JP2011077067A - 透明樹脂層の端部に凸出部を有する電磁波遮蔽材 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明樹脂層の端部の位置を機械的に検知し易い様にし、且つ巻きズレや粘着剤層を透明樹脂層の反対側に形成した場合に粘着剤層に端部の跡の凹みが残らない様にする。
【解決手段】透明基材1上に形成されたメッシュ状等の導電体パターン層2上に更に透明樹脂層3が形成され、透明樹脂層が、特にシート流れ方向MDに於いて、導電体パターン層上に位置させた端部Frに沿って表面が盛り上がっている凸出部3tを有するものとする。凸出部の高さΔtは2〜10μmが好ましい。更に、導電体パターン層がプライマ層を介して形成した、導電性粒子と樹脂の導電性組成物層で、プライマ層の厚さが導電体パターン層の形成部が非形成部より厚く、且つ導電体パターン層の形成部である凸部の内で導電性粒子が頂上部近傍で密でプライマ層近傍で疎であるのが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は各種の用途、中でも特にディスプレイの前面に配置するのに好適な、電磁波遮蔽材に関し、特に、その透明樹脂層の厚みが端部で厚く凸出部となっている電磁波遮蔽材に関する。
現在、ディスプレイ(画像表示装置とも言う)として、旧来のブラウン管(CRT)ディスプレイ以外に、フラットパネルディスプレイ(FPD)となる、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(以後PDPとも言う)、電界発光(EL)ディスプレイ等の各種ディスプレイが実用されている。これらの中でも、特に、PDPは不要な電磁波放出が強いため、ディスプレイの前面に電磁波遮蔽材を配置している。
ディスプレイの前面に配置する用途の電磁波遮蔽材においては、電磁波遮蔽性能と光透過性とを高度に両立できる点で、導電体層には金属層など不透明となる層が好適であり、その場合、図6の平面図で例示する様に、電磁波遮蔽材10の少なくとも中央部の画像表示領域Edに於ける導電体層では、メッシュ形状などのパターンで多数の開口部を設けたパターン領域2p(導電体パターン層2)としている。一方、電磁波遮蔽材の外縁部ではアース(接地)取りを行う必要があり、画像表示領域Edの周縁部の通常は四方全周囲が、接地に利用可能な接地領域Eeとなっている。接地領域Ee内では光透過性は不要なので、開口部を設けない連続層である導電体ベタ層(非パターン領域2s)としたときは、接地領域Eeの導電体層は額縁形状(長方形の枠形状)等として目視される。また、多少の位置ズレを許容できる様に、導電体層のパターン領域2pは画像表示領域Edよりも若干大きめで画像表示領域Edの全域を含める様にしている。
なお同図では、符号Ed及び符号2pへの引出線の末端はこれら領域の外側輪郭線を示し、符号Eeへのそれはこれら領域の内部を示す。
また、電磁波遮蔽材は、本来の電磁波遮蔽機能以外に、更に近赤外線吸収、ネオン光吸収、反射防止等の光学フィルタ機能の付与、導電体層の傷付き防止、導電体層のパターン凹凸の平坦化などの為に、導電体層面に光学フィルムなど透明機能シートを積層したり、導電体層面に樹脂層を塗布形成したりして被覆することがあり、これらが透明樹脂層として導電体層上に存在する。
なお、本願明細書中に於いて、「電磁波」とは広義の電磁波のうちで、特に、kHz帯域からGHz帯域のもの、中でも特に、VCCI規格による規制周波数の30MHz〜1GHz前後の周波数帯域のものを呼称するものとし、可視光線(乃至光)、(近)赤外線、紫外線等の周波数帯域のものは、各々、「可視光線(乃至光)」、「(近)赤外線」、「紫外線」等と呼称する。
但し、透明樹脂層は通常電気絶縁体であるので、電磁波遮蔽材の外縁部の接地領域Ee中でアースを取り出す部分は、導電体層を露出させた導電体層露出部を設けるのが望ましい。そこで、「ロール・ツー・ロール方式」での加工を前提に、画像表示領域の周縁部の接地領域は額縁状の導電体ベタ層とした導電体層を、透明基材上に積層した連続帯状の導電体層積層シートに対して、平坦化層とする透明樹脂層を間欠塗工でシート流れ方向に間隔を空けて形成する方法が提案されている(特許文献1)。
なお、ここで、「ロール・ツー・ロール方式」とは、シート状材料の加工方式であって、被加工材料を連続帯状のシート状材料の巻取(ロール)から巻き出して供給し、所望の加工を施した後、再度、巻取に巻き取って保管、搬送等する加工方式を意味する。
特開2006−128421号公報(0018、図2)
ところで、接地領域が導電体ベタ層であると、ディスプレイの画面サイズの種類だけの、連続帯状の電磁波遮蔽材を用意する必要があり、多品種小ロット対応が不可能であった。この点で、接地領域も導電体パターン層とするのが好ましく、この様にすれば、ロール・ツー・ロール方式で生産した連続帯状の電磁波遮蔽材から、枚葉の電磁波遮蔽材を切り出す際に、異なる画面サイズ、異なる接地領域サイズなどに対応させた、一画面単位のシートの切り出しサイズや切り出し位置の自由度を増やせ、多品種小ロット対応が可能となる。
そして、連続帯状シートから枚葉シートを一画面単位で切り出すときに、接地領域が導電体ベタ層のときは導電体ベタ層と導電体パターン層の境界は目視で明確に判別できるので、その境界を光学的など機械的に位置検知するのは容易であり、境界位置を基準に切断を自動化できる。
