JP2011069913A - 防眩フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明プラスチックフィルム基材上に、表面に微細な凹凸を有する防眩層を有し、かつ基材に対して防眩層側の最表面に耐擦傷性層を有し、該耐擦傷性層の平均膜厚が0.03〜0.50μmであり、該耐擦傷性層が少なくとも下記成分(A)〜(D)を含有し、かつ重合性含フッ素バインダーを実質的に含有しない硬化性組成物より形成されることを特徴とする防眩フィルム。
(A)平均粒径が40nm以上100nm以下の無機微粒子
(B)平均粒径が1nm以上〜40nm未満の無機微粒子
(C)電離放射線硬化性多官能モノマー
(D)有機高分子増粘剤
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明は以下の手段により達成された。
透明プラスチックフィルム基材上に、表面に微細な凹凸を有する防眩層を有し、かつ基材に対して防眩層側の最表面に耐擦傷性層を有し、該耐擦傷性層の平均膜厚が0.03〜0.50μmであり、該耐擦傷性層が少なくとも下記成分(A)〜(D)を含有し、かつ重合性含フッ素バインダーを実質的に含有しない硬化性組成物より形成されることを特徴とする防眩フィルム。
(A)平均粒径が40nm以上100nm以下の無機微粒子
(B)平均粒径が1nm以上40nm未満の無機微粒子
(C)電離放射線硬化性多官能モノマー
(D)有機高分子増粘剤
2.
前記(A)及び(B)の少なくともいずれかの無機微粒子の表面が下記一般式(I)で表される化合物を用いて表面処理されている無機微粒子であることを特徴とする上記1に記載の防眩フィルム。
一般式(I): (R10)m−Si(X11)4−m
(式中、R10は置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。X11は水酸基又は加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
3.
前記(D)有機高分子増粘剤がセルロースエステルであることを特徴とする上記1又は上記2に記載の防眩フィルム。
4.
前記耐擦傷性層の屈折率が前記防眩層の屈折率より低いことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の防眩フィルム。
5.
前記(A)及び(B)の少なくともいずれかの無機微粒子が、内部に空孔を有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の防眩フィルム。
6.
前記耐擦傷性層中に防汚剤を含有することを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の防眩フィルム。
7.
前記防眩層が少なくとも1種の透光性樹脂と少なくとも1種の光拡散性粒子を含有することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の防眩フィルム。
8.
前記光拡散性粒子の平均粒子径が5.5〜15μmであり、前記防眩層の平均膜厚が8〜40μmであることを特徴とする上記7に記載の防眩フィルム。
9.
偏光膜と該偏光膜の両側に保護フィルムを有する偏光板であって、少なくとも一方の保護フィルムが上記1〜8のいずれかに記載の防眩フィルムであることを特徴とする偏光板。
10.
偏光膜と該偏光膜の両側に保護フィルムを有する偏光板であって、一方の保護フィルムが上記1〜8のいずれかに記載の防眩フィルムであり、もう一方の保護フィルムが光学異方性のある光学補償フィルムであることを特徴とする偏光板。
11.
