JP4171062B2 - 重質油の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、重質油の処理方法に関する。
重金属を多く含む重質油はガスタービン発電燃料として適さないので、脱金属して有用なエネルギー源に変換する方法が特許文献1及び特許文献2に提案されている。
特許文献1においては、高温高圧水(超臨界水)とアルカリと重質油を超臨界状態で(水の超臨界点:374℃、22.1MPa)接触させ、重質油を分解して軽質油分、炭化水素系ガス、金属酸化物、アルカリ塩および超臨界水を生成することが開示されている。得られた分解生成物を抽出器で炭化水素系ガスと軽質油分及び水分とに分離する。この改質と分離を数回繰り返して、重質油中の金属成分や硫黄を除去した軽質油を製造する。この技術は、重質油をアルカリ存在下で超臨界水と反応させて軽質化することが基本である。
しかし、アルカリ金属等を改質触媒として重質油に添加すると、そのアルカリ金属等を除去しない限り、得られた軽質油をガスタービンの燃料として使用するとガスタービン部品の腐食を引き起こすので、好ましくない。
特許文献2においては、超臨界水と重質油とを接触させ、軽質油分を超臨界水に溶解させ、軽質油分と重質油分を分離し、残った重質油分を更に超臨界水と接触させ改質している。最後に残った残渣分を燃焼処理している。この文献では残渣分の分解を促進するため、アルカリ金属を触媒として添加することを開示する。
上記のいずれの文献でも、超臨界水に溶解しない重質油分を更に改質しており、この改質しにくい成分を分解・改質するために、アルカリ触媒を添加していて、精製した軽質油分をガスタービンの燃料として用いることは問題がある。又、このように改質を繰り返すことは、燃料のコスト上昇を招く。
特開2000−109850号公報(要約) 特開2003−49180号公報(要約)
本発明の目的は、高温高圧水を用いて重質油を改質する際のアルカリなどの触媒を不要とし、重質油から重金属を除去し、もってガスタービン燃料を生成することである。
本発明は、高温・高圧水と重質油を接触し、所定の接触時間維持後、該高温・高圧水に溶解した軽質油分から、該高温・高圧水に溶解しない重質油分を分離し、該重質油分を直接、燃焼又は焼却処分する重質油の処理方法を提供する。上記高温・高圧水は超臨界水又は亜臨界水である。
また、上記高温・高圧水に溶解しない重質油分は、上記高温・高圧水に溶解した軽質油分よりも相対的に金属化合物を多く含む成分の濃度が高くなるように、超臨界水との接触条件(温度、圧力、時間など)を選ぶ。
本発明においては、高温・高圧水に溶解した軽質油分から、高温・高圧水に溶解しない重質油分を分離する方法として、沈降法(自重)により分離する。そのため、この方法が最も合理的・安価で、エネルギー消費が少ない。
なお、超臨界水と重質油との接触の際に、軽質油及び重質油分の一部が超臨界水と反応して、特許文献1、2に記載のいわゆる改質が起こる。本発明はこの現象を伴うものであるが、あくまでも、本発明の主要な処理方法は、超臨界水に炭化水素ガス及び軽質油を溶解させ、溶解しない重質油分を沈降分離し、分離した重質油分を更に改質することなく、燃焼または焼却することである。超臨界水に溶解しない成分が、投入重質油の10重量%以下になるように、超臨界水と重質油との接触条件を選択する。特に非溶解重質油が投入量の5重量%以下になるように調節するのが良い。
本発明においては、高温・高圧水に溶解しない重質油分を沈降により分離して重質油中の金属類を除去する。このように、単に自重により沈降分離し、重金属や硫黄を多く含む該重質油分を更に改質することなく燃焼または焼却処分する。これにより、容易かつ安価にガスタービンなどの燃料が得られるとともに、重金属を含む重質油を燃焼により処分するので、アルカリ等の有害成分が燃料中に入り込むことがなく、またトータルコストも低く押さえられる。
本発明における、好ましい接触・処理条件は、重質油と高温・高圧水を混合して、15〜30MPa、温度400℃〜480℃、液体ベース滞留時間1〜10分である。