しかし、接地領域も導電体パターン層であると、前記境界が存在しない為に該境界を切断の基準にはできない。そこで、新たな切断の基準として、間欠塗工した透明樹脂層の端部が考えられるが、透明な層であるが故に、端部を光学的など機械的に検知し難いという問題があった。
すなわち、本発明の課題は、各種用途、中でも特に、PDPなど各種ディスプレイの前面に配置する用途に好適な電磁波遮蔽材について、ロール・ツー・ロール方式の生産、及び多品種小ロット対応が可能で、また、高度に電磁波遮蔽性と光透過性を両立させることも可能な、電磁波遮蔽材を提供することである。
そこで、本発明の電磁波遮蔽材では、透明基材上に、導電体層の非形成部として多数の開口部を設けたパターン状の導電体パターン層が形成され、更に、導電体パターン層上に端部を有する透明樹脂層が導電体パターン層上に形成され、且つ透明樹脂層が前記端部に沿って表面が盛り上がっている凸出部を有する、透明樹脂層の端部に凸出部を有する電磁波遮蔽材とした。
また、上記にて、凸出部の高さΔtが2〜10μmであることが好ましい。
また、上記いずれかにて、導電体パターン層は導電性粒子とバインダー樹脂を含む導電性組成物層からなり、導電性組成物層は透明基材上にプライマ層を介して積層され、プライマ層は導電体パターン層形成部分の厚さが導電体パターン層非形成部分の厚さよりも厚く、且つ導電体パターン層の凸部の内部に於ける導電性粒子の分布が、相対的に凸部の頂上部近傍に於いて密でプライマ層近傍に於いて疎である構成とした。
(1)本発明によれば、接地領域も含めて導電体層の全面を導電体パターン層にして、透明樹脂層の端部が導電体パターン層上に位置しても、端部の内側に凸出部が存在する為に、端部の機械的検知が容易となる。その結果、透明樹脂層の形成位置に応じて連続帯状シートから枚葉シートに容易に切断でき、ロール・ツー・ロール方式の生産でしかも多品種小ロット対応ができる。また、凸出部が適度なスペーサの役目を果たし、ロールに巻き取ったり、シートを積み重ねたりする時に、ブロッキングや塵を挟んだ跡が凹む塵跡が出来難い。
(2)また、凸出部の高さを規定することで、ロールに巻き取ったときに、円周方向に伸びる凸出部が重なってコブ状に膨らみ、巻きズレの原因となるのを防げる。また、電磁波遮蔽材は透明基材の導電体パターン層形成面とは反対側の透明基材面側に粘着剤層を更に設けたシートで使用することが多いが、この様な粘着剤層付きシートをロールに巻き取ったときに、粘着剤層が凸出部で押された跡が「凹み」となって残るのを防げ、シート幅方向に伸びる凸出部では、その跡の凹みが画像表示領域に生じるのを防げる。
(3)また、導電体パターン層を導電体組成物層で形成し且つその内部の導電性粒子分布を規定すれば、電磁波遮蔽性能と光透過性を高度に両立できる上、導電体組成物層とプライマ層との密着性も強化できる。
本発明による電磁波遮蔽材の一形態を透明樹脂層の端部近傍で例示する部分拡大断面図。 複数画面分が連結した連続帯状シートで透明樹脂層がシート流れ方向に間欠的に形成されている電磁波遮蔽材の一形態を説明する平面図。 一画面分に於ける透明樹脂層、凸出部、導電体層露出部、及び画像表示領域等の位置関係の一形態を例示する平面図。 凸出部が存在しない端部近傍の一形態を例示する部分拡大断面図。 引抜プライマ方式凹版印刷法による導電体パターン層の凸部の一形態(プライマ層が導電体パターン層の形成部で厚く、導電体パターン層の凸部内で導電性粒子の分布が凸部頂上部近傍が密でプライマ層近傍が疎)を概念的に示す断面図。 画像表示領域、接地領域、パターン領域の位置関係を例示する平面図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[要旨]
先ず、図1は透明樹脂層3の端部Fr(形成部と非形成部の境界)周辺の部分拡大断面図である。透明樹脂層3の端部Frには局所的に厚みが厚く表面が盛り上がっている凸出部3tが存在し、その盛り上がり量(盛り上がっていない部分(透明樹脂層3の形成部の中央部)との高低差)が凸出部の高さΔtであり、Δt>0である。凸出部は端部に沿って端部に平行に存在し、また、通常、凸出部の幅は通常3〜10mm程度であり、この幅に於いて凸出部の高さΔtが2〜10μmであるのが好ましい。
また、透明樹脂層3の端部Frは、通常四角形の電磁波遮蔽材に対して同じく四角形であるので、四方の四辺として存在し、またそれら端部Frに於ける凸出部3tも四方の四辺に存在させることができる。
但し、連続帯状のシートの時に、シート流れ方向MDに沿う凸出部と、シート幅方向TDに沿う凸出部とでは、それが属する端部Frに対する位置検知の考え方、品質面での、巻き取り時の巻きズレと、粘着剤層付きの場合に押された跡の「凹み」とに対する影響が異なるので、これらを勘案して、四方四辺で凸出部を有するものとするか、或いはシート流れ方向MDに沿う凸出部のみにするか、などを設定すると良い。なお、図1はシート流れ方向MDに直角なシート幅方向TDに沿う凸出部3tを例示したものである。
以下、各層毎に更に詳述する。
[透明樹脂層]