上記1〜8のいずれかに記載の防眩フィルム、上記9及び10に記載の偏光板のうちいずれかを画像表示面に有することを特徴とする画像表示装置。
本発明では耐擦傷性層を形成するための硬化性組成物に有機高分子増粘剤を加えることで無機微粒子の露出、及び白化を抑制できる。更に、通常は有機高分子増粘剤を加えると耐擦傷性の低下が起きてしまうが、本発明では有機高分子増粘剤を加えることで、40nm以上の無機微粒子が膜表面に露出せず、膜に取り込まれることによる耐擦傷性向上効果が得られるため、実質耐擦傷性の低下を起こさない。
本発明の防眩フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上に、表面に微細な凹凸を有する防眩層を有し、かつ防眩層の最表面に耐擦傷性層を有し、該耐擦傷性層の平均膜厚が0.03〜0.50μmであり、該耐擦傷性層が少なくとも下記成分(A)〜(D)を含有し、かつ重合性含フッ素バインダーを実質的に含有しない硬化性組成物より形成されることを特徴とする。
(A)平均粒径が40nm以上100nm以下の無機微粒子
(B)平均粒径が1nm以上40nm未満の無機微粒子
(C)電離放射線硬化性多官能モノマー
(D)有機高分子増粘剤
本発明の防眩フィルムの耐擦傷性層には耐擦傷性改良と面状改良の観点からサイズの異なる2種類の無機微粒子((A)平均粒径が40nm以上100nm以下の無機微粒子、及び(B)平均粒径が1nm以上40nm未満の無機微粒子)を用いる。
(B)の無機微粒子は、好ましくは平均粒径5nm〜25nm、より好ましくは平均粒径10nm〜20nmである。
無機微粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡により観察し、100個の粒子の平均として算出することができる。
無機微粒子の表面の処理方法について述べる。耐擦傷性層形成用バインダーへの分散性と耐擦傷性を改良するために、無機微粒子の表面はオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物により処理がされているのが好ましく、処理の際に、酸触媒及び金属キレート化合物のいずれか、あるいは両者が使用されることが更に好ましい。
本発明に用いることができるオルガノシラン化合物について詳細に説明する。オルガノシラン化合物としては下記一般式(I)で表されるものが好ましい。
(式中、R10は置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。X11は水酸基又は加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
一般式(II):(Rf−L21)b1−Si(X21)4−b1
L21は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖若しくは分岐の、置換若しくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
X21は、一般式(I)のX11と同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が更に好ましい。
b1は前記一般式(I)のa1と同義であり、1〜3の整数を表す。好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
一般式(II)−1:CnF2n+1−(CH2)m−Si(X22)3
上記一般式(II)−1中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。nは4〜10が好ましく、mは1〜3が好ましく、X22はメトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子を表す。
本発明の耐擦傷性層は、耐擦傷性を高めるため、バインダーである電離放射線硬化性多官能モノマーの架橋反応、又は重合反応により形成する。電離放射線硬化性の多官能モノマーが有する官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。
本発明の耐擦傷性層形成用組成物は、有機高分子増粘剤を含む。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、更に好ましくは0.10〜20cPであり、最も好ましくは0.10〜10cPである。
ポリ−ε−カプロラクトンジオール
ポリ−ε−カプロラクトントリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレンアジペート)
ポリ(1,4−ブチレンアジペート)
ポリ(1,4−ブチレングルタレート)
ポリ(1,4−ブチレンスクシネート)
ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレングルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコールセバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレングルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
有機高分子増粘剤の添加量は耐擦傷性層の全固形分に対して0.5〜10質量%が好ましく、1.0〜7.0質量%がより好ましく、2.0〜5.0質量%が特に好ましい。
本発明における耐擦傷性層用組成物には、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては種々のものを用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
光重合開始剤の具体例及び好ましい範囲、好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様である。
本発明における耐擦傷性層用組成物は、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で防汚剤を含有してもよい。防汚剤としてはフッ素含有防汚剤又はシリコーン系防汚剤が好ましい。
