JP2011077314A - 電子機器の冷却構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋外に設置された電子機器が、太陽日射や気温の温度差などの外部要因によって電子機器内に温度差が生じてしまう場合や、近隣に設置された他装置の熱によって電子機器内に温度差が生じてしまう場合において、その外部からの熱エネルギーの影響を低減し、且つ、機器の温度を許容温度範囲に安定させることができる電子機器の冷却構造を提供する。
【解決手段】電子機器は、筺体内部に収容される電子部品を、複数の熱伝導部材5a、5bと熱伝導制御部材8を介して、筺体内壁と熱的に接続させ、電子部品から筺体内壁へ輸送する熱量を、熱伝導制御部材8を用いて制御する構成を有し、外部環境の影響により、温度上昇した筺体面へは、輸送する熱量を小さくし、外部環境の影響を受けていない筺体面へは、輸送する熱量を大きくすることで、電子部品の温度を許容温度範囲に安定させる構造となっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器の冷却構造に係り、特に、屋外に設置された電子機器が、太陽日射や気温の温度差などの外部要因によって電子機器内に温度差が生じてしまう場合や、近隣に設置された他装置の熱によって電子機器内に温度差が生じてしまう場合において、その外部からの熱エネルギーの影響を低減し、且つ、機器の温度を許容温度範囲に安定させることを目的とした、電子機器の冷却構造に関するものである。
近年、電子機器の高機能化・高密度化に伴い、機器から発生する熱の処理が大きな課題となっている。特に、精密機器では、動作時の許容温度範囲が制限される場合が多く、熱処理に関する事項が設計上厳しい条件となっている。
このような機器が、特に、屋外に設置される場合、太陽日射を受ける部分と受けない部分とで、温度差が生じるため、機器全体の温度を許容温度範囲内に保つことが困難である。
図2は、屋外に設置される電子機器を示した概念図である。この電子機器では、筺体20内にプリント基板21が収容される。プリント基板21には、電子部品22が実装されており、この電子部品22を放熱するため、筺体内壁と電子部品22とを熱的に接続している。熱的に接続しているとは、熱的につながっていることを意味しており、例えば、電子部品22から発生した熱をヒートシンク等を用いて接続し筺体外壁まで伝導する仕組みである。この発生した熱は、筺体外壁より外気へ放出され、筺体内部の温度上昇を抑えるものである。
しかしながら、この電子機器が、太陽日射を受ける場合、夏季には、約1KW/mもの日射量があるため、日射を受ける筺体外壁の温度は、80℃以上にもなることがある。このとき、電子部品22の温度は、自身の発熱により、筺体内壁の温度よりさらに上昇するため、電子部品22を使用環境条件(温度・湿度等)内で使用することが難しい。
そのため、屋外に設置される電子機器では、太陽日射を遮るための遮光板を取り付ける場合がある。遮光板24は、図3に示すように、太陽日射を受ける部分を覆うようにして取り付ける。そのため、遮光板24を設置するには、太陽日射の方向を予め把握しておく必要がある。太陽日射の方向を特定できない場合には、機器底面を除く5面に遮光板を取り付けることが一般的である。しかし、この方法では、電子機器が大型化してしまう課題がある。
そこで、太陽日射による温度上昇の低減と、電子機器の小型化の両面を考えた場合の一例として、特開2001−57485号公報(特許文献1)に開示されている技術がある。
図4は、上記公報に開示されている電子機器を示した構造概念図である。図4において、電子機器は、金属の密閉筺体40内に、プリント基板41と、電子部品42、方向性熱伝達部材43、低熱抵抗部材44を備える。この電子機器では、電子部品42を冷却するために、電子部品42と密閉筺体40とを、複数の方向性熱伝達部材43及び低熱抵抗部材44を介して接続している。これにより、電子部品42から発生した熱は、方向性熱伝達部材43及び低熱抵抗部材44を通じて、密閉筺体外壁まで輸送され、外気へ放出される仕組みである。なお、方向性熱伝達部43材は、電子部品42から筺体外側方向にのみ熱伝達を行うように配設されている。そのため、電子機器が、太陽日射を受ける場合、日射を受けて温度上昇した筺体外壁面の熱は、方向性熱伝達部材43を介して、筐体内部の電子部品42へは伝達されない構造となっている。
