以下に本発明の実施例を図面について説明する。まず酸素燃焼ボイラの基本システムを図1〜図5を用いて説明する。
図1に酸素燃焼ボイラシステムの基本構成を示す。図1において、100は火炉室、102は火炉出口、103は排ガス輸送管をそれぞれ示す。排ガス99は、火炉室100から火炉出口102を通過し、排ガス輸送管103に沿って輸送され、熱交換器105を通過する際に温度降下され、排ガス処理装置107を通過する際に窒素酸化物または硫黄酸化物または金属化合物などの有害物質、水分、灰やすすなどの粒子状物質を除去され、再循環分岐点109に到達する。再循環分岐点109に到達した排ガス99の一部は後述する再循環ガス供給系90へ分岐し、残りの排ガスは煙道111を通って系外へ放出される。
ミル62は、押込送風機141、空気輸送管61、微粉炭搬送管63らと共に1次ガス供給系60を構成し、バーナ150に接続されている。
酸素分離器72は、送風機71、分離酸素輸送管73、高濃度酸素中間槽74、高濃度酸素輸送管75、熱交換器105等と共に酸素供給系70を構成し、バーナ150に接続されている。
空気搬送管81は、押込送風機141、熱交換器105らと共に2次空気供給系80を構成し、バーナ150に接続されている。
再循環ガス調整弁91は、吸引送風機95、再循環ガス輸送管93、熱交換器105等と共に再循環ガス供給系90を構成し、バーナ150に接続されている。
油圧源31には、負荷用油供給系30aとトーチ用油供給系30bの2系統からなる油供給系30が接続されている。負荷用油供給系30aは、負荷用油輸送管33及び油入口弁35らから構成され、バーナ150に接続されている。トーチ用油供給系30bは、トーチ用油輸送管33b及び油入口弁35bらから構成され、バーナ150に接続されている。バーナ150は、図示していないが通常複数個が火炉室100に設置されている。
図2にバーナ150に接続されているガス及び燃料の供給系統の構成を示す。バーナ150は3個図示されているがこれに限定されない。各バーナ150には、光計測型温度センサ151、接触型温度センサ152、点火トーチ153、油バーナノズル155、1次ガスノズル156、2次ガスノズル157が設けられている。
再循環ガス供給系90と、酸素供給系70と、2次空気供給系80は各バーナ150の2次ガスノズル157に接続されている。再循環ガス供給系90と酸素供給系70と2次空気供給系80から供給される2次ガスは濃度測定器161によって酸素濃度、CO2濃度などが監視されている。
1次ガス供給系60は各バーナ150の1次ガスノズル156に接続されている。負荷用油供給系30aは各バーナ150の油バーナノズル155に接続され、トーチ用油供給系30bは各バーナ150の点火トーチ153に接続されている。
図3に火炉室に設置されているバーナの構成を示す。火炉室100の壁面には、1つの壁面当たりバーナ150が3段ずつ対向する2つの壁面に設置され、1つの段当り6個のバーナ150が設置されている。各バーナ150に火炎を点火し所定の方法で支燃ガス及び主燃料を切り替えていくことによりボイラ負荷を高めていく。
図4に、酸素燃焼ボイラの燃焼形態の一例を示す。本図の状態(A)においては、後壁の上段を除く各段には石炭を主燃料とし、空気を支燃ガスとするバーナ火炎13が形成されている。この状態(A)から各バーナ段の火炎の支燃ガス成分を切り替えていくことにより、状態(B)の空気と再循環排ガスと酸素を支燃ガスとするバーナ火炎14を経由して、最終的には状態(C)のように支燃ガスが再循環排ガスと酸素からなるバーナ火炎15が各バーナ段に形成される。(A)→(B)→(C)の状態変化により、各段の燃焼バーナの周囲のガスのCO2濃度は高くなり、燃焼によりH2Oも生成するため、バーナ火炎から放射されるふく射がバーナの周囲のCO2やH2Oによってより多く吸収される。
図5のグラフは、CO2濃度やH2O濃度の上昇が光計測型および接触型温度センサの出力信号に及ぼす影響を示す。図5の横軸は任意単位で表示した時間を、縦軸は任意単位で表示した光計測型および接触型温度センサの出力信号を表す。図5の上側グラフに示す光計測型温度センサの出力信号において、横線の点線は、各ボイラの状態に応じてあらかじめ設定された上警報レベル及び下警報レベルを表し、実線の曲線は光計測型温度センサ151の出力信号波形を表す。温度センサ出力を上下警報レベル内に制御することによってボイラを異常燃焼や失火させることなく正常に運転することが出来る。
図5の下側グラフに示す接触型温度センサ152の出力信号において、横線の点線は上警報レベル及び下警報レベルを表す。太い実線の曲線は接触型温度センサ151の出力信号波形を表し、細い実線の曲線は接触型温度センサを設けたバーナ150の実際の温度を表す。横軸におけるTBは、状態(A)から(B)への変化を開始した時刻を表す。図5には、時刻TBから後の時間帯でバーナ本体の温度が上昇する場合が例示されている。即ち、図5の下側グラフの細い実線の曲線が時刻TBから上昇し始める例を示している。
さて図4で述べた状態(A)→(B)→(C)の変化により、各段のバーナ150の周囲のガスのCO2濃度およびH2O濃度は高くなり、バーナ火炎から放射されるふく射が各段のバーナ150の周囲のCO2またはH2Oによってより多く吸収される。すると、バーナ150の温度上昇として反映されるはずの出力信号の増加が、バーナ150周囲のガスのCO2またはH2Oによるふく射の吸収の増加により打ち消されて、図5上側グラフの実線の曲線のように、出力信号に変化がみられない場合が生じる。光計測型温度センサの出力信号は、時刻TBから後の時間帯でも上警報レベルと下警報レベルの間にあり、バーナ150の表面温度の上昇を検知せず、バーナ150の表面温度を正しく監視記録していない。
他方、図5下側グラフの太い実線の曲線のように、接触型温度センサ152の出力信号はバーナ150の温度上昇を反映して出力信号が増加する。しかし、接触型温度センサ152の応答時間は、バーナ150の固体中の熱伝導の時間に依存するため、バーナ火炎の温度変化を反映するバーナ150の表面温度の時間変化に追随できない。例えば本図下側グラフの細い実線の曲線で表される実際の温度が上警報レベルに達する時刻(△印で示される時刻)においても、接触型温度センサ152の出力信号である太い実線の曲線は上警報レベルに達しない。上警報レベルに達するのは黒三角印で示される時刻になり、接触型温度センサ152にバーナ本体の温度の上警報レベル超えを検知するまでには、ある一定の時間の遅れが生じる。即ち、バーナ150の表面温度を正しく監視記録するためには、バーナ火炎の温度変化を十分にゆっくりしなければならず、状態(B)の時間(支燃ガスの切り替え時間)が長くなる。
図6に、本発明の実施例1による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラシステム1を示す。図1と同一部品は同一番号で示す。
図6において、酸素供給系70と再循環ガス供給系90は混合機構92によって連絡しており、空気供給系80と合流し、バーナ150に接続されている。混合機構92により、支燃ガスの成分における再循環ガスと高純度酸素の混合ガスを増減させることができる。また、空気供給系80の合流方法を調整することにより、支燃ガスの成分に空気を増減させることができる。即ち、混合機構92及び空気供給系80の合流方法を調整することにより、支燃ガスを空気から再循環ガスと高純度酸素の混合ガスに切り替えることができる。
バーナ150には、光計測型温度センサ151、接触型温度センサ152、点火トーチ153が設けられている。バーナ火炎(図示されていない)は光計測型温度センサ151、接触型温度センサ152によって監視記録されている。
200は酸素燃焼ボイラシステム1の制御装置である。制御装置200は、光計測型温度センサ151、接触型温度センサ152を含むボイラシステムの燃焼状態を検出するボイラ状態検出手段と、あらかじめ取得したバーナ火炎からのふく射を吸収するガス濃度と、これに対応したバーナ火炎のふく射吸収量を含むボイラ燃焼状態に関する制御情報を記録したボイラ状態情報記録手段202と、前記ボイラ燃焼情報に基づいて前記光計測型温度センサ151の警報レベルを修正する校正係数等を演算するセンサレベル修正手段203と、酸素燃焼ボイラシステム1の燃焼を制御するとともに、前記演算結果に基づいて酸素燃焼ボイラシステム1の燃焼を修正する制御手段204を有する。
前記ボイラ状態情報記録手段202は、予め実験や試運転等で取得したボイラシステムの燃焼に関する各種制御情報が対照表やデータベースの形で記録されている。制御装置200は、図示しない信号線等によりボイラシステムの各種バルブ及びアクチュエータを含む各構成要素と接続されており、ボイラシステム全体を制御する。制御装置200は、例えばコンピュータシステム上で作動するソフトウェア上に構築することもでき、専用の制御回路基板で構成することもできる。
図8に、温度センサの監視記録グラフの一例を示す。図8の横軸及び縦軸、曲線や印の意味は、前述の図5と同様である。状態(A)及び(B)は前述の図4の状態(A)(支燃ガスの主成分が空気である状態)及び状態(B)(支燃ガスの主成分が空気と再循環ガスと高純度酸素の混合ガスである状態)に対応する。図8には、状態(A)→(B)への変化により、バーナ本体の温度が上昇する場合が例示されている。即ち、図8の下側グラフの細い実線の曲線が時刻TBから上昇し始める例を示している。
さて、状態(A)→(B)の変化の際、バーナ150の温度上昇として反映されるはずの光計測型温度センサ151の出力信号(図8の上側グラフの縦軸)の増加が、バーナ150の周囲のガスのCO2またはH2Oによるふく射の吸収の増加により打ち消されて、見られない場合が生じる。そこで次の図9の方法及び式1の利用により、CO2またはH2Oによるふく射の吸収の増加に対応して、光計測型温度センサ151の上警報レベルおよび下警報レベルに一定の校正係数を用いて演算し、図7の上側グラフの点線の曲線のように低レベル方向に変化させる。
