JP2011068793A - 色素およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の色素は、異なる波長領域の光を吸収する第1の色素と第2の色素とからなり、第1の色素と前記第2の色素とは共有結合によって化学的に結合されている。第1の色素は、金属錯体系色素、または、有機色素である。金属錯体系色素は、ルテニウム錯体系色素、オスミウム錯体系色素、銅錯体系色素、レニウム錯体系色素および鉄錯体系色素からなる群から選ばれる。有機色素は、所定のトリフェニルアミン系色素または所定のクマリン系色素である。第2の色素は、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物である。大環状化合物は、ポリフィリン骨格、フタロシアニン骨格またはナフタロシアニン骨格のいずれかの骨格を有し、いずれかの骨格の中心部には金属原子が配位されている。
【選択図】なし
Description
本発明の色素は、異なる波長領域の光を吸収する第1の色素と第2の色素とからなり、第1の色素と第2の色素とは共有結合によって化学的に結合されている。
次に、本発明の色素を用いた色素増感型太陽電池用電極および色素増感型太陽電池について説明する。図1は、色素増感型太陽電池の基本構成を示す図である。図1に示すように、色素増感型太陽電池1は、負極2と、正極3と、スペーサ4により負極2と正極3との間に形成される間隙に充填された電解質5と、を備えている。
次に、本発明の色素の製造方法について説明する。本実施の形態では、本発明の色素の種類に応じた3つの色素の製造方法(第1〜第3の実施形態)について説明する。
第1の実施形態は、第1の色素が金属錯体系色素のときに得られる色素の製造方法(合成方法)であり、以下の4工程を経て、第1の色素1分子と第2の色素2分子が、あるいは第1の色素1分子と第2の色素1分子が共有結合する。
(1)強塩基を含む第1の溶媒中で、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物と第1のビピリジン誘導体とを反応させて、第1の配位子を得る第1の配位子合成工程
(2)第2の溶媒中で、前記第1の配位子とルテニウム塩化物とを反応させて、第1のルテニウム錯体を得る第1の錯体生成工程
(3)第3の溶媒中で、前記第1のルテニウム錯体と第2の配位子である第2のビピリジン誘導体とを反応させて、第2のルテニウム錯体を得る第2の錯体生成工程
(4)前記第3の溶媒中に第3の配位子であるイソシアネート類を添加し、前記第2のルテニウム錯体と反応させて第3のルテニウム錯体を得る第3の錯体生成工程
以下、これらの4工程をそれぞれ詳細に説明する。なお、以下では、第1の色素1分子と第2の色素2分子が共有結合する例について説明する。
まず、第1の溶媒中で、強塩基により、第2の色素の置換基X2から水素を引き抜いて、第2の色素2分子と第1のビピリジン誘導体1分子をビニリデン基により共有結合させて第1の配位子を合成する(下記化18参照)。
次に、第2の溶媒中で、ルテニウム塩化物中の塩素原子2個と第1の配位子合成工程で得られた第1の配位子とを置換し、前記第1の配位子をルテニウム原子に配位結合させて、第1のルテニウム錯体を生成する(下記化19参照)。
次に、第3の溶媒中で、第1の錯体生成工程で得られた第1のルテニウム錯体中のp−シメンと第2のビピリジン誘導体とを置換し、第2のビピリジン誘導体をルテニウム原子に配位結合させて、第2のルテニウム錯体を生成する(下記化20参照)。
最後に、第3の溶媒中で、第2の錯体生成工程で得られた第2のルテニウム錯体に第3の配位子であるイソシアネート類を結合させることにより、本実施形態の色素を製造することができる(下記化21参照)。
第2の実施形態も、第1の実施形態と同様に、第1の色素が金属錯体系色素のときの色素の製造方法であり、以下の5工程を経て、第1の色素1分子と第2の色素2分子が、あるいは第1の色素1分子と第2の色素1分子が共有結合する。
(1)強塩基を含む第1の溶媒中で、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物と第1のビピリジン誘導体とを反応させて、第1の配位子を得る第1の配位子合成工程
(2)第2の溶媒中で、ルテニウム塩化物と第2の配位子である第2のビピリジン誘導体とを反応させて、第1のルテニウム錯体を得る第1の錯体生成工程
(3)第3の溶媒中で、前記第1の配位子と前記第1のルテニウム錯体とを反応させて、第2のルテニウム錯体を得る第2の錯体生成工程
