JP2011088964A - 重質油の改質装置及び重質油の改質方法 - Google Patents

重質油の改質装置及び重質油の改質方法 Download PDF

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Abstract

【課題】超臨界水を利用して重質油を改質するにあたって、重質油の熱分解の進行度を制御することが可能な重質油の改質装置及び改質方法を提供する。
【解決手段】反応器1は水の臨界点以上の温度、圧力に維持され、重質油と超臨界水とを接触させて、当該重質油の熱分解を進行させつつ、この重質油が熱分解して得られた重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水とからなる第1の相と、前記超臨界水と、この超臨界水中に抽出された軽質油分とからなる第2の相とに分離し、界面検出部75は、反応器における第1の相と第2の相との間の界面の高さ位置を検出する。制御部7は前記界面の高さ位置から求めた第1の相の体積に基づいて重質油分及び当該重質油分中に溶解した超臨界水の混合流体の滞留時間が予め設定した第1の滞留時間となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、超臨界水を利用して重質油を改質する技術に関する。
今後、中国やインドなどの発展途上国を中心に原油需要の高まりが予想される中、従来から利用されてきた軽質原油の生産はピークを迎えつつあり、これまではあまり利用されていなかった重質原油や超重質原油を利用する必要性が高まってきている。超重質油の中でも、カナダのオイルサンドビチュメンやベネズエラのオリノコタールは、すでに経済的な生産手法も確立され、生産量は増加しつつある。
これらの超重質原油は密度や粘度が非常に高いため、生産地の井戸から消費地の製油所まで輸送するために、そのままパイプラインなどを用いて輸送することができない。そのため、井戸元では、希釈剤を混合して粘度を低下させる希釈法と、すぐそばにアップグレーダーと呼ばれる熱分解や水素化処理を行うプラントを建設して軽質な合成原油を製造する改質法との2つの手法が選択されている。
しかしながら、希釈法ではコンデンセートなどの希釈剤を十分に確保しなければならない問題や、希釈する分だけ輸送量が増えるため輸送コストが増大するといった問題が発生する。また、改質法においても、井戸元に製油所並の大規模なプラントを必要とするため、大規模油田の近隣でしか経済性が成り立たないという問題や、コークスや硫黄などの副生成物処理の問題、改質に必要となる水素を確保しなければならないという問題が発生する。
また既存の重質油のアップグレーディング技術として、ディレードコーカーやフルードコーカーなどの熱分解プロセスやH−Oil、LC−Finingなどの水素化分解プロセスがある。熱分解プロセスは重質油を熱分解し、分解油とガス、コークスを製造する技術である。ここで大量に生成するコークスや硫黄などの副生成物は、用途がない地域では野積みにせざるを得ない場合があるなどの問題がある。
一方、水素化分解プロセスは、高温高圧水素条件下で触媒を用いて重質油を分解する技術である。ここでは大量の水素が必要なことからナフサや天然ガスが必要となり、その供給が問題となる。さらに、触媒の供給や使用済み触媒の廃棄なども考慮しなければならない。
以上のように、既存の技術では副生成物の処理、水素の製造、触媒の供給、廃触媒の処理が問題となる。
これらの問題に対し、本件発明者らは超臨界水を利用して重質原油や超重質原油(以下、重質油という)を改質し、シンプルな改質スキームで、希釈剤を必要とせずにパイプライン輸送可能な合成原油を製造する技術に着目した。この技術では、反応器内部において、重質油と超臨界水とが接触することによる重質油の熱分解反応と、熱分解によって生成した軽質油分の超臨界水側への抽出とを並行して進行させ、抽出された軽質油分を分離回収することで、パイプライン輸送が可能な合成原油を得ることができる。また、超臨界水に抽出されなかった重質油分は残渣油としてボイラー燃料などの用途で使用することができる。
超臨界水を利用して重質油の改質を行う技術として、例えば特許文献1には反応器の上部から鉛直下向きに重質油を供給し、下部から超臨界水(または亜臨界水)を供給して反応器内部で接触、改質することにより、超臨界水に溶解した軽質油分と、これに溶解しない重質油分とに分離する技術が記載されている。
また特許文献2には、縦型反応器内の下部で重質油を超臨界水と共に加熱・混合して原料の一部を軽質成分に分解して気化させる一次熱分解部と、同反応器内上下方向の中央部から上部にかけて、気化した軽質成分の一部をさらに高温にて改質成分に分解する二次分解部とを有する改質装置が提案されている。一次熱分解部には反応器内に熱分解容器を設けて、その内部で重質油を反応させる一方、熱分解せずにこの熱分解容器からオーバーフローした液体は残油として反応器の下部から排出される。このほか特許文献3には、反応器内で重質油を超臨界水と反応させて改質油のエマルションと共にコークスを生成し、改質油のエマルションを連続的に抜き出す一方、コークスを間欠的に抜き出す技術が開示されている。
特許4171062号公報:請求項1、段落0030〜段落0033、図1 特開2008−208170号公報:請求項1、段落0012〜段落0017、図1 特開2007−51224号公報:請求項1、段落0024〜段落0030、図3
上述の各先行技術のうち特許文献1に記載の技術は、重質油を超臨界水と接触させて軽質油分を超臨界水側に溶解させることにより、重質油に含まれているバナジウムなどの重金属を除去し、高温腐食などを引き起こしにくいガスタービン燃料を得ている。このとき、重質油に含まれていた重金属は、超臨界水に溶解しない重質油分側に濃縮され、この重質油分はボイラーなどの燃料として使用される。
特に特許文献1の段落0012には、重質油分を超臨界水と接触させる際に改質が進行するものの、当該技術の主眼は軽質油分を超臨界水側に溶解させることであり、これに溶解しない重質分はさらに改質することなく沈降分離される旨が明記されている。従って、当該特許文献1には超臨界水に溶解しなかった重質油分を改質して密度や粘度を低減して合成原油を製造するための技術は開示されていない。
また特許文献2に記載の技術によれば、一次熱分解部を380℃〜450℃に加熱し、その上部側の二次熱分解部については、一次熱分解部よりも高温の450℃〜550℃に加熱することにより、超臨界水と接触させた重質油を軽質油分に分解し、さらに改質成分へと2段階で分解している。しかしながら当該技術のように軽質成分の分解を積極的に進行させると、過分解によるガス生成量の増大(液収率の低下)や、軽質成分中オレフィン濃度の上昇を引き起こしてしまうため、合成原油の製造技術に適した技術とはいえない。
ここで特許文献2の段落0018には、一次熱分解部に配置された熱分解容器内における重質油の反応時間は重質油の供給量や熱分解容器の容積を変更することにより調整され、また二次熱分解部における反応時間は、超臨界水の流量を変更したり、二次熱分解部に充填物を詰めてその内容積を変えたりすることにより調整される旨が記載されている。
ところが特許文献2の明細書中には、例えば一次熱分解部と二次熱分解部との間の空間や一次熱分解部の反応器内に配置された熱分解容器と反応器との隙間、また熱分解容からオーバーフローした液体が溜まる反応器底部の温度条件などが開示されていない。しかしながら例えば380℃〜550℃にもなる空間と接するこれらの空間においても当該空間を流れる軽質成分や液体の分解反応、重合反応が進行するものと考えられ、上述の手法では反応器内で進行する反応を十分に制御することは困難である。
なお特許文献3に記載の技術は、積極的にコークスを生成する条件を選択して運転しており、コークスの処理が問題となる。またコークスを生成するほどの過酷な条件下では軽質油分の過分解によるガス生成量の増大(液収率の低下)や、改質油中オレフィン濃度の増大が懸念される。
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、超臨界水を利用して重質油を改質するにあたって、重質油の熱分解の進行度を制御することが可能な重質油の改質装置及び改質方法を提供することにある。