図9A〜9Dに、ふく射の吸収の増加に対応して校正係数を求める方法を示す。図9Aはボイラ状態情報記録手段に記録されている、事前に実験や数値計算によって得られたふく射吸収量のCO2濃度依存性のデータの数表またはデータベースを表す。変数XはここではCO2濃度としたがバーナ火炎からのふく射を吸収するガスの濃度であればよく、例えばCO2濃度とH2O濃度の和でもよく、あるいは、CO2濃度またはH2O濃度またはそのいずれかひとつでもよく、本図に示される限りではない。変数XはCO2濃度のデータがX1、X2、・・・、Xi、・・・と可算個あり、各Xiに対して変数U(ふく射吸収量の相対値)のデータUiが1個対応している。
図9Bは変数XとUのプロットを表し、状態(A)及び(C)に対応する変数Uの値を可視化したものである。◆印のプロットは可算個のデータ(Xi,Ui)のうち任意の有限個をグラフに可視化したもの、○印のプロットはX=XA及びX=XCにおける◆印のデータの内挿値または外挿値である。図9BではX=XAに対応するUの値をUAと表示している。
図9Cは変数Xと校正係数Vのプロットを表す。図9Bの縦軸をスケール変換し、X=XAにおけるVの値をV=1として規格化したものである。
図9Dは校正係数Vの時間変化を表す。○印のプロットA及びCは図9Cの○印のプロットA及びCに対応する。点線の曲線Bは状態(A)から(C)への変化過程を表す。図9A〜9Dの手順により、ふく射の吸収の増加に対応して校正定数を求めることができる。校正系数演算手段203において、式1を利用して、時刻Tにおける修正された図8の上側グラフの警報レベルの曲線を求められる。式1において、左辺は図8の上側グラフの上または下警報レベルを表す。右辺の分子は図8の上側グラフのT=TBにおける、あらかじめ設定された上または下警報レベルを表す。右辺の分母は図9Dの縦軸の校正係数Vを時間の関数として、V(T)と表示したものである。
その結果、図8の下側グラフに示されるように、バーナ本体の実際の温度が上警報レベルに達する時刻(△印の時刻)において、光計測型温度センサの出力信号が上警報レベルに達する(黒三角印の時刻)。即ち、光計測型温度センサの出力信号からバーナ本体の表面温度を時間の遅れなく正しく監視記録できる。
実施例1のポイントは、図8の時刻TBより後の時間帯で、本図上側グラフの光計測型温度センサの出力信号の上警報レベルおよび下警報レベルがCO2濃度の変化に応じて変化することにある。実施例1により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例2による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法1)を示す。その他の構成については、前述の図6で述べたのと同様であるため、バーナ火炎の監視記録に関する部分のみを詳述する。
図10A、10Bのグラフに、監視記録の一例を示す。図10A及び10BのA及びCの時間帯の状態は、前述の図4の状態(A)及び(C)に対応する。図10AのB1及び図10BのB2の時間帯の状態は、前述の図4の状態(A)から状態(C)までの変化過程の状態(B)に対応する状態を表す。即ち、図4の状態(B)は支燃ガスの成分の取り方が一意的ではないため、状態(A)から状態(C)までの変化過程には複数の支燃ガスの状態の変化過程が存在する。
図10A、10Bには、2個の変化過程B1及びB2が表示されているが、複数存在する支燃ガスの状態の変化過程を表す一例であり本図に表示される限りではない。図10A及び図10Bの横軸及び縦軸、曲線や印の意味は、前述の図7と同様である。
さて、状態(A)→(B)の変化の際、バーナ150の温度上昇として反映されるはずの光計測型温度センサ151の出力信号(図10A及び図10Bの上側グラフの縦軸)の増加が、バーナ150の周囲のガスのCO2またはH2Oによるふく射の吸収の増加により打ち消されて、見られない場合が生じる。そこで次の図11の方法及び式1の利用により、CO2またはH2Oによるふく射の吸収の増加に対応して、上警報レベルおよび下警報レベルを図10A及び図10B上側グラフの点線の曲線のように変化させる。
図11A〜11iに、ふく射の吸収の増加に対応してて校正係数を求める方法を示す。図11Aは、CO2濃度をパラメータのひとつとする状態図を表す。横軸はバーナの周囲のガスのCO2濃度を、縦軸はバーナ火炎の形成と相関を持つ量を表す。横軸のCO2濃度はバーナ火炎からのふく射を吸収するガスの濃度であればよく、例えばCO2濃度とH2O濃度の和でもよく、あるいは、CO2濃度またはH2O濃度またはそのいずれかひとつでもよく、図11に示される限りではない。○印のプロットA及びCは前述の図4の状態(A)及び(C)に対応する。点Aから点Cまでを結ぶ曲線B1及びB2は前述の図4の状態(A)から状態(C)までの変化過程の状態(B)に対応する状態を表す。即ち、前述の図10AのB1及び図10BのB2の時間帯の状態を表す。
図11Bは、事前に実験や数値計算によって得られているふく射吸収量のCO2濃度Xとバーナ火炎の形成と相関を持つ量Yの依存性のデータの数表を表す。変数X(CO2濃度)と変数Yの組のデータが(X1,Y1)、(X2,Y2)、・・・、(Xi,Yi)、・・・と可算個あり、各(Xi,Yi)に対して変数U(ふく射吸収量の相対値)のデータUiが1個対応している。
図11Cは変数XとYの組のプロットを表す。◆印のプロットは可算個のデータ(Xi,Yi)のうち格子点上を占める任意の有限個を、図11Aの状態図上に重ね描きで可視化したものである。
図11Dは、状態図(図11A及び図11C)上のA→B1→Cの変化に着目した、変数XとUのプロットを表す。◆印のプロットは可算個のデータ(Xi,Yi,Ui)のうち図11Cに例示した有限個をグラフに可視化したもの、○印のプロットは状態A)及び状態(C)における◆印のデータの内挿値または外挿値である。
図11Eは変数Xと校正係数Vのプロットを表す。図11Dの縦軸をスケール変換し、(X,Y)=(XA,YA)におけるVの値をV=1と規格化したものである。図11Fは校正係数Vの時間変化を表す。○印のプロットA及びCは図11Eの○印のプロットA及びCに対応する。点線の曲線B1は状態(A)から(C)への変化過程B1(図11A及び図11Cに記載)の間の校正係数Vの時間変化を表す。
図11Gは、状態図(図11A及び図11C)上のA→B2→Cの変化に着目した、変数XとUのプロットを表す。◆印のプロット、○印のプロットの意味は図11Dと同様である。図11Gでは(X,Y)=(XA,YA)に対応するUの値をUAと、(X,Y)=(XC,YC)に対応するUの値をUCと表示している。図11Hは変数Xと校正係数Vのプロットを表す。図11Gの縦軸をスケール変換し、(X,Y)=(XA,YA)におけるVの値をV=1と規格化したものである。
図11iは校正係数Vの時間変化を表す。○印のプロットA及びCの意味は図11Fと同様である。点線の曲線B2は状態(A)から(C)への変化過程B2(図11A及び図11Cに記載)の間の校正係数Vの時間変化を表す。
図11A〜図11iの方法により、支燃ガスを空気から再循環ガスと高純度酸素の混合ガスに切り替える状態の過程の間、ふく射の吸収の増加に対応して校正定数を求めることができる。さらに、式1を利用して、図10A及び図10Bの上側グラフの点線の曲線を求められる。式1において、左辺は図10A及び図10Bの上側グラフの上または下警報レベルを表す。右辺の分子は図10A及び図10Bの上側グラフのT=TBにおける上または下警報レベルを表す。右辺の分母は図11Fまたは図11iの縦軸校正係数Vを時間の関数として意でV(T)と表示したものである。
その結果、図10A及び図10Bの下側グラフに示されるように、バーナ150の実際の温度が上警報レベルに達する時刻(△印の時刻)において、光計測型温度センサの出力信号が上警報レベルに達する(黒三角印の時刻)。即ち、光計測型温度センサの出力信号からバーナ本体の表面温度を時間の遅れなく正しく監視記録できる。
実施例2のポイントは、図10A、図10Bの時刻TBより後の時間帯で、図10A、図10Bの上側グラフの光計測型温度センサの出力信号の上警報レベルおよび下警報レベルを、CO2濃度とバーナ火炎の形成と相関を持つ量の変化に応じて変化させることにある。実施例2により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例3による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法2)を示す。実施例3は実施例2における「バーナ火炎の形成と相関を持つ量」として、「酸素濃度α」を用いた例を示す。図12A、12Bの横軸及び縦軸、曲線や印の意味は、前述の図10A、10Bと同様である。
さて、状態(A)→(B)の変化の際、バーナ150の温度上昇として反映されるはずの光計測型温度センサ151の出力信号(図12A、12Bの上側グラフの縦軸)の増加が、バーナ150の周囲のガスのCO2またはH2Oによるふく射の吸収の増加により打ち消されて、見られない場合が生じる。そこで次の図13A〜図13iの方法及び式1の利用により、CO2またはH2Oによるふく射の吸収の増加に対応して、上警報レベルおよび下警報レベルを図12A、12B上側グラフの点線の曲線のように変化させる。
図13A〜図13iに、ふく射の吸収の増加に対応して校正係数を求める方法を示す。図13Aは、CO2濃度をパラメータのひとつとする状態図を表す。横軸はバーナ150の周囲のガスのCO2濃度を、縦軸は酸素濃度を表す。横軸のCO2濃度はバーナ150火炎からのふく射を吸収するガスの濃度であればよい。○印のプロットA及びCは前述の図4の状態(A)及び(C)に対応する。点Aから点Cまでを結ぶ曲線B1及びB2は前述の図4の状態(A)から(C)までの変化過程の状態B)に対応する状態、即ち前述の図12AのB1及び図12BのB2の時間帯の状態を表す。
図13Bは、事前に実験や数値計算によって得られているふく射吸収量のCO2濃度と酸素濃度の依存性のデータの数表を表す。変数X(CO2濃度)はバーナ火炎からのふく射を吸収するガスの濃度であればよい。変数X(CO2濃度)と変数α(酸素濃度)の組のデータが(X1,α1)、(X2,α2)、・・・、(Xi,αi)、・・・と可算個あり、各(Xi,αi)に対して変数U(ふく射吸収量の相対値)のデータUiが1個対応している。