(4)前記第3の溶媒中に第3の配位子であるイソシアネート類を添加し、前記第2のルテニウム錯体と反応させて第3のルテニウム錯体を得る第3の錯体生成工程
(5)ナトリウムを含む第4の溶媒中で、前記第3の錯体のエステル基を加水分解する加水分解工程
以下、第1の実施形態と異なる第1の錯体生成工程および第2の錯体生成工程を中心に本実施形態を説明する。なお、以下では、第1の実施形態と同様に、第1の色素1分子と第2の色素2分子が共有結合する例について説明する。
まず、第1の実施形態の第1の配位子合成工程と同様に、第1の溶媒中で、第2の色素2分子と第1のビピリジン誘導体1分子とをビニリデン基により共有結合させて、第1の配位子を合成する。
次に、第2の溶媒中で、ルテニウム塩化物中のp−シメンと第2のビピリジン誘導体とを置換して、第2のビピリジン誘導体をルテニウム原子に配位結合させて、第1のルテニウム錯体を生成する(下記化23参照)。
次に、第3の溶媒中で、第1の錯体生成工程で得られた第1のルテニウム錯体中の塩素原子2個と第1の配位子合成工程で得られた第1の配位子を置換し、第1の配位子をルテニウム原子に配位結合させて、第2のルテニウム錯体を生成する(下記化24参照)。
次に、第1の実施形態の第3の錯体生成工程と同様に、第2のルテニウム錯体に第3の配位子であるイソシアネート類を結合させて第3の錯体を生成する。
第3の実施形態は、第1の色素が有機色素のときの色素の製造方法であり、以下の4工程を経て、第1の色素3分子と第2の色素1分子とが共有結合する。
(1)パラジウム触媒を含む第1の溶媒中で、第1の色素とフタロニトリル類とを反応させて、置換基として第1の色素を有する第1の中間体を得る第1の中間体合成工程
(2)塩基触媒を含む第2の溶媒中で、前記第1の中間体とエステル基を有するフタロニトリルとを反応させて、フタロシアニン骨格を有する第2の中間体を得る第2の中間体合成工程
(3)亜鉛化合物を含む第3の溶媒中で、前記第2の中間体のフタロシアニン骨格の中心部に亜鉛を配位させて第3の中間体を得る第3の中間体合成工程
(4)ナトリウムを含む第4の溶媒中で、前記第3の中間体のエステル基を加水分解する加水分解工程
以下、これらの4工程をそれぞれ詳細に説明する。
まず、第1の溶媒中で、パラジウム触媒を用いて、第1の色素の電気供与性基(ボロン酸基)とフタロニトリル類の電子求引性基(ハロゲノ基)とを反応させて、第1の中間体を合成する(下記化27参照)。
次に、第2の溶媒中で、塩基触媒を用いて、第1の中間体とエステル基を置換基に有するフタロニトリルからハロゲン化水素を脱離させ、第1の中間体3分子とフタロニトリル1分子を結合させて、フタロシアニン骨格を有する第2の中間体を合成する(下記化28参照)。
次に、第3の溶媒に第2の中間体と亜鉛塩とを溶解し、亜鉛原子を第2の中間体のフタロシアニン骨格の中心部に配位させて、第3の中間体を合成する(下記化29参照)。
最後に、第4の溶媒に第3の中間体とナトリウムとを溶解して、第3の中間体のエステル基を加水分解すれば、本実施形態の色素を得ることができる(下記化30参照)。
本実施例では、下記化26で表される色素(以下、色素Aという)の製造方法(合成方法)および得られた色素Aが示す吸収スペクトルについて説明する。
乾燥ヘキサンで3回洗浄した水素化ナトリウム(NaH)15mgを、テトラヒドロフラン40mLに加え縣濁した。この縣濁液に2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネート60mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を加え、室温(25±1℃)で30分撹拌して混合溶液を得た。この混合溶液に亜鉛フォルミル−トリ−ターシャリーブチルフタロシアニン253mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を室温で滴下して反応液を調製し、該反応液を窒素雰囲気下で還流しながら12時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷して濾過し、減圧下で濾液から溶媒を留去して、4,4’−ビス(亜鉛−ターシャリーブチルフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンを得た。
