JP2011073258A - 液体容器、および可動膜の生産方法 - Google Patents

液体容器、および可動膜の生産方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011073258A
JP2011073258A JP2009226608A JP2009226608A JP2011073258A JP 2011073258 A JP2011073258 A JP 2011073258A JP 2009226608 A JP2009226608 A JP 2009226608A JP 2009226608 A JP2009226608 A JP 2009226608A JP 2011073258 A JP2011073258 A JP 2011073258A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chamber
valve
flow path
liquid
displacement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009226608A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Kawate
寛之 川手
Tadahiro Mizutani
忠弘 水谷
Izumi Nozawa
泉 野澤
Taku Ishizawa
卓 石澤
Shun Oya
瞬 大屋
Satoshi Shinada
聡 品田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2009226608A priority Critical patent/JP2011073258A/ja
Publication of JP2011073258A publication Critical patent/JP2011073258A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】寸法に対する相対的な変形量が大きく、かつ、他の部材に粘着しにくい弁部材を提供する。
【解決手段】差圧弁は、流路の一部を構成する第1室181と、第1室よりも下流側の流路に連通している第2室182,184と、第1室181と第2室182,184の間に配され、少なくとも一部が弾性材料で設けられる可動膜500であって、第1室181内の液体の圧力と第2室182,184内の液体の圧力との差に応じて弾性変形することにより流路を開閉する可動膜500と、を備える。可動膜500のうち、流路を構成する他の部材115と接触する部分S11の少なくとも一部Dgは、弾性材料を構成する成分の少なくとも一部を含む材料であって、それらの成分のうち軟化剤として作用する成分の割合が弾性材料よりも少ない材料である接触用材料で構成されている。
【選択図】図14

Description

本発明は、流路内において流体の流れを制御するための差圧弁を用いた液体容器、及びこのような差圧弁に用いられる可動膜の生産方法に関するものである。
従来より、インクなどの液体が流通する流路を開閉させるために、流路内において変位する弁部材が設けられることがある。そのような部材は、たとえば、弁部材の上流側と下流側の流路の圧力差が所定値以下であるときに、流路内の開口部に密着してその開口部を塞ぐ。そして、弁部材の上流側と下流側の流路の圧力差が所定値を超えた場合に、変形してその開口部から離れ、液体がその開口部を通って流路内を流通することを許容する。
特開2004−237720号公報
上記のような構成において、同程度の流量を制御できる性能を維持しつつ、弁機構全体を小型化しようとすると、弁部材の寸法に対する弁部材の変形量が相対的に大きくなる。たとえば、より柔軟性の高い素材で弁部材を構成することにより、そのような、寸法に対して大きく変形しうる弁部材を構成することができる。しかし、一般に柔軟性の高い素材で構成した部材は、表面のべたつきが大きい。このため、そのような態様においては、たとえば、いったん弁部材が流路内の開口部に密着した後、弁部材の上流と下流の圧力差が所定値を超えても、弁部材が開口部から離れない場合がある。そのような場合には、液体の流通を適切に制御することができない。このような問題は、インクなどの液体の流通を制御する弁構造に限らず、液体の流通を制御するための構造において、弾性を有することが必要でありかつ他の部材と接触しうる様々な部材について、広く存在する。
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を取り扱うためになされたものであり、弁機構において、寸法に対する相対的な変形量が大きく、かつ、他の部材に粘着しにくい弁部材を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
液体を流通させる流路に設けられる差圧弁であって、
前記流路の一部を構成する第1室と、
前記第1室よりも下流側の前記流路に連通している第2室と、
前記第1室と前記第2室の間に配され、少なくとも一部が弾性材料で設けられる可動膜であって、前記第1室内の前記液体の圧力と前記第2室内の前記液体の圧力との差に応じて弾性変形することにより前記流路を開閉する可動膜と、を備え、
前記可動膜のうち、前記流路を構成する他の部材と接触する部分の少なくとも一部は、前記弾性材料を構成する成分の少なくとも一部を含む材料であって、前記成分のうち軟化剤として作用する成分の割合が前記弾性材料よりも少ない材料である接触用材料で構成されている、差圧弁。
一般に、差圧弁の可動膜に使用される弾性材料においては、軟化材として作用する成分の割合が高いほど、柔軟性が高くなる。一方で、軟化材として作用する成分の割合が高いほど、他の部材に粘着しやすくなる。上記の態様においては、他の部材と接触する部分の少なくとも一部は、他の部分を構成する弾性材料よりも軟化剤として作用する成分の割合が少ない接触用材料で構成される。このため、可動膜が他の部材と接触しても、全表面に弾性材料が露出している態様に比べて、その部材と粘着しにくい。すなわち、弾性材料で構成される部分で柔軟性を確保しつつ、他の部材に粘着しにくい可動膜を実現することができる。よって、上記の態様によれば、寸法に対する相対的な変形量が大きく、かつ、他の部材に粘着しにくい弁部材としての可動膜を提供することができる。
しかも、上記の態様においては、弾性材料と接触用材料とは構成成分の少なくとも一部を共有する。このため、可動膜の各部を類似の素材で構成することができる。
なお、「第1室よりも下流側の前記流路に連通している」には、(i)第1室よりも下流側の流路の一部を構成している態様と、(ii)流路の一部ではないが、第1室よりも下流側の流路の一部に接続されている態様と、を含む。
また、「流路を構成する他の部材」は、流路の形状を規定する部材でなくてもよい。すなわち、「流路を構成する他の部材」は、流路が機能するのに必要とされる部材、または流路内に配される部材であればよい。「流路を構成する他の部材」は、たとえば、差圧弁を構成する部材でもよい。
[適用例2]
適用例1の差圧弁であって、
前記第1室は、前記差圧弁に流入する液体を受け入れる第1流入口と、前記流入した前記液体を送出する第1流出口と、を備え、
前記第2室は、前記第1室から送出された前記液体を受け入れる第2流入口と、前記第2流入口から流入した前記液体を送出する第2流出口と、を備え、
前記可動膜は、
前記第1流出口の外周部と接触して前記第1流出口を塞ぐことができる変位部と、
少なくとも一部が前記弾性材料で設けられ、前記第1室と前記第2室の間において前記変位部を支持する変形部であって、前記第1室内の前記液体の圧力と前記第2室内の前記液体の圧力との差に応じて変形することによって、前記変位部を前記外周部に接触させ、または前記外周部から離れさせる変形部と、を備え、
前記変位部のうち、前記他の部材としての前記外周部と接触する外周接触部の少なくとも一部が、前記接触用材料で設けられている、差圧弁。
このような態様とすれば、変形部を構成する弾性素材と同じ素材で外周接触部が構成されている態様に比べて、第1流出口の外周部から変位部が離れる際に、両者の粘着によって変位部の変位が阻害されにくい。よって、第1室内の液体の圧力と第2室内の液体の圧力との差を正確に反映して、第1流出口の開閉を行うことができる。
[適用例3]
適用例2の差圧弁であって、さらに、
前記流路内に配され、一端で前記変位部を付勢することにより、前記第1流出口を塞ぐ位置に前記変位部を配するバネを備え、
前記変位部のうち、前記他の部材としての前記バネと接触する部分を含む少なくとも一部が、前記接触用材料で設けられている、差圧弁。
変位部のうちバネと接触する部分が、変形部を構成する弾性素材と同じ素材で構成されている場合には、差圧弁を製造する過程において、変位部とバネを組み立てる際に、バネが正規の位置以外の位置に粘着してしまうおそれがある。そのような状況下では、変位部上の正確な位置にバネを固定しにくい。
しかし、上記のような態様とすれば、変位部とバネを組みあわせる際に、バネが正規の位置以外の位置に粘着してしまう可能性が低い。このため、変位部上の正確な位置にバネを固定しやすい。すなわち、正確に製造され正確に動作する可能性が高い差圧弁が提供される。
なお、バネは、第1室内の液体の圧力と第2室内の液体の圧力との差が所定の範囲内にある状態において、第1流出口を塞ぐ位置に変位部を配することができる態様とすることができる。
[適用例4]
適用例3の差圧弁であって、
前記バネはコイルバネであり、
前記変位部のうち、前記バネのコイルの端面と接触する部分が、前記接触用材料で設けられている、差圧弁。
[適用例5]
適用例3の差圧弁であって、
前記バネはコイルバネであり、
前記変位部のうち、前記バネのコイルの内面と接触しうる部分が、前記接触用材料で設けられている、差圧弁。
[適用例6]
流体を流通させる流路に設けられる差圧弁であって、前記流路の一部を構成する第1室と、前記第1室よりも下流側の前記流路に連通している第2室と、前記第1室と前記第2室の間に配され、前記第1室内の前記流体の圧力と前記第2室内の前記流体の圧力との差に応じて弾性変形することにより前記流路を開閉する可動膜と、を備える差圧弁の前記可動膜を生産する方法であって、
(a)弾性材料を用いて処理前可動膜を生成し、
(b)前記処理前可動膜のうち、前記流路を構成する他の部材と接触する部分の少なくとも一部について、前記弾性材料を構成する成分のうち軟化剤として作用する成分の少なくとも一部を除去する処理を含む、方法。
上記の態様においては、他の部材と接触する部分の少なくとも一部は、弾性材料から軟化剤として作用する成分の少なくとも一部が除去された材料で構成される。このため、弾性材料で構成される部分で柔軟性を確保しつつ、他の部材に粘着しにくい可動膜を実現することができる。よって、上記の態様によれば、寸法に対する相対的な変形量が大きく、かつ、他の部材に粘着しにくい弁部材としての可動膜を提供することができる。
また、弾性材料で構成された部材の一部から軟化剤を除去することにより、異なる性質を有する部分を可動膜に設けることができる。このため、異なる性質を有する部分を容易に可動膜に設けることができる。
しかも、上記の態様においては、弾性材料と接触用材料とは構成成分の少なくとも一部を共有する。このため、可動膜の各部を類似の素材で構成することができる。
なお、上記の差圧弁を生産する方法によって生産される差圧弁は、流体としての液体(たとえばインク)を制御する差圧弁であってもよく、流体としての気体(例えば空気)を制御する差圧弁であってもよい。上記の生産方法は、たとえば、液体容器において、収容している液体の送出を制御する差圧弁を生産することもでき、液体容器に外部から空気を取り入れる際にその空気の吸入を制御する差圧弁を生産することもできる。
[適用例7]
適用例6の方法であって、
前記(b)の処理は、
(b1)前記他の部材と接触する部分の少なくとも一部を加圧し、
(b2)前記加圧された部分について、洗浄を行って、前記軟化剤として作用する成分を除去する処理を含む、方法。
このような態様とすれば、他の部材と接触する部分から、軟化剤として作用する成分を効率的に除去することができる。
洗浄に際して液体を使用する場合には、その液体は、軟化剤として作用する成分を溶かすことができる液体であってもよいし、軟化剤として作用する成分をほとんど溶かすことができない液体であってもよい。軟化剤として作用する成分をほとんど溶かすことができない液体であっても、可動膜に対して所定値以上の速度で吹き付けることにより、加圧によって可動膜の表面ににじみ出した成分を、可動膜の表面から除去することができる。
[適用例8]
適用例7の方法であって、
前記処理前可動膜の、前記(b1)の加圧が行われる部分の前記加圧の方向についての寸法は、前記(b1)の加圧が行われた後よりも前記(b1)の加圧が行われる前の方が大きい、方法。
このような態様とすれば、(b1)の処理における加圧により、可動膜の加圧の方向についての寸法が小さくなる場合に、処理後に他の部材と組み合わせることができる適切な形状を有する可動膜を、(a),(b)の処理で生成することができる。
[適用例9]
適用例8の方法であって、
