JP2011089051A - 非微粘結炭の改質方法及びコークスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い石炭化度を示すが流動性の低い非微粘結炭を、製鉄用などのコークスの製造における原料として使用可能な粘結炭相当品に変換する高石炭化度非微粘結炭の改質方法を提供すること。
【解決手段】高い石炭化度を示すが流動性の低い非微粘結炭を粘結炭相当品に変換させるための改質方法であって、粉状の非微粘結炭と、芳香族性に富む重質油とを混合或いは混練して得た、これらを主とする混合物或いは混和物を350℃〜450℃の温度で加熱して改質する改質工程を少なくとも有し、改質対象とする非微粘結炭が、石炭化度を示す平均反射率(Ro)が0.85から1.6で、流動性を示す最高流動度(MF)が10ddpm以下であって、かつ、石炭のマセラル分析の測定方法によって求められる、活性成分と、半不活性成分のうちの活性成分とみなされる成分との合計の比率が50%を超えるものであることを特徴とする非微粘結炭の改質方法。
【選択図】なし
【解決手段】高い石炭化度を示すが流動性の低い非微粘結炭を粘結炭相当品に変換させるための改質方法であって、粉状の非微粘結炭と、芳香族性に富む重質油とを混合或いは混練して得た、これらを主とする混合物或いは混和物を350℃〜450℃の温度で加熱して改質する改質工程を少なくとも有し、改質対象とする非微粘結炭が、石炭化度を示す平均反射率(Ro)が0.85から1.6で、流動性を示す最高流動度(MF)が10ddpm以下であって、かつ、石炭のマセラル分析の測定方法によって求められる、活性成分と、半不活性成分のうちの活性成分とみなされる成分との合計の比率が50%を超えるものであることを特徴とする非微粘結炭の改質方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、非微粘結炭の改質方法及びコークスの製造方法に関し、具体的には、石炭化度は高いが、流動性が低い非微粘結炭を、製鉄用のコークス製造時などの原料として使用可能な粘結炭相当品に改質する技術に関する。本発明の非微粘結炭の改質技術は、資源の有効利用を、より省エネルギーで達成できるものである。
製鉄用コークスは、コークス炉内で、石炭を、コークス化が可能な1,000℃以上の温度まで熱処理をする過程で軟化溶融して塊状のコークスとして製造するため、原料の石炭には、瀝青炭に属する粘結炭が用いられている。しかし、粘結炭の産出量は、非微粘結炭と比べて絶対量が少なく、かつ、可採量も少ないため、近年、コークス製造に適した粘結炭は、高価で入手が難しくなってきている。ここで、JIS M 0104(石炭利用技術用語)の定義によれば、原料炭とは石炭の用途による分類において、コークス製造の原料として用いる石炭、粘結炭とは、石炭の性状による分類において、粘結性を示す石炭のことである。また微粘結炭とは、僅かに粘結性を示す石炭のことであり、また、非粘結炭とは、粘結性を示さない石炭のことである。石炭は天然物であるため明確に分類することは難しいが、非微粘結炭として通常扱われている石炭の範囲を数値で特定する試みがなされている。例えば、石炭の平均反射率(Ro)と最高流動度(MF)の測定値が、図3に示した太線で囲まれた範囲内にあるものを非微粘結炭と定義し、この定義を用いることが多い。これと同様に、石炭の性状を最高流動度と平均反射率(石炭化度)によって表示し、産地別の傾向を示したMOFダイヤグラムと呼ばれる石炭評価図が知られており、このMOFダイヤグラムを用いることで、対象とする石炭の最高流動度と平均反射率(石炭化度)の測定値から、コークス原料として用いることができるか否かを評価することが行われている。
上記したように、粘結炭は高価でしかも入手が難しくなっているのに対し、非微粘結炭は、世界的に粘結炭よりも産出量が多く、粘結炭よりも安価に入手できるため、非微粘結炭を粘結炭相当品に改質する研究が進められており、これまでにも数多くの提案がなされている。しかしながら、従来における検討は、非微粘結炭の中でも、コークス原料(以下、原料炭とも呼ぶ)として使用できないものを使用可能とすることを目的としており、その意味で、コークス原料として、石炭化度の高い高石炭化度炭は、粘結炭相当品に改質する研究の対象外とされていた。このような状況下、本発明者らは、低石炭化度炭を粘結炭相当品に変換する技術を検討する過程で、非微粘結炭に分類される流動性の低い高石炭化度炭の流動度を高めることができれば、粘結性が改善され、コークス原料として使い易く、より有用なものにできるのではないかとの認識を持つに至った。しかし、上記したように、非微粘結炭に分類される高石炭化度炭の改質については、従来から、ほとんど検討されていないのが現状であり、直接的な先行文献は見当たらない。
一方、低石炭化度炭を粘結炭相当品に変換する従来の技術としては、例えば、以下のものが挙げられる。粘結性に劣る非微粘結炭を、原料炭に含めて使用する場合に、タールやピッチを粘結材として添加することについて種々提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。また、非特許文献1では、非粘結炭に、アスファルトを特殊な条件で熱処理して得られる特殊粘結材(ASPと呼ばれている)を添加して成型することで、非粘結炭を良質な強粘結炭に改質できると述べている。さらに、非特許文献1では、ASPは、単なるピッチの代替品ではなく、非粘結炭に対する独特の改質力をもつ改質材であり、これを用いることで改質効果と成型効果の相乗効果が得られるとしている。
近年、上記で説明した方法とは概念の異なる非微粘結炭の改質方法が登場している。(財)石炭利用総合センターと(社)日本鉄鋼連盟との共同開発によるSCOPE21と称されるシステムであるが、当該技術の基本は、非微粘結炭の粉体を急速加熱することで粘結性を帯びさせることを利用したものである。SCOPE21プロセスは、通常のコークス炉と比較し、原料炭に対する非微粘結炭の使用比率を拡大することができると同時に、高生産性、環境改善、省エネルギーを図るという特徴をも有するものとされている(非特許文献2参照)。
燃料協会誌,Vol.56,No.607,886-897(1977).