透明樹脂層3は、透明な樹脂層であり、具体的には各種光学フィルタ機能、光学フィルタ以外のその他の機能を担う機能層である。また、本発明で端部Fr及び凸出部3tに注目する透明樹脂層3は、特に導電体層上に設ける層であり、それも導電体パターン層2上に端部3tが存在する層であり、また電気絶縁性の層であるが故に、アース取り出しの為に導電体層を露出させた導電体層露出部4は被覆せずに形成する層である。透明樹脂層は通常、少なくとも画像表示領域Edの全領域上に形成され、更に位置ズレを考慮して画像表示領域Edよりも若干大きめで形成される。
(連続帯状でみた場合と、シート幅方向TDに伸びる凸出部)
また、透明樹脂層3は、ロール・ツー・ロール方式での連続生産の点で、連続帯状のシートに対して、間欠塗工で形成するのが好ましく、図2の平面図は連続帯状の電磁波遮蔽材10での透明樹脂層3やその端部に於ける凸出部3tの一形態を示す。図2に例示する連続帯状の電磁波遮蔽材10の様に、図1で例示の端部Frは、好適には、連続帯状の透明基材1上に、導電体パターン層2がシート流れ方向MDに継ぎ目なく連続的に形成され、更にその上に、透明樹脂層3をシート流れ方向MDに間欠的に形成した時の、シート流れ方向MDに於ける透明樹脂層3の端部Frを示す。この端部Frはシート幅方向TDに伸びており、この端部Frに於ける凸出部3tは同じくシート幅方向TDに伸びる形で形成されている。そして、図2の形態では、シート流れ方向MDに伸びる凸出部3tは形成されていない形態である。
なお、図2では、電磁波遮蔽材10の連続帯状シートを、ロールから巻き出すときの、該連続帯状シートの走行方向であるシート流れ方向MD(Machine Direction)を図面左右方向、シート幅方向TD(Transverse Direction)を図面上下方向としてある。
また、ここで、「間欠塗工」と言うのは、塗膜を被塗工材の表面に、全面連続膜ではなく、平面内に於いて相互に分離した、特にシート流れ方向MDについて相互に分離した塗膜を形成する様に、塗工することを言う。通常、塗液を間歇的に供給することになる為、「間歇塗工」とも呼称される。
また、図1及び図2の場合は、導電体パターン層2によるパターン領域2pがシート流れ方向MDで連続しており、端部Frは導電体パターン層2上で且つパターン領域2pとなっている接地領域Eeに位置する。この様に、端部Frは、そこの凸出部3tも含めて画像表示領域Ed外に位置する様に透明樹脂層を形成するのが、画像表示に支障を来たさない点で好ましい。
そして、透明樹脂層3の非形成部で露出した導電体パターン層2が導電体層露出部4となっており、導電体層露出部4はアースの取り出し等に利用することなる。
(枚葉状態でみた場合)
次に、図3の平面図で例示する電磁波遮蔽材10が、図2の連続帯状の電磁波遮蔽材10を切断線5で切断した後の、ディスプレイ一画面分の枚葉のシートの状態を示す。また同図は、画像表示領域Ed、接地領域Ee、導電体パターン層2、透明樹脂層3及びその端部Frが有する凸出部3t、更に導電体層露出部4の位置関係を示す。同図の電磁波遮蔽材10は、四辺全周囲に導電体層露出部4を有し、該導電体層露出部4の平面視形状を、画像表示領域Edの周縁部の四方全周囲に設けられた額縁形状の接地領域Eeの内部に、接地領域Eeと相似形で外側輪郭形状は同じサイズで内側輪郭形状が一回り大きい額縁形状としてある。幅方向TDに伸びる導電体層露出部4Tは、透明樹脂層3の間欠塗工で形成し、一方、流れ方向MDに伸びる導電体層露出部4Mは、透明樹脂層3を幅方向TD両端で導電体層を露出させる様に塗工幅を狭くした間欠塗工で形成することができる。
そして、同図では凸出部3tは、端部Frのうち、シート幅方向TDに伸びる一対の端部(図面左右両側)の方にのみ存在する場合である。
(シート幅方向TDに伸びる凸出部の影響)
電磁波遮蔽材は、連続帯状シートから製造する際、導電体層上にシート流れ方向に透明樹脂層を間欠的に設ける他に、反対側の透明基材面には粘着剤層も設けることが多い。この粘着剤層付き電磁波遮蔽材をロールに巻き取った後に巻き戻すと、粘着剤層に厚みが薄い部分が局所的にシート幅方向に伸びる「凹み」が、シート流れ方向に散在して見えることがある。しかも、この凹みは粘着剤層を着色させているときは色の濃淡ムラになる。凹みが発生する位置は、ロール状態の時に重なりあったシート上下で透明樹脂層の端部近傍と重なった部分である。枚葉のシートで重ねるのと違い、ロールに巻き取るときは、透明樹脂層の端部が画像表領域外に位置しても、ロールでは直径で変わる円周長と固定長である画像表示領域との関係で、端部が画表示領域に重なることがあるので、凹みは画像表示領域にも必ず生じることになる。
この為、シート幅方向に伸びる凸出部は、高さΔtを凹みが発生しない程度に設定するのが好ましい。その為には、凸出部の高さΔtは10μm以下とするのが好ましい。但し、高さΔtが低すぎると端部の機械的検知が容易に出来なくなるので2μm以上とするのが好ましい。
(シート流れ方向MDに伸びる凸出部の影響)