前記(b1)の加圧を行うことによって、前記他の部材を受け入れるための凹部を形成する、方法。
このような態様とすれば、弾性材料から軟化剤として作用する成分の少なくとも一部を除去すると同時に、他の部材を受け入れる凹部を形成することができる。このため、差圧弁の製造時に、変位部と他の部材の相対位置を正確に定めることができる。
さらに、以下のような態様とすることもできる。
適用例7の方法であって、
前記第1室は、前記差圧弁に流入する流体を受け入れる第1流入口と、前記流入した前記流体を送出する第1流出口と、を備え、
前記第2室は、前記第1室から送出された前記流体を受け入れる第2流入口と、前記第2流入口から流入した前記流体を送出する第2流出口と、を備え、
前記可動膜は、
前記第1流出口の外周部と接触して前記第1流出口を塞ぐことができる変位部と、
少なくとも一部が前記弾性材料で設けられ、前記第1室と前記第2室の間において前記変位部を支持する変形部であって、前記第1室内の前記流体の圧力と前記第2室内の前記流体の圧力との差に応じて変形することによって、前記変位部を前記外周部に接触させ、または前記外周部から離れさせる変形部と、を備え、
前記差圧弁は、さらに、
前記流路内に配され、一端で前記変位部を付勢することにより、前記第1流出口を塞ぐ位置に前記変位部を配するコイルバネを備え、
前記(b1)は、
前記変位部のうち、前記他の部材としての前記コイルバネの端面と接触する部分を加圧し、前記コイルバネのコイルを受け入れる凹部を形成する処理を含む、方法。
このような態様とすれば、弾性材料から軟化剤として作用する成分の少なくとも一部を除去すると同時に、コイルバネのコイルを受け入れる凹部を形成することができる。このため、差圧弁の製造時に、変位部に対してコイルバネを正確に配することができる。
[適用例10]
適用例6の方法であって、
前記(b)の処理は、
(b1)前記他の部材と接触する部分の少なくとも一部について、前記軟化剤として作用する成分を溶かすことができる溶剤を塗布し、
(b2)前記溶剤を塗布された部分について、洗浄を行って前記溶剤を除去する処理を含む、方法。
このような態様とすれば、可動膜中の軟化剤として作用する成分を、溶剤に溶け出させ、その後その溶剤を洗浄によって除去することにより、他の部材と接触する部分から、軟化剤として作用する成分を効率的に除去することができる。
なお、塗布される溶剤は、弾性材料の上に接触用材料の表面にあって、弾性材料から軟化剤を溶け出させる作用を有する溶剤とすることができる。また、塗布される溶剤は、弾性材料に浸透して軟化剤とともに弾性材料の表面に染み出す作用を有する溶剤とすることもできる。
なお、洗浄に際して液体を使用する場合には、その液体は、軟化剤として作用する成分や上記の溶剤を溶かすことができる液体であってもよいし、溶かすことができない液体であってもよい。軟化剤として作用する成分や溶剤を溶かすことができない液体であっても、可動膜に対して所定値以上の速度で吹き付けることにより、染み出した軟化剤や、軟化剤として作用する成分を溶かした溶剤を、可動膜の表面から除去することができる。
[適用例11]
液体を供給するための液体容器であって、
液体を収容する液体収容部と、
外部から前記液体容器に空気を取り込むための吸気口と、
前記吸気口から前記液体収容部に前記空気を流通させる流路と、
前記流路に設けられる差圧弁と、を備え、
前記差圧弁は、
前記流路の一部を構成する第1室と、
前記第1室よりも下流側の前記流路に連通している第2室と、
前記第1室と前記第2室の間に配され、少なくとも一部が弾性材料で設けられる可動膜であって、前記第1室内の前記空気の圧力と前記第2室内の前記空気の圧力との差に応じて弾性変形することにより前記流路を開閉する可動膜と、を備え、
前記可動膜のうち、前記流路を構成する他の部材と接触する部分の少なくとも一部は、前記弾性材料を構成する成分の少なくとも一部を含む材料であって、前記成分のうち軟化剤として作用する成分の割合が前記弾性材料よりも少ない材料である接触用材料で構成されている、液体容器。
上記の態様によれば、吸気口から液体収容部に空気を流通させる流路に設けられる差圧弁において、寸法に対する相対的な変形量が大きく、かつ、他の部材に粘着しにくい弁部材としての可動膜を提供することができる。
しかも、上記の態様においては、弾性材料と接触用材料とは構成成分の少なくとも一部を共有する。このため、可動膜の各部を類似の素材で構成することができる。
[適用例12]
適用例11の液体容器であって、
前記第1室は、前記差圧弁に流入する空気を受け入れる第1流入口と、前記流入した前記空気を送出する第1流出口と、を備え、
前記第2室は、前記第1室から送出された前記空気を受け入れる第2流入口と、前記第2流入口から流入した前記空気を送出する第2流出口と、を備え、
前記可動膜は、
前記第1流出口の外周部と接触して前記第1流出口を塞ぐことができる変位部と、
少なくとも一部が前記弾性材料で設けられ、前記第1室と前記第2室の間において前記変位部を支持する変形部であって、前記第1室内の前記空気の圧力と前記第2室内の前記空気の圧力との差に応じて変形することによって、前記変位部を前記外周部に接触させ、または前記外周部から離れさせる変形部と、を備え、
前記変位部のうち、前記他の部材としての前記外周部と接触する外周接触部の少なくとも一部が、前記接触用材料で設けられている、液体容器。
このような態様とすれば、変形部を構成する弾性素材と同じ素材で外周接触部が構成されている態様に比べて、第1流出口の外周部から変位部が離れる際に、両者の粘着によって変位部の変位が阻害されにくい。よって、第1室内の液体の圧力と第2室内の液体の圧力との差を正確に反映して、第1流出口の開閉を行うことができる。
なお、上記適用例3〜10は、上記適用例11,12と組み合わせることも可能である。
なお、本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)液体容器、液体供給装置、液体供給方法。
(2)流量制御装置、流量制御方法。
(3)インク収容器、インク供給装置。
(4)液体消費装置、インクジェットプリンター。
第1実施例のインクカートリッジ100を第2側面SS2、上面TSおよび後面RSの側から見たときの分解斜視図。 第1実施例のインクカートリッジ100を第1側面SS1、底面BSおよび前面FSの側から見たときの分解斜視図。 容器本体110を第2側面SS2側から見たときの側面図。 容器本体110を第1側面SS1側から見たときの側面図。 インクカートリッジ100がインクジェットプリンターのカートリッジ装着部200に取り付けられた状態を示す図。 インクカートリッジ100内における大気解放孔130aから供給孔120aに至る経路を概念的に示す図。 弁アセンブリ600bに含まれる膜弁500の構成を示す斜視図。 膜弁500の構成を示す平面図および断面図。 バネ座部材300を示す説明図。 弁アセンブリ600bの分解斜視図。 バルブ部180の側面図。 図11(B)に2点鎖線で示すバルブ部180のE1−E1断面の一部を示す断面図。 閉弁状態にあるバルブ部180の概略断面図。 開弁状態にあるバルブ部180の概略断面図。 本実施例の膜弁500、バルブ部180、及びインクカートリッジ100を製造する工程を示すフローチャート。 図15のステップS122において、変位部550の円柱C1の端を加圧する際の手順を示す図。 図15のステップS122において、変位部550の中央部S11を加圧する際の手順を示す図。 第1実施例において行われる図12の処理のうち、ステップS120に代わって行われるステップS120bを示すフローチャート。 第2実施例における膜弁500bの変位部550b近傍の断面図。
以下、本発明の実施例を説明する。実施例の説明において、「高低」および「上下」は重力方向を基準にして述べる。「上面」、「底面」、「前」、「後」、「左」、「右」は、液体消費装置としてのインクジェットプリンターに液体容器としてのインクカートリッジを搭載した状態を基準にしている。その際、インクジェットプリンターは、定められた使用の際の正規の姿勢で置かれているものとする。
また、上記の状態を基準として、略直方体である液体容器としてのインクカートリッジの構成において、第1〜第6の面を以下のように定める。重力方向下側の面を「第1の面」とする。第1の面と対向する面(重力方向上側の面)を「第2の面」とする。第1および第2の面と交わり互いに対向する広い面を「第3の面」および「第4の面」とする。第1ないし第4の面と交わり、互いに対向し、第3および第4の面よりも狭い面を「第5の面」および「第6の面」とする。また、実施例においては、第1の面を「底面BS」、第2の面を「上面TS」、第3の面を「第1側面SS1」、第4の面を「第2側面SS2」、第5の面を「前面FS」、第6の面を「後面RS」と呼ぶことがある。
A.第1実施例:
A1.インクカートリッジの概略構成:
図1は、第1実施例のインクカートリッジ100を第2側面SS2、上面TSおよび後面RSの側から見たときの分解斜視図である。図2は、第1実施例のインクカートリッジ100を第1側面SS1、底面BSおよび前面FSの側から見たときの分解斜視図である。
図1、図2中に示すX軸、Y軸、Z軸は互いに直交している。X軸の正方向は、インクカートリッジ100の前面FSから後面RSに向かう方向である。Y軸の正方向は、インクカートリッジ100の第1側面SS1から第2側面SS2に向かう方向である。Z軸の正方向は、インクカートリッジ100の底面BSから上面TSに向かう方向である。Z軸の負方向は重力方向と一致する。本明細書において、X軸に平行な方向を「前後方向」、Y軸に平行な方向を「左右方向」、Z軸に平行な方向を「上下方向」と呼ぶことがある。
図1および図2に示すように、本実施例のインクカートリッジ100は、容器本体110と、容器本体110を左右方向から挟む第1側面フィルム101および第2側面フィルム102と、第2側面フィルム102の外側から容器本体110に装着される蓋部材20と、インクカートリッジ100の底面BS側に貼付される封止フィルム54、90、98とを有している。容器本体110は、たとえば、プロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂で形成される。
図2に示すように、容器本体110の底面BSには、液体消費装置としてのインクジェットプリンターにインクを供給するための供給孔120aを有するインク供給部120が設けられている。また、容器本体110の底面BSには、インクカートリッジ100の内部に大気を導入するための大気解放孔130aが設けられている。さらに、容器本体110の底面BSには、減圧孔130bが設けられている。減圧孔130bは、インクカートリッジ100の製造工程において、インクカートリッジ100内から空気を吸い出すために用いられる穴である。減圧孔130bを介した空気の吸引により、インクカートリッジ100内部は減圧され、その後、インクカートリッジ100内にインクが注入される。これらインク供給部120、大気解放孔130a、および減圧孔130bは、封止フィルム54、90、98によって、それぞれ封止されている。
図2に示すように、容器本体110の前面FSには、係合レバー11が設けられている。係合レバー11には、突起11aが形成されている。インクカートリッジ100の前面FSであって係合レバー11の下方の位置には、回路基板13が設けられている。回路基板13上には、複数の電極端子が形成されている。これらの電極端子は、インクカートリッジ100がインクジェットプリンターに装着されたときに、装置側の電極端子を介して、インクジェットプリンターと電気的に接続される。
図1および図2に示すように、容器本体110の両側面には、様々な形状のリブ111が形成されている。側面フィルム101、102は、容器本体110の両側面の全体を覆うように、容器本体110に貼り付けられている。リブ111の端面と側面フィルム101、102との間に隙間が生じないように、側面フィルム101、102はリブ111の端面に緻密に貼り付けられている。これらのリブ111と側面フィルム101、102により、インクカートリッジ100の内部には、複数の小部屋、例えば、後述するインク収容室、バッファ室や、インク流路が形成される。
図2に示すように、容器本体110の第1側面SS1には、弁収容室600aが形成されている。弁収容室600aは、容器本体110の第1側面SS1において、第2の側面に向かう向きに凹んだ凹部である。弁収容室600aには、弁アセンブリ600bが、嵌め込まれる。弁アセンブリ600bは、バネ座部材300とコイルバネ400と膜弁500とを含む(図1および図2参照)。弁収容室600aと弁アセンブリ600bとは、後述するバルブ部180を構成する。
図3は、容器本体110を第2側面SS2側から見たときの側面図である。図4は、容器本体110を第1側面SS1側から見たときの側面図である。図4に示すように、弁収容室600aの底壁(Y軸正方向に位置する壁。以下「弁壁600aw」とも呼ぶ)の中央近辺には、開口452、453が設けられている。図3に示すように、これらの開口452、453は、容器本体110の第2側面SS2側に形成された流路450、460と、それぞれ連通している(図1も参照)。これら開口452、453、ならびに流路450、460については、後に詳しく説明する。
