JP2011084640A - 熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エラストマー生産時及び再溶融時のエステル交換反応を制御した、ブロック性保持性が優れ、かつ、エラストマーとしての特性を保持した上でTc2が十分に高く、成形性が優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を提供する。
【解決手段】 熱可塑性ポリエステルエラストマーおよびリン化合物を含有する熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物であって、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の昇温・降温サイクルを3回繰り返した時の1回目の融点(Tm1)と3回目の融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)、融点、降温時結晶化温度、および熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のリン原子としての残存量が、特定の条件を満たす熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物、並びにその製造方法に関する。さらに詳しくは、成形時、高温環境下において高いブロック性を保持する事が可能なブロック共重合体である熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物、及びその製造法に関する。
熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、以前よりポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)をはじめとする結晶性ポリエステルをハードセグメントとし、長鎖脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネートをソフトセグメントとするものなどが知られ、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
一般的にエラストマー製造は、ハードセグメント成分、ソフトセグメント成分を混合し、樹脂が均一になるまで反応させる。「均一になる」とは、「相溶化する」と呼ぶこともある。相溶化はハードセグメント成分とソフトセグメント成分のエステル交換反応により、進行することが知られている。
しかしながら、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分をエステル交換反応せしめて得られる共重合ポリエステルは、それぞれのカルボキシル基末端、及び水酸基末端の量により、一度チップとなした後再度溶融して成形物となす場合には、再溶融時にエステル交換反応が進行し、ブロック性が保持されず、エラストマーの性質が変わってしまう。したがって、これらの共重合ポリエステルのハードセグメント成分、ソフトセグメント成分の水酸基末端量を制御することで、エステル交換の反応性を低下させ、ブロック性を保持させることが知られている。
この方法のように、水酸基末端量の少ないハードセグメント成分、ソフトセグメント成分を用いると、エラストマーの生産時にそれらのエステル交換反応の工程時間が長くなる。また、得られるエラストマーの酸価は必然的に高くなり、耐加水分解性等に問題がある。
また、エラストマーのブロック性を保持させる方法として、触媒を失活させる方法が一般的であり、例えばエステル交換反応触媒としてチタン又はスズ触媒を用い、所望のエラストマーが得られた後に、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸及びこれらの誘導体を添加して触媒能を失活させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、特許文献2には、触媒失活に関する記述はあるが、成形時に重要な降温時結晶化温度(Tc2)に関しては意識されておらず、この方法では、成形性は満足できるものではない。またこの方法ではエラストマー生産時のエステル交換反応の工程時間を制御することができず、触媒を失活させる前に、エラストマーのエステル交換反応が進行しきってしまい得られるエラストマーのブロック性が保たれないという問題点があった。特にハードセグメント成分、ソフトセグメント成分が共にポリエステルの場合、エラストマー生産時にランダム化が顕著である。
特許第4244067号 特許第2766093号
本発明は、上記の問題点が解消され、エラストマー生産時及び再溶融時のエステル交換反応を制御した、ブロック性保持性が優れ、かつ、エラストマーとしての特性を保持した上でTc2が十分に高く、成形性が優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
[1] 熱可塑性ポリエステルエラストマーおよびリン化合物を含有する熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物であって、下式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
(1)0℃≦ΔTm≦50℃
(2)190℃≦Tm≦225℃
(3)Tc2≧120℃
(4)P≧40ppm
(式(1)〜(4)において、ΔTmは、走査示差熱量計により熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の昇温・降温サイクルを3回繰り返した時の1回目の融点(Tm1)と3回目の融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)であり、Tmは、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の融点であり、Tc2は、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の降温時結晶化温度であり、Pは、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のリン原子としての残存量である。)
