JP2011081079A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スリープ状態の画像形成装置を起動して画像形成を開始する場合に、ベルト部材を用いた像加熱装置の各部の温度が速やかに立ち上がって、像加熱(画像形成)を早期に開始できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】加圧ベルト120は、定着動作中は加圧位置に設定されて加熱ベルト140に圧接しているが、画像形成が終了すると10°回転して加熱ベルト140から離間してスタンバイ状態となる。スタンバイ状態が1分続くと、3°の位置まで戻って加熱及び回転を停止させてスリープ状態に移行する。その後、スリープ状態で新しい画像形成ジョブが入力されると、0.8°の位置まで戻って加熱及び回転の準備動作を行う。
【選択図】図6

Description

本発明は、一対のベルト部材を当接させた加熱ニップで記録材の像加熱処理を行う画像形成装置、詳しくは停止状態から起動して像加熱開始できるまでの待ち時間を短縮する制御に関する。
トナー像を転写された記録材を加熱ニップで搬送して定着画像を形成する画像形成装置が広く用いられている。加熱ニップを備えた像加熱装置は、未定着トナー像を加熱加圧して記録材に定着させる定着装置と、半定着画像や定着済み画像を加熱加圧して光沢度等の表面性を調整する画像加熱装置とを含む。
ベルト部材と回転部材(ベルト部材又はローラ部材)を当接させて、ローラ部材とローラ部材とを当接させる場合よりも記録材の搬送方向に長い加熱ニップを形成する像加熱装置が実用化されている。特許文献1には、ベルト部材とベルト部材とを当接させた像加熱装置が示される。特許文献2には、ローラ部材にベルト部材を当接させた像加熱装置が示される。ベルト部材を用いる像加熱装置は、加熱ニップが長い分、記録材の加熱時間が長くなるため、ローラ部材とローラ部材とを当接させた像加熱装置よりも像加熱の高速対応が容易である。
ベルト部材とベルト部材を当接させる像加熱装置は、通常、図2に示すように、ベルト部材(140)とベルト部材(120)とを接離させる接離機構(127、131)を備えている。そして、離間状態でベルト部材(140)とベルト部材(120)とを別々の温度に温度調整して像加熱を待機させ、記録材の進入の直前にベルト部材(140)とベルト部材(120)とを当接させて加熱ニップを形成している。
ベルト部材とベルト部材を当接させる像加熱装置は、通常、最後の像加熱から所定時間が経過すると、消費電力を節約するために、ベルト部材(140)とベルト部材(120)を離間状態のまま加熱を停止してスリープ状態に移行する。そして、その後に、画像形成ジョブが入力されると、スリープ状態から脱して温度調整を起動し、ベルト部材(140)とベルト部材(120)の温度状態が通常の待機状態に復帰するのを待って、像加熱(画像形成)を開始する。
特開2004−341346号公報 特開平11−045025号公報
スリープ状態の画像形成装置を起動して画像形成を開始する場合、像加熱装置の各部の温度が所定温度に立ち上がるのを待つ時間が最大の遅延要因となっている。単純な構成のローラ定着装置と異なり、ベルト部材を用いる複雑な構成の像加熱装置の場合、像加熱装置の各部の温度の立ち上がりが大きくばらついてしまう。像加熱装置の加熱手段(ヒータ等)は、記録材を加熱する際の熱負荷を基準にして設計されているため、スリープ状態からの各部温度の立ち上がりを揃えることは難しい。
特に、図2に示すように、ベルト部材(140)の内側面を加圧する加圧部材(144)に大きな熱容量を持たせている場合、図9に示すように、加圧部材(パッドステー)の温度の立ち上がりが遅くなる。加圧部材(144)を金属材料で形成して蓄熱機能を持たせることで、記録材通過時の加熱ニップNの温度低下を抑制できるが、加圧部材(144)の大きな熱容量が所定温度に加熱されるまで、像加熱を開始できないからである。
本発明は、スリープ状態の画像形成装置を起動して画像形成を開始する場合に、ベルト部材を用いた像加熱装置の各部の温度が速やかに立ち上がって、像加熱(画像形成)を早期に開始できる画像形成装置を提供することを目的としている。
本発明の画像形成装置は、ベルト部材と、回転する前記ベルト部材を加熱する加熱手段と、前記ベルト部材の張架部の内側面に配置された加圧部材と、前記加圧部材に支持された前記ベルト部材の張架部に当接して記録材の加熱ニップを形成する回転部材と、前記ベルト部材と前記回転部材とを接離させる接離機構とを備え、前記ベルト部材の張架部と前記回転部材との間に記録材の加熱ニップが形成される加圧位置と、前記ベルト部材の張架部と前記回転部材とを離間状態で回転させて像加熱を待機する離間位置とを前記接離機構により設定可能なものである。そして、前記加圧位置と前記離間位置との間に設定された立ち上げ位置を前記接離機構により設定した状態で前記加熱手段による温度立ち上げを実行する制御手段を備える。
本発明の画像形成装置では、加圧位置と離間位置との間に設定された立ち上げ位置で像加熱装置を立ち上げるため、離間位置で立ち上げる場合よりもベルト部材を介した加圧部材への熱伝達が効率的になって、加圧部材の温度が速やかに立ち上がる。
従って、画像形成装置を起動して画像形成を開始する場合に、ベルト部材を用いた像加熱装置の各部の温度が速やかに立ち上がって、像加熱(画像形成)を早期に開始できる。
