JP2011068793A - 色素およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】確実かつ効率的に広範な波長領域の光を吸収する色素およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の色素は、異なる波長領域の光を吸収する第1の色素と第2の色素とからなり、第1の色素と前記第2の色素とは共有結合によって化学的に結合されている。第1の色素は、金属錯体系色素、または、有機色素である。金属錯体系色素は、ルテニウム錯体系色素、オスミウム錯体系色素、銅錯体系色素、レニウム錯体系色素および鉄錯体系色素からなる群から選ばれる。有機色素は、所定のトリフェニルアミン系色素または所定のクマリン系色素である。第2の色素は、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物である。大環状化合物は、ポリフィリン骨格、フタロシアニン骨格またはナフタロシアニン骨格のいずれかの骨格を有し、いずれかの骨格の中心部には金属原子が配位されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素およびその製造方法に関し、特に、色素増感型太陽電池の負極に吸着させる色素およびその製造方法に関する。
太陽電池は、地球環境にかかる負荷が極めて低いことから、クリーンなエネルギー供給源として、より一層の普及が期待されている。特に、色素増感型太陽電池は、比較的簡単な構造のため量産し易く、また、低コスト、低エネルギーで製造できることから注目されている。
一般的に、色素増感型太陽電池は、透明導電膜基板(ITO等)上に形成した半導体多孔質膜(酸化チタン等)に増感色素を吸着させた負極と、透明導電性基板(FTO等)上に白金や炭素等からなる光透過性の電極層を形成した正極とを対向させ、両極間にヨウ素やヨウ化物イオンなどの酸化・還元種を含む有機電解液を充填して構成されている。
このような色素増感型太陽電池の負極に吸着させる色素としては、例えば、特許文献1に示すように、波長400〜560nmの可視光領域に吸収をもつ単一の色素が用いられている。しかし、負極に吸着させる色素に単一の色素を用いた場合、太陽電池の光電変換に作用する色素の吸収波長領域が狭く、光電変換効率が低くなってしまう。
かかる問題を解決するため、特許文献2には、異なる波長領域の光、例えば、可視光を吸収する第1の色素と赤外光を吸収する第2の色素とを負極に吸着させた色素増感型太陽電池が提案されている。
特許文献2の色素増感型太陽電池では、その負極に、半導体多孔質膜表面に化学吸着された第1の色素と、前記第1の色素と会合体を形成した第2の色素とが吸着され、第1の色素が短波長側の光を吸収し、第2の色素が長波長側の光を吸収する。このため、これらの色素を会合させれば、広範な波長領域の光を効率的に吸収でき、高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池を得ることができる。
特許2664194号公報 特開2002−343455号公報
しかしながら、半導体多孔質膜表面で第1の色素と第2の色素とを確実に会合させることは難しく、例えば、第2の色素が第1の色素と会合せずに、半導体多孔質表面に直接化学吸着する場合がある。このような場合、広範な波長領域の光を効率的に吸収することができず、色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上させることが難しくなってしまう。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、確実かつ効率的に広範な波長領域の光を吸収できる色素およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る色素は、異なる波長領域の光を吸収する第1の色素と第2の色素とからなり、前記第1の色素と第2の色素とは共有結合によって化学的に結合されていることを特徴とする。
前記第1の色素は、例えば、金属錯体系色素であり、前記第2の色素は、例えば、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物である。前記金属錯体系色素は、ルテニウム錯体系色素、オスミウム錯体系色素、銅錯体系色素、レニウム錯体系色素および鉄錯体系色素からなる群から選ばれることが好ましい。前記ルテニウム錯体系色素は、例えば、ルテニウムビピリジル錯体系色素である。前記第1の色素は、例えば、有機色素であり、前記第2の色素は、例えば、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物である。
前記有機色素は、下記化1で表されるトリフェニルアミン系色素または下記化2で表されるクマリン系色素であることが好ましい。
Figure 2011068793
Figure 2011068793
前記大環状化合物は、例えば、ポリフィリン骨格、フタロシアニン骨格またはナフタロシアニン骨格のいずれかの骨格を有し、前記いずれかの骨格の中心部には、金属原子が配位されている。前記金属原子は、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、ロジウム、オスミウム、鉛、錫およびリンからなる原子の群から選ばれることが好ましい。
前記大環状化合物は、例えば、化3乃至化5のいずれかで表される化合物である。
Figure 2011068793
Figure 2011068793
Figure 2011068793
ただし、前記第1の色素が金属錯体系色素のとき、X1は、−C2n+1(nは1以上20以下の整数を表す)、フェニル基、水素、カルボシキル基を有する炭化水素化合物からなる群から選ばれる置換基であり、X2は、−(C)−(C2n)−(mは0以上6以下の偶数(整数)、nは0以上4以下の整数)で表される炭化水素基を介して第1の色素と結合する。また、前記第1の色素が有機色素のとき、X1は、−(C)−(C2n)−(mは0以上6以下の偶数(整数)、nは0以上6以下の整数)で表される炭化水素基あるいはチオフェニル基を介して第1の色素と結合し、X2はカルボシキル基またはカルボキシル基を有する炭化水素化合物からなる置換基である。Mは金属原子である。
本発明の第2の観点に係る色素の製造方法は、強塩基を含む第1の溶媒中で、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物と第1のビピリジン誘導体とを反応させて、前記大環状化合物と前記第1のビピリジン誘導体とが2:1または1:1のモル比で結合した第1の配位子を得る第1の配位子合成工程と、第2の溶媒中で、前記第1の配位子とルテニウム塩化物とを反応させて、第1のルテニウム錯体を得る第1の錯体生成工程と、第3の溶媒中で、前記第1のルテニウム錯体と第2の配位子である第2のビピリジン誘導体とを反応させて、第2のルテニウム錯体を得る第2の錯体生成工程と、前記第3の溶媒中に第3の配位子であるイソシアネート類を添加し、前記第2のルテニウム錯体と反応させて第3のルテニウム錯体を得る第3の錯体生成工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の第3の観点に係る色素の製造方法は、強塩基を含む第1の溶媒中で、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物と第1のビピリジン誘導体とを反応させて、前記大環状化合物と前記第1のビピリジン誘導体とが2:1または1:1のモル比で結合した第1の配位子を得る第1の配位子合成工程と、第2の溶媒中で、ルテニウム塩化物と第2の配位子である第2のビピリジン誘導体とを反応させて、第1のルテニウム錯体を得る第1の錯体生成工程と、第3の溶媒中で、前記第1の配位子と前記第1のルテニウム錯体とを反応させて、第2のルテニウム錯体を得る第2の錯体生成工程と、前記第3の溶媒中に第3の配位子であるイソシアネート類を添加し、前記第2のルテニウム錯体と反応させて第3のルテニウム錯体を得る第3の錯体工程と、ナトリウムを含む第4の溶媒中で、前記第3の錯体のエステル基を加水分解する加水分解工程と、を備えることを特徴とする。