[2] 前記式(3)のTc2が、下式(5)を満たす[1]に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
(5)Tc2≧135℃
[3] 前記熱可塑性ポリエステルエラストマーのハードセグメント成分が、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールを構成成分とするポリエステルからなり、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーのソフトセグメント成分が、主として長鎖脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートからなる[1]または[2]に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[4] 前記ハードセグメント成分が、ポリブチレンテレフタレートからなり、前記ソフトセグメント成分が、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸成分が全酸成分を基準として10〜40モル%、イソフタル酸及び/又はフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸が全酸成分を基準として90〜60モル%と、炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオールとから構成される長鎖脂肪族ポリエステルからなる[3]に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[5] ハードセグメント成分/ソフトセグメント成分の質量比が、10/90〜70/30である[3]または[4]に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[6] リン化合物が、一つ以上の芳香族基を有するリン化合物である[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
[7] ソフトセグメント成分の重合終了時に、リン化合物およびハードセグメント成分を添加し、均一になるまで反応した後、再度、リン化合物を添加することを特徴とする[2]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の製造方法。
[8] ソフトセグメント成分の重合終了時に、リン化合物をリン原子として20〜100ppm添加し、ハードセグメント成分と均一になるまで反応した後に、リン化合物をリン原子として20〜400ppm添加する[7]に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の製造方法。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、エラストマー生産時、及び再溶融時のエステル交換反応が制御され、ブロック性保持性の優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物である。ブロック性が高いことにより、融点低下による耐熱性の低下が抑制され、硬度、引張強度、弾性率などの機械的性質を向上することができる。また、エラストマーとしての特性を保持した上でTc2が十分に高く、成形性が優れている。
以下、本発明を詳述する。
本発明にかかる熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメント成分のポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸は通常の芳香族ジカルボン酸が広く用いられ、特に限定されないが、テレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸であることが望ましい。その他の酸成分としては、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは得られるポリマーの融点を大きく低下させない範囲で用いられ、その量は全酸成分の30モル%以下、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
また、本発明にかかる熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメント成分のポリエステルを構成する脂肪族又は脂環族ジオールは、一般の脂肪族又は脂環族ジオールが広く用いられ、特に限定されないが、炭素数2〜8のアルキレングリコール類であることが望ましい。具体的にはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。1,4−ブタンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
上記ハードセグメント成分のポリエステルを構成する成分としては、ブチレンテレフタレート単位あるいはブチレンナフタレート単位よりなるものが、物性、成形性、コストパフォーマンスの点より好ましい。なお、ナフタレート単位の場合は、2,6体が好ましい。
ハードセグメント成分のポリエステルを構成する成分としては、ブチレンテレフタレート単位が特に好ましい。
また、本発明にかかる熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるハードセグメント成分を構成するポリエステルとして好適な芳香族ポリエステルは、通常のポリエステルの製造法に従って容易に得ることができる。また、かかるポリエステルは、数平均分子量10000〜40000を有しているものが望ましい。
また、本発明にかかる熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるソフトセグメント成分は、主として長鎖脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートを用いることが好ましい。