ところで、透明樹脂層の端部Frは、シート流れ方向MDの上流側と下流側以外に、シート幅方向TDの両側でもシート流れ方向に伸びる導電体層露出部4Mを通常設ける為に存在する。このシート流れ方向MDに沿う端部は、通常シート流れ方向MDに平行となり、また該端部に沿った凸出部(不図示)もシート流れ方向MDに平行となる関係上、該凸出部はロールに巻き取った時に円周方向に分散せず常に重なり合う為に、凸出部の高さが高すぎると、その部分が円周方向にコブ状に膨らみ、シートが幅方向でふら付いて巻かれる「巻きズレ」の原因となる。従って、シート幅方向TDに伸びる端部に於ける凸出部の高さは、理想的にはΔtは0以下が望ましいが、巻きズレが発生しない程度の高さであれば許容でき、この点で最大でもΔt=10μmとする。ここで、図4で例示する凸出部3tはΔt=0μmのときの部分拡大断面図である。
なお、シート流れ方向MDに伸びる凸出部も、シート幅方向TDに伸びる凸出部も、共に、シートをロールに巻き取った時に重なった上下のシート同士が密着するブロッキングを防ぐ効果がある。
(シート流れ方向MDとシート幅方向TDの一方にのみ形成された凸出部)
ところで、図1〜図3例示の形態がそうであった様に、シート幅方向TDでの切断位置と巻きズレに関係するシート流れ方向MDに沿う凸出部は無しに、シート流れ方向MDでの切断位置と画像表示領域内の粘着剤層の「凹み」に関係するシート幅方向TDに沿う凸出部は設けた形態の電磁波遮蔽材を、連続帯状のシートから枚葉のシートに切り出した後は、一見したところでは、どの方向がシート流れ方向であったか判別が難しいが、少なくとも次のことが言える。
すなわち、通常は平面視四角形の電磁波遮蔽材に於いて同じく平面視四角形の透明樹脂層について、四方四辺に存在する端部のうち、対向する二辺の(一対の)端部には凸出部が存在し、該二辺と直行する他の二辺の(一対の)端部には凸出部が存在しない形態と言える。
また、上記形態の電磁波遮蔽材を連続帯状の状態のもので言えば、連続帯状の透明基材上に、導電体層の非形成部として多数の開口部を設けたパターン状の導電体パターン層がシート流れ方向に継ぎ目なく連続的に形成され、更に、導電体パターン層上に透明樹脂層が間欠的に形成され、間欠形成された透明樹脂層同士を分離している透明樹脂層の端部に表面が盛り上がっている凸出部を有し、シート流れ方向に沿う端部には凸出部が存在しない、透明樹脂層の端部に凸出部を有する電磁波遮蔽材である。
且つ本発明の電磁波遮蔽材に於いては、透明基材1上に形成される導電体層はそれが形成被覆されている全領域に亙って全て開口部が形成されている導電体パターン層2として形成されている。
(端部の検知)
本発明では端部Frが凸出部3tを有するので、凸出部が存在しない場合に比べて端部が強調され端部の機械的検知が容易となる。端部Frの位置を機械的に検知するには、例えば光学的検知によって行えば良い。光学的検知には、光線を照射して、端部での反射光の強度差、透過光の強度差、或いはこれら両方を利用すれば良い。なお、光学的検知の光にはレーザ光を利用でき、例えばレーザ位置センサを利用することができる。また、光学的検知には、TVカメラなど二次元イメージセンサを利用して、公知の画像処理操作(エッジ抽出)で端部を検知しても良い。その他、端部の位置の検知方法としては、端部両側の形成部と非形成部との電気容量の差を検知する方法、端部での表面の高さ変化を測定する方法などを挙げることが出来る。なお、シート流れ方向MDに於いて位置検知する端部Frは、上流側、下流側、いずれでもよい。また、端部の位置検知は、走行する連続帯状シートについて行うのがロール・ツー・ロール方式での連続生産の点で好ましいが、一時停止して行っても良い。
なお、シート流れ方向MDに平行な方の端部の検知は、連続帯状シートを例えば幅方向両端を切断して幅狭にするなど、幅方向での切断位置の基準となるものであるが、幅方向での切断を連続帯状シートのシート幅を基準にして行えば、透明樹脂層の端部を検知しなくてもよい。したがって、この場合は、シート流れ方向MDに平行な端部には凸出部を設けなくても良い。
(間欠塗工)
なお、間欠塗工の塗工装置としては、ダイコートが代表的であるが、この他、間欠塗工が可能であれば、コンマコート、コンマリバースコートなどでも良い。例えば、ダイコートでは、ダイを連続帯状シートに対して近づけたり遠ざけたり前後させる以外に、ダイに供給する塗液を停止と供給を繰り返すことで行える。塗液の供給を停止した塗工終了時と、供給を開始した塗工開始時の直前直後の間際で吐出圧力を調整することで、凸出部のうちシート幅方向TDに伸びる凸出部の高さを、調整できる。
一方、シート流れ方向MDに伸びる凸出部の高さは、間欠塗工するダイヘッドについて、幅方向両端の吐出量を局所的に調整することで調整できる。該吐出量を減らす方向で調整するには、ダイヘッドを構成するダイプレートで挟まれたシム板の形状を、ダイヘッド先端に行く程、吐出液が幅方向に広がる様に角度を付けることで調整できる。幅方向に広がらずに幅一定で吐出すると凸出部が形成される傾向がある。
(透明樹脂層の機能等)
ところで、透明樹脂層3は、透明な樹脂層であり、具体的には各種光学フィルタ機能、光学フィルタ以外のその他の機能を担う機能層であるが、この様な透明樹脂層3は、公知のものを適宜選択する事ができる。なお、透明樹脂層の厚みは0.1〜200μm程度であるが、通常は5〜50μm程度である。また、単層の機能層で複数の機能を兼用させることもできる。
((光学フィルタ機能))