第1の配位子合成工程で得られた4,4’−ビス(亜鉛−t−ブチルフタロシアニン)−2,2’−ビピリジン225mgとジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー40mgとを、クロロホルムとエタノールとを体積比で2:8に混合した混合溶媒に溶解して反応液を調製し、該反応液を暗所にて窒素ガス雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、4,4’−ジ(亜鉛−t−ブチルフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体を得た。
4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジン31mgを乾燥ジメチルホルムアミドに加えて、80℃に加温して溶解した。溶解後、第1の錯体生成工程で得られた4,4’−ジ(亜鉛−t−ブチルフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体240mgを溶解したジメチルホルムアミド溶液を加えて反応液を調製し、該反応液を窒素雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。この工程により、第2のルテニウム錯体を得た。
第2の錯体生成工程で得た色素の前駆体を含む溶液を80℃まで放冷後、該溶液にアンモニウムイソシアネート(NH4NCS)151mgを溶解して反応液を調製し、該反応液を窒素ガス雰囲気下で還流しながら2時間反応させた。反応終了後、減圧下でジメチルホルムアミドを留去して固形分を得て、水およびジエチルエーテルで洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥した固形分を、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを加えて塩基性としたメタノールに溶解して精製することにより、化31で表される色素Aを得た。
色素Aが吸収する光の波長を調べるため、分光測定装置により、波長300〜1000nmの範囲での吸収スペクトルを計測した(図2参照)。なお、吸収スペクトルは、色素Aを含むメタノール溶液(第3の錯体生成工程の精製前の溶液)および精製後の色素Aを吸着した酸化チタンナノ粒子層にて計測した。
本実施例では、下記化32で表される色素(以下、色素Bという)の製造方法および得られた色素Bが示す吸収スペクトルについて説明する。
乾燥ヘキサンで3回洗浄した水素化ナトリウム10.9mgを、40mLのテトラヒドロフランに加えて縣濁させた。この縣濁液に、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネート41.6mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を加え、室温で30分撹拌して混合溶液を得た。この混合溶液に亜鉛フォルミル−トリ−ターシャリーブチルナフタロシアニン210mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を室温で滴下して、反応液を調製し、該反応液を窒素ガス雰囲気下で還流しながら12時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷して濾過し、減圧下で濾液から溶媒を留去して、4,4’−ビス(亜鉛−t−ブチルナフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンを得た。
第1の配位子合成工程で得られた,4’−ビス(亜鉛−t−ブチルナフタロシアニン)−2,2’−ビピリジン199mgとジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー41.4mgとを、クロロホルムとエタノールとを体積比で2:8に混合した混合溶媒に溶解して反応液を調製し、該反応液を暗所にて窒素ガス雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、4,4’−ジ(亜鉛−t−ブチルナフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体を得た。
4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジン酸33.8mgを乾燥ジメチルホルムアミドに加え、80℃に加温して溶解した。溶解後、第1のルテニウム錯体生成工程で得られた4,4’−ジ(亜鉛−t−ブチルナフタロシアニン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体300mgを溶解したジメチルホルムアミド溶液を加えて反応液を調製し、該反応液を窒素雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。
