JP2011068206A - 張力センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】シートベルトの各部に加わる張力を検出可能な張力センサを提供することを課題とする。
【解決手段】張力センサ1は、エラストマ製の誘電層2と、誘電層2の裏側に配置され、シートベルト9の検出対象区間90の表面に直接あるいは間接的に全面的に固定される固定電極3aと、固定電極3aに接続される固定配線4aと、誘電層2の表側に配置され誘電層2を積層方向に圧縮しにくい自由電極3bと、自由電極3bに接続される自由配線4bと、を備えてなり、検出対象区間90に加わる張力を、静電容量の変化に基づいて検出することを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば車両の衝突などの際に、シートベルトに加わる張力を検出可能な張力センサに関する。
例えば、特許文献1には、シートベルトのバックルに装着された張力センサが開示されている。同文献記載の張力センサは、歪みゲージを備えている。シートベルトに加わる張力を歪みとして検出することにより、同文献記載の張力センサは張力を検出している。
また、特許文献2には、シートベルトのアンカーに装着された張力センサが開示されている。同文献記載の張力センサは、近接センサを備えている。シートベルトに加わる張力をアンカーボルトの変位として検出することにより、同文献記載の張力センサは張力を検出している。
特開2002−370616号公報 特表2005−517566号公報
このように、従来の張力センサは、シートベルトのバックルやアンカーなどに装着されていた。すなわち、乗員の身体から離れた部分に装着されていた。このため、シートベルト全体に加わる平均的な張力を検出することができた反面、シートベルトの各部に加わる張力(当該張力は、シートベルトから乗員の身体の各部に加わる圧迫力を反映しやすい。)を検出することは困難だった。また、シートベルト全体における張力分布を検出することは困難だった。
本発明の張力センサは、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、シートベルトの各部に加わる張力を検出可能な張力センサを提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の張力センサは、エラストマ製の誘電層と、該誘電層の裏側に配置され、シートベルトの検出対象区間の表面に直接あるいは間接的に全面的に固定される固定電極と、該固定電極に接続される固定配線と、該誘電層の表側に配置され該誘電層を積層方向に圧縮しにくい自由電極と、該自由電極に接続される自由配線と、を備えてなり、該検出対象区間に加わる張力を、静電容量の変化に基づいて検出することを特徴とする(請求項1に対応)。
本発明の張力センサは、静電容量型のセンサである。固定電極、誘電層、自由電極は、シートベルトの表面(前面、裏面を含む)から外側(前面の場合は前側、後面の場合は後側)に向かって、直接あるいは別の層を介して、この順番に積層されている。
張力が加わると、検出対象区間が伸張する(歪む)。このため、固定電極も伸張する。固定電極が伸張すると、それに応じて、誘電層も面方向に伸張する。ここで、誘電層はエラストマ製である。このため、誘電層は、面方向に伸張すると共に、積層方向に収縮する。すなわち、面方向の変位を積層方向の変位に変換する。誘電層が収縮すると、固定電極と自由電極との間の電極間距離が短くなる。電極間距離をd、電極面積をS、誘電率をεとすると静電容量Cは、以下の式1により表すことができる。
Figure 2011068206
式1に示すように、電極間距離dが短くなると、静電容量Cは大きくなる。また、電極面積Sが大きくなると、静電容量Cは大きくなる。本発明の張力センサは、この静電容量の変化から、シートベルトの検出対象区間に加わる張力を検出している。このように、本発明の張力センサによると、シートベルトの各部(検出対象区間)に加わる張力を検出することができる。
ところで、シートベルトの検出対象区間に張力が加わるのは、乗員の身体のうち当該検出対象区間に近接する部分から、当該検出対象区間に、荷重が加わるからである。逆に言えば、乗員の身体には、当該荷重に応じた反力(圧迫力)が、検出対象区間から加わっていることになる。この点、本発明の張力センサによると、例えば肩部や腰部や腹部など、乗員の身体の各部に加わる圧迫力を、検出対象区間の張力から想定することができる。このため、より確実に、シートベルトの圧迫から乗員を保護することができる。
また、本発明の張力センサによると、固定電極が、検出対象区間の表面に、直接あるいは間接的に、全面的に固定されている。このため、検出対象区間の歪みを、正確に、固定電極に転写することができる。
また、本発明の張力センサによると、自由電極が誘電層を圧縮しにくい。すなわち、自由電極の外側に別の層がある場合、当該層から自由電極に、圧縮力が加わりにくい。また、自由電極の外側に別の層がない場合、自由電極が隣接部材と干渉しない。このため、圧縮力により、電極間距離が短くなるおそれが小さい。すなわち、圧縮力により、静電容量が変化するおそれが小さい。したがって、検出対象区間に加わる張力だけを、検出することができる。このように、本発明の張力センサは、張力の検出精度が高い。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記固定電極、前記固定配線、前記自由電極、前記自由配線は、印刷により形成されている構成とする方がよい(請求項2に対応)。