光学フィルタ機能としては公知の光学フィルタ機能、例えば、近赤外線を吸収する近赤外線吸収機能、紫外線を吸収する紫外線吸収機能、或いは、視覚上の効果が得られる、PDPのネオン光を吸収するネオン光吸収機能、表示画像を好みの色調に補正する色補正機能などの特定光透過機能、反射防止機能(防眩、反射防止、防眩及び反射防止兼用のいずれか)、などである。なお光学フィルタ機能としては、これら機能の1又は2以上を、単層又は多層構成によって実現することができる。
これら各種の光学フィルタ機能を実現するには、例えば、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色補正機能などは、これら機能に応じた色素(近赤外線吸収色素、ネオン光吸収色素、色補正色素)を用い、紫外線吸収機能は紫外線吸収剤を用いるなど、公知の材料・方法で実現できる。例えば、これら材料を樹脂中に分散させた樹脂層として形成する。
((その他の機能層))
光学フィルタ機能以外のその他の機能層としては、電磁波遮蔽材に於いて公知の機能層、例えば、導電体パターン層のパターンの凹凸を平坦化する平坦化層、導電体パターン層や光学フィルタの表面を保護する表面保護層、ハードコート層、帯電防止層、汚染防止層、耐衝撃層、或いは2層間を密着させる接着剤層(含む粘着剤層)、2層を接触させない或いは更に2層間の物質移動を防ぐバリア層などである。
((透明樹脂層に使用される樹脂))
なお、透明機能層に使用される樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂である。熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂などであり、硬化性樹脂は例えば、熱硬化型ウレタン系樹脂、熱硬化型アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂や、紫外線や電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂である。なお、電離放射線硬化性樹脂は、アクリレート系で代表されるラジカル重合性化合物や、エポキシ系で代表されるカチオン重合性化合物を含む樹脂がある。
[透明基材]
透明基材1には、公知の透明な材料を使用すれば良く、可視光線領域での透明性、耐熱性、機械的強度等を考慮すると、樹脂フィルム(乃至シート)が代表的である。樹脂フィルム(乃至シート)の樹脂は例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、或いは、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂等である。なかでも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは好適な材料である。なお、透明基材の厚みは、取扱性、コスト等の点で通常12〜500μm、好ましくは25〜200μmだが、特に制限はない。
また、透明基材1は、ロール・ツー・ロール方式への適性ではフレキシブルな材料を選べる樹脂フィルムが好ましいが、ガラス、セラミックス、樹脂等からなる剛直な板でも、本発明は適用できる。
[導電体パターン層]
導電体パターン層2は、導電体層の非形成部として多数の開口部を設けたパターン状の導電体層である。パターンとしてはメッシュが代表的であるが、開口部が帯状のストライプ状などで良い。
なお、本発明では導電体層として導電体パターン層を少なくとも有するが、連続面(ベタ面)で設けた導電体ベタ層が存在してもよい。但し、透明樹脂層は、凸出部を有する端部が少なくとも導電体パターン層上に位置するものであり、凸出部を有する端部が導電体ベタ層上に位置するものを完全排除するものではない。
導電体層自体としては、金属厚膜(後述のように2μm程度以上の厚み)、導電性組成物塗膜(乃至印刷層)の様な、それ自身可視光線に対して不透明な層、或いはITO(酸化インジウム錫)薄膜、銀薄膜(0.2μm程度以下の厚み)の様な、それ自身可視光線に対して透明性を有する透明導電体の層、の何れの場合でも本発明は適用できる。但し、通常は、電磁波遮蔽性能及び可視光透明性との両立の点から、金属厚膜或いは導電性組成物塗膜からなる不透明導電体が用いられる。この様な不透明導電体層を用いる場合には、画像表示領域Edに該当する部分では、光透過性確保の為に、非形成部(開口部)を残して形成部をパターン状に形成したパターン領域2pを形成可能な導電体パターン層2が必要である。
この様な導電体層は、公知のものでよく、代表的には、銅、アルミニウム等の金属層、或いは銀等から成る導電性粒子を樹脂バインダ中に分散させた導電性組成物層などである。通常、金属層は金属箔からフォトエッチング法などで形成し、導電性組成物層は導電性組成物のインキの印刷で形成する。
なお、導電体層の厚みは、電磁波遮蔽性能、形成法等の点から、通常は2〜100μm、より好ましくは5〜20μm程度である。
導電体パターン層のパターンの平面視形状は、特に制限はなく公知の形状でよく、例えば、メッシュ形状(六角形や四角形などの格子模様)、ストライプ形状(直線状縞模様、螺旋模様など)などである。なかでもメッシュ形状、それも正方格子形状が代表的である。開口部の形状は、メッシュ形状が例えば正方格子形状では正方形、ストライプ形状では帯形状となる。