長鎖脂肪族ポリエステルは、主として芳香族ジカルボン酸と炭素数5〜12の長鎖脂肪族ジオールを主たる構成成分とするポリエステル又はポリカプロラクトン、ポリエチレンアヂペート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸などを用いることができる。芳香族ジカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。特にフタル酸、イソフタル酸等の直線状でないジカルボン酸が好ましく用いられる。芳香族ジカルボン酸として、イソフタル酸及び/又はフタル酸が、95モル%以上が好ましく、100モル%がより好ましい。芳香族ジカルボン酸のほかに、脂肪族ジカルボン酸を併用しても良い。また、ジオールとしては、炭素数5〜12の脂肪族ジオールが用いられるが、この具体例としては、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどが挙げられる。
長鎖脂肪族ポリエステルとしては、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸が全酸成分を基準として10〜40モル%、イソフタル酸及び/又はフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸が全酸成分を基準として90〜60モル%と、炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオールとから構成される長鎖脂肪族ポリエステルが好ましい。脂肪族ジカルボン酸が10〜40モル%であれば、ソフトセグメント成分のガラス転移温度が低く、低温で十分な弾性回復性能が発現でき、また、得られる熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の耐加水分解性及び耐熱性が満足できるものとなって好ましい。炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられ、中でもスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、これらの混合物が好ましいが、中でもイソフタル酸がより好ましい。炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられ、中でも1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールがより好ましい。
また、脂肪族ポリカーボネートは主として炭素数2〜12の脂肪族ジオール残基とカーボネート結合からなるものであることが好ましい。これらの脂肪族ジオール残基としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの残基が挙げられる。特に、得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの柔軟性や低温特性の点より炭素数5〜12の脂肪族ジオール残基が好ましい。これらの成分は、以下に説明する事例に基づき、単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるソフトセグメント成分としては、長鎖脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートを好ましくは95質量%以上、より好ましくは100質量%用いる。本発明の特性を損なわなければ、長鎖脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート以外の成分を5質量%以下の量を用いても良い。
本発明にかかる熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメント成分を構成するポリエステルとソフトセグメント成分を構成する長鎖脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートとの質量比は、目的によって任意に変えることができる。すなわち、一般に弾性回復性能を付与するには、ハードセグメント/ソフトセグメント=10/90〜70/30が好ましい。15/85〜60/40がより好ましい。
本発明にかかる熱可塑性ポリエステルエラストマーは、上記のような芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルからなるハードセグメント及び主として長鎖脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントが結合されてなる熱可塑性ポリエステルエラストマーである。ここで、結合されてなるとは、ハードセグメントとソフトセグメントがイソシアネート化合物などの鎖延長剤で結合されるのではなく、ハードセグメントやソフトセグメントを構成する単位が直接エステル結合やカーボネート結合で結合された状態が好ましい。
たとえば、ハードセグメントを構成するポリエステル、ソフトセグメントを構成するポリエステルを溶融減圧下、一定時間のエステル交換反応及び解重合反応を繰り返しながら得ることが好ましい(以下、この反応を相溶化反応と称することもある)。
上記、相溶化反応は、好ましくはハードセグメントを構成するポリエステルの融点ないし融点+30℃の範囲内の温度において行われる。この反応において、系中の活性触媒濃度は、反応の行われる温度に応じて任意に設定される。すなわち、より高い反応温度においてはエステル交換反応及び解重合は速やかに進行するため、系中の活性触媒濃度は低いことが望ましく、また、より低い温度においてはある程度の濃度の活性触媒が存在していることが望ましい。
本発明における相溶化反応を行うための触媒は通常の触媒、例えばチタニウムテトラブトキシド、シュウ酸チタン酸カリウムなどのチタン化合物、ジブチルスズオキシド、モノヒドロキシブチルスズオキシド、ジブチルスズジアセテートなどのスズ化合物を1種又は2種以上用いてもよい。触媒は、ハードセグメントやとソフトセグメントを構成するポリエステルもしくはポリカーボネート中にあらかじめ存在していてもよく、その場合は新たに添加する必要はない。相溶化反応を行うための触媒量は反応条件によって異なるが、チタン触媒量は、チタン原子としてポリマー組成物質量に対して10ppm以上70ppm以下、スズ触媒量は、スズ原子としてポリマー組成物質量に対して100ppm以上300ppm以下が好ましい。
