JP2011076029A - プロジェクター及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】投写光学系やその周辺部材の熱膨張によるフォーカス状態の乱れを容易に抑制することが可能なプロジェクター及びその制御方法を提供する。
【解決手段】光源装置11の点灯に伴ってプロジェクター1の内部温度が上昇し、投写レンズ13やその周辺部材が熱膨張すると、フォーカスずれが生じて画像がぼけてしまう。つまり、ユーザーによって調整されたフォーカス状態が乱れてしまう。このため、本実施形態のプロジェクター1は、温度上昇に伴うフォーカスずれを抑制するために、投写レンズ13の温度に応じてフォーカス状態を補正するフォーカス補正機能を有している。フォーカス補正機能によって補正を行う際には、記憶部21に記憶されている補正テーブルRTが用いられる。補正テーブルRTは、レンズ温度と補正量とを対応付けたものであり、補正テーブルRTを参照することによって、現在のレンズ温度に応じた補正量が導出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、投写光学系から画像を投写するプロジェクター及びその制御方法に関する。
スクリーン等に画像を投写するプロジェクターを用いて画像の鑑賞を行う際には、ユーザーは、プロジェクターとスクリーンとの距離に応じてフォーカス状態を適切に調整することにより、鮮鋭な画像を鑑賞することが可能となる。ところが、ユーザーがフォーカス状態を調整した後であっても、光源の点灯に伴って投写光学系(投写レンズ)やその周辺部材(支持部材等)の温度が上昇し、これらが熱膨張することにより、画像のフォーカス状態が乱れてしまう場合がある。この場合には、ユーザーは、フォーカス状態を再び調整しなければならなくなる。
特許文献1に記載のプロジェクターは、温度変化によって光軸方向に伸縮する複数の補正部材で投写レンズの一部を支持しており、補正部材の伸縮によってフォーカス状態の乱れが抑制され、適切なフォーカス状態を維持できるようになっている。
特開2006−48013号公報
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクターは、複数の補正部材を備えているため、投写レンズの周辺構成が複雑になり、コストが上昇してしまうという問題を有している。また、複数の補正部材を均等に伸縮させることは容易でないため、伸縮が不揃いであることに起因する収差も生じうる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、投写光学系から画像を投写するプロジェクターであって、前記投写光学系に備えられ、前記画像のフォーカス状態を調整するためのフォーカス調整機構と、前記フォーカス調整機構を駆動するフォーカス駆動部と、前記投写光学系の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部で検出された前記投写光学系の温度に基づいて前記フォーカス駆動部に前記フォーカス調整機構を駆動させて、前記フォーカス状態を補正するフォーカス補正部と、を備えたことを特徴とする。
このプロジェクターによれば、フォーカス補正部が、温度検出部で検出された投写光学系の温度に基づいてフォーカス状態を補正するため、投写光学系やその周辺部材の熱膨張によるフォーカス状態の乱れを容易に抑制することが可能となる。
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記フォーカス状態を調整するための操作を受け付ける操作部と、前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて前記フォーカス駆動部に前記フォーカス調整機構を駆動させて、前記フォーカス状態を調整する制御部と、をさらに備え、前記フォーカス補正部は、前記操作部の操作による前記フォーカス状態の調整が済んだ後で、前記フォーカス状態の補正を開始することが望ましい。
このプロジェクターによれば、フォーカス補正部は、操作部の操作によるフォーカス状態の調整が済んだ後で補正を開始するため、調整操作後のフォーカス状態の乱れが補正され、調整されたフォーカス状態を維持することが可能になる。
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記温度検出部は、所定時間間隔で前記投写光学系の温度を検出し、前記フォーカス補正部は、前記投写光学系の温度の変化に基づいて前記フォーカス状態を補正するようにしてもよい。
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記投写光学系の温度と、前記フォーカス状態を補正するための補正量とを対応付けたテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、前記フォーカス補正部は、前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記テーブルから対応する補正量を導出し、当該補正量に応じた補正を実施するようにしてもよい。