還流後80℃まで放冷した後、アンモニウムイソシアネート162.5mgを溶解して反応液を調製し、該反応液を窒素ガス雰囲気下で還流しながら2時間反応させた。反応終了後、減圧下でジメチルホルムアミドを留去して固形分を得て、水およびジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥した。乾燥した固形分を、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを加えて塩基性にしたメタノールに溶解して精製することにより、化32で表される色素Bを得た。
図3は、色素Bの吸収スペクトルの計測結果を示している。なお、吸収スペクトルは、実施例1の記載に従って計測した。
本実施例では、下記化33で表される色素(以下、色素Cという)の製造方法および得られた色素Cが示す吸収スペクトルについて説明する。
乾燥ヘキサンで3回洗浄した水素化ナトリウム13.5mgを、テトラヒドロフラン40mLに加えて縣濁した。この縣濁液に、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネート50mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を加え、室温で30分撹拌して混合溶液を得た。この混合溶液に、フォルミルポリフィリンを179mg溶解したテトラヒドロフラン溶液を室温で滴下して反応液を調製し、該反応液を窒素ガス雰囲気下で還流しながら12時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷して濾過し、減圧下で濾液から溶媒を留去して、4,4’−ビス(亜鉛テトラフェニルポリフィリン)−2,2’−ビピリジンを得た。
第1の配位子合成工程で得られた4,4’−ビス(亜鉛テトラフェニルポルフィリン)−2,2’−ビピリジン90mgとジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー17.23mgとをクロロホルムとエタノールとが体積比で2:8に混合した混合溶媒に溶解して反応液を調製し、該反応液を暗所にて窒素ガス雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、4,4’−ジ(亜鉛−t−テトラフェニルポルフィリン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体を得た。
4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジン14.77mgを乾燥ジメチルホルムアミドに加え、80℃に加温して溶解した。溶解後、第1のルテニウム錯体形成工程で得られた4,4’−ジ(亜鉛−t−テトラフェニルポルフィリン)−2,2’−ビピリジンルテニウム−p−シメン錯体105mgを溶解したジメチルホルムアミド溶液を加えて反応液を調製し、該反応液を窒素雰囲気下で還流しながら4時間反応させた。
還流後80℃まで放冷した後、アンモニウムイソシアネート64.1mgを加えて反応液を調製し、該反応液を窒素ガス雰囲気下で還流しながら2時間反応させた。反応終了後、減圧下でジメチルホルムアミドを留去して固形分を得て、水およびエチルエーテルで洗浄した後、減圧下で乾燥した。乾燥した固形分を、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを加えて塩基性にしたメタノールに溶解して精製し、化33で表される色素Cを得た。
図4は、色素Cの吸収スペクトルの計測結果を示している。なお、吸収スペクトルは、実施例1の記載に従って計測した。
本実施例では、下記化34で表される増感色素(以下、色素Dという)の製造方法および得られた色素Dが示す吸収スペクトルについて説明する。
乾燥ヘキサンで3回洗浄した水素化ナトリウム6mgを、テトラヒドロフラン10mLに加えて縣濁した。この縣濁液に、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネート20mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を加え、室温で30分撹拌して混合溶液を得た。この混合溶液に、トリス−トリエステル(フォルミルブタジエン)亜鉛フタロシアニン120mgを溶解したテトラヒドロフラン溶液を室温で滴下して反応液を調製し、該反応液を還流しながら12時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷して濾過し、減圧下で溶媒を留去して、2,2’−ビピリジン−4,4’−(トリス(トリエステル)亜鉛フタロシアニルブタジエニル)を得た。
ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー0.75gと4,4’−ビスノニル−2,2’−ビピリジンとを無水エタノール90mLに溶解して4時間還流した。室温まで冷却後、減圧下でエタノールを留去し、半固定状態の固形物を得た。該固形物を少量のアセトンに分散して濾別した後、エチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥して4,4’−ビスノニル−2,2’−ビピリジン−塩化ルテニウム錯体を得た。
第1の配位子50mgをN−メチルピロリジン(NMP)100mLに縣濁した後、160℃まで加熱し第1の配位子を溶解したNMP溶液を得た。このNMP溶液に、第1の錯体9.8mgを溶解して、乾燥窒素気流下で4時間還流した。
還流後NMP溶液を80℃まで放冷し、この溶液に、少量の蒸留水に溶解したアンモニウムイソシアネート40mgを加えた後、160℃まで加熱して2時間反応させた。反応終了後、この反応液を放冷して蒸留水を加え、生じた沈殿物を濾別し、該沈殿物を蒸留水で洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、化34で表される色素Dを得た。
図5は、色素Dの吸収スペクトルの計測結果を示している。なお、吸収スペクトルは、実施例1の記載に従って計測した。
本実施例では、下記化35で表される増感色素(以下、色素Eという)の製造方法および得られた色素Eが示す吸収スペクトルについて説明する。
4−ヨウ化フタロニトリル73.7mg、ジフェニルアミノフェニルボロン酸92.5mg、およびテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム57.7mgを、乾燥トルエン・テトラヒドロフラン溶媒10mLに溶解した。この溶媒に、蒸留水に炭酸ナトリウム14.8mgを溶解した溶液を加えて反応液を調製した。該反応液を乾燥アルゴン気流下で12時間還流し室温まで冷却した後、不溶物を濾取し溶媒を留去した。そして、シリカゲルカラムにより精製し、下記化36で表される第1の中間体を得た。
第1の中間体300mg、4−トリエステルフタロニトリル100mg、およびジアザビシクロウンデセン(DBU)123mgを乾燥ペンタノール20mLに溶解して反応液を調製した。該反応液を20時間還流した後、ペンタノールを留去して、固形物を得た。クロロホルムとn−ヘキサンとを体積比で、クロロホルム:n−ヘキサン=8:2で混合した溶剤を用いて、該固形分をシリカゲルカラムで分離精製し、下記化37で表される第2の中間体を得た。この第2の中間体をクロロホルム・ヘキサン混合溶媒で再結晶化し、高純度の第2の中間体を得た。
第2の中間体100mg、酢酸亜鉛2水和物25mgをクロロホルム・メタノール混合溶媒50mLに溶解して反応液を得た。該反応液を反応液の紫外可視吸収を逐次観察しながら、フタロシアニンのQバンドが変化するまで還流した。その後、混合溶媒を留去して固形物を得た。クロロホルムとメタノールとを体積比で、クロロホルム:メタノール=95:5で混合した溶剤を用いて、該固形物をシリカゲルカラムで分離精製し、下記化38で表される第3の中間体を得た。
第3の中間体100mgをエタノール25mLに溶解した後、ナトリウムを加えて反応液を調製し、該反応液を室温で7日間撹拌しながら反応させた。反応終了後、エタノールを減圧下で留去して固形物を得た。該固形物を再度エタノールに溶解した後、希塩酸を用いてpHを3に調整して沈殿物を得た。該沈殿物を濾取して、減圧乾燥することにより、化35で表される色素Eを得た。
図6は、色素Eの吸収スペクトルの測定結果を示している。なお、吸収スペクトルは、実施例1の記載に従って計測した。
2 負極
3 正極
4 スペーサ
5 電解質
21 透明電極
22 半導体電極
23 透明基板
24 透明導電膜
Claims (15)
- 異なる波長領域の光を吸収する第1の色素と第2の色素とからなり、
前記第1の色素と前記第2の色素とは共有結合によって化学的に結合されている、
ことを特徴とする色素。 - 前記第1の色素は金属錯体系色素であり、前記第2の色素は含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物である、
ことを特徴とする請求項1に記載の色素。 - 前記金属錯体系色素は、ルテニウム錯体系色素、オスミウム錯体系色素、銅錯体系色素、レニウム錯体系色素および鉄錯体系色素からなる群から選ばれる、