上記相溶化反応は、反応温度、触媒濃度、反応時間、ハードセグメント及びソフトセグメントの末端水酸基量に依存する。用いるハードセグメント及びソフトセグメントの種類及び量比、用いる装置の形状、撹拌状況などの種々の要因によって適正値が変化する。必要に応じて、ハードセグメント及びソフトセグメント中の触媒は部分的に失活剤で触媒をあらかじめ失活させておいてもよい。失活剤としては、下記するリン化合物を用いる事が出来る。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、下式(1)〜(4)を満たす。
(1)0℃≦ΔTm≦50℃
(2)190℃≦Tm≦225℃
(3)Tc2≧120℃
(4)P≧40ppm
(式(1)〜(4)において、ΔTmは、走査示差熱量計により熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の昇温・降温サイクルを3回繰り返した時の1回目の融点(Tm1)と3回目の融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)であり、Tmは、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の融点であり、Tc2は、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の降温時結晶化温度であり、Pは、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のリン原子としての残存量である。)
ΔTm、Tm、Tc2の測定方法は、実施例の項目に記した方法により得られる値である。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、前記式(3)のTc2が、化式(5)を満たすことが、より好ましい。
(5)Tc2≧135℃
ΔTmは、熱可塑性ポリエステルエラストマーのブロック性を保持することの尺度である。ΔTmが50℃を超えると、溶融成形後にエラストマーのブロック性が保持できておらず、エラストマーとしての特性を発揮できない。ΔTmは、40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましい。
Tmは、熱可塑性ポリエステルエラストマーのハードセグメント成分とソフトセグメント成分の相溶化反応が、適度に進行していることの尺度である。Tmが190℃未満であれば、相溶化反応が過度に進行してランダム化しており、エラストマーとしての特性を発揮できない。また、Tmが225℃を超えていると、相溶化反応が十分に進行しておらず、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分がほぼ混合されただけの状態であり、エラストマーとしての特性を発揮できない。Tmは、200℃以上が好ましい。また、220℃以下が好ましい。
Tc2は、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の溶融成形のしやすさの尺度である。Tc2が120℃未満だと、溶融成形時の結晶化温度が低いため、結晶化が進行しにくく、離型時にソリや歪みが生じるなど成形性が良くない。Tc2が135℃以上であると、成形性が格段に向上するので非常に好ましい。Tc2は、140℃以上がより好ましく、145℃以上がさらに好ましい。Tc2の上限値は特に定めないが、本発明により得られる熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物において達成できるTc2は180℃である。
ΔTm、Tm、Tc2が式(1)〜(3)を満たすためには、相溶化反応終了後に触媒を十分に失活させる必要があり、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のリン原子としての残存量(残存質量)が40ppm以上である必要がある。残存量が40ppm以上であれば、Tc2を120℃以上にすることができる。リン化合物は、高温環境下で構造変化を起こす可能性はあるが、ほぼ添加量がそのまま残存するので、リン原子としては、添加量が残存量と考えてよい。リン原子の残存量は50ppm以上が好ましく、70ppm以上がより好ましく、100ppm以上がさらに好ましい。成形時のブリードアウトの懸念があることから、リン原子の残存量は500ppm以下が好ましく、350ppm以下がより好ましく、200ppm以下がさらに好ましく、150ppm以下が特に好ましい。
一般的には、ソフトセグメントとハードセグメントを相溶化させた後、リン化合物を添加するが、ソフトセグメント重合後と相溶化後の二段階に分けて添加することが好ましい。特に、ΔTm、Tm、Tc2が式(1)、(2)、(5)を満たすためには、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のリン原子としての残存量(残存質量)が40ppm以上で、かつ、二段階に分けて添加する必要がある。二段階に分けて添加することで、相溶化反応の触媒活性を制御して、相溶化時間を制御できるだけでなく、リン量に対する降温時結晶化温度(Tc2)上昇も大きい。添加を二段階に分けることで、相溶化中にリン化合物がポリマー中に均一に分散して、降温時結晶化温度(Tc2)の上昇が大きくなるものと思われる。
リン化合物の添加量は反応温度、触媒量によって異なるが、相溶化前の添加量はリン原子として、20ppm以上100ppm以下であることが好ましい。20ppm未満では相溶化時間が短くなり、場合によっては相溶化が進行しすぎて、得られるエラストマーのブロック性は保たれず、Tc2は120℃より低く、もしくはTc2が現れなくなる場合がある。また、100ppm超では触媒が完全に失活されてしまい、相溶化が進まず、得られる樹脂は2種のポリマー混合物のままである。相溶化前の添加量はリン原子として、25ppm以上、75ppm以下がより好ましい。