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記温度検出部は、前記プロジェクターの外部の温度を検出可能であり、前記フォーカス補正部は、前記投写光学系の温度と、前記プロジェクターの外部の温度の双方に基づいて前記フォーカス状態を補正することが望ましい。
このプロジェクターによれば、フォーカス補正部が、投写光学系の温度と、プロジェクターの外部の温度の双方に基づいてフォーカス状態を補正するため、プロジェクターの外部の温度がフォーカス状態に影響を及ぼす場合でも、フォーカス状態を適正に補正することが可能となる。
[適用例6]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記投写光学系の温度と、前記フォーカス状態を補正するための補正量とを対応付けたテーブルを、前記プロジェクターの外部の温度に応じて複数記憶する記憶部をさらに備え、前記フォーカス補正部は、前記温度検出部で検出された前記プロジェクターの外部の温度に基づいて、前記記憶部から対応するテーブルを読み出すとともに、前記温度検出部で検出された前記投写光学系の温度に基づいて、読み出した前記テーブルから対応する補正量を導出し、当該補正量に応じた補正を実施するようにしてもよい。
[適用例7]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、投写光学系から画像を投写するプロジェクターの制御方法であって、前記画像のフォーカス状態を調整するための操作を受け付ける操作ステップと、前記操作に応じて前記フォーカス状態を調整する調整ステップと、前記調整ステップの後で、前記投写光学系の温度を検出する温度検出ステップと、前記温度検出ステップでの検出結果に基づいて、前記フォーカス状態を補正する補正ステップと、を備えたことを特徴とする。
このプロジェクターの制御方法によれば、温度検出ステップで検出された投写光学系の温度に基づいてフォーカス状態を補正するため、投写光学系やその周辺部材の熱膨張によるフォーカス状態の乱れを容易に抑制することが可能となる。また、フォーカス状態を調整するための操作(調整操作)がなされた後で補正を開始するため、調整操作後のフォーカス状態の乱れが補正され、調整されたフォーカス状態を維持することが可能になる。
[適用例8]上記適用例に係るプロジェクターの制御方法において、前記温度検出ステップでは、前記投写光学系の温度を、所定時間を隔てて複数回検出し、前記補正ステップでは、前記投写光学系の温度の変化に基づいて前記フォーカス状態を補正するようにしてもよい。
また、上述したプロジェクター及びその制御方法がプロジェクターに備えられたコンピューターを用いて構築されている場合には、上記形態及び上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、或いは当該プログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやハードディスク、CDやDVD等の光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性の半導体メモリーを搭載したメモリーカードやUSBメモリー、プロジェクターの内部記憶装置(RAMやROM等の半導体メモリー)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
プロジェクターの概略構成を示すブロック図。 光源装置が点灯してからの経過時間とレンズ温度との関係を示すグラフ。 (a)〜(c)は、補正テーブルを説明するための説明図。 フォーカス補正機能を説明するためのフローチャート。
以下、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照して説明する。
プロジェクターは、光源装置から射出された光を変調して、外部から入力される画像情報に基づく画像を形成し、この画像を外部のスクリーン等に投写する光学機器である。
図1は、プロジェクターの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、操作部22、画像情報入力部23、画像処理部24、液晶駆動部25、温度検出部26、フォーカス駆動部27等を備えている。
画像投写部10は、光源装置11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13等で構成されている。画像投写部10は、表示部に相当するものであり、光源装置11から射出された光を液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して画像(画像光)を形成し、この画像を投写レンズ13から拡大投写して、外部のスクリーンSC等に表示する。
光源装置11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源装置11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。そして、液晶駆動部25の駆動により、入力される画像情報に応じた駆動電圧が各画素に印加されると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像が色光毎に形成される。形成された各色の画像は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像となった後、投写レンズ13から拡大投写される。