エネルギー学会誌,Vol.84,No.3,170-176(2005).
前記したように、従来の改質技術は、いずれも、コークス原料として使用しがたい石炭を使用可能にすることを目的としており、前記したように、石炭化度の高い非微粘結炭は、全く対象とされていなかった。高い石炭化度を有するものは本来コークス原料として有用なものであるものの、流動性に劣る石炭は使用しにくく、石炭化度の高い非微粘結炭は、現状では、殆ど使用されていないか、粘結炭に僅かな比率で配合されて使用されている程度である。これを高い比率で原料炭の一部となることができるようになれば、非常に有用である。また、非微粘結炭の改質材として使用されている前記したASPは、石油精製で副生した残留残渣油を過熱水蒸気(500〜700℃)で熱処理して得られる石油製品であるため、その製造に多くのエネルギーを要し、価格が高く、近年、大きな問題となっている省エネルギーという観点からもその使用には多くの解決すべき課題がある。ところで、コークス製造における低石炭化度の非微粘結炭の有効利用は積年の課題であるものの、いまだ確立した技術とは言い難く、その有効利用の途を探している状態にあり、これまで何らの検討もされてこなかった石炭化度の高い非微粘結炭にあっては、改質の可能性さえも不明であったと言える。さらに、資源の枯渇、環境保全、省エネルギー(二酸化炭素発生量の削減)といった現代における新たな問題もあり、コークス製造における原料炭種の拡大については、この点からも検討が急務となっている。
したがって、本発明の目的は、流動性が低いために使用が視野に入れられていなかった高石炭化度の非微粘結炭を、製鉄用などのコークスの製造における原料として使用可能な粘結炭相当品に変換する改質方法を提供することにある。より具体的には、石炭化度を示す平均反射率(Ro)が0.85から1.6で、流動性を示す最高流動度(MF)が10ddpm以下である石炭(本発明では、このような特性のものを高石炭化度非微粘結炭と呼ぶ)を、コークス原料に適合できる流動性の高い粘結炭相当品に改質することを目的とする。また、本発明の別の目的は、改質した粘結炭相当品をコークスの製造原料として高い使用比率で使用することができ、しかも、使用した場合に粘結炭を原料としたコークスと同等の品質のコークスを得ることができ、さらに、環境改善、省エネルギーにも寄与し得るコークスの製造方法を提供することにある。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、高い石炭化度を示すが流動性の低い非微粘結炭を粘結炭相当品に変換させるための改質方法であって、粉状の非微粘結炭と、芳香族性に富む重質油とを混合或いは混練して得た、これらを主とする混合物或いは混和物を350℃〜450℃の温度で加熱して改質する改質工程を少なくとも有し、改質対象とする非微粘結炭が、石炭化度を示す平均反射率(Ro)が0.85から1.6で、流動性を示す最高流動度(MF)が10ddpm以下であって、かつ、石炭のマセラル分析の測定方法によって求められる、活性成分と、半不活性成分のうちの活性成分とみなされる成分との合計の比率が50%を超えるものであることを特徴とする非微粘結炭の改質方法である。
本発明の高石炭化度非微粘結炭の改質方法の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。上記重質油として、軟化点が200℃以下80℃以上、キノリン不溶分含有量が10質量%以下、芳香族炭素指数fa値が0.3以上のものを用いる高石炭化度非微粘結炭の改質方法。上記混合物或いは混和物における前記非微粘結炭と前記重質油との混合割合が、質量基準で97:3〜60:40である非微粘結炭の改質方法。上記高石炭化度非微粘結炭が、水分2%以下、粒度1mm以下に乾燥・粉砕されたものである非微粘結炭の改質方法。
本発明の別の実施形態は、コークス原料の一部として、非微粘結炭を改質して得られる粘結炭相当品を用いるコークスの製造方法であって、非微粘結炭を改質して得られる粘結炭相当品に、上記いずれかの非微粘結炭の改質方法によって改質されたものを使用することを特徴とするコークスの製造方法である。
本発明によれば、石炭化度を示す平均反射率(Ro)が0.85から1.6と高く、流動性を示す最高流動度(MF)が10ddpm以下と流動性に劣る、高い石炭化度を示すが流動性の低い非微粘結炭を、製鉄用などのコークスの製造における原料として有効利用できる粘結炭相当品に変換できる高石炭化度非微粘結炭の改質方法が提供される。また、本発明によれば、改質した粘結炭相当品をコークスの製造原料として高い使用比率で適用でき、しかも、粘結炭を原料としたコークスと同等の品質のコークスが得られ、さらに、環境改善、省エネルギーにも寄与し得るコークスの製造方法が提供される。なお、本発明で改質の対象とした高石炭化度の非微粘結炭は、将来、充分な供給が見込まれる石炭であり、その意味で改質によって重要な資源と期待される。