本構成によると、固定電極、固定配線、自由電極、自由配線を、簡単に、精度よく配置することができる。また、張力センサの積層方向厚さを薄くしやすい。このため、検出対象区間の歪みに追随して、張力センサが変形しやすい。また、検出対象区間の歪みを、正確に、固定電極に転写することができる。
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記固定電極と前記自由電極との間に印加される交流電圧の周波数は、20kHz以上であり、前記固定配線および前記自由配線の幅は、0.05mm以上5mm以下であり、該固定配線および該自由配線の電気抵抗は、100kΩ以下である構成とする方がよい(請求項3に対応)。
交流電圧の周波数を20kHz以上としたのは、20kHz未満の場合、例えば車両衝突や衝突試験の際に、所望の速度、頻度で、データをサンプリングできないからである。すなわち、車両衝突や衝突試験においては、データの高速サンプリングが要求されるからである。
固定配線および自由配線の幅を0.05mm以上としたのは、0.05mm未満の場合、配線の電気抵抗が大きくなるからである。すなわち、交流電圧の周波数が高い場合、静電容量の測定精度を向上させるためには、配線の電気抵抗を小さくする必要があるからである。なお、詳しい理由については後述する。
また、固定配線および自由配線の幅を5mm以下としたのは、5mm超過の場合、配線自身の持つ静電容量が無視できないほどの大きさになり、張力センサの検出精度の低下につながるからである。
また、固定配線および自由配線の電気抵抗を100kΩ以下としたのは、100kΩ超過の場合、配線の電気抵抗が大きくなるからである。
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記固定電極と前記自由電極との間に印加される交流電圧の周波数は、20kHz以上であり、該固定電極と該自由電極との間の電極間距離は、0.01mm以上5mm以下であり、該固定電極および該自由電極の電極面積は、0.1cm以上100cm以下である構成とする方がよい(請求項4に対応)。
交流電圧の周波数を20kHz以上としたのは、上記(3)と同様に、20kHz未満の場合、例えば車両衝突や衝突試験の際に、所望の速度、頻度で、データをサンプリングできないからである。すなわち、車両衝突や衝突試験においては、データの高速サンプリングが要求されるからである。
電極間距離を0.01mm以上としたのは、0.01mm未満の場合、静電容量が大きくなるからである。すなわち、交流電圧の周波数が高い場合、静電容量の測定精度を向上させるためには、静電容量の絶対値を小さくする必要があるからである。なお、詳しい理由については後述する。
また、電極間距離を5mm以下としたのは、以下の理由による。すなわち、配線自身や電極自身も、わずかながら静電容量を持っている。一方、電極間距離が5mm超過の場合、電極間距離(誘電層)に起因する静電容量は過度に小さくなる。このため、電極間距離が5mm超過の場合、静電容量の変化比(検出対象区間変形前と変形後との静電容量比)が過度に小さくなる。したがって、張力センサの検出精度が低下してしまう。このような理由から、電極間距離を5mm以下としている。
また、電極面積を0.1cm以上としたのも、上記電極間距離を5mm以下とした理由と同様である。すなわち、電極面積が0.1cm未満の場合、電極間距離(誘電層)に起因する静電容量は過度に小さくなる。このため、配線自身や電極自身の静電容量が、静電容量の変化比に与える影響が大きくなり、張力センサの検出精度が低下してしまうからである。
また、電極面積を100cm以下としたのは、100cm超過の場合、静電容量が大きくなるからである。すなわち、交流電圧の周波数が高い場合、静電容量の測定精度を向上させるためには、静電容量の絶対値を小さくする必要があるからである。なお、詳しい理由については後述する。
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記誘電層を形成する前記エラストマ、前記固定電極および前記自由電極を形成する電極材料、前記固定配線および前記自由配線を形成する配線材料の破断歪みは、6%以上である構成とする方がよい(請求項5に対応)。
破断歪みの測定方法については、後述する。エラストマ、電極材料、配線材料の破断歪みを6%以上としたのは、6%未満の場合、検出対象区間の歪みに、誘電層、固定電極、自由電極、固定配線、自由配線が、追随しにくいからである。また、検出対象区間の変形を、誘電層、固定電極、自由電極、固定配線、自由配線が、規制するおそれがあるからである。また、衝突試験において設定される10kNの荷重が加わる際のシートベルトの歪み量が6%だからである。
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、さらに、前記固定電極の裏面を覆う固定絶縁層と、該固定絶縁層を前記検出対象区間に全面的に接着する接着層と、前記自由電極を積層方向に圧縮しにくいように該自由電極の表面を覆う自由絶縁層と、を備える構成とする方がよい(請求項6に対応)。
本構成によると、隣接部材に対して、張力センサの絶縁を確保しやすい。なお、本構成の場合、固定電極は、固定絶縁層および接着層を介して、間接的に、検出対象区間に固定されている。また、自由電極が誘電層を圧縮しにくい。