相溶化後のリン化合物の添加量は、触媒量及び相溶化前のリン化合物の添加量によって異なるが、リン原子として、20ppm以上400ppm以下であることが好ましい。20ppm未満では触媒が残存している場合があり、コンパウンド時、成形時などにエステル交換反応がさらに進行し、得られたポリマーの物性が変動することがある。400ppm超の場合、リンが成形時にブリードアウトすることが懸念され、また、コストパフォーマンスの観点から好ましくない。相溶化後の添加量はリン原子として、25ppm以上がより好ましい。上限は、250ppm以下がより好ましく、100ppm以下がさらに好ましく、75ppm以下が特に好ましい。
本発明において、「相溶化反応後」、「相溶化後」、「均一になるまで反応した後」等は、「ハードセグメント成分とソフトセグメント成分からなる反応混合物が透明になった後」を指しており、目視等で判断可能である。
相溶化前後に添加したリン化合物の量によって得られる樹脂の降温時結晶化温度Tc2は異なる。特に立体的に大きい置換基(配位子)を持つリン化合物が降温時結晶化温度(Tc2)の上昇が大きい。しかし、置換基が大きすぎる場合は、触媒と相互作用できない為、触媒を失活できず、相溶化時間が短く、樹脂がランダム化する傾向になる。好ましいリン化合物としては、フェニルホスホン酸などの一つ以上の芳香族基を有するリン化合物であれば特に限定されないが、具体的な化合物としては、フェニルホスホン酸の他、2,3−ジメチルフェニルホスホン酸、2,4−ジメチルフェニルホスホン酸、2,5−ジメチルフェニルホスホン酸、4-メトキシフェニルホスホン酸、トリフェニルホスフィンオキシド、メチルジフェニルホスフィンオキシド、ビニルジフェニルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィン、りん酸フェニル、ジクロリドりん酸フェニル、りん酸ジフェニル、クロリドりん酸ジフェニル、りん酸トリフェニル、りん酸ジブチルフェニル、りん酸オクチルジフェニル、りん酸トリス(3‐メチルフェニル)、ジフェニルホスフィン、エチニルジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4‐メトキシフェニル)ホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸クロリド、フェニル亜ホスホン酸ジエチル、ジフェニル亜ホスフィン酸メチル、エチルジフェニルホスフィンオキシド、フェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン等が挙げられる。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物には、その他、公知のヒンダートアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系等の光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物等の分子調整剤、金属不活性化剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤等を一種類以上添加することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において各測定は、以下の方法に従って行った。
(1)リンの残存量
ポリエステルエラストマー組成物を灰化/酸溶解後、高周波プラズマ発光分析および原子吸光分析により求めた。
(2)熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の融点(Tm)、降温時結晶化温度(Tc2)
50℃で15時間減圧乾燥した熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を示差走査熱量計DSC2920(TA Instruments社製)を用いて、窒素雰囲気のもと室温から20℃/分で300℃まで昇温して測定し、融解による吸熱ピーク温度を融点とした。その後、300℃から室温まで5℃/分で降温して測定し、結晶化による発熱ピーク温度を降温時結晶化温度とした。
なお、測定試料は、アルミニウム製パン(TA instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、窒素雰囲気で測定した。
(3)ブロック性保持性(ΔTm)
50℃で15時間減圧乾燥した熱可塑性ポリエステルエラストマーをアルミニウム製パン(TA instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、測定試料を調整した後、示差走査熱量計DSC2920(TA Instruments社製)を用いて、窒素雰囲気のもと昇温温度20℃/分で室温から300℃に昇温し、300℃で3分間保持した後、降温速度100℃/分で室温まで降温するサイクルを3回繰り返した時の1回目の測定で得られる融点(Tm1)と3回目の測定で得られる融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)を求め、該融点差をブロック性保持性とした。該温度差が小さい程ブロック性保持性に優れている。
Tm1と上記Tmは、同一である。
(4)相溶化時間
ソフトセグメントとハードセグメントを減圧下240℃でエステル交換反応せしめて、溶融樹脂が均一になり透明になるまでに要した時間である。
以下、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物に関する実施例と比較例であり、各例で用いたポリマー組成を表1に示した。
〔実施例1〕
イソフタル酸157質量部、セバシン酸82質量部、1,6−ヘキサンジオール191質量部をチタニウムテトラブトキシド触媒でエステル化反応後、ジブチルスズジアセテート触媒を添加、減圧下で重縮合して、還元粘度0.92dl/g、酸価16eq/t、非晶性のポリエステルを得た。このポリエステルに、乾燥した固有粘度0.97dl/g、酸価15eq/tのポリブチレンテレフタレートのチップ150質量部を添加して、窒素雰囲気下10分間撹拌した。その後、240℃減圧下で20分間撹拌し、樹脂が透明になったことを確認し、その後、フェニルホスホン酸を0.26質量部添加して、反応を停止させた。得られたエラストマーの各物性を測定し、その結果を表2に示す。本実施例で得られたポリマーはいずれの特性も良好であり高品質であった。
〔実施例2〕