投写レンズ13は、鏡筒内に配置された複数のレンズ群を備えて構成されるとともに、投写される画像のフォーカス状態を調整するために、所定のレンズ群の光軸方向の位置関係を変化させるフォーカス調整機構13aを備えている。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラムに従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピューターとして機能する。
記憶部21は、マスクROM(Read Only Memory)や、フラッシュメモリー、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶部21には、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクター1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
操作部22は、ユーザーの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作部22が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り替えるための電源キー、各種設定用のメニュー画像を表示させるメニューキー、フォーカス状態を調整するためのフォーカス調整キー等があり、フォーカス調整キーは、近距離側(プロジェクター1に近づく方向)に焦点を移動させる第1の調整キーと、遠距離側(プロジェクター1から遠ざかる方向)に焦点を移動させる第2の調整キーの2つのキーによって構成される。ユーザーが操作部22の各種操作キーを操作すると、操作部22は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。なお、操作部22として、遠隔操作が可能なリモコン(図示せず)を用いた構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発信し、図示しないリモコン信号受信部がこれを受信して制御部20に伝達する。
画像情報入力部23には、パーソナルコンピューターや各種映像再生装置等、外部の画像供給装置から画像情報が入力される。画像情報入力部23は、入力された画像情報を画像処理部24に出力する。
画像処理部24は、画像情報入力部23から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。また、画像処理部24は、制御部20の指示に基づき、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理や、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレー)画像を重畳表示するためのOSD処理等を行い、処理後の画像情報を液晶駆動部25に出力する。
液晶駆動部25が、画像処理部24から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
温度検出部26は、例えば、サーミスター等によって構成される複数の温度センサー28に接続されており、各温度センサー28から出力される出力信号に基づいてそれぞれの温度を検出し、その検出結果を制御部20に出力する。温度センサー28の1つ(温度センサー28a)は、投写レンズ13の近傍に配置されており、温度検出部26は、この温度センサー28aからの出力信号に基づいて、投写レンズ13の温度(以降、「レンズ温度」とも呼ぶ。)を検出可能になっている。また、本実施形態では、図示しない筐体の外部にも温度センサー28(温度センサー28b)が配置されており、温度検出部26は、この温度センサー28bの出力信号に基づいて、プロジェクター1の外部の温度(以降、「環境温度」とも呼ぶ。)をも検出することができる。なお、図示は省略しているが、温度センサー28は、上記以外にも、光源装置11、液晶ライトバルブ12R,12G,12B等のように、熱を発する部位や熱によるダメージを受けやすい部位にも配置されている。そして、制御部20は、これらの部位の温度に応じて、図示しない冷却ファンの駆動を制御し、プロジェクター1の内部温度の上昇を抑制する。
フォーカス駆動部27は、制御部20の指示に基づいて、投写レンズ13のフォーカス調整機構13aを駆動することにより、フォーカス状態を調整する。具体的には、ユーザーが操作部22のフォーカス調整キーを操作して、操作部22がこの操作を受け付けると、制御部20は、フォーカス駆動部27に指示をして、操作されたフォーカス調整キー(第1の調整キー又は第2の調整キー)に応じた駆動を行わせる。例えば、フォーカス駆動部27は、ステッピングモーターを備えて構成されており、制御部20は、第1の調整キーが操作された場合と、第2の調整キーが操作された場合とでは、ステッピングモーターの回転方向を反転させる。
次に、プロジェクター1の動作について説明する。
プロジェクター1に商用電源が供給された後、ユーザーにより操作部22の電源キーが操作されると、光源装置11の点灯が開始し、プロジェクター1は、画像の投写が可能な状態(オン状態)となる。そして、画像情報入力部23に対して画像情報の入力が開始されると、プロジェクター1は、この画像情報に基づく画像の投写を開始する。また、ユーザーは、スクリーンSC等に投写される画像を見ながらフォーカス状態を調整するための操作を行い、適切なフォーカス状態に調整した後で画像の鑑賞を開始する。