以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明者らは、積年の課題であるコークス製造における非微粘結炭の有効利用を可能とする粘結炭相当品への改質方法について、低石炭化度炭の改質についての検討を重ねる過程で、従来から非微粘結炭に分類されている高石炭化度炭(図3参照)について、その流動性を高めることができれば、その利用価値が格段に高まるとの認識をもつに至った。そして、最終目的を、本発明で定義した、高い石炭化度を示すが流動性が低い非微粘結炭(図4参照)を、コークス原料として使用可能な粘結炭相当品に改質でき、しかも、その際の改質効率を上げ、資源の枯渇、環境保全、省エネルギー(二酸化炭素発生量の削減)にも配慮した改質技術を提供することとした。そして、かかる目的達成に向けて、具体的には、下記の検討を行った。すなわち、本発明で対象とする従来まったく検討されてこなかった高石炭化度非微粘結炭が、これまでの改質材によって改質ができるか否かの検討、さらに、効率のよい改質が可能な非微粘結炭の選定、より安価で有効的に機能する新たな改質材の開発、非微粘結炭に対する改質材の使用比率の低減、改質速度の改善などの検討を行った結果、本発明を達成した。
本発明者らは、低石炭化度炭の非微粘結炭の改質についての検討をする過程で、当該高石炭化度非微粘結炭に対して、石油精製工程で副生する残渣を含んだ高沸点溜出物(重質油)が、低石炭化度炭の改質材として有用であることを見出した。特に副生物の中でも、軟化点が200℃以下80℃以上、キノリン不溶分含有量(以下、QI成分とも呼ぶ)が10質量%以下、芳香族炭素指数fa値が0.3以上の芳香族性をもつ重質油が、低石炭化度炭の改質材として有効であることがわかった。また、このような特徴を有する重質油の一例として、アスファルトをブタンやペンタンなどの溶剤として用い、高温高圧下で抽出した残渣があるが、この芳香族性に富む重質油(以下、SDAピッチと呼ぶ。)が、低石炭化度炭の非微粘結炭の改質材として好適であることを見出した。
そこで、このSDAピッチを用いて、平均反射率(Ro)が0.85から1.6と高く、最高流動度(MF)が10ddpm以下と低く流動性に劣る、高石炭化度を示すが流動性の低い非微粘結炭の改質を試みた。その結果、このような性状の非微粘結炭の中に、最高流動度(MF)が80ddpm以上と高くなり、格段に、その流動性がよくなる石炭があることを見出した。すなわち、上記の性状を有する非微粘結炭の中でも、活性成分と、半不活性成分のうちの活性成分とみなされる成分との合計の比率が50%を超える非微粘結炭では、その粉状物にSDAピッチを混合させた状態で、350℃〜450℃の温度で加熱すると、上記したように流動性における著しい改質効果が得られることがわかった。上記した非微粘結炭の場合、低石炭化度の非微粘結炭の改質材として従来から使用されているASPによっても改質の効果が認められるものの、多量に用いたとしてもSDAピッチを用いた場合における効果には遥かに及ばなかった。また、ASPは、石油精製で副生した残留残渣油を過熱水蒸気(500〜700℃)で熱処理して製造された特殊ピッチであるため、価格が高く、近年、問題となっている省エネルギーの観点からも課題があることから、改質効果が高く、しかも、製造にかかるコストやエネルギーの低減が可能なSDAピッチによる改質は、上記した点からもより有用である。すなわち、SDAピッチは石油精製の際の副生物として得られるため、例えば、ASPのように特別な製造コストが必要としないので安価であり、しかも、本発明者らの検討によれば、本発明で対象とする高石炭化度の非微粘結炭の改質材とした場合に高い改質性能を示すため、改質材の使用量を大幅に低減することができ、極めて有効である。また、低石炭化度の非微粘結炭に対しても高い改質性能を示すため、石炭化度の異なる複数種の非微粘結炭を混合した状態で改質することも可能であり、この点でも有用である。なお、効果的で、かつ、非常に経済的な石油系の改質材であるSDAピッチについての詳細は、後述するが、上記と同様の特性のものが得られれば、石炭系の改質材であっても使用可能である。
本発明では、平均反射率(Ro)が0.85から1.6と高く、最高流動度(MF)が10ddpm以下と高石炭化度を示すが流動性の低い非微粘結炭を改質の対象としているが、先に述べたように、このような性状を示すもののいずれもが良好な状態に改質されるわけではなかった。本発明者らの検討によれば、上記した非微粘結炭の中でも、その活性成分と、半活性成分のうちの活性成分とみなされる成分との合計の比率が50%を超える非微粘結炭である場合に、先に述べたSDAピッチに代表される改質材によって改質されて、その流動性を高めることができる。