本発明に係る重質油の改質装置は、水の臨界点以上の温度、圧力に維持され、重質油と超臨界水とを接触させて、当該重質油の熱分解を進行させつつ、この重質油が熱分解して得られた重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水とからなる第1の相と、前記超臨界水と、この超臨界水中に抽出された軽質油分とからなる第2の相とに分離するための反応器と、
この反応器に重質油を供給する重質油供給部と、
前記反応器に超臨界水を供給する超臨界水供給部と、
前記第1の相から重質油分と超臨界水との混合流体を抜き出す第1の抜き出し部と、
前記第2の相から超臨界水と軽質油分との混合流体を抜き出す第2の抜き出し部と、
前記反応器における第1の相と第2の相との間の界面の高さ位置を検出する界面検出部と、
この界面検出部で検出された界面の高さ位置に基づいて前記第1の相の体積を求め、この第1の相の体積に基づいて重質油分及び当該重質油分中に溶解した超臨界水の混合流体の滞留時間が予め設定した第1の滞留時間となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
また他の発明に係る重質油の改質装置は水の臨界点以上の温度、圧力に維持され、重質油と超臨界水とを接触させて、当該重質油の熱分解を進行させつつ、この重質油が熱分解して得られた重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水とからなる第1の相と、前記超臨界水と、この超臨界水中に抽出された軽質油分とからなる第2の相とに分離するための反応器と、
この反応器に重質油を供給する重質油供給部と、
前記反応器に超臨界水を供給する超臨界水供給部と、
前記第1の相から重質油分と超臨界水との混合流体を抜き出す第1の抜き出し部と、
前記第2の相から超臨界水と軽質油分との混合流体を抜き出す第2の抜き出し部と、
前記重質油の供給量に基づいて、重質油分及び当該重質油分中に溶解した超臨界水の混合流体の滞留時間が予め設定した第1の滞留時間となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
前記の重質油の改質装置は、以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記重質油分におけるコークの形成を抑えるため、前記制御部は、前記第1の滞留時間が3分以上、95分以下となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御すること。
(b)前記第1の滞留時間は、コークスの生成量が前記重質油分の0重量%以上、20重量%以下となる範囲内で前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であること。
(c)前記第1の滞留時間は、350℃における前記重質油分の動粘度が3.0×10−5/s以下となるまで前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であること。
(d)前記制御部は、前記界面検出部で検出された界面の高さ位置に基づいて前記第2の相の体積を求め、この第2の相の体積に基づいて超臨界水及びこの超臨界水中に抽出された軽質油分の混合流体の滞留時間が予め設定した第2の滞留時間となるように超臨界水の供給量を制御することこと。
(e)前記制御部は、前記重質油の供給量に基づいて、超臨界水及びこの超臨界水中に抽出された軽質油分の混合流体の滞留時間が予め設定した第2の滞留時間となるように超臨界水の供給量を制御すること。
(f)前記軽質油分の過分解を抑えるため、前記制御部は、前記第2の滞留時間が1分以上、25分以下となるように超臨界水の供給量を制御すること。
(g)前記第2の滞留時間は、過分解によるガスの生成量が前記重質油の0重量%以上、5重量%以下となる範囲内で当該重質油の熱分解を進行させる滞留時間であること。
(h)前記第2の滞留時間は、10℃における前記軽質油分の動粘度が5.0×10−3/s以下となるまで前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であること。
(i)前記重質油は、オイルサンドビチュメン、オリノコタール、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油からなる重質油群から選ばれること。
さらに他の発明に係る重質油の改質方法は、反応器に重質油を供給する工程と、
前記反応器に超臨界水を供給する工程と、
前記反応器内を水の臨界点以上の温度、圧力に維持し、重質油と超臨界水とを接触させて、当該重質油の熱分解を進行させつつ、この重質油が熱分解して得られた重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水とからなる第1の相と、前記超臨界水と、この超臨界水中に抽出された軽質油分とからなる第2の相とに分離する工程と、
前記第1の相から重質油分と超臨界水との混合流体を抜き出す工程と、
前記第2の相から超臨界水と軽質油分との混合流体を抜き出す工程と、
前記反応器における第1の相と第2の相との間の界面の高さ位置を検出する工程と、
この工程で検出された界面の高さ位置に基づいて前記第1の相の体積を求め、この第1の相の体積に基づいて重質油分及び当該重質油分中に溶解した超臨界水の混合流体の滞留時間が予め設定した第1の滞留時間となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御する工程と、を含むことを特徴とする。
また更に他の発明に係る重質油の改質方法は、反応器に重質油を供給する工程と、
前記反応器に超臨界水を供給する工程と、
前記反応器内を水の臨界点以上の温度、圧力に維持し、重質油と超臨界水とを接触させて、当該重質油の熱分解を進行させつつ、この重質油が熱分解して得られた重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水とからなる第1の相と、前記超臨界水と、この超臨界水中に抽出された軽質油分とからなる第2の相とに分離する工程と、
前記第1の相から重質油分と超臨界水との混合流体を抜き出す工程と、
前記第2の相から超臨界水と軽質油分との混合流体を抜き出す工程と、
前記重質油の供給量に基づいて、重質油分及び当該重質油分中に溶解した超臨界水の混合流体の滞留時間が予め設定した第1の滞留時間となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御する工程と、を含むことを特徴とする。
さらに前記重質油の改質方法は、以下の特徴を備えてもよい。
(j)前記重質油分におけるコークの形成を抑えるため、前記第1の滞留時間を3分以上、95分以下の範囲内に調節すること。
(k)前記第1の滞留時間は、コークスの生成量が前記重質油分の0重量%以上、20重量%以下となる範囲内で前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であること。
(l)前記第1の滞留時間は、350℃における前記重質油分の動粘度が3.0×10−5/s以下となるまで前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であることを特徴とする。
(m)前記第1の相と第2の相との間の界面の高さ位置を検出する工程にて検出された界面の高さ位置に基づいて前記第2の相の体積を求め、この第2の相における超臨界水及び超臨界水中に抽出された軽質油分の混合流体の滞留時間が予め設定した第2の滞留時間となるように超臨界水の供給量を制御する工程を含むこと。
(n)前記重質油の供給量に基づいて、超臨界水及びこの超臨界水中に抽出された軽質油分の混合流体の滞留時間が予め設定した第2の滞留時間となるように超臨界水の供給量を制御する工程を含むこと。
(o)前記軽質油分の過分解を抑えるため、前記第2の滞留時間を1分以上、25分以下の範囲内に調節すること。
(p)前記第2の滞留時間は、過分解によるガスの生成量が前記重質油の0重量%以上、5重量%以下となる範囲内で当該重質油の熱分解を進行させる滞留時間であること.