図5は、インクカートリッジ100がインクジェットプリンターのカートリッジ装着部200に取り付けられた状態を示す図である。この状態において、大気解放孔130a(図2参照)は、インクジェットプリンターのカートリッジ装着部200に形成された突起230を受け入れている。インクカートリッジ100の大気解放孔130aは、突起230を受け入れた状態で、突起230との間に所定の隙間が生じるような、深さと径で設けられている。
一方、係合レバー11の突起11a(図2参照)は、図5に示すように、カートリッジ装着部200への装着時にカートリッジ装着部200に形成された凹部210と係合する。その結果、インクカートリッジ100はカートリッジ装着部200に対して固定される。
インクジェットプリンターの印刷時には、カートリッジ装着部200は、印刷ヘッド(図示省略)と一体になって、印刷媒体の紙巾方向に往復移動する。この動作を「主走査」と呼ぶ。主走査の方向を、図5において矢印AR1で示す。インクカートリッジ100は、図5に示すように、Z軸の正方向が鉛直上方となるような姿勢で使用される。
A2.インクカートリッジの内部構造:
図6は、インクカートリッジ100内における大気解放孔130aから供給孔120a(いずれも図2参照)に至る経路を概念的に示す図である。上述した容器本体110およびバネ座部材300、フィルム101,102等によって区画形成されるインクの経路について説明する。インク経路は、図6に示すように、上流から順に、蛇行路130と、インク収容室140と、中間流路150と、バッファ室160と、バルブ上流路170と、バルブ部180と、バルブ下流路190と、インク供給部120とを含んでいる。
蛇行路130の上流端は、大気解放孔130a(図2参照)と連通している。蛇行路130の下流端は、図示しない気液分離膜を介してインク収容室140の上流側に連通している。気液分離膜は、気体の透過を許容すると共に、液体の透過を許容しない素材で構成されている。インク収容室140の下流側は、中間流路150の上流端に連通している。
中間流路150の下流端は、バッファ室160の上流側に連通している。バッファ室160の下流側は、バルブ上流路170の上流端に連通している。バルブ上流路170の下流端は、バルブ部180の上流側に連通している。バルブ部180の下流側は、バルブ下流路190の上流端に連通している。バルブ下流路190の下流端は、インク供給部120に連通している。
インク供給部120の供給孔120aには、インクカートリッジ100がインクジェットプリンターに装着されたときに(図5参照)、カートリッジ装着部200に備えられたインク供給針240が挿入される。インクカートリッジ100内のインクは、インク供給針240を介してインクジェットプリンターによる印刷のために供給される。
中間流路150には、センサー部105が配置されている。このセンサー部105は、回路基板13の裏側の空間に配置されている(図2参照)。インクは、インクカートリッジ100の製造時には、インク収容室140まで充填されている。このときの液面を、図6において、破線ML1で概念的に示す。
インクカートリッジ100の内部のインクがインクジェットプリンターによって消費されると、液面は下流側に移動し、その代わりに大気解放孔130aを介して上流から大気がインクカートリッジ100の内部に流入する。そして、インクの消費が進むと、液面がセンサー部105にまで到達し、さらにインクの消費が進むとセンサー部105よりも下流側に到達する。このときの液面を、図6において、破線ML2で概念的に示す。
インクの液面がセンサー部105よりも下流側に到達すると、センサー部105のキャビティに大気が導入され、キャビティを含む系の固有振動数が変化する。センサー部105の圧電素子によって系の振動特性の変化が検知されることにより、インク切れが検出される。センサー部105によりインク切れが検出されると、センサー部105より下流側(バッファ室160等)に存在するインクが完全に消費されるよりも前の段階で、印刷が停止され、ユーザにインク切れが通知される。
図7は、弁アセンブリ600bに含まれる膜弁500(図2参照)の構成を示す斜視図である。膜弁500は、その本体を、弾性を有する樹脂性のエラストマーで形成されている。膜弁500に用いられているエラストマーは、容器本体110を形成する樹脂よりもヤング率が低い。
本実施例の膜弁500の本体を構成する素材は、ポリマーと軟化剤とを含む構成である。ポリマーとしては、熱可塑性エラストマーの成分として用いられるポリマーの中から任意のものを複数あるいは単独で用いることができる。具体的には、例えばスチレン系,オレフィン系,ウレタン系,エステル系等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。なお、ポリマーとしては、たとえば、特開2000−978号公報にポリマーとして挙げられたものを使用することができる。
軟化剤としては、例えば、従来プラスチックやゴムの軟化剤として使用されている鉱物油系,植物油系,合成系などの各種軟化剤の中から、任意のものを複数あるいは単独で用いることができる。なお、軟化剤としては、たとえば、特開2000−978号公報に軟化剤として挙げられたものを使用することができる。
膜弁500は、図7に示すように、変位部550と、膜状部510と、シール部520と、第1の装着部560と、第2の装着部570と、を有している。膜弁500の表面のうち、図7(A)において主として示されている側の面を、膜弁500の「第1の面MS1」と呼ぶ。一方、膜弁500の表面のうち、図7(B)において主として示されている側の面を、膜弁500の「第2の面MS2」と呼ぶ。
膜弁500の中央には、異なる径を有する二つの円柱C1,C2が軸方向に組み合わされた略柱状の変位部550が設けられている。変位部550の第1の面MS1側の円柱C1は、第2の面MS2側の円柱C2よりも直径が大きい。変位部550の第2の面MS2側の円柱C2の上端の角の部分には、テーパが設けられている。変位部550の第1の面MS1側の円柱C1の周りには、フランジ状に膜状部510が設けられている。そして、膜状部510の回りに、膜状部510より厚いシール部520が円形のつば状に設けられている。さらに、シール部520の両側に、一対の装着部である第1の装着部560および第2の装着部570が設けられている。
第1の装着部560には、第1の組み付け穴530が形成されている。第2の装着部570には、第2の組み付け穴540が形成されている。これらの組み付け穴530、540が、バネ座部材300の二つの凸部330,340(図1参照)に嵌合することにより、膜弁500は、バネ座部材300に対する位置を固定される。
図8は、膜弁500の構成を示す平面図および断面図である。図8(A)は、膜弁500を第1の面MS1側(図7(A)参照)から見た正面図である。図8(B)は、図8(A)のA−A断面を示す図である。
略円柱形状を有する変位部550の第1の面MS1側の部分S1(以下、「上面S1」と呼ぶ)の中央は、周りの部分に比べて凹んでいる。すなわち、変位部550の上面S1は、中央に、膜状部510よりも第2の面MS2寄りの位置に設けられる円形の平面S11(以下「中央部S11」と呼ぶ)を有する。そして、変位部550の上面S1は、中央部S11の外周に、第1の面MS1から第2の面MS2に向かう方向(図8(B)の左右方向)について、膜状部510と同じ位置に設けられる平面である外縁部S13を有する。さらに、変位部550の上面S1は、第1の面MS1から第2の面MS2に向かう方向(図8(B)の左右方向)について、異なる高さの位置に設けられる中央部S11と外縁部S13とを結ぶスロープである傾斜部S12を有する。すなわち、第1の面MS1側を上にして膜弁500を置いたとき、膜状部510の上面と変位部550(外縁部S13と傾斜部S12)の上面S1の高さは、中央部S11に近づくにつれて単調減少する。
なお、「高さが中央部S11に近づくにつれて単調減少する」とは、中央部S11に近づくにつれて高さが低くなる部分と、中央部S11に近づいても高さが変わらない(高さが一定である)部分と、を含み得る意味を表す。すなわち、傾斜部S12の表面においては、第1の面MS1側を上にして膜弁500を置いた場合の高さが、中央部S11に近づくにつれて低くなる。一方、外縁部S13の表面においては、中央部S11からの距離が異なる地点においても、高さは同じである。これら傾斜部S12の表面と外縁部S13の表面の両方を含む形状について、本明細書では「高さが(中央部S11に近づくにつれて)単調減少する」と記述する。
膜状部510の厚みは、図8(B)に示すように、他の部分の厚みと比較して薄い。このため、膜状部510は容易に弾性変形する。膜状部510の第1の面MS1側の部分、すなわち、図8(A)において、シングルハッチングされた領域は、バルブ上流路170(図6参照)を流れるインクの液圧を受ける上流側圧受け領域である。膜状部510の、上流側圧受け領域の反対側の部分、すなわち、第2の面MS2側の部分は、バルブ下流路190(図6参照)を流れるインクの液圧を受ける下流側圧受け領域である。
膜弁500の第1の面MS1のうち、変位部550の中央部S11の表層部分(たとえば、表面から深さ約0.1mmまでの部分)については、エラストマーの各成分のうち軟化剤(本実施例においてはパラフィン系オイル)が一部除去されている。その結果、中央部S11の表層部分は、エラストマーの各成分のうち軟化剤が、他の箇所(軟化剤を低減する処理が行われていない箇所。たとえば、変形部としての膜状部510)よりも少ない素材で構成されている。以下、エラストマーの各成分のうちの軟化剤の割合が、変形部としての膜状部510のエラストマーよりも少ない素材を「接触用材料」と呼ぶ。そして、接触用材料で構成されている箇所を接触層Dgと呼ぶ。接触層Dgは、膜弁500の他の部分(たとえば、膜状部510)を構成するエラストマーの表面に比べて、タック性(他の部材への粘着のしやすさを表す指標)が低く、ヤング率が高い。
膜弁500の第1の面MS1のうち、変位部550の中央部S11は、後述する中継流路の上流端を構成する尖端形状部が当接する。
また、膜弁500の第2の面MS2のうち、変位部550の円柱C1の端面S2の表層部分(たとえば、表面から深さ約0.1mmまでの部分)も、エラストマーの成分のうち軟化剤が一部除去されている。すなわち、端面S2の表層部分も、接触用材料で構成された接触層Dgが設けられている。その結果、変位部550の円柱C1の端面S2も、膜弁500の他の部分(たとえば、膜状部510)を構成するエラストマーの表面に比べて、タック性が低く、ヤング率が高い。このため、バネ座部材300に膜弁500を装着する際に、コイルバネ400の上端と膜弁500とが、端面S2の面内の方向について、意図しない相対位置で粘着してしまいにくい。
なお、変位部550の円柱C1の端面S2は、凹状の断面を有する。その結果、変位部550の円柱C2の基部を囲んで、円柱C1の端面S2に溝状の凹部が設けられている。この凹状の端面S2には、コイルバネ400の端面、すなわち、コイルバネ400の一端において環状に巻かれているコイルが当接する(図1および図2参照)。このため、端面S2が平らに設けられている態様に比べて、コイルバネ400は、より安定して適正な位置に配される。
すなわち、変位部550の円柱C1の端面S2が上記のように構成されているため、インクカートリッジ100が製造される際には、コイルバネ400は、適正な位置に配されることとなる。また、インクカートリッジ100が使用される間には、コイルバネ400の上端部は、膜弁500に対して微妙に位置をずらしつつ、最も安定する位置および姿勢でバネ座部材300内に保持されることとなる。
膜弁500の第1の面MS1のうち、シール部520の表面、第1の装着部560の表面、第2の装着部570の表面には、厚さ0.1mmのエポキシ樹脂の膜Reが設けられている。このエポキシ樹脂は、膜弁500の本体を構成するエラストマーに比べて、タック性(他の部材への粘着のしやすさを表す指標)が低く、ヤング率が高い。本実施例では、エポキシ樹脂の一例として、セメダイン株式会社の「ハイスーパー5」を使用する。以下、他の部位に設けるエポキシ樹脂の膜についても同様である。セメダイン株式会社の「ハイスーパー5」は、2液性のエポキシ樹脂である。セメダイン株式会社の「ハイスーパー5」は、比較的安価であり流通量が多いため、入手が容易である。
シール部520、第1の装着部560、および第2の装着部570の第1の面MS1側の表面には、容器本体110の弁壁600awが当接する(図2および図4参照)。
膜弁500の第2の面MS2のうち、シール部520の表面、第1の装着部560の表面、第2の装着部570の表面にも、厚さ0.1mmのエポキシ樹脂の膜Reが設けられている。シール部520、第1の装着部560、および第2の装着部570の第2の面MS2側の表面には、バネ座部材300が当接する(図1および図2参照)。
膜弁500の第1の組み付け穴530および第2の組み付け穴540の内面にも、エポキシ樹脂の膜Reが設けられている。第1の組み付け穴530および第2の組み付け穴540には、後述するバネ座部材300の二つの軸330,340が、それぞれ挿入される(図1参照)。その結果、第1の組み付け穴530および第2の装着部570の内面には、軸330,340の側面が当接する。