画像形成装置の構成の説明図である。 定着装置の断面構成の説明図である。 定着装置の軸端構成の説明図である。 定着装置のギア列構成の説明図である。 加圧カムの駆動機構の説明図である。 離間状態の説明図である。 スリープ状態へ移行した際の加熱ベルト及び加圧ベルトの温度低下の説明図である。 スリープ状態から起動した際の加熱ベルト及び加圧ベルトの温度上昇の説明図である。 スリープ状態から起動した際のパッドステーの温度上昇の説明図である。 離間位置におけるパッドステーと加熱ベルトの接触長さの説明図である。 立ち上げ位置の説明図である。 定着装置の制御系のブロック図である。 実施例1の制御のフローチャートである。 立ち上げ位置におけるパッドステーの温度上昇の説明図である。 冷却位置の説明図である。 実施例2の制御のフローチャートである。 離間位置でのスリープ状態後の立ち上がり状態の説明図である。 冷却位置でのスリープ状態後の立ち上がり状態の説明図である。 パッドステーの取り付け構造の説明図である。 パッドステーの昇降動作の説明図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、当接位置と離間位置との間の所定位置で加熱昇温が実行される限りにおいて、実施形態の構成の一部又は全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
本実施形態では、ベルト−ベルト加熱方式の像加熱装置を説明するが、本発明は、ベルト−ローラ加熱方式の像加熱装置でも実施でき、像加熱装置は、定着装置に限らず画像面の光沢処理装置等でも実施できる。
本実施形態では、感光ドラムから枚葉式に記録材へトナー像を転写する画像形成装置を説明するが、本発明は、中間転写ベルト方式、中間転写ドラム方式、記録材搬送体ベルト方式、転写ベルト方式等でも実施できる。
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1、2に示される画像形成装置の構成や像加熱装置の制御に関する一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、電子写真プロセスを利用して記録材にトナー像を転写して、定着装置110で記録材にトナー像を加熱定着させるレーザービームプリンタである。
画像形成装置100は、回転する感光ドラム101の周囲に帯電ローラ102、露光装置103、現像装置104、転写ローラ105、クリーニング装置109を配置している。感光ドラム101は、回転ドラム型の電子写真感光体であり、矢印R1方向に所定の周速度をもって回転駆動される。感光ドラム101は、OPC、アモルファスシリコン等の感光材料をアルミニウムやニッケル等のシリンダ状の基体上に形成してある。
帯電ローラ102は、感光ドラム101に当接して従動回転し、不図示の電源から直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されることにより、感光ドラム101の表面を一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。露光装置103は、画像データを展開した画像信号に応じてON−OFF変調されたレーザービームを走査して、感光ドラム101の表面に画像の静電像を形成する。露光部分では、レーザービームによって帯電が解除されて、暗部電位VDが明部電位VLに低下する。
現像装置104は、負極性に帯電させた一成分現像剤を現像スリーブ104aに磁気的に担持させて感光ドラム101との対向部へ搬送する。不図示の電源から現像スリーブ104aに、負極性の直流電圧Vdcに交流電圧を重畳した振動電圧を印加することにより、相対的に正極性となった明部電位VLの部分に負極性に帯電したトナーが付着して静電像が反転現像される。
転写ローラ105は、回転駆動されて感光ドラム101とウイズ方向に回転し、感光ドラム101に圧接して記録材Pを挟持搬送する転写ニップT1を形成する。不図示の転写電源から転写ローラ105へ正極性の電圧を印加することにより、負極性に帯電して感光ドラム101に担持されたトナー像が転写ニップT1を挟持搬送される記録材Pへ転写される。
記録材Pは、カセット106から給紙ローラ107によって取り出され、レジストローラ108で待機し、感光ドラム101のトナー像に同期させてレジストローラ108により転写ニップT1へ給送される。
転写ニップT1でトナー像を転写されて感光ドラム101から分離された記録材Pは、定着装置110へ搬送される。定着装置110は、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加熱・加圧して、トナー像を記録材P上に定着して定着画像とする。画像を定着された記録材Pは、排紙ローラ111によって、筐体上の排紙トレイ112へ排出・積載される。
近年、高速化、低消費電力化が求められている電子写真装置、静電記録装置などの画像形成装置においては、記録材上にトナー像を転写し、これを加熱加圧して定着させるためにローラ定着方式の定着装置が一般的に採用されている。ローラ定着方式では、内部にヒータを有する定着ローラに加圧ローラを圧接して加熱ニップを形成し、定着を行う。
しかし、画像の高光沢度化やプロセススピードの高速化を図るためには、記録材の加熱ニップ通過時間を長くし、高速でもトナーを充分に溶融できるのが好ましい。ローラ定着方式の場合、これを達成するためにはローラ径を大きくしなければならず、定着装置が大型化してしまう。
そこで、ローラ定着方式に比べて充分なニップ幅(記録材搬送方向の長さ)を得ることができて、定着装置の小型化、高速化対応を達成できるベルト定着方式が提案されている。特許文献1に示されるように、ベルト定着方式では、互いに対向する定着ベルトと加圧ベルトを設け、これら両ベルト間で記録材を挟持搬送しながら定着を行うため、ローラ定着方式に比して充分なニップ幅を得ている。また、定着ベルトと加圧ベルトを小型化することにより、定着装置の熱容量をローラ定着方式に比べて小さくすることができ、消費電力を低減することが可能となっている。
<定着装置>
図2は定着装置の断面構成の説明図である。図3は定着装置の軸端構成の説明図である。図4は定着装置のギア列構成の説明図である。