なお、パターンの線幅は、電磁波遮蔽性能などの観点から通常は5〜50μmである。又、導電体パターン層の開口率〔(導電体パターン層非形成部の合計面積/導電体パターン層の全被覆面積)×100で定義〕は、電磁波遮蔽性能及び可視光透過性との両立の点から、50〜95%程度である。
また、導電体パターン層2が、特に画像表示領域Edに属する部分では、コントラスト向上の為に、その表面が黒化処理層を有するのが好ましい。黒化処理層としては、電磁波遮蔽材において公知のものを適宜採用すれば良い。
なお、上記金属層の金属としては高導電性金属、例えば、金、銀、白金、銅、錫、アルミニウム、ニッケルなどの金属(含む合金)である。また、上記導電性組成物層に於ける導電性粒子としては、金、銀、白金、銅、錫、アルミニウム、ニッケルなど高導電性金属(含む合金)粒子、或いは樹脂粒子や無機物粒子の表面を金、銀など上記高導電性金属で被覆した金属被覆粒子、或いは黒鉛粒子などを用いてもよい。
また、導電性組成物層に於ける前記樹脂バインダの樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを単独使用又は併用する。熱可塑性樹脂には熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂など、熱硬化性樹脂にはメラミン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂などを使用する。また、電離放射線硬化性樹脂には、電離放射線で架橋など重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーを含む組成物を使用する。モノマーやプレポリマーにはラジカル重合性やカチオン重合性の化合物を使用する。なかでも、アクリレート系化合物を用いた電離放射性硬化性樹脂が代表的である。
(アルミニウム金属層)
導電体層が金属層の場合、一般的には金属は銅であるが、特にアルミニウムを用いたアルミニウム金属層を用いても良い。パターン形成はアルミニウム箔のエッチングで行う。ただ、金属アルミニウム自体は高活性で表面に酸化皮膜(アルミニウム酸化物皮膜)が存在し、このため、均一安定的なケミカルエッチングが難しく、ギザ等パターン精度不良となる。しかし、酸化皮膜の厚さを0〜13Å以下に規定すると均一安定的なケミカルエッチングが可能となり、銅よりも安価なアルミニウムで導電体パターン層を形成できる。また、厚みの上限は13Åだが、好ましくは12Å、より好ましくは10Å、更に好ましくは8Åである。厚みの下限はケミカルエッチングを阻害しない点からは0Åだが、箔の加工・保管中などでの不用意な望まれない酸化や腐食防止の観点から、2〜3Å程度の酸化皮膜があるのも良い。なお、1Å=0.1nmである。
また、酸化皮膜の厚み規定はエッチング液が始めに接する面側(通常箔を透明基材に積層後エッチングするので透明基材から遠い方の面、これを上面、他方の面を下面と呼んでもよい)のみで良いが、他方の面(下面)も同じ規定とすることができる。なお、一般的なアルミニウム箔の酸化皮膜は15Å以上、通常20〜100Å程度の厚さである。
また、酸化皮膜の厚さを薄くするにはアルミニウム箔製造時の圧延条件や焼鈍条件を調整できる。また、酸化皮膜の厚さは、ハンターホール法、蛍光X線分析の一種であるX線光電子分光法(XPS)で測定する。
また、アルミニウム箔は導電性が高い点で純度99.0%以上が好ましく、JIS H4160(アルミニウム及びアルミニウム合金はく)、JIS H4170(高純度アルミニウムはく)で規定されるアルミニウム箔に準じた箔を使用することができる。
(導電性組成物層の「引抜プライマ方式凹版印刷法」)
導電体パターン層2を導電性粒子を樹脂バインダ中に分散させた導電性組成物層として形成する場合、その印刷法は公知の印刷法を要求性能に応じて適宜採用すれば良く基本的には特に限定はない。但し、微細なパターンを高精度で形成できる印刷法が好ましく、この点で、本出願人が国際公開WO2008/149969号公報に開示した印刷法を挙げることができる。この印刷法では、「転移促進層」とも言える、凹版版面の凹部内部に充填したインキを引き抜いて被印刷物へのインキの転移を促進させる「プライマ層」と呼んでいる層を、印刷の最中に流動状態で作用させる点に特徴がある凹版印刷法である。よって、ここでは、この凹版印刷法を「引抜プライマ方式凹版印刷法」と呼ぶことにする。
引抜プライマ方式凹版印刷法では、例えば次の様にして印刷する。導電性ペーストなどの固化前の導電性組成物を、凹版の版面の凹部のみにドクターブレードによって充填すると共に凹部以外の版面凸部上の導電性組成物は掻き取って除去する。凹部に充填された導電性組成物の表面は版面(凸部)と完全な面一にならず僅かに窪んだ凹みが生じる。この凹版に、未だ流動状態のプライマ流動層が塗工された透明基材を供給してプライマ流動層を版面に圧着すると、プライマ流動層が凹みに流れ込み凹みを充填し、また版面凸部も覆う。この状態でプライマ流動層を紫外線硬化などで固化してプライマ層とした後、透明基材を凹版から離版して、透明基材上にプライマ層と、未硬化の導電性組成物、或いは導電性組成物が硬化済みの導電性組成物層からなる導電体層が積層された印刷物を得る。なお、導電体層の固化は、未硬化の導電性組成物が溶剤を含むときは離版後に行い、無溶剤の場合は離版後、或いは、離版前のプライマ固化と同時又はプライマ固化後に行う。