なお、各部のエポキシ樹脂の膜Reは、エポキシ樹脂を各部に塗布することにより、形成される。塗布によって膜Reを構成することにより、膜弁500のような複雑な形状の物体の表面に、容易に膜Reを構成することができる。また、エポキシ樹脂を採用することにより、短時間で膜弁500の表面に膜Reを構成することができる。たとえば、膜弁500の表面に0.1mmの厚さの膜Reを構成するのには、膜弁500の表面に、硬化後、0.1mmの厚さとなる量のエポキシ樹脂を塗布した後、室温環境下で5分以上、置けばよい。
図9は、バネ座部材300を示す説明図である。図9(A)は、バネ座部材300を、膜弁500が組み付けられる側から見た状態を表す斜視図である(図1参照)。図9(B)は、バネ座部材300を、膜弁500が組み付けられる側とは逆の側から見た状態を表す斜視図である(図2参照)。図9(C)は、バネ座部材300を、膜弁500が組み付けられる側から見た正面図である。
バネ座部材300は、略ひし形の断面形状を有する略柱状の部材である。略柱状の形状の一端の面である第1面300uには、図9(A)に示すように、柱の軸方向(図9(C)において紙面に垂直かつ手前側の方向)に突出する軸330,340が設けられている。バネ座部材300の第1面300uには、膜弁500の第2の面MS2が第1面300uと向かい合うように、膜弁500が装着される(図1および図2参照)。膜弁500がバネ座部材300の第1面300uに装着される際に、膜弁500の第1の組み付け穴530および第2の組み付け穴540には、軸330,340が、それぞれ挿入される(図1および図8参照)。
図9(C)に示すバネ座部材300の第1面300uには、さらに、凹部である下流バルブ室182とバネ収容室184とが形成されている(図9(A)および図9(C)参照)。バネ収容室184は、バネ座部材300の中央に柱の軸の方向に沿って設けられた略円柱状の凹部である。下流バルブ室182は、略円柱状のバネ収容室184と中心軸を同じくする略円錐台状の凹部である。下流バルブ室182は、バネ収容室184に対して第1面300u側に設けられている。下流バルブ室182の円錐台の側面は、円錐台の中心に近づくほど深くなるように傾斜しており、下端において略円柱状のバネ収容室184の側壁と接続している。第1面300uにおける下流バルブ室182の円形の開口は、円形に配された凸部であるリブ310に囲まれている。
図9(C)に示すように、バネ収容室184の底には、流入孔184iが形成されている。一方、バネ収容室184には、流出孔184oが形成されている。流出孔184oは、略円柱状のバネ収容室184の側壁に、円柱の軸方向に沿って設けられた溝部(図9(A)、図9(C)参照)の端に設けられた穴である。
略柱状のバネ座部材300の他方の端面である第2面300dには、図9(B)に示すように、流入路300iと流出路300oとが形成されている。流入路300iは、略柱状のバネ座部材300の側面および底面に開口しており、バネ収容室184の底面の流入孔184i(図9(C)参照)と接続している。流出路300oは、流入路300iとは逆の側のバネ座部材300の側面、およびバネ座部材300の底面に開口しており、バネ収容室184の流出孔184o(図9(C)参照)と接続している。このように、バネ座部材300の内部にインクの流路300i、300oが形成されている。
図10は、弁アセンブリ600b(図1および図2参照)の分解斜視図である。バネ座部材300のバネ収容室184には、コイルバネ400が挿入される。そして、コイルバネ400の上から、バネ座部材300の第1面300uに、膜弁500が装着される。その際、膜弁500の第2の面MS2側の円柱C2は、コイルバネ400内に挿入される(図2、図7(B)および図8(B)参照)。また、膜弁500の第1の組み付け穴530、第2の組み付け540には、バネ座部材300の軸330,340が、それぞれ、挿入される。
図8(B)を使用して説明したように、膜弁500の第2の面MS2(図10において下側の面)のうち、シール部520の表面、第1の装着部560の表面、および第2の装着部570の表面には、エポキシ樹脂の膜Reが設けられている。このため、バネ座部材300に膜弁500を装着する際に、バネ座部材300の第1面300uと膜弁500とが、膜弁500の第2の面MS2内の方向またはバネ座部材300の第1面300u内の方向について、意図しない相対位置で粘着してしまいにくい。このため、相対位置の微妙な調整をしつつ、膜弁500をバネ座部材300に装着することができる。よって、膜弁500をバネ座部材300上の正しい位置に正確に装着することができる。
また、同様に、図8(B)を使用して説明したように、膜弁500の第1の組み付け穴530および第2の組み付け穴540の内面にも、エポキシ樹脂の膜Reが設けられている。このため、バネ座部材300に膜弁500を装着する際に、バネ座部材300の軸330,340の側面の意図しない位置に、第1の組み付け穴530および第2の組み付け穴540の内面が粘着してしまいにくい。よって、膜弁500をバネ座部材300上の正しい位置に容易に装着することができる。
図2に示すように、弁アセンブリ600bは、弁収容室600aに嵌め込まれる。その際、弁アセンブリ600bは、バネ座部材300の第1面300uが、弁収容室600aの弁壁600awに向かい合う向きに配される。すなわち、バネ座部材300に装着された膜弁500の第1の面MS1が、弁収容室600aの弁壁600awに向かい合う向きに、弁アセンブリ600bは配される。
図8(B)を使用して説明したように、膜弁500の第1の面MS1のうち、シール部520の表面、第1の装着部560の表面、第2の装着部570の表面には、エポキシ樹脂の膜Reが設けられている。また、変位部550の中央部S11には、接触層Dgが設けられている。このため、容器本体110の弁収容室600aに弁アセンブリ600bを装着する際に、容器本体110の弁壁600awと膜弁500とが意図しない相対位置で粘着してしまいにくい。よって、相対位置の微妙な調整をしつつ、膜弁500を容器本体110の弁壁600awに装着することができる。その結果、膜弁500を弁壁600aw上の正しい位置に正確に装着することができる。
膜弁500の表面各部に膜状部510等を構成するエラストマーと同じ成分を有するエラストマーが露出している態様においては、膜弁500と他の部材とを組み付ける際に、他の部材が膜弁500の意図しない位置に粘着してしまうことがある。そのような場合には、膜弁500と他の部材との組み付けが正確に行われず、その結果として、それらの部材で構成されたバルブ部180が正確に動作しなくなる。たとえば、正しい位置からずれた位置に膜弁500が組み込まれた場合には、正しい方向に変形および変位しなくなり、本来の圧力差のしきい値において弁が開閉しなくなるおそれがある。
また、他の部材が膜弁500の意図しない位置に粘着してしまった場合には、いったん粘着した膜弁を引きはがして再度、他の部材に対して膜弁の位置決めを行うこともできる。しかし、そのような場合にも、他の部材から膜弁を引きはがす際に加えた力により、膜弁に残留変形が生じてしまい、膜弁が正しく機能しなくなるおそれもある。
しかし、本実施例においては、膜弁500は、組み付けの際に他の部材と接触する部分(シール部520の表面、第1の装着部560の表面、および第2の装着部570の表面、変位部550の円柱C1の端面S2など)に、膜状部510等を構成するエラストマーよりも他の部材に粘着しにくい接触層Dgやエポキシ樹脂の層が設けられている。よって、本実施例の膜弁500は、他の部材に対して正確に組み付けられることができ、かつ、他の部材を正確に組み付けられることができる。また、引きはがしおよび再組み付けに起因する膜弁の動作不良も生じにくい。さらには、仮に正しい位置からずれた位置に膜弁500装着された場合にも、バネ400の付勢力によって、バネ座部材300および弁収容室600aの形状と、膜弁500の形状とがよりよく一致するように、位置ズレが矯正される可能性もある。また、それらの効果により、個々のインクカートリッジ100の製造の際のばらつきが少なくなる。
図4に示すように、弁壁600awには、2つの凹部630、640が設けられている。凹部630、640は、バネ座部材300の軸330,340(図10参照)の先端を挿入するための凹部である。弁アセンブリ600bが弁収容室600aに嵌め込まれた状態において、軸330の先端は凹部630内にあり、軸340の先端は凹部640内にある。このような態様とすることにより、弁アセンブリ600bを容器本体110に組み付ける際の、軸330,340の位置ずれの可能性、すなわちバネ座部材300の位置ずれの可能性を低減することができる。膜弁500は、そのように位置決めされたバネ座部材300の第1面300uと、弁収容室600aの弁壁600awとに、挟まれる。
図11は、バルブ部180の側面図である。図11(A)は、弁アセンブリ600bの装着前の状態における、バルブ部180の拡大図である(図2および図4参照)。図11(B)は、弁アセンブリ600bの装着後の状態のバルブ部180の拡大図である。図11(A)に示すように、容器本体110の弁壁600awの中央には、尖端形状部115によって囲まれた開口453が設けられている。また、開口453を挟んで対称の位置に、2つの凹部630、640が設けられている。前述のように、弁アセンブリ600bが弁収容室600aに嵌め込まれた状態において(図11(B)参照)、バネ座部材300の軸330の先端は凹部630内に挿入されており、軸340の先端は凹部640内に挿入されている。
図11(A),(B)の左側に示す第1流路462は、容器本体110の側面SS1,SS2と直交する向きの流路であり、容器本体110の第1側面SS1と第2側面SS2とを連通している(図2も参照)。図2に示すように、この第1流路462は、弁収容室600aの内壁に形成された溝を含んでいる。図11(B)に示すように、バネ座部材300の流入路300iは、第1流路462と、バネ収容室184の流入孔184iとを連通する(図9(B)も参照)。
一方、図11(A),(B)の右側に示す第2流路464は、弁収容室600aの内壁から、容器本体110の第1側面SS1と平行に延びる流路である(図2も参照)。第2流路464は、一端においてインク供給部120と連通している(図4参照)。また、第2流路464の他端は、図11(B)に示すように、バネ座部材300の流出路300oと連通する(図9(B)も参照)。
図12は、図11(B)に2点鎖線で示すバルブ部180のE1−E1断面の一部を示す断面図である。図11(A),(B)に示すように、E1−E1断面は、開口453の中心軸(図12中の軸AXEと同じ)を通り、開口452(図11(A)参照)と流出孔184o(図11(B)参照)とを通らない断面である。このため、たとえば、膜弁500のうち、第1の装着部560と第2の装着部570の断面は、図12に現れていない(図8(B)参照)。なお、図12において、膜弁500に設けられた接触層Dgおよびエポキシ樹脂の膜Reを、それぞれ図8と同じハッチで示す。
図12は、バルブ上流路170と、バルブ下流路190との間が膜弁500によって遮断された状態(非連通状態、閉弁状態)を示している。バルブ部180には、上流バルブ室181と下流バルブ室182とバネ収容室184とが形成されている。上流バルブ室181は略円盤状の形状を有する。ただし、円盤形状の中央には、円形の尖端形状部115に囲まれた開口453が存在する。下流バルブ室182は、前述のように、略円錐台状の形状を有する(図9(A)、図10参照)。バネ収容室184は、略円柱状の形状を有する(同)。上流バルブ室181と下流バルブ室182とバネ収容室184とは、その順に並んで配される。上流バルブ室181と下流バルブ室182とバネ収容室184とは、中心軸AXEを共有する。
上流バルブ室181には、略円形の開口453を介して、後述する中継流路185の一端が接続される。バネ収容室184には、略円形の流入孔184iを介して、その中継流路185の他端が接続される。バネ収容室184は、上流バルブ室181から送出されたインクを、中継流路185および流入孔184iを介して受け取る。開口453、上流バルブ室181、下流バルブ室182、バネ収容室184、流入孔184iは、中心軸AXEを共有する。なお、中継流路185は、図2および図11(B)に示す第1流路462、ならびに図9(B)および図11(B)に示す流入路300iを一部に含む。
膜弁500のシール部520は、容器本体110のシール部分118とバネ座部材300との間に挟持され、流路内の位置を固定される。その際、シール部520は、エポキシ樹脂の膜Reを介して容器本体110のシール部分118と接触し、エポキシ樹脂の膜Reを介してバネ座部材300と接触する。バネ座部材300の第1面300uに配されたリブ310(図9(A)参照)がシール部520に押し付けられることにより、インクがシール部520の外側に漏れ出すことが抑制される。
膜弁500のシール部520ならびに第1の装着部560および第2の装着部570が、容器本体110とバネ座部材300との間に挟持されることにより、膜状部510の流路内の位置が固定される。その結果、変位部550は、上流バルブ室181と下流バルブ室182との間において膜状部510に支持されることになる。