本発明において用いられる、重質油分と軽質油分の分離方法は、図1、図3及び図4に示すように、ノズル21から接触・反応器1の鉛直下向きに重質油を供給し、高温高圧水あるいは酸化剤を含む高温高圧水をその重質油に供給する。重質油を供給する手段とは別に超臨界水に溶解した軽質油分を、接触・反応器1から改質分抜出管105を通じて超臨界水とともに取り出す。
溶解不可能な分子量の大きい炭化水素とは、バナジウムポルフィリン等の金属を含む化合物である。金属類が濃縮した重質油分は、高温では流動性のある液体であるため、高圧容器から抜き出すことが容易である。また、本発明の前記接触・処理条件では、コークスが発生せず、従ってコークスの洗浄工程が不要である。
具体的には、反応工程は反応器を流れ方向を鉛直方向にし、反応工程の上部から鉛直下向きに重質油を供給し、反応器下部側面から供給した高温高圧水と反応させる。反応により生成した炭化水素ガス、軽質油分を高温高圧水に溶解させ、接触・反応器1の上部から流出させる。接触・反応によって沈降した比重の大きい重質油分は接触・反応器1の下部に溜まる。反応器下部はロックホッパのような重質分を抜き出す手段を設け、接触・反応器1から重質油分を抜き出す。
接触・反応工程においては、重質油重量に対して重量で0.25〜2倍の高温高圧水を、好ましくは400〜480℃、15〜30MPaの条件で供給し重油分と接触させて、溶解・加水分解させる。接触・反応時間は蒸気換算で1〜10分が好ましい。
該接触・反応工程では重質分の分解反応を促進するため、高温・高圧水に酸化剤を添加することも可能である。また、重質油の種類により(例えばA重油、B重油、C重油、減圧残油、オリマルジョン、オイルサンド、オイルシェルおよび廃油等)反応工程、分離工程での最適温度、圧力、水蒸気分圧は異なるので、前記の温度、圧力、水蒸気分圧は限定されるものではない。重要なのは重質油を高温高圧水と接触・反応させることにより、炭化水素ガスと軽質油を生成させることと、高温高圧水に溶解しない重質分を少量生成させ、該重質油分に重質油に含まれる金属を濃縮することである。
本発明は、重質油から効率良く重質油に含まれる金属を除去するために、高温高圧水と重質油とを接触・反応させることにより、該重質油を分解して、炭化水素ガス、軽質油分、重質分を生成させる接触・反応器を持つ重質油の金属除去方法において、この接触・反応器で生成した成分のうち、炭化水素系ガスと軽質油分を高温高圧水に溶解させ改質油とし、好ましくは、溶解不能な分子量の大きい炭化水素からなる重質分を分離し、これをそのまま燃焼又は焼却処分するものである。
重質分に金属類を重質油中に含まれるバナジウムポルフィリン等の金属を含む化合物を濃縮させることにより、重質油からガスタービン燃料として使用できる成分を分離することができる。また、金属類が濃縮した重質分は高温では流動性のある液体であるため、高圧容器から抜き出すことが容易であり、コークスの洗浄工程が不要である。
具体的には、接触・反応器は反応器を流れ方向を鉛直方向にし、接触・反応器の上部から鉛直下向きに重質油を供給し、反応器下部側面から供給した高温高圧水と反応させる。反応により生成した炭化水素ガス、軽質油分を高温高圧水に溶解させ、反応器上部から流出させる。反応によって生成した比重の大きい重質分は反応器下部に溜める。反応器下部はロックホッパのような重質分を抜き出す手段を設け、反応器から重質分を抜き出す。
接触・反応器には、重質油重量に対して0.25〜2倍の高温高圧水、好ましくは400〜480℃、15〜30MPaの高温高圧水を供給し残油分と接触させて、加水分解させる。反応時間は蒸気換算で1〜10分が好ましい。
該接触・反応器では重質分の分解反応を促進するため、酸化剤を添加すること、分解触媒等を充填することも可能である。また、重質油の種類により(例えばA重油、B重油、C重油、減圧残油、オリマルジョン、オイルサンド、オイルシェルおよび廃油等)接触・反応器、分離工程での最適温度、圧力、水蒸気分圧は異なるので、本記載の温度、圧力、水蒸気分圧は限定されるものではない。
重要なのは重質油を高温高圧水と反応させることにより、炭化水素ガスと軽質油を生成させることと、高温高圧水に溶解しない重質分を少量生成させ、該重質分に重質油に含まれる金属を濃縮することである。