前記第1のビピリジン誘導体は、例えば、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネートあるいは2,2’−ビピリジン−4−フォスフォネートである。また、前記第2のビピリジン誘導体は、例えば、4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジンあるいは4,4’−ビスノニル−2,2’−ビピリジンである。
本発明の第4の観点に係る色素の製造方法は、パラジウム触媒を含む第1の溶媒中で、第1の色素とフタロニトリルとを反応させて、置換基として第1の色素を有する第1の中間体を得る第1の中間体合成工程と、塩基触媒を含む第2の溶媒中で、前記第1の中間体とエステル基を有するフタロニトリルとを反応させて、フタロシアニン骨格を有する第2の中間体を得る第2の中間体合成工程と、亜鉛化合物を含む第3の溶媒中で、前記第2の中間体のフタロシアニン骨格の中心部に亜鉛を配位させて第3の中間体を得る第3の中間体合成工程と、ナトリウムを含む第4の溶媒中で、前記第3の中間体のエステル基を加水分解する加水分解工程と、を備えることを特徴とする。
前記亜鉛化合物は、例えば、酢酸亜鉛である。
本発明によれば、確実かつ効率的に広範な波長領域の光を吸収できる色素およびその製造方法を提供することができる。
本発明の色素を用いた色素増感型太陽電池の基本構成を示す図である。 実施例1の色素の吸収スペクトルである。 実施例2の色素の吸収スペクトルである。 実施例3の色素の吸収スペクトルである。 実施例4の色素の吸収スペクトルである。 実施例5の色素の吸収スペクトルである。
以下、本発明の色素及びその製造方法について説明する。
[色素]
本発明の色素は、異なる波長領域の光を吸収する第1の色素と第2の色素とからなり、第1の色素と第2の色素とは共有結合によって化学的に結合されている。
このように、本発明の色素が異なる波長領域の光を吸収する2種類の色素からなるので、第1の色素が所定の波長領域の光を吸収するとともに、第2の色素が第1の色素が吸収する波長領域とは異なる所定の波長領域の光を吸収する。このため、本発明の色素は、効率的に広範な波長領域の光を吸収することができる。例えば、第1の色素が400〜560nmの波長領域に最大吸収波長を有する色素であり、第2の色素に560〜1000nmの波長領域に最大吸収波長を有する色素であることが好ましい。この場合、本発明の色素がより広範な波長領域の光を吸収することができる。また、本発明の色素は、第1の色素と第2の色素とが共有結合によって化学的に結合されているので、確実に広範な波長領域の光を吸収することができる。
第1の色素としては、例えば、金属錯体系色素や有機色素がある。金属錯体系色素としては、例えば、ルテニウム錯体系色素、オスミウム錯体系色素、銅錯体系色素、レニウム錯体系色素、鉄錯体系色素が挙げられる。第1の色素としては、これらの金属錯体系色素のうち、ルテニウム錯体系色素であることが好ましく、ルテニウムビピリジン錯体系色素であることがさらに好ましい。ルテニウムビピリジン錯体系色素は、ルテニウム原子に2,2−ビピリジン誘導体およびイソシアネート基が配位結合して形成されているものである。
有機色素としては、例えば、トリフェニルアミン系色素、クマリン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メシロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素などが挙げられる。第1の色素としては、これらの有機色素のうち、下記化6で表されるトリフェニルアミン系色素または下記化7で表されるクマリン系色素であることが好ましい。
Figure 2011068793
Figure 2011068793
第2の色素は、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物であることが好ましい。このような大環状化合物は、ポリフィリン骨格、フタロシアニン骨格またはナフタロシアニン骨格のいずれかの骨格を有しており、これらの骨格中心には、金属原子Mが配位されている。金属原子Mとしては、例えば、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、ロジウム、オスミウム、鉛、錫およびリンからなる原子の群から選ばれることが好ましい。第2の色素の大環状化合物に配位された金属元素としては、これらの金属原子のうち、亜鉛であることが好ましい。
このような第2の色素は、例えば、下記化8乃至化10で表される。
Figure 2011068793
Figure 2011068793
Figure 2011068793
ただし、前記第1の色素が金属錯体系色素のとき、X1は、−C2n+1(nは1以上20以下の整数を表す)、フェニル基、水素、カルボシキル基を有する炭化水素化合物からなる群から選ばれる置換基であり、X2は、−(C)−(C2n)−(mは0以上6以下の偶数(整数)、nは0以上4以下の整数)で表される炭化水素基を介して第1の色素と結合する。また、前記第1の色素が有機色素のとき、X1は、−(C)−(C2n)−(mは0以上6以下の偶数(整数)、nは0以上6以下の整数)で表される炭化水素基あるいはチオフェニル基を介して第1の色素と結合し、X2はカルボシキル基またはカルボキシル基を有する炭化水素化合物からなる置換基である。Mは金属原子である。
例えば、第1の色素が金属錯体系色素の場合、本発明に係る色素は、ルテニウムビピリジン錯体系色素(第1の色素)の配位子である2,2’−ビピリジン誘導体と大環状化合物(第2の色素)に導入したフォルミル基とがビニリデン基を形成して、下記化11乃至化15で表されるように、1:2または1:1のモル比で共有結合している。
Figure 2011068793
Figure 2011068793
Figure 2011068793
Figure 2011068793
Figure 2011068793
ただし、X3,X4は、カルボキシル基、カルボキシル基を有する炭化水素化合物、−C2n+1で表される炭化水素化合物(nは0以上20以下の整数を表す)からなる群から選ばれる置換基である。
また、第1の色素が有機色素の場合、本発明に係る色素は、化8乃至化10で表される第2の色素の置換基X1が、トリフェニルアミン系色素またはクマリン系色素で置換されて、下記化16または化17で表されるように、3:1のモル比で共有結合する。
Figure 2011068793
Figure 2011068793
ただし、X2は、カルボキシル基またはカルボキシル基を有する炭化水素化合物からなる群から選ばれる置換基である。
[色素増感型太陽電池]
次に、本発明の色素を用いた色素増感型太陽電池用電極および色素増感型太陽電池について説明する。図1は、色素増感型太陽電池の基本構成を示す図である。図1に示すように、色素増感型太陽電池1は、負極2と、正極3と、スペーサ4により負極2と正極3との間に形成される間隙に充填された電解質5と、を備えている。
