JP2011088855A - ウレタン結合含有トリオール化合物及び保湿剤 - Google Patents
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Abstract
Description
また、品質の安定性が良好で、低価格である保湿成分として、例えば、グリセリン、ブチレングリコール、尿素成分等の有機合成剤も知られている。しかし、これらは、低分子構造であることや極性が限られている為、保湿性の持続や他の化粧料成分との親和性に課題がある。他にも、親水性高分子の保湿成分として、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールが公知である。しかし、これらは皮膚に塗布した際にべたつく、塗布後に乾燥したときにつっぱり感が生じるといった面に課題がある。
本発明の別の課題は、保湿性及び皮膚への使用感に優れ、化粧料等に利用可能な保湿剤を提供することである。
本発明の保湿剤は、上記化合物(1)を含むので、優れた保湿性と皮膚への使用感を示し、化粧料等の添加剤として有用である。
本発明の化合物(1)は、前記式(1)で示されるウレタン結合含有トリオール化合物である。
式(1)において、RはHO-(CH2)n-もしくはH-(OCH2CH2)m-(CH2)l-を示す。nは2〜10の整数、mは1〜50の整数、lは0あるいは1である。
化合物(1)としては、例えば、グリセリル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバメート、グリセリル-N-(3-ヒドロキシプロピル)カルバメート、グリセリル-N-(4-ヒドロキシブチル)カルバメート、グリセリル-N-(5-ヒドロキシプロピル)カルバメート、グリセリル-N-(6-ヒドロキシヘキシル)カルバメート、グリセリル-N-(7-ヒドロキシペンチル)カルバメート、グリセリル-N-(8-ヒドロキシオクチル)カルバメート、グリセリル-N-(9-ヒドロキシノニル)カルバメート、グリセリル-N-(10-ヒドロキシデシル)カルバメート、グリセリル-N-(ポリエチレングリコール)カルバメートが挙げられ、合成の容易さからはグリセリル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバメートが好ましく挙げられる。
アルコールの化学量論的に必要な量は、前記化合物(2)と等モル量以上である。エステル交換反応を達成するためには、過剰のアルコールの使用や、蒸留等によって副生成物を反応系から除去することが有効である。アルコールを過剰に使用する場合には、例えば、前記化合物(2)に対し、モル比で1.1〜100倍量、好ましくは10〜60倍量で使用することができる。
ここで用いられる触媒量は、例えば、前記化合物(2)に対し、モル比で通常0.01〜10倍量、好ましくは0.05〜5倍量である。
前記加水開環反応の進行に伴い、反応系内にカルボニル化合物が副生することがあるが、反応時間を短縮する目的で、副生するカルボニル化合物を減圧留去等の手段により反応系内から除去することが好ましい。
前記溶媒の使用量は、前記式(4)で示されるグリセリルカーボネートを基準として、質量比で通常0.1〜1000倍量程度である。
前記反応の反応温度は、用いる溶媒の沸点により異なるが、通常0〜100℃、好ましくは25〜80℃の範囲である。
上記グリセロールカーボネートと第1級アミンとの反応により、以下の反応式に示されるように2つの位置異性体が生成する。
本発明の保湿剤を化粧料に配合する場合の配合割合は、化合物(1)の量として、通常0.05〜30.0質量%、特に0.1〜20.0質量%が好ましい。該配合割合が0.05質量%未満では、保湿剤の優れた効果が発揮されない恐れがある。一方、30.0質量%を超える場合には、べたつき感が生じ、使用感の効果が低下する恐れがある。
製造例1 α-アミノ-ω-ヒドロキシ-ポリエチレングリコールの製造
α-アミノ-ω-ヒドロキシ-ポリエチレングリコールは、特開平5−279469号公報に記載の方法に従い、以下の合成方法により製造した。
エチレンオキシド(0.11mol)4.85gをガラス重合管内のテトラヒドロフラン(THF)20mlに溶解し、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF溶液(0.91M)11mL(0.01mol)を加え、液体窒素で凍結させ、真空で脱気して封入した。続いて、20℃で50時間攪拌した後、0℃のジエチルエーテルに滴下し再沈し、真空で乾燥した。このサンプルをイオン交換水40mLに溶解させて商品名「ダイヤイオンPK216」(三菱化学社製、イオン交換樹脂)200mLに吸着させ、イオン交換水400mLで洗浄した後、5%アンモニア水で溶出させたものを凍結乾燥した。収量は5.47g、収率は80%であった。このサンプルの分子量を以下の条件でGPCを用いて分析したところ、重量平均分子量は500であった。