ソフトセグメント重合後、ポリブチレンテレフタレートと共にフェニルホスホン酸を0.13質量部添加して60分間相溶化し、その後、フェニルホスホン酸を0.13質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られたエラストマーの各物性を測定し、その結果を表2に示す。本実施例では相溶化時間が実施例1よりも長く、得られたポリマーはいずれの特性も良好であり高品質であった。
〔実施例3〕
ソフトセグメント重合後、ポリブチレンテレフタレートと共にフェニルホスホン酸を0.19質量部添加して120分間相溶化し、その後、フェニルホスホン酸を0.19質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られたエラストマーの各物性を測定し、その結果を表2に示す。本実施例では相溶化時間が実施例2よりも長く、得られたポリマーはいずれの特性も良好であり高品質であった。
〔実施例4〕
ソフトセグメント重合後、ポリブチレンテレフタレートと共に2,4−ジメチルフェニルホスホン酸を0.08質量部添加して50分間相溶化し、その後、2,4−ジメチルフェニルホスホン酸を0.08質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られたエラストマーの各物性を測定し、その結果を表2に示す。本実施例で得られたポリマーはいずれの特性も良好であり、特に降温時結晶化温度(Tc2)が実施例2よりも高い。
〔実施例5〕
ソフトセグメント重合後、ポリブチレンテレフタレートと共にメチルホスホン酸を0.07質量部添加して70分間相溶化し、その後、メチルホスホン酸を0.07質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られたエラストマーの各物性を測定し、その結果を表2に示す。本実施例で得られたポリマーはいずれの特性も良好であるが、降温時結晶化温度(Tc2)が実施例2よりも低い。
〔実施例6〕
イソフタル酸191質量部、セバシン酸100質量部、1,6−ヘキサンジオール233質量部をチタニウムテトラブトキシド触媒でエステル化反応後、ジブチルスズジアセテート触媒を添加、減圧下で重縮合して、非晶性のポリエステルを得た。このポリエステルに、乾燥したポリブチレンテレフタレートのチップ75質量部と共にフェニルホスホン酸を0.13質量部添加して60分間相溶化し、その後、フェニルホスホン酸を0.13質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られた樹脂の各物性を測定し、その結果を表2に示す。本実施例で得られたポリマーはいずれの特性も良好であるが、融点(Tm)、降温時結晶化温度(Tc2)が実施例2よりも低い。
〔実施例7〕
イソフタル酸135質量部、セバシン酸70質量部、1,6−ヘキサンジオール164質量部をチタニウムテトラブトキシド触媒でエステル化反応後、ジブチルスズジアセテート触媒を添加、減圧下で重縮合して、非晶性のポリエステルを得た。このポリエステルに、乾燥したポリブチレンテレフタレートのチップ200質量部と共にフェニルホスホン酸を0.13質量部添加して60分間相溶化し、その後、フェニルホスホン酸を0.13質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られた樹脂の各物性を測定し、その結果を表2に示す。本実施例で得られたポリマーはいずれの特性も良好であるが、融点(Tm)、降温時結晶化温度(Tc2)が実施例2よりも高い。
〔実施例8〕
イソフタル酸191質量部、セバシン酸41質量部、1,6−ヘキサンジオール191質量部をチタニウムテトラブトキシド触媒でエステル化反応後、ジブチルスズジアセテート触媒を添加、減圧下で重縮合して、非晶性のポリエステルを得た。このポリエステルに、乾燥したポリブチレンテレフタレート150質量部と共にフェニルホスホン酸を0.13質量部添加して60分間相溶化し、その後、フェニルホスホン酸を0.13質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られた樹脂の各物性を測定し、その結果を表2に示す。本実施例で得られたポリマーはいずれの特性も良好であるが、融点(Tm)、降温時結晶化温度(Tc2)が実施例2よりも高い。
〔実施例9〕
イソフタル酸157質量部、アジピン酸59質量部、1,6−ヘキサンジオール191質量部をチタニウムテトラブトキシド触媒でエステル化反応後、ジブチルスズジアセテート触媒を添加、減圧下で重縮合して、非晶性のポリエステルを得た。このポリエステルに、乾燥したポリブチレンテレフタレート150質量部と共にフェニルホスホン酸を0.13質量部添加して60分間相溶化し、その後、フェニルホスホン酸を0.13質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られた樹脂の各物性を測定し、その結果を表2に示す。本実施例で得られたポリマーはいずれの特性も良好であるが、融点(Tm)、降温時結晶化温度(Tc2)が実施例2よりも低い。
〔実施例10〕
イソフタル酸157質量部、セバシン酸82質量部、1,10−デカンジオール288質量部をチタニウムテトラブトキシド触媒でエステル化反応後、ジブチルスズジアセテート触媒を添加、減圧下で重縮合して、非晶性のポリエステルを得た。このポリエステルに、乾燥したポリブチレンテレフタレート150質量部と共にフェニルホスホン酸を0.13質量部添加して60分間相溶化し、その後、フェニルホスホン酸を0.13質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られた樹脂の各物性を測定し、その結果を表2に示す。本実施例で得られたポリマーはいずれの特性も良好であるが、融点(Tm)、降温時結晶化温度(Tc2)が実施例2よりも低い。
〔比較例1〕
フェニルホスホン酸を添加せずに反応を行った以外は実施例1と同様に実施した。得られたエラストマーの各物性を測定し、その結果を表2に示す。本比較例で得られたポリマーは実施例1と比べて、ΔTmが高く、ブロック保持性が劣っていた。さらに、Tmが低く、降温時の明確な結晶化ピークを示さず、成形性も劣っていた。
〔比較例2〕