(q)前記第2の滞留時間は、10℃における前記軽質油分の動粘度が5.0×10−3/s以下となるまで前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であること。
(r)前記第1の相から抜き出した重質油分と超臨界水との混合流体を降温、降圧して、重質油分と水とに分離する工程を含むこと。
(s)前記第1の相から抜き出した重質油分と超臨界水との混合流体を降温して、重質油分中に水分を含んだ状態の燃料油を得る工程を含むこと。
(t)前記第1の相から抜き出した重質油分と超臨界水との混合流体は、重質油分の3重量%以上、100重量%以下の範囲の水分を含んでいること。
(u)前記第2の相から抜き出した超臨界水と軽質油分との混合流体を降温、降圧して、軽質油分と水とに分離する工程を含むこと。
(v)前記反応器に供給される超臨界水として再利用するために、前記重質油分または軽質油分から分離された水を回収する工程を含むこと。
(w)前記第1の相から抜き出した重質油分と超臨界水との混合流体を降温、降圧して、重質油分と水とに分離する工程と、
前記第2の相から抜き出した超臨界水と軽質油分との混合流体を降温、降圧して、軽質油分と水とに分離する工程と、
水と分離された後の重質油分と軽質油分とを混合する工程と、を含むこと。
(x)前記重質油は、オイルサンドビチュメン、オリノコタール、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油からなる重質油群から選ばれること。
本発明によれば、重質油と超臨界水とを反応器内で接触させることによりこれらの流体を第1の相(重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水との混合流体からなる相)と第2の相(前記超臨界水とこの超臨界水中に抽出された軽質油分との混合流体からなる相)との2つの相に分離させ、第1の相を構成する混合流体の当該第1の相内における滞留時間が予め設定した第1の滞留時間となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を調節する。これにより、当該第1の相内で進行する重質油分の熱分解の進行度合いを制御することが可能となり、例えば重質油分からのコークスの生成が抑えられる範囲で最大限熱分解を進行させたり、重質油分の動粘度が所望の範囲となるように熱分解を進行させたりするなど、最適な条件で改質装置を稼動させることが可能となる。
本実施の形態の重質油の改質装置に係るプロセスフロー図である。 前記改質装置に設けられている反応器の構成を示す説明図である。 実施例に係る実験装置のプロセスフロー図である。 反応器内に形成される第1の相と第2の相との界面を示す説明図である。
はじめに本実施の形態に係る重質油の改質装置の全体構成について図1のプロセスフロー図を参照しながら説明する。本実施の形態に係る改質装置は、例えばオイルサンドビチュメンやオリノコタールなどの高密度、高粘度の原油が生産される井戸元などに設置され、当該重質油を低密度、低粘度の合成原油に改質する役割を果たす。
図1に示すように改質装置は、重質油と超臨界水とを接触させて当該重質油を改質し、重質油分と軽質油分とに分離する反応器1と、反応器1から流出した軽質油分と超臨界水との混合流体を例えば反応器1内の圧力と同程度の圧力条件下で油水分離する高圧セパレーター2と、この高圧セパレーター2から流出した軽質油と水との混合流体を高圧セパレーター2よりも低い圧力条件下で油水分離する低圧セパレーター3と、反応器1から流出した重質油分と超臨界水との混合流体を反応器1よりも低い圧力条件下で油水分離するフラッシュドラム4と、油水分離後の水をリサイクルするためのリサイクル水タンク5と、を備えている。
反応器1は、昇温、昇圧された重質油と超臨界水とを例えば向流接触させることにより当該重質油を熱分解し。これにより得られた軽質油分と重質油分とを別々に分離して抜き出す役割を果たす。反応器1は、内部が空洞で例えば塔形状に形成された耐圧容器であり、当該反応容器の例えば上部側側壁部には、重質油供給源11より重質油を受け入れるための重質油供給ライン110が接続されている。重質油供給源11は例えば重質油を貯蔵するタンクなどから構成される。
重質油供給ライン110には重質油供給源11から受け入れた重質油を水の臨界圧力である22.1MPa以上の例えば25MPa〜30MPaに昇圧して反応器1へ向けて送り出す重質油供給ポンプ111と、当該重質油の供給量を調整する流量調節弁112と、反応器1に供給される重質油を例えば300℃〜450℃に加熱するための、例えば加熱炉などからなる加熱器113とが介設されている。ここで重質油は重質油供給ライン110や加熱器113内における重縮合を防ぐため、反応器1内の温度(例えば374℃〜500℃)よりも低い温度で供給される。重質油供給ライン110、重質油供給ポンプ111、流量調節弁112、加熱器113などは本実施の形態の重質油供給部に相当する。
一方、反応容器の例えば下部側側壁部には、貯水タンクなどからなる水供給源12より受け入れた水を超臨界状態にして反応器1へ供給するための超臨界水供給ライン120が接続されている。超臨界水供給ライン120には水供給源12から受け入れた水をその臨界圧力(22.1MPa)以上の例えば25MPa〜30MPaに昇圧して反応器1へ向けて送り出す超臨界水供給ポンプ121と、超臨界水の供給量を調整する流量調節弁122と、反応器1に供給される超臨界水をその臨界温度(374℃)以上の例えば450℃〜600℃に加熱するための、例えば加熱炉などからなる加熱器123とが介設されている。ここで既述のように重質油供給ライン110から供給される重質油は重縮合を防ぐ目的で反応器1内の温度よりも低い温度で供給されることから、超臨界水供給ライン120から供給される超臨界水を反応器1内の温度よりも高い温度で供給することにより、重質油の熱分解反応に必要な熱を供給している。超臨界水供給ライン120、超臨界水供給ポンプ121、流量調節弁122、加熱器123などは本実施の形態の超臨界水供給部に相当する。
また反応器1の例えば塔頂部には、重質油が反応器1内で分解して得られた軽質油分がこの超臨界水中に抽出されて形成された混合流体を抜き出すための軽質油分抜出ライン130が接続されている。軽質油分抜出ライン130には軽質油分抜出ライン130内を流れる混合流体を、水の臨界圧力より低い例えば200℃〜374℃の温度に冷却するための熱交換器などからなる冷却器132と、反応器1内の圧力を例えば25MPa〜30MPaに調節するための圧力調整弁131とが介設されている。軽質油分抜出ライン130、圧力調整弁131、冷却器132は本実施の形態の第2の抜き出し部に相当する。
この軽質油分抜出ライン130の下流には、反応器1内の圧力とほぼ同等の圧力下で、冷却器132にて冷却された混合流体を軽質油分(但し当該軽質油分中にも水分が含まれている)と水とに分離するための高圧セパレーター2が設けられている。高圧セパレーター2の上部側には軽質油分を抜き出して低圧セパレーター3へと送り出す軽質油分ライン210が接続されており、当該軽質油分ライン210には軽質油分を40℃〜100℃程度の温度に冷却するための熱交換器などからなる冷却器212と、このライン210内を流れる当該軽質油分の圧力を例えば常圧よりも高い0.2MPa〜1.0MPa程度まで減圧するための減圧弁211と、が介設されている。
一方、高圧セパレーター2の底部側には25MPa〜30MPa程度の圧力、200℃〜374℃程度の温度条件下で軽質油分から分離した水を抜き出すための高圧分離水ライン220が設けられている。高圧分離水ライン220は後述のリサイクル水ライン510に接続されていて、高圧セパレーター2からの分離水を再度反応器1へと供給することができるようになっている。高圧分離水ライン220に介設された221は高圧セパレーター2からの分離水を送液するための高圧分離水リサイクルポンプである。
次に軽質油分ライン210の下流側に設けられた低圧セパレーター3について説明すると、低圧セパレーター3は、高圧セパレーター2から流出した水分を含む軽質油分について、0.2MPa〜1.0MPa程度の圧力、40℃〜100℃程度の温度条件下で、再度、軽質油分と水とに分離する役割を果たす。320は水と分離された軽質油分を合成原油として合成原油タンク62へ払い出すための合成原油ラインである。
