましい。
ランフラットタイヤは、パンク時の走行において、発熱しやすい。ランフラットタイヤが装着された場合、本発明の効果が顕在化しやすい。この観点から、上記タイヤはランフラットタイヤであるのが好ましく、上記ホイールはランフラットタイヤ用であるのが好ましい。より好ましいランフラットタイヤは、ISOで規定される条件において、80km/hの速度で80km以上走行可能なタイヤである。このISOで規定される条件では、外気(外部空気)の温度が38℃であり、荷重が正規荷重の65%である。サイド補強型ランフラットタイヤは、中子型ランフラットタイヤと比較して、パンク時の走行における発熱が大きい。この観点から、上記ランフラットタイヤは、サイド補強型であるのがより好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
鋳造により、図1及び図2に示されるホイールを得た。このホイールは、1ピース構造である。このホイールの材質は、アルミニウム合金である。このホイールでは、ウェルの外周面に凸部が設けられている。凸部の高さH1は5(mm)であり、幅W1は3(mm)であり、ピッチT1は6mmである。
別途、図4に示される構造を備えたタイヤを得た。このタイヤは、サイド補強型のランフラットタイヤである。このタイヤのサイズは、「245/40ZR18」である。
上記ホイールに上記タイヤを装着し、実施例1のタイヤホイール組立体を得た。このタイヤホイール組立体を、車両に取り付けた。この車両として、4輪車が用いられた。この車両は、国産乗用車である。この実施例1について、サイドウォール表面温度及びランフラット走行距離が評価された。実施例1の仕様及び評価結果が下記の表1に示される。
[実施例2]
鋳造により、図5に示されるホイールを得た。凸部の位置がウェルの内周面とされた他は実施例1と同様にして、ホイール及びタイヤホイール組立体を得た。実施例1と同様にして、評価がなされた。実施例2の仕様及び評価結果が下記の表1に示される。
[実施例3]
鋳造により、図8及び図9に示されるホイールを得た。ウェルの内周面及びウェルの外周面に凸部が設けられた他は実施例1と同様にして、ホイール及びタイヤホイール組立体を得た。実施例1と同様にして、評価がなされた。実施例3の仕様及び評価結果が下記の表1に示される。
[実施例4から6]
表1で示された仕様の他は実施例1と同様にして、ホイール及びタイヤホイール組立体を得た。実施例1と同様にして、評価がなされた。実施例4から6の仕様及び評価結果が下記の表1に示される。
[比較例1]
凸部が設けられなかった他は実施例1と同様にして、ホイール及びタイヤホイール組立体を得た。実施例1と同様にして、評価がなされた。比較例1の仕様及び評価結果が下記の表1に示される。比較例1のホイールは、実施例1のホイールから凸部が取り除かれたホイールである。
なお、全ての実施例において、凸部の断面形状は共通とされた。
[ランフラット走行距離]
バルブコアを取り外し、内圧が0kpaとされた。この状態で、テストコースにて車両を走行させた。テストコースの条件は、天候が晴れであり、気温が25℃であった。60km/hの速度で車両を走行させ、タイヤが破損するまでの走行距離を測定した。この走行距離が、指数化されて、下記の表1に示されている。この走行距離は、比較例1における走行距離を100として、指数化されている。この指数が、下記の表1に示されている。指数が大きいほど、走行距離が大きい。
[サイドウォールの表面温度]
上記ランフラット走行距離の測定の途中、80km走行した段階において一旦走行を中止し、直ちにサイドウォールの表面温度を測定した。この温度が、下記の表1に示されている。
表1に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。