JP2011075072A - 流体保持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速変動する外乱負荷による移動体の精度低下の抑制が可能な流体保持装置(静圧軸受け、静圧案内)を提供する。
【解決手段】流体保持装置において、主軸3と静圧軸受け4,5の外乱力による相対変位を計測する変位センサ9、10と、静圧ポケットのランド部を前後進させるランド送り手段7、8と、を備え、主軸3と静圧軸受け4,5の外乱力による相対変位に応じてランド部を前後進することで、外乱力による静圧軸受け4,5と主軸3の相対変位を抑制し、外乱力による流体保持装置の精度低下を抑制する。
【選択図】図1
【解決手段】流体保持装置において、主軸3と静圧軸受け4,5の外乱力による相対変位を計測する変位センサ9、10と、静圧ポケットのランド部を前後進させるランド送り手段7、8と、を備え、主軸3と静圧軸受け4,5の外乱力による相対変位に応じてランド部を前後進することで、外乱力による静圧軸受け4,5と主軸3の相対変位を抑制し、外乱力による流体保持装置の精度低下を抑制する。
【選択図】図1
Description
本発明は、静圧軸受けや静圧案内のような流体保持装置の外乱負荷による精度低下の抑制に関するものである。
静圧軸受けに加わる外乱負荷による軸受け精度低下の抑制技術として、主軸の外乱負荷による変位に応じて流体軸受けへの供給圧力を制御して精度低下を抑制する従来技術(例えば、特許文献1参照)や、主軸の外乱負荷によるポケット圧力変動に応じて流体軸受けへの供給圧力を制御して精度低下を抑制する従来技術(例えば、特許文献2参照)がある。
特許文献1に記載の従来技術の場合、具体的には図4において、主軸3はポンプ13、圧力制御弁14により所定の圧力に保持された圧油が絞りを介して供給された静圧軸受け16、17により回転自在に支持されており、主軸回転モータ15により駆動され、静圧軸受け16、17と主軸3の相対変位は変位センサ9、10により計測される。
このように構成された静圧軸受けにおいて、その精度低下が抑制される原理は以下のようなものである。
定常加工中の加工力をF、主軸3の変位をE、軸受け剛性をKとし、外乱力をΔF、外乱力が作用した主軸3の変位増加量をΔEとした場合、E=F/K、E+ΔE=(F+ΔF)/Kが成り立つ。ここで、主軸剛性をΔK大きくしてE=(F+ΔF)/(K+ΔK)を成立させると、外乱力ΔFが作用しても主軸3の変位量が変動しないので主軸回転精度(軸受け精度)が低下しない。静圧軸受けの剛性は供給圧力に比例するので初期供給圧力をP、増加供給圧力をΔPとすると(K+ΔK)=K(P+ΔP)/PとなりΔK=K・ΔP/Pが成り立つ。E=(F+ΔF)/(K+ΔK)からΔK=ΔF/E、またΔF=K・ΔEなのでΔK=K・ΔE/Eが成り立つ。よってK・ΔP/P=K・ΔE/Eとなり増加供給圧力ΔPはΔP=P・ΔE/Eとなる。
以上より外乱力ΔFによる主軸3の変位増加をなくすには供給圧力をΔP=P・ΔE/Eだけ増加させればよい。
外乱負荷による軸受け精度の低下が抑制される具体的作用を以下に説明する。
変位センサ9、10が計測した変位増加量ΔEに基づき、制御装置18では定常加工時の標準変位位置まで主軸を押し戻すに必要な軸受け剛性になる増大供給圧力ΔPをΔP=P・ΔE/Eから計算し圧力制御弁14へ指令する。圧力制御弁14がΔPだけ昇圧した圧油を軸受け16、17へ供給すると軸受け16、17の剛性が高くなり外乱力による主軸3の変位量を小さくする。以上の制御を連続して行うことで外乱力による軸受け精度低下を抑制する。
このように構成された静圧軸受けにおいて、その精度低下が抑制される原理は以下のようなものである。