図13C〜図13iは図11C〜図11iと同様であり、詳細な説明は省略する。その結果、図12A、12Bの下側グラフに示されるように、バーナ150の実際の温度が上警報レベルに達する時刻(△印の時刻)において、光計測型温度センサの出力信号が上警報レベルに達する(黒三角印の時刻)。即ち、光計測型温度センサの出力信号からバーナ150の表面温度を時間の遅れなく正しく監視記録できる。
実施例3のポイントは、実施例2と同様に、図12A、12Bの時刻TBより後の時間帯で、図12A、12Bの上側グラフの光計測型温度センサの出力信号の上警報レベルおよび下警報レベルを、CO2濃度と酸素濃度の変化に応じて変化させることにある。実施例3により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例4による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法3)を示す。実施例4は実施例2における「バーナ火炎の形成と相関を持つ量」として、「酸素比β」を用いた例を示す。
酸素比βは、次の式(2)によって定義される。
但し式2において各変数は以下の様に定義される。
[O]G:バーナ150の周囲のガスに含まれる支燃ガス由来のO原子のモル数
[O]V:燃料の揮発成分由来のO原子のモル数
[C]G:バーナ150の周囲のガスに含まれる支燃ガス由来のC原子のモル数
[C]V:燃料の揮発成分由来のC原子のモル数
[H]G:バーナ150の周囲のガスに含まれる支燃ガス由来のH原子のモル数
[H]V:燃料の揮発成分由来のH原子のモル数
図14A、図14Bに、監視記録の一例を示す。図14A、図14BのA及びCの時間帯の状態は、図4の状態(A)(及び(C)に対応する。図14AのB1及び図14BのB2の時間帯の状態は、前述の図4の状態(A)から状態(C)までの変化過程の状態(B)に対応する状態を表す。
即ち、図4の状態(B)は支燃ガスの成分の取り方が一意的ではないため、状態(A)から(C)までの変化過程には複数の支燃ガスの状態の変化過程が存在する。図14A、図14Bには、2個の変化過程B1及びB2が表示されているが、複数存在する支燃ガスの状態の変化過程を表す一例であり、本図に表示される限りではない。図14A、図14Bの横軸及び縦軸、曲線や印の意味は、前述の図12A、12Bと同様である。
さて、状態(A)→(B)の変化の際、バーナ150の温度上昇として反映されるはずの光計測型温度センサ151の出力信号(図15A及び図15Bの上側グラフの縦軸)の増加が、バーナ150の周囲のガスのCO2またはH2Oによるふく射の吸収の増加により打ち消されて、見られない場合が生じる。そこで次の方法及び式1の利用により、CO2またはH2Oによるふく射の吸収の増加に対応して、上警報レベルおよび下警報レベルを図14A、図14B上側グラフの点線の曲線のように変化させる。
図15A〜図15iに、ふく射の吸収の増加に対応して校正係数を求める方法を示す。図15Aは、CO2濃度をパラメータのひとつとする状態図の一例を表す。横軸はバーナ150の周囲のガスのCO2濃度を、縦軸は酸素比を表す。横軸のCO2濃度はバーナ火炎からのふく射を吸収するガスの濃度であればよい。
○印のプロットA及びCは前述の図4の状態(A)及び(C)に対応する。点Aから点Cまでを結ぶ曲線B1及びB2は前述の図4の状態(A)から状態(C)までの変化過程の状態(B)に対応する状態を表す。即ち、前述の図14AのB1及び図14BのB2の時間帯の状態を表す。
図15Bは、事前に実験や数値計算によって得られているふく射吸収量のCO2濃度と酸素比の依存性のデータの数表を表す。変数X(CO2濃度)はバーナ火炎からのふく射を吸収するガスの濃度であればよい。
変数X(CO2濃度)と変数β(酸素比)の組のデータが(X1,β1)、(X2,β2)、・・・、(Xi,βi)、・・・と可算個あり、各(Xi,βi)に対して変数U(ふく射吸収量の相対値)のデータUiが1個対応している。
図15Cは変数Xとβの組のプロットを表す。◆印のプロットは可算個のデータ(Xi,βi)のうち格子点上を占める任意の有限個を、図15Aの状態図上に重ね描きで可視化したものである。
図15Dは、状態図(図15A及び図15C)上のA→B1→Cの変化に着目した、変数Xとβに対応したUのプロットを表す。◆印のプロットは可算個のデータ(Xi,βi,Ui)のうち図15Cに例示した有限個をグラフに可視化したもの、○印のプロットは状態(A)及び状態(C)における◆印のデータの内挿値または外挿値である。図15Dでは(X,β)=(XA,βA)に対応するUの値をUAと、(X,β)=(XC,βC)に対応するUの値をUCと表示している。
図15Eは変数Xと校正係数Vのプロットを表す。図15Dの縦軸をスケール変換し、(X,β)=(XA,βA)におけるVの値をV=1と規格化したものである。図15Fは校正係数Vの時間変化を表す。○印のプロットA及びCは図15Eの○印のプロットA及びCに対応する。点線の曲線B1は状態(A)から(C)への変化過程B1(図15A及び図15Cに記載)の間の校正係数Vの時間変化を表す。
図15Gは、状態図(図15A及び図15C)上のA→B2→Cの変化に着目した、変数XとUのプロットを表す。◆印のプロット、○印のプロットの意味は図15Dと同様である。図15Gでは(X,β)=(XA,βA)に対応するUの値をUAと、(X,β)=(XC,βC)に対応するUの値をUCと表示している。図15Hは変数Xと校正係数Vのプロットを表す。図15Gの縦軸をスケール変換し、(X,β)=(XA,βA)におけるVの値をV=1と規格化したものである。
図15iは校正係数Vの時間変化を表す。○印のプロットA及びCの意味は図15Fと同様である。点線の曲線B2は状態(A)から(C)への変化過程B2(図15A及び図15Cに記載)の間の校正係数Vの時間変化を表す。図15A〜図15iの方法により、支燃ガスを空気から再循環ガスと高純度酸素の混合ガスに切り替える状態の過程の間、ふく射の吸収の増加に対応して校正定数を求めることができる。
さらに、式1を利用して、図14A及び図14Bの上側グラフの点線の曲線を求められる。式1において、左辺は図14A及び図14Bの上側グラフの上または下警報レベルを表す。右辺の分子は図14A及び図14Bの上側グラフのT=TBにおける上または下警報レベルを表す。右辺の分母は図15Fまたは図15iの縦軸Vを時間の関数としてV(T)と表示したものである。
その結果、図14A及び図14Bの下側グラフに示されるように、バーナ150の実際の温度が上警報レベルに達する時刻(△印の時刻)において、光計測型温度センサの出力信号が上警報レベルに達する(黒三角印の時刻)。即ち、光計測型温度センサの出力信号からバーナ150の表面温度を時間の遅れなく正しく監視記録できる。
実施例4のポイントは、図14A及び図14Bの時刻TBより後の時間帯で、図14A及び図14Bの上側グラフの光計測型温度センサの出力信号の上警報レベルおよび下警報レベルを、CO2濃度と酸素比の変化に応じて変化させることにある。実施例4により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例5から実施例7において光計測型温度センサの安全範囲による制御について説明する。実施例5は、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法4)を示す。
図16に、監視記録に必要な、光計測型温度センサの出力信号の安全範囲のCO2濃度依存性のデータを試運転で得る、本発明に係る酸素燃焼ボイラの一例を示す。酸素供給系70と再循環ガス供給系90は混合機構92によって連絡しており、空気供給系80と合流し、バーナ150に接続されている。空気供給系80との合流点とバーナ150との間には濃度測定器161、流量測定器162が設置されている。バーナ150には、光計測型温度センサ151が設けられている。1次ガス供給系60はバーナ150に接続されており、バーナ150の接続手前には濃度測定器161、流量測定器162が設置されている。濃度測定器161及び流量測定器162により、バーナ150の周囲のガスのCO2濃度が監視記録されている。監視記録対象のCO2濃度はバーナ火炎からのふく射を吸収するガスの濃度であればよい。光計測型温度センサ151により、バーナ火炎が監視記録されている。
図17A〜図17Cに監視記録の一例を示す。図17Aは、図16の試運転時の酸素燃焼ボイラによってあらかじめ得られた光計測型温度センサの出力信号の安全範囲のCO2濃度依存性のデータの数表を表す。変数X(CO2濃度)はバーナ火炎からのふく射を吸収するガスの濃度であればよい。図17Aに示す安全範囲情報は、制御装置200のボイラ状態情報記録手段202に記録され制御時に読み出される。
変数X(CO2濃度)のデータがX1、X2、・・・、Xi、・・・と可算個あり、各Xiに対して変数P(光計測型温度センサの出力信号)のデータの範囲(Pmin,i〜Pmax,i)が1個対応している。図17Bは変数XとPのプロットを表す。横軸は変数X(CO2濃度)を、縦軸は図16で述べた光計測型温度センサ151の出力信号を表す。◇印のプロットは図17Aの可算個のデータ(Xi,Pmin,i)及び(Xi,Pmax,i)のうち任意の有限個を可視化したものである。実線の閉曲線は、◇印のデータの包絡線である。包絡線で囲まれる範囲は安全範囲を表す。図17Bでは、図17Aのn番目のデータX=Xnに対応するPの範囲の下限をPmin,nと、上限をPmax,nと表示している。図17Cは、本発明に係る酸素燃焼ボイラの、支燃ガスを空気から再循環ガスと高純度酸素の混合ガスに切り替える過程の可視化の一例を表す。
図17Cの横軸、縦軸及び実線の閉曲線の意味は、図17Bと同様である。○印のプロットA及びCは、それぞれ前述の図4の状態(A)及び状態(C)の光計測型温度センサの出力信号に対応する。
曲線B3及びB4は、前述の状態(B)(支燃ガスの主成分が空気と再循環ガスと高純度酸素の混合ガスである状態)の光計測型温度センサの出力信号の軌跡に対応する。曲線B3は、状態(A)→(C)への変化の過程で光計測型温度センサの出力信号が実線の閉曲線をはみ出ない場合、即ち光計測型温度センサの出力信号が安全範囲に入っている場合を示す。曲線B4は、状態(A)→(C)への変化の過程で光計測型温度センサの出力信号が実線の閉曲線をはみ出る場合、即ち光計測型温度センサの出力信号が安全範囲を逸脱する場合の一例を示す。