図2に示すように、定着装置110は、加熱ベルト140と加圧ベルト120とのニップ域が、記録材の搬送方向に連続した記録材の加熱ニップNを形成している。駆動ロール141及びパッドステー144は、加圧ロール121及び加圧パッド123との間で、加熱ニップNに位置する加熱ベルト140及び加圧ベルト120を外側から加圧している。
加圧ベルト120は、2個の支持ロールすなわち加圧ロール121とベルトテンションを付与する機能を有するテンションロール122とに循環回転可能、且つ、所定の張力(100N)で掛け渡されている。加圧ベルト120としては、耐熱性を具備したものであれば適宜選定して差し支えない。ここでは、厚さ50μm、幅380mm、周長200mmのニッケル金属層に、厚さ300μmのシリコンゴムをコーティングし、表層にPFAチューブを被覆したものを用いている。
加圧ロール121は、ステンレスパイプ材料によって外径がφ20に形成された中空ロールであって、加圧ベルト120を懸架して加圧ベルト120と加熱ベルト140のニップ域の出口側に配設されている。テンションロール122は、ステンレスパイプ材料によって外径がφ20、内径φ18程度に形成された中空ロールであり、ベルト張架ロールとして働く。
加熱ニップNの入口側(加圧ロール121の上流側)に対応する加圧ベルト120の内側には、シリコンゴムで形成された加圧パッド123が配置される。加圧パッド123は、所定圧(例えば400N)で加圧ベルト120の内側面に押圧され、加圧ロール121とともに加圧ベルト120の内側面を押圧して、加熱ベルト140と加圧ベルト120との間に加熱ニップNを形成する。
加熱ベルト140は、2個の支持ロールすなわち駆動ロール141とベルトテンションを付与する機能を有するテンションロール142に循環回転可能、且つ、所定の張力(120N)で掛け渡されている。加熱ベルト140としては、加熱ベルト140の加熱源である誘導加熱コイル143により発熱させられるとともに、耐熱性を具備したものであれば適宜選定して差し支えない。ここでは、厚さ75μm、幅380mm、周長200mmのニッケル金属層に、厚さ300μmのシリコンゴムをコーティングし、表層にPFAチューブを被覆したものを用いている。
駆動ロール141は、中実ステンレスによって外径がφ18に形成された芯金表層に耐熱シリコンゴム弾性層を一体成型により形成したロールである。駆動ロール141は、加熱ベルト140と加圧ベルト120との加熱ニップNの出口側に配設され、加圧ロール121が圧接した際には、弾性層が所定量弾性的に歪ませられて、記録材の分離性を高めている。テンションロール142は、ステンレスパイプ材料によって外径がφ20、内径φ18程度に形成された中空ロールであり、ベルト張架ロールとして働く。
加熱ニップNの入口側(駆動ロール141の上流側)に対応する加熱ベルト140の張架部の内側には、金属材料の一例であるステンレス鋼(SUS材)でブロック状に形成されたパッドステー144が加圧パッド123に対向配置されている。
パッドステー144は、駆動ロール141とともに加熱ベルト140の張架部の内側面を押圧して加熱ベルト140と加圧ベルト120との間に加熱ニップNを形成する。パッドステー144は、記録材通過時の加熱ニップNの温度低下を抑制するための蓄熱部材を兼ね、IH加熱された加熱ベルト140を介して加熱される。
図2を参照して図3に示すように、テンションロール122両端部は、軸受124によって支持され、テンションバネ125によって加圧ベルト(120)にテンションを掛けている。テンションロール142の両端部は軸受145によって支持され、テンションバネ146によって加熱ベルト(140)にテンションを掛けている。
駆動ロール141に外部からギア147を介して駆動が入力される。図4は、図3の定着装置110を逆の方向から見ている。
図2を参照して図4に示すように、駆動ロール141と加圧ロール121は、ギア列137a〜137fによって連結されているので、駆動ロール141が加熱ベルト140を回転させると、加圧ロール121が加圧ベルト120を回転させる。ただし、加圧ベルト120の回転速度は、加熱ベルト140の98%の周速度で回転するように、ギア列137a〜137fが設計されている。
定着動作中の加圧位置では、回転部材の一例である加圧ベルト120がベルト部材の一例である加熱ベルト140の張架部と十分なニップ圧を持って加圧される。このため、加圧ベルト120は加熱ベルト140に従動して等しい周速度で回転し、加圧ベルト120内面と加圧ロール121とが滑る構成となっている。そのために、加圧ベルト120内面には、予めシリコンオイルが塗布されている。
<加熱ニップの温度制御>
図2に示すように、加圧ロール121の内側には、加圧ベルト120の加熱源であるハロゲンヒーター126が配置されている。ここでは、ハロゲンヒーター126の定格電力は、200Wのものを使用した。
加熱ベルト140の外側には、加熱ベルト140の加熱源である誘導加熱コイル143が配置されている。誘導加熱コイル143に印加する電力は、本実施形態においては最大1000Wと設定した。
誘導加熱コイル143の最大電力及びハロゲンヒーター126の定格電力は、画像形成装置100全体の最大電力と定着装置110の記録材搬送速度から、定着装置110の定着性等を満足する最適な電力を選定したものである。
加圧ベルト120及び加熱ベルト140には、それぞれベルト温度検出手段(b、c)が付設され、検出した温度に対して加熱源のハロゲンヒーター126及び誘導加熱コイル143が制御される。パッドステー144には、パッドステー144自身の温度を検出するための温度検出手段(d)を設け、パッドステー144の温度が所定の温度以下の場合は定着動作をしないように定着装置110が制御される。温度検出手段は全て接触式のサーミスタを使用している。
加圧ベルト120、及び加熱ベルト140には、それぞれ温度検知センサb、cが設けられている。温度調整回路51は、温度検知センサbの出力に基づいて誘導加熱コイル143を制御することで、定着中及び準備動作において加熱ベルト140は185℃に温度調整される。温度調整回路51は、温度検知センサcの出力に基づいてハロゲンヒーター126を制御することで、定着中及び準備動作において加圧ベルト120は100℃に温度調整される。