防汚剤は耐擦傷性層用組成物の全固形分に対して0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%であり、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
フッ素含有防汚剤の好ましい態様及び具体例等については、特開2007−301970号公報の段落[0218]及び[0219]に記載されており、本発明においても同様である。
シリコーン系防汚剤は、滑り性付与による耐擦傷性向上、及び防汚性の付与を目的として添加することができ、ポリシロキサン構造を有する化合物が好ましい。フッ素含有防汚剤の好ましい態様及び具体例等については、特開2007−301970号公報の段落[0212]〜[0217]に記載されており、本発明においても同様である。
本発明における耐擦傷性層は平均膜厚が0.03〜0.50μmである。この範囲にすることで良好な耐擦傷性が得られる。
本発明の防眩フィルムにおいて、耐擦傷性層は最表面に形成されることが好ましい。耐擦傷性層が最表面にあることで耐擦傷性効果を十分に発揮することができる。また、耐擦傷性層に用いる無機微粒子として、屈折率の低いシリカ、若しくは更に屈折率の低い中空シリカ等を用いることで耐擦傷性層の屈折率を後述する防眩層、若しくはハードコート層よりも低くした場合は、耐擦傷性層に低屈折率層の機能も持たせることができるため好ましい。この場合、耐擦傷性層の膜厚を0.08μm〜0.12μmにすることが好ましく、この膜厚にすることで光の干渉効果を利用でき、防眩フィルムに反射防止性を持たせることができる。
本発明における防眩層は表面に微細凹凸形状を有するものであればいかなるものでも構わないが、少なくとも1種の透光性樹脂と少なくとも1種の光拡散粒子を含有することが好ましい。
本発明の防眩層は、平均粒径が5.5μm〜15μmの透光性粒子を含有し、平均膜厚が8〜40μmであることが、好ましい。加えて、JIS−B0601に準じた中心線平均粗さ(Ra)は0.05〜0.40μmの範囲が好ましく、これら条件領域に制御することにより高い視認性(黒締り)とフィルムに垂直に加わる力に対する傷防止性を達成できる。
本発明の防眩フィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、防眩層に加えてハードコート層を設けることができる。ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明のフィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートやなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることが更に好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
本発明の防眩フィルムは、一般に、最も単純な構成では、透明支持体上に防眩層と耐擦傷性層を塗設した構成である。
・支持体/ハードコート層/防眩層/耐擦傷性層
本発明における耐擦傷性層の硬化方法に関して、好ましい例を以下に述べる。
本発明では、電離放射線硬化性モノマーを用いることで塗膜の強度向上を図っており、塗膜形成後、電離放射線による照射と、照射の前、照射と同時又は照射後の熱処理とを組み合わせることにより、硬化することが有効である。
以下にいくつかの製造工程のパターンを示すが、これらに限定されるものではない。
照射前→ 照射と同時→ 照射後(−は熱処理を行っていないことを示す。)
(1)熱処理→ 電離放射線硬化→ −
(2)熱処理→ 電離放射線硬化→ 熱処理
(3) − → 電離放射線硬化→ 熱処理
その他、電離放射線硬化時に同時に熱処理を行う工程も好ましい。
本発明においては、上記のとおり、電離放射線による照射と組み合わせて熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、光学フィルムの支持体、耐擦傷性層含めた構成層を損なうものでなければ特に制限はないが、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜130℃、最も好ましくは80〜110℃である。
電離放射線の種類については、特に制限はなく、X線、電子線、紫外線、可視光、赤外線などが挙げられるが、紫外線が広く用いられる。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。照射の際には、前記エネルギーを一度に当ててもよいし、分割して照射することもできる。特に塗膜の面内での性能ばらつきを少なくする点からは、2〜8回程度に分割して照射することも好ましい。また、耐擦傷性層以外に他の層を形成する場合は、各層ごとに照射を行ってもよいし、積層後に複数層に対して照射してもよい。
熱処理及び電離放射線照射については、特開2008−242314の段落[0148]〜[0155]に記載されており、本発明においても同様である。
本発明の防眩フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるために、透明支持体上に本発明における耐擦傷性層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。
本発明の防眩フィルムは、偏光膜とその両側に配置された保護フィルムとからなる偏光板の、その保護フィルムの一方又は両方に使用して、防眩性を有する偏光板とすることができる。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
本発明の防眩フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。
以下の組成で防眩層用塗布液を調製した。
PET−30 50.9g
ビスコート360 30.5g
イルガキュア127 3.2g
8μm架橋アクリル−スチレン粒子分散液(30%) 35.8g
8μm架橋アクリル粒子分散液(30%) 21.5g
SP−13 0.1g
MIBK(メチルイソブチルケトン) 21.8g