その結果、図17Cの曲線B4に示されるように、光計測型温度センサの出力信号が安全範囲を逸脱する時刻(曲線B4の軌跡が▽印に達する時刻)直後から、バーナ火炎異常の警告が表示される。即ち、光計測型温度センサの出力信号からバーナ火炎の異常を時間の遅れなく正しく監視記録できる。
実施例5のポイントは、図17Aの安全範囲の情報を用いて、図17Bのように実線の閉曲線に係る2次元データベースを作成し、データベースを引用することにより光計測型温度センサの出力信号の安全範囲が支燃ガスの切り替えの過程において把握されていることにある。実施例5により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例6による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法5)を示す。
図18に、監視記録に必要な、光計測型温度センサの出力信号の安全範囲のCO2濃度依存性のデータを試運転で得る、本発明に係る酸素燃焼ボイラの一例を示す。酸素供給系70と再循環ガス供給系90は混合機構92によって連絡しており、空気供給系80と合流し、バーナ150に接続されている。空気供給系80との合流点とバーナ150との間には濃度測定器161、流量測定器162が設置されている。バーナ150には、光計測型温度センサ151が設けられている。1次ガス供給系60はバーナ150に接続されており、バーナ150の接続手前には濃度測定器161、流量測定器162が設置されている。2個の濃度測定器161及び流量測定器162により、バーナ150の周囲のガスのCO2濃度及び酸素濃度が監視記録されている。
図19A〜図19Dに監視記録の一例を示す。図19Aは、図17の試運転時の酸素燃焼ボイラによってあらかじめ得られた光計測型温度センサの出力信号の安全範囲のCO2濃度と酸素濃度の依存性のデータの数表を表す。変数X(CO2濃度)はバーナ火炎からのふく射を吸収するガスの濃度であればよい。変数X(CO2濃度)と変数α(酸素濃度)の組のデータが(X1,α1)、(X2,α2)、・・・、(Xi,αi)、・・・と可算個あり、各(Xi,αi)に対して変数P(光計測型温度センサの出力信号)のデータの範囲(Pmin,i〜Pmax,i)が1個対応している。
図19Bは変数XとPのプロットを表す。横軸は変数X(CO2濃度)を、縦軸は図18で述べた光計測型温度センサ151の出力信号を表す。本図では、図19Aの可算個のデータのうちα=α1、α=αj−1及びα=αjである任意の有限個を可視化したものを表示している。特にα=αjのグラフの◇印のプロットは図19Aの可算個のデータ(Xi,Pmin,i)及び(Xi,Pmax,i)のうちα=αjを満たす任意の有限個を可視化したものである。実線の閉曲線は、◇印のデータの包絡線である。包絡線で囲まれる範囲は安全範囲を表す。図19Bでは、図19Aのn番目のデータ(X,α)=(Xn,αj)に対応するPの範囲の下限をPmin,nと、上限をPmax,nと表示している。
図19Cは、本発明に係る酸素燃焼ボイラの、支燃ガスを空気から再循環ガスと高純度酸素の混合ガスに切り替える過程の可視化に必要な内部データの一例を表す。横軸、縦軸及び実線の閉曲線の意味は、図19Bと同様である。図19Cは、図19Aの可算個のデータのうち次の式(3)を満たすα=αk−1及びα=αkである任意の有限個を可視化したものを表示している。
但し式3において、α(T)は時刻Tにおけるバーナ150の周囲のガスの酸素濃度を表す。特にα=αkのグラフの◇印のプロットは図19Aの可算個のデータ(Xi,Pmin,i)及び(Xi,Pmax,i)のうちα=αkを満たす任意の有限個を可視化したものである。図19Aのm番目のデータ(X,α)=(Xm,αk)に対応するPの範囲の下限をPmin,mと、上限をPmax,mと表示している。これらα=αk−1及びα=αkの2個の系列のデータを内部データとして保持し、これらの内部データから時刻Tにおける安全範囲を内装により求める。
図19Dは、本発明に係る酸素燃焼ボイラの、支燃ガスを空気から再循環ガスと高純度酸素の混合ガスに切り替える過程の可視化の一例を表す。横軸及び縦軸の意味は、図19Bと同様である。実線の閉曲線は、図19Cの2個の系列のデータを含む内部データの実線の閉曲線に係る情報からα=α(T)における実線の閉曲線を内挿により求めたものである。○印のプロットA及びCは、それぞれ前述の図4の状態(A)及び状態(C)の変数X及び光計測型温度センサの出力信号の値に対応する。
曲線B3及びB4は、前述の状態(B)の変数X及び光計測型温度センサの出力信号の値の軌跡に対応する。曲線B3は、状態(A)→(C)への変化の過程で光計測型温度センサの出力信号が実線の閉曲線をはみ出ない場合、即ち光計測型温度センサの出力信号が安全範囲に入っている場合を示す。曲線B4は、状態(A)→(C)への変化の過程で光計測型温度センサの出力信号が実線の閉曲線をはみ出る場合、即ち光計測型温度センサの出力信号が安全範囲を逸脱する場合の一例を示す。
その結果、図19Dの曲線B4に示されるように、光計測型温度センサの出力信号が安全範囲を逸脱する時刻(曲線B4の軌跡が▽印に達する時刻)直後から、バーナ火炎異常の警告が表示される。即ち、光計測型温度センサの出力信号からバーナ火炎の異常を時間の遅れなく正しく監視記録できる。
実施例6のポイントは、試運転時の試験によって得た図19Aの安全範囲の情報を用いて、図19Bのように実線の閉曲線に係る2次元データベースを作成し、2次元データベースを引用することにより、光計測型温度センサの出力信号の安全範囲を支燃ガスの切り替えの過程において把握することにある。
実施例6により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例7による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法6)を示す。その他の構成については前述の図6で述べたのと同様であるため、バーナ火炎の監視記録に関する部分のみを詳述する。
図20に、監視記録に必要な、光計測型温度センサの出力信号の安全範囲のCO2濃度依存性のデータを試運転で得る、本発明に係る酸素燃焼ボイラの一例を示す。酸素供給系70と再循環ガス供給系90は混合機構92によって連絡しており、空気供給系80と合流し、バーナ150に接続されている。空気供給系80との合流点とバーナ150との間には濃度測定器161、流量測定器162が設置されている。バーナ150には、光計測型温度センサ151が設けられている。1次ガス供給系60はバーナ150に接続されており、バーナ150の接続手前には濃度測定器161、流量測定器162が設置されている。2個の濃度測定器161及び流量測定器162により、バーナ150の周囲のガスのCO2濃度、酸素濃度、及び、燃料の流量が監視記録されている。監視記録対象の燃焼の工業分析値及び元素組成は予め把握されていることが前提されている。また、光計測型温度センサ151により、バーナ火炎が監視記録されている。
図21A〜図21Dに監視記録の一例を示す。図21Aは、図19の試運転時の酸素燃焼ボイラによって得られる光計測型温度センサの出力信号の安全範囲のCO2濃度と酸素濃度の依存性のデータの数表を表す。変数X(CO2濃度)と変数β(酸素比)の組のデータが(X1,β1)、(X2,β2)、・・・、(Xi,βi)、・・・と可算個あり、各(Xi,βi)に対して変数P(光計測型温度センサの出力信号)のデータの範囲(Pmin,i〜Pmax,i)が1個対応している。
図21Bは変数XとPのプロットを表す。横軸は変数X(CO2濃度)を、縦軸は図19で述べた光計測型温度センサ151の出力信号を表す。図21Bでは、図21Aの可算個のデータのうちβ=β1、β=βj−1及びβ=βjである任意の有限個を可視化したものを表示している。特にβ=βjのグラフの◇印のプロットは図21Aの可算個のデータ(Xi,Pmin,i)及び(Xi,Pmax,i)のうちβ=βjを満たす任意の有限個を可視化したものである。実線の閉曲線は、◇印のデータの包絡線である。包絡線で囲まれる範囲は安全範囲を表す。図21Bでは、図21Aのn番目のデータ(X,β)=(Xn,βj)に対応するPの範囲の下限をPmin,nと、上限をPmax,nと表示している。
図21Cは、本発明に係る酸素燃焼ボイラの、支燃ガスを空気から再循環ガスと高純度酸素の混合ガスに切り替える過程の可視化に必要な内部データの一例を表す。横軸、縦軸及び実線の閉曲線の意味は、図21Bと同様である。本図では、図21Aの可算個のデータのうち次の式(4)を満たすβ=βk−1及びβ=βkである任意の有限個を可視化したものを表示している。
但し式4において、β(T)は時刻Tにおけるバーナ150の周囲のガスの酸素比を表す。特にβ=βkのグラフの◇印のプロットは図21Aの可算個のデータ(Xi,Pmin,i)及び(Xi,Pmax,i)のうちβ=βkを満たす任意の有限個を可視化したものである。図21Aのm番目のデータ(X,β)=(Xm,βk)に対応するPの範囲の下限をPmin,mと、上限をPmax,mと表示している。これらβ=βk−1及びβ=βkの2個の系列のデータを内部データとして保持し、これらの内部データから時刻Tにおける安全範囲を内装により求める。
図21Dは、本発明に係る酸素燃焼ボイラの、支燃ガスを空気から再循環ガスと高純度酸素の混合ガスに切り替える過程の可視化の一例を表す。横軸及び縦軸の意味は、図21Bと同様である。実線の閉曲線は、図21Cの2個の系列のデータを含む内部データの実線の閉曲線に係る情報からβ=β(T)における実線の閉曲線を内挿により求めたものである。○印のプロットA及びCは、それぞれ前述の図4の状態(A)及び状態(C)の変数X及び光計測型温度センサの出力信号の値に対応する。
曲線B3及びB4は、前述の状態(B)の変数X及び光計測型温度センサの出力信号の値の軌跡に対応する。曲線B3は、状態(A)→(C)への変化の過程で光計測型温度センサの出力信号が実線の閉曲線をはみ出ない場合の一例を示す。即ち、光計測型温度センサの出力信号が安全範囲に入っている場合を示す。曲線B4は、状態(A)→(C)への変化の過程で光計測型温度センサの出力信号が実線の閉曲線をはみ出る場合、即ち光計測型温度センサの出力信号が安全範囲を逸脱する場合の一例を示す。