そして、この様な、「引抜プライマ方式凹版印刷法」による印刷物が、他の印刷法にみられない大きな特徴は、図5の断面図で概念的に示す様に、プライマ層7と導電体パター名層2との界面について、プライマ層7は導電体層形成部2a(凸部)の厚さTaが導電体層非形成部2bの厚さTbよりも厚い形状となることである。
更に、プライマ層7と導電体パターン層2との界面は、次の(A)〜(C)のいずれかの1以上の断面形態を有する(但し、図5では図示は省略)。(A)プライマ層7と導電体パターン層2とが非直線状に入り組んでいる断面形態、(B)プライマ層7を構成する成分と導電体パターン層2を構成する成分とが混合している断面形態、(C)導電体パターン層2を構成する導電性組成物中にプライマ層7に含まれる成分が存在している断面形態。この様な、界面の断面形態は、プライマ層7がプライマ層7と導電体パターン層2との離版時の密着性を強化し、凹版からインキ(導電性組成物)の被印刷物(透明基材)への転移を促進し高精度且つ高品質の凹版印刷を可能にしている理由であると思われる。
また、導電体パターン層2の形成部である凸部の内部では、図5で概念的に示す様に、導電性粒子Cpが一様な均一な分布ではなく、導電性粒子Cpの分布が、相対的に、凸部の頂上部の近くが密でそれよりも頂上部から遠いプライマ層7の近くが疎である分布を持つ内部構造が好ましい。密とは単位体積中の導電性粒子Cpの粒子数で見た数密度である。つまり、凸部内部の導電性粒子Cpの数密度が、プライマ層7近くに比べて頂上部近くの方が大きくなる分布である。数密度が大きい方が導電性粒子Cp同士の電気的接触が行われ易い。従って、例え導電性組成物中の導電性粒子Cpの平均濃度が同じであっても、同じ数の導電性粒子Cpを数密度一様で分布させた場合に比べて、数密度が大きい部分での電気抵抗の低下が寄与して全体として電気抵抗が下がり、電磁波遮蔽性能が向上する。更に、プライマ層7との境界近傍での導電性粒子Cpの数密度が小さいことによって、導電体パターン層とプライマ層7との密着性が向上する。
この様に凸部頂上部の方に導電性粒子Cpを偏在させるには、例えば、プライマ流動層形成済みの透明基材を版面に圧着する工程にて圧着力を強くすると共に、導電性組成物は粘度は低めにし且つ凹版凹部内では固化させずに版面から離版後に固化させると良い。この他、固化前の導電性組成物の粘度(樹脂材料及び樹脂量、溶剤量、その他添加剤量、導電性粒子の形状、粒度分布、含有量など関係)、固化条件などにも依存するので、これらは適宜実験的に決定すると良い。
なお、プライマ層7には、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂などを使用でき、硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂を使用できるが、流動状態から固化状態への迅速な変化を制御できる点で、好ましくは電離放射線硬化性樹脂が使用される。
[その他の層]
なお、本発明による電磁波遮蔽材は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、上記した以外のその層を含んでもよい。例えば、導電体パターン層が積層された側とは反対側の透明基材の面に、ディスプレイ前面板などの被着体に貼り付ける為の粘着剤層やそのセパレータフィルム、光学フィルタなどである。
なお、これら粘着剤層、セパレータには公知のものが適宜使用でき、また光学フィルタには前記透明樹脂層で列記した光学フィルタを適宜使用できる。
[用途]
本発明による電磁波遮蔽材は、各種用途に使用可能である。特に、テレビジョン受像装置、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、電子看板、遊戯機器等の表示部等に用いられるPDP、CRT、LCD、ELなどの各種画像表示装置の前面フィルタ用として好適であり、特にPDP用として好適である。又、その他、住宅、学校、病院、事務所、店舗等の建築物の窓、車輛、航空機、船舶等の乗物の窓、電子レンジ等の各種家電製品の窓等に於ける電磁波遮蔽用途にも使用可能である。
次に、本発明を実施例によって更に詳述する。
[実施例1]
(導電体層積層シート)
先ず、2軸延伸透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた連続帯状の透明基材の片面に、「引抜プライマ方式凹版印刷法」によって導電性組成物層として導電体パターン層をシート流れ方向MDに継ぎ目なく連続的に形成して、導電体層積層シートとした。なお、印刷時のプライマにはアクリレート系紫外線硬化性樹脂を用い、これをグラビアリバースロールコート法にて厚さ5μmとなるように流れ方向に連続面で形成した。なお、プライマで塗布形成したプライマ流動層は流動性を呈するが透明基材から流れ落ちる程ではなく、塗布後の透明基材を巻き取らずにそのままシリンダ状の凹版に供給した。
また、凹版には、版面に線幅20μmで深さ20μmの細線による正方格子状が繰返ピッチ300μmで配列したメッシュパターンの溝状凹部を有する版を用い、また、導電性組成物には導電性粒子として鱗片状銀粒子を熱可塑性ポリエステルウレタン樹脂と溶剤を含む樹脂バインダに分散した銀ペーストを用いた。