特開2001−57485号公報
しかしながら、電子機器の温度を許容温度範囲に保つことを考えた場合、上記公報記載の技術には、次のような課題がある。
上記公報記載の技術では、方向性熱伝達部材として、ヒートパイプが用いられている。ヒートパイプは、吸熱部と放熱部との間に温度差が生じた場合に、吸熱側から放熱側へ直ちに熱を輸送する。このとき、ヒートパイプの作動温度は、吸熱部と放熱部との温度により、受動的に決定される。
そのため、ヒートパイプの吸熱部を電子部品と、放熱部を筺体内壁と接続した上記電子機器構造では、太陽日射により、筺体内壁(放熱部)の温度が変化すると、電子部品(吸熱部)の温度も受動的に変化し、これを所定の温度に保つことはできない。
また、ヒートパイプは金属管を用いられることから、期待するほどの熱伝導効率は得られず、太陽日射などの外部環境からの熱エネルギーが装置内に輸送されて、太陽日射などの外部環境要因を受けやすい。言い換えると、上記電子機器構造では、外部環境要因の影響を大幅に低減することは期待できない。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、本発明は、太陽日射などの外的要因により電子機器に大きな温度差が生じてしまう場合や、近隣に設置された他装置の熱によって電子機器内に温度差が生じてしまう場合など、外部からの熱エネルギーの影響を受ける環境において、その外部環境の影響を低減し、機器の温度を許容温度範囲に安定させることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る電子機器は、筺体内部に収容される電子部品を、複数の熱伝導部材と熱伝導制御部材を介して、筺体内壁と熱的に接続させ、電子部品から筺体内壁へ輸送する熱量を、熱伝導制御部材を用いて制御する構成を備え、
外部環境の影響により温度上昇した筺体面へは、輸送する熱量を小さくし、外部環境の影響を受けていない筺体面へは、輸送する熱量を大きくすることで、電子部品の温度を許容温度範囲に安定させる特徴を有する。
より具体的には、本発明に係る電子機器は、例えば図5に示すように、筺体1内部に、プリント基板3と、電子部品4、熱伝導部材5、熱伝導制御部材6、制御回路部12、温度センサ13を備えており、
上記プリント基板3に搭載された電子部品4を冷却するため、電子部品4の上面を熱伝導部材5と接続し、更に、熱伝導部材5を、複数の筺体内壁と熱伝導制御部材6を介して接続する、という構成を特徴のひとつとする。
また、上記熱伝導制御部材6は、電子部品4から筺体内壁へ輸送する熱量を制御可能とした部材であって、その制御は、上記プリント基板3に搭載される制御回路部12によってなされる。
なお、上記制御回路部12は、上記電子部品4の温度や、上記筺体1に取り付けられた温度センサ13の情報を受け取り、電子部品4の温度を許容温度範囲に安定するように、電子部品4から各筺体内壁へ輸送すべき熱量を制御する。
本発明の第1の解決手段によると、
電子部品が筐体の内部に配置され、該筐体の第1の面及び第2の面から放熱される電子機器の冷却構造であって、
前記電子部品から前記筐体の第1の面へ伝わる熱量を制御する第1熱伝導制御部材と、
前記電子部品から前記筐体の第2の面へ伝わる熱量を制御する第2熱伝導制御部材と、
前記筐体の第1の面の温度を計測する第1温度センサと、
前記筐体の第2の面の温度を計測する第2温度センサと、
前記第1温度センサと前記第2温度センサにより計測された各温度に基づき、第1及び第2の面のうち温度が低い面について、対応する第1又は第2熱伝導制御部材の熱抵抗が小さくなるように制御して該面へ伝わる熱量を大きくする制御回路と
を備えた前記電子機器の冷却構造が提供される。
本発明の第2の解決手段によると、
電子部品が筐体の内部に配置され、該筐体の第1の面及び第2の面から放熱される電子機器の冷却構造であって、
前記電子部品から前記筐体の第1の面へ伝わる熱量を制御する第1熱伝導制御部材と、