パッドステー144には、パッドステー144自身の温度を検出するための温度検知センサdを設けている。温度調整回路51は、温度検知センサdの検出温度が120℃以下においては、定着動作を開始しないよう、画像形成装置100を制御している。
加熱ベルト140、加圧ベルト120共に、定着装置110が温度調整している状況においては常に回転する構成としている。これは、両ベルトの温度を周方向均一に保つためである。
<接離機構>
図5は加圧カムの駆動機構の説明図である。図6は離間状態の説明図である。
図2に示すように、加圧アーム127及び加圧回動板129は、回動軸135を中心にして、それぞれ独立して上下に回動可能に支持されている。加圧ベルト120、加圧ロール121、テンションロール122、加圧パッド123は、加圧アーム127によって保持され、加圧バネ128によって、加熱ベルト140に加圧される。また、加圧バネ128の加圧アーム127の対向側が加圧回動板129に接しており、加圧軸130によって連結されている。
加圧回動板129下面には加圧カム131が当接しており、加圧カム131の回転によって、加圧回動板129が上下に動作することにより、加圧ベルト120等の加熱ベルト140に対する圧接・離間の動作が可能となっている。
図5に示すように、加圧位置検出センサ132を加圧カム131付近に配置している。加圧位置検出センサ132は、加圧カム131の回転軸に固定された磁性材料の歯を磁気検知して加圧カム131の回転角度位置を検出する。加圧カム131は、ギア列133を介して、加圧ステッピングモータ134によって回転される。制御部50は、加圧位置検出センサ132の出力に基づいて加圧ステッピングモータ134の回転方向・回転角度を制御することで、加圧ベルト120等の加熱ベルト140に対する位置を任意に設定可能である。
図6に示すように、定着動作中の加圧ベルト120の位置を基準の加圧位置として、加圧ベルト120に任意の開き角度が設定可能である。定着動作以外の温度調整中に該当して待機・準備動作を行うスタンバイ状態では、加圧アーム127が回転中心の回動軸135を中心として、基準の加圧位置から10°加熱ベルト140から離間した離間位置に設定可能である。
離間位置における加熱ベルト140と加圧ベルトの対向距離は、加熱ベルト140の温度185℃と加圧ベルト120の温度100℃の温度差を維持するために必要な距離である。加圧アーム127の回動を10°以下にして、対向距離を少なくすると、加圧ベルト120の温度が上昇もしくは定着動作中に温度上昇した後の温度低下速度が遅くなり、記録材の搬送性などに悪影響を与える可能性がある。
<スリープ状態からの起動>
図7はスリープ状態へ移行した際の加熱ベルト及び加圧ベルトの温度低下の説明図である。図8はスリープ状態から起動した際の加熱ベルト及び加圧ベルトの温度上昇の説明図である。図9はスリープ状態から起動した際のパッドステーの温度上昇の説明図である。
複合機、複写機、プリンタ、ファックス等の記録材上に画像形成可能な電子写真方式の定着装置では準備動作時間短縮の改良が求められている。ベルト定着方式の定着装置110においても、高速化を達成するためには十分なニップ幅とニップ圧が必要であり、ベルト部材(140)の内側面に金属製のいわゆるパッド部材(144)を配置している。このとき、パッド部材(144)の質量分、定着装置110の熱容量が大きくなってしまい、冷却状態から通常の運転温度まで昇温させる準備動作時間が長くなって、その短縮が求められる。
ところで、画像形成装置100では、待機中の消費電力を抑えるために、いわゆる低電力モードという手法が採用されている。低電力モードでは、一定時間、画像形成装置100が使用されなかった場合、画像形成のための準備が整っているスタンバイ状態から、定着装置110の温度調整を終了する等して消費電力を低くする。スリープ状態に移行して加熱の出力低下による電力節約を実行する。そして、近年の消費電力低減の流れから、スリープ状態に移行する一定時間の設定値が短い時間で設定されるケースが増えているため、画像形成装置の実使用状況においては、スリープ状態になる回数が増加する傾向にある。
つまり、定着装置110においては、温度調整されているスタンバイ状態からスリープ状態に移行し、再度スタンバイ状態に復帰する際の準備動作(加熱など)に必要とする時間の短縮が求められる。加熱の出力低下がされても温度調整される各部材の温度低下を抑制するとともに、加熱再開後は、少ない消費電力で温度調整される各部材を速やかに温度立ち上げすることが求められる。
図6に示すように、記録材にトナーを定着する以外の状況においては、加圧ベルト120は、加圧ロール121、テンションロール122、加圧パッド123とともに、加熱ベルト140から離間した所定の位置に待機する。上述したように、加圧ベルト120と加熱ベルト140のそれぞれ違う温調温度を維持するため、また、定着装置110が停止した時のコンプレッションセットを防止するためには、十分な離間距離を必要とするからである。そして、スタンバイ状態では、加圧ベルト120と加熱ベルト140とは回転する構成となっている。なお、コンプレッションセットは、接触した状態でスリープ状態が長時間になると、圧力で各ロールや各ベルトの弾性層が変形して定着画像に定着ムラが発生する問題である。
一定時間、画像形成装置100が使用されなかった場合、スタンバイ状態からスリープ状態に移行して加圧ベルト120と加熱ベルト140の回転と加熱・温度調整が停止される。離間位置で加圧ベルト120及び加熱ベルト140が所定温度に温度調整されている状態から、そのままスリープ状態に移行すると、図7に示すように、加圧ベルト120と加熱ベルト140の温度がそれぞれ低下する。