その結果、図21Dの曲線B4に示されるように、光計測型温度センサの出力信号が安全範囲を逸脱する時刻(曲線B4の軌跡が▽印に達する時刻)直後から、バーナ火炎異常の警告が表示される。即ち、光計測型温度センサの出力信号からバーナ火炎の異常を時間の遅れなく正しく監視記録できる。
実施例7のポイントは、試運転時の試験によって得た図21Aの安全範囲の情報を用いて、図21Bのように実線の閉曲線に係る2次元データベースを作成し、2次元データベースを引用することにより光計測型温度センサの出力信号の安全範囲が支燃ガスの切り替えの過程において把握されていることにある。実施例7により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例8による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法7)を示す。
図22に、本発明に係る支燃ガスの切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラの一例を示す。酸素供給系70と再循環ガス供給系90は混合機構92によって連絡しており、複数のバーナ段への分岐点を経て空気供給系80と合流し、バーナ150に接続されている。混合機構92と、空気供給系80との合流点との間には濃度測定器161、流量測定器162、上段、中段、及び下段バーナへの分岐点、流量調整弁94、及び、前壁側及び後壁側のバーナへの分岐点が設けられている。
さらに、空気供給系80との合流点とバーナ150との間には濃度測定器161、流量測定器162が設置されている。空気供給系80との合流点に至るまでの空気供給系80には、上段、中段、及び下段バーナへの分岐点、前壁側及び後壁側のバーナへの分岐点、及び、流量調整弁83が設けられている。流量調整弁94により、上段、中段、及び下段バーナ毎に、支燃ガスに含まれる再循環ガスと高純度酸素との混合ガスの割合を増減し、流量調整弁83により、前壁側及び後壁側の上段、中段、及び下段バーナ毎に、支燃ガスに含まれる空気の割合を増減する。
即ち、上段、中段、及び下段バーナ毎のうちいずれか1段のバーナ毎に支燃ガスを、空気を主成分とするガスから再循環ガスと高純度酸素の混合ガスを主成分とするガスに切り替えることができる。流量調整弁83、94の調整は制御装置200により制御される。
図23A、23Bに本発明に係る、図22の支燃ガス切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラを利用した、支燃ガスの切り替え方法の一例を示す。図22Aには、上段及び中段バーナに主燃料として油が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。図22Aの状態(A)では、上段及び中段バーナに油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されており、流量調整弁94によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態(A)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量を減らすことによって、状態(B)のように上段バーナには油火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)16が、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態(B)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量をゼロにすることによって、状態(C)のように上段バーナには油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
図23Bは、上段及び中段バーナに主燃料として石炭が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。図23Bの状態(A)では、上段及び中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナには補助火炎11が形成されており、流量調整弁94によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態(A)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量を減らすことによって、状態(B)のように上段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)14が、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナには補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態(B)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量をゼロにすることによって、状態(C)のように上段バーナには石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
実施例8のポイントは、図23A及び図23Bの状態(A)のように主燃料の燃焼の支燃ガスの主成分が空気であるバーナが上下方向に隣接して2段形成されている状態から、隣接する2段のバーナのうち上側の段(上段)のバーナに再循環ガスを含むガスを導入する過程(A)→(B)→(C)においても直下の段(中段)のバーナに空気を支燃ガスとする火炎が形成されていることにある。その結果、直下の段(中段)のバーナ火炎からの加熱により、支燃ガス切り替え対象段のバーナ火炎の失火を回避できる。実施例8により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例9による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法8)を示す。
図24に、本発明に係る支燃ガスの切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラの一例を示す。酸素供給系70と再循環ガス供給系90は混合機構92によって連絡しており、複数のバーナ段への分岐点を経て空気供給系80と合流し、バーナ150に接続されている。混合機構92と、空気供給系80との合流点との間には濃度測定器161、流量測定器162、上段、中段、及び下段バーナへの分岐点、流量調整弁94、前壁側及び後壁側のバーナへの分岐点、及び流量調整弁94が設けられている。さらに、空気供給系80との合流点とバーナ150との間には濃度測定器161、流量測定器162が設置されている。空気供給系80との合流点に至るまでの空気供給系80には、上段、中段、及び下段バーナへの分岐点、前壁側及び後壁側のバーナへの分岐点、及び、流量調整弁83が設けられている。
流量調整弁94により、前壁側及び後壁側の上段、中段、及び下段バーナ毎に、支燃ガスに含まれる再循環ガスと高純度酸素との混合ガスの割合を増減し、流量調整弁83により、前壁側及び後壁側の上段、中段、及び下段バーナ毎に、支燃ガスに含まれる空気の割合を増減する。即ち、前壁側及び後壁側の上段、中段、及び下段バーナ毎のうちいずれか1段のバーナ毎に支燃ガスを、空気を主成分とするガスから再循環ガスと高純度酸素の混合ガスを主成分とするガスに切り替えることができる。
図25A、図25Bに、本発明に係る図24の支燃ガス切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラを利用した、支燃ガスの切り替え方法の一例を示す。
図25Aは、前壁側の上段バーナ及び前壁側及び後壁側の中段バーナに主燃料として油が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。図25Aの状態(A)では、前壁側の上段バーナ及び前壁側及び後壁側の中段バーナに油火炎(支燃ガス:空気)12が、前壁側及び後壁側の下段バーナに補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止され流量調整弁94によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態(A)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量を減らすことによって、状態(B)のように前壁側の上段バーナには油火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)16が、前壁側及び後壁側の中段バーナに油火炎(支燃ガス:空気)12が、前壁側及び後壁側の下段バーナに補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態(B)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量をゼロにすることによって、状態(C)のように前壁側の上段バーナには油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が、前壁側及び後壁側の中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、前壁側及び後壁側の下段バーナに補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されている状態へ変化させることができる。