負極2は、透明電極21と、半導体電極22とから構成されている。透明電極21は、透明基板23と、透明基板23の半導体電極22側をコートするように形成された透明導電膜24から構成されている。透明基板23は、光を透過する透明基板材料などから構成されている。透明導電膜24は透明な導電材料から構成されている。
半導体電極22は、本発明の色素で励起された電子を透明電極21に輸送する機能を有し、例えば、酸化チタン等の金属酸化物からなる半導体層から構成され、その表面に本発明の色素が吸着されている。本発明の色素は、例えば、色素に結合したカルボシキル基と半導体電極22の酸化チタン等の金属酸化物をエステル結合させることにより半導体電極22の表面に吸着(担持)される。
正極3は、電解質5中の酸化還元対に高効率で電子を渡すことができる材料、例えば、透明電極21と同様の透明導電膜上にPt等の金属薄膜電極を形成し、金属薄膜電極を電解質5の側に向けて配置させたもの等が用いられる。
スペーサ4は、負極2と正極3との間に間隙が形成できるものであればよく、樹脂フィルム、シリカビーズ等を用いることができる。
電解質5は、光励起され半導体への電子注入を果した後の色素を還元するための酸化還元種を含むヨウ素系レドックス溶液が好ましく用いられている。
このように構成された色素増感型太陽電池1では、透明電極21を透過して半導体電極22に光が照射されると、その光によって、半導体電極22に吸着されている色素が励起され、この色素から半導体電極22へ電子が注入される。そして、半導体電極22に注入された電子は、透明電極21に集められて外部に取り出される。外部に取り出された電子は、正極3に導かれ、電解質5に含まれている酸化還元対に与えられる。この電子が与えられた酸化還元対によって色素が酸化される。こうして負極2と正極3との間に光電流が流れる。
ここで、本発明の色素は、異なる波長領域の光を吸収する2種類の色素が共有結合して形成されているので、確実かつ効率的に広範な波長領域の光を吸収することができる。このため、本発明の色素を色素増感型太陽電池1の負極2の半導体電極22表面に吸着させることにより、高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池1を得ることができる。
[色素の製造方法]
次に、本発明の色素の製造方法について説明する。本実施の形態では、本発明の色素の種類に応じた3つの色素の製造方法(第1〜第3の実施形態)について説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、第1の色素が金属錯体系色素のときに得られる色素の製造方法(合成方法)であり、以下の4工程を経て、第1の色素1分子と第2の色素2分子が、あるいは第1の色素1分子と第2の色素1分子が共有結合する。
(1)強塩基を含む第1の溶媒中で、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物と第1のビピリジン誘導体とを反応させて、第1の配位子を得る第1の配位子合成工程
(2)第2の溶媒中で、前記第1の配位子とルテニウム塩化物とを反応させて、第1のルテニウム錯体を得る第1の錯体生成工程
(3)第3の溶媒中で、前記第1のルテニウム錯体と第2の配位子である第2のビピリジン誘導体とを反応させて、第2のルテニウム錯体を得る第2の錯体生成工程
(4)前記第3の溶媒中に第3の配位子であるイソシアネート類を添加し、前記第2のルテニウム錯体と反応させて第3のルテニウム錯体を得る第3の錯体生成工程
以下、これらの4工程をそれぞれ詳細に説明する。なお、以下では、第1の色素1分子と第2の色素2分子が共有結合する例について説明する。
(第1の配位子合成工程)
まず、第1の溶媒中で、強塩基により、第2の色素の置換基X2から水素を引き抜いて、第2の色素2分子と第1のビピリジン誘導体1分子をビニリデン基により共有結合させて第1の配位子を合成する(下記化18参照)。
Figure 2011068793
ただし、X1は、−C2n+1(nは1以上20以下の整数を表す)、フェニル基、水素、カルボシキル基を有する炭化水素化合物からなる群から選ばれる置換基であり、X2は、−(C)−(C2n)−(mは0以上6以下の偶数(整数)、nは0以上4以下の整数)で表される炭化水素基を介して第1の色素と結合する。また、X1は、−(C)−(C2n)−(mは0以上6以下の偶数(整数)、nは0以上6以下の整数)で表される炭化水素基あるいはチオフェニル基を介して第1の色素と結合し、X2はカルボシキル基またはカルボキシル基を有する炭化水素化合物からなる置換基である。Mは金属原子である。
第1の溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトアミドなどの酸アミド類、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキルなどを挙げられる。第1の溶媒としては、これらの溶媒のうち、テトラヒドロフランを用いることが好ましい。
また、強塩基としては、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水素化物からなる群から選ばれることが好ましく、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水素化ナトリウムおよび水素化カルシウムなどが挙げられる。強塩基としては、反応活性の高い水素化ナトリウムを用いることが好ましい。
また、第1のビピリジン誘導体は、キレートの配位子として機能する2,2’−ビピリジン誘導体であることが好ましい。このような2,2’−ビピリジン誘導体としては、例えば、反応性の高いリン酸基を導入した2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネートがある。
(第1の錯体生成工程)
次に、第2の溶媒中で、ルテニウム塩化物中の塩素原子2個と第1の配位子合成工程で得られた第1の配位子とを置換し、前記第1の配位子をルテニウム原子に配位結合させて、第1のルテニウム錯体を生成する(下記化19参照)。
Figure 2011068793
第2の溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトアミドなどの酸アミド類、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキルなどを挙げられる。第2の溶媒としては、クロロホルムとエタノールとを体積比で、クロロホルム:エタノール=2:8で混合した混合溶媒を用いることが好ましい。
また、ルテニウム塩化物としては、例えば、三塩化ルテニウム、五塩化ニトロシルルテニウム二カリウム、五塩化ルテニウムアンモニウム、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマーなどが挙げられる。ルテニウム塩化物としては、配位子と容易に錯体を形成するジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマーを用いることが好ましい。
(第2の錯体生成工程)
次に、第3の溶媒中で、第1の錯体生成工程で得られた第1のルテニウム錯体中のp−シメンと第2のビピリジン誘導体とを置換し、第2のビピリジン誘導体をルテニウム原子に配位結合させて、第2のルテニウム錯体を生成する(下記化20参照)。
Figure 2011068793
ただし、X4は、カルボシキル基、カルボキシル基を有する炭化水素化合物、−C2n+1(nは0以上20以下の整数)で表される炭化水素化合物を表している。