ここで、スリープ状態が10分間継続し、その後、定着装置110がスタンバイ状態へ復帰する場合、図8に示すように、加圧ベルト120と加熱ベルト140が温度推移する。図8に示すように、加熱ベルト140は185℃に到達する時間が早いが、加圧ベルト120は100℃に到達するまでに比較的時間がかかる。定着装置110の準備が完了するには加圧ベルト120が100℃に到達することを待たねばならず、スタンバイ状態への復帰時間が長くなる問題が発生する。
このような状況は、各ベルト、各ロールの放熱量と、加熱源がこれらに与える熱量のバランスによって発生している。定着装置110においても、加圧ベルト120の加熱源の定格電力が十分に大きければ、加熱ベルト140と同時に所定温度に復帰することが可能である。しかし、画像形成装置100の限られた定格電力に対して、高速のプロセススピードを達成するためには、加熱ベルト140の加熱源の定格電力を優先するため、加圧ベルト120の加熱源には十分な定格電力を割り当てられない。
一方、定着装置110が加熱されず十分に長い時間、室温放置された後に、スタンバイ状態へ復帰する場合、図9に示すように、加圧ベルト120と加熱ベルト140がそれぞれの待機温度までほぼ同時に到達する。しかし、直接の加熱源を有さないパッドステー144の温度は、加圧ベルト120と加熱ベルト140に対して極端に温度立ち上がりが遅く、準備動作完了までの時間が長くなる問題がある。
直接の加熱源を有さないパッドステー144は、加熱ベルト140からの熱伝導によって加熱される。図6に示す離間位置では、加熱ベルト140の剛性によって加熱ベルト140がパッドステー144から浮き上がって接触面積が少なくなり、熱伝導の効率が低いため、パッドステー144の温度の立ち上がりが遅くなる。
以下の実施例では、定着装置110において、このような課題を解決して、スリープ状態から復帰する際の準備動作を短縮している。
<実施例1>
図10は離間位置におけるパッドステーと加熱ベルトの接触長さの説明図である。図11は立ち上げ位置の説明図である。図12は定着装置の制御系のブロック図である。図13は実施例1の制御のフローチャートである。図14は立ち上げ位置におけるパッドステーの温度上昇の説明図である。
図10に示すように、パッドステー144のニップ面は、記録材の搬送性や定着後のカールの影響を考慮して、平面となっている。加圧ベルト120等が離間位置の場合、加熱ベルト140は基層を金属としているため剛性が高く、且つパッドステー144のニップ面が平面になっていることから、加熱ベルト140とパッドステー144のニップ面は密着できない。このため、加熱ベルト140とパッドステー144の接触面積が定着動作中の加圧位置に設定されている場合に比べて小さくなってしまう。
そのため、加熱源を持たないパッドステー144は、常温状態からの温度立ち上げにおいて、加熱ベルト140からの受熱量が少なくなり、温度上昇が遅れてしまう。
一方、図2に示すように、加圧パッド123が加圧位置に持ち上がっている場合は、加圧パッド123の加圧力に対して、加熱ベルト140の剛性が十分に低いため、加熱ベルト140とパッドステー144のニップ面は密着した状態となる。
つまり、加圧パッド123の加圧力と加熱ベルト140の剛性の関係で、加熱ベルト140とパッドステー144の接触面積が変化する。定着装置110では、加圧パッド123の加圧力が100N以上であれば、加熱ベルト140とパッドステー144のニップ面は、加圧位置での接触面積とほぼ同等となることが確認されている。そして、100N以下の場合は、加圧力が低くなるに従って接触面積も小さくなっていく。
そこで、実施例1では、定着装置110が長時間加熱しない状態が続いた後の立ち上げの際には、図2に示す加圧位置から図11に示すように0.8°離間する方向に回転した立ち上げ位置に加圧ベルト120を移動して加熱動作を行う。
すなわち、立ち上げ位置において加圧ベルト120及び加熱ベルト140を回転させ、加熱源のハロゲンヒーター126及び誘導加熱コイル143を作動させる準備動作を実行する。そして、加圧ベルト120、加熱ベルト140、及びパッドステー144をそれぞれの規定温度に立ち上げた後に離間位置へ加圧ベルト120を移動してスタンバイ状態に復帰させる。
定着動作中、加圧位置へ持ち上がっている場合の加圧パッド123の加圧力400Nに対し、加圧位置から0.8°離間する方向に回転した立ち上げ位置では、加圧パッド123の加圧力は100Nとなる。これは、上述したように100N以上で十分な接触面積を得ることができるため、十分な接触面積が得られる最小の加圧力を設定したからである。これにより、パッドステー144と加熱ベルト140の接触面積が定着動作中と同等となり、パッドステー144の温度上昇を早める効果が得られる。
そして、温度検出対象となる3部材のうち、加圧ベルト120とパッドステー144の温度がどちらも目標温度に到達した場合、図6に示す離間位置へ加圧パッド123を下げてスタンバイ状態となる。スタンバイ状態での加圧パッド123の加圧力は0Nである。
図2及び図5を参照して図12に示すように、加圧ベルト(120)とパッドステー(144)に備える温度検知センサb、dの出力に対して、制御部50は、必要に応じて加圧ステッピングモータ134を駆動させる。これにより、加圧位置検出センサ132の出力を元に加圧ベルト(120)を所定の立ち上げ位置に停止させる。
なお、立ち上げ位置を加圧位置としないのは、部材間で摺擦する加圧パッド123−加圧ベルト120内面及びパッドステー144−加熱ベルト140内面の摩擦抵抗を低減させて駆動系負荷や部材の摩耗を極力減らすためである。
図2及び図12を参照して図13に示すように、実施例1では加圧ベルト120等の位置が制御される。制御部50は、画像形成装置100の状態を判断する(S1)。
電源ON時や画像形成装置の筐体扉が開かれる等で定着装置110の加熱が一時中断された場合(S2)、温度検知センサb、dの出力を取り込んで加圧ベルト120及びパッドステー144の温度を検出する。