前記電子部品から前記筐体の第2の面へ伝わる熱量を制御する第2熱伝導制御部材と、
前記筐体の第1の面での光量を計測する第1光センサと、
前記筐体の第2の面での光量を計測する第2光センサと、
前記第1光センサと前記第2光センサにより計測された各光量に基づき、第1及び第2の面のうち光量が小さい面について、対応する第1又は第2熱伝導制御部材の熱抵抗が小さくなるように制御して該面へ伝わる熱量を大きくする制御回路と
を備えた前記電子機器の冷却構造が提供される。
本発明の第3の解決手段によると、
電子部品が筐体の内部に配置され、該筐体の第1の面及び第2の面から放熱される電子機器の冷却構造であって、
前記電子部品から前記筐体の第1の面へ伝わる熱量を制御する第1熱伝導制御部材と、
前記電子部品から前記筐体の第2の面へ伝わる熱量を制御する第2熱伝導制御部材と、
前記筐体の第1の面に配置され、第1の面外部の温度を計測する第1温度センサと、
前記筐体の第2の面に配置され、第2の面外部の温度を計測する第2温度センサと、
前記第1温度センサと前記第2温度センサにより計測された各温度に基づき、第1の面外部及び第2の面外部のうち温度が低い面について、対応する第1又は第2熱伝導制御部材の熱抵抗が小さくなるように制御して該面へ伝わる熱量を大きくする制御回路と
を備えた前記電子機器の冷却構造が提供される。
本発明によれば、太陽日射などの外的要因により電子機器に大きな温度差が生じてしまう場合や、近隣に設置された他装置の熱によって電子機器内に温度差が生じてしまう場合など、外部からの熱エネルギーの影響を受ける環境において、その外部環境の影響を低減し、機器の温度を許容温度範囲に安定させることができる。
また、本発明によると、太陽日射を受ける環境では、遮光板を不要とするため、電子機器の小型化を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る電子機器を示した斜視図。 従来技術による電子機器を示した概念図。 遮光板を取り付けた場合の、従来技術による電子機器を示した概念図。 従来技術による電子機器を示した概念図。 本発明による電子機器を示した概念図。 本発明の一実施形態に係る電子機器を示した側面図。 本発明の一実施形態に係る電子機器を示した分解図。 本発明の一実施形態に係る電子機器を示した概念図。 本発明の一実施形態に係る電子機器において、日射を受けるときの動作挙動を示した概念図。 本発明の一実施形態に係る電子機器において、日射を受けるときの動作挙動を示した概念図。 本発明の一実施形態に係る電子機器において、ペルチェ素子の制御回路例を示す図。 本発明の実施形態2に係る電子機器を示した概念図。 本発明の実施形態3に係る電子機器を示した概念図。 本発明の実施形態3に係る高日射吸収率温度センサを示した概念図。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る電子機器を透過的に示した斜視図である。
本電子機器は、筺体1と、ヒートシンク2、プリント基板3、熱伝導部材A5a、熱伝導部材B5b、ゴムパッキン9、ヒートパイプ7及びペルチェ素子(熱伝導制御部材)8と、図示されない電子部品4、制御回路部12及び温度センサ13とを備える。
図6は、本実施形態に係る電子機器を示した断面側面図である。
本電子機器は、筐体A1a及び筐体B1bを有し、それぞれの筺体表面(第1の面、第2の面)にはヒートシンク2が形成され外気への放熱を可能としている。筐体A1a及び筺体B1bは、それぞれ十分な冷却性能を備え、概ね同等の熱抵抗を有する構造である。なお、筐体A1a及び筐体B1bの間には、お互いの熱伝導による温度影響を低減させるため、防水対策兼用のゴムパッキン9を挟み込む構造としている。
一方、装置内部においては、プリント基板3に実装された電子部品4を冷却するため、電子部品4を熱伝導部材A5aに接続させる。このとき、熱伝導部材A5aは、電子部品4の熱を効率よく輸送するため、例えば銅やアルミニウムなどの高熱伝導金属や、プレート状のヒートパイプ等とすることができる。なお、熱伝導部材A5aに接続させる電子部品4の数は、1つであっても良いし、複数であっても良い。