定常加工中の加工力をF、主軸3の変位をE、軸受け剛性をKとし、外乱力をΔF、外乱力が作用した主軸3の変位増加量をΔEとした場合、E=F/K、E+ΔE=(F+ΔF)/Kが成り立つ。ここで、主軸剛性をΔK大きくしてE=(F+ΔF)/(K+ΔK)を成立させると、外乱力ΔFが作用しても主軸3の変位量が変動しないので主軸回転精度(軸受け精度)が低下しない。静圧軸受けの剛性は供給圧力に比例するので初期供給圧力をP、増加供給圧力をΔPとすると(K+ΔK)=K(P+ΔP)/PとなりΔK=K・ΔP/Pが成り立つ。E=(F+ΔF)/(K+ΔK)からΔK=ΔF/E、またΔF=K・ΔEなのでΔK=K・ΔE/Eが成り立つ。よってK・ΔP/P=K・ΔE/Eとなり増加供給圧力ΔPはΔP=P・ΔE/Eとなる。
以上より外乱力ΔFによる主軸3の変位増加をなくすには供給圧力をΔP=P・ΔE/Eだけ増加させればよい。
外乱負荷による軸受け精度の低下が抑制される具体的作用を以下に説明する。
変位センサ9、10が計測した変位増加量ΔEに基づき、制御装置18では定常加工時の標準変位位置まで主軸を押し戻すに必要な軸受け剛性になる増大供給圧力ΔPをΔP=P・ΔE/Eから計算し圧力制御弁14へ指令する。圧力制御弁14がΔPだけ昇圧した圧油を軸受け16、17へ供給すると軸受け16、17の剛性が高くなり外乱力による主軸3の変位量を小さくする。以上の制御を連続して行うことで外乱力による軸受け精度低下を抑制する。
特許文献2に記載の従来技術の場合、静圧ポケットへの給油管路の複数の絞りの少なくとも1個を可動に支持し、外乱負荷によるポケット内圧力の変動に応じて供給管路の終端の絞りへの供給圧力を制御して外乱力による軸受け精度低下を抑制する。
流体保持装置に外乱力が作用すると、流体保持装置剛性と外乱力の大きさにより決定される変位が生じ、流体保持精度が低下してしまい、例えば、工作機械の主軸装置に使用した場合は、流体保持精度の低下は工作物の加工精度低下に直結する。上記特許文献1および特許文献2に記載の従来技術では、流体保持精度の低下の抑制をするための静圧軸受けの圧力制御を絞りへの供給圧力の制御により実施するので、絞りによる流量制限によりポケット内圧力応答速度に限界があり、外乱力変動が高速の場合応答性が悪く十分に精度低下を抑制できなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高速の外乱力変動に対しても外乱力による精度低下を抑制できる流体保持装置を提供することを目的とする。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高速の外乱力変動に対しても外乱力による精度低下を抑制できる流体保持装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、リセスと前記リセスの周囲に設けられたランドとからなる静圧ポケットと、前記リセスへ圧油を供給する圧油供給手段と、前記静圧ポケットの圧油により支持される移動体と、前記ランドの少なくとも一部を変位させ前記移動体との隙間を増減できるランド変位手段と、前記移動体と前記リセスの相対変位を計測する変位計測手段と、前記変位計測手段の計測した変位量に応じて前記ランド変位手段によるランド変位量を演算し変位指令を出力する制御手段と、前記制御手段の変位指令に基づき前記ランド変位手段を駆動する駆動手段と、を備え、前記移動体が前記ポケットに近づく場合は近づく側の前記ランドを前記移動体へ近づく方向へ変位させ、前記移動体が前記ポケットから離れる場合は離れる側の前記ランドを前記移動体から離れる方向へ変位させることである。
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1に係る発明において、前記移動体が回転する主軸であって、前記静圧ポケットと、前記ランド変位手段と、前記主軸と前記リセスの相対変位を計測する前記変位計測手段と、を前記主軸の外周に円筒状に配置したことである。
請求項3に係る発明の特徴は、請求項2に係る発明において、前記ランド変位手段と、前記変位計測手段と、をそれぞれ複数備えるとともに、前記制御手段は複数の前記変位計測手段の変位量から複数の前記ランド変位手段のランド変位量を演算し変位指令を出力することである。