第3の溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトアミドなどのアミン類、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキルなどが挙げられる。第3の溶媒としては、アミン類であるジメチルホルムアミドを用いることが好ましい。
また、第2のビピリジン誘導体は、キレートの配位子として機能する2,2’−ビピリジン誘導体であれば、例えば、4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジンまたは4,4’−ビスノニル−2,2’−ビピリジン等が挙げられる。
(第3の錯体生成工程)
最後に、第3の溶媒中で、第2の錯体生成工程で得られた第2のルテニウム錯体に第3の配位子であるイソシアネート類を結合させることにより、本実施形態の色素を製造することができる(下記化21参照)。
Figure 2011068793
イソシアネート類としては、例えば、アンモニウムイソシアネートが挙げられる。イソチオシアネート類は、イソシアネート基の炭素原子を求電子中心とする求電子剤として作用するので、第2のルテニウム錯体のルテニウム原子の非共有電子対を求めて接近して、ルテニウム原子に配位結合される。
なお、本実施形態において、第1のビピリジン誘導体に2,2’−ビピリジン−4−フォスフォネートを用いれば、下記化22に示す第1の色素1分子と第2の色素1分子が結合した色素を得ることができる。
Figure 2011068793
[第2の実施形態]
第2の実施形態も、第1の実施形態と同様に、第1の色素が金属錯体系色素のときの色素の製造方法であり、以下の5工程を経て、第1の色素1分子と第2の色素2分子が、あるいは第1の色素1分子と第2の色素1分子が共有結合する。
(1)強塩基を含む第1の溶媒中で、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物と第1のビピリジン誘導体とを反応させて、第1の配位子を得る第1の配位子合成工程
(2)第2の溶媒中で、ルテニウム塩化物と第2の配位子である第2のビピリジン誘導体とを反応させて、第1のルテニウム錯体を得る第1の錯体生成工程
(3)第3の溶媒中で、前記第1の配位子と前記第1のルテニウム錯体とを反応させて、第2のルテニウム錯体を得る第2の錯体生成工程
(4)前記第3の溶媒中に第3の配位子であるイソシアネート類を添加し、前記第2のルテニウム錯体と反応させて第3のルテニウム錯体を得る第3の錯体生成工程
(5)ナトリウムを含む第4の溶媒中で、前記第3の錯体のエステル基を加水分解する加水分解工程
以下、第1の実施形態と異なる第1の錯体生成工程および第2の錯体生成工程を中心に本実施形態を説明する。なお、以下では、第1の実施形態と同様に、第1の色素1分子と第2の色素2分子が共有結合する例について説明する。
(第1の配位子合成工程)
まず、第1の実施形態の第1の配位子合成工程と同様に、第1の溶媒中で、第2の色素2分子と第1のビピリジン誘導体1分子とをビニリデン基により共有結合させて、第1の配位子を合成する。
(第1の錯体生成工程)
次に、第2の溶媒中で、ルテニウム塩化物中のp−シメンと第2のビピリジン誘導体とを置換して、第2のビピリジン誘導体をルテニウム原子に配位結合させて、第1のルテニウム錯体を生成する(下記化23参照)。
Figure 2011068793
第2の溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトアミドなどの酸アミド類、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキルなどが挙げられる。第2の溶媒としては、エタノールを用いることが好ましい。
また、ルテニウム塩化物としては、例えば、三塩化ルテニウム、五塩化ニトロシルルテニウム二カリウム、五塩化ルテニウムアンモニウム、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマーなどが挙げられる。ルテニウム塩化物としては、第1の実施形態と同様に、配位子と容易に錯体を形成するジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマーを用いることが好ましい。
また、第2のビピリジン誘導体は、キレートの配位子として機能する2,2’−ビピリジン誘導体であればよく、例えば、4,4’−ビスノニル−2,2’−ビピリジンを用いることができる。
(第2の錯体生成工程)
次に、第3の溶媒中で、第1の錯体生成工程で得られた第1のルテニウム錯体中の塩素原子2個と第1の配位子合成工程で得られた第1の配位子を置換し、第1の配位子をルテニウム原子に配位結合させて、第2のルテニウム錯体を生成する(下記化24参照)。
Figure 2011068793
ただし、X1’は、エステル基またはエステル結合を有する炭化水素化合物である。
第3の溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルピロリジンなどのアミン類、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキルなどが挙げられる。第3の溶媒としては、アミン類であるN−メチルピロリジンを用いることが好ましい。
(第3の錯体生成工程)
次に、第1の実施形態の第3の錯体生成工程と同様に、第2のルテニウム錯体に第3の配位子であるイソシアネート類を結合させて第3の錯体を生成する。
(加水分解工程)
最後に、第4の溶媒に第3の錯体とナトリウムとを溶解して、第3の錯体のエステル基を加水分解すれば、本実施形態の色素を得ることができる(下記化25参照)。
Figure 2011068793
第4の溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルピロリジンなどのアミン類、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキルなどが挙げられる。第4の溶媒としては、エタノールを用いることが好ましい。
なお、本実施形態においても、第1のビピリジン誘導体に2,2’−ビピリジン−4−フォスフォネートを用いれば、下記化26に示す第1の色素1分子と第2の色素1分子が結合した色素を得ることができる。
Figure 2011068793
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第1の色素が有機色素のときの色素の製造方法であり、以下の4工程を経て、第1の色素3分子と第2の色素1分子とが共有結合する。
(1)パラジウム触媒を含む第1の溶媒中で、第1の色素とフタロニトリル類とを反応させて、置換基として第1の色素を有する第1の中間体を得る第1の中間体合成工程
(2)塩基触媒を含む第2の溶媒中で、前記第1の中間体とエステル基を有するフタロニトリルとを反応させて、フタロシアニン骨格を有する第2の中間体を得る第2の中間体合成工程
(3)亜鉛化合物を含む第3の溶媒中で、前記第2の中間体のフタロシアニン骨格の中心部に亜鉛を配位させて第3の中間体を得る第3の中間体合成工程
(4)ナトリウムを含む第4の溶媒中で、前記第3の中間体のエステル基を加水分解する加水分解工程
以下、これらの4工程をそれぞれ詳細に説明する。
(第1の中間体合成工程)
まず、第1の溶媒中で、パラジウム触媒を用いて、第1の色素の電気供与性基(ボロン酸基)とフタロニトリル類の電子求引性基(ハロゲノ基)とを反応させて、第1の中間体を合成する(下記化27参照)。
Figure 2011068793