本発明でいう、活性部分とは、石炭のマセラル分析の測定によって求められる活性成分のことであるが、より具体的には、石炭中に含まれるビトリニット、エクジニット、デグラレディニットなどの成分を意味するとされている。また、本発明でいう、半不活性部分とは、石炭のマセラル分析の測定によって求められる半活性成分のことであるが、より詳細には、石炭中に含まれるセミフジニット、偽似ビトリニットなどの成分を意味するとされている。そして、半不活性成分のうちの活性成分とみなされる成分(以下、みなし活性成分とも呼ぶ)とは、偽似ビトリニットやセミフジニットのことを意味する。上記の「石炭のマセラル分析の測定によって求められる活性部分」は、「石炭の微細組織成分及び反射率測定方法JIS−M8816」の規定に準拠して測定することで得られる。当該JISによれば、「不活性成分とは、石炭を顕微鏡で観察して識別できる微細組織成分(マセラル)のうち、空気との接触を断って加熱した場合、軟化・溶融しない成分」と定義されている。また、半不活性成分は、上記活性成分と不活性成分との中間的な性質を示す成分とされている(木村英雄、藤井修治「石炭化学と工業」P302〜303)。
本発明の好ましい形態によれば、活性成分と、みなし活性成分との合計が50%を超える非微粘結炭の粉末と、SDAピッチに代表されるような芳香族性に富む重質油を混合し、これを、ブリケット或いはペレットに成型したものをコークス炉に装入して加熱すると、400℃付近の温度で非微粘結炭が粘結炭相当のものに変換される。これをコークス原料とすることで、さらに加熱がされて強度の高いコークスとなる。本発明者らの検討によれば、活性成分と、みなし活性成分との合量が50%以下であると、このような効果が十分に得られない。なお、本発明は、上記の成型条件に限定されず、単純に活性成分と、みなし活性成分との合量が50%を超えた石炭と、例えば、ASPのような芳香族性に富む重質油を混合させた場合も、同様な改質効果が得られる。
本発明者らは、本発明者らが新たに見出したSDAピッチ等を含む改質材と、高石炭化度非微粘結炭とを用いて改質の程度を観察した。具体的には、活性成分と、みなし活性成分との合量が70%以上である非微粘結炭を粉砕し、分級した0.5mm以下の乾燥石炭粉にそれぞれの改質材を添加し、混練して得た混和物を350℃〜450℃の温度で加熱処理した。そして、得られた石炭の改質の程度を、ギーセラープラストメータで測定した最高流動度で評価した。石炭の粘結性や粘着性に関しては、通常、測定装置として、ギーセラープラストメータ[JIS−M8801(石炭類の試験方法)]を使用して流動度を測定することで評価されている。流動度は、通常ddpm(Dial Division per Minute)単位で表され、石炭の特性値としては最高流動度(Maximum Fluidity,MF)を用いている。慣用的にこれを流動度という場合が多く、また、ddpmの常用対数値を使用することもある。通常、コークス製造の際に原料炭として用いられる粘結炭は、Roが0.85以下ではギーセラープラストメータ値が300ddpm以上(logMF=2.5以上)のものである(図3参照)。これに対し、図4に示したように、本発明で改質の対象とするRoが0.85以上の非微粘結炭の最高流動度は、10ddpm以下であり[これは図3に示されている従来の非微粘結炭の範囲とは異なる。図3では3ddpm以下(logMF=0.5以下)を非微粘結炭の範囲としている]、コークス原料として有用な十分に高い石炭化度を有するものでありながら、流動性が極めて悪く、コークス原料としては使用し難いものであり、使用が敬遠されている。このような非微粘結炭を粘結炭相当品に改質できれば、非常に有用である。例えば、10ddpm以下の非微粘結炭の最高流動度を20ddpm以上のもの、さらには40ddpm以上のものに改質できれば、粘結炭に配合してコークス原料として十分に使用可能になる。
上記検討の結果、改質前の最高流動度が2ddpmであった非微粘結炭を、最高流動度が90ddpm程度に改質することができた。特に、改質材の中でもSDAピッチを添加した場合に、その効果が大きいことがわかった。また、活性部分とみなし活性部分との合量が50%以下の高石炭化度の非微粘結炭を用いて同様の検討を行ったところ、非微粘結炭に対して改質材の添加量を多くしたとしても、改質傾向を示すものの、いずれの改質材を用いた場合にも満足できる結果は得られなかった。これらのことは、先ず、改質の対象とする非微粘結炭を選定する場合には、活性部分とみなし活性部分との合量が50%を超えるものとすることが必要であることを示している。本発明者らのさらなる検討によれば、より好ましくは70%以上のもの、特に活性部分の含有量が多いものを使用すれば、より効率的に、かつ、確実に、コークス原料となり得る良質の粘結炭相当品への改質をすることができるとの結論に至った。また、改質材としてSDAピッチを使用すれば、従来の改質材のASPよりも安価であることに加えて、その使用量を大幅に低減できることから、より経済的な改質が可能となるため、工業的により好ましい形態であることがわかった。
上記した本発明に対し、従来技術では、改質対象の非微粘結炭について、元素分析、工業分析などの記述はあるが、それ以外の分析値に関しての規定はない。このことは、従来技術においては、改質対象の非微粘結炭に関し、石炭のマセラル分析の測定によって求められる活性部分の割合が、改質の程度に影響を及ぼすことについての知見さえも、これまでは全く得られていなかったことを意味している。本発明では、従来、全く考えられていなかった改質対象とする非微粘結炭を、そのマセラル分析の測定によって求められる活性成分とみなし活性成分の合計量の割合によって規定し、選定するという手段によって、非微粘結炭を原料炭としてより有用な粘結炭相当品へ改質する効果を、より確実なものとすることができる。