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1〜3のいずれか1項に係る発明において、前記ランドは前記リセスとは別体に形成され前記リセスに対して移動可能であり、前記ランド変位手段は前記ランドを変位させることによって前記移動体との隙間を増減することである。
請求項5に係る発明の特徴は、請求項1〜4のいずれか1項に係る発明において、前記ランド変位手段の駆動用に圧電素子を備えたことである。
請求項1に係る発明によれば、移動体に外乱力が作用した場合に、移動体とリセスの相対変位を変位計測手段により計測し、計測した変位量は制御装置に送られる。制御手段は変位量からランド変位手段によるランド変位量を演算してランド変位手段に変位指令を出力する。外乱力が移動体に作用して移動体がポケットに近づく場合は、近づく側のランド変位手段にランドを移動体へ近づける変位指令が発せられ、ランドが移動体に接近する。移動体は、ポケット内の圧力を一定としたままポケットからの総流出油量を維持するため、ランドの移動に応じてポケットから離れる方向へ移動し、移動体とランドの隙間を一定に保つ。すなわち外乱力による移動体の変位を打ち消す方向へ移動する。反対に、外乱力が移動体に作用して移動体がポケットから離れる場合は、離れる側のランド変位手段にランドを移動体から離す変位指令が発せられ、ランドが移動体から離れる。移動体は、ポケット内の圧力を一定としたままポケットからの総流出量を維持するため、ポケットへ近づく方向へ移動し、移動体とランドの隙間を一定に保つ。すなわち外乱力による移動体の変位を打ち消す方向へ移動する。以上の作用を連続的に行うことで移動体の外乱力による変位を抑制する。直接静圧ポケットのランドの変位を制御して、外乱による移動体の変位を抑制するため応答性が速く制御精度が高い。従来の絞りによる流量制限を受ける外部供給圧力制御方式に比較して、高速の外乱力の変動にも高精度の移動体精度低下の抑制が可能となる。
請求項2に係る発明によれば、移動体が回転軸で、静圧ポケットを前記回転軸の外周に円筒状に配置することにより高速回転で使用されることが多い回転軸受けの精度低下を抑制することができる。
請求項3に係る発明によれば、制御手段は複数の変位計測手段の計測した複数の変位量を用いて演算できるので変位方向と変位量を判定でき、また、複数のランド変位手段のランド変位量の増減の組み合わせによりどの方向へも所定の量の補正が可能であるので、円周上のいかなる方向からの外乱力変動に対しても軸受け精度低下の抑制が可能である。
請求項4に係る発明によれば、ランドを分離して移動できるのでランド変位量の設定の自由度が大きく適用範囲が広い。
請求項5に係る発明によれば、ランド変位手段を圧電素子で駆動するので、高速の作動が可能で高速の外乱力変動に対しても軸受け精度低下の抑制が可能であり、また、ランド送り手段をコンパクトに構成できる。
以下、本発明の流体保持装置の実施形態として、静圧軸受けを例にして、図1〜図3を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態による静圧軸受け装置1は、工具2を保持する主軸3(本発明における移動体)がポンプ13と圧力制御弁14により所定の圧力の圧油が供給され軸受けハウジング6に保持されている静圧軸受け4、5により回転自在に保持され、回転モータ15により駆動され、主軸3と静圧軸受け4、5の相対変位を計測する変位センサ9、10と、変位センサ9、10の変位量に基づき変位指令を出力する制御装置11と、制御装置11の変位指令に基づきランド送り手段7、8を駆動する圧電素子ドライバ12を備える。
図1に示すように、本実施形態による静圧軸受け装置1は、工具2を保持する主軸3(本発明における移動体)がポンプ13と圧力制御弁14により所定の圧力の圧油が供給され軸受けハウジング6に保持されている静圧軸受け4、5により回転自在に保持され、回転モータ15により駆動され、主軸3と静圧軸受け4、5の相対変位を計測する変位センサ9、10と、変位センサ9、10の変位量に基づき変位指令を出力する制御装置11と、制御装置11の変位指令に基づきランド送り手段7、8を駆動する圧電素子ドライバ12を備える。