一方、低圧セパレーター3の例えば底部には、低圧分離水リサイクルライン330が接続されており、低圧分離水リサイクルライン330は軽質油分から分離された水を抜き出し、超臨界水としてリサイクルするためのリサイクル水タンク5へと送液する役割を果たしている。また低圧分離水リサイクルライン330からはリサイクルされる水の一部を排水処理設備63へ向けて抜き出す排水ライン340が分岐しており、排水処理設備63への送液量を増減することにより、改質装置内を循環するリサイクル水中の油分の濃度や塩分の濃度を所定の値以下に調節することができるようになっている。図中310は、軽質油分から揮発したがガスを排ガス処理設備61へ送るための排ガスラインである。
以上に説明した反応器1の塔頂系のプロセスフローに対し、反応器1の例えば塔底部には、反応器1内で分解させた重質油のうち、超臨界水中に抽出されなかった重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水との混合流体を抜き出すための重質油分抜出ライン140が接続されている。重質油分抜出ライン140には、当該ライン140内を流れる混合流体を200℃〜350℃程度まで冷却するための熱交換器などからなる冷却器141と、反応器1の塔底部からの混合流体の抜き出し量を調節すると共に、重質油分抜出ライン140内を流れる混合流体の圧力を例えば常圧よりも高い0.2MPa〜1.0MPa程度まで減圧するための流量調節弁142とが介設されている。重質油分抜出ライン140、冷却器141、流量調節弁142は本実施の形態の第1の抜き出し部に相当する。
流量調節弁142はフラッシュドラム4に接続されており、フラッシュドラム4は0.2MPa〜1.0MPa程度の圧力条件、200℃〜350℃程度の温度条件下で、重質油分とこの重質油分中に溶解した水とを分離する役割を果たす。フラッシュドラム4に設けられた410は、フラッシュドラム4内で分離した水を低圧分離水リサイクルライン330に向けて抜き出して水のリサイクルを行うためのドラム分離水ライン、420は水と分離された重質油分を例えばボイラー燃焼用の残渣油として残渣油タンク64に抜き出すための残渣油ラインである。
前記残渣油ライン420にはフラッシュドラム4から抜き出された重質油分の全量または一部を、低圧セパレーター3側から抜き出された軽質油分と混合して合成原油タンク62へと送り出すための合成原油混合ライン430が分岐して設けられている。軽質油分に重質油分を混合することにより、ボイラー燃料と比べて付加価値の高い合成原油の収率を向上させることができる。ここで軽質油分に対する重質油分の混合量は、混合後の合成原油の相溶性が確保される範囲、言い替えると、混合後の合成原油が重軽質油分に再分離しない範囲の混合量に調整されるようになっている。
合成原油の相溶性を判断する指標としては、例えば以下の(1)式に示すCII (Colloidal Instability Index)が挙げられる。CIIは、重軽質油分の混合後の合成原油について、例えばSARA分析を実施し、合成原油に含まれる飽和分(Saturated hydrocarbons)、芳香族分(Aromatic hydrocarbons)、レジン分(Resins)、アスファルテン分(Asphaltenes)の量を測定し、(1)式からCIIを求めてその値が0.5以下となるように重質油分の混合量が調整される。
CII={(飽和分+アスファルテン分)/(芳香族分+レジン分)}≦0.5
…(1)
次に超臨界水用の水のリサイクル系統について説明すると、低圧分離水リサイクルライン330の下流に設けられたリサイクル水タンク5は、低圧セパレーター3にて軽質油分から分離された水、及びフラッシュドラム4にて重質油分から分離された水を受け入れ、リサイクル水タンク5内に集められた水を超臨界水供給ライン120に再供給する役割を果たす。ここで510はリサイクル水タンク5と超臨界水供給ライン120とを接続するリサイクル水ライン、511はリサイクル水タンク5から払い出された水を臨界圧力(22.1MPa)以上の例えば22.1MPa〜40MPaに昇圧して超臨界水供給ライン120へ向けて送り出すためのリサイクル水ポンプである。また既述のようにリサイクル水ライン510には高圧セパレーター2にて分離された水をリサイクルするための高圧分離水ライン220が合流している。超臨界水として用いる水をリサイクル利用することによって新水の使用量を削減し、重質油の改質に必要な水の確保を容易にするとともに、環境負荷を小さくすることが可能となる。
また図2に示すように、改質装置は制御部7を備えている。制御部7は例えばCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には当該改質装置の作用、即ち、重質油と超臨界水とを反応器1内で接触させて熱分解を進行させ、重質油分と軽質油分とに分離した後、各油分の水分を除去し、軽質油分単独、または軽質油分と重質油分とが混合された合成原油、及び重質油分からなる残渣油を得る動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
以上にプロセスフロー全体の概要を説明した本実施の形態に係る改質装置は、(1)重質油分におけるコークス発生の抑制しつつ、重質油分の動粘度を低下させる制御と、(2)軽質油分の過分解に伴うガス生成を抑制しつつ軽質油分の動粘度を低下させる制御とを、各々独立した操作変数を用いて調整することが可能な構成を備えている。以下、その詳細な構成について説明する。
図2は既述の反応器1の内部構造及び当該反応器1に設けられた制御系統の構成を模式的に示している。重質油供給ライン110を通って昇温、加熱された重質油は反応器1の上部側から供給される一方、超臨界水供給ライン120を通って昇温、加熱された超臨界水は反応器1の底部側から供給される。そして、両流体が接触すると超臨界水により持ち込まれた熱により重質油の熱分解が進行して重質油全体が軽質化することになる。ここで図2に示した101は重質油の供給ノズル、102は超臨界水の供給ノズルである。
またこれらの流体を接触させると、まず重質油に予め含まれている軽質油分が超臨界水へ抽出され、超臨界水中に抽出されずに残った重質油分が熱分解し、この熱分解により生成した軽質油分が超臨界水中に抽出さることにより、超臨界水と軽質油分とからなる連続相(以下、第2の相という)を形成し、また超臨界水中に抽出されなかった重質油分が連続相(以下、第1の相という)を形成して2つの相に分離する。重質油分は超臨界水と軽質油分との混合流体よりも比重が大きいことから、第1の相は反応器1の下部側に形成され、第2の相は反応器1の上部側に形成されることになる。
また実際には、重質油の種類や反応器1の温度、圧力条件にもよるが、第1の相を構成する重質油分中には、重質油分(水分を含んでいないドライ状態基準)の3重量%〜100重量%程度の超臨界水が溶解する。この観点においては、第1の相は重質油分と超臨界水との混合流体から構成されているといえる。このように重質油分中に超臨界水が溶解することによって、熱分解が進行する重質油分を構成する例えば多環芳香族の分子間に水分子が入り込んで、多環芳香族同士の重縮合によるアスファルテンの生成、アスファルテン同士の重縮合によるコークスの生成を抑制するケージ効果を発揮させることができる。
本実施の形態に係る反応器1では、下部側の第1の相内に超臨界水供給ノズル102から超臨界水が供給され、また上部側の第2の相内に重質油供給ノズル101から重質油が供給されることになる。このとき軽質油分の超臨界水側への抽出、超臨界水の重質油分側への溶解は、第1の相を上昇する超臨界水(分散相)との界面、第2の相を沈降する重質油(分散相)との界面、及び第1の相と第2の相との接触界面にて進行することになる。
一方で、本発明者らは第1の相を上昇する超臨界水の上昇速度、第2の相を沈降する重質油の沈降速度は非常に速く、各超臨界水及び重質油は例えば数秒〜数十秒程度で第1、第2の相内を通過してしまうことを把握している。このため重質油の熱分解は、実際には第1の相内にて重質油分の熱分解が進行し、その結果生成した軽質油分が第2の相側に抽出されると共に、第2の相内にて軽質油分及び第1の相側から供給された軽質油分のさらなる熱分解が進行することになる。