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、前記接着層を形成する接着剤の破断歪みは、6%以上である構成とする方がよい(請求項7に対応)。破断歪みの測定方法については、後述する。接着剤の破断歪みを6%以上としたのは、6%未満の場合、検出対象区間の歪みに、接着層が追随しにくいからである。また、検出対象区間の変形を、接着層が規制するおそれがあるからである。また、衝突試験において設定される10kNの荷重が加わる際のシートベルトの歪み量が6%だからである。
(8)好ましくは、上記(1)ないし(7)のいずれかの構成において、前記固定電極一つに対して、前記自由電極は複数配置される構成とする方がよい(請求項8に対応)。固定電極は、検出対象区間に全面的に固定されている。このため、検出対象区間の歪み分布を、固定電極は忠実に反映する。したがって、同一の検出対象区間において、静電容量が大きい部分と、静電容量が小さい部分と、が出現する場合がある。この点、本構成によると、単一の固定電極に対して、複数の自由電極が配置されている。このため、静電容量分布という形で、検出対象区間の歪み分布つまり張力分布を、検出することができる。
(9)好ましくは、上記(1)ないし(8)のいずれかの構成において、前記検出対象区間に張力が加わる前の静電容量をC0、該検出対象区間に張力が加わった時の静電容量をC1、該C1と該C0との差をΔCとして、静電容量比ΔC/C0を用いて該検出対象区間に加わる張力を検出する構成とする方がよい(請求項9に対応)。
本構成によると、静電容量の比を用いて張力を検出している。このため、検出されるデータから、温度による影響を除去することができる。すなわち、温度補償することができる。なお、詳しい理由については後述する。
なお、本構成は、上記(1)ないし(8)のいずれかの構成から独立して実施することができる。すなわち、張力センサの張力検出方法あるいは歪みセンサの歪み検出方法として、実施することができる。
本発明の張力センサによると、シートベルトの各部に加わる張力を検出可能な張力センサを提供することができる。
第一実施形態の張力センサが取り付けられたシートベルトの透過前面図である。 図1の乗員腹部に配置された張力センサの前面図である。 同張力センサの分解斜視図である。 図2のIV−IV方向断面図である。 第一実施形態の張力センサの製造方法の印刷工程の第一段階の模式図である。 同印刷工程の第二段階の模式図である。 同印刷工程の第三段階の模式図である。 同印刷工程の第四段階の模式図である。 同張力センサの製造方法の裁断工程の模式図である。 同張力センサの回路モデル図である。 静電容量比ΔC/C0の変化を示すグラフである。 シートベルトに張力が加わる際の同張力センサの断面図である。 交流電圧の周波数が10kHzの場合のインピーダンス変化を示すグラフである。 交流電圧の周波数が200kHzの場合のインピーダンス変化を示すグラフである。 第二実施形態の張力センサが取り付けられたシートベルトの透過前面図である。 同張力センサの断面図である。 シートベルトに張力が加わる際の図16の枠XVII内の拡大図である。
以下、本発明の張力センサの実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
[張力センサの構造]
まず、本実施形態の張力センサの構造について説明する。図1に、本実施形態の張力センサが取り付けられたシートベルトの透過前面図を示す。図2に、図1の乗員腹部に配置された張力センサの前面図を示す。図3に、同張力センサの分解斜視図を示す。図4に、図2のIV−IV方向断面図を示す。なお、以下の図においては、車両進行方向に沿って左右を示す。
図1に示すように、シートベルト9は、巻取装置91とアンカー93との間に、バックル92を介して、張設されている。張力センサ1は、シートベルト9に三つ配置されている。三つの張力センサ1は、乗員Pの肩部、腰部、腹部に対応して配置されている。三つの張力センサ1は、シートベルト9の前面に配置されている。このため、三つの張力センサ1は、乗員Pに干渉しない。三つの張力センサ1の構成、動きは同じである。このため、以下、三つの張力センサ1を代表して、腹部に配置された張力センサ1の構成、動きについて説明する。
図2〜図4に示すように、張力センサ1は、誘電層2と、固定電極3a、固定配線4aと、自由電極3bと、自由配線4bと、固定絶縁層5aと、自由絶縁層5bと、接着層6と、を備えている。
誘電層2は、ウレタンゴム製であって、左右方向に長い長方形膜状を呈している。固定配線4aは、ウレタンゴム中に、銀粉末が充填されたエラストマ材料からなる。固定配線4aは、線状を呈している。図3にハッチングで示すように、固定配線4aは、誘電層2の後面に印刷されている。
固定電極3aは、アクリルゴム中に、ケッチェンブラックが充填されたエラストマ材料からなる。固定電極3aは、正方形膜状を呈している。図3にハッチングで示すように、固定電極3aは、固定配線4aの後方から、誘電層2の後面に印刷されている。
固定絶縁層5aは、アクリルゴム製であって、左右方向に長い長方形膜状を呈している。固定絶縁層5aは、固定配線4aおよび固定電極3aを後方から覆っている。接着層6は、シリコーン接着剤からなり、正方形膜状を呈している。図3にハッチングで示すように、接着層6は、固定絶縁層5aの後面と、シートベルト9の前面の検出対象区間90と、を接着している。すなわち、固定電極3aは、固定絶縁層5a、接着層6を介して、検出対象区間90に固定されている。