図25Bは、前壁側の上段バーナ及び前壁側及び後壁側の中段バーナに主燃料として石炭が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。図25Bの状態(A)では、前壁側の上段バーナ及び及び前壁側及び後壁側の中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、前壁側及び後壁側の下段バーナには補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されており、流量調整弁94によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態(A)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量を減らすことによって、状態(B)のように前壁側の上段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)14が、前壁側及び後壁側の中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、前壁側及び後壁側の下段バーナには補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態(B)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量をゼロにすることによって、状態(C)のように前壁側の上段バーナには石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が、前壁側及び後壁側の中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、前壁側及び後壁側の下段バーナに補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されている状態へ変化させることができる。
実施例9のポイントは、図25A及び図25Bの状態(A)のように主燃料の燃焼の支燃ガスの主成分が空気であるバーナが上下方向に隣接して2段形成され、かつ上側バーナの前壁側または後壁側のみが燃焼しているものにおいて、その状態から、隣接する2段のバーナのうち上側の段(上段)のバーナに再循環ガスを含むガスを導入する過程(A)→(B)→(C)においても直下の段(中段)のバーナに空気を支燃ガスとする火炎が形成されていることにある。その結果、直下の段(中段)のバーナ火炎からの加熱により、支燃ガス切り替え対象段のバーナ火炎の失火を回避できる。実施例9により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例10による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法9)を示す。実施例10は、実施例8に比較して、各バーナ150に光計測型温度センサ151を取り付けたものである。
図26A、図26Bに本発明に係る、図6〜図21A、21Bのいずれかに記載のバーナ火炎監視記録方法を有し、かつ、図22の支燃ガス切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラを利用した、支燃ガスの切り替え方法の一例を示す。図26Aは、上段及び中段バーナに主燃料として油が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。本図の状態(A)では、上段及び中段バーナに油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されており、流量調整弁94によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態(A)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量を減らすことによって、状態(B)のように上段バーナには油火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)16が、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態(B)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量をゼロにすることによって、状態(C)のように上段バーナには油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
図26Bは、上段及び中段バーナに主燃料として石炭が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。本図の状態(A)では、上段及び中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナには補助火炎11が形成されており、流量調整弁94によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態(A)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量を減らすことによって、状態(B)のように上段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)14が、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナには補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態(B)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量をゼロにすることによって、状態(C)のように上段バーナには石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
実施例10のポイントは、バーナ火炎監視記録方法による制御とともに、図26A及び図26Bの状態(A)のように主燃料の燃焼の支燃ガスの主成分が空気であるバーナが上下方向に隣接して2段形成されている状態から、隣接する2段のバーナのうち上側の段(上段)のバーナに再循環ガスを含むガスを導入する過程(A)→(B)→(C)においても直下の段(中段)のバーナに空気を支燃ガスとする火炎が形成されていることにある。その結果、直下の段(中段)のバーナ火炎からの加熱により、支燃ガス切り替え対象段のバーナ火炎の失火を回避できる。実施例10により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例11による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法10)を示す。実施例11は、実施例9に比較して、バーナ150に光計測型温度センサ151を取り付けたものである。
図27A、図27Bに本発明に係る、図6〜図21A、21Bのいずれかに記載のバーナ火炎監視記録方法を有し、かつ、図24の支燃ガス切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラを利用した、支燃ガスの切り替え方法の一例を示す。図27Aは、前壁側の上段バーナ及び前壁側及び後壁側の中段バーナに主燃料として油が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。本図の状態(A)では、前壁側の上段バーナ及び前壁側及び後壁側の中段バーナに油火炎(支燃ガス:空気)12が、前壁側及び後壁側の下段バーナに補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されており、流量調整弁94によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態(A)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量を減らすことによって、状態(B)のように前壁側の上段バーナには油火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)16が、前壁側及び後壁側の中段バーナに油火炎(支燃ガス:空気)12が、前壁側及び後壁側の下段バーナに補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態(B)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量をゼロにすることによって、状態(C)のように前壁側の上段バーナには油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が、前壁側及び後壁側の中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、前壁側及び後壁側の下段バーナに補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されている状態へ変化させることができる。
図27Bは、前壁側の上段バーナ及び前壁側及び後壁側の中段バーナに主燃料として石炭が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。図27Bの状態(A)では、前壁側の上段バーナ及び及び前壁側及び後壁側の中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、前壁側及び後壁側の下段バーナには補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されており、流量調整弁94によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態(A)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量を減らすことによって、状態(B)のように前壁側の上段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)14が、前壁側及び後壁側の中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、前壁側及び後壁側の下段バーナには補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態(B)から、流量調整弁94の操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83の操作によって空気の流量をゼロにすることによって、状態(C)のように前壁側の上段バーナには石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が、前壁側及び後壁側の中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、前壁側及び後壁側の下段バーナに補助火炎11が形成されており、かつ、後壁側の上段バーナが休止されている状態へ変化させることができる。