本発明では、改質対象の非微粘結炭の選定を、マセラル分析の測定によって求められる活性成分とみなし活性成分の合計量の割合を規定することで行い、さらに選定した非微粘結炭を改質材と併存させた状態で350℃〜450℃の温度で加熱して改質を行う。前記したように、本発明では、より好ましくは、改質材として石油系の改質材のSDAピッチを使用する。このようにすれば、改質材の使用量を低減した状態で、非微粘結炭をより効率よく、原料炭としてより有用な粘結炭相当品に改質することができる。以下、本発明に好適な石油系の改質材であるSDAピッチについて説明する。
SDAピッチは、石油精製において副生する残渣を含んだ高沸点溜出物として得られるが、軟化点が200℃以下80℃以上、QI成分が10質量%以下、芳香族炭素指数fa値(以下、単にfa値とも呼ぶ)が0.3以上の重質油である。より好ましいものとしては、fa値が0.5以上で、軟化点が190℃以下、さらに好ましくは180℃以下のものが挙げられる。ここで、fa値は、芳香族炭素の数を全炭素の数で除した値である。なお、本発明で使用した重質油の軟化点は、JIS−K2531に準拠した環球法により測定される軟化点であるが、環球法にて測定困難な高軟化点の重質油の軟化点は、JIS−M8801の流動性試験方法(ギーセラープラストメータ法)に準拠した軟化開始温度(ギーセラープラストメータ測定時に指示が動き始めて1.0ddpmに達した時の温度)とした。
本発明者らの検討によれば、上記したように、80℃以上の高い軟化点の重質油は、非微粘結炭との混合で、非微粘結炭を改質する際に有効となる改質成分が多く、これを用いることで、より高い改質効果を得ることができることがわかった。一方、軟化点が80℃よりも低くなると、本発明で改質を行う350℃〜450℃の高温での熱処理時に、重質油に含まれる改質成分が蒸散してしまい十分な改質効果を得にくくなる。具体的な温度は、使用する改質材との兼ね合いで決定すればよい。例えば、改質材として上記したSDAピッチを用いた場合には、400℃程度の温度で、非微粘結炭が原料炭としてより有用な粘結炭相当品に改質される。
石油系の重質油は、軟化点が常温から200℃超まで広い範囲にわたっており、例えば、表1に示すようなものが知られている(松原健次 学位論文「コークス原料用粘結材の評価に関する研究」(1989年,東京大学)より)。本発明においては、表1のうち、特に軟化点が200℃以下80℃以上、QI成分が10質量%以下で、芳香族性(fa値)が0.3以上のものを使用するのが好ましいと判断した。上記の特性を有するものとしては、表1中のSDAピッチとSRCが該当するが、本発明ではSDAピッチを例にとって説明する。
本発明において、改質材として好適な重質油のQI成分を10%質量以下としたのは、下記の理由による。すなわち、QI成分の高い重質油は、アスファルトのような石油精製プロセスからの副産物に加熱などの2次処理を施して製造されたもの(粘結材)であり、この2次処理によって生産コストが増大することに加えて、QI成分そのものに改質能力はなく、QI成分が10質量%を超えると必要な改質効果が小さくなってしまうことによる。なお、軟化点が高く、QI成分の大きい重質油は、通常の工程で得られる生成プロセスの副生物の重質油に、さらに特別に加熱処理等を行なって製造されているため価格が高くなり、改質にかかる費用、ひいてはコークスの価格が高くなるのみならず、製造にかかるエネルギーの使用量が大きくなり、省エネルギーの観点からも好ましくない。
本発明の非微粘結炭の改質方法において、上記したSDAピッチを改質材として使用し、非微粘結炭と併存させて熱処理する場合には、非微粘結炭とSDAピッチの存在比率を下記のようにすることが好ましい。この場合、後述するように非微粘結炭を乾燥させて使用した場合と、湿潤状態で使用した場合とでは厳密には異なるが、例えば、質量基準で、97:3〜60:40、好ましくは96:4〜70:30、より好ましくは、95:5〜90:10の範囲にするとよい。SDAピッチの混合割合が、97:3より少ないと、熱処理時に粘結性の発現が不足することとなり、一方、60:40より多くしても効果の向上は望めず、重質油を多量に使用することにより経済性が損なわれる。先に述べたように、改質材にSDAピッチを使用した場合には、例えば、従来のASPを使用したよりも、少ない添加量で、原料炭としてより有用な粘結炭相当品への改質が可能となるのでより経済的である。