上流バルブ室181は、容器本体110の一部である弁壁600awと膜弁500(特に膜状部510と変位部550)の第1の面MS1とによって区画形成されている。下流バルブ室182は、バネ座部材300と、膜弁500(特に膜状部510と変位部550)の第2の面MS2とによって区画されている。前述のように、円錐台形状を有する下流バルブ室182の円錐台の側面は、円錐台の中心に近づくほど深くなるように傾斜しており、下端において略円柱状のバネ収容室184の側壁と接続している。
バネ座部材300には、コイルバネ400の他端を支持するバネ支持部320Eが形成されている。バネ支持部320Eが、バネ収容室184の下端である流入孔184iを定める。バネ収容室184には、付勢部材としてのコイルバネ400が収容されている(図10も参照)。なお、バネ支持部320Eが設けられたバネ座部材300が容器本体110に嵌合され固定されていることから、バネ支持部320Eは、バルブ上流路170、上流バルブ室181、下流バルブ室182、バネ収容室184、バルブ下流路190等からなる流路内において固定されている。
コイルバネ400は、膜弁500の変位部550を、矢印Amで示す方向に沿って、容器本体110の尖端形状部115に向かう向きに付勢している。変位部550は、円柱C1の端面S2に設けられた接触層Dgを介してコイルバネ400と接触している。
図13は、閉弁状態にあるバルブ部180の概略断面図である。図14は、開弁状態にあるバルブ部180の別の概略断面図である。これらの断面図は、図11(A)におけるE2−E2断面と、図11(B)におけるE3−E3断面とを合成したものである。図13、図14において一点鎖線で区切った右下の領域が、E3−E3断面であり、残りの部分はE2−E2断面である。E2−E2断面は、図11(A)に示すように、第1流路462と、開口453の中心軸AXEと、開口452とを通る断面である。E3−E3断面は、図11(B)に示すように、図11の紙面に垂直な面の組み合わせである。E3−E3断面は、流入孔184iから流出孔184oに向かう平面と、流出孔184oから流出路300oを通って第2流路464へ至る平面とを含む。
なお、図13、図14の右側においては、上段でE2−E2断面における構造を示し、下段で、本来E2−E2断面における構造よりも寸法が長いはずのE3−E3断面における構造を示している。このため、図13、図14においては、E2−E2断面とE3−E3断面とで図の上下方向の構造を一致させるため、E3−E3断面については、中心軸AXEと垂直な方向の縮尺が調整されている。なお、図13,図14において、膜弁500に設けられた接触層Dgおよびエポキシ樹脂の膜Reを、図8と同じハッチで示す。
図13および図14に示すように、バルブ部180の上流バルブ室181は、弁壁600awの開口452を介して、バルブ上流路170としての流路450と接続されている。流路450は、他端においてバッファ室160と連通している(図6参照)。上流バルブ室181は、この弁壁600awの開口452を介して、バルブ部180外部(ここでは、バルブ上流路170およびバッファ室160)からインクを受け入れる。
また、バルブ部180の上流バルブ室181は、弁壁600awの開口453を介して、中継流路185としての流路460、第1流路462および流入路300iと接続され得る。中継流路185は、他端においてバネ収容室184の流入孔184iと連通している。したがって、上流バルブ室181は、開口453および中継流路185を介して、バネ収容室184およびバネ収容室184と連通する下流バルブ室182にインクを送出し得る。ただし、図13において、弁壁600awの中心の開口453は、変位部550の当接領域S11によって塞がれている。すなわち、図13の状態において、バルブ部180は閉弁状態にある。図14に示す開弁状態にあるとき、上流バルブ室181は、開口453および中継流路185を介して、バネ収容室184および下流バルブ室182にインクを送出し得る。
バルブ部180のバネ収容室184は、底部の流出孔184oを介して、バルブ下流路190としての流出路300oおよび第2流路464と接続されている。下流路190は、他端において、インク供給部120と連通している(図6参照)。バネ収容室184およびバネ収容室184と連通する下流バルブ室182は、流入孔184iから流入したインクを、下流路190およびインク供給部120に送出する。
図13、図14に示すように、バルブ上流路170は、膜弁500の一方の側にある上流バルブ室181と連通している。そして、バルブ下流路190は、バネ収容室184を介して、膜弁500の他方の側にある下流バルブ室182と連通している。すなわち、バルブ部180の上流バルブ室181と下流バルブ室182は、インク収容室140からインク供給部120に至る流路の一部を構成する(図6参照)。そして、バルブ部180の一部である膜弁500は、バルブ上流路170とバルブ下流路190との間に介在している。
バルブ下流路190の液圧は、流出孔184o、バネ収容室184および下流バルブ室182を介して、膜弁500の第2の面MS2にかかる。このバルブ下流路190の液圧とバネ400による付勢力とが、膜弁500を閉弁状態に維持しようとする力(閉弁力)となる(図13参照)。一方、バルブ上流路170の液圧は、開口452および上流バルブ室181を介して、膜弁500の第1の面MS1にかかる。このバルブ上流路170の液圧が膜弁500を開弁状態にしようとする力(開弁力)となる(図14参照)。これらの力の大小関係に応じて、変位部550は、図13、図14において矢印Amで示す方向に沿って変位する。その結果、バルブ部180は開閉される。
膜弁500は弾性変形しやすいエラストマーで形成されている。このため、膜弁がゴムで形成されている態様に比べて、バルブ部180は、開弁力と閉弁力の大きさの微妙な差を変位部550の位置に反映することができる。よって、バルブ部180は下流側の流路内の圧力を正確に制御することができる。また、膜弁がゴムで形成されている態様に比べて、膜弁500の大きさ(特に膜状部510の直径)に対して大きく変位することができる。よって、膜弁がゴムで形成されている態様に比べて、バルブ部180を小さく設けることができる。
A3.膜弁の動作:
図13に示す変位部550の位置は、閉弁力が開弁力よりも大きい場合における定常状態の変位部550の位置である。本明細書において、この位置を「基準位置P1」と呼ぶ。変位部550が基準位置P1にあるとき、バルブ部180は閉弁状態にある。なお、基準位置P1は、変位部550が矢印Amの方向に沿って移動しうる位置の範囲のうち、一端(図13において上端)の位置である。すなわち、基準位置P1は、容器本体110のうちバルブ上流路170の下流端部を規定する尖端形状部115に、変位部550が接して、コイルバネ400による変位を制限されている状態における、変位部550の位置である。
インクジェットプリンターによりインクが消費されると、インク供給部120からインクがインクジェットプリンターに供給される(図6参照)。すると、バルブ下流路190(流出路300o、第2流路464)内のインクの圧力が低下する。やがて、バネ収容室184と下流バルブ室182の負圧に起因する力と、バネ400による付勢力との和である膜弁500の閉弁力が、上流バルブ室181の圧力に起因する膜弁500の開弁力より小さくなる。すると、膜弁500の膜状部510が変形して、矢印Amの方向に沿って、変位部550が尖端形状部115から離れる向き(図12、図13において下方)に動く。その結果、図14に示すように、尖端形状部115と膜弁500の当接領域とが離れてそれらの間に隙間が形成され、上流バルブ室181、中継流路185、ならびに下流バルブ室182およびバネ収容室184とを介して、バルブ上流路170が、バルブ下流路190と連通した状態になる。すなわち、バルブ部180は、開弁状態となる。
変位部550が基準位置P1にあるとき(図13参照)、尖端形状部115は、変位部550の中央部S11に形成された接触層Dgを介して、変位部550と接触している。このため、エラストマーで構成される変位部550の本体が接触層Dgを有さずに、直接、尖端形状部115に接触している態様に比べて、尖端形状部115と変位部550とが粘着しにくい。よって、バルブ部180は、開弁力と閉弁力の大きさの微妙な差を変位部550の位置に反映することができる。
開弁状態においては、バルブ上流路170から中継流路185および下流バルブ室182にインクが流入する(図14の矢印Fi参照)。その結果、下流バルブ室182の液圧が上昇する。下流バルブ室182の液圧とバネ400による閉弁力が、上流バルブ室181の液圧による開弁力を上回ると、膜状部510は再び変形し、変位部550が、矢印Amの方向に沿って尖端形状部115に近づく向きに変位する。そして、図13に示すように、変位部550が尖端形状部115に接触して押圧された状態となると、中継流路185の上流端部(開口453)は閉じられ、バルブ上流路170とバルブ下流路190との連通は遮断される(図13参照)。すなわち、膜弁500は閉弁状態となる。
尖端形状部115に近づく向きの閉弁力には、コイルバネ400の付勢力が加わっている。このため、下流バルブ室182およびバルブ下流路190の液圧は、大気圧を受けているバルブ上流路170の液圧より低く維持される。すなわち、バルブ下流路190内部のインクの圧力は、常に大気圧より低い負圧に維持される。その結果、インクカートリッジ100のインク供給部120(図2参照)からのインク漏れを抑制することができる。すなわち、バルブ部180は、バルブ上流路170とバルブ下流路190の圧力差に応じて動作し、差圧弁として機能する。なお、本明細書において「差圧弁」とは、一次側と二次側圧力の差を、ある範囲内に保持する調整弁である。
A4.膜弁、バルブ部、及びインクカートリッジの製造方法:
図15は、本実施例の膜弁500、バルブ部180、及びインクカートリッジ100を製造する工程を示すフローチャートである。ステップS110では、まず、弾性部材としての前述のエラストマーで膜弁500のもととなる部材(処理前可動膜)を形成する。この部材は、膜弁500と略同様の形状を有する。また、この部材は、単一のエラストマーを材料として、射出成形により形成される。なお、以下では、膜弁500のもととなる部材の各部について、膜弁500のある部分(たとえば、中央部S11)に相当する部分については、その部材の段階でその部分が完成状態にあるか否かによらず、膜弁500のその部分の名称(たとえば、中央部S11)を用いて記述する。
ステップS120では、ステップS110で生成した部材のうち、変位部550の中央部S11および変位部550の円柱C1の端面S2の表層部分のエラストマーから軟化剤(本実施例においてはパラフィン系オイル)を除去する。その際、まず、ステップS122で、変位部550の中央部S11および変位部550の円柱C1の端面S2が加圧される。その際、変位部550の中央部S11および変位部550の円柱C1の端面S2の表層部に、接触層Dgが形成される。この加圧により、変位部550の中央部S11および変位部550の円柱C1の端面S2には、表層部分のエラストマー中に含まれていた軟化剤が染み出す。
その後、ステップS124で、膜弁500のもととなる部材を洗浄して、表面に染み出した軟化剤を除去する。ここでは、変位部550の中央部S11および変位部550の円柱C1の端面S2に、純水洗浄を施し、それらの表面の軟化剤を除去する。その後、さらにエタノールで洗浄を行って、表面の軟化剤を除去する。その結果、膜弁500が完成する。このような処理を行うことで、単一のエラストマーで一体成形された膜弁の表層部に、軟化剤成分の少ない接触層Dgを簡単に形成することができる。
また、上記の態様においては、加圧されていない部分については、軟化剤の溶出を少なくすることができる。このため、膜弁の一部について選択的に接触層Dgを生成する際に、他の部分の柔軟性に与える影響(たとえば、膜状部510の柔軟性の低下)を少なくしつつ、接触層Dgを生成することができる。
一方、ステップS130では、バネ座部材300、コイルバネ400、容器本体110など、インクカートリッジを構成する部材であって膜弁500以外の部材(図1および図2参照)を準備する。なお、ステップS130の処理は、ステップS110やステップS120の処理の前に行われてもよいし、後に行われてもよい。また、ステップS110やステップS120の処理と並行して行われてもよい。
その後、ステップS140では、ステップS120で生成された膜弁500、およびステップS130で別途用意されたバネ座部材300、コイルバネ400、容器本体110などの部材を組み合わせて、インクカートリッジ100を生成する。
図16は、図15のステップS122において、変位部550の円柱C1の端面S2を加圧する際の手順を示す図である。ステップS110で生成された部材500p0(図16の上段参照)を、プレス型PD1,PD2の間に挟んで矢印Cp1で示す方向に加圧する(図16の中段参照)。プレス型PD1は、板状の型であり、部材500p0の第1の面MS1の側に配される。プレス型PD2は、管状の部分を有する型であり、部材500p0の第2の面MS2の側に配される。