ただし、X1は、化1または6で表されるテトラフェニルアミン系色素または化2または7で表されるクマリン色素である。
パラジウム触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(イソシアン化t−ブチル)パラジウムなどのパラジウム化合物が挙げられる。パラジウム触媒としては、反応活性の高いテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムを用いることが好ましい。
また、第1の溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルピロリジンなどのアミン類、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキルなどが挙げられる。第1の溶媒としては、トルエンとテトラヒドロフランの混合溶媒を用いることが好ましい。
(第2の中間体合成工程)
次に、第2の溶媒中で、塩基触媒を用いて、第1の中間体とエステル基を置換基に有するフタロニトリルからハロゲン化水素を脱離させ、第1の中間体3分子とフタロニトリル1分子を結合させて、フタロシアニン骨格を有する第2の中間体を合成する(下記化28参照)。
Figure 2011068793
ただし、X2’は、エステル基またはエステル結合を有する炭化水素化合物である。
塩基触媒としては、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、アルカリ金属炭酸塩、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)などが挙げられる。塩基触媒としては、強塩基性を有し、かつ求核性が比較的弱いDBUまたはDBNを用いることが好ましい。
また、第2の溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルピロリジンなどのアミン類、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキルなどが挙げられる。第2の溶媒としては、ペンタノールを用いることが好ましい。
(第3の中間体合成工程)
次に、第3の溶媒に第2の中間体と亜鉛塩とを溶解し、亜鉛原子を第2の中間体のフタロシアニン骨格の中心部に配位させて、第3の中間体を合成する(下記化29参照)。
Figure 2011068793
第3の溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルピロリジンなどのアミン類、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキルなどが挙げられる。第3の溶媒としては、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒を用いることが好ましい。
また、亜鉛塩としては、例えば、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、酢酸亜鉛などが挙げられる。亜鉛塩としては、酢酸亜鉛を用いることが好ましい。
(加水分解工程)
最後に、第4の溶媒に第3の中間体とナトリウムとを溶解して、第3の中間体のエステル基を加水分解すれば、本実施形態の色素を得ることができる(下記化30参照)。
Figure 2011068793
第4の溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルピロリジンなどのアミン類、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキルなどが挙げられる。第4の溶媒としては、エタノールを用いることが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。なお、以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1)
本実施例では、下記化26で表される色素(以下、色素Aという)の製造方法(合成方法)および得られた色素Aが示す吸収スペクトルについて説明する。
Figure 2011068793
(1)第1の配位子合成工程
乾燥ヘキサンで3回洗浄した水素化ナトリウム(NaH)15mgを、テトラヒドロフラン40mLに加え縣濁した。この縣濁液に2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネート60mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を加え、室温(25±1℃)で30分撹拌して混合溶液を得た。この混合溶液に亜鉛フォルミル−トリ−ターシャリーブチルフタロシアニン253mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を室温で滴下して反応液を調製し、該反応液を窒素雰囲気下で還流しながら12時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷して濾過し、減圧下で濾液から溶媒を留去して、4,4’−ビス(亜鉛−ターシャリーブチルフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンを得た。
(2)第1の錯体生成工程
第1の配位子合成工程で得られた4,4’−ビス(亜鉛−t−ブチルフタロシアニン)−2,2’−ビピリジン225mgとジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー40mgとを、クロロホルムとエタノールとを体積比で2:8に混合した混合溶媒に溶解して反応液を調製し、該反応液を暗所にて窒素ガス雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、4,4’−ジ(亜鉛−t−ブチルフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体を得た。
(3)第2の錯体生成工程
4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジン31mgを乾燥ジメチルホルムアミドに加えて、80℃に加温して溶解した。溶解後、第1の錯体生成工程で得られた4,4’−ジ(亜鉛−t−ブチルフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体240mgを溶解したジメチルホルムアミド溶液を加えて反応液を調製し、該反応液を窒素雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。この工程により、第2のルテニウム錯体を得た。
(4)第3の錯体生成工程
第2の錯体生成工程で得た色素の前駆体を含む溶液を80℃まで放冷後、該溶液にアンモニウムイソシアネート(NHNCS)151mgを溶解して反応液を調製し、該反応液を窒素ガス雰囲気下で還流しながら2時間反応させた。反応終了後、減圧下でジメチルホルムアミドを留去して固形分を得て、水およびジエチルエーテルで洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥した固形分を、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを加えて塩基性としたメタノールに溶解して精製することにより、化31で表される色素Aを得た。
(吸収スペクトルの測定)