そして第1の相を構成する混合流体が重質油分抜出ライン140より抜き出されて冷却器141で冷却されることにより重質油分の熱分解が停止される一方、第2の相を構成する混合流体が軽質油分抜出ライン130より抜き出されて冷却器132で冷却されることにより軽質油分の熱分解が停止されることになる。
以上に説明した熱分解機構によれば、重質油分の熱分解の進行度合いは、第1の相内における重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水との混合流体(以下、第1の混合流体という)の滞留時間にて制御することができる。重質油は熱分解を進行させるほど軽質油分の収率が増え、また重質油分中に超臨界水を溶解させてケージ効果が発揮される条件下で重質油分の分解を適度に進行させることにより、重質油分の粘度が低下してボイラー燃料などとして使用する際や軽質油分と混合された後の合成原油のハンドリングが容易になる。一方で、既述のケージ効果が相殺される程度まで熱分解が進行してしまうと重質油分中にコークスが生成される。
そこで本実施の形態に係る改質装置においては残渣油となる重質油分の例えば350℃における動粘度を3.0×10−5/s以下(30cSt以下)とし、且つ、コークスの生成が抑制される程度に重質油分の熱分解を進行させるように第1の相内における第1の混合流体の滞留時間を調節する機構を備えている。
また軽質油分の熱分解の進行度合いについては、第2の相内における超臨界水とこの超臨界水中に抽出された軽質油分との混合流体(以下、第2の混合流体という)の滞留時間にて調節することができる。軽質油分は熱分解を進行させるほど動粘度が低下して、例えば寒冷地などにおいても特別な加熱設備を設けることなく合成原油の輸送が可能になる。一方で、軽質油分が過分解すると軽質油分からのガス生成量が増大して、合成原油の収率が低下してしまう。
そこで本改質装置においては軽質油分単独、または重質油分と混合後の合成原油の例えば10℃における動粘度を5.0×10−3/s以下(5000cSt以下)とし、且つ、ガスの生成が抑制される程度に軽質油分の熱分解を進行させるように第2の相内における第2の混合流体の滞留時間を調節する機構を備えている。ここで重質油分と混合後の合成原油の動粘度を5.0×10−3/s以下(5000cSt以下)とするためには、比較的動粘度の大きな重質油分と混合される軽質油分単独の動粘度はさらに低い値となるように第2の滞留時間が調整される。
例えば第1の相内における第1混合流体の滞留時間をθpitch、第2の相内における第2混合流体の滞留時間をθLtとし、重質油供給ライン110からの重質油の単位時間当たりの供給量をFOin、超臨界水供給ライン120からの超臨界水の単位時間当たりの供給量をFWin、重質油分抜出ライン140からの第1の混合流体の単位時間当たりの抜き出し量をFW1+Pitch、軽質油分抜出ライン130からの第2の混合流体の単位時間当たりの抜き出し量をFW2+Ltと表すと、反応器1への流体の供給、抜き出しバランスは、以下の(2)式で表される。
Oin+FWin=FW1+Pitch+FW2+Lt…(2)
また、第2の相に抽出される軽質油分の割合は、重質油の性状や反応器1の温度、圧力条件、重質油分の熱分解の進行度合いによっても変化するが、本例においては、例えば沸点が540℃以下のVGO(Vacuumed Gas Oil:減圧軽油)より軽質な留分が軽質油分として超臨界水側に抽出され、540℃よりも沸点の高いVR(Vacuumed Residue)に相当する留分が超臨界水中に抽出されない重質油分として抜き出される重質油を用いる場合について考える。ここで本実施の形態においては、θpitchを例えば目標値の±1分程度の変動範囲内で制御し、熱分解の進行度を一定の範囲内に制御することによりVGOの得率(即ちVRの得率)は、ほぼ一定として取り扱えるものとする。
また、反応器1に供給される重質油のうち、重質油分として抜き出される流量をFPitch、軽質油分として抜き出される流量をFLtとし、同じく反応器1に供給される超臨界水のうち重質油分に溶解して第1の相から抜き出される流量をFw1、軽質油分を抽出して第2の相から抜き出される流量をFw2とすると、第1の流体、第2の流体の抜き出し量は以下の(3)式、(4)式で表される。
W1+Pitch=FW1+FPitch…(3)
W2+Lt=FW2+FLt…(4)
そして、反応器1内における第1の相の体積をV、第2の相の体積をVと表すとき、第1の相内における第1混合流体の滞留時間θpitch、第2の相内における第2混合流体の滞留時間θLtは以下の(5)式、(6)式で表される。
θpitch=V/FW1+Pitch
=V/(FW1+FPitch)…(5)
θLt=V/FW2+Lt
=V/(FW2+FLt)…(6)
(5)式によれば、第1の相の体積Vが一定の場合、重質油分抜出ライン140からの第1の混合流体の抜き出し量FW1+Pitchを増減することにより、第1の相内における第1の混合流体の滞留時間θpitchを調節することができる。本実施の形態に係る改質装置においては、後述の実施例の結果から「3分≦θpitch≦95分」の範囲内で滞留時間θpitchを設定することにより、重質油分中のコークスの生成を抑制し、且つ350℃における残渣油の動粘度を3.0×10−5/s以下(30cSt以下)に調節することができることを確認している。
また温度、圧力が一定の条件の下では重質油分中への超臨界水の溶解度は一定となるので、第1の相から抜き出される重質油分の流出量FPitchが決まれば、この重質油分中に溶解する超臨界水の量FW1は一定の値となる。この状態で超臨界水の供給量FWinを増減すると、重質油分中に溶解しない超臨界水の量、即ち、第2の相を形成する超臨界水の量FW2を増減することが可能となる。重質油分の流出量FPitchに対する超臨界水の溶解量FW1は、例えば予備実験などにより把握しておけばよい。
以上の関係から、第2の相の体積Vが一定の場合、超臨界水供給ライン120からの超臨界水の供給量FWinを増減することによって(6)式中のFW2が増減し、第2の相内における第2の混合流体の滞留時間θLtを調節することができる。本実施の形態に係る改質装置においては、後述の実施例の結果から「1分≦θLt≦25分」の範囲内で滞留時間θLtを設定することにより、重質油分中のコークスの生成を抑制し、且つ10℃における軽質油分単独、または重質油分と混合後の合成原油の動粘度を5.0×10−3/s以下(5000cSt以下)に調節することができることを確認している。
以上に説明した考え方に基づき、重質油分抜出ライン140には第1の混合流体の抜き出し量FW1+Pitchを調節するための流量コントローラー74が設けられており、この流量コントローラー74の指示値(b)が制御部7へ出力されるようになっている。制御部7では(5)式に基づいて滞留時間θpitchが計算され、当該θpitchが予め設定した目標値となるように、流量コントローラー74の流量設定値(e)を増減して流量調節弁142の開度が調節される。
また、超臨界水供給ライン120には超臨界水の供給量FWin(即ちFW2)を調節するための流量コントローラー72が設けられており、この流量コントローラー72の指示値(a)が制御部7へ出力されるようになっている。制御部7では(6)式に基づいて滞留時間θLtが計算され、当該θLtが予め設定した目標値となるように、流量コントローラー74の流量設定値(d)を増減して流量調節弁122の開度が調節される。
また反応器1には本実施の形態の界面検出部である例えば差圧式、超音波式、X線式などの界面レベル計75が設けられており、反応器1内の第1の相と第2の相との界面のレベルが予め設定した範囲を上回るか、下回るかすると「界面レベル高」または「界面レベル低」を示す信号(c)が制御部7へ出力されるようになっている。制御部7では前記界面レベルが設定範囲内の高さ位置に復帰するように重質油供給ライン110に設けられた流量コントローラー71の流量設定値(f)を増減して重質油の供給量供給量FOinを調節することにより第1の相の体積V(即ち第2の相の体積V)を一定に保つ構成となっている。