自由配線4bは、ウレタンゴム中に、銀粉末が充填されたエラストマ材料からなる。自由配線4bは、線状を呈している。図3にハッチングで示すように、自由配線4bは、誘電層2の前面に印刷されている。
自由電極3bは、アクリルゴム中に、ケッチェンブラックが充填されたエラストマ材料からなる。自由電極3bは、正方形膜状を呈している。図3にハッチングで示すように、自由電極3bは、自由配線4bの前方から、誘電層2の前面に印刷されている。自由絶縁層5bは、アクリルゴム製であって、左右方向に長い長方形膜状を呈している。自由絶縁層5bは、自由配線4bおよび自由電極3bを前方から覆っている。
[張力センサの製造方法]
次に、本実施形態の張力センサの製造方法について説明する。張力センサの製造方法は、調製工程と、印刷工程と、裁断工程と、を有している。
(調製工程)
本工程においては、電極材料、配線材料、固定絶縁層5aおよび自由絶縁層5bを形成する絶縁材料を、各々調製する。
まず、電極材料の調製方法について説明する。アクリルゴムポリマー(日本ゼオン社製「ニポール(登録商標)AR51」)100重量部(以下、「部」と略称する。)と、加硫助剤のステアリン酸(花王社製「ルナック(登録商標)S30」)1部と、加硫促進剤のジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学社製「ノクセラー(登録商標)PZ」)2.5部、およびジメチルジチオカルバミン酸第二鉄(大内新興化学社製「ノクセラーTTFE」)0.5部と、をロール練り機にて混合し、エラストマ組成物を調製する。調製したエラストマ組成物を、メチルエチルケトン(MEK)1500部に溶解させる。この溶液に、導電性フィラーとしてケッチェンブラック(ライオン社製「EC600JD」、平均粒子径約40nm)22.86部を添加して、固形分濃度約7.8重量%のMEK溶液を得る。得られたMEK溶液をダイノミルにて混合し、ケッチェンブラックを分散させる。さらに、MEK溶液に、印刷用溶剤のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート686.7部を添加する。この溶液を、大気と接しやすい広口容器に入れ、時々攪拌しながら室温にて一日静置する。こうすることで、低沸点のMEKを蒸発させ、電極材料を得る。
次に、配線材料の調製方法について説明する。ウレタンポリマーを低沸点溶剤に溶解させた溶液(日本ポリウレタン工業社製「ニッポラン(登録商標)5230」、固形分濃度30重量%)333部に、二種類の銀粉末(DOWAエレクトロニクス社「FA−D−4」、「AG2−1C」)を各々400部ずつ添加する。さらに、印刷用溶剤のブチルカルビトール150部を添加して、攪拌する。この溶液を、大気と接しやすい広口容器に入れ、時々攪拌しながら室温にて一日静置する。こうすることで、低沸点溶剤を蒸発させ、配線材料を得る。
次に、絶縁材料の調製方法について説明する。アクリルゴムポリマー(同上)100部と、加硫助剤のステアリン酸(同上)1部と、加硫促進剤のジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(同上)2.5部、およびジメチルジチオカルバミン酸第二鉄(同上)0.5部と、をロール練り機にて混合し、エラストマ組成物を調製する。調製したエラストマ組成物を、印刷用溶剤のエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート300部に溶解させ、絶縁材料を得る。
(印刷工程)
図5に、本実施形態の張力センサの製造方法の印刷工程の第一段階の模式図を示す。図6に、同印刷工程の第二段階の模式図を示す。図7に、同印刷工程の第三段階の模式図を示す。図8に、同印刷工程の第四段階の模式図を示す。なお、印刷には、テーブルスライド式半自動印刷機(東海精機社製「SSA−PC660IP」)を使用する。
図5に示すように、本工程においては、まず、誘電層2の基となる、厚さ300μmのエーテル系のウレタンゴムシート20(タイプAデュロメータ硬度=90度:JIS K6253(2006))を準備する。次いで、このウレタンゴムシート20の表面に、自由配線4bを印刷する。具体的には、所定のパターン孔を有するマスクを介して、配線材料を印刷し、自由配線4bを形成する。続いて、ウレタンゴムシート20を約140℃の乾燥炉内に約20分間静置して、乾燥させると共に、架橋反応を進行させる。
それから、図6に示すように、自由配線4bに重ねて、ウレタンゴムシート20の表面に、自由電極3bを印刷する。具体的には、所定のパターン孔を有するマスクを介して、電極材料を印刷し、自由電極3bを形成する。続いて、ウレタンゴムシート20を約150℃の乾燥炉内に約30分間静置して、乾燥させると共に、架橋反応を進行させる。
さらに、図7に示すように、自由配線4bおよび自由電極3bに重ねて、ウレタンゴムシート20の表面に、自由絶縁層5bを印刷する。具体的には、所定のパターン孔を有するマスクを介して、絶縁材料を印刷し、自由絶縁層5bを形成する。その後、ウレタンゴムシート20を約150℃の乾燥炉内に約30分間静置して、乾燥させると共に、架橋反応を進行させる。
最後に、図8に示すように、上記手順と同様の手順により、ウレタンゴムシート20の反対側の面に、固定配線4a、固定電極、固定絶縁層を積層印刷する。
(裁断工程)
図9に、本実施形態の張力センサの製造方法の裁断工程の模式図を示す。図9に示すように、本工程においては、上記各層が印刷されたウレタンゴムシート20を、所定の形状に裁断する。そして、ウレタンゴムシート20から、張力センサ1を切り抜く。このようにして、本実施形態の張力センサ1を製造する。