ここで、光源装置11の点灯に伴ってプロジェクター1の内部温度が上昇し、投写レンズ13やその周辺部材(図示しない支持部材等)が熱膨張すると、フォーカスずれが生じて画像がぼけてしまう。つまり、ユーザーによって調整されたフォーカス状態が乱れてしまう。このため、本実施形態のプロジェクター1は、温度上昇に伴うフォーカスずれを抑制するために、投写レンズ13の温度に応じてフォーカス状態を補正するフォーカス補正機能を有している。
図2は、光源装置11が点灯してからの経過時間(点灯時間)と、レンズ温度との関係を示すグラフである。なお、レンズ温度は、環境温度Taにも依存することから、図2には、代表として、環境温度Taが5℃、25℃、45℃の3つの場合について示している。
図2に示すように、レンズ温度は、光源装置11が点灯してから間もない期間ほど急峻に上昇し、その後、緩やかな上昇となって安定する。また、光源装置11が点灯してから間もない期間において、レンズ温度は、環境温度Taが低い場合ほど急峻に上昇する。投写レンズ13及びその周辺部材は、この温度変化によって熱膨張し、投写される画像のフォーカス状態は、この熱膨張によって乱れる。このため、フォーカス補正機能は、レンズ温度の変化量に応じた量だけフォーカス状態を補正する必要がある。つまり、温度変化が激しい場合ほど大きな量の補正を行うようになっている。
フォーカス補正機能によって補正を行う際には、記憶部21に記憶されている補正テーブルRTが用いられる(図1参照)。補正テーブルRTは、レンズ温度と補正量(例えば、ステッピングモーターにおけるステップ数)とを対応付けたものであり、補正テーブルRTを参照することによって、現在のレンズ温度に応じた補正量が導出される。
また、上述したように、レンズ温度の温度変化は、環境温度Taの影響を受けるため、本実施形態では、環境温度Taに応じて異なる補正テーブルRTが参照される。具体的には、プロジェクター1の動作温度範囲(本実施形態では、5〜45℃とする。)が複数の区域に区分され、それぞれの区域毎に個別の補正テーブルRTが用いられる。つまり、記憶部21には、各区域に対応する複数の補正テーブルRTが予め記憶されている。
図3(a)〜(c)は、補正テーブルRTを説明するための説明図であり、代表として、3つの補正テーブルRTを示している。ここで、(a)は、環境温度Taが5℃以上10℃未満の区域の場合に参照されるテーブル、(b)は、環境温度Taが25℃以上30℃未満の区域の場合に参照されるテーブル、(c)は、環境温度Taが40℃以上45℃以下の区域の場合に参照されるテーブルである。
図3に示すように、補正テーブルRTには、レンズ温度と補正量とが対応付けられて記録されている。具体的には、補正テーブルRTには、所定の温度刻み(本実施形態では、5℃刻み)で複数のレンズ温度が列記されており、各レンズ温度が、一段階、即ち所定の温度(5℃)だけ上昇した場合に必要となる補正量が記録されている。図3(a)に示す例では、レンズ温度が5℃から10℃に上昇した場合に補正量L1の補正を行い、レンズ温度が10℃から15℃に上昇した場合に補正量L2の補正を行うことを示している。このため、レンズ温度が5℃から15℃に上昇した場合には、補正量(L1+L2)の補正が施されることになる。他の補正テーブルRTについても同様である。
図4は、フォーカス補正機能を説明するためのフローチャートである。プロジェクター1がオン状態になって画像の投写が開始すると、フォーカス補正機能が有効となり、制御部20は、図4に示すフローに従って動作する。
図4に示すように、ステップS101では、制御部20は、ユーザーによってフォーカス調整キーが操作されたか否かを判断する。そして、フォーカス調整キーが操作されて、操作部22がその操作を受け付けた場合にはステップS102に移行し、フォーカス調整キーが操作されていない場合には、本ステップを繰り返す。
フォーカス調整キーが操作されてステップS102に移行した場合には、制御部20は、操作されたフォーカス調整キー(第1の調整キー又は第2の調整キー)に応じて、フォーカス駆動部27にフォーカス調整機構13aを駆動させる。
ステップS103では、制御部20は、ユーザーによってフォーカス調整キーが操作されたか否かを再度判断する。そして、フォーカス調整キーが操作された場合にはステップS102に戻ってフォーカス調整機構13aを駆動させ、フォーカス調整キーが操作されていない場合には、ステップS104に移行する。
ステップS104では、制御部20は、フォーカス調整キーが最後に操作されてから所定時間(例えば、10秒)が経過したか否かを判断する。そして、所定時間が経過した場合には、ユーザーによるフォーカス状態の調整が終了したものと判断して、ステップS105に移行する。一方、所定時間が経過していない場合にはステップS103に戻る。
フォーカス調整キーが最後に操作されてから所定時間が経過してステップS105に移行した場合には、制御部20は、その時点における環境温度を温度検出部26に検出させ。そして、ステップS106では、制御部20は、検出された環境温度に基づいて、参照すべき補正テーブルRTを特定し、記憶部21から読み出す。