本発明は、鉛直下向きに重質油を供給するノズルをもち、下部に高温高圧水あるいは酸化剤を混合した高温高圧水を供給する構造をもち、接触・反応器の上部には重質油を供給するノズルとは別の位置に軽質油を取り出す構造を持つ接触・反応器を有する重質油の処理システムを提供する。
本発明はまた、高温高圧水と重質油とを接触させて、前記重質油分を重質油分と軽質油分とに沈降分離する接触・反応器と、前記高温高圧水に溶解せず、前記接触・反応器の下部に沈降した金属類を含む前記重質油分を排出する手段と、該排出手段から抜き出された該重質油分を燃焼する手段とを備えることを特徴とする重質油処理システムを提供する。
本発明によれば、重質油から脱金属された軽質油燃料が製造でき、脱金属するための捕捉剤やコークスを供給が不要で、それらの排出が発生しないため、高圧系統への供給、排出作業の必要がなく、連続運転するために複数の系統を製作する必要がなくなる。
本発明は、重質油の処理方法に関し、特に重質油を高温・高圧水と接触させることによって、重質油中の金属分を除去し、ガスタービンなどの燃料として適する炭化水素系ガスを含む軽質油を得る方法に関する。
以下、添付図を用いて本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1)
図1に、本発明に用いた重質油を高温高圧水処理して、重質油に含まれるバナジウム等の金属を重質油から除去し、金属分を除去した改質燃料を製造する重質油改質システムを示す。
本システムでは、水を加圧供給する水供給ポンプ30で20MPaに昇圧し、水予熱器40で480℃まで加熱することによって高温高圧水102を生成する。同様に、重質油を加圧供給する重質油供給ポンプ31で20MPaに昇圧し、油予熱器41で350℃まで加熱することによって油を高温高圧重質油103とする。水予熱器40および油予熱器41には電気ヒータを用いるが、高温蒸気との熱交換器を用いて水および重質油を加熱することができる。
高温高圧水および高温高圧重質油の流れが鉛直方向と平行になるように、接触・反応器1を設置し、該接触・反応器1は外部から加熱ヒータ20で加熱し450℃まで上昇させる。高温高圧水は接触・反応器1の下部から高温高圧水供給管102より供給し、高温高圧重質油は高温高圧重質油供給管103を通じて、接触・反応器1の上部に設けたノズル21から供給し、該高温高圧水と混合、反応させる。このとき、接触・反応器1に酸化剤およびその他の添加剤を供給する系統を設けてもよい。また、高温高圧水と共に酸化剤およびその他の添加剤を供給する系統を加えることも可能である。ただし、この際にガスタービン燃料として不適切なアルカリ触媒は添加しない。
酸化剤は接触・反応器1で高温高圧重質油と反応し、熱を発生するため、該酸化剤を供給することにより、加熱ヒータ20の出力を抑制することができる。酸化剤の供給量は接触・反応器1の温度を過上昇させないため、水の供給量に対して2〜4wt%とする。
接触・反応器1では、高温高圧重質油が高温高圧水との反応により改質され、炭化水素ガス、軽質化された軽質油、分子量の大きい重質油分となる。炭化水素ガス及び軽質油分は高温高圧水に溶解、混合して改質分となり、接触・反応器1の上部から改質分抜出管105により搬送される。重質分は高温高圧水には溶解、混合せず、接触・反応器1の下部に沈降する。重質油中に含まれる金属類は重質分に濃縮される改質分から除去される。金属類を除去された改質分は、冷却器4で冷却され、減圧弁12により減圧され、気液分離器5に供給され、炭化水素ガス及び軽質油と水の混合液に分離され、改質油分抜出管105により抜き出され、炭化水素ガスタンク107及び軽質油と水の混合液タンク108に送られる。
本実施例では、改質分を気液分離器5に供給し、炭化水素ガスと軽質油を回収するシステムを示しているが、炭化水素ガスと軽質油と水の混合液を混合したままガスタービンやボイラへ供給し、発電又は動力に使用するシステムも可能である。また、改質分をエンジンに供給するシステムあるいは重質油を冷却、減圧して、燃料消費地へ移送できる製品とするシステムも可能である。また、軽質油と水の混合液は遠心分離により軽質油と水に分離し、軽質油のみをガスタービンやボイラに供給することも可能である。