静圧軸受け4は静圧軸受け5と同一構造であり静圧軸受け4の例で図2、図3に基づき以下に詳細を説明する。
静圧軸受け4は複数の固定ランド42a〜42dと移動ランド71a、71a'、71b、71b'とリセス41a〜41dからなる静圧ポケット20a〜20dを備え、リセス41a〜41dに圧力制御弁14からの圧油を供給する絞りを設けた圧油供給管路19a〜19dを備え、ポケット20aのランド42aの軸方向と平行なランドにランド送り手段7aとランド送り手段7a'をポケット20aの円周方向対向に配して備え、ポケット20bにも同様にランド送り手段7bと、ランド送り手段7b'を円周方向対向に配して備え、ポケット20a〜20dの外周に設けた油排出溝21には主軸3と静圧軸受け4の相対変位を計測する概略90度の相対角度で配置された変位センサ9a、9bを備える。ここで変位センサ配置の相対角度は90度に限定されるものではなく、180度以外であればどのような角度でもよい。
固定ランド42a〜42dと移動ランド71a、71a'、71b、71b'とはポケット20a〜20d外周の全周に設けられた凸状の部位で、リセス41a〜41dとは固定ランド42a〜42dと移動ランド71a、71a'、71b、71b'に囲まれた凹状の部位である。
静圧軸受け4は複数の固定ランド42a〜42dと移動ランド71a、71a'、71b、71b'とリセス41a〜41dからなる静圧ポケット20a〜20dを備え、リセス41a〜41dに圧力制御弁14からの圧油を供給する絞りを設けた圧油供給管路19a〜19dを備え、ポケット20aのランド42aの軸方向と平行なランドにランド送り手段7aとランド送り手段7a'をポケット20aの円周方向対向に配して備え、ポケット20bにも同様にランド送り手段7bと、ランド送り手段7b'を円周方向対向に配して備え、ポケット20a〜20dの外周に設けた油排出溝21には主軸3と静圧軸受け4の相対変位を計測する概略90度の相対角度で配置された変位センサ9a、9bを備える。ここで変位センサ配置の相対角度は90度に限定されるものではなく、180度以外であればどのような角度でもよい。
固定ランド42a〜42dと移動ランド71a、71a'、71b、71b'とはポケット20a〜20d外周の全周に設けられた凸状の部位で、リセス41a〜41dとは固定ランド42a〜42dと移動ランド71a、71a'、71b、71b'に囲まれた凹状の部位である。
ランド送り手段7aは静圧軸受け4の外周に設けた放射状の溝の口元に圧電素子駆動部72aを固定し、圧電素子駆動部72aに移動ランド71aを静圧軸受け4と摺動自在に接合した構造である。なお、ランド送り手段7a'、7b、7b'はランド送り手段7aと同一構造である
通常使用時には、ポンプ13、圧力制御弁14で所定の圧力に保持された圧油が、絞りを設けた圧油供給管路19a〜19dを介してリセス41a〜41dに供給され、リセス41a〜41d内の油は固定ランド42a〜42dと主軸3の隙間と移動ランド71a,71a',71b,71b'と主軸3の隙間から流出する。主軸3は、圧油供給管路16a〜16dからの流入油量と、固定ランド42a〜42dと主軸3の隙間からの流出油量と移動ランド71a,71a',71b,71b'と主軸3の隙間からの流出油量の合計がバランスするポケット内圧により、所定の位置に保持される。
加工負荷変動、外部振動伝達等の外乱力F0が主軸3に作用した場合の軸受け精度低下抑制作用について以下に説明する。