色素Aが吸収する光の波長を調べるため、分光測定装置により、波長300〜1000nmの範囲での吸収スペクトルを計測した(図2参照)。なお、吸収スペクトルは、色素Aを含むメタノール溶液(第3の錯体生成工程の精製前の溶液)および精製後の色素Aを吸着した酸化チタンナノ粒子層にて計測した。
図2より、色素Aの長波長側の吸収ピークは700nm近傍にあり、ルテニウム錯体系色素であるN色素の長波長側の吸収ピーク(図中の矢印の波長。520nm近傍)よりも長波長側にシフトしている。すなわち、ルテニウム錯体系色素よりも広範な波長域で光を吸収できることが解る。さらに、800nm以上の波長領域(赤外領域)においても、光を吸収していることが確認できた。この結果から、色素Aは、確実かつ効率的に広範な波長領域の光を吸収できることが確認できた。また、色素Aを色素増感型太陽電池の負極に吸着させれば、高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池を提供できる。
(実施例2)
本実施例では、下記化32で表される色素(以下、色素Bという)の製造方法および得られた色素Bが示す吸収スペクトルについて説明する。
Figure 2011068793
(1)第1の配位子合成工程
乾燥ヘキサンで3回洗浄した水素化ナトリウム10.9mgを、40mLのテトラヒドロフランに加えて縣濁させた。この縣濁液に、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネート41.6mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を加え、室温で30分撹拌して混合溶液を得た。この混合溶液に亜鉛フォルミル−トリ−ターシャリーブチルナフタロシアニン210mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を室温で滴下して、反応液を調製し、該反応液を窒素ガス雰囲気下で還流しながら12時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷して濾過し、減圧下で濾液から溶媒を留去して、4,4’−ビス(亜鉛−t−ブチルナフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンを得た。
(2)第1の錯体生成工程
第1の配位子合成工程で得られた,4’−ビス(亜鉛−t−ブチルナフタロシアニン)−2,2’−ビピリジン199mgとジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー41.4mgとを、クロロホルムとエタノールとを体積比で2:8に混合した混合溶媒に溶解して反応液を調製し、該反応液を暗所にて窒素ガス雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、4,4’−ジ(亜鉛−t−ブチルナフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体を得た。
(3)第2の錯体生成工程
4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジン酸33.8mgを乾燥ジメチルホルムアミドに加え、80℃に加温して溶解した。溶解後、第1のルテニウム錯体生成工程で得られた4,4’−ジ(亜鉛−t−ブチルナフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体300mgを溶解したジメチルホルムアミド溶液を加えて反応液を調製し、該反応液を窒素雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。
(4)第3の錯体生成工程
還流後80℃まで放冷した後、アンモニウムイソシアネート162.5mgを溶解して反応液を調製し、該反応液を窒素ガス雰囲気下で還流しながら2時間反応させた。反応終了後、減圧下でジメチルホルムアミドを留去して固形分を得て、水およびジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥した。乾燥した固形分を、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを加えて塩基性にしたメタノールに溶解して精製することにより、化32で表される色素Bを得た。
(吸収スペクトルの測定)
図3は、色素Bの吸収スペクトルの計測結果を示している。なお、吸収スペクトルは、実施例1の記載に従って計測した。
図3より、色素Bの長波長側の吸収ピークは、実施例1の色素Aと同様、700nm近傍にあり、ルテニウム錯体系色素であるN色素の長波長側の吸収ピーク(図中の矢印の波長。520nm近傍)よりも長波長側にシフトしている。すなわち、ルテニウム錯体系色素よりも広範な波長域で光を吸収できることが解る。さらに、800nm以上の波長領域(赤外領域)においても、顕著に光を吸収していることが確認できた。この結果から、色素Bは、確実かつ効率的に広範な波長領域の光を吸収できることが確認できた。また、この結果から、色素Bを色素増感型太陽電池の負極に吸着させれば、高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池を提供できる。
(実施例3)
本実施例では、下記化33で表される色素(以下、色素Cという)の製造方法および得られた色素Cが示す吸収スペクトルについて説明する。
Figure 2011068793
(1)第1の配位子合成工程
乾燥ヘキサンで3回洗浄した水素化ナトリウム13.5mgを、テトラヒドロフラン40mLに加えて縣濁した。この縣濁液に、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネート50mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を加え、室温で30分撹拌して混合溶液を得た。この混合溶液に、フォルミルポリフィリンを179mg溶解したテトラヒドロフラン溶液を室温で滴下して反応液を調製し、該反応液を窒素ガス雰囲気下で還流しながら12時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷して濾過し、減圧下で濾液から溶媒を留去して、4,4’−ビス(亜鉛テトラフェニルポリフィリン)−2,2’−ビピリジンを得た。
(2)第1の錯体生成工程
第1の配位子合成工程で得られた4,4’−ビス(亜鉛テトラフェニルポルフィリン)−2,2’−ビピリジン90mgとジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー17.23mgとをクロロホルムとエタノールとが体積比で2:8に混合した混合溶媒に溶解して反応液を調製し、該反応液を暗所にて窒素ガス雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、4,4’−ジ(亜鉛−t−テトラフェニルポルフィリン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体を得た。
(3)第2の錯体生成工程
4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジン14.77mgを乾燥ジメチルホルムアミドに加え、80℃に加温して溶解した。溶解後、第1のルテニウム錯体形成工程で得られた4,4’−ジ(亜鉛−t−テトラフェニルポルフィリン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体105mgを溶解したジメチルホルムアミド溶液を加えて反応液を調製し、該反応液を窒素雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。