接触・反応器1において、改質油より分離された重質油分は、ロックホッパ2より系外に排出される。このとき、本実施例では、接触・反応器1下部の重質分抜出バルブ14を閉止し、接触・反応器1の出口バルブ13を開放し、重質分をロックホッパ2へ抜き出す。ロックホッパ2内の圧力が接触・反応器1の圧力と同じ圧力になった後、接触・反応器1の出口バルブ13を閉止し、排出手段例えば重質分抜出バルブ14を開放し、重質分を重質油分抜出管104により系外に抜き出す。
本実施例では、ロックホッパ2より抜き出された重質分104をフレアスタック3で燃焼するシステムを示している。重質分をボイラへ重質油分抜出管104により供給し、燃焼することにより、蒸気を発生させる。これにより蒸気タービンを駆動し、発電又は動力に使用するシステムも可能である。また、重質油分を燃焼させることにより、本システムで供給する高温高圧の水および油を生成させるための水予熱器40又は油予熱器41の熱源として利用することも可能である。
実際に本実施例のシステムにおいて、重質油から金属を除去する試験例の結果を以下に示す。本試験例では、重質油中のバナジウムを除去する試験を実施した。重質油中の初期バナジウム濃度は4.0ppm(重量)である。重質油はタンクで80℃に加熱、これをポンプにより8.0g/分で供給しながら管外ヒータ20により350℃に加熱して、接触・反応器1に供給した。水は水ポンプにより4.0g/分で輸送しながら管外ヒータ20により480℃に加熱し、高温高圧水として接触・反応器1に供給した。接触・反応器1は長さ1mの直管であり、ノズル21の先端は接触・反応器1の上部から0.2mとし、温度450℃、圧力20MPaに保ち、液基準の空間速度1.9h−1で重質油を高温高圧水で処理して、改質分及び重質分を生成させた。
接触・反応器1で生成した重質油分は接触・反応器1の下部に沈降し、重質油中に重金属が89.3重量%含まれる。以上の操作で生成した改質分を冷却器4で冷却、減圧バルブ12で減圧後採取し、その組成を調べた。常温でのガス状物はH、CO、CO、C〜Cの炭化水素であり、軽質油はC以上の炭化水素であった。軽質油中のバナジウムは0.5ppmであり、軽質油の発熱量は10、500kcal/kgであった。
また、液基準の空間速度は同じにして高温高圧水量/重質油量=0.5〜1.5と変化させた場合、図2に示すように、軽質油分中のバナジウムは0.5〜0.7ppmであった。改質後の燃料の構成、バナジウムの収支を表1に示した。表1により明らかなように、重質油の8.5重量%が高温高圧水に不要な重質油分であり、この重質油分にバナジウムが89.3重量%捕集されており、従って重金属濃度が低い改質油が生成した。この試験結果より、本発明の実施例により、重質油中に含まれる金属類を効率よく、容易に取り除くことができ、所望の改質油を得ることができた。
Figure 0004171062
(実施例2)
本実施例では重質油を高温高圧水で改質した改質油をガスタービン燃焼器に供給しガスタービンで発電し、さらに、燃焼排ガスの廃熱を利用し該高温高圧水を生成させる、ガスタービン廃熱を有効利用するためのシステムで、図3を用いて説明する。
本システムでは、水を加圧供給する水供給ポンプ30で20MPaに昇圧し、水熱交換器50で450から480℃まで加熱して、高温高圧水を生成する。同様に、重質油を加圧供給する重質油供給ポンプ31で20MPaに昇圧し、高温高圧水タンクの高温高圧水から抽気した抽気蒸気を、抽気蒸気管109より高温高圧油予熱器41に供給し、重質油を350℃まで加熱し高温高圧重質油を生成する。また、高温高圧水の一部を蒸気タービン63に供給し、駆動することにより発電することも可能である。
実施例1と同様に、高温高圧水および高温高圧重質油の流れが鉛直方向と平行になるように、接触・反応器1を設置する。接触・反応器1の加熱手段として、該接触・反応器1の外部には接触・反応器加熱手段20を設ける。該接触・反応器加熱手段20は高温高圧水を内部に保持する容器であり、高温高圧水を供給することにより、接触・反応器を外部から加熱し450℃程度まで昇温する。