ステップS107では、制御部20は、その時点におけるレンズ温度を温度検出部26に検出させる。
ステップS108では、制御部20は、レンズ温度が検出されてから所定時間(例えば、1秒)が経過したか否かを判断する。そして、所定時間が経過した場合にはステップS109に移行し、所定時間が経過していない場合には本ステップを繰り返す。
所定時間が経過してステップS109に移行すると、制御部20は、再び、その時点におけるレンズ温度を温度検出部26に検出させる。
ステップS110では、制御部20は、直前に検出された最新のレンズ温度と、所定時間が経過する前に検出された前回のレンズ温度とに基づいて、ステップS106で読み出した補正テーブルRTから補正量を導出する。
例えば、環境温度が5℃以上10℃未満の場合において、前回のレンズ温度が5℃であって、最新のレンズ温度が10℃である場合には、補正量はL1となる。また、前回のレンズ温度が5℃であって、最新のレンズ温度が15℃である場合には、補正量は、L1+L2となる。なお、検出されたレンズ温度の値が補正テーブルRTに列記されていない場合、即ち5℃刻みでない場合には、補間により補正量を導出すればよい。例えば、前回のレンズ温度が6℃であって、最新のレンズ温度が9℃である場合には、L1×(9−6)/5を補正量とすることができる。同様に、前回のレンズ温度が6℃であって、最新のレンズ温度が12℃である場合には、L1×(10−6)/5+L2×(12−10)/5を補正量とすることができる。また、補正テーブルRTにおける温度の刻みを小さく設定し、多数のレンズ温度を列記するようにすれば、列記されている多数のレンズ温度のうち、検出されたレンズ温度に最も近いレンズ温度に基づいて補正量を定めるようにしてもよい。
ステップS111では、制御部20は、ステップS110で導出された補正量に基づいて、フォーカス駆動部27にフォーカス状態の補正を行わせる。そして、フォーカス駆動部27が、制御部20の制御に応じてフォーカス調整機構13aを駆動すると、フォーカス状態が補正される。
ステップS112では、制御部20は、レンズ温度が安定したか否か、即ちレンズ温度の温度変化が僅か(所定の値未満)である状態が所定時間継続したか否かを判断する。そして、レンズ温度が安定していない場合には、ステップS108に戻り、レンズ温度が安定するまで、所定時間間隔でフォーカス状態の補正を繰り返す。つまり、制御部20は、レンズ温度を新たに検出させ(ステップS109)、このレンズ温度と前回のレンズ温度とに基づいて補正テーブルRTから新たな補正量を導出し(ステップS110)、この補正量に基づいてフォーカス駆動部27にフォーカス調整機構13aを駆動させる(ステップS111)。一方、レンズ温度が安定した場合には、フォーカス補正機能の動作を終了する。
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のプロジェクター1によれば、フォーカス補正機能により、温度検出部26で検出された投写レンズ13の温度(レンズ温度)に基づいてフォーカス状態が補正されるため、投写レンズ13やその周辺部材の熱膨張によるフォーカス状態の乱れを容易に抑制することが可能となる。
(2)本実施形態のプロジェクター1によれば、フォーカス補正機能は、操作部22のフォーカス調整キーによるフォーカス状態の調整作業が済んだ後でフォーカス状態の補正を開始するため、調整操作後のフォーカス状態の乱れが補正され、ユーザーによって調整されたフォーカス状態を維持することが可能になる。
(3)本実施形態のプロジェクター1によれば、フォーカス補正機能は、投写レンズ13の温度(レンズ温度)と、プロジェクター1の外部の温度(環境温度)の双方に応じてフォーカス状態を補正するため、環境温度がフォーカス状態に影響を及ぼす場合でも、フォーカス状態を適正に補正することが可能となる。
なお、本実施形態では、ステップS105〜S112を実行してフォーカス状態を補正する際の制御部20がフォーカス補正部に相当する。
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
上記実施形態では、制御部20は、所定時間間隔でレンズ温度を検出し、このレンズ温度に基づいて補正テーブルRTから補正量を導出した後、この補正量に基づいてフォーカス状態を補正するようにしているが、この態様に限定されない。例えば、光源装置11の点灯が開始した直後のように、レンズ温度が比較的低く、温度変化が急峻な期間においては、フォーカス状態の変化に補正が追従できない恐れがある。このため、最初に検出されたレンズ温度が所定値以下の場合には、所定時間の経過を待つことなく、最初に検出されたレンズ温度に応じた補正量で補正を行うようにしてもよい。
上記実施形態において、補正テーブルRTは、検出されたレンズ温度に基づいて補正量を定める態様であればよく、図3に示した態様に限定されない。
上記実施形態では、光変調装置として3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いた3板式のプロジェクター1について説明したが、これに限定されない。例えば、各画素の中にそれぞれR光、G光、B光を透過可能なサブ画素を含んだ1つの液晶ライトバルブによって画像を形成する態様とすることも可能である。