[張力センサの電気的構成]
次に、本実施形態の張力センサの電気的構成について説明する。図10に、本実施形態の張力センサの回路モデル図を示す。図10に示すように、本実施形態の張力センサ1は、ダイオードDを介して、交流電源Aに接続されている。固定配線4aは、電気抵抗Raを有している。自由配線4bは、電気抵抗Rbを有している。固定電極3a〜自由電極3b間(誘電層2)には、静電容量Cが蓄積される。張力センサ1は、いわゆるRC直列回路とみなすことができる。張力センサ1には、ダイオードDの整流作用により、正の半周期ごとに順方向電圧が加わり、電流が流れる。
[張力センサの張力検出方法]
次に、本実施形態の張力センサの張力検出方法について説明する。張力センサ1は、張力センサ1を流れる電流Iの変化(つまりインピーダンスZの変化)から、静電容量Cを測定している。また、測定された静電容量Cを、絶対値ではなく、静電容量比に加工して、張力を評価している。
具体的には、検出対象区間90に張力が加わる前の静電容量をC0、検出対象区間90に張力が加わった時の静電容量をC1、C1とC0との差をΔCとして、静電容量比ΔC/C0を用いて、検出対象区間90の張力変化を検出している。
検出対象区間90に張力が加わる前の電極面積をS0、検出対象区間90に張力が加わる前の電極間距離をd0とすると、C0は、以下の式2により表すことができる。
Figure 2011068206
張力により検出対象区間90が左右方向に伸張する場合、検出対象区間90の前後方向厚みが収縮する。しかしながら、検出対象区間90の上下方向幅は、伸張前後でほとんど変化しない。また、誘電層2の体積も、伸張前後でほとんど変化しない。このため、伸張量(歪み量)をx、検出対象区間90に張力が加わった時の電極間距離をd1とすると、以下の式3が成立する。
Figure 2011068206
このため、電極間距離d1は、以下の式4で表すことができる。
Figure 2011068206
したがって、静電容量C1は、以下の式5で表すことができる。
Figure 2011068206
よって、ΔC/C0は、以下の式6で表すことができる。
Figure 2011068206
式6から、静電容量比ΔC/C0には、伸張量xだけが寄与することが判る。すなわち、雰囲気温度や、伸張速度(歪み速度)が寄与しないことが判る。
図11に、静電容量比ΔC/C0の変化を示す。図11に示すように、伸張速度を5mm/min、50mm/min、500mm/minと変化させても、張力に対する静電容量比ΔC/C0の変化は一定である。
[張力センサの動き]
次に、本実施形態の張力センサの動きについて説明する。図12に、シートベルトに張力が加わる際の本実施形態の張力センサの断面図を示す。なお、図12は、図4に対応している。車両が衝突すると、慣性力により乗員は前方に移動する。このため、矢印Y1で示すように、乗員は、シートベルト9に押しつけられる。したがって、シートベルト9の検出対象区間90には、矢印Y2で示すように、左右方向に張力が加わる。当該張力により、検出対象区間90は左右方向に伸張する。ここで、固定電極3aは、検出対象区間90に、接着層6および固定絶縁層5aを介して、全面的に固定されている。このため、検出対象区間90の伸張に伴って、固定電極3aが左右方向に伸張する。固定電極3aが伸張すると、固定電極3aに引っ張られて、誘電層2も左右方向に伸張する。同時に、誘電層2は、前後方向に収縮する。誘電層2が伸張すると、図4の電極面積S0と比較して、電極面積S1が大きくなる。また、誘電層2が収縮すると、図4の電極間距離d0と比較して、電極間距離d1が小さくなる。このため、式1に示すように、静電容量Cが大きくなる。張力センサ1は、当該静電容量Cの変化を、インピーダンスZの変化により測定している。張力センサ1は、静電容量比ΔC/C0から、検出対象区間90の張力変化を検出している。
[交流電圧の周波数、固定配線および自由配線の幅、固定配線および自由配線の電気抵抗、電極間距離、電極面積の設定方法]
次に、交流電源Aから印加される交流電圧の周波数、固定配線4aおよび自由配線4bの幅、固定配線および自由配線の電気抵抗、電極間距離、電極面積の設定方法について説明する。これらの各パラメータは、静電容量Cの測定精度を向上させるために、設定される。
固定配線4aおよび自由配線4bの合成の電気抵抗(以下、「配線抵抗」と略称する。)をR(=Ra+Rb)、交流電源Aから印加される交流電圧の周波数をfとすると、インピーダンスZは、以下の式7により表すことができる。
Figure 2011068206
静電容量Cの測定精度を向上させるためには、インピーダンスZを大きく変化させる必要がある。式7から、インピーダンスZに寄与するのは、配線抵抗R(第一項)、交流電圧の周波数f(第二項)、電極間の静電容量C(第二項)である。
車両の衝突試験のように、高速にデータのサンプリングが必要な場合、交流電圧の周波数fは、データのサンプリング周波数の20倍程度に設定する必要がある。このため、交流電圧の周波数fを、200kHzに設定している。
このように、交流電圧の周波数fは比較的高い。しかしながら、交流電圧の周波数fを高くすると、式7の第二項が急激に小さくなってしまう。例えば、交流電圧の周波数fを10倍にすると、式7の第二項は1/100倍になってしまう。このため、式7の第二項の静電容量Cがいくら変化しても、インピーダンスZが変化しにくくなる。したがって、静電容量の測定精度が低くなる。