制御部50は、加圧ベルト120及びパッドステー144の検出温度がどちらも目標温度以下の場合(S4)、加圧ベルト120等の位置を立ち上げ位置に移動して準備動作を開始する(S5)。
制御部50は、その後、加圧ベルト120及びパッドステー144の検出温度がどちらか1つでも目標温度に到達したことを検知すると(S6)、加圧ベルト120等の位置を離間位置へ移動して昇温の準備動作を継続する(S7)。
加圧ベルト120の温度が目標温度以上を超えていると(S6)、記録材の搬送性などに悪影響を及ぼす可能性があるため、加圧ベルト120の温度が目標温度に到達した時に離間位置へ移動して必要以上に温度上昇させない。
このため、加圧ベルト120及びパッドステー144の検出温度がどちらか1つでも目標温度以上の場合(S9)、制御部50は、離間位置のまま準備動作を開始する(S10)。
制御部50は、その後、加圧ベルト120及びパッドステー144の検出温度が共に目標温度に到達すると準備動作を終了する(S8)。
一方、画像形成のJOB間だと判断された場合(S11)、制御部50は、離間位置のまま温度調整を行う(S12)。
定着装置110を常温状態から離間位置で立ち上げた時の加圧ベルト120、加熱ベルト140、及びパッドステー144の温度推移を図9に示す。これに対して、定着装置110を常温状態から立ち上げ位置で立ち上げた時の加圧ベルト120、加熱ベルト140、及びパッドステー144の温度推移を図14に示す。
図14に示す立ち上げ位置の方が図9に示す離間位置よりもパッドステー144の温度上昇が速くなる。図14に示すように、立ち上げ位置で準備動作を開始した場合、パッドステー144の加温を通じて加熱ベルト140の温度上昇は比較的遅くなる。しかし、図中矢印に示すように、加圧ベルト120、加熱ベルト140、及びパッドステー144の全てが目標温度に到達するまでの時間は、立ち上げ位置で準備動作を開始した場合、離間位置で準備動作を開始する場合よりも早くなる。
実施例1の制御によれば、パッドステー144の温度上昇を早め、準備動作時間を短縮することが可能となる。
<実施例2>
図15は冷却位置の説明図である。図16は実施例2の制御のフローチャートである。図17は離間位置でのスリープ状態後の立ち上がり状態の説明図である。図18は冷却位置でのスリープ状態後の立ち上がり状態の説明図である。
実施例1では、加圧ベルト120を離間位置から立ち上げ位置へ移動させて準備動作を開始することで、定着装置110をスタンバイ状態に立ち上げる時間を短縮した。これに対して、実施例2では、加圧ベルト120を離間位置から冷却位置へ移動させてスリープ状態へ移行させることで、その後、準備動作を開始した際に定着装置110をスタンバイ状態に立ち上げる時間が短縮される。スリープ状態での各部温度が離間位置よりも下がりにくい冷却位置を定着装置110に設定することで、余熱を利用して定着装置110の立ち上げに要する時間と電力を節約している。
図15に示すように、回動軸135を中心にして、加圧アーム127を、定着動作中の加圧位置から離間位置の10°よりも小さい3°回転させた位置に冷却位置が設定されている。定着装置110は、最後の画像形成から所定時間が経過すると、定着動作中の加圧ベルト120の位置を基準にして、加圧ベルト120を3°加熱ベルト140から離間させて、スリープ状態に移行する。スリープ状態では、加圧ベルト120及び加熱ベルト140の加温・温度調整及び回転を停止させて、待機中の消費電力を節約する。
ここで、加熱ベルト140は、上述したように、IH加熱を行うためのニッケル金属層を有している上に放熱面積が大きいため、パッドステー144に接触していると、パッドステー144の温度の低下が早くなる。そのため、冷却位置は、加圧位置よりも加熱ベルト140とパッドステー144の接触面積が十分に減る(好ましくは非接触となる)ように定めた。
図12に示すように、制御部50は、時間をカウントするタイマー機能を有しており、画像形成装置100の画像形成終了後からの時間を常にカウントしている。定着装置110は、画像形成終了後もスタンバイ状態を継続して、加圧ベルト120、及び加熱ベルト140をそれぞれ100℃、185℃、パッドステー144を120℃以上に温度調整している。
実施例2では、最後の画像形成の終了後、1分間、画像形成装置100に使用者からのプリント等の命令が無い場合、スリープ状態へ移行して定着装置110の温度維持を終了する。その後、スリープ状態において使用者からプリント等の命令が行われると、ハロゲンヒーター126及び誘導加熱コイル143への通電を再開して各部材をそれぞれの規定温度まで加熱して、スタンバイ状態へ復帰させ、画像形成をスタートする。
図2及び図5を参照して図12に示すように、加圧ベルト120とパッドステー144に備える温度検知センサb、dの出力に対して、制御部50は、必要に応じて加圧ステッピングモータ134を駆動させる。これにより、加圧位置検出センサ132の出力を元に加圧ベルト120等を所定の位置に停止させる。
図2及び図12を参照して図16に示すように、実施例2では加圧ベルト120等の位置が制御される。制御部50は、画像形成装置100の状態を判断する。
定着装置110は、画像形成ジョブの終了後、待機している1分間は、図6に示す離間位置で待機し、両ベルトの温度を調整している(S21)。制御部50は、1分以内の新たな画像形成ジョブの入力が無い場合(S22)、スリープ状態に移行を判断し(S23)、図15に示すように、加熱ベルト140と加圧ベルト120が接触しない近接した位置である冷却位置へ移動する(S24)。加圧ベルト120等を定着動作中の加圧ベルト120の位置を基準に3°、加熱ベルト140から離間した位置に移動する。そして、温度調整を終了し(S25)、スリープ状態へと移行する(S26)。