(分子量測定条件)
溶離液:テトラヒドロフラン、送液速度:1.0mL/分、検出器:RI、カラム:TOSOH TSKgel G2000Hxl + G3000Hxl、カラム槽温度:40℃、標準物質:ポリエチレングリコール。
カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF溶液(0.91M)の添加量を5.5mL(0.005mol)に変更した以外は製造例1と同様の操作により、収量4.63g、収率82%でα-アミノ-ω-ヒドロキシ-ポリエチレングリコールを得た。製造例1と同様にGPCによる分子量測定を行った結果、重量平均分子量は990であった。
カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF溶液(0.91M)の添加量を2.69mL(0.0024mol)に変更した以外は製造例1と同様の操作により、収量4.13g、収率79%でα-アミノ-ω-ヒドロキシ-ポリエチレングリコールを得た。製造例1と同様にGPCによる分子量測定を行った結果、重量平均分子量は2000であった。
褐色ナス型フラスコにイソプロピリデングリセリル-N-(2-アクリロイルオキシエチル)カルバメート26.44g(96.8mmol)、脱水メタノール264.4g、およびナトリウムエトキシド700mgを加えて室温下3時間撹拌した。この際、GCにより出発物の消失と、イソプロピリデングリセリル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバメートの生成を確認した。
次いで、反応溶液に商品名「ダイヤイオンSK104H」(三菱化学社製、イオン交換樹脂)およびイオン交換水26g(1.44mmol)を加えて室温で2時間反応させた。更に、エバポレータでバス温を室温として生成するアセトン及び溶媒を緩やかに留去した後、商品名「ダイヤイオンSK104H」(三菱化学社製、イオン交換樹脂)を濾別した。濾液に活性炭500mgを加えて、室温で2時間撹拌した後、活性炭を濾別することにより脱色操作を行った。濾液を再びエバポレータにてバス温35℃以下で溶媒を留去した後、キャピラリーにより空気を導入しながら揮発性成分である溶媒及びアクリル酸メチルを留去することにより、収量14.1g、収率81.4%で淡黄色粘凋液体のグリセリル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバメートを得た。含水量は16.57質量%であった。1H-NMRおよびGCの測定結果をそれぞれ図1、図2及び以下に示す。図2において不純物ピークが特に見られないことから高純度の目的物が得られたことが分かった。
1H-NMR(D2O)3.1−4.1 ppm, m, HOCH 2CH 2NHCH 2CHCH 2 (9H);ESI-MS m/z = 180.0[M+H]+、202.0[M+Na]+ ;FT/IR 3345 cm-1[O-H伸縮、N-H伸縮]、1698 cm-1[C=O伸縮]
グリセリルカーボネート1.18g(10mmol)、メタノール1.0g、および2-アミノエタノール0.611g(10mmol)を秤取り、60℃に設定したオイルバス中で5時間攪拌した。メタノールを減圧下で除去することにより、無色透明の粘凋液体としてグリセリル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバメートを得た。収量は1.7gであった。1H-NMRおよびGCの測定結果を以下に示す。
1H-NMR(D2O)3.1−4.1 ppm, m, HOCH 2CH 2NHCH 2CHCH 2 (9H);ESI-MS m/z = 180.0[M+H]+、202.0[M+Na]+ ;FT/IR 3348 cm-1[O-H伸縮、N-H伸縮]、1697 cm-1[C=O伸縮]
2-アミノエタノールの代わりに4-アミノ-1-ブタノール0.89g(10mmol)を用いた以外は実施例2と同様に合成し、グリセリル-N-(4-ヒドロキシブチル)カルバメートを収量1.9gで得た。1H-NMRおよびGCの測定結果を以下に示す。
1H-NMR(D2O) 1.3?1.6ppm, m, HOCH2CH 2CH 2CH2 (4H) 3.1−4.1ppm, m, HOCH 2CH2CH2CH 2 NHCH 2CHCH 2 (9H);ESI-MS m/z = 208.1[M+H]+、230.1[M+Na]+ ;FT/IR 3366 cm-1[O-H伸縮、N-H伸縮]、1704 cm-1[C=O伸縮]
2-アミノエタノールの代わりに8-アミノ-1-オクタノール1.45g(10mmol)を用いた以外は実施例2と同様に合成し、グリセリル-N-(8-ヒドロキシオクチル)カルバメートを収量2.4gで得た。1H-NMRおよびGCの測定結果を以下に示す。