主軸3にポケット20b方向への外乱力が作用すると主軸3はポケット20b方向へ変位し、ポケット20bの固定ランド42bと軸受け3の隙間と移動ランド71b、71b'と軸受け3の隙間が共に前記変位相当分減少し、ポケット20bからの油流出量が減少するためポケット20b内の圧力が上昇する。また、ポケット20bと対向した位置のポケット20dでは逆に固定ランド42dと軸受け3の隙間が前記変位相当分増加しポケット20d内の圧力が減少する。ポケット20bの圧力上昇による増加保持力F1とポケット20dの圧力減少による減少保持力F2の合計が前記外乱力F0と等しくなるランド隙間で釣り合う。ここで移動ランド71b、71b'を前進させて主軸3に近づけると主軸3との隙間が減少するので移動ランド71b、71b'部からのポケット20b内油の流出量が減少する。ポケット内圧力を一定としたままポケット20bからの総流出油量を一定とするためには、固定ランド42bと主軸3の隙間が増加する必要がある、すなわち主軸3をポケット20bから押し戻し、外乱力による主軸3の変位を減少させる
主軸3にポケット20b方向への外乱力が作用すると主軸3はポケット20b方向へ変位し、ポケット20bの固定ランド42bと軸受け3の隙間と移動ランド71b、71b'と軸受け3の隙間が共に前記変位相当分減少し、ポケット20bからの油流出量が減少するためポケット20b内の圧力が上昇する。また、ポケット20bと対向した位置のポケット20dでは逆に固定ランド42dと軸受け3の隙間が前記変位相当分増加しポケット20d内の圧力が減少する。ポケット20bの圧力上昇による増加保持力F1とポケット20dの圧力減少による減少保持力F2の合計が前記外乱力F0と等しくなるランド隙間で釣り合う。ここで移動ランド71b、71b'を前進させて主軸3に近づけると主軸3との隙間が減少するので移動ランド71b、71b'部からのポケット20b内油の流出量が減少する。ポケット内圧力を一定としたままポケット20bからの総流出油量を一定とするためには、固定ランド42bと主軸3の隙間が増加する必要がある、すなわち主軸3をポケット20bから押し戻し、外乱力による主軸3の変位を減少させる
反対に、主軸3にポケット20d方向への外乱力が作用した場合は、主軸3はポケット20d方向へ変位し、ポケット20bの固定ランド42b、移動ランド71b、71b'と主軸3の隙間が前記変位相当分増大する。この時、移動ランド71b、71b'を後退させて主軸3から遠ざけると隙間が増大するので移動ランド71b、71b'部からのポケット20b内油の流出量が増大する。ポケット内圧力を一定としたままポケット20bからの総流出油量を一定とするためには固定ランド42bと主軸3の隙間が減少する必要がある、すなわち、主軸3をポケット20b方向へ引き戻し、外乱力による主軸3の変位を減少させる
ランド送り手段7b、7b'において、圧電素子ドライバ12の指令に基づき圧電素子駆動部72b、72b'を前進することで、移動ランド71b、71b'を主軸3へ接近させ、圧電素子ドライバ12の指令に基づき圧電素子駆動部72b、72b'を後退することで移動ランド71b、71b'を主軸3から遠ざける。
以下に具体的な外乱力による主軸の精度低下抑制作用について説明する。
主軸3の変位が変位センサ9aと9bにより計測され、変位量が制御装置11に転送され、制御装置11により各々の変位量が合成され、主軸3の変位量と変位方向が演算される。主軸変位を、ポケット20a、20bの円周方向中心位置の半径方向変位に分解換算し、ポケット20aと主軸3、ポケット20bと主軸3の各々の変位を演算する。次に、ポケット20aと主軸3の変位を最小とするような移動ランド送り量を演算し、ランド送り手段7a、7a'の移動ランド71a、71a'の送り量の指令値を決定する。同様にポケット20bについても移動ランド71b、71b'の送り量の指令値を決定する。
主軸3の変位が変位センサ9aと9bにより計測され、変位量が制御装置11に転送され、制御装置11により各々の変位量が合成され、主軸3の変位量と変位方向が演算される。主軸変位を、ポケット20a、20bの円周方向中心位置の半径方向変位に分解換算し、ポケット20aと主軸3、ポケット20bと主軸3の各々の変位を演算する。次に、ポケット20aと主軸3の変位を最小とするような移動ランド送り量を演算し、ランド送り手段7a、7a'の移動ランド71a、71a'の送り量の指令値を決定する。同様にポケット20bについても移動ランド71b、71b'の送り量の指令値を決定する。