そこで、式7の第一項を小さくし、第二項を大きくする必要がある。すなわち、静電容量Cの変化によって、インピーダンスZを大きく変化させる必要がある。具体的には、配線抵抗Rを小さくし、静電容量Cの絶対値を小さくする必要がある。
以下、インピーダンスZ、配線抵抗R、交流電圧の周波数f、電極間の静電容量Cの関係について、グラフを用いて具体的に説明する。図13に、交流電圧の周波数が10kHzの場合のインピーダンス変化を示す。図14に、交流電圧の周波数が200kHzの場合のインピーダンス変化を示す。
図13、図14中、静電容量Cの変化に伴ってインピーダンスZが変化する領域(線が傾きを持つ領域)が、静電容量Cを測定できる領域である。これに対して、図13、図14中、静電容量Cが変化してもインピーダンスZが変化しない領域(線が横軸と平行な領域)が、静電容量Cを測定できない領域である。
図13、図14に示すように、交流電圧の周波数fが高いほど、静電容量Cの変化に伴ってインピーダンスZが変化する領域が、短くなる。その反面、交流電圧の周波数fが高いほど、静電容量Cが変化してもインピーダンスZが変化しない領域が、長くなる。このように、交流電圧の周波数fが高い方が、静電容量Cの測定精度が低下する。
図13、図14に示すように、配線抵抗Rが小さいほど、静電容量Cの変化に伴ってインピーダンスZが変化する領域が、長くなる。その反面、配線抵抗Rが小さいほど、静電容量Cが変化してもインピーダンスZが変化しない領域が、短くなる。このように、配線抵抗Rが小さい方が、静電容量Cの測定精度が向上する。
また、図13、図14に示すように、静電容量Cが小さいほど、静電容量Cの変化に伴ってインピーダンスZが変化する領域が、長くなる。その反面、静電容量Cが小さいほど、静電容量Cが変化してもインピーダンスZが変化しない領域が、短くなる。このように、静電容量Cが小さい方が、静電容量Cの測定精度が向上する。
以上説明したように、高速にデータをサンプリングする必要上、静電容量Cの測定精度が低下しても、交流電圧の周波数fを高くせざるをえない。この測定精度低下を補うため、配線抵抗Rを小さくしている。並びに、静電容量Cを小さくしている。
配線抵抗Rを小さくするためには、固定配線4a、自由配線4bの幅(上下方向幅)を大きくすればよい。このため、固定配線4a、自由配線4bの幅を、1.5mmに設定している。また、配線抵抗Rを小さくするためには、配線材料の体積抵抗率を小さくすればよい。このため、配線材料の体積抵抗率を、10−4Ω・cmに設定している。
式1に示すように、静電容量Cの絶対値を小さくするためには、電極間距離dを大きくすればよい。このため、電極間距離dを0.3mmに設定している。また、静電容量Cの絶対値を小さくするためには、電極面積Sを小さくすればよい。このため、電極面積Sを2.25cmに設定している。
[作用効果]
次に、本実施形態の張力センサ1の作用効果について説明する。本実施形態の張力センサ1は、静電容量の変化から、シートベルト9の検出対象区間90に加わる張力を検出している。このため、シートベルト9の各部(検出対象区間90)に加わる張力を検出することができる。
また、本実施形態の張力センサ1によると、例えば肩部や腰部や腹部など、乗員Pの身体の各部に加わる圧迫力を、検出対象区間90の張力から想定することができる。このため、より確実に、シートベルト9の圧迫から乗員Pを保護することができる。
また、本実施形態の張力センサ1によると、固定電極3aが、検出対象区間90の表面に、間接的に、全面的に固定されている。このため、検出対象区間90の歪みを、正確に、固定電極3aに転写することができる。
また、本実施形態の張力センサ1によると、自由電極3bが誘電層2を圧縮しにくい。このため、圧縮力により、電極間距離が短くなるおそれが小さい。すなわち、圧縮力により、静電容量が変化するおそれが小さい。したがって、検出対象区間90に加わる張力だけを、検出することができる。このように、本実施形態の張力センサ1は、張力の検出精度が高い。
また、本実施形態の張力センサ1は、印刷により作製されている。このため、固定電極3a、固定配線4a、自由電極3b、自由配線4b、固定絶縁層5a、自由絶縁層5bを、簡単に、精度よく配置することができる。また、張力センサ1の積層方向(前後方向)厚さを薄くしやすい。このため、張力センサ1が検出対象区間90の歪みに追随して変形しやすい。また、検出対象区間90の歪みを、正確に、固定電極3aに転写することができる。
また、本実施形態の張力センサ1によると、交流電圧の周波数が200kHzに設定されている。このため、車両衝突や衝突試験の際に、所望の速度、頻度で、データをサンプリングすることができる。
また、本実施形態の張力センサ1によると、固定配線4aおよび自由配線4bの幅(上下方向幅)が1.5mmに設定されている。このため、固定配線4aおよび自由配線4bの電気抵抗を小さくすることができる。また、本実施形態の張力センサ1によると、配線材料の体積抵抗率が10−4Ω・cmに設定されている。このため、固定配線4aおよび自由配線4bの電気抵抗を、100kΩ以下にすることができる。
また、本実施形態の張力センサ1によると、電極間距離が0.3mmに設定されている。このため、静電容量の絶対値を小さくすることができる。また、本実施形態の張力センサ1によると、電極面積が2.25cmに設定されている。このため、静電容量の絶対値を小さくすることができる。