(4)第3の錯体生成工程
還流後80℃まで放冷した後、アンモニウムイソシアネート64.1mgを加えて反応液を調製し、該反応液を窒素ガス雰囲気下で還流しながら2時間反応させた。反応終了後、減圧下でジメチルホルムアミドを留去して固形分を得て、水およびエチルエーテルで洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥した固形分を、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを加えて塩基性にしたメタノールに溶解して精製し、化33で表される色素Cを得た。
(吸収スペクトルの測定)
図4は、色素Cの吸収スペクトルの計測結果を示している。なお、吸収スペクトルは、実施例1の記載に従って計測した。
図4より、色素Cの長波長側の吸収ピークは、600nm近傍にあり、ルテニウム錯体系色素であるN色素の長波長側の吸収ピーク(図中の矢印の波長。520nm近傍)よりも長波長側にシフトしている。すなわち、ルテニウム錯体系色素よりも広範な波長域で光を吸収できることが解る。この結果から、色素Cは、確実かつ効率的に広範な波長領域の光を吸収できることが確認できた。また、色素Cを色素増感型太陽電池の負極に吸着させれば、高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池を提供できる。
(実施例4)
本実施例では、下記化34で表される増感色素(以下、色素Dという)の製造方法および得られた色素Dが示す吸収スペクトルについて説明する。
Figure 2011068793
(1)第1の配位子合成工程
乾燥ヘキサンで3回洗浄した水素化ナトリウム6mgを、テトラヒドロフラン10mLに加えて縣濁した。この縣濁液に、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネート20mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を加え、室温で30分撹拌して混合溶液を得た。この混合溶液に、トリス−トリエステル(フォルミルブタジエン)亜鉛フタロシアニン120mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を室温で滴下して反応液を調製し、該反応液を還流しながら12時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷して濾過し、減圧下で溶媒を留去して、2,2’−ビピリジン−4,4’−(トリス(トリエステル)亜鉛フタロシアニルブタジエニル)を得た。
(2)第1の錯体生成工程
ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー0.75gと4,4’−ビスノニル−2,2’−ビピリジンとを無水エタノール90mLに溶解して4時間還流した。室温まで冷却後、減圧下でエタノールを留去し、半固定状態の固形物を得た。該固形物を少量のアセトンに分散して濾別した後、エチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥して4,4’−ビスノニル−2,2’−ビピリジン−塩化ルテニウム錯体を得た。
(3)第2の錯体生成工程
第1の配位子50mgをN−メチルピロリジン(NMP)100mLに縣濁した後、160℃まで加熱し第1の配位子を溶解したNMP溶液を得た。このNMP溶液に、第1の錯体9.8mgを溶解して、乾燥窒素気流下で4時間還流した。
(4)第3の錯体生成工程
還流後NMP溶液を80℃まで放冷し、この溶液に、少量の蒸留水に溶解したアンモニウムイソシアネート40mgを加えた後、160℃まで加熱して2時間反応させた。反応終了後、この反応液を放冷して蒸留水を加え、生じた沈殿物を濾別し、該沈殿物を蒸留水で洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、化34で表される色素Dを得た。
(吸収スペクトルの測定)
図5は、色素Dの吸収スペクトルの計測結果を示している。なお、吸収スペクトルは、実施例1の記載に従って計測した。
図5より、色素Dの長波長側の吸収ピークは、実施例1の色素Aと同様、700nm近傍にあり、ルテニウム錯体系色素であるN色素の長波長側の吸収ピーク(図中の矢印の波長。520nm近傍)よりも長波長側にシフトしている。すなわち、ルテニウム錯体系色素よりも広範な波長域で光を吸収できることが解る。さらに、800nm以上の波長領域(赤外領域)でも、顕著に光を吸収していることが確認できた。この結果から、色素Dは、確実かつ効率的に広範な波長領域の光を吸収できることが確認できた。また、この結果から、色素Dを色素増感型太陽電池の負極に吸着させれば、高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池を提供できる。
(実施例5)
本実施例では、下記化35で表される増感色素(以下、色素Eという)の製造方法および得られた色素Eが示す吸収スペクトルについて説明する。
Figure 2011068793
(1)第1の中間体合成工程
4−ヨウ化フタロニトリル73.7mg、ジフェニルアミノフェニルボロン酸92.5mg、およびテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム57.7mgを、乾燥トルエン・テトラヒドロフラン溶媒10mLに溶解した。この溶媒に、蒸留水に炭酸ナトリウム14.8mgを溶解した溶液を加えて反応液を調製した。該反応液を乾燥アルゴン気流下で12時間還流し室温まで冷却した後、不溶物を濾取し溶媒を留去した。そして、シリカゲルカラムにより精製し、下記化36で表される第1の中間体を得た。
Figure 2011068793
(2)第2の中間体合成工程
第1の中間体300mg、4−トリエステルフタロニトリル100mg、およびジアザビシクロウンデセン(DBU)123mgを乾燥ペンタノール20mLに溶解して反応液を調製した。該反応液を20時間還流した後、ペンタノールを留去して、固形物を得た。クロロホルムとn−ヘキサンとを体積比で、クロロホルム:n−ヘキサン=8:2で混合した溶剤を用いて、該固形分をシリカゲルカラムで分離精製し、下記化37で表される第2の中間体を得た。この第2の中間体をクロロホルム・ヘキサン混合溶媒で再結晶化し、高純度の第2の中間体を得た。
Figure 2011068793
(3)第3の中間体合成工程
第2の中間体100mg、酢酸亜鉛2水和物25mgをクロロホルム・メタノール混合溶媒50mLに溶解して反応液を得た。該反応液を反応液の紫外可視吸収を逐次観察しながら、フタロシアニンのQバンドが変化するまで還流した。その後、混合溶媒を留去して固形物を得た。クロロホルムとメタノールとを体積比で、クロロホルム:メタノール=95:5で混合した溶剤を用いて、該固形物をシリカゲルカラムで分離精製し、下記化38で表される第3の中間体を得た。
Figure 2011068793
(4)加水分解工程
第3の中間体100mgをエタノール25mLに溶解した後、ナトリウムを加えて反応液を調製し、該反応液を室温で7日間撹拌しながら反応させた。反応終了後、エタノールを減圧下で留去して固形物を得た。該固形物を再度エタノールに溶解した後、希塩酸を用いてpHを3に調整して沈殿物を得た。該沈殿物を濾取して、減圧乾燥することにより、化35で表される色素Eを得た。
(吸収スペクトルの測定)
図6は、色素Eの吸収スペクトルの測定結果を示している。なお、吸収スペクトルは、実施例1の記載に従って計測した。