本発明においては、活性成分とみなし活性成分の合計量が50%を超える非微粘結炭と、上記したような石油系等の改質材とを併存させた状態で、350℃〜450℃の温度で熱処理すればよく、その併存のさせ方は特に限定されない。例えば、非微粘結炭と改質材である重質油とを単に同一炉内に交互に入れたような状態でも、軽く混合して混合物とした状態であっても、ニーダー等で混練して混和物(混練物)の状態としてもよいが、より好ましくは、十分に混合或いは混練された状態の混合物或いは混和物とする。本発明の非微粘結炭の改質方法のより好ましい形態としては、5mmφ程度の粒径を有する改質対象の非微粘結炭を、水分2%以下、粒度1mm以下に乾燥・粉砕し、これに、前記したSDAピッチのような改質材を所望の割合で添加して混練して得た混和物を、さらに所定の形状に成型した成型物とすることが挙げられる。成型物をブリケットにする場合、通常の大きさは、長径が40mmであるが、これよりも小さい30mm以下、好ましくは15〜25mm程度とすることが好ましい。また、成型物をペレットにする場合には、原料炭の粒度を0.4mm以下(−0.4mmと表示)とし、その大きさを平均で直径が3mm程度の球状とすることが好ましい。また、これらの成型物の強度は、350〜450℃の反応温度で非微粘結炭の改質が進み、必要な粘結性が生ずるまで、所定の形状を維持できる程度のものとする。これらの成型物は、このままコークス炉の原料炭として使用することができ、その結果、製鉄用に使用可能なより良好なコークスを得ることができる。以下、本発明のコークスの製造方法について説明する。
本発明のコークスの製造方法は、コークス原料の一部に非微粘結炭を改質して得られる粘結炭相当品を用い、常法に従ってコークスを製造するが、粉状の非微粘結炭と、改質材である芳香族性に富む重質油とを併存させた状態で、350℃〜450℃の温度で加熱して改質する改質工程を有し、上記低石炭化度炭が、石炭のマセラル分析の測定方法によって求められる活性成分とみなし活性成分の合計量が50%を超えるものであることを特徴とする。より具体的には、上記改質工程で粘結炭相当品を得、これを原料炭の一部として用い、コークス化が起る1,000℃以上温度で加熱処理することで、良質のコークスを得ることができる。
本発明のコークスの製造方法のより好ましい形態について説明する。先ず、活性成分とみなし活性成分の合計量が50%を超えるもの、より好ましくは70%以上の非微粘結炭と、前述したSDAピッチを添加混合して混練後、混和物を上記したようなブリケット或いはペレットに成型し、該成形物を350℃〜450℃のコークス炉に装入する。この結果、ブリケット或いはペレットは、400℃付近の温度で加熱されて非微粘結炭が粘結炭相当のものに変換される。その後、得られた粘結炭相当品をコークス化が起る温度に加熱すれば、強度の高い良質のコークスとなる。この一連の変化について具体的に説明する。先ず、上記のようにして得られる成型物をコークス炉に装入して、3℃/min(通常のコークス炉内では、3℃/minの昇温速度で加熱される)の昇温速度で常温から加熱すると、350℃〜450℃の温度範囲で、非微粘結炭は前述したSDAピッチと反応し、成型物は、粘結性を有する粘結炭相当品に変換される。これをさらに昇温させると、熱分解によるガスの発生が盛んになり、成型物の内圧が高まることにより成型物は変形や破壊を伴うが、この段階での変形や破壊は全く問題にならない。さらなる昇温に伴って塊状化が進み、最終的に強固なコークスになる。なお、上記した成型物は、通常のコークスの製造に使用されている粉状の粘結炭と混合してコークス炉に装入するものとしてもよい。本発明者らの検討によれば、改質後の非微粘結炭の最高流動度の値にもよるが、コークス製造にあたり、その原料として、粘結炭中に5〜30%程度の割合で改質した非微粘結炭を併用することができる。
本発明のコークスの製造方法は、上記の方法に限定されず、必ずしも成型物としなくとも、非微粘結炭と、SDAピッチ等の改質材等を単に混合し、上記の熱処理を行った場合にも良質なコークスを得ることは可能である。しかし、この場合は、SDAピッチ等の改質材の配合量を多くするなどの対策が必要となる。
本発明のコークスの製造方法を工業化した一例の概略図を、図1に示した。図1を参照して説明すると、先ず、改質対象の非微粘結炭を、乾燥粉砕機を用いて乾燥と粉砕を同時に行う。得られた1mm以下(−1mm)の粉砕品はサイクロンで集められ、スクリュウコンベアにて運ばれ、加熱をしたSDAピッチを添加した後、混練機にて充分に混練し、その後、ブリケット装置で20mm程度の大きさのブリケットを製造する。次に、得られたブリケットをコークス炉に装入し加熱する。そして350℃から450℃に加熱され粘結炭相当品に改質され、更に高温に加熱されコークスとなる。
上記におけるブリケットを成型するペレタイジング法の一例について詳述する(図2参照)。先ず、非微粘結炭を乾燥粉砕して粒度を−0.4mmにしてSDAピッチと混合する。その後、造粒機にて造粒し、冷却乾燥をする。造粒品は篩にて分級された平均径3mmφのものを抜き取り、その後、固結防止のためコークス粉を被覆する。この結果、層状のペレットが得られるが、大きいペレットは粉砕後に、小さいペレットはそのまま循環して再び造粒、乾燥工程を経て、篩に入る。このようにして得られたペレットは、コークス炉に装入されて350℃から450℃に加熱され粘結炭相当品に改質された後、その後、さらに高温で加熱されて最終的にコークスとなる。