相溶化後、フェニルホスホン酸を0.08質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られたエラストマーの各物性を測定し、その結果を表2に示す。本比較例で得られたポリマーは実施例1と比べて、ΔTmが高く、ブロック保持性が劣っていた。さらに、Tm、降温時結晶化温度(Tc2)が低く、成形性も劣っていた。
〔比較例3〕
ソフトセグメント重合後、ポリブチレンテレフタレートと共にフェニルホスホン酸を0.04質量部添加して30分間相溶化し、その後、フェニルホスホン酸を0.04質量部添加した以外は実施例1と同様に実施した。得られたエラストマーの各物性を測定し、その結果を表2に示す。本比較例で得られたポリマーは降温時結晶化温度(Tc2)が低く成形性に劣っていた。
〔比較例4〕
ソフトセグメント重合後、ポリブチレンテレフタレートと共にフェニルホスホン酸を0.23質量部添加して240分間相溶化した以外は実施例1と同様に実施した。240分間反応せしめても、樹脂は透明にならず、相溶化は終了しなかった。得られた樹脂の各物性を測定し、その結果を表2に示す。本比較例で得られた樹脂は2種のポリエステルの混合物のままであり、降温時結晶化温度(Tc2)が高い。
Figure 2011084640
Figure 2011084640
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物、並びに熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法について、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、エラストマー生産時、及び再溶融時のエステル交換反応が制御され、ブロック性保持性の優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物である。ブロック性が高いことにより、融点低下による耐熱性の低下が抑制され、硬度、引張強度、弾性率などの機械的性質を向上することができ、また、エラストマーとしての特性を保持した上でTc2が十分に高く、成形性が優れているため、産業界に寄与することが大である。

Claims (8)

  1. 熱可塑性ポリエステルエラストマーおよびリン化合物を含有する熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物であって、下式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
    (1)0℃≦ΔTm≦50℃
    (2)190℃≦Tm≦225℃
    (3)Tc2≧120℃
    (4)P≧40ppm
    (式(1)〜(4)において、ΔTmは、走査示差熱量計により熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の昇温・降温サイクルを3回繰り返した時の1回目の融点(Tm1)と3回目の融点(Tm3)との融点差(Tm1−Tm3)であり、Tmは、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の融点であり、Tc2は、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の降温時結晶化温度であり、Pは、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物中のリン原子としての残存量である。)
  2. 前記式(3)のTc2が、下式(5)を満たす請求項1に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
    (5)Tc2≧135℃
  3. 前記熱可塑性ポリエステルエラストマーのハードセグメント成分が、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールを構成成分とするポリエステルからなり、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーのソフトセグメント成分が、主として長鎖脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートからなる請求項1または2に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
  4. 前記ハードセグメント成分が、ポリブチレンテレフタレートからなり、前記ソフトセグメント成分が、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸成分が全酸成分を基準として10〜40モル%、イソフタル酸及び/又はフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸が全酸成分を基準として90〜60モル%と、炭素数6〜12の脂肪族α,ω−ジオールとから構成される長鎖脂肪族ポリエステルからなる請求項3に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
  5. ハードセグメント成分/ソフトセグメント成分の質量比が、10/90〜70/30である請求項3または4に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
  6. リン化合物が、一つ以上の芳香族基を有するリン化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
  7. ソフトセグメント成分の重合終了時に、リン化合物およびハードセグメント成分を添加し、均一になるまで反応した後、再度、リン化合物を添加することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の製造方法。
  8. ソフトセグメント成分の重合終了時に、リン化合物をリン原子として20〜100ppm添加し、ハードセグメント成分と均一になるまで反応した後に、リン化合物をリン原子として20〜400ppm添加する請求項7に記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の製造方法。
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