JP2011079358A - 内リム表面に補強部を有する軽合金製のホイール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、内リム部2と外リム部とを有する車輌用の軽合金製のホイール1であって、内リム部2の内外周面の少なくとも片面の一部に強化繊維部材からなる補強部が形成されており、内リム部2の剛性を向上させたホイール1である。強化繊維部材には炭素繊維、アラミド繊維が用いられる。
【選択図】図1
Description
一方、ブレーキの形状も大きくなり、必然的にオフセット寸法も大きくなるため、内リムの幅が格段に広くなる傾向にある。このため、更なる軽量化が望まれている。なお、ホイールの形状は原則としてETRTO(Europian Tire and Rim Technical Organization)あるいはJATMA規格(日本自動車タイヤ協会)により定められ、リムとディスク部の形状は細かく規定されており、内リムは大略円筒状及び円錐状である。
図1のホイール1は、内リム部2とディスク部5とが一体になっている。また、内リム部2は、ビードシート部6、ハンプ7、ウエル部8、リムフランジ部9を備える。図1では内リム部2のウエル部8からハンプ7の間の外周側周面全体に炭素繊維プリプレグ3を貼着している。なお、含浸させた樹脂プライマーはエポキシ樹脂である。炭素繊維プリプレグ3は、図4(a)に示す炭素繊維を一方向へ並列した状態で樹脂を含浸させた炭素繊維プリプレグを用いている。貼着加工条件は130℃の熱間接着である。炭素繊維の方向は内リム部2円筒面及び円錐面の各円周に沿って貼着した。
走行中のホイールリムにかかる応力の方向は垂直方向だけに限らないから炭素繊維の方向も多方向に対応したプリプレグが要求される。図4(a)は離型性の良いシート上に炭素繊維10を引き揃えマトリックス樹脂を含浸させ半乾燥の状態で離型して使用するが、図4(b)の炭素繊維は炭素繊維をからみ織り状に織成した織布であり炭素繊維の間隔が一様に保持されやすい。からみ織りに使用する炭素繊維は紡績糸などが利用される。図4(c)は通常の平織り織布でありそれぞれ90°の開拡角度を有しそれぞれの方向に炭素繊維が配列される。これらの織布にエポキシ樹脂(接着剤)を含浸させて炭素繊維プリプレグとして利用する。一例として、図5(a)では、図4(c)に示す平織り炭素繊維からなる炭素繊維プリプレグを45°のバイアス方向に切り取り、該炭素繊維プリプレグを45°傾けた状態で図4(a)又は図4(b)に示す炭素繊維プリプレグを縦方向に重ねると三方向に繊維が配列され、適宜位置の中心から見れば六方向に炭素繊維が配列される。図5(b)の場合は図4(a)または図4(b)に示す炭素繊維プリプレグを60°傾けて積層することで正確に三方向、中心から見れば六方向に炭素繊維が配列された状態になる。これらは少なくとも2乃至3層構造で使用することになる。
図6(a)はリムフランジ部23に連なるビードシート部6及びハンプ7の直近下側に中空部22を設けた構成の内リム部20を示している。内リム部面には炭素繊維プリプレグ24を貼着している。炭素繊維の方向は内リム部20円周面に沿う方向である。ハンプに続くスロープを内リム部21に溶接して固定する。符号Yは溶接箇所を示す。密封された中空部に炭素繊維プリプレグ24を貼着する工程の概略を次に記載する。
図6(b)は中空部22を形成する一例を示す断面説明図である。鍛造または鋳造により内リム部前躯体25を成型し、フランジ前躯体26及び内リム部27を形成する。炭素繊維プリプレグ24を内リム部27の図示する位置に熱間貼着固定した後、符号Rで示す箇所にローラーを押し当て、内リム部を該中心軸の周りに回転させながら押圧してフランジ前躯体26を裂開してビードシート部及びハンプを形成する部分を破線で示すように分離傾倒させる。更にスピニングと切削加工を行って図6(a)に示すビードシート部及びハンプを成型し端部を符号Yの位置で溶接固定する。
図6(c)はビードシート部及びハンプ前躯体を形成する前の内リム部前躯体28を示す。鋳造によりリムフランジ部30及び内リム部29を成型するときに円環状のフランジ32を同時に成型する。次いで内リム部29の上部面に炭素繊維プリプレグ24を図6(b)の場合と同様に熱間貼着固定する。スピニング加工によりフランジ32を符号Aの方向に傾倒させビードシート部及びハンプを切削加工により形成し符号Yの箇所でリムフランジ部30と溶接固定して図6(a)に示す中空部31を形成する。
図6(d)はビードシート部及びハンプを後付けする内リム部35を示す。リムフランジ部36と内リム部37は一体に成型され内リム部にはビードシート部及びハンプを受ける凸部37aが設けられている。ビードシート部6及びハンプ7は別途円筒状に作成され若干の変形を与えながら内リム部37に装着しリムフランジ部36と凸部37aの接合箇所は符号Yの位置で溶接接合され、中空部38が形成される。この場合はビードシート部の下面に直接炭素繊維プリプレグ24が貼着される利点がある。
図7は内リム部2に貼着された炭素繊維プリプレグ3の密着性を補強するために螺子40又はリベット42を使用した例を示す断面図である。内リム部2は一部が示され7はハンプである。螺子40は押圧板41を介在させており内リム部2にネジ穴を設けて接着剤を塗布し螺子締めされる。ナットを用いて螺子締めを行っても良い。リベット42を使用する場合は同様に押圧板43を介在させて穴に接着剤を添付した後カシメ加工が行われる。前記押圧板はワッシャーより大きい面積を押圧し炭素繊維プリプレグの密着性を高める作用を行っている。いずれの場合も螺子及びリベットの空密性は確保すると共に炭素繊維プリプレグが貼着された部分の複数箇所に設けられる。