プレス型PD2の管の端面PD2tは、凸状に設けられており、変位部550の円柱C1の端面S2を押圧する。その結果、主としてプレス型PD2の管の端面PD2tとプレス型PD1の間の部分Pp1(図16において細かいハッチで示す)が加圧される。その後、図16の下段に示すように、プレス型PD1,PD2をとり除くと、変位部550の円柱C1の端面S2の表層には、軟化剤が一部除去された接触層Dgが形成される。除去された軟化剤は、端面S2の表面に染み出している(図示せず)。また、この段階で、変位部550の円柱C1の端面S2は、凹状に成型されている。この段階の部材を部材500p1と呼ぶ。
また、本明細書および図面では、技術の理解を容易にするため、接触層Dgは、明確な輪郭で囲まれた部分として示している(図8(B)および図16参照)。しかし、接触層Dgは、軟化剤の成分量が接触層Dg以外の部分と明確に異なる境界をその外周に有しているわけではない。ここでは、軟化剤の成分割合が所定値以下の部分を、便宜的に、明確な輪郭を付して接触層Dgとして示している。変位部550の中央部S11の表層に設けられる接触層Dgについても同様である。
図17は、図15のステップS122において、変位部550の中央部S11を加圧する際の手順を示す図である。図16の処理で生成された部材500p1(図17の上段参照)を、プレス型PD3,PD4の間に挟んで矢印Cp2で示す方向に押圧する(図16の中段参照)。プレス型PD4は、変位部550の円柱C1,C2を受け入れる凹部を有する板状の型であり、部材500p0の第2の面MS2の側に配される。プレス型PD3は、円柱状の部分を有する型であり、部材500p0の第1の面MS1の側に配される。
プレス型PD3の円柱の端面PD3tは、変位部550の中央部S11を押圧する。その結果、主としてプレス型PD3の端面PD3tとプレス型PD4の間の部分Pp2(図16において細かいハッチで示す)が加圧される。その後、図17の下段に示すように、プレス型PD3,PD4をとり除くと、変位部550の中央部S11の表層には、軟化剤が一部除去された接触層Dgが形成される。除去された軟化剤は、中央部S11の表面に染み出している(図示せず)。この後、ステップS124で染み出した軟化剤を洗浄されて、膜弁500は完成する。
なお、ステップS124の洗浄は、各プレス(図16および図17参照)の後にそれぞれ行ってもよいし、各プレスが終わった後に行ってもよい。
以上のような処理により、ほぼ均質なエラストマーで一体成型された部材の一部の表層に、軟化剤の成分割合が少ない接触層Dgを簡単に設けることができる。
なお、図16、図17に示す加圧により、変位部550の円柱C1の端面S2から第1の面MS1までの寸法は、小さくなる。このため、図15のステップS110では、変位部550の円柱C1の端面S2から第1の面MS1までの寸法が、完成状態の膜弁500における変位部550の円柱C1の端面S2から第1の面MS1までの寸法よりも大きい部材500p0を生成する(図16の上段参照)。
同様に、図16、図17に示す加圧により、変位部550の中央部S11から第2の面MS2までの寸法は、小さくなる。このため、図15のステップS110では、変位部550の中央部S11から第2の面MS2までの寸法が、完成状態の膜弁500の変位部550の中央部S11から第2の面MS2までの寸法よりも大きい部材500p0を生成する(図16の上段参照)。このように部材500p0を生成することにより、接触層Dgの生成後に適切な形状および大きさとなる膜弁500を生成することができる。
B.第2実施例:
B1.接触層の形成:
第2実施例は、接触層Dgの生成方法が第1実施例とは異なる。また、第2実施例においては、変位部550を構成する円柱C1の側面にも接触層Dgが形成される。第2実施例の他の点は、第1実施例と同じである。
図18は、第1実施例において行われる図12の処理のうち、ステップS120に代わって行われるステップS120bを示すフローチャートである。ステップS120b中のステップS127では、変位部550の中央部S11、変位部550の円柱C1の端面S2、および変位部550を構成する円柱C1の側面に、軟化剤(本実施例においてはパラフィン系オイル)を溶かすことができる溶剤が塗布される。この溶剤は、ジエチレングリコールジエチルエーテル、γ−ブチロラクトン、テトラエチレングリコールジメチルエーテルを含む。溶剤の塗布は、具体的には溶剤をしみこませたスタンプを、変位部550の中央部S11および変位部550の円柱C1の端面S2に押すことにより行われる。変位部550を構成する円柱C1の側面には、溶剤は刷毛により塗布される。
そして、溶剤を塗布した状態で、ステップS128において、60°Cの環境下で120時間だけ置く。その間、変位部550の中央部S11、変位部550の円柱C1の端面S2、および変位部550を構成する円柱C1の側面に塗布された溶剤に、各部の表層部分から軟化剤が溶け出す。そして、表層部分の軟化剤の成分割合が低下する。その結果、変位部550の中央部S11、変位部550の円柱C1の端面S2、および変位部550を構成する円柱C1の側面の表層に、接触層Dgが形成される。
その後、ステップS129で、膜弁500のもととなる部材を洗浄して、表面に染み出した軟化剤を除去する。ここでは、図15のステップS124と同様に、変位部550の中央部S11および変位部550の円柱C1の端面S2に、純水洗浄を施し、その後、さらにエタノールで洗浄する。その結果、膜弁500bが完成する。このような処理を行うことで、単一のエラストマーで一体成形された膜弁の表層部に、軟化剤成分の少ない接触層Dgを簡単に形成することができる。
図19は、第2実施例における膜弁500bの変位部550b近傍の断面図である。第2実施例においては、変位部550を構成する円柱C1の側面にも接触層Dgが形成されている。このため、バネ400と組み合わせてバルブ部180を構成する際に(図10および図12参照)、バネ400の内面が円柱C1の側面に粘着してしまうことがない。よって、意図しない位置にバネ400の先端が粘着した状態でバルブ部180が組み立てられる可能性が低い。また、円柱C1へのバネ400の粘着および引きはがしによって、円柱C1や膜弁500bの他の構成に塑性変形を生じさせてしまう可能性が低い。よって、各部材が正しい位置に組み合わせられ、かつ、正確に動作するバルブ部180を提供することができる。なお、コイルバネの「内面」とは、コイルバネの形状を管として把握したときの管の内面であり、螺旋を描くコイルにおいて螺旋の中心に向かう側の部分を意味する。
また、第2実施例においても、変位部550の円柱C1の端面S2および変位部550の中央部S11に接触層Dgが形成されている。このため、第1実施例と同様に、バネ400の位置を適正に保つことができ、バルブ部180の開閉を適正に行うことができる。
B2.接触層のタック性:
軟化剤を除去された接触層Dgのタック性を、膜弁500の本体を構成する、軟化剤を除去されていないエラストマーのタック性と比較した。本明細書において、タック性の評価は、株式会社レスカのタッキング試験機(Model:TAC-II)を使用して行うものとする。このタッキング試験機(Model:TAC-II)においては、以下のような試験が行われる。すなわち、試料の粘着面を上にして置き、上部からプローブを粘着面に押しつけ、引き剥がす力を検出する。この方法により、粘着物質の粘着性を評価することができる。
表層の軟化剤を除去された膜弁500t1と、本実施例の膜弁500の本体であって表層の軟化剤を除去されていない比較例の膜弁500t2と、について、中央部S11(図8(A),(B)参照)相当部分にプローブを押しつけて、タッキング試験を行った。なお、膜弁500t1については、60°Cに保った溶剤中に120時間浸漬し、その後、常温で純水洗浄し、さらにエタノールで洗浄し、常温下で12時間乾燥させたものを使用した。溶剤は、以下の表1に示す組成を有する。一方、膜弁500t2については、図15のステップS110で生成された部材500p0をそのまま使用した。
Figure 2011073258
試験の条件は以下のとおりである。
プローブを試験片に当接する際の速度:2.5mm/min
プローブの引きはがし速度:120mm/min
プローブを当接する際の保持荷重:14gf
プローブを当接する時間:1sec
試験結果は以下のとおりであった。「実験例1」が膜弁500t1についての測定結果であり、「実験例2」が膜弁500t2についての測定結果である。
Figure 2011073258
1回目から3回目のいずれの試験においても、膜弁500t1のタック性は、膜弁500t2のタック性よりも低かった。このことから、本実施例で形成される接触層Dgのタック性が、膜弁を構成することができるエラストマーよりも、低いことがわかる。
B3.表面の膜を構成する物質のタック性:
膜弁500の表面に配されたエポキシ樹脂のタック性を、膜弁500の本体を構成するエラストマーのタック性と比較した。
ステップS110で生成した部材500p0の中央部S11にエポキシ樹脂を配した膜弁500t3と、接触層Dgのタック性を評価する際に使用したのと同様に生成した膜弁500t2と、について、中央部S11(図8(A),(B)参照)相当部分にプローブを押しつけて、タッキング試験を行った。なお、膜弁500t3については、表面にエポキシ樹脂(セメダイン株式会社の「ハイスーパー5」)を0.1mmの厚さで塗布してから23°Cの環境下に24時間置いたサンプルを使用した。
試験の条件は以下のとおりである。
プローブを試験片に当接する際の速度:2.5mm/min
プローブの引きはがし速度:120mm/min
プローブを当接する際の保持荷重:14gf
プローブを当接する時間:1sec
試験結果は以下のとおりであった。「実験例3」が膜弁500t3についての測定結果であり、「実験例2」が膜弁500t2についての測定結果である。
Figure 2011073258
1回目から3回目のいずれの試験においても、膜弁500t3のタック性は、膜弁500t2のタック性よりも低かった。このことから、本実施例でシール部520、第1の装着部560、第2の装着部570等の表面に配するエポキシ樹脂層のタック性が、膜弁を構成することができるエラストマーよりも、低いことがわかる。
C.その他:
上記実施例において、中間流路150と、バッファ室160と、バルブ上流路170と、バルブ部180と、バルブ下流路190とが、「課題を解決するための手段」における「流路」に相当する。バルブ部180が「差圧弁」に相当する。上流バルブ室181が「第1室」に相当する。下流バルブ室182とバネ収容室184とが、「第2室」に相当する。膜弁500が「可動膜」に相当する。エラストマーが「弾性材料」に相当する。エラストマーに含まれるパラフィン系オイルが、「軟化剤として作用する成分」に相当する。接触層Dgを構成する接触用材料が「接触用材料」に相当する。
上記実施例において、開口452が、「課題を解決するための手段」における「第1流入口」に相当する。開口453が「第1流出口」に相当する。尖端形状部115が「第1流出口の外周部」に相当する。流入孔184iが「第2流入口」に相当する。流出孔184oが「第2流出口」に相当する。変位部550が「変位部」に相当する。膜状部510が「変形部」に相当する。中央部S11が「外周接触部」に相当する。コイルバネ400が「バネ」および「コイルバネ」に相当する。
上記実施例において、図15のステップS110が、「課題を解決するための手段」における工程(a)に相当する。ステップS120が、工程(b)に相当する。ステップS140が、工程(c)に相当する。バネ座部材300、コイルバネ400、容器本体110などの部材(図1および図2参照)が、「第1室と第2室の少なくとも一方を前記可動膜とともに形成すべき部材」に相当する。
上記実施例において、図15のステップS122が、適用例7における工程(b1)に相当する。ステップS124が、適用例7における工程(b2)に相当する。変位部550の円柱C1の端面S2の凹部が、コイルバネのコイルを受け入れる凹部に相当する。図18のステップS127が、適用例10における工程(b1)に相当する。ステップS129が、適用例10における工程(b2)に相当する。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
上記第1実施例においては、まず変位部550の円柱C1の端面S2のプレスが行われ(図16参照)、その後、変位部550の中央部S11のプレスが行われる(図17参照)。しかし、膜弁の複数の箇所に接触層Dgを形成する際には、その形成の順序はどのようなものであってもよい。また、プレス型PD1にプレス型PD3の先端部分PD3tに相当する凸状の部分を設けたプレス型と、プレス型PD2またはPD4とを使用して、変位部550の円柱C1の端面S2のプレスと変位部550の中央部S11のプレスとを同時に行ってもよい。
D2.変形例2:
上記実施例において、変位部550の上面S1において、中央部S11は、外縁部S13に囲まれ、外縁部S13よりも凹んで設けられる。このため、膜弁500を第1の面MS1を上にして置いた場合には、中央部S11は、中央部S11よりも高い外縁部S13に囲まれることになる。よって、その状態で中央部S11に第2実施例の溶剤を塗布することで、中央部S11に正確かつ容易に溶剤を塗布することができる。すなわち、中央部S11に接触層Dgを構成する際に、不要な部位に溶剤が塗布される可能性が低い。その結果、製造される多数の膜弁500の構成についての製造上のばらつきを低減することができる。また、膜弁500の製造に使用する溶剤を効率的に使用することができる。たとえば、決まった量の溶剤を中央部S11に滴下することで、溶剤が、低く設けられた中央部S11上に均等に広がり、均等な厚みで接触層Dgを形成することができる。なお、膜弁にエポキシ樹脂を塗布することにより、膜弁上にエポキシ樹脂の層を形成する場合についても、同様の処理を行うことにより同様の効果が得られる。
D3.変形例3:
上記実施例においては、変位部550の中央部S11、変位部550の円柱C1の端面S2、および変位部550を構成する円柱C1の側面に、接触層Dgが形成される。しかし、これら以外の箇所に接触層Dgを形成することもできる。たとえば、エポキシ樹脂の層Reを設けた箇所に、エポキシ樹脂の層Reに代えて接触層Dgを形成することもできる。また、接触層Dgを設けた箇所に、接触層Dgに代えてエポキシ樹脂の層Reを形成することもできる。そのような態様としても、正確に組み立てることができ、その結果、正確に動作する差圧弁を実現することができる。
また、上記実施例において、接触層Dgやエポキシ樹脂の層Reを配した部位以外の部位にも、膜弁本体を構成する素材よりもタック性が低い接触用材料による構成を配することもできる。たとえば、膜弁の表面全体に、膜弁本体を構成する素材よりもタック性が低い接触用材料による構成を配することができる。また、上記実施例において接触用材料による構成が配されている部位の一部について、接触用材料による構成を配さない態様とすることもできる。すなわち、可動膜としての膜弁のうち、流路を構成する他の部材と接触する部分の少なくとも一部を、可動膜の変形部を構成する弾性材料に比べて粘着しにくい接触用材料で設けられている構成とすることができる。
D4.変形例4:
上記実施例のステップS110においては(図15参照)、膜弁用部材500p0は、単一のエラストマーで一体成形される。そして、その後、ステップS120で、単一のエラストマーで一体成形された膜弁用部材500p0に、接触層Dgが形成される。しかし、膜弁用部材500p0は、多色成形で形成されてもよい。すなわち、膜弁用部材500p0は、互いに異なる成分や成分割合を有する複数の素材から構成されてもよい。たとえば、変位部550と、膜状部510と、装着部560,570は、異なる素材で構成されることもできる。そのような態様においても、単一のエラストマーで一体成形された部分に対して、第1実施例や第2実施例の処理を行うことにより、そのエラストマーとは異なる性質を有する接触層Dgを形成することができる。
D5.変形例5:
上記実施例においては、単一のエラストマーで一体成形された部分に対して、軟化剤を除去する処理を行うことにより、接触層Dgを形成している。しかし、接触層Dgは、あらかじめ、他の部分よりも軟化剤の成分が少ない素材を用意した上で、接触層Dgよりも軟化剤の成分が多い素材で形成された構成の上に設けてもよい。また、接触層Dgを形成した上に、接触層Dgよりも軟化剤の成分が多い素材で形成された構成を設けることもできる。そのような態様であっても、各素材の原材料を共通化することにより、まったく原材料が異なる素材から各部を形成する場合に比べて、製造コストを低減することができる。
D6.変形例6:
上記実施例においては、膜弁500の本体を構成するエラストマーよりもタック性の低いエポキシ樹脂や接触層が、膜弁500の表面に配されている(図8(B)参照)。一般に、ある程度、柔軟性があり、膜弁の製造に使用され得る樹脂などの物質においては、タック性と硬度とは相関がある。このため、膜弁が他の部材に粘着しないようにするために膜弁の表面に配する物質(接触用材料)としては、膜弁の本体(特に変形部としての膜状部510)を構成する物質よりも硬度が高い物質を採用することができる。なお、ここでいう「硬度」は、JIS K6523に従った試験方法で評価するものとする。上記実施例で軟化剤を除去することにより形成された接触層Dgは、上記実施例において膜弁500の本体(たとえば、膜状部510)を構成するエラストマーよりも硬度が高い。また、上記実施例で使用されるセメダイン株式会社の「ハイスーパー5」は、硬化後は、上記実施例において膜弁500の本体を構成するエラストマーよりも硬度が高い。
上流バルブ室181と下流バルブ室182の圧力差が所定の範囲内にあるとき、変位部550の中央部S11は、コイルバネ400によって尖端形状部115に押しつけられている(図12および図13参照)。このため、変位部550の中央部S11表面に膜弁500の本体を構成する柔らかい素材(実施例においてエラストマー)がそのまま露出している場合には、変位部550の中央部S11表面に残留変形が生じやすい。たとえば、外周接触部としての中央部S11に残留変形による凹部が生じた場合には、閉弁状態においても、尖端形状部115と凹部との隙間から液体が漏れ出す可能性がある。また、外周接触部としての中央部S11に凹部が生じ、尖端形状部115と中央部S11との接触面積が増えると、尖端形状部115と中央部S11とがより強固に粘着し、より離れにくくなる可能性もある。
しかし、上記実施例においては、変位部550の中央部S11表面には、膜弁500の本体を構成する素材に比べて硬度が高い接触層Dgが設けられている。このため、変位部550の中央部S11表面に残留変形が生じにくい。よって、変位部550の中央部S11表面に膜弁500の本体を構成する柔らかい弾性素材が露出している態様に比べて、より長い期間にわたって、正確に弁を開閉することができる。
D7.変形例7:
上記実施例においては、膜弁500の表面に配される膜状または層状の構成の素材として、室温環境下で硬化させるエポキシ樹脂が採用されている。しかし、膜弁500の表面に配される膜状または層状の構成の素材としては、他の素材を採用することもできる。たとえば、光硬化性のエポキシ樹脂を採用することもできる。光硬化性の樹脂を使用する場合には、その樹脂に応じた波長の光を所定量、照射することにより、樹脂を硬化させることができる。たとえば、紫外線(UV)硬化樹脂は、紫外線を所定量、照射することにより硬化させることができる。
一般に、エポキシ樹脂は、膜弁の本体(特に変形部としての膜状部510)を構成する物質よりも、タック性が低く、硬度が高いものが多い。よって、光硬化樹脂として、光硬化性のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。しかし、膜弁500の表面に配される膜状または層状の構成の素材として、エポキシ樹脂以外の光硬化性樹脂を採用することもできる。光硬化性樹脂は、一般に、光硬化性を有さない樹脂に比べて、短時間で硬化する。このため、光硬化性樹脂を採用することにより、膜弁、差圧弁、ひいては液体容器の製造リードタイムを短縮することができる。
さらに、膜弁500の表面に配される膜状または層状の構成の素材として、一液性のシリコーン系接着剤を採用することもできる。ただし、光硬化性のエポキシ樹脂の方が、そのようなシリコーン系接着剤よりも短時間で硬化する。このため、光硬化性のエポキシ樹脂を接触用材料として採用する態様の方が、膜弁、差圧弁、ひいては液体容器の製造リードタイムは短い。
上記実施例においては、弾性材料として、熱可塑性エラストマーを採用している。また、エラストマーで構成された素材の表面に層を設けるための材料として、エポキシ樹脂が用いられている。しかし、弾性材料や、層を設けるための材料としては、他の様々な樹脂を使用することができる。ただし、弾性材料は、表面に層を設けるための材料よりもヤング率が低いことが好ましい。また、弾性材料は、軟化剤を除去されることでヤング率が高くなるという性質、および軟化剤を除去されることでタック性が低くなるという性質、の少なくとも一方を備える材料であることが好ましい。さらに、表面に層を設けるための材料は、弾性材料よりもタック性が低いことが好ましい。さらに、表面に層を設けるための材料は、弾性材料よりも硬度が高いことが好ましい。
D8.変形例8:
上記実施例では、インクカートリッジ100が使用される状態において、鉛直方向(Z軸方向)に垂直なY軸方向に変位部550が変位するような姿勢に、弁アセンブリ600bは取り付けられる(図1および図2参照)。しかし、本発明の実施態様としての差圧弁や液体容器は、上記実施例とは異なる様々な姿勢で配することができ、そのような姿勢においても効果を奏し得る。
たとえば、インクカートリッジが使用される状態において、鉛直方向(Z軸方向)に変位部550が変位するような姿勢に、すなわち、図12〜図14の下方が鉛直下方と一致するように、弁アセンブリ600b(バルブ部180)が取り付けられる態様とすることができる。
D9.変形例9:
上記実施例においては、変位部を付勢するバネとして、コイルバネ400が採用されている。しかし、変位部を付勢する構成としては、板バネや、柔軟性を有する樹脂製の部材など、他の様々な態様を採用することができる。
D10.変形例10:
また、上記実施例および変形例では、バルブ部180は、インク収容室140と供給孔120aとを結ぶ流路に設けられており、インクの流れを制御する(図6参照)。しかし、バルブ部180と同様の構成は、大気解放孔130aとインク収容室140とを結ぶ流路に設けることもできる。そのような態様においては、バルブ部は、流路において空気の流れを制御する。より具体的には、図12〜図14に示した上流バルブ室181、下流バルブ室182、バネ収容室184等を含む各流路には、インクに代わって空気が流入する。その結果、上流バルブ室181の空気の圧力と、下流バルブ室182およびバネ収容室184の空気の圧力との差に応じて、開口453が開閉される。すなわち、両者の圧力差に応じて、空気の流通が許容され、または止められる。このような態様においても、制御の対象が、液体としてのインクではなく空気である点を除いて、上記各実施例と同様の効果が奏される。
なお、上記の態様においては、大気解放孔130aが、「課題を解決するための手段」における「吸気口」に相当する。大気解放孔130aとインク収容室140とを結ぶ流路(上記実施例においては蛇行路130がこれに含まれる)が、「流路」に相当する。他の構成の対応関係は、上記実施例において説明した対応関係と同じである。
D11.変形例11:
上記実施例では、カートリッジ装着部200が印刷ヘッド(図示省略)と一体になって印刷媒体の紙巾方向に往復移動するインクジェットプリンター(いわゆるオンキャリッジタイプのプリンター、図5参照)を例示したが、本発明の液体容器は、いわゆるオフキャリッジタイプのプリンターにも適用可能である。オフキャリッジタイプのプリンターでは、不動のカートリッジ装着部200が印刷ヘッドと別体に構成される一方、印刷ヘッドが往復運動可能なキャリッジに設けられており、カートリッジ装着部200のインク供給針240を介してキャリッジに液体が供給される。
D12.変形例12:
上記実施例及び変形例では、インクジェットプリンターと、インクカートリッジについて説明したが、本発明は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に用いても良く、また、そのような液体を収容した液体容器にも適用可能である。本発明の液体容器は、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体消費装置に流用可能である。なお、「液滴」とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であれ良い。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施例の形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用しても良い。そして、これらのうちいずれか一種の噴射装置および液体容器に本発明を適用することができる。
11…係合レバー
11a…突起
13…回路基板
20…蓋部材
54…封止フィルム
100…インクカートリッジ
101…第1側面フィルム
102…第2側面フィルム
105…センサー部
110…容器本体
111…リブ
115…尖端形状部
118…シール部分
120…インク供給部
120a…供給孔
130…蛇行路
130a…大気解放孔
130b…減圧孔
140…インク収容室
150…中間流路
160…バッファ室
170…バルブ上流路
180…バルブ部
181…上流バルブ室
182…下流バルブ室
184…バネ収容室
184i…流入孔
184o…流出孔
185…中継流路
190…バルブ下流路
200…カートリッジ装着部
210…凹部
230…突起
240…インク供給針
300…バネ座部材
300d…第2面
300i…流入路
300o…流出路
300u…第1面
310…リブ
320E…バネ支持部
330,340…軸(凸部)
400…コイルバネ
450…流路
452…開口
453…開口
460…流路
462…第1流路
464…第2流路
500,500b…膜弁
500p0,500p1…膜弁のもととなる部材
510…膜状部
520…シール部