ここで反応器1内の圧力は図1に示す高圧セパレーター2の軽質油分ライン210に設けられた不図示の圧力コントローラーにより、減圧弁211を開閉することにより行われる。
以上説明した構成を備えた改質装置において、各滞留時間θpitch、θLtを調節する動作について説明する。今、第1の相における第1の混合流体の滞留時間θpitchが設定値を上回ったとすると、(5)式によれば第1の混合流体の抜き出し量FPitchを増やすことによりθpitchを低下させ、設定値に復帰させることができる。ところがFPitchを増やすと界面レベルが低下するので界面レベル計75から「界面レベル低」の信号が出力され、流量調節弁112を作動させて重質油供給ライン110からの重質油の供給量FOinを増加させる。
このとき重質油の供給量の増分ΔFOinのうち「ΔFPitch」は第1の相に分配されるが、「ΔFLt」は第2の相側に分配される。この結果、(6)式よりθLtが小さくなることになるが、この変化については超臨界水の供給量FWin(即ちFW2)を減らすことによりθLtを上昇させて設定値に復帰させることができる。
また反対に、第2の相における第2の混合流体の滞留時間θLtが設定値を上回ったとすると(6)式によれば超臨界流体の供給量FWin(即ちFW2)を増やすことによりθLtを低下させ、設定値に復帰させる。FWinを増やしても例えば反応器1内の圧力を一定にするようにFWin(FW2)の増加量にあわせて第2の相からの抜き出し量がFW2+Ltが増え、第1の相と第2の相との界面が一定レベルに保たれる。
本実施の形態に係る改質装置によれば、重質油と超臨界水とを反応器内で接触させることによりこれらの流体を第1の相(重質油分及びこの重質油分中に溶解した超臨界水からなる相)と第2の相(前記超臨界水及びこの超臨界水中に抽出された軽質油分からなる相)との2つの相に分離させ、第1の相を構成する混合流体の当該第1の相内における滞留時間が予め設定した第1の滞留時間(例えば3分〜95分の範囲内の所定の値に設定される)となるように重質油分と超臨界水との混合流体(第1の混合流体)の抜き出し量を調節する。これにより、当該第1の相内で進行する重質油分の熱分解の進行度合いを制御することが可能となり、例えば重質油分からのコークスの生成が抑えられる範囲で熱分解を進行させたり、重質油の動粘度が所望の範囲となるように熱分解を進行させたりするなど、最適な条件で改質装置を稼動させることが可能となる。
また第2の相を構成する混合流体の当該第2の相内における滞留時間が予め設定した第2の滞留時間(例えば1分〜25分の範囲内の所定の値に設定される)となるように第2の混合流体(軽質油分と超臨界水との混合流体)の抜き出し量を調節する。これにより、当該第2の相内で進行する軽質油分の熱分解の進行度合いを制御することが可能となり、例えば軽質油分の過分解を抑制してガスの生成が抑えられる範囲で熱分解を進行させたり、軽質油分からえられる合成原油の動粘度が所望の範囲となるように熱分解を進行させたりすることもできる。
ここで図2に示した例では界面レベル計75を設け、第1、第2の相の界面を実測してV、Vが一定となるようにしているが、改質装置は必ずしも界面レベル計75を備えていなくてもよい。例えば、重質油の油種や温度、圧力条件などに応じたVGOより軽質の留分、VR留分の得率を予め実験などにより把握しておき、FOin、FWin、FPitch、FLt、Fw1、Fw2の値から反応器1内の界面レベルを推定し、この推定界面レベルに基づいてV、Vを一定に保ち、(5)、(6)式に基づいて各滞留時間θpitch、θLtを調節してもよい。
また図2に示した例では、V、Vを一定に保ち、各滞留時間θpitch、θLtを調節する例を示したがV、Vを変化させつつ滞留時間θpitch、θLtを調節することも可能である。例えば第1の相における第1の混合流体の滞留時間θpitchが設定値を上回ったとき、(5)式より第1の混合流体の抜き出し量FPitchを増やすと共に第1の相の体積Vを小さくすることにより、θpitchを低下させ、設定値に復帰させる。この結果、第2の相の体積Vが増大することになり、第2の混合流体の滞留時間θLtに影響を与えるが、体積Vの増大分を相殺するように超臨界水の供給量FWin(即ちFW2)を増やすことによりθLtを設定値に復帰させることができる。
さらに上述の各例では、第1の相内における第1混合流体の滞留時間θpitchを第1の混合流体の抜き出し量FPitchにより調節し、第2の相内における第2混合流体の滞留時間θLtを超臨界水の供給量FWinにより調節する例を示したが、これらの滞留時間を(5)式、(6)式に示した他の操作変数、例えば重質油の供給量FOinや第2の混合流体の抜き出し量FW2+Ltoutで調節することを否定するものではない。
図1に示したプロセスフロー図では、フラッシュドラム4にて重質油分から水を分離し、残渣油として残渣油タンク64に送液する例を示したが、かならずしもフラッシュドラム4は設けなくてもよい。例えば改質装置の近接のプラントにて残渣油をボイラー燃料として利用する場合には、フラッシュドラム4を省略することもできる。例えば第1の流体の降圧操作を行わずに残渣油中に水分が分散した状態のままボイラー燃料とすることにより、残渣油の粘度をさらに低下させて残渣油をよりハンドリングし易くすることが可能となると共に、残渣油中に分散した水の効果によりボイラー燃料として使用する際のベーパライズが促進されて、ボイラーにおける燃焼性を改善することもできる。
そして上述の実施の形態においては、改質装置にて改質される重質油はオイルサンドビチュメンやオリノコタールなどの超重質原油を処理する場合について説明したが、本改質装置にて処理可能な重質油は原油に限られない。例えば常圧蒸留残渣油や減圧蒸留残渣油の改質処理を行う場合についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(実験1)
図1に示した改質装置のモデル装置として、図3に記載の試験装置を製作し、重質油の改質実験を行った。
A.実験条件
図3中、200は反応器1の上部側から抜き出された第2の混合流体をガスと軽質油分/水の混合流体に分離するための気液分離タンク、143は反応器1の下部側から重質油分(第2の混合流体)を抜き出さすためのボール弁である。本装置では第1の混合流体の滞留時間θpitchは残渣油の抜き出し量FPitch、第2の混合流体の滞留時間θLtは超臨界水の供給量FWinにて制御した。重質油としては(表1)に示す性状のカナダ産のオイルサンドビチュメンを使用した。
(表1)
Figure 2011088964
(実施例1)
以下の条件で実験を行った。
反応器1内の反応温度:430℃
反応器1内の反応圧力:25MPa
水/油重量比:1.0
第1の混合流体の滞留時間θPitch:82分
第2の混合流体の滞留時間θLt:2.3分
(実施例2)
反応器1内の反応温度:450℃
第1の混合流体の滞留時間θPitch:4.9分
第2の混合流体の滞留時間θLt:11分
とした他は(実施例1)同様の条件で実験を行った。
(実施例3)
水/油重量比:0.5
第1の混合流体の滞留時間θPitch:38分
第2の混合流体の滞留時間θLt:22分
とした他は(実施例1)同様の条件で実験を行った。
(実施例4)
第1の混合流体の滞留時間θPitch:67分
第2の混合流体の滞留時間θLt:1.8分
とした他は(実施例1)同様の条件で実験を行った。
(比較例1)
第1の混合流体の滞留時間θPitch:105分
第2の混合流体の滞留時間θLt:1.1分
とした他は(実施例1)同様の条件で実験を行った。
各実施例、比較例の実験条件を(表2)にまとめた。
(表2)
Figure 2011088964
B.実験結果
(表3)に各実施例、比較例におけるガス、合成原油(軽質油分)、残渣油(重質油分)の収率を示す。(表4)に合成原油性状、(表5)に残渣油性状を示す。
(表3)
Figure 2011088964
(表4)
Figure 2011088964
(表5)
Figure 2011088964