制御部50は、画像形成ジョブが新たに発生してスリープ状態から復帰を判断する際は(S27)、再度、図6に示す離間位置に移動して(S28)、各部材の加熱及び回転を行う準備動作を開始する(S29)。
従来のように、定着装置110を離間位置でスリープ状態として12分経過後にスタンバイ状態まで立ち上げた時の加圧ベルト120及び加熱ベルト140の温度推移を図17に示す。また、実施例2の制御を適用して、定着装置110を冷却位置でスリープ状態として同じく12分経過後にスタンバイ状態まで立ち上げた時の加圧ベルト120及び加熱ベルト140の温度推移を図18に示す。
図18に示す冷却位置の方が図17に示す離間位置よりも準備動作開始時の加圧ベルト120の温度が高いため、その分、準備動作を通じた加圧ベルト120の温度上昇が速くなる。このため、加熱ベルト140及び加圧ベルト120がそれぞれ185℃、100℃に到達する時間は冷却位置の方が短くなり、スタンバイ状態への復帰時間を短くすることができる。
実施例2の制御によれば、冷却位置では離間位置よりも加圧ベルト120が温調温度が高い加熱ベルト140に近接するため、スリープ状態における加圧ベルト120の温度低下が抑えられる。加圧ベルト120の温度が高いため、加熱ベルト140の加熱源の電力と比較して低い電力でも加圧ベルト120を速やかに100℃の規定温度まで加熱できる。
実施例2では、図6に示す離間位置での開き角度を10°とし、図15に示す冷却位置での開き角度を3°としたが、冷却位置の開き角度は3°より大きくてもスリープ状態における加圧ベルト120の温度低下を抑える効果が得られる。しかし、効果を大きくするには、加圧ベルト120を加熱ベルト140に確実に接触させず、より近接した位置に設定してスリープ状態に移行することが望ましい。
ここで、加圧ベルト120が加熱ベルト140と接触しない近接する位置に冷却位置を設定した理由は、加圧ベルト120と加熱ベルト140の離間距離が大きいと温度低下を抑える効果が少なくなるからである。
また、実施例1の立ち上げ位置のように、加圧ベルト120を加熱ベルト140に接触させる場合、スリープ状態が短くてすぐに復帰する状況で加圧ベルト120の温度が局所的に高くなって、定着画像に光沢ムラが発生するからである。接触した状態でスリープ状態が長時間になると、上述したコンプレッションセットの問題が発生するからである。そのため、実施例2においては、両ベルトが3°の離間距離で近接する位置を冷却位置とした。
実施例2では、加熱ベルト140とパッドステー144の接触面積を十分に減らした状態でスリープ状態を開始するため、加熱ベルト140を通じたパッドステー144の放熱が抑制されて、パッドステー144が冷めにくい。このため、立ち上げ開始時のパッドステー144の平均温度が高くなって、温度が立ち上がる時間が短縮され、画像形成を早く開始できる。上述したように、最近では省電力の観点からスタンバイ状態を早めに切り上げてスリープ状態へ移行する傾向が高くなっている。このような場合、温度の低下を抑制することで、1回当たりの電力節約、時間節約は小さくても、回数が増えた分、トータルでの電力節約、稼働率向上は相当に大きくなる。
<実施例3>
図19はパッドステーの取り付け構造の説明図である。図20はパッドステーの昇降動作の説明図である。図20中、(a)は加圧位置、(b)は冷却位置及び立ち上げ位置である。
実施例3では、実施例1と実施例2とを組み合わせた制御を行う。実施例1の立ち上げ位置を実施例2の冷却位置と等しく設定した場合に発生するパッドステー144の昇温に関する課題を解決するために、パッドステー144を昇降可能に取り付けている。
実施例3では、加圧ベルト120等が立ち上げ位置の時、加熱ベルト140の内側面の下降に追従してパッドステー144が下降し、これにより、加熱ベルト140とパッドステー144の接触面積が確保される。
実施例3では、パッドステー144が昇降する方向に移動余地を持たせて定着装置110に取り付けられ、パッドステー144を上昇位置で保持するための電磁石151が設けられている。また、立ち上げ位置における加圧ベルト120の開き角度は図15に示す3°であって、図6に示す0.8°よりも大きい。それ以外の構成及び制御は、実施例1、2で説明したものとほぼ同様であるため、詳細な説明を省略する。
図19に示すように、パッドステー144は、加熱ベルト140の垂れ下がりに追従して加熱ベルト140との接触を保つための構成を有する。パッドステー144は、両端面において定着装置110の側板148に支持される。
パッドステー144の長手方向の両端の支持面には、ニップ面と垂直に二つの長丸穴149が形成されている。一対の側板148にそれぞれ設けた2本の軸150が長丸穴149に入ることで、ニップ面と平行な方向にパッドステー144の位置が決められる。パッドステー144の上端部が側板148に設けたストッパを兼ねた突起形状の電磁石151に突き当たることで、加圧ベルト(120)の加圧位置におけるパッドステー144の垂直方向の位置が決められる。これにより、パッドステー144は、両端面の長丸穴149の長さ分、ニップ面に垂直方向で加熱ベルト140方向に移動可能な取り付けとなっている。
図2に示すように、定着動作中の加圧位置では、加熱ベルト140は加圧パッド123及び加圧ベルト120に押し上げられるので、図20の(a)に示すように、加熱ベルト140がパッドステー144のニップ面に密着している。
定着装置110は、スタンバイ状態で次の画像形成を待機する。そして、実施例2と同様に、スタンバイ状態が1分間続くと、図15に示す冷却位置へ加圧ベルト(120)が移動してスリープ状態へ移行する。冷却位置に移動した時、加熱ベルト140は、基層の剛性によってパッドステー144ニップ面から離れる方向に移動する。このとき、電磁石151によって着磁されているため、加熱ベルト140がパッドステー144のニップ面から離間して放熱を妨げ、パッドステー144の温度低下を遅らせる。