制御装置11により演算された移動ランド71a、71a'の送り量の指令値に基づき、圧電素子ドライバ12を介して圧電素子駆動部72a、72a'を駆動させ、ポケット20aの移動ランド71a、71a'を移動し、ポケット20aと主軸3の変位を抑制する。ポケット20bにおいても、同様にしてポケット20bと主軸3の変位を抑制する。
以上の結果、静圧軸受け4に対する主軸3の外乱力に起因する変位を抑制でき、静圧軸受け5についても同様の制御を行い、外乱力に起因する変位を抑制する。静圧軸受け4、5での外乱力に起因する主軸変位を最小化することで、主軸3のアキシャル方向を除く2軸の併進と、主軸3のピッチングとヨーイングにおける、外乱力による軸受け精度の低下を抑制できる。
以上の結果、静圧軸受け4に対する主軸3の外乱力に起因する変位を抑制でき、静圧軸受け5についても同様の制御を行い、外乱力に起因する変位を抑制する。静圧軸受け4、5での外乱力に起因する主軸変位を最小化することで、主軸3のアキシャル方向を除く2軸の併進と、主軸3のピッチングとヨーイングにおける、外乱力による軸受け精度の低下を抑制できる。
以上の構造によれば、ポケット20a、20bの近傍で移動ランド71a、71a'、71b、71b'を直接移動させることにより主軸3の外乱変位を抑制するため、従来の外部供給圧力制御方式のような絞りによる流量制限による応答遅れが無い。したがって、従来技術よりも高速の外乱力変動にも追従して高精度の主軸変位抑制が可能で、高周波の振動や加工力の高速変動が生じても軸受け精度低下抑制が可能で高精度な高速加工を実現できる。
主軸3の外乱力による変位を、2個の変位センサ9aと9bにより計測することで主軸3の変位量と変位方向を計測し、ランド送り手段の設けられたポケット20a、20bの円周方向中心位置の半径方向変位に換算して、ポケット20a、20bの変位抑制制御を実施するので、円周上のいかなる方向からの外乱力変動に対しても軸受け精度低下抑制ができる。
移動ランド71a、71a'、71b、71b'を静圧軸受け4と分離し可動にすることで移動ランドの移動ストロークを自由に設定でき適用範囲を広くできる。
ランド送り手段7a、7a'、7b、7b'の駆動に小型で、高速作動できる圧電素子を使用するので、ランド送り手段を小型化できかつ高速動作が可能である。
移動ランド71a、71a'、71b、71b'を静圧軸受け4と分離し可動にすることで移動ランドの移動ストロークを自由に設定でき適用範囲を広くできる。
ランド送り手段7a、7a'、7b、7b'の駆動に小型で、高速作動できる圧電素子を使用するので、ランド送り手段を小型化できかつ高速動作が可能である。
<本実施形態の変形態様>
次に、本実施形態の変形態様について説明する。
上記の実施形態の主軸3を併進運動体とし静圧ポケットを平面状に配置した静圧案内としてもよい。
上記の実施形態の変位センサ出力にハイパスフィルタを付加し、外乱力の高周波成分のみ抑制してもよい。
また、圧電素子駆動部72a、72a'、72b、72b'を電磁ソレノイドやモータなどの他の駆動手段に置き換えてもよい。
本実施形態では静圧ポケットに移動ランドと固定ランドを備えているが、移動ランドのみで構成されてもよい。
本実施形態ではランドの変位を移動ランドの移動により実施しているが、ランド部を弾性変形可能な形状としてランドを変位させてもよい。
例えば、静圧軸受け4、5を研削盤の砥石軸に用いる場合のように、外乱力に起因する変位の方向が特定の方向に限定できる場合、変位センサ9、10はその方向の変位を検知できる1セットのみ備える構成でもよい。
同様に、外乱力に起因する変位を抑制する方向が限定できる場合、ランド送り手段7、8はその方向に位置する静圧ポケットに1セットのみ備える構成でもよい。
次に、本実施形態の変形態様について説明する。