また(実施例1)で使用したものと同じオイルサンドビチュメンをビスブレーカー試験、ディレードコーカー試験にて処理した結果得られた各留分の得率を(実施例1、2)の結果と比較した結果を(表6)に示す。なお、(実施例1、2)は、合成原油と残渣ウエハの得率を合成して沸点540℃以下のVGO留分と沸点が540℃より高いVR留分とに換算して示してあるので、(表3)に示した得率とは一致しない場合がある。
(表6)
Figure 2011088964
(実験1)の結果によれば、実施例2(θPitch:4.9分)→実施例3(同:32分)→実施例1(同:95分)と第1の滞留時間θPitchを長くするに連れて、残渣油収率が低下する一方、合成原油収率が上昇する結果が得られている。また、θPitchが105分の比較例1ではコークスの発生(コーキング)が観察された。ここで第1の滞留時間θPitchが実施例3よりも長い実施例4(θPitch:67分)において残渣油収率が実施例3よりも高くなる一方、合成原油収率が実施例3と同程度となった理由は明らかでないが、変動誤差の影響ではないかと考える。
またガス収率についてみると、ガス収率が最も多かった実施例1(θLt:2.3分)を除いて、実施例4(同:1.8分)→実施例2(同:11分)→実施例3(同25分)の順に、第2の滞留時間θLtを長くするに連れてガスの収率が増大する傾向が見られる。第2の滞留時間θLtが2番目に短い実施例1においてガスの収率が4重量%と最大になった理由は明らかでないが、これも変動誤差の影響ではないかと考える。
そして(表4)に示した合成原油の動粘度の計測結果によれば、各実施例において、10℃において最大でも2.8×10−5/s(28cSt)(規格値5.0×10−3/s(5000cSt))と、実用上問題のない動粘度の合成原油が得られた。ここで実施例4(θLt:1.8分)→実施例1(同:2.3分)→実施例2(同:11分)→実施例3(同:25分)と第2の滞留時間θLtを長くするにつれて合成原油の動粘度が低下する傾向が見られる。これは第2の滞留時間を長くするに従って、軽質油分の分解が進行した結果ではないかと考えられる。このことは、第2の滞留時間が長くなるに従って合成原油の密度が小さくなっていることからも確認できる。
次いで(表5)に示した残渣油の動粘度の計測結果によれば、各実施例において、310℃において最大でも1.8×10−5/s(18cSt)と、実用上問題のない動粘度の残渣油が得られた。当該残渣油を350℃まで加熱した場合には、動粘度はさらに小さくなる。そして、実施例2(θPitch:4.9分)、実施例3(同:32分)→実施例4(同:67分)→実施例1(同:95分)の順に第1の滞留時間θPitchを長くするに従って、残渣油の動粘度が増大する傾向が見られる。これは第1の滞留時間を長くするに従って、重質油分中に溶解する超臨界水のケージ効果に抗して重質油分の重合が進行した結果ではないかと考えられる。このことは、第1の滞留時間が長くなるに従って残渣油の密度が大きくなっていることからも確認できる。
実施例1〜4及び比較例1の結果を総合すると、オイルサンドビチュメンを原料の重質油としたとき、第1の滞留時間θPitchについては、およそ3分以上、95分以下の範囲であれば、コークスの発生を抑えつつ、310℃における動粘度が1.8×10−5/s(18cSt)以下となって、ハンドリングの容易な残渣油が得られることが分かる。また、第2の滞留時間θLtについては、およそ1分以上、25分以下の範囲において、ガスの生成を4質量%程度以下に抑え、10℃における動粘度が2.8×10−5/s(28cSt)以下の合成原油が得られるといえる。
また(表6)に示した結果によれば、コークスの生成が抑えられている一方、VGO留分の得率がビスブレーカーよりも高くなっており、実施例1ではディレードコーカーと同程度のVGO留分得率が得られている。このことから、超臨界水を利用した重質油の熱分解は、第1、第2の滞留時間を適切に制御することにより、コークスやガスの発生を抑えつつ、高得率でVGO留分(軽質油分)を得ることが可能な熱分解プロセスであることが分かる。
(実験2)
(実験1)と同様の実験装置の反応器1に内部観察用の覗き窓を設け、容器内の流体が第1の相と第2の相とに分離し、界面が形成されることを確認した。覗き窓から反応器1内の様子を撮影した結果を図4(a)に示し、その模式図を図4(b)に示す。図4(a)の結果によれば、反応器1の下部側には、重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水とからなる第1の相と、超臨界水とこの超臨界水中に抽出された軽質油分とからなる第2の相とが確認された。
1 反応器
110 重質油供給ライン
112 流量調節弁
120 超臨界水供給ライン
122 流量調節弁
130 軽質油分抜出ライン
131 圧力調整弁
140 重質油分抜出ライン
142 流量調節弁
2 高圧セパレーター
3 低圧セパレーター
4 フラッシュドラム
5 リサイクル水タンク
7 制御部
71、72、74
流量コントローラー
73 圧力コントローラー
75 界面レベル計

Claims (28)

  1. 水の臨界点以上の温度、圧力に維持され、重質油と超臨界水とを接触させて、当該重質油の熱分解を進行させつつ、この重質油が熱分解して得られた重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水とからなる第1の相と、前記超臨界水と、この超臨界水中に抽出された軽質油分とからなる第2の相とに分離するための反応器と、
    この反応器に重質油を供給する重質油供給部と、
    前記反応器に超臨界水を供給する超臨界水供給部と、
    前記第1の相から重質油分と超臨界水との混合流体を抜き出す第1の抜き出し部と、
    前記第2の相から超臨界水と軽質油分との混合流体を抜き出す第2の抜き出し部と、
    前記反応器における第1の相と第2の相との間の界面の高さ位置を検出する界面検出部と、
    この界面検出部で検出された界面の高さ位置に基づいて前記第1の相の体積を求め、この第1の相の体積に基づいて重質油分及び当該重質油分中に溶解した超臨界水の混合流体の滞留時間が予め設定した第1の滞留時間となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする重質油の改質装置。
  2. 水の臨界点以上の温度、圧力に維持され、重質油と超臨界水とを接触させて、当該重質油の熱分解を進行させつつ、この重質油が熱分解して得られた重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水とからなる第1の相と、前記超臨界水と、この超臨界水中に抽出された軽質油分とからなる第2の相とに分離するための反応器と、
    この反応器に重質油を供給する重質油供給部と、
    前記反応器に超臨界水を供給する超臨界水供給部と、
    前記第1の相から重質油分と超臨界水との混合流体を抜き出す第1の抜き出し部と、
    前記第2の相から超臨界水と軽質油分との混合流体を抜き出す第2の抜き出し部と、
    前記重質油の供給量に基づいて、重質油分及び当該重質油分中に溶解した超臨界水の混合流体の滞留時間が予め設定した第1の滞留時間となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする重質油の改質装置。
  3. 前記重質油分におけるコークの形成を抑えるため、前記制御部は、前記第1の滞留時間が3分以上、95分以下となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の重質油の改質装置。
  4. 前記第1の滞留時間は、コークスの生成量が前記重質油分の0重量%以上、20重量%以下となる範囲内で前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の重質油の改質装置。
  5. 前記第1の滞留時間は、350℃における前記重質油分の動粘度が3.0×10−5/s以下となるまで前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の重質油の改質装置。