また、熱伝導部材A5aは、その上下面に取り付けられたヒートパイプ7により、熱伝導部材B5bと接続される。熱伝導部材B5bも熱伝導部材A5aと同様に、電子部品4の熱を効率よく輸送するため、例えば銅やアルミニウムなどの高熱伝導金属、プレート状のヒートパイプ7とすることができる。なお、熱伝導部材A5aと熱伝導部材B5bを接続するヒートパイプ7の本数は、輸送する熱量に応じて適宜調整する。
熱伝導部材B5bの裏面は、熱伝導制御部材であるペルチェ素子8を介して、それぞれ筺体A1a及び筐体B1bの内壁と接続される。これにより、電子部品4から発生する熱は、最終的に筺体内壁へ輸送される仕組みである。ここで、ペルチェ素子とは、素子に供給される電圧の大きさによって、熱輸送量(発熱・吸熱)をコントロール出来る半導体素子である。なお、放熱する面は、図示のような2面に限らず3面以上から放熱するようにしてもよい。
図7は、本実施形態に係る電子機器を示した分解図である。
本電子機器では、ペルチェ素子8を制御するための制御回路部12が、プリント基板3上に実装される。また、筺体A1a及び筺体B1bの内壁には、温度センサ(第1温度センサ、第2温度センサ)13が埋め込まれており、筺体内壁の温度情報を制御回路部12へ伝えるように構成されている。なお、本実施形態では、筺体内壁の温度分布に、ムラが生じることを想定して、温度センサ13を複数設置している。
以下、本電子機器の動作時におけるペルチェ素子8の制御挙動について説明する。
まず、図8に示すように、太陽日射を受けない環境で(外部からの熱エネルギーの影響を受けない環境で)、本電子機器を動作させた場合を想定する。このとき、電子機器内には、大きな温度差が生じないため、筺体A1aの温度T1及び筺体B1bの温度T2は概ね等しくなる(T1≒T2)。そのため、筺体A1a及び筺体B1bに均等に熱量を輸送して、電子部品4を放熱すればよい。そこで、制御回路部12は、ペルチェ素子A8a及びペルチェ素子B8bの熱抵抗θ、θが、θ≒θとなるようにする。すると、筐体A1a及び筐体B1bは、同等の熱抵抗を有するので、筺体A1aから外部へ放出される熱量Qと、筺体B1bから外部へ放出される熱量Qは等しくなる。電子部品4の温度を目標温度(電子部品制御目標温度)に保つために、外部へ放出しなければならない総熱量をΔQとすれば、ΔQ/2=Q=Qの関係となる。
次に、図9に示すように、本電子機器が屋外に設置され、時刻t1において、筐体A1a側が大きな日射量を受けている場合を想定する。このとき、太陽日射を受ける筐体A1aの温度は上昇し、T1>T2となる。そのため、筺体A1aヵら外部へ放出される熱量Qは、太陽日射を受けないときと比較して小さくなり、冷却効率が悪くなる。そこで、制御回路部12により、θ〜大、θ〜小となるよう、ペルチェ素子A8a及びペルチェ素子B8bの熱抵抗を制御する。すると、放熱量Qは太陽日射を受けないときと比較して小さくなり、冷却効率が悪いままではあるが、熱抵抗が大きくなるため、太陽日射の影響を受けにくくなる。一方、筺体B1bでは、ペルチェ素子B8bの熱抵抗が小さくなるため、放熱量Qが太陽日射を受けないときと比較して増大する。また、全体として、電子部品4の温度を電子部品制御目標温度に保つために、外部へ放出しなければならない熱量ΔQをとすれば、ΔQ=Q+Qの関係が成り立つように、Q、Qを制御すると、電子部品の温度は一定又は所望の温度範囲に保たれる。
最後に、図10に示すように、日射方向が変った別の時刻t2において、筐体B1b側が大きな日射量を受けている場合を想定する。時刻t1のときとは逆に、日射を受ける筐体B1bの温度が上昇するから、T1<T2となる。そのため、筺体B1bから放出される熱量Qは、日射を受けないときと比較して小さくなり、冷却効率が悪くなる。そこで、時刻t1とは逆に、制御回路部12により、θ〜小、θ〜大となるように、ペルチェ素子A8a及びペルチェ素子B8bを制御する。すると、日射を受けないときと比較して筺体A1aから放出される熱量Qは増大し、一方、筺体B1bから放出される熱量Qは小さくなる。時刻t1のときと同様に、全体として、ΔQ=Q+Qの関係が満たされるなら、電子部品4の温度は一定又は所望の温度範囲に保たれる。