図6より、色素Eの長波長側の吸収ピークは、実施例1の色素Aと同様、700nm近傍にあり、ルテニウム錯体系色素であるN色素の長波長側の吸収ピーク(図中の矢印の波長。520nm近傍)よりも長波長側にシフトしている。すなわち、ルテニウム錯体系色素よりも広範な波長域で光を吸収できることが解る。さらに、800nm以上の波長領域(赤外領域)でも、顕著に光を吸収していることが確認できた。この結果から、色素Eは、確実かつ効率的に広範な波長領域の光を吸収できることが確認できた。また、この結果から、色素Eを色素増感型太陽電池の負極に吸着させれば、高い光電変換効率を示す色素増感型太陽電池を提供できる。
1 色素増感型太陽電池
2 負極
3 正極
4 スペーサ
5 電解質
21 透明電極
22 半導体電極
23 透明基板
24 透明導電膜

Claims (15)

  1. 異なる波長領域の光を吸収する第1の色素と第2の色素とからなり、
    前記第1の色素と前記第2の色素とは共有結合によって化学的に結合されている、
    ことを特徴とする色素。
  2. 前記第1の色素は金属錯体系色素であり、前記第2の色素は含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の色素。
  3. 前記金属錯体系色素は、ルテニウム錯体系色素、オスミウム錯体系色素、銅錯体系色素、レニウム錯体系色素および鉄錯体系色素からなる群から選ばれる、
    ことを特徴とする請求項2に記載の色素。
  4. 前記ルテニウム錯体系色素は、ルテニウムビピリジル錯体系色素である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の色素。
  5. 前記第1の色素は有機色素であり、前記第2の色素は含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の色素。
  6. 前記有機色素は、下記化1で表されるトリフェニルアミン系色素または下記化2で表されるクマリン系色素である、
    ことを特徴とする請求項5に記載の色素。
    Figure 2011068793
    Figure 2011068793
  7. 前記大環状化合物は、ポリフィリン骨格、フタロシアニン骨格またはナフタロシアニン骨格のいずれかの骨格を有し、
    前記いずれかの骨格の中心部には、金属原子が配位されている、
    ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の色素。
  8. 前記金属原子は、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、ロジウム、オスミウム、鉛、錫およびリンからなる原子の群から選ばれる、
    ことを特徴とする請求項7に記載の色素。
  9. 前記大環状化合物は、下記化3乃至化5のいずれかで表される化合物である、
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の色素。
    Figure 2011068793
    Figure 2011068793
    Figure 2011068793
    (ただし、前記第1の色素が金属錯体系色素のとき、X1は、−C2n+1(nは1以上20以下の整数を表す)、フェニル基、水素、カルボシキル基を有する炭化水素化合物からなる群から選ばれる置換基であり、X2は、−(C)−(C2n)−(mは0以上6以下の偶数(整数)、nは0以上4以下の整数)で表される炭化水素基を介して第1の色素を結合する。また、前記第1の色素が有機色素のとき、X1は、−(C)−(C2n)−(mは0以上6以下の偶数(整数)、nは0以上6以下の整数)で表される炭化水素基あるいはチオフェニル基を介して第1の色素と結合し、X2はカルボシキル基またはカルボキシル基を有する炭化水素化合物からなる置換基である。Mは金属原子である。)。
  10. 強塩基を含む第1の溶媒中で、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物と第1のビピリジン誘導体とを反応させて、前記大環状化合物と前記第1のビピリジン誘導体とが2:1または1:1のモル比で結合した第1の配位子を得る第1の配位子合成工程と、
    第2の溶媒中で、前記第1の配位子とルテニウム塩化物とを反応させて、第1のルテニウム錯体を得る第1の錯体生成工程と、
    第3の溶媒中で、前記第1のルテニウム錯体と第2の配位子である第2のビピリジン誘導体とを反応させて、第2のルテニウム錯体を得る第2の錯体生成工程と、
    前記第3の溶媒中に第3の配位子であるイソシアネート類を添加し、前記第2のルテニウム錯体と反応させて第3のルテニウム錯体を得る第3の錯体生成工程と、を備える、
    ことを特徴とする色素の製造方法。
  11. 強塩基を含む第1の溶媒中で、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物と第1のビピリジン誘導体とを反応させて、前記大環状化合物と前記第1のビピリジン誘導体とが2:1または1:1のモル比で結合した第1の配位子を得る第1の配位子合成工程と、
    第2の溶媒中で、ルテニウム塩化物と第2の配位子である第2のビピリジン誘導体とを反応させて、第1のルテニウム錯体を得る第1の錯体生成工程と、
    第3の溶媒中で、前記第1の配位子と前記第1のルテニウム錯体とを反応させて、第2のルテニウム錯体を得る第2の錯体生成工程と、
    前記第3の溶媒中に第3の配位子であるイソシアネート類を添加し、前記第2のルテニウム錯体と反応させて第3のルテニウム錯体を得る第3の錯体生成工程と、
    ナトリウムを含む第4の溶媒中で、前記第3の錯体のエステル基を加水分解する加水分解工程と、を備える、
    ことを特徴とする色素の製造方法。
  12. 前記第1のビピリジン誘導体は、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネートあるいは2,2’−ビピリジン−4−フォスフォネートである、
    ことを特徴とする請求項10または11に記載の色素の製造方法。
  13. 前記第2のビピリジン誘導体は、4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジンあるいは4,4’−ビスノニル−2,2’−ビピリジンである、
    ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の色素の製造方法。
  14. パラジウム触媒を含む第1の溶媒中で、第1の色素とフタロニトリルとを反応させて、置換基として第1の色素を有する第1の中間体を得る第1の中間体合成工程と、
    塩基触媒を含む第2の溶媒中で、前記第1の中間体とエステル基を有するフタロニトリルとを反応させて、フタロシアニン骨格を有する第2の中間体を得る第2の中間体合成工程と、
    亜鉛化合物を含む第3の溶媒中で、前記第2の中間体のフタロシアニン骨格の中心部に亜鉛を配位させて第3の中間体を得る第3の中間体合成工程と、
    ナトリウムを含む第4の溶媒中で、前記第3の中間体のエステル基を加水分解する加水分解工程と、を備える、
    ことを特徴とする色素の製造方法。
  15. 前記亜鉛化合物は、酢酸亜鉛である、
    ことを特徴とする請求項14に記載の色素の製造方法。
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