また、本実施形態の張力センサ1によると、誘電層2を形成するウレタンゴム、電極材料、配線材料の破断歪みが、100%に設定されている。このため、検出対象区間90の歪みに、誘電層2、固定電極3a、自由電極3b、固定配線4a、自由配線4bが、追随しやすい。また、検出対象区間90の伸張を、誘電層2、固定電極3a、自由電極3b、固定配線4a、自由配線4bが、規制しにくい。
また、本実施形態の張力センサ1は、固定絶縁層5a、自由絶縁層5bを備えている。このため、隣接部材に対して、張力センサ1の絶縁を確保しやすい。また、自由絶縁層5bは、隣接部材から、何等拘束されていない。このため、自由絶縁層5bからの入力により、誘電層2が圧縮変形するおそれが小さい。また、固定絶縁層5a、自由絶縁層5bを形成する絶縁材料の破断歪みが、300%に設定されている。このため、検出対象区間90の歪みに、固定絶縁層5a、自由絶縁層5bが、追随しやすい。また、検出対象区間90の伸張を、固定絶縁層5a、自由絶縁層5bが、規制しにくい。また、本実施形態の張力センサ1は、接着層6を備えている。このため、全面的に、固定絶縁層5aを検出対象区間90に接着することができる。
また、本実施形態の張力センサ1によると、接着剤の破断歪みが、100%に設定されている。このため、検出対象区間90の歪みに、接着層6が追随しやすい。また、検出対象区間90の伸張を、接着層6が規制しにくい。
なお、上記各材料(誘電層2を形成するウレタンゴム、電極材料、配線材料、絶縁材料、接着剤)の破断歪みは、引張り試験(JIS K6251)における切断時伸びの値である。破断歪みは、破断歪み={(破断時の試験片長−引張り前の試験片長)/引張り前の試験片長}×100、という式から得られる。
また、本実施形態の張力センサ1によると、静電容量比ΔC/C0を用いて検出対象区間90に加わる張力を検出している。このため、検出されるデータから、温度による影響を除去することができる。すなわち、温度補償することができる。また、検出されるデータから、伸張速度による影響を除去することができる。
<第二実施形態>
本実施形態の張力センサと第一実施形態の張力センサとの相違点は、検出対象区間が乗員の肩部から腰部まで延在している点である。また、一つの固定電極に対して、自由電極が多数配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
図15に、本実施形態の張力センサが取り付けられたシートベルトの透過前面図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図15に示すように、張力センサ1は、シートベルト9の前面に配置されている。張力センサ1は、乗員Pの肩部から腰部に亘って配置されている。この区間が、検出対象区間に相当する。
図16に、本実施形態の張力センサの断面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図16に示すように、張力センサ1は、一つの帯状の固定電極3aを備えている。また、張力センサ1は、十二の自由電極3bを備えている。十二の自由電極3bは、所定間隔ずつ離間して、検出対象区間90に沿って配置されている。
図17に、シートベルトに張力が加わる際の図16の枠XVII内の拡大図を示す。なお、図12と対応する部位については、同じ符号で示す。矢印Y1で示すように、乗員が局所的にシートベルト9に押しつけられると、検出対象区間90のうち中央部分に、矢印Y2で示すように張力が加わる。当該張力により、検出対象区間90の中央部分は伸張する。ここで、固定電極3aは、検出対象区間90に、接着層6および固定絶縁層5aを介して、全面的に固定されている。このため、検出対象区間90の中央部分に対応する、固定電極3aの中央部分だけが、局所的に伸張する。固定電極3aの中央部分が伸張すると、固定電極3aの中央部分に引っ張られて、誘電層2の中央部分も左右方向に伸張する。同時に、誘電層2の中央部分は、前後方向に収縮する。誘電層2の中央部分が伸張すると、電極面積が大きくなる。また、誘電層2が収縮すると、電極間距離が小さくなる。このため、式1に示すように、静電容量Cが大きくなる。
これに対して、誘電層2の中央部分の両側部分(右上側部分および左下側部分)は、ほとんど変形しない。このため、式1に示すように、静電容量Cはほとんど変化しない。
本実施形態の張力センサ1は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の張力センサと同様の作用効果を有する。また、本実施形態の張力センサ1によると、検出対象区間90における静電容量分布つまり張力分布を検出することができる。
<その他>
以上、本発明の張力センサの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、上記実施形態の張力センサ1は、衝突試験データのサンプリングのために用いてもよい。また、車両に装着してもよい。この場合、車両のイグニッションスイッチのオンに連動して、張力センサに電圧印加を開始してもよい。また、乗員Pのシートベルト9装着に連動して、張力センサに電圧印加を開始してもよい。また、電圧印加に連動して、静電容量のサンプリングを開始してもよい。また、検出対象区間90に張力が加わる前の静電容量C0として、イグニッションスイッチのオン直後の静電容量を採用してもよい。また、静電容量C0として、シートベルト9装着直後の静電容量を採用してもよい。また、静電容量C0として、衝突直前の静電容量を採用してもよい。また、車両衝突の際、検出対象区間90の張力が所定のしきい値を超える場合、図1に示す巻取装置91を緩め、乗員Pに対するシートベルト9の圧迫力を緩和してもよい。