なお、本実施形態に係る電子機器は、日射を受ける場合だけでなく、筐体A1a又は筐体B1bのどちらか一方に他装置が設置され、アンバランスな熱エネルギーの影響を受ける場合も、同様の効果があることは言うまでもない。
図11は、ペルチェ素子8の制御回路部12を示した一例である。
本制御回路部12は、主制御部とバランサ部を有する。
主制御部では、まず図中A点において、電子部品用温度センサにより監視している電子部品温度TPVと、電子部品がとるべき温度(電子部品制御目標温度Ttrg)との差分ΔTを求める。なお、電子部品用温度センサ(第3の温度センサ)は、電子部品内部に実装される場合が多いため、図5〜図10では特に図示していない。なお、電子部品内部に実装される以外にも、外部に実装されてもよい。また、電子部品制御目標温度Ttrgは、予め設定されることができる。
次に、主制御部は、この温度差分ΔTから、電子部品温度TPVが電子部品制御目標温度Ttrgとなるために、外部へ放出しなければならない熱量ΔQを、フィルタ1により決定する。フィルタ1では、ΔTをΔQへ変換するために、熱シミュレーションや実機試験等により、両者の関係を予め求めておく必要がある。例えば、熱シミュレーションや実機試験等により得られたデータに基づいて、ΔTの値とΔQの値の対応関係を予めテーブル等に記憶してもよいし、ΔTからΔQを求める式を予め求めて設定しておいてもよい。これに限らず適宜の手法で、ΔTをΔQへ変換してもよい。
そして、フィルタ1により得られたΔQは、図中B点において、それぞれの筺体面が、放熱しなければならない熱量Q、Qに分けられる。本例では、簡略のため、筺体A側及び筺体B側の2系統について制御する場合を示しており、図中B点では、筺体A1aから放出される熱量Qと、筺体B1bから放出される熱量Qを等しくするために、Q=Q=ΔQ/2と、等分割している。なお、予め定められた割合で放熱量を分割してもよい。例えば、放熱する各面の面積や各面のペルチェ素子の数、放熱能力等に応じて分割してもよい。
一方、太陽日射により電子機器に大きな温度差が生じる場合は、バランサ部により、Q及び、Qを調整する。バランサ部では、図中C点において、筺体用温度センサ1及び、2により監視している電子機器側面温度T1、T2の差分ΔTを求める。そして、両者の温度差分ΔTを0とするために、ペルチェ素子A及び、ペルチェ素子Bに与えるべき放熱量の差ΔQを、フィルタ2により求める。このフィルタ2では、フィルタ1のときと同様に、ΔTをΔQへ変換するために、シミュレーション等により、両者の関係を予め求めておく必要がある。なお、バランス部による上記処理は、電子機器に大きな温度差が生じる場合(例えば、T1とT2との差分ΔTが予め定められた閾値より大きい場合)などに実行してもよいし、電子部品用温度センサにより測定された電子部品温度TPVをと電子部品制御目標温度Ttrgとの差分ΔTが予め定められた閾値より大きい場合などに実行してもよい。
そして、T1とT2の温度差分ΔTをなくし、且つ、電子部品温度TPVを電子部品制御目標温度Ttrgへと近づけるには、このΔQを、それぞれ加減算すればよいから、Q=ΔQ/2−ΔQ、Q=ΔQ/2+ΔQと、各ペルチェ素子が放熱すべき熱量が得られる。このように、決定されたQ、Qは、主制御部に設置されたドライバを通して、ペルチェ素子8へ伝えられる。ペルチェ素子8は、全部又は一部の電源をオン/オフすること、或いは、素子に供給される電圧の大きさを変化させることにより、熱輸送量をコントロールする。なお、制御回路部12は、筐体A1a、B1bのうち温度の低い方の熱抵抗のみを制御し、温度が高い方については制御しないようにしてもよい。
以上、説明してきたように、本実施の形態によれば、太陽日射などの外的要因により、電子機器に大きな温度差が生じてしまう場合や、近隣に設置された他装置の熱によって電子機器内に温度差が生じてしまう場合など、外部からの熱エネルギーの影響を受ける環境において、その外部環境の影響を低減し、機器の温度を許容温度範囲に安定させることができる。
(変形例)
図12は、光センサを用いた場合の電子機器の構成図である。