(実施例1)
本発明のホイールの内リム部2全体を0.5mm厚の強化繊維部材51で補強した。なお、図8(a)は、実施例1における内リム部と強化繊維部材とを示す断面図である。
(実施例2)
本発明のホイールの内リム部2のインナー側を1.0mm厚の強化繊維部材52で補強した。なお、図8(b)は、実施例2における内リム部と強化繊維部材とを示す断面図である。
(実施例3)
本発明のホイールの内リム部2のインナー側及びビードシート部を1.0mm厚の強化繊維部材53で補強した。なお、図8(c)は、実施例3における内リム部と強化繊維部材とを示す断面図である。
(実施例4)
本発明のホイールの内リム部2のインナーフランジを1.5mm厚の強化繊維部材54で補強した。なお、図8(d)は、実施例4における内リム部と強化繊維部材とを示す断面図である。
(実施例5)
本発明のホイールの内リム部2のインナーフランジを4.0mm厚の強化繊維部材55で補強した。なお、図8(e)は、実施例5における内リム部と強化繊維部材とを示す断面図である。
実施例1〜5のサンプルに対し、縦剛性試験を行った。図9は、実施例における縦剛性試験の概要を示す概略図である。図9に示すように、試験台にホイールのディスク部を取り付け、水平になった内リム部の先端に円盤状の錘Fを載せ、錘Fの中心部から内リム部の面とは垂直方向(縦方向)に負荷荷重が3.0kNとなるように押し付けた。その後、解放し、内リム部の変位を測定した。
得られたリム縦剛性の結果を表1に示す。表1中、X方向とは図8(a)〜図8(e)のホイールにおいて紙面に対し奥行き方向を意味し、Y方向とは図8(a)〜図8(e)のホイールにおいて紙面に対し上下方向を意味し、Z方向とは図8(a)〜図8(e)のホイールにおいて紙面に対し左右方向を意味する。また、剛性比とは実施例1のサンプルの相当変位を100とした場合における他のサンプルの相当変位の比率を意味する。
実施例1〜5のサンプルに対し、横剛性試験を行った。図10は、実施例における横剛性試験の概要を示す概略図である。図10に示すように、試験台にホイールのディスク部を載置し、垂直に立った内リム部の先端に円盤状の錘Fを載せ、錘Fの上から内リム部の延長方向(縦方向)に負荷荷重が3.0kNとなるように押し付けた。その後、解放し、内リム部の変位を測定した。
得られたリム横剛性の結果を表2に示す。表2中、X方向とは図8(a)〜図8(e)のホイールにおいて紙面に対し奥行き方向を意味し、Y方向とは図8(a)〜図8(e)のホイールにおいて紙面に対し上下方向を意味し、Z方向とは図8(a)〜図8(e)のホイールにおいて紙面に対し左右方向を意味する。また、剛性比とは実施例1のサンプルの相当変位を100とした場合における他のサンプルの相当変位の比率を意味する。
2・・・内リム部
3・・・炭素繊維プリプレグ(内リム部外周面)
4・・・炭素繊維プリプレグ(内リム部内周面)
5・・・ディスク部
6・・・ビードシート部
7・・・ハンプ
8・・・ウエル部
10・・・炭素繊維
22,31,38・・・中空部
23・・・リムフランジ部
24・・・炭素繊維プリプレグ
51,52,53,54,55・・・強化繊維部材
40・・・螺子
42・・・リベット
Claims (11)
- 内リム部と外リム部とを有する車輌用の軽合金製のホイールであって、
内リム部の内外周面の少なくとも片面の一部に強化繊維部材からなる補強部が形成されており、
内リム部の剛性を向上させたことを特徴とするホイール。 - 前記内リム部の一部であるビードシート部に前記補強部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のホイール。
- 前記強化繊維部材が炭素繊維プリプレグであることを特徴とする請求項1記載のホイール。
- 前記強化繊維部材が炭素繊維単体であることを特徴とする請求項1記載のホイール。
- 前記炭素繊維プリプレグが、細幅の炭素繊維プリプレグであり、内リム部の外周面に巻き付けて接着固定することにより前記補強部が形成されていることを特徴とする請求項3記載のホイール。
- 前記炭素繊維プリプレグの少なくとも片面側にアラミド繊維又はアラミド繊維プリプレグが更に接着固定されていることを特徴とする請求項3に記載のホイール。
- 前記炭素繊維プリプレグが、炭素繊維薄プリプレグを積層させたものであり、該炭素繊維薄プリプレグそれぞれが少なくとも六方向であり、前記炭素繊維プリプレグの厚みが4ミリ以下であることを特徴とする請求項3記載の車両用軽合金製ホイール。
- 前記内リム部の内外周面と前記補強部との間に、前記炭素繊維プリプレグと軽合金との相互の接着固定性を有する樹脂プライマーからなる樹脂プライマー層が介在されていることを特徴とする請求項3記載のホイール。
- 前記内リム部に対して、前記補強部の少なくとも一部が押圧板で締め付けることにより固定されていることを特徴とする請求項1記載のホイール。
- 前記内リム部の内外周面に、前記補強部の接着強度を向上させるための凹凸形状が形成されている請求項1記載のホイール。
- 前記炭素繊維単体が内リム部外周に巻回されていることを特徴とする請求項4記載のホイール。
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