530,540…穴
550,550b…変位部
560…第1の装着部
570…第2の装着部
600a…弁収容室
600aw…弁壁
600b…弁アセンブリ
630,640…凹部
AR1…主走査方向を示す矢印
AXE…中心軸
Am…変位部550が変位する方向を示す矢印
BS…底面
C1…変位部550の第1の面MS1側の円柱
C2…変位部550の第2の面MS2側の円柱
Cp1,Cp2…圧縮方向を示す矢印
Dg…接触層
FS…前面
Fi…インクの流れを示す矢印
ML1,ML2…液面を示す破線
MS1…第1の面
MS2…第2の面
P1…基準位置
PD1〜PD4…プレス型
PD2t…プレス型PD2の管状部の端面
PD3t…プレス型PD3の端面
Pp1…プレス型PD1,PD2によって圧縮される部分
Pp2…プレス型PD3,PD4によって圧縮される部分
RS…後面
Re…膜
S1…上面
S11…中央部(当接領域)
S12…傾斜部
S13…外縁部
S2…変位部550の円柱C1の端面
SS1…第1側面
SS2…第2側面
TS…上面

Claims (15)

  1. 液体を供給するための液体容器であって、
    液体を収容する液体収容部と、
    前記液体を外部に供給するための液体供給口と、
    前記液体収容部から前記液体供給口に前記液体を流通させる流路と、
    前記流路に設けられる差圧弁と、を備え、
    前記差圧弁は、
    前記流路の一部を構成する第1室と、
    前記第1室よりも下流側の前記流路に連通している第2室と、
    前記第1室と前記第2室の間に配され、少なくとも一部が弾性材料で設けられる可動膜であって、前記第1室内の前記液体の圧力と前記第2室内の前記液体の圧力との差に応じて弾性変形することにより前記流路を開閉する可動膜と、を備え、
    前記可動膜のうち、前記流路を構成する他の部材と接触する部分の少なくとも一部は、前記弾性材料を構成する成分の少なくとも一部を含む材料であって、前記成分のうち軟化剤として作用する成分の割合が前記弾性材料よりも少ない材料である接触用材料で構成されている、液体容器。
  2. 請求項1記載の液体容器であって、
    前記第1室は、前記差圧弁に流入する液体を受け入れる第1流入口と、前記流入した前記液体を送出する第1流出口と、を備え、
    前記第2室は、前記第1室から送出された前記液体を受け入れる第2流入口と、前記第2流入口から流入した前記液体を送出する第2流出口と、を備え、
    前記可動膜は、
    前記第1流出口の外周部と接触して前記第1流出口を塞ぐことができる変位部と、
    少なくとも一部が前記弾性材料で設けられ、前記第1室と前記第2室の間において前記変位部を支持する変形部であって、前記第1室内の前記液体の圧力と前記第2室内の前記液体の圧力との差に応じて変形することによって、前記変位部を前記外周部に接触させ、または前記外周部から離れさせる変形部と、を備え、
    前記変位部のうち、前記他の部材としての前記外周部と接触する外周接触部の少なくとも一部が、前記接触用材料で設けられている、液体容器。
  3. 請求項2記載の液体容器であって、さらに、
    前記流路内に配され、一端で前記変位部を付勢することにより、前記第1流出口を塞ぐ位置に前記変位部を配するバネを備え、
    前記変位部のうち、前記他の部材としての前記バネと接触する部分を含む少なくとも一部が、前記接触用材料で設けられている、液体容器。
  4. 請求項3記載の液体容器であって、
    前記バネはコイルバネであり、
    前記変位部のうち、前記バネのコイルの端面と接触する部分が、前記接触用材料で設けられている、液体容器。
  5. 請求項3記載の液体容器であって、
    前記バネはコイルバネであり、
    前記変位部のうち、前記バネのコイルの内面と接触しうる部分が、前記接触用材料で設けられている、液体容器。
  6. 流体を流通させる流路に設けられる差圧弁であって、前記流路の一部を構成する第1室と、前記第1室よりも下流側の前記流路に連通している第2室と、前記第1室と前記第2室の間に配され、前記第1室内の前記流体の圧力と前記第2室内の前記流体の圧力との差に応じて弾性変形することにより前記流路を開閉する可動膜と、を備える差圧弁の前記可動膜を生産する方法であって、
    (a)弾性材料を用いて処理前可動膜を生成し、
    (b)前記処理前可動膜のうち、前記流路を構成する他の部材と接触する部分の少なくとも一部について、前記弾性材料を構成する成分のうち軟化剤として作用する成分の少なくとも一部を除去する処理を含む、方法。
  7. 請求項6記載の方法であって、
    前記(b)の処理は、
    (b1)前記他の部材と接触する部分の少なくとも一部を加圧し、
    (b2)前記加圧された部分について、洗浄を行って、前記軟化剤として作用する成分を除去する処理を含む、方法。
  8. 請求項7記載の方法であって、
    前記処理前可動膜の、前記(b1)の加圧が行われる部分の前記加圧の方向についての寸法は、前記(b1)の加圧が行われた後よりも前記(b1)の加圧が行われる前の方が大きい、方法。
  9. 請求項8記載の方法であって、
    前記(b1)の加圧を行うことによって、前記他の部材を受け入れるための凹部を形成する、方法。
  10. 請求項6記載の方法であって、
    前記(b)の処理は、
    (b1)前記他の部材と接触する部分の少なくとも一部について、前記軟化剤として作用する成分を溶かすことができる溶剤を塗布し、
    (b2)前記溶剤を塗布された部分について、洗浄を行って前記溶剤を除去する処理を含む、方法。
  11. 液体を供給するための液体容器であって、
    液体を収容する液体収容部と、
    外部から前記液体容器に空気を取り込むための吸気口と、
    前記吸気口から前記液体収容部に前記空気を流通させる流路と、
    前記流路に設けられる差圧弁と、を備え、
    前記差圧弁は、
    前記流路の一部を構成する第1室と、
    前記第1室よりも下流側の前記流路に連通している第2室と、
    前記第1室と前記第2室の間に配され、少なくとも一部が弾性材料で設けられる可動膜であって、前記第1室内の前記空気の圧力と前記第2室内の前記空気の圧力との差に応じて弾性変形することにより前記流路を開閉する可動膜と、を備え、
    前記可動膜のうち、前記流路を構成する他の部材と接触する部分の少なくとも一部は、前記弾性材料を構成する成分の少なくとも一部を含む材料であって、前記成分のうち軟化剤として作用する成分の割合が前記弾性材料よりも少ない材料である接触用材料で構成されている、液体容器。
  12. 請求項11記載の液体容器であって、
    前記第1室は、前記差圧弁に流入する空気を受け入れる第1流入口と、前記流入した前記空気を送出する第1流出口と、を備え、
    前記第2室は、前記第1室から送出された前記空気を受け入れる第2流入口と、前記第2流入口から流入した前記空気を送出する第2流出口と、を備え、
    前記可動膜は、
    前記第1流出口の外周部と接触して前記第1流出口を塞ぐことができる変位部と、
    少なくとも一部が前記弾性材料で設けられ、前記第1室と前記第2室の間において前記変位部を支持する変形部であって、前記第1室内の前記空気の圧力と前記第2室内の前記空気の圧力との差に応じて変形することによって、前記変位部を前記外周部に接触させ、または前記外周部から離れさせる変形部と、を備え、
    前記変位部のうち、前記他の部材としての前記外周部と接触する外周接触部の少なくとも一部が、前記接触用材料で設けられている、液体容器。
  13. 請求項12記載の液体容器であって、さらに、
    前記流路内に配され、一端で前記変位部を付勢することにより、前記第1流出口を塞ぐ位置に前記変位部を配するバネを備え、
    前記変位部のうち、前記他の部材としての前記バネと接触する部分を含む少なくとも一部が、前記接触用材料で設けられている、液体容器。
  14. 請求項13記載の液体容器であって、
    前記バネはコイルバネであり、
    前記変位部のうち、前記バネのコイルの端面と接触する部分が、前記接触用材料で設けられている、液体容器。
  15. 請求項13記載の液体容器であって、
    前記バネはコイルバネであり、
    前記変位部のうち、前記バネのコイルの内面と接触しうる部分が、前記接触用材料で設けられている、液体容器。
JP2009226608A 2009-09-30 2009-09-30 液体容器、および可動膜の生産方法 Pending JP2011073258A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009226608A JP2011073258A (ja) 2009-09-30 2009-09-30 液体容器、および可動膜の生産方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009226608A JP2011073258A (ja) 2009-09-30 2009-09-30 液体容器、および可動膜の生産方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011073258A true JP2011073258A (ja) 2011-04-14

Family

ID=44017772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009226608A Pending JP2011073258A (ja) 2009-09-30 2009-09-30 液体容器、および可動膜の生産方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011073258A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020218911A1 (ko) * 2019-04-25 2020-10-29 프리시젼바이오 주식회사 액체 공급 장치의 구동방법 및 액체 공급 장치

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020218911A1 (ko) * 2019-04-25 2020-10-29 프리시젼바이오 주식회사 액체 공급 장치의 구동방법 및 액체 공급 장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN110654121B (zh) 液体喷射装置、压力调节装置
US9475303B2 (en) Liquid ejection device and liquid leakage suppression method
WO2009116299A1 (ja) 液体容器、および、差圧弁
CN106183421B (zh) 液体喷射头单元、液体喷射装置、擦拭方法以及印刷方法
US8201930B2 (en) Liquid supply device, liquid ejecting apparatus, and liquid supplying method
JP2010046947A (ja) 液体収容体、液体収容体の着脱構造、及び液体噴射装置
US20200398583A1 (en) Duckbill valve, diaphragm pump, and printing apparatus
KR20130143542A (ko) 액체 토출 장치 및 액체 토출 방법
WO2005075204A1 (en) Ink cartridge
JP2010221491A (ja) 液体供給装置、液体噴射装置
JP2011073258A (ja) 液体容器、および可動膜の生産方法
JP3858862B2 (ja) 液体カートリッジ
JP2011073257A (ja) 液体容器
JP5487744B2 (ja) 液体収容体の製造方法
JP5326703B2 (ja) 液体収容容器
JP2010228148A (ja) 液体供給装置及び液体噴射装置
US8297743B2 (en) Droplet ejection head and method of manufacturing coated body
WO2005075205A1 (en) Ink cartridge
JP7028229B2 (ja) 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置
JP2008221677A (ja) 流体供給構造および流体供給カートリッジ
JP2011020291A (ja) 弁体、および、弁体を備えた液体収容容器
JP2017125527A (ja) 流路構造体及び流路構造体の製造方法
EP3726109A1 (en) Duckbill valve, diaphragm pump, and printing device
JP2021014074A (ja) 液体供給装置、液体噴射装置、液体供給装置の制御方法
JP2017189969A (ja) ノズル板、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置、ノズル板の製造方法