実施例1と同様に、高温高圧水は接触・反応器1の下部から供給し、高温高圧重質油は接触・反応器1の上部に設けたノズルから供給し、該高温高圧水と混合、反応させる。このとき、接触・反応器1に酸化剤およびその他の添加剤を供給する系統を設けてもよい。また、高温高圧水と共に酸化剤およびその他の添加剤を供給する系統を加えることも実施例1と同様に可能である。
接触・反応器1では、高温高圧重質油が高温高圧水との反応により改質され、炭化水素ガスと軽質化された軽質油及び分子量の大きい重質油分となる。炭化水素ガス、軽質油は高温高圧水に溶解、混合して改質油分となり、接触・反応器1の上部から搬送される。
重質油分は高温高圧水には溶解、混合せず、接触・反応器1の下部に沈降する。重質油中に含まれる金属類は重質分に濃縮される改質分抜出管105から除去される。金属類を除去された改質分は、ガスタービン燃焼器60へ供給するために、減圧工程59により減圧され、ガスタービン用燃料となる。減圧工程59では固定オリフィスや流量調節バルブを用いて減圧する。減圧工程59では改質分が減圧する際に断熱膨張により改質分の温度が低下する。そのため、減圧工程加熱手段58により外部から加熱することにより、改質油分の凝縮を防ぐことが可能である。また、該改質分の一部が凝縮した場合、ドレインバルブ15を開放することにより外部に抜き出すことも可能である。
ガスタービン用燃料はガスタービン用燃料供給管110によりガスタービン燃焼器60に供給され、圧縮機62で圧縮された空気と混合、燃焼し、高温の燃焼ガスとなり、ガスタービン61を駆動する。
一方、接触・反応器1において、改質油より分離された重質分は、ロックホッパ2より系外に排出される。このとき、本実施例では、実施例1と同様の操作で重質分をロックホッパ2より抜き出し、フレアスタック3で燃焼させ、燃焼排ガスをさらに加熱する。ガスタービン61駆動後の燃焼排ガスの温度は500℃以下であり、フレアスタック3での重質油分の燃焼熱によりさらに燃焼排ガスの温度を上昇させることができる。
燃焼排ガスの温度が高く、高温高圧水を生成するために必要な高温高圧水が通っている高温高圧水配管102と燃焼排ガス管112により熱交換器50に供給される燃焼排ガスとの接触面積が小さくてよいため、水熱交換器50を小型化することが可能になる。燃焼排ガスは水と熱交換した後、160℃程度の低温になってから煙突53から大気中に放出される。
燃焼排ガスの熱を水により回収し、それを接触・反応器1に供給し、改質油分と共にガスタービン燃焼器60に供給するため、ガスタービン61の熱入力が増え、出力が上昇する。この実施例2によれば、燃焼排ガスの廃熱を利用し、高温高圧水を生成させ、ガスタービンの廃熱を有効に利用することができる。
(実施例3)
本実施例では重質油を高温高圧水で改質した改質油をガスタービン燃焼器に供給しガスタービンで発電するシステムの制御方法で、図4を用いて説明する。本システムでは、軽油および軽油を燃焼器に供給するための軽油ポンプ32を設け、ガスタービン起動時には軽油をガスタービン燃焼器で燃焼し、ガスタービンを駆動した後の燃焼排ガスで水熱交換器50を加熱する。
実施例2と同様に、本システムでは、水を加圧供給する水供給ポンプ30で20MPaに昇圧し、水熱交換器50に供給する。高温高圧水の温度が450から480℃まで加熱したことを確認することによって高温高圧水を生成する。重質油は加圧供給する重質油供給ポンプ31で20MPaに昇圧し、高温高圧水から抽気した抽気蒸気を高温高圧油予熱器41に供給し、重質油を350℃まで加熱し高温高圧重質油を生成する。
高温高圧水および高温高圧重質油の流れが鉛直方向と平行になるように接触・反応器1を設置し、高温高圧水は接触・反応器1の下部から供給し、高温高圧重質油は上部に設けたノズルから供給し、該高温高圧水と混合、反応させる。接触・反応器1の加熱手段として、高温高圧水を用いることも実施例2と同様である。
起動時には、接触・反応器1を加熱するために高温高圧水を供給し、接触・反応器1を450℃まで予熱する。ガスタービン用燃料の温度を測定し、450℃まで上昇したことを確認後、コントローラ120を用いて油ポンプ31を起動し、重質油を供給する。この際、改質油分ストップバルブ16は閉止し、油タンク入口バルブ17は接触・反応器1内の圧力が20MPaになるように開度を調節し、初期改質燃料を初期改質燃料供給管114によりフレアスタック3に送り燃焼する。初期改質燃料は油タンク6に一時貯蔵した後、フレアスタック3で燃焼しても良い。