従来、原料炭は、湿炭(水分10%程度)の状態でコークス炉に装入されている。これに対して、上記のような方法で成型物とする場合には、非微粘結炭を、水分2%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下にまで乾燥させた状態で炉内に装入することになる。このため、湿炭の有する水分の蒸発熱相当分が省エネルギーとなり、製鉄用コークスに使用される膨大な石炭量から考えれば、上記したような方法を採用することで莫大な省エネルギーが達成できる。また、非微粘結炭とSDAピッチ等の石油系の改質材との反応は発熱であるので、省エネルギーという点では、この分も加味されるので、より省エネルギーになる。なお、図1に例示したように、乾燥工程においてコークス炉からの排ガスを有効利用すれば、省エネルギー効果をさらに向上させることができる。コークス炉からの排ガスは、排出温度が150℃程度であるが、殆どの製鉄所では未利用で煙突から排出させており、これを有効利用することができれば省エネルギー源となる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、%とあるのは質量基準である。
[実施例1〜4及び比較例1〜3]
改質のための高石炭化度炭として、表2に記載のものを用いた。なお、MF(ddpm)値は、ギーセラープラストメータによって測定した最高流動度の値である。
改質のための高石炭化度炭として、表2に記載のものを用いた。なお、MF(ddpm)値は、ギーセラープラストメータによって測定した最高流動度の値である。
改質材には、下記の特性値を有する重質油A(SDAピッチ)を用いた。すなわち、灰分が0%、揮発分が71.0%、炭素量が84.0%、水素量が8.0%、軟化点が138℃、QI成分が0%、芳香族炭素指数を示すfa値が0.643のものを用いた。なお、重質油Aは石油精製工程で得られるライトリフォーメートを溶剤として、アスファルトを溶剤抽出した残渣である。
そして、表2に示した特性の粒度0.5mm以下(−0.5mm)各石炭90%に対して、重質油Aを10%混合配合して150℃にて成型し、20mmφ×5mmの円盤状の成型物20gを得た。次に、炉内の温度を、400℃まで3℃/minの昇温速度で上昇させて成型物を加熱し、この温度で改質処理を行った。得られた改質物について、ギーセラープラストメータによって最高流動度(ddpm)を測定した。その結果を表2中に示したが、高石炭化度の非微粘結炭では、明らかに、活性成分とみなし活性成分との合計量が50%以下の比較例1〜3の場合は、粘結炭への改質効果が劣ったものとなることを確認した。
[実施例5〜8及び比較例4〜6]
実施例1〜4及び比較例1〜3で使用したものと同じ種類の石炭A〜Gと、重質油Aとを用い、下記のようにして改質処理を行った。本実施例の場合は、石炭の粒度を−3mmとしたが、それぞれ石炭の水分量(%)は、Aが9.9%、Bが10.0%、Cが11.0%、Dが12.5%、Eが12.6%、Fが11.7%、Gが12.5%であった。各石炭の配合率を70%とし、重質油Aの配合率を30%として混合配合した以外は実施例1と同様の方法で改質処理した。
実施例1〜4及び比較例1〜3で使用したものと同じ種類の石炭A〜Gと、重質油Aとを用い、下記のようにして改質処理を行った。本実施例の場合は、石炭の粒度を−3mmとしたが、それぞれ石炭の水分量(%)は、Aが9.9%、Bが10.0%、Cが11.0%、Dが12.5%、Eが12.6%、Fが11.7%、Gが12.5%であった。各石炭の配合率を70%とし、重質油Aの配合率を30%として混合配合した以外は実施例1と同様の方法で改質処理した。
得られた各改質物についてギーセラープラストメータによって最高流動度を測定した。その結果、石炭Aは70ddpm(実施例5)、石炭Bは200ddpm(実施例6)、石炭Cは30ddpm(実施例7)、石炭Dは6ddpm(比較例4)、石炭Eは80ddpm(実施例8)、石炭Fは8ddpm(比較例5)、石炭Gは6ddpm(比較例6)、であり、程度の差があるものの、それぞれ改質されていた。しかし、この場合も、活性成分とみなし活性成分との合計量が50%を超える、より好ましくは70%以上である実施例によれば、十分な改質が可能であることがわかった。また、実施例1〜4との比較において、粒度を細かくした状態で改質処理した場合の方が、改質効率が高くなることが確認された。
[実施例9〜12及び比較例7〜9]
実施例1〜4及び比較例1〜3で使用したものと同じ種類の石炭A〜Gと、重質油Aを下記の重質油Bに代えた以外は、実施例1〜4及び比較例1〜3と同様にして改質処理を行った。使用した重質油Bの分析値は以下の通りである。すなわち、重質油Bは、灰分が1.0%、揮発分が40.30%、炭素量が86.12%、水素量が5.9%、軟化点が193℃、QIが14.9%、芳香族炭素指数を示すfa値が0.637である。
実施例1〜4及び比較例1〜3で使用したものと同じ種類の石炭A〜Gと、重質油Aを下記の重質油Bに代えた以外は、実施例1〜4及び比較例1〜3と同様にして改質処理を行った。使用した重質油Bの分析値は以下の通りである。すなわち、重質油Bは、灰分が1.0%、揮発分が40.30%、炭素量が86.12%、水素量が5.9%、軟化点が193℃、QIが14.9%、芳香族炭素指数を示すfa値が0.637である。