また、上記実施形態においては、シートベルト9の前面に張力センサ1を配置したが、シートベルト9の後面に張力センサ1を配置してもよい。この場合、乗員Pにより自由電極3bが押圧されると、電極間距離が短くなり、静電容量が変化してしまう。つまり、圧縮力により、静電容量が変化してしまう。このため、張力の検出精度が低くなる。この場合は、自由絶縁層5bのうち自由電極3bを囲む部分に、有底筒状(カップ状)の保護ケースを、伏設すればよい。こうすると、乗員Pにより自由電極3bが押圧されにくい。
また、上記実施形態の張力センサ1の製造方法の印刷工程においては、誘電層2用のウレタンゴムシート20の表裏両面に各材料を積層印刷した。しかしながら、まず、固定絶縁層5aに、固定電極3a、固定配線4aを積層印刷し、並びに、自由絶縁層5bに、自由電極3b、自由配線4bを積層印刷し、次に、印刷済みの固定絶縁層5aと自由絶縁層5bとの間に誘電層2を介装し、それから、固定絶縁層5aと自由絶縁層5bとを貼り合わせてもよい。
また、誘電層2の材質は、特に限定しない。例えば、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマなどを用いてもよい。また、合成ゴムとして、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPMまたはEPDM)などを用いてもよい。また、熱可塑性エラストマとして、オレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマ(TPU)などを用いてもよい。
また、固定電極3a、自由電極3b、固定配線4a、自由配線4b、固定絶縁層5a、自由絶縁層5b、接着層6の材質は、特に限定しない。例えば、天然ゴム、合成ゴム、溶剤可溶な熱可塑性エラストマなどを用いてもよい。また、合成ゴムとして、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPMまたはEPDM)などを用いてもよい。
1:張力センサ、2:誘電層、20:ウレタンゴムシート、3a:固定電極、3b:自由電極、4a:固定配線、4b:自由配線、5a:固定絶縁層、5b:自由絶縁層、6:接着層、9:シートベルト、90:検出対象区間、91:巻取装置、92:バックル、93:アンカー、P:乗員。

Claims (9)

  1. エラストマ製の誘電層と、
    該誘電層の裏側に配置され、シートベルトの検出対象区間の表面に直接あるいは間接的に全面的に固定される固定電極と、
    該固定電極に接続される固定配線と、
    該誘電層の表側に配置され該誘電層を積層方向に圧縮しにくい自由電極と、
    該自由電極に接続される自由配線と、
    を備えてなり、
    該検出対象区間に加わる張力を、静電容量の変化に基づいて検出する張力センサ。
  2. 前記固定電極、前記固定配線、前記自由電極、前記自由配線は、印刷により形成されている請求項1に記載の張力センサ。
  3. 前記固定電極と前記自由電極との間に印加される交流電圧の周波数は、20kHz以上であり、
    前記固定配線および前記自由配線の幅は、0.05mm以上5mm以下であり、
    該固定配線および該自由配線の電気抵抗は、100kΩ以下である請求項1または請求項2に記載の張力センサ。
  4. 前記固定電極と前記自由電極との間に印加される交流電圧の周波数は、20kHz以上であり、
    該固定電極と該自由電極との間の電極間距離は、0.01mm以上5mm以下であり、
    該固定電極および該自由電極の電極面積は、0.1cm以上100cm以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の張力センサ。
  5. 前記誘電層を形成する前記エラストマ、前記固定電極および前記自由電極を形成する電極材料、前記固定配線および前記自由配線を形成する配線材料の破断歪みは、6%以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の張力センサ。
  6. さらに、前記固定電極の裏面を覆う固定絶縁層と、該固定絶縁層を前記検出対象区間に全面的に接着する接着層と、前記自由電極を積層方向に圧縮しにくいように該自由電極の表面を覆う自由絶縁層と、を備える請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の張力センサ。
  7. 前記接着層を形成する接着剤の破断歪みは、6%以上である請求項6に記載の張力センサ。
  8. 前記固定電極一つに対して、前記自由電極は複数配置される請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の張力センサ。
  9. 前記検出対象区間に張力が加わる前の静電容量をC0、該検出対象区間に張力が加わった時の静電容量をC1、該C1と該C0との差をΔCとして、静電容量比ΔC/C0を用いて該検出対象区間に加わる張力を検出する請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の張力センサ。
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