なお、太陽日射の影響を素早く感知するための別の手段として、図12に示すような光センサ13を用いても良い。本センサ13によって、太陽日射を受光している面を素早く感知し、時間的余裕のある温度制御ができる。また、光センサ13は、例えば、太陽日射の影響を受ける筐体1の正面、側面、天井面にそれぞれ設置するのがよい。なお、この電子機器では、図11に示すバランサ部では、温度センサでの温度差を求める代わりに、光センサ13からで測定される光量の差を求めればよい。
図13は、高日射吸収率温度センサを用いた場合の電子機器の構成図である。
また、太陽日射の影響を素早く感知するための更に別の手段として、図13に示すような高日射吸収率温度センサ15を用いてもよい。本センサ15は、図14に示すように、例えば黒色塗料を塗布した金属板52に、サーミスタ51をとりつけた物で、空洞状の支柱50で筐体1に固定し、支柱50の空洞部にサーミスタケーブルを通し、筐体内部に送り込む構造である。金属板52に塗布された黒色塗装は、日射吸収率が高いため、日射受光に対する温度上昇が過敏であり、日射の向き、いわゆる日射の影響面を素早く感知することが出来る。尚、黒色塗装金属板52は、日射の影響を的確に感知する目的から、発熱する筐体面に対し、支柱などである程度の距離を確保して搭載することが好ましく、温度感度を上げる、すなわち、熱時定数を小さくするため、金属板はなるべく薄くする方が良い。また、本センサ15は、例えば太陽日射の影響を受ける筐体の正面、側面、天井面にそれぞれ設置するのがよい。更に、太陽日射以外の外部環境変化である外気温度の変動や発熱物体が近接する場合においても、その影響を素早く感知することが出来る。
(構成の一例)
本実施の形態の電子機器の冷却構造のひとつは、例えば、太陽日射などの外的要因により電子機器に大きな温度差が生じてしまう場合や、近隣に設置された他装置の熱によって電子機器内に温度差が生じてしまう場合など外部からの熱エネルギーの影響を受ける環境において、外部環境の影響により、温度上昇した筺体面へは、輸送する熱量を小さくし、外部環境の影響を受けていない筺体面へは、輸送する熱量を大きくすることで、電子部品の温度を許容温度範囲に安定させる。
上記電子機器において、筺体内部に収容される電子部品を、複数の熱伝導部材と熱伝導制御部材を介して、筺体内壁と熱的に接続させ、電子部品から筺体内壁へ熱を輸送する。
また、本実施の形態の電子機器装置のひとつは、例えば、金属性の筺体を有する電子機器装置であって、
前記電子機器装置内の電子部品と接続する熱伝導部材と、
前記熱伝導部材と前記筺体とを接続する熱伝導制御部材と、
前記熱伝導制御部材を制御する制御手段と、
前記筺体の温度変化を測定する温度センサと、を有し、
前記制御手段は、前記温度センサの測定結果に基づいて前記熱伝導制御部材を制御し、前記熱伝導部材と前記筺体とを熱的に接続させる。
本発明は、例えば、電子機器に関する産業に利用可能である。
1 筺体
2 ヒートシンク
3 プリント基板
4 電子部品
5a 熱伝導部材A
5b 熱伝導部材B
7 ヒートパイプ
8 ペルチェ素子
9 ゴムパッキン
12 制御回路部
13 温度センサ
14 光センサ
15 高日射吸収率温度センサ
50 支柱
51 サーミスタ
52 黒色塗装金属板

Claims (10)

  1. 電子部品が筐体の内部に配置され、該筐体の第1の面及び第2の面から放熱される電子機器の冷却構造であって、
    前記電子部品から前記筐体の第1の面へ伝わる熱量を制御する第1熱伝導制御部材と、
    前記電子部品から前記筐体の第2の面へ伝わる熱量を制御する第2熱伝導制御部材と、
    前記筐体の第1の面の温度を計測する第1温度センサと、
    前記筐体の第2の面の温度を計測する第2温度センサと、
    前記第1温度センサと前記第2温度センサにより計測された各温度に基づき、第1及び第2の面のうち温度が低い面について、対応する第1又は第2熱伝導制御部材の熱抵抗が小さくなるように制御して該面へ伝わる熱量を大きくする制御回路と
    を備えた前記電子機器の冷却構造。
  2. 前記制御回路は、
    第1及び第2の面のうち温度が高い面について、対応する第1又は第2熱伝導制御部材の熱抵抗が大きくなるように制御して前記電子部品から該面へ伝わる熱量又は該面から前記電子部品に伝わる熱量を小さくする請求項1に記載の電子機器の冷却構造。