実施例11のポイントは、バーナ火炎監視記録方法による制御とともに、図27A及び図27Bの状態(A)のように主燃料の燃焼の支燃ガスの主成分が空気であるバーナが上下方向に隣接して2段形成されている状態から、隣接する2段のバーナのうち上側の段(上段)のバーナに再循環ガスを含むガスを導入する過程(A)→(B)→(C)においても直下の段(中段)のバーナに空気を支燃ガスとする火炎が形成されていることにある。その結果、直下の段(中段)のバーナ火炎からの加熱により、支燃ガス切り替え対象段のバーナ火炎の失火を回避できる。実施例11により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例12による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法11)を示す。実施例12、13は、何れも同一段のバーナにおける燃焼制御方法を示す。
図28に、本発明に係る支燃ガスの切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラの一例を示す。酸素供給系70と再循環ガス供給系90は混合機構92によって連絡しており、上段、中段及び下段のバーナ段への分岐点、流量調整弁94、前壁側及び後壁側のバーナへの分岐点、別の流量調整弁94b、各バーナ個別への分岐点、及び、別の流量調整弁94cを経て、空気供給系80と合流し、バーナ150に接続されている。
混合機構92と、空気供給系80との合流点との間には濃度測定器161、流量測定器162、上段、中段及び下段のバーナ段への分岐点、流量調整弁94、及び、前壁側及び後壁側のバーナへの分岐点に加えて、流量調整弁94b、各バーナ個別への分岐点、複数の流量調整弁94cが設けられている。空気供給系80との合流点とバーナ150との間には、濃度測定器161、流量測定器162が設置されている。空気供給系80との合流点に至るまでの空気供給系80には、前壁側及び後壁側のバーナへの分岐点、上段、中段及び下段バーナへの分岐点、流量調整弁83、各バーナ個別への分岐点、及び、複数の流量調整弁83bが設けられている。
流量調整弁94及び94bの操作により、前壁側及び後壁側の、上段、中段及び下段バーナの任意の1段のバーナ段毎に、支燃ガスに含まれる再循環ガスと高純度酸素との混合ガスの割合を増減でき、 流量調整弁83及び83bの操作により、前壁側及び後壁側の上段、中段、及び下段バーナの任意の1段のバーナ段の、任意の1個のバーナ個別に、支燃ガスに含まれる空気の割合を増減できる。
さらに、流量調整弁94、94b及び94cの操作により、前壁側及び後壁側の、上段、中段及び下段バーナの任意の1段のバーナ段の、任意の1個のバーナ個別に、支燃ガスに含まれる再循環ガスと高純度酸素との混合ガスの割合を増減できる。即ち、前壁側及び後壁側の、上段、中段及び下段バーナの任意の1段のバーナ段の、任意の1個のバーナ個別に、空気を主成分とするガスから再循環ガスと高純度酸素の混合ガスを主成分とするガスに、支燃ガスを切り替えることができる。
図29A、図29Bに、本発明に係る、図28の支燃ガス切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラを利用した、支燃ガスの切り替え方法の一例を示す。図29Aの(a)〜(f)には、前壁側の上段及び中段バーナに主燃料として油が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。
図29Aの(a)の状態では、上段及び中段バーナに油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されており、流量調整弁94、94b及び94cによって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量を減らし、(b)のように上段バーナの左から1番目には油火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)16が、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量をゼロにすることによって、(c)のように上段バーナの左から1番目には油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
図29Aの(a)→(b)→(c)のように、上段バーナの左から順にバーナ1個ずつ支燃ガスの切り替えを進め、(d)のように上段バーナの左から1〜5番目のバーナには油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が形成された状態にすることができる。
この状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量を減らし、(e)のように上段バーナの左から1〜5番目のバーナには油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が形成され、上段バーナの左から6番目のバーナには油火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)16が形成され、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量をゼロにすることによって、最終的に(f)のように上段バーナには油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
図29B(g)〜(L)には、前壁側の上段及び中段バーナに主燃料として石炭が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。図29B(g)の状態では、上段及び中段バーナに石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されており、流量調整弁94、94b及び94cによって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量を減らし、本図(h)のように上段バーナの左から1番目には石炭 (支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)14が、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量をゼロにすることによって、図29B(i)のように上段バーナの左から1番目には石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
図29Bの(g)→(h)→(i)のように、上段バーナの左から順にバーナ1個ずつ支燃ガスの切り替えを進め、(j)のように上段バーナの左から1〜5番目のバーナには石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が形成された状態にすることができる。
この状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量を減らし、(k)のように上段バーナの左から1〜5番目のバーナには石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が形成され、上段バーナの左から6番目のバーナには石炭火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)14が形成され、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量をゼロにすることによって、(L)のように上段バーナには石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
実施例12の第1のポイントは、図29Aの(a)及び図29Bの(g)の状態のように主燃料の燃焼の支燃ガスの主成分が空気であるバーナが、上下方向に隣接して2段形成されている状態から、隣接する2段のバーナのうち上側の段(上段)のバーナに再循環ガスを含むガスを導入する過程である、図29Aの(a)→(f)または図29Bの(g)→(L)においても、直下の段(中段)のバーナに空気を支燃ガスとする火炎が形成されていることにある。
実施例12の第2のポイントは、図29Aの(a)及び図29Bの(g)の状態のように主燃料の燃焼の支燃ガスの主成分が空気であるバーナが、上下方向に隣接して2段形成されている状態から、隣接する2段のバーナのうち上側の段(上段)のバーナのうちの任意の1個のバーナ個別に再循環ガスを含むガスを導入する過程(a)→(c)または(g)→(i)のように、失火のリスクがある支燃ガスの切り替えバーナの個数を少なくできることにある。その結果、直下の段(中段)のバーナ火炎からの加熱により、支燃ガス切り替え対象段のバーナ火炎の失火を回避でき、かつ、失火のリスクを低くできる。実施例12により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
次に、本発明の実施例13による、支燃ガスを空気から再循環排ガスと酸素を含むガスへ切り替える機構を有する酸素燃焼ボイラの一例(別法12)を示す。