MEK(メチルエチルケトン) 34.7g
8μm架橋アクリル−スチレン粒子:屈折率1.56(アクリル/スチレン比:3/7)
8μm架橋アクリル粒子:屈折率1.50
(分散液A−1の調製)
シリカゾル(シリカ、MEK−ST−L、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学社製)の500質量部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20質量部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部加え混合した後に、イオン交換水を9質量部加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加した。最終的に固形分が20%になるように調節して分散液A−1を調製した。
前記分散液A−1で用いたシリカゾルの代わりに、シリカゾル(シリカ、MEK−ST、平均粒径15nm、固形分濃度30%、日産化学社製)としたこと以外はA−1と同様にして、分散液A−2を調製した。
特開2002−79616の調製例4から調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。これを水分散液状態からメタノールに溶媒置換し、更に総液量がほぼ一定になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換した。最終的に固形分が20%になるように調節して、平均粒子径45nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.30の粒子が得られた。これを分散液B−3とする。
分散液(B−3)の500質量部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン15質量部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部加え混合した後に、イオン交換水9質量部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加した。最終的に固形分が20%になるように調節して分散液A−3を調製した。
DPHAを2.0g、分散液A−1を1.4g、分散液A−2を2.4g、重合開始剤(イルガキュア127(商品名)、チバ・ジャパン社製)0.1g、セルロースアセテートブチレート(CAB/分子量5万)0.2g、メチルエチルケトン74.6g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート19.4gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、耐擦傷性層用塗布液1を調製した。
また、無機微粒子、電離放射線硬化性化合物、及び有機高分子増粘剤を表1に記載したように変更する以外は前記耐擦傷性層用塗布液1と同様に耐擦傷性層用塗布液2〜13を調製した。
表中で、各成分の後にある( )は、塗布液の全固形分に対する、該成分の固形分の比率(質量%)を表す。
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、防眩層用塗布液を使用し特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、更に窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。防眩層の膜厚は14μmとなるように塗布量を調整した。得られた防眩層の屈折率は1.52であった。
上記防眩層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記耐擦傷性層用塗布液1〜13を前記のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、90℃で75秒乾燥の後、窒素パージ下酸素濃度0.01〜0.1%で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量240mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの耐擦傷性層を形成し、巻き取り、防眩フィルム試料1を作製した。耐擦傷性層用塗布液1を使用して得られた耐擦傷性層の屈折率は1.49であった。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
ビスコート360:トリメチロールプロパンEO付加トリアクリレート [大阪有機化学工業(株)製]
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
アクリルポリマー:[三菱レイヨン製、分子量75,000]
P−12:含フッ素共重合体、特開2007−293325号公報の例示化合物(P−12)、主鎖にシリコーンを含み、側鎖に水酸基と重合性官能基としてアクリロイル基を有する含フッ素共重合体、数平均分子量3万、Mw/Mn=1.6
イルガキュア127:重合開始剤[チバ・ジャパン製]
SP−13:フッ素系の界面活性剤(MEK溶媒に固形分濃度40質量%で溶解しているものを用いた。)
MEK−ST−L:シリカ(平均粒径45nm、固形分濃度30%)[日産化学工業
(株)製]
MEK−ST:シリカ(平均粒径15nm、固形分濃度30%)[日産化学工業(株)製]
X−22−164C:ポリシロキサン系防汚剤[信越化学工業(株)製]
得られた防眩フィルムを本分記載の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm3水酸化ナトリウム水溶液、55℃で120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm3硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
上記の鹸化済みの防眩フィルムを用いて以下の評価を行った。