上記実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源装置11から射出された光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
上記実施形態では、光源装置11は、放電型の光源ランプ11aを備えて構成されているが、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)光源等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
上記実施形態では、外部のスクリーンSC等に画像を投写するフロント型のプロジェクター1について説明しているが、透過型のスクリーンを一体的に備え、その背面側から画像を投写するリアプロジェクターにも適用可能である。
1…プロジェクター、10…画像投写部、11…光源装置、11a…光源ランプ、11b…リフレクター、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、13a…フォーカス調整機構、20…制御部、21…記憶部、22…操作部、23…画像情報入力部、24…画像処理部、25…液晶駆動部、26…温度検出部、27…フォーカス駆動部、28,28a,28b…温度センサー、RT…補正テーブル、SC…スクリーン。

Claims (8)

  1. 投写光学系から画像を投写するプロジェクターであって、
    前記投写光学系に備えられ、前記画像のフォーカス状態を調整するためのフォーカス調整機構と、
    前記フォーカス調整機構を駆動するフォーカス駆動部と、
    前記投写光学系の温度を検出する温度検出部と、
    前記温度検出部で検出された前記投写光学系の温度に基づいて前記フォーカス駆動部に前記フォーカス調整機構を駆動させて、前記フォーカス状態を補正するフォーカス補正部と、
    を備えたことを特徴とするプロジェクター。
  2. 請求項1に記載のプロジェクターであって、
    前記フォーカス状態を調整するための操作を受け付ける操作部と、
    前記操作部が受け付けた前記操作に基づいて前記フォーカス駆動部に前記フォーカス調整機構を駆動させて、前記フォーカス状態を調整する制御部と、
    をさらに備え、
    前記フォーカス補正部は、前記操作部の操作による前記フォーカス状態の調整が済んだ後で、前記フォーカス状態の補正を開始することを特徴とするプロジェクター。
  3. 請求項1又は2に記載のプロジェクターであって、
    前記温度検出部は、所定時間間隔で前記投写光学系の温度を検出し、
    前記フォーカス補正部は、前記投写光学系の温度の変化に基づいて前記フォーカス状態を補正することを特徴とするプロジェクター。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
    前記投写光学系の温度と、前記フォーカス状態を補正するための補正量とを対応付けたテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
    前記フォーカス補正部は、前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記テーブルから対応する補正量を導出し、当該補正量に応じた補正を実施することを特徴とするプロジェクター。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
    前記温度検出部は、前記プロジェクターの外部の温度を検出可能であり、
    前記フォーカス補正部は、前記投写光学系の温度と、前記プロジェクターの外部の温度の双方に基づいて前記フォーカス状態を補正することを特徴とするプロジェクター。
  6. 請求項5に記載のプロジェクターであって、
    前記投写光学系の温度と、前記フォーカス状態を補正するための補正量とを対応付けたテーブルを、前記プロジェクターの外部の温度に応じて複数記憶する記憶部をさらに備え、
    前記フォーカス補正部は、前記温度検出部で検出された前記プロジェクターの外部の温度に基づいて、前記記憶部から対応するテーブルを読み出すとともに、前記温度検出部で検出された前記投写光学系の温度に基づいて、読み出した前記テーブルから対応する補正量を導出し、当該補正量に応じた補正を実施することを特徴とするプロジェクター。
  7. 投写光学系から画像を投写するプロジェクターの制御方法であって、
    前記画像のフォーカス状態を調整するための操作を受け付ける操作ステップと、
    前記操作に応じて前記フォーカス状態を調整する調整ステップと、
    前記調整ステップの後で、前記投写光学系の温度を検出する温度検出ステップと、
    前記温度検出ステップでの検出結果に基づいて、前記フォーカス状態を補正する補正ステップと、
    を備えたことを特徴とするプロジェクターの制御方法。
  8. 請求項7に記載のプロジェクターの制御方法であって、
    前記温度検出ステップでは、前記投写光学系の温度を、所定時間を隔てて複数回検出し、
    前記補正ステップでは、前記投写光学系の温度の変化に基づいて前記フォーカス状態を補正することを特徴とするプロジェクターの制御方法。
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