  3. 前記電子部品の熱を、前記筐体の第1の面へ伝える第1熱伝導部材と、
    前記電子部品の熱を、第1の面と異なる第2の面へ伝える第2熱伝導部材と
    をさらに備え、
    前記第1熱伝導制御部材は、前記筐体と前記第1熱伝導部材との間に介在し、
    前記第2熱伝導制御部材は、前記筐体と前記第2熱伝導部材との間に介在する請求項1に記載の電子機器の冷却構造。
  4. 前記第1及び第2熱伝導制御部材は、ペルチェ素子であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の冷却構造。
  5. 前記筐体は、前記第1の面を有する第1の筐体と、前記第2の面を有する第2の筐体を有し、
    該第1の筐体と第2の筐体との間に、熱伝導による温度影響を低減するための熱遮断部材をさらに備える請求項1に記載の電子機器の冷却構造。
  6. 電子部品の温度を計測する第3温度センサ
    をさらに備え、
    前記制御回路は、
    第3温度センサにより計測された温度と予め定められた目標温度に基づき、機器全体の放熱量を求め、
    前記第1温度センサと第2温度センサにより計測された各温度の温度差に応じて、前記第1の面へ伝わる熱量と前記第2の面へ伝わる熱量の合計が、求められた機器全体の放熱量になるように第1又は第2熱伝導制御部材の熱抵抗を制御して、前記電子部品の温度を前記目標温度近傍の許容温度範囲に保つ請求項1に記載の電子機器の冷却構造。
  7. 前記制御回路は、前記第1温度センサと第2温度センサにより計測された各温度の温度差と、第1の面及び第2の面へ伝わる熱量の変化量との対応関係が予め設定され、
    前記第1温度センサと前記第2温度センサにより計測された各温度の温度差に基づいて第1の面及び第2の面へ伝わる熱量の変化量を求め、
    第1及び第2の面のうち温度が低い面について、該面へ伝わる熱量を、求められた熱量の変化量だけ大きくし、
    第1及び第2の面のうち温度が高い面について、該面へ伝わる熱量を、求められた熱量の変化量だけ小さくする請求項1に記載の電子機器の冷却構造。
  8. 電子部品が筐体の内部に配置され、該筐体の第1の面及び第2の面から放熱される電子機器の冷却構造であって、
    前記電子部品から前記筐体の第1の面へ伝わる熱量を制御する第1熱伝導制御部材と、
    前記電子部品から前記筐体の第2の面へ伝わる熱量を制御する第2熱伝導制御部材と、
    前記筐体の第1の面での光量を計測する第1光センサと、
    前記筐体の第2の面での光量を計測する第2光センサと、
    前記第1光センサと前記第2光センサにより計測された各光量に基づき、第1及び第2の面のうち光量が小さい面について、対応する第1又は第2熱伝導制御部材の熱抵抗が小さくなるように制御して該面へ伝わる熱量を大きくする制御回路と
    を備えた前記電子機器の冷却構造。
  9. 電子部品が筐体の内部に配置され、該筐体の第1の面及び第2の面から放熱される電子機器の冷却構造であって、
    前記電子部品から前記筐体の第1の面へ伝わる熱量を制御する第1熱伝導制御部材と、
    前記電子部品から前記筐体の第2の面へ伝わる熱量を制御する第2熱伝導制御部材と、
    前記筐体の第1の面に配置され、第1の面外部の温度を計測する第1温度センサと、
    前記筐体の第2の面に配置され、第2の面外部の温度を計測する第2温度センサと、
    前記第1温度センサと前記第2温度センサにより計測された各温度に基づき、第1の面外部及び第2の面外部のうち温度が低い面について、対応する第1又は第2熱伝導制御部材の熱抵抗が小さくなるように制御して該面へ伝わる熱量を大きくする制御回路と
    を備えた前記電子機器の冷却構造。
  10. 前記第1及び第2温度センサは、それぞれ、
    日射受光に対する温度変化を高めるための黒色塗料を塗布した金属板と、
    該金属板に取り付けられるサーミスタと
    を有し、
    支柱を介して前記筐体の第1の面又は第2の面に取り付けられる請求項9に記載の電子機器の冷却構造。
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