その後、新しい画像形成ジョブが入力されると、定着装置110はスリープ状態を脱して準備動作を開始する。このとき、電磁石151の着磁が解除されるため、パッドステー144は、自重によって長丸穴149の長さ分落下し、図20の(b)に示すように、加熱ベルト140の移動に沿ってパッドステー144も矢印方向に移動する。
これにより、冷却位置を兼ねた立ち上げ位置でも、加熱ベルト140とパッドステー144の接触面積を、パッドステー144が定着動作中と同じ位置に固定されている状態に比べて大きくすることが可能となる。このため、図6に示す0.8°の開き角度の立ち上げ位置で行うのと同様に、パッドステー144の常温状態から120℃までの昇温に要する時間を短縮することが可能となる。
実施例3においては、パッドステー144の自重よって加熱ベルト140に追従させた。しかし、パッドステー144の重量に対して、加熱ベルトの剛性が高く、接触面積を確保できない場合は、パッドステー144をニップ面側に加圧するバネを設けてもよい。このように、加熱ベルト140内面に強制的に押し当てる構成を採用することで、より確実な効果が得られる。ただし、バネによる加圧力は定着動作中における加圧パッド123の加圧力(400N)より十分に弱い必要がある。
実施例3においては、加圧位置、立ち上げ位置、冷却位置、及び離間位置における加圧部材(144)とベルト部材(140)の接触面積をそれぞれSa、Sb、Sc、Sdとする。このとき、Sa>Sb≧Sc>Sdの関係が成り立っている。
実施例3においては、加圧部材(144)は、加圧位置から立ち上げ位置へ移行した際に、ベルト部材(140)の移動に追従して、ベルト部材(140)に対する接触状態を保つように、移動可能に取り付けられている。
50 制御部
51 温度調整回路
100 画像形成装置、101 感光ドラム、102 帯電ローラ、193 露光装置
104 現像装置、105 転写ローラ、106 記録材カセット、107 給紙ローラ
108 レジストローラ、109 クリーニング装置、110 定着装置
120 加圧ベルト、121 加圧ロール、122 テンションロール、123 加圧パッド
126 ハロゲンヒーター、127 加圧アーム、129 加圧回動板、131 加圧カム
132 加圧位置検出センサ、134 加圧ステッピングモータ、135 回動軸
140 加熱ベルト、141 駆動ロール、142 テンションロール
143 誘導加熱コイル、144 パッドステー、148 側板
149 長丸穴、150 軸、151 電磁石
b、c、d 温度検知センサ

Claims (7)

  1. ベルト部材と、回転する前記ベルト部材を加熱する加熱手段と、前記ベルト部材の張架部の内側面に配置された加圧部材と、前記加圧部材に支持された前記ベルト部材の張架部に当接して記録材の加熱ニップを形成する回転部材と、前記ベルト部材と前記回転部材とを接離させる接離機構とを備え、前記ベルト部材の張架部と前記回転部材との間に記録材の加熱ニップが形成される加圧位置と、前記ベルト部材の張架部と前記回転部材とを離間状態で回転させて像加熱を待機する離間位置とを前記接離機構により設定可能な画像形成装置において、
    前記加圧位置と前記離間位置との間に設定された立ち上げ位置を前記接離機構により設定した状態で前記加熱手段による温度立ち上げを実行する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、前記立ち上げ位置と前記離間位置との間に設定された冷却位置を前記接離機構により設定した状態で前記加熱手段の出力低下による電力節約を実行することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記加圧部材は、記録材通過時の加熱ニップの温度低下を抑制するための蓄熱部材を兼ね、前記ベルト部材を介して加熱されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記加圧位置、前記立ち上げ位置、前記冷却位置、及び前記離間位置における前記加圧部材と前記ベルト部材の接触面積をそれぞれSa、Sb、Sc、Sdとするとき、
    Sa>Sb≧Sc>Sd
    であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  5. 前記加圧部材は、前記加圧位置から前記立ち上げ位置へ移行した際に、前記ベルト部材の移動に追従して、前記ベルト部材に対する接触状態を保つように、移動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の画像形成装置。
  6. ベルト部材と、回転する前記ベルト部材を加熱する加熱手段と、前記ベルト部材の張架部の内側面に配置された加圧部材と、前記加圧部材に支持された前記ベルト部材の張架部に当接して記録材の加熱ニップを形成する回転部材と、前記ベルト部材と前記回転部材とを接離させる接離機構とを備え、前記ベルト部材の張架部と前記回転部材との間に記録材の加熱ニップが形成される加圧位置と、前記ベルト部材の張架部と前記回転部材とを離間状態で回転させて像加熱を待機する離間位置とを前記接離機構により設定可能な画像形成装置において、
    前記加圧位置と前記離間位置との間に設定された冷却位置を前記接離機構により設定した状態で、前記加熱手段、前記ベルト部材、及び前記回転部材の停止による電力節約を実行する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  7. 前記回転部材は、前記加圧部材に対応する位置に弾性層を設けた別の加圧部材によって内側面が支持される別のベルト部材であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の画像形成装置。
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