  6. 前記制御部は、前記界面検出部で検出された界面の高さ位置に基づいて前記第2の相の体積を求め、この第2の相の体積に基づいて超臨界水及びこの超臨界水中に抽出された軽質油分の混合流体の滞留時間が予め設定した第2の滞留時間となるように超臨界水の供給量を制御することを特長とする請求項1に記載の重質油の改質装置。
  7. 前記制御部は、前記重質油の供給量に基づいて、超臨界水及びこの超臨界水中に抽出された軽質油分の混合流体の滞留時間が予め設定した第2の滞留時間となるように超臨界水の供給量を制御することを特長とする請求項2に記載の重質油の改質装置。
  8. 前記軽質油分の過分解を抑えるため、前記制御部は、前記第2の滞留時間が1分以上、25分以下となるように超臨界水の供給量を制御することを特徴とする請求項6または7に記載の重質油の改質装置。
  9. 前記第2の滞留時間は、過分解によるガスの生成量が前記重質油の0重量%以上、5重量%以下となる範囲内で当該重質油の熱分解を進行させる滞留時間であることをと特徴とする請求項6ないし8のいずれか一つに記載の重質の改質装置。
  10. 前記第2の滞留時間は、10℃における前記軽質油分の動粘度が5.0×10−3/s以下となるまで前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか一つに記載の重質油の改質装置。
  11. 前記重質油は、オイルサンドビチュメン、オリノコタール、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油からなる重質油群から選ばれることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一つに記載の重質油の改質装置。
  12. 反応器に重質油を供給する工程と、
    前記反応器に超臨界水を供給する工程と、
    前記反応器内を水の臨界点以上の温度、圧力に維持し、重質油と超臨界水とを接触させて、当該重質油の熱分解を進行させつつ、この重質油が熱分解して得られた重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水とからなる第1の相と、前記超臨界水と、この超臨界水中に抽出された軽質油分とからなる第2の相とに分離する工程と、
    前記第1の相から重質油分と超臨界水との混合流体を抜き出す工程と、
    前記第2の相から超臨界水と軽質油分との混合流体を抜き出す工程と、
    前記反応器における第1の相と第2の相との間の界面の高さ位置を検出する工程と、
    この工程で検出された界面の高さ位置に基づいて前記第1の相の体積を求め、この第1の相の体積に基づいて重質油分及び当該重質油分中に溶解した超臨界水の混合流体の滞留時間が予め設定した第1の滞留時間となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御する工程と、を含むことを特徴とする重質油の改質方法。
  13. 反応器に重質油を供給する工程と、
    前記反応器に超臨界水を供給する工程と、
    前記反応器内を水の臨界点以上の温度、圧力に維持し、重質油と超臨界水とを接触させて、当該重質油の熱分解を進行させつつ、この重質油が熱分解して得られた重質油分とこの重質油分中に溶解した超臨界水とからなる第1の相と、前記超臨界水と、この超臨界水中に抽出された軽質油分とからなる第2の相とに分離する工程と、
    前記第1の相から重質油分と超臨界水との混合流体を抜き出す工程と、
    前記第2の相から超臨界水と軽質油分との混合流体を抜き出す工程と、
    前記重質油の供給量に基づいて、重質油分及び当該重質油分中に溶解した超臨界水の混合流体の滞留時間が予め設定した第1の滞留時間となるように前記重質油分と超臨界水との混合流体の抜き出し量を制御する工程と、を含むことを特徴とする重質油の改質方法。
  14. 前記重質油分におけるコークの形成を抑えるため、前記第1の滞留時間を3分以上、95分以下の範囲内に調節することを特徴とする請求項12または13に記載の重質油の改質方法。
  15. 前記第1の滞留時間は、コークスの生成量が前記重質油分の0重量%以上、20重量%以下となる範囲内で前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であることを特徴とする請求項12ないし14のいずれか一つに記載の重質油の改質方法。
  16. 前記第1の滞留時間は、350℃における前記重質油分の動粘度が3.0×10−5/s以下となるまで前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であることを特徴とする請求項12ないし15のいずれか一つに記載の重質油の改質方法。
  17. 前記第1の相と第2の相との間の界面の高さ位置を検出する工程にて検出された界面の高さ位置に基づいて前記第2の相の体積を求め、この第2の相における超臨界水及び超臨界水中に抽出された軽質油分の混合流体の滞留時間が予め設定した第2の滞留時間となるように超臨界水の供給量を制御する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の重質油の改質方法。
  18. 前記重質油の供給量に基づいて、超臨界水及びこの超臨界水中に抽出された軽質油分の混合流体の滞留時間が予め設定した第2の滞留時間となるように超臨界水の供給量を制御する工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の重質油の改質方法。
  19. 前記軽質油分の過分解を抑えるため、前記第2の滞留時間を1分以上、25分以下の範囲内に調節することを特徴とする請求項17または18に記載の重質油の改質方法。
  20. 前記第2の滞留時間は、過分解によるガスの生成量が前記重質油の0重量%以上、5重量%以下となる範囲内で当該重質油の熱分解を進行させる滞留時間であることを特徴とする請求項17ないし19のいずれか一つに記載の重質油の改質方法。
  21. 前記第2の滞留時間は、10℃における前記軽質油分の動粘度が5.0×10−3/s以下となるまで前記重質油の熱分解を進行させる滞留時間であることを特徴とする請求項17ないし20のいずれか一つに記載の重質油の改質方法。
  22. 前記第1の相から抜き出した重質油分と超臨界水との混合流体を降温、降圧して、重質油分と水とに分離する工程を含むことを特徴とする請求項12ないし21のいずれか一つに記載の重質油の改質方法。
  23. 前記第1の相から抜き出した重質油分と超臨界水との混合流体を降温して、重質油分中に水分を含んだ状態の燃料油を得る工程を含むことを特徴とする請求項12ないし21のいずれか一つに記載の重質油の改質方法。
  24. 前記第1の相から抜き出した重質油分と超臨界水との混合流体は、重質油分の3重量%以上、100重量%以下の範囲の水分を含んでいることを特徴とする請求項22または23に記載の重質油の改質方法。
  25. 前記第2の相から抜き出した超臨界水と軽質油分との混合流体を降温、降圧して、軽質油分と水とに分離する工程を含むことを特徴とする請求項12ないし24のいずれか一つに記載の重質油の改質方法。
  26. 前記反応器に供給される超臨界水として再利用するために、前記重質油分または軽質油分から分離された水を回収する工程を含むことを特徴とする請求項22または25に記載の重質油の改質方法。
  27. 前記第1の相から抜き出した重質油分と超臨界水との混合流体を降温、降圧して、重質油分と水とに分離する工程と、
    前記第2の相から抜き出した超臨界水と軽質油分との混合流体を降温、降圧して、軽質油分と水とに分離する工程と、
    水と分離された後の重質油分と軽質油分とを混合する工程と、を含むことを特徴とする請求項12ないし21のいずれか一つに記載の重質油の改質方法。
  28. 前記重質油は、オイルサンドビチュメン、オリノコタール、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油からなる重質油群から選ばれることを特徴とする請求項12ないし27のいずれか一つに記載の重質油の改質方法。
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