重質油が供給されると接触・反応器1の温度は低下し、定常状態になると再びガスタービン用燃料は400から450℃に上昇する。ガスタービン燃料の温度が400℃以上になったことを検知し、コントローラ120を用いて改質油分ストップバルブ16を開放し、油タンク入口バルブ17を閉止する。
実施例3では、ガスタービン燃料の温度を計測して、ガスタービン燃料の性状を管理することが特徴である。接触・反応器1の温度により、ガスタービン燃料中の金属濃度は変化する。接触・反応器の温度の変化による、ガスタービン燃料中の金属濃度の変化、特にバナジウムの濃度の変化を図5に示す。
ガスタービン燃料中の金属濃度はリアルタイムで計測できないため、ガスタービン燃料の温度により、改質分中の金属濃度を予測し、ガスタービン燃焼器60へガスタービン燃料を供給することは極めて有効である。図5により、接触・反応器の温度を上昇させると、改質油中のバナジウム濃度が低下することがわかる。特に、450℃以上にすると、バナジウム濃度を0.5重量%以下にすることができる。本発明はこのような温度−バナジウム量の関係を予め求めておいて、接触・反応器1の温度を検出し、改質油中のバナジウム量を予測して、ガスタービンへの改質油の供給時期を求める。
本発明の一実施形態の構成を示す概略図。 実施例1の油重量と水重量の割合の変化に対する軽質油中のバナジウム濃度の影響を示すグラフ。 本発明の図1とは別の実施形態の構成を示す概略図。 本発明の更に他の実施形態の構成を示す概略図。 実施例3のガスタービン燃料中のバナジウム濃度と接触・反応器の温度の関係を示すグラフ。
符号の説明
1:接触・反応器、2:ロックホッパ、3:フレアスタック、4:冷却器、5:気液分離器、6:油タンク、11:入口バルブ、12:減圧バルブ、13:反応器出口バルブ、14:重質分抜出バルブ、15:ドレインバルブ、16:改質分ストップバルブ、17:油タンク入口バルブ、20:反応器加熱手段(加熱ヒータ)、21:油供給ノズル、30:水供給ポンプ、31:重質油供給ポンプ、32:軽油ポンプ、40:水予熱器、41:油予熱器、50:水熱交換器、51:油熱交換器、53:煙突、60:ガスタービン燃焼器、61:ガスタービン、62:圧縮機、63:蒸気タービン。

Claims (5)

  1. 接触・反応器の上部から鉛直下向きに重質油を供給し、該接触・反応器の下部から供給した高温・高圧水と接触させる第一工程と、前記接触・反応器の内部で、前記高温・高圧水に軽質油分を溶解させ、前記高温・高圧水に溶解しない重質油分と、前記高温・高圧水に溶解した前記軽質油分とを沈降法によって分離させる第二工程と、前記重質油分を前記接触・反応器の下部から抜き出し、前記軽質油分を前記接触・反応器の上部から抜き出す第三工程とを備えたことを特徴とする重質油の処理方法。
  2. 記高温・高圧水は超臨界水又は亜臨界水であることを特徴とする請求項1記載の重質油の処理方法。
  3. 記高温・高圧水は酸化剤を含むが、アルカリ金属を含まないことを特徴とする請求項1又は2記載の重質油の処理方法。
  4. 前記重質油と前記高温・高圧水を混合して、15〜30MPa、温度400℃〜480℃、液体ベース滞留時間1〜10分で接触又は接触・反応させることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の重質油の処理方法。
  5. 前記重質油と前記高温高圧水を反応させることによって生成した改質燃料の温度測定値をもとに、ガスタービンへの改質燃料の供給開始時刻を決定することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の重質油の処理方法。
JP2008042781A 2008-02-25 2008-02-25 重質油の処理方法 Expired - Lifetime JP4171062B2 (ja)

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