ラビングテスターを用いて、以下の条件で擦りテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH。
擦り材:試料と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)にプラスチック消しゴム{(株)トンボ鉛筆製“MONO”(登録商標)}を固定した。
移動距離(片道):4cm、
擦り速度:2cm/秒、
荷重:250g/cm2、
先端部接触面積:1cm×1cm。
擦り回数:200往復。
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
A:注意深く見ても、全く傷が見えない。
B:弱い傷が見える。
C:一目見ただけで分かる傷がある。
試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、耐擦傷性層の白化を以下の基準で評価した。
A:注意深く見ても、白化が全く見えない。
B:注意深く見ると、僅かに白化が見える。
C:一目見ただけで白化が視認できる。
試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、帯電防止層の面状均一性を以下の基準で評価した。
A:注意深く見ても、面状にムラが全く見えない。
B:注意深く見ると、僅かにムラが見える。
C:一目見ただけでムラが視認できる。
フィルム表面に書いた速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー」(登録商標))を東レ(株)製「トレシー」(登録商標)を用いて数回擦ってふき取った状態を以下の基準に従って3段階で評価した。
A:書いた跡が完全にふき取れた。
B:一部がふき取れずに残った。
C:大部分がふき取れずに残った。
表1より、無機微粒子として大サイズシリカのみを用いた系(試料6)では、高い耐擦傷性は有するものの、白化が目立ち、一方で小サイズシリカのみを用いた系(試料7)では、白化は起きないものの、耐擦傷性が低下している。これら2種のシリカを組み合わせる(試料5)ことで、ある程度耐擦傷性と白化は改善され、更にCABを加える(試料1)ことで、耐擦傷性を低下させることなく、白化を完全に抑制することができた。
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)と、光学積層体の試料1〜21における鹸化処理済みの各々のフィルムに、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面を接着、保護して偏光板を作製した。
VA型液晶表示装置(LC−37GS10、シャープ(株)製)に設けられている偏光板及び位相差膜を剥がし、代わりに上記で作製した偏光板を透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けて、光学積層体を有する液晶表示装置を作製した。なお、光学積層体が視認側になるように貼り付けた。
Claims (11)
- 透明プラスチックフィルム基材上に、表面に微細な凹凸を有する防眩層を有し、かつ基材に対して防眩層側の最表面に耐擦傷性層を有し、該耐擦傷性層の平均膜厚が0.03〜0.50μmであり、該耐擦傷性層が少なくとも下記成分(A)〜(D)を含有し、かつ重合性含フッ素バインダーを実質的に含有しない硬化性組成物より形成されることを特徴とする防眩フィルム。
(A)平均粒径が40nm以上100nm以下の無機微粒子
(B)平均粒径が1nm以上40nm未満の無機微粒子
(C)電離放射線硬化性多官能モノマー
(D)有機高分子増粘剤 - 前記(A)及び(B)の少なくともいずれかの無機微粒子の表面が下記一般式(I)で表される化合物を用いて表面処理されている無機微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の防眩フィルム。
一般式(I): (R10)m−Si(X11)4−m
(式中、R10は置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。X11は水酸基又は加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。) - 前記(D)有機高分子増粘剤がセルロースエステルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防眩フィルム。
- 前記耐擦傷性層の屈折率が前記防眩層の屈折率より低いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防眩フィルム。
- 前記(A)及び(B)の少なくともいずれかの無機微粒子が、内部に空孔を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防眩フィルム。
- 前記耐擦傷性層中に防汚剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防眩フィルム。
- 前記防眩層が少なくとも1種の透光性樹脂と少なくとも1種の光拡散性粒子を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防眩フィルム。
- 前記光拡散性粒子の平均粒子径が5.5〜15μmであり、前記防眩層の平均膜厚が8〜40μmであることを特徴とする請求項7に記載の防眩フィルム。
- 偏光膜と該偏光膜の両側に保護フィルムを有する偏光板であって、少なくとも一方の保護フィルムが請求項1〜8のいずれかに記載の防眩フィルムであることを特徴とする偏光板。
- 偏光膜と該偏光膜の両側に保護フィルムを有する偏光板であって、一方の保護フィルムが請求項1〜8のいずれかに記載の防眩フィルムであり、もう一方の保護フィルムが光学異方性のある光学補償フィルムであることを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の防眩フィルム、請求項9及び10に記載の偏光板のうちいずれかを画像表示面に有することを特徴とする画像表示装置。
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