図30に、本発明に係る支燃ガスの切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラの一例を示す。酸素供給系70と再循環ガス供給系90は混合機構92によって連絡しており、上段、中段及び下段のバーナ段への分岐点、流量調整弁94、前壁側及び後壁側のバーナへの分岐点及び別の流量調整弁94bを経て、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナ個別へ通じる経路では空気供給系80と合流し、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナを除くバーナへ通じる経路ではさらに、別の流量調整弁94c、及び、各バーナ個別への分岐点を経て空気供給系80と合流し、バーナ150に接続されている。
混合機構92と、空気供給系80との合流点との間には濃度測定器161、流量測定器162、上段、中段及び下段のバーナ段への分岐点、流量調整弁94、前壁側及び後壁側のバーナへの分岐点に加えて、流量調整弁94b、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナを除くバーナへ通じる経路では単独の流量調整弁94c、及び、各バーナ個別への分岐点が設けられている。空気供給系80との合流点とバーナ150との間には、濃度測定器161、流量測定器162が設置されている。空気供給系80との合流点に至るまでの空気供給系80には、前壁側及び後壁側のバーナへの分岐点、上段、中段及び下段バーナへの分岐点、流量調整弁83、各バーナ個別への分岐点、及び、複数の流量調整弁83bが設けられている。
流量調整弁94及び94bの操作により、前壁側及び後壁側の、上段、中段及び下段バーナの、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナ個別に、支燃ガスに含まれる再循環ガスと高純度酸素との混合ガスの割合を増減でき、流量調整弁83及び83bの操作により、前壁側及び後壁側の上段、中段、及び下段バーナの任意の1段のバーナ段の、任意の1個のバーナ個別に、支燃ガスに含まれる空気の割合を増減できる。
さらに、流量調整弁94、94b及び94cの操作により、前壁側及び後壁側の、上段、中段及び下段バーナの任意の1段のバーナ段の、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナを除くバーナ一括で、支燃ガスに含まれる再循環ガスと高純度酸素との混合ガスの割合を増減できる。即ち、前壁側及び後壁側の、上段、中段及び下段バーナの任意の1段のバーナ段の、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナ個別に、空気を主成分とするガスから再循環ガスと高純度酸素の混合ガスを主成分とするガスに、支燃ガスを切り替えることができる。
図31A、図31Bに、本発明に係る、図30の支燃ガス切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラを利用した、支燃ガスの切り替え方法の一例を示す。図31A(a)〜(e)には、前壁側の上段及び中段バーナに主燃料として油が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。(a)の状態では、上段及び中段バーナに油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されており、流量調整弁94、94b及び94cによって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態から、流量調整弁94及び94bの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量を減らし、(b)のように上段バーナの、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナには油(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)16が、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態から、流量調整弁94及び94bの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量をゼロにすることによって、(c)のように上段バーナの、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナには油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
この状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量を減らし、(d)のように上段バーナの、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナには油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナを除くバーナには油火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)16が形成され、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。さらにこの状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量をゼロにすることによって、(e)のように上段バーナには油火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)17が、中段バーナには油火炎(支燃ガス:空気)12が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
図31B(f)〜(j)には、前壁側の上段及び中段バーナに主燃料として石炭が燃焼されている場合の支燃ガスの切り替え方法が例示されている。(f)の状態では、上段及び中段バーナに石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されており、流量調整弁94、94b及び94cによって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量はゼロにされている。
この状態から、流量調整弁94及び94bの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量を減らし、(g)のように上段バーナの、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナには石炭(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)14が、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態から、流量調整弁94及び94bの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量をゼロにすることによって、(h)のように上段バーナの、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナには石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
この状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量を減らし、(i)のように上段バーナの、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナには石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が形成され、上段バーナの最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナを除くバーナには石炭火炎(支燃ガス:空気と再循環ガスと酸素)14が形成され、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
さらにこの状態から、流量調整弁94、94b及び94cの操作によって再循環ガスと高純度酸素の混合ガスの流量を増やし、あるいは、流量調整弁83及び83bの操作によって空気の流量をゼロにすることによって、(j)のように上段バーナには石炭火炎(支燃ガス:再循環ガスと酸素)15が、中段バーナには石炭火炎(支燃ガス:空気)13が、下段バーナに補助火炎11が形成されている状態へ変化させることができる。
実施例13の第1のポイントは、図31A(a)及び図31B(f)の状態のように主燃料の燃焼の支燃ガスの主成分が空気であるバーナが、上下方向に隣接して2段形成されている状態から、隣接する2段のバーナのうち上側の段(上段)のバーナに再循環ガスを含むガスを導入する過程図31A(a)→(e)または図31B(f)→(j)においても、直下の段(中段)のバーナに空気を支燃ガスとする火炎が形成されていることにある。
実施例13の第2のポイントは、図31A(a)及び図31B(f)の状態のように主燃料の燃焼の支燃ガスの主成分が空気であるバーナが、上下方向に隣接して2段形成されている状態から、隣接する2段のバーナのうち上側の段(上段)のバーナのうちの、最も火炉室の幅方向の中央に近いバーナ個別に再循環ガスを含むガスを導入する過程(a)→(c)または(f)→(h)のように、失火のリスクがある支燃ガスの切り替えバーナの個数を少なくでき、かつ、支燃ガスの切り替え対象のバーナの直下及び左右のバーナには空気を支燃ガスとする火炎が形成されていることにある。その結果、直下の段(中段)または同じ段の左右のバーナ火炎からの加熱により、支燃ガス切り替え対象段のバーナ火炎の失火を回避でき、かつ、失火のリスクを低くできる。実施例13により、支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ安全かつ短時間で切り替えることが可能な酸素燃焼ボイラを提供できる。
本発明で、最も安全かつ短時間で、酸素燃焼ボイラの支燃ガスを空気から排ガスを含むガスへ切り替えることができるのは、図6、図18及び図19A〜19Dで述べた支燃ガス切り替え時のバーナ火炎監視記録機構を有し、かつ、図30及び図31A、図31Bで述べた支燃ガス切り替え機構を有する酸素燃焼ボイラ(別法5と別法12の組み合わせ)である。