ことを特徴とする請求項2に記載の色素。 - 前記ルテニウム錯体系色素は、ルテニウムビピリジル錯体系色素である、
ことを特徴とする請求項3に記載の色素。 - 前記第1の色素は有機色素であり、前記第2の色素は含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物である、
ことを特徴とする請求項1に記載の色素。 - 前記大環状化合物は、ポリフィリン骨格、フタロシアニン骨格またはナフタロシアニン骨格のいずれかの骨格を有し、
前記いずれかの骨格の中心部には、金属原子が配位されている、
ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の色素。 - 前記金属原子は、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、ロジウム、オスミウム、鉛、錫およびリンからなる原子の群から選ばれる、
ことを特徴とする請求項7に記載の色素。 - 前記大環状化合物は、下記化3乃至化5のいずれかで表される化合物である、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の色素。
- 強塩基を含む第1の溶媒中で、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物と第1のビピリジン誘導体とを反応させて、前記大環状化合物と前記第1のビピリジン誘導体とが2:1または1:1のモル比で結合した第1の配位子を得る第1の配位子合成工程と、
第2の溶媒中で、前記第1の配位子とルテニウム塩化物とを反応させて、第1のルテニウム錯体を得る第1の錯体生成工程と、
第3の溶媒中で、前記第1のルテニウム錯体と第2の配位子である第2のビピリジン誘導体とを反応させて、第2のルテニウム錯体を得る第2の錯体生成工程と、
前記第3の溶媒中に第3の配位子であるイソシアネート類を添加し、前記第2のルテニウム錯体と反応させて第3のルテニウム錯体を得る第3の錯体生成工程と、を備える、
ことを特徴とする色素の製造方法。 - 強塩基を含む第1の溶媒中で、含窒素複素環式化合物が連結した大環状化合物と第1のビピリジン誘導体とを反応させて、前記大環状化合物と前記第1のビピリジン誘導体とが2:1または1:1のモル比で結合した第1の配位子を得る第1の配位子合成工程と、
第2の溶媒中で、ルテニウム塩化物と第2の配位子である第2のビピリジン誘導体とを反応させて、第1のルテニウム錯体を得る第1の錯体生成工程と、
第3の溶媒中で、前記第1の配位子と前記第1のルテニウム錯体とを反応させて、第2のルテニウム錯体を得る第2の錯体生成工程と、
前記第3の溶媒中に第3の配位子であるイソシアネート類を添加し、前記第2のルテニウム錯体と反応させて第3のルテニウム錯体を得る第3の錯体生成工程と、
ナトリウムを含む第4の溶媒中で、前記第3の錯体のエステル基を加水分解する加水分解工程と、を備える、
ことを特徴とする色素の製造方法。 - 前記第1のビピリジン誘導体は、2,2’−ビピリジン−4,4’−ジフォスフォネートあるいは2,2’−ビピリジン−4−フォスフォネートである、
ことを特徴とする請求項10または11に記載の色素の製造方法。 - 前記第2のビピリジン誘導体は、4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジンあるいは4,4’−ビスノニル−2,2’−ビピリジンである、
ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の色素の製造方法。 - パラジウム触媒を含む第1の溶媒中で、第1の色素とフタロニトリルとを反応させて、置換基として第1の色素を有する第1の中間体を得る第1の中間体合成工程と、
塩基触媒を含む第2の溶媒中で、前記第1の中間体とエステル基を有するフタロニトリルとを反応させて、フタロシアニン骨格を有する第2の中間体を得る第2の中間体合成工程と、
亜鉛化合物を含む第3の溶媒中で、前記第2の中間体のフタロシアニン骨格の中心部に亜鉛を配位させて第3の中間体を得る第3の中間体合成工程と、
ナトリウムを含む第4の溶媒中で、前記第3の中間体のエステル基を加水分解する加水分解工程と、を備える、
ことを特徴とする色素の製造方法。 - 前記亜鉛化合物は、酢酸亜鉛である、
ことを特徴とする請求項14に記載の色素の製造方法。
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