上記の実施形態の主軸3を併進運動体とし静圧ポケットを平面状に配置した静圧案内としてもよい。
上記の実施形態の変位センサ出力にハイパスフィルタを付加し、外乱力の高周波成分のみ抑制してもよい。
また、圧電素子駆動部72a、72a'、72b、72b'を電磁ソレノイドやモータなどの他の駆動手段に置き換えてもよい。
本実施形態では静圧ポケットに移動ランドと固定ランドを備えているが、移動ランドのみで構成されてもよい。
本実施形態ではランドの変位を移動ランドの移動により実施しているが、ランド部を弾性変形可能な形状としてランドを変位させてもよい。
例えば、静圧軸受け4、5を研削盤の砥石軸に用いる場合のように、外乱力に起因する変位の方向が特定の方向に限定できる場合、変位センサ9、10はその方向の変位を検知できる1セットのみ備える構成でもよい。
同様に、外乱力に起因する変位を抑制する方向が限定できる場合、ランド送り手段7、8はその方向に位置する静圧ポケットに1セットのみ備える構成でもよい。
1:静圧軸受け装置 3:主軸 7、8:ランド送り手段 9、10:変位センサ 11:制御装置 12:圧電素子ドライバ 13:ポンプ 14:圧力制御弁 20a〜20d:静圧ポケット 72a、72a'、72b、72b':圧電素子駆動部 41a〜41d:リセス 42a〜42d:固定ランド 71a、71a'、71b、71b':移動ランド
Claims (5)
- リセスと前記リセスの周囲に設けられたランドとからなる静圧ポケットと、前記リセスへ圧油を供給する圧油供給手段と、前記静圧ポケットの圧油により支持される移動体と、前記ランドの少なくとも一部を変位させ前記移動体との隙間を増減できるランド変位手段と、前記移動体と前記リセスの相対変位を計測する変位計測手段と、前記変位計測手段の計測した変位量に応じて前記ランド変位手段によるランド変位量を演算し変位指令を出力する制御手段と、前記制御手段の変位指令に基づき前記ランド変位手段を駆動する駆動手段と、を備え、前記移動体が前記ポケットに近づく場合は近づく側の前記ランドを前記移動体へ近づく方向へ変位させ、前記移動体が前記ポケットから離れる場合は離れる側の前記ランドを前記移動体から離れる方向へ変位させることを特徴とする流体保持装置。
- 前記移動体が回転する主軸であって、前記静圧ポケットと、前記ランド変位手段と、前記主軸と前記リセスの相対変位を計測する前記変位計測手段と、を前記主軸の外周に円筒状に配置したことを特徴とする請求項1記載の流体保持装置。
- 前記ランド変位手段と、前記変位計測手段と、をそれぞれ複数備えるとともに、前記制御手段は複数の前記変位計測手段の変位量から複数の前記ランド変位手段のランド変位量を演算し変位指令を出力することを特徴とする請求項2記載の流体保持装置。
- 前記ランドは前記リセスとは別体に形成され前記リセスに対して移動可能であり、前記ランド変位手段は前記ランドを変位させることによって前記移動体との隙間を増減することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体保持装置。
- 前記ランド変位手段の駆動用に圧電素子を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体保持装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111360555A (zh) * | 2020-04-22 | 2020-07-03 | 机械科学研究总院海西(福建)分院有限公司 | 一种适用于大尺寸工件的超精密机床的自动补偿机构 |
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2009
- 2009-10-01 JP JP2009229162A patent/JP2011075072A/ja active Pending
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