そして、銀ペーストを前記プライマ流動層の面に凹版印刷し、離版後、溶剤分は加熱乾燥して導電体パターン層を形成した。なお、プライマは透明基材が凹版の版面上にある間に高圧水銀灯によって紫外線硬化により固化させてプライマ層とした。得られた導電体パターン層の断面を顕微鏡にて拡大観察したところ、図5の如く、導電体パターン層2の凸部の頂上部近傍での導電性粒子Cpの数密度が大きく、プライマ層7との境界近傍での導電性粒子Cpの数密度が小さくなるように導電体粒子が分布していることが確認された。
以上の様にして、連続帯状の透明基材の片面に導電体パターン層が流れ方向に連続的に形成された、導電体層積層シートを形成した。
なお、形成した導電体層は全面が導電体パターン層で、そのメッシュのパターンは線幅20μmの正方格子が繰返ピッチ300μmで配列した形状であり、また導電体パターン層の厚さは19μmである。
(透明樹脂層の間欠塗工)
上記導電体層積層シートの導電体パターン層上に、導電体層露出部をシート幅方向両端と、シート流れ方向では間欠的に残す様に、透明樹脂層形成用塗液を間欠塗工後、紫外線照射で硬化させて透明樹脂層を形成した。間欠塗工は、アクリレート系の紫外線硬化性樹脂を含む塗液を、画像表示領域とする部分全域とその全周囲外側の接地領域内側よりの全周囲に塗工し、導電体パターン層の凹凸(19μm)を埋め尽くす厚さ24μmの透明樹脂層で平坦化層とハードコート層を兼用する層として形成した。間欠塗工の際、ダイコートの塗工ヘッドから塗液を吐出する吐出圧力を、間欠塗工に対応させた塗工開始時と塗工終了時で減らす様に圧力調整して凸出部の高さを調整した。
なお、吐出圧力の調整は、塗料をタンクからポンプを通じて送液バルブを経てダイヘッドに供給する送液配管に、前記ポンプと送液パルブの間に、吐出停止時にポンプからの塗料をタンクに戻すリターンバルブ付きのリターン配管を接続し、この送液バルブとリターンバルブの開閉タイミングをずらす時間で調整した。
(粘着剤層の形成、ロール巻き取り、枚葉化)
透明樹脂層形成後、巻き取ることなく、引き続き、導電体パターン層形成面の他方の面となる透明基材面に、2軸延伸透明ポリエチレンテレフタレートフィルム製の厚さ50μmのセパレータにアクリル樹脂系の厚さ25μmの粘着剤層を積層した連続帯状の粘着シートを、その粘着剤層面で積層した後、シートをロールに巻き取った。
このロールを巻き出して、透明樹脂層のシート流れ方向MDに於ける端部を機械的に検知して、シート幅方向TDに伸びる導電体層露出部の部分で切断して、額縁形状の導電体層露出部が形成された、図3の様な、一画面分の枚葉の電磁波遮蔽材とした。
凸出部3tを有する端部Frは、シート幅方向TDに平行な方で、シート流れ方向MDに平行な端部には凸出部は形成していない。
(評価)
端部の機械的検知は、端部をレーザ光ビームの反射強度変化により光学的に検知する光学読取と、透明樹脂層3の塗工領域の輪郭形状をTVカメラで撮像した画像を電子計算機のデジタル画像処理で検知する形状読取の両方で行った。また、画像表示領域での粘着剤層の部分での、シート幅方向TDに平行な端部での凸出部に起因する筋状の凹み、ロール時に挟みこんだ塵による凹みの塵跡を目視観察して評価した。これらの評価は、不良は×、不良とやや良好の中間は×△、やや良好は△、良好は○として表1に示す。
Figure 2011077067
表1の如く、凸出部の高さΔtが2〜10μmでは全評価項目で良好で、0μm超過2μm未満では、一部の項目が不良ではないが良好ではなく、0μmの場合と11〜20μmの場合では、一部の項目が不良となる。
1 透明基材
2 導電体パターン層
2p パターン領域
2s 非パターン領域(導電体ベタ層)
3 透明樹脂層
3t 凸出部
4 導電体層露出部
4M (流れ方向MDに伸びる)導電体層露出部
4T (幅方向TDに伸びる)導電体層露出部
5 区画線(切断部分)
6 プライマ層
10 電磁波遮蔽材
Cp 導電性粒子
Ed 画像表示領域
Ee 接地領域
Fr 端部(形成部と非形成部の境界)
MD (シート)流れ方向
TD (シート)幅方向
Δt 凸出部の高さ

Claims (3)

  1. 透明基材上に、導電体層の非形成部として多数の開口部を設けたパターン状の導電体パターン層が形成され、更に、導電体パターン層上に端部を有する透明樹脂層が導電体パターン層上に形成され、且つ透明樹脂層が前記端部に沿って表面が盛り上がっている凸出部を有する、透明樹脂層の端部に凸出部を有する電磁波遮蔽材。
  2. 凸出部の高さΔtが2〜10μmである、請求項1記載の透明樹脂層の端部に凸出部を有する電磁波遮蔽材。
  3. 導電体パターン層は導電性粒子とバインダー樹脂を含む導電性組成物層からなり、導電性組成物層は透明基材上にプライマ層を介して積層され、プライマ層は導電体パターン層形成部分の厚さが導電体パターン層非形成部分の厚さよりも厚く、且つ導電体パターン層の凸部の内部に於ける導電性粒子の分布が、相対的に凸部の頂上部近傍に於いて密でプライマ層近傍に於いて疎である、請求項1又は2記載の透明樹脂層の端部に凸出部を有する電磁波遮蔽材。
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