1H-NMR(D2O) 1.3?1.6 ppm, m, HOCH2CH 2CH 2CH 2CH 2CH 2CH 2CH2 (12H) 3.1−4.1 ppm, m, HOCH 2CH2 CH2CH2CH2CH2CH2CH 2NHCH 2CHCH 2 (9H);ESI-MS m/z = 264.2[M+H]+、286.2[M+Na]+ ;FT/IR 3402 cm-1[O-H伸縮、N-H伸縮]、1701 cm-1[C=O伸縮]
2-アミノエタノールの代わりに製造例1で合成したα-アミノ-ω-ヒドロキシ-ポリエチレングリコール5.0g(10mmol)を用いた以外は実施例2と同様に合成し、グリセリル-N-(ポリエチレングリコール)カルバメートを収量5.1gで得た。1H-NMRおよびGCの測定結果を以下に示す。
1H-NMR(D2O) 3.1-4.4 ppm, m, H(OCH 2CH 2)11 NHCH 2CHCH 2(49H) ;ESI-MS m/z = 620.7 [M+H]+、642.7[M+Na]+;FT/IR 3408 cm-1[O-H伸縮、N-H伸縮]、1699 cm-1[C=O伸縮]、1106 cm-1[C-O伸縮]
グリセリルカーボネートの量を0.53g(4.5mmol)に変更し、2-アミノエタノールの代わりに製造例2で合成したα-アミノ-ω-ヒドロキシ-ポリエチレングリコール4.5g(4.5mmol)を用いた以外は実施例2と同様に合成し、グリセリル-N-(ポリエチレングリコール)カルバメートを収量4.9gで得た。1H-NMRおよびGCの測定結果を以下に示す。を反応させた。
1H-NMR(D2O) 3.1-4.4 ppm, m, H(OCH 2CH 2)22 NHCH 2CHCH 2(93H);FT/IR 3420 cm-1[O-H伸縮、N-H伸縮]、1705 cm-1[C=O伸縮]、1100 cm-1[C-O伸縮]
実施例2と同様の手順で、グリセリルカーボネートの量を0.21g(1.8mmol)に変更し、2-アミノエタノールの代わりに製造例3で合成したα-アミノ-ω-ヒドロキシ-ポリエチレングリコール3.6g(1.8mmol)を用いた以外は実施例2と同様に合成し、グリセリル-N-(ポリエチレングリコール)カルバメートを収量3.7gで得た。1H-NMRおよびGCの測定結果を以下に示す。
1H-NMR(D2O) 3.1-4.4ppm, m, H(OCH 2CH 2)45 NHCH 2CHCH 2(185H) ;FT/IR 3389 cm-1[O-H伸縮、N-H伸縮]、1704 cm-1[C=O伸縮]、1101 cm-1[C-O伸縮]
実施例1で得たグリセリル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバメートを表1に示す組成に従って配合した水溶液を調製し、以下に示す官能評価を実施した。結果を表1に示す。
官能評価
各保湿成分を配合した水溶液について、専門パネラーの前腕内側部に塗布したときの使用感を以下の判定基準で官能評価した。
1)保湿性
◎:潤い感に優れている、○:潤い感がある、△:どちらともいえない、×:潤い感がない。
2)しっとり感
◎:非常にしっとりする、○: しっとりする、△: どちらともいえない、×:しっとりしない。
グリセリル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバメートの代わりに実施例4で得たグリセリル-N-(8-ヒドロキシオクチル)カルバメートを用いた以外、実施例8と同様に水溶液を調製し、同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
グリセリル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバメートの代わりに実施例5で得たグリセリル-N-(ポリエチレングリコール)カルバメートを用いた以外、実施例8と同様に水溶液を調製し、同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
グリセリル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバメートの代わりに、表1に示すグリセリン、ジプロピレングリコール又は1,3-ブタンジオールを用いた以外、実施例8と同様に水溶液を調製し、同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
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JP2010030912A (ja) * | 2008-07-25 | 2010-02-12 | Nof Corp | 化粧料 |
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