上記の処理を行って得られた各改質品について、ギーセラープラストメータによって最高流動度を測定した。その結果、石炭Aは50ddpm(実施例9)、石炭Bは200ddpm(実施例10)、石炭Cは20ddpm(実施例11)、石炭Dは5ddpm(比較例7)、石炭Eは70ddpm(実施例12)、石炭Fは7ddpm(比較例8)、石炭Gは6ddpm(比較例9)、であり、程度の差があるものの、それぞれ改質されていた。しかし、実施例1〜4との比較において、重質油Aを、QI成分が10%以上の重質油Bに代えたことによって、改質効率が低下することが確認された。このことは、改質効率を向上させるためには、実施例1〜4で使用した重質油Aを用いることがより好ましいことを示している。
[実施例13〜16及び比較例10〜12]
実施例5〜8及び比較例4〜6で使用したものと同じ種類の石炭A〜Gと、重質油Aを下記の先の重質油Bに代えた以外は、実施例5〜8及び比較例4〜6と同様にして改質処理を行った。
実施例5〜8及び比較例4〜6で使用したものと同じ種類の石炭A〜Gと、重質油Aを下記の先の重質油Bに代えた以外は、実施例5〜8及び比較例4〜6と同様にして改質処理を行った。
上記の処理を行って得られた各改質品について、ギーセラープラストメータによって最高流動度を測定した。その結果、石炭Aは35ddpm(実施例13)、石炭Bは100ddpm(実施例14)、石炭Cは14ddpm(実施例15)、石炭Dは4ddpm(比較例10)、石炭Eは50ddpm(実施例16)、石炭Fは6ddpm(比較例11)、石炭Gは4ddpm(比較例12)、であり、程度の差があるものの、それぞれ改質されていた。しかし、実施例5〜8との比較において、重質油Aを、QI成分が10%以上の重質油Bに代えたことによって、改質効率が低下することが確認された。
本発明の活用例としては、本発明は、従来、コークス原料として注目されていなかった高石炭化度の非微粘結炭を改質対象としており、これをコークス原料として利用可能にすることが挙げられるが、高石炭化度の非微粘結炭は、将来、充分な供給が見込まれる石炭であり、その意味で改質によって該非微粘結炭が重要な資源となり得るものであり、その産業上における意味は極めて大きい。
Claims (5)
- 高い石炭化度を示すが流動性の低い非微粘結炭を粘結炭相当品に変換させるための改質方法であって、粉状の非微粘結炭と、芳香族性に富む重質油とを混合或いは混練して得た、これらを主とする混合物或いは混和物を
350℃〜450℃の温度で加熱して改質する改質工程を少なくとも有し、改質対象とする非微粘結炭が、石炭化度を示す平均反射率(Ro)が0.85から1.6で、流動性を示す最高流動度(MF)が10ddpm以下であって、かつ、石炭のマセラル分析の測定方法によって求められる、活性成分と、半不活性成分のうちの活性成分とみなされる成分との合計の比率が50%を超えるものであることを特徴とする非微粘結炭の改質方法。 - 前記重質油として、軟化点が200℃以下80℃以上、キノリン不溶分含有量が10質量%以下、芳香族炭素指数fa値が0.3以上のものを用いる請求項1に記載の非微粘結炭の改質方法。
- 前記混合物或いは混和物における前記非微粘結炭と前記重質油との割合が、質量基準で97:3〜60:40である請求項1又は2に記載の非微粘結炭の改質方法。
- 前記非微粘結炭が、水分2質量%以下、粒度1mm以下に乾燥・粉砕されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の非微粘結炭の改質方法。
- コークス原料の一部として、非微粘結炭を改質して得られる粘結炭相当品を用いるコークスの製造方法であって、非微粘結炭を改質して得られる粘結炭相当品に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非微粘結炭の改質方法によって改質されたものを使用することを特徴とするコークスの製造方法。
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JP2009244285A JP2011089051A (ja) | 2009-10-23 | 2009-10-23 | 非微粘結炭の改質方法及びコークスの製造方法 |
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JP2013177578A (ja) * | 2012-02-08 | 2013-09-09 | Mitsubishi Chemicals Corp | コークス製造用成型炭の製造方法及びコークスの製造方法 |
JP2015174989A (ja) * | 2014-03-18 | 2015-10-05 | 新日鐵住金株式会社 | 高炉用コークスの製造方法 |
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