JP2011068157A - 車両用空調装置 - Google Patents

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【課題】空調省動力運転を行うことが可能であるとともに、窓ガラス内表面を確実に防曇することができる車両用空調装置を提供すること。
【解決手段】エアコンECU50は、湿度センサ47が検出する相対湿度RH、空気温度センサ48が検出する空気温度および窓温度センサ49が検出する窓の温度に基づいて、窓表面相対湿度RHWを、窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性の高さを示す曇り度合予想値として得て、窓表面相対湿度RHWが高くなるに応じて、吹出口切替ドア21,22を作動して窓ガラス内表面に向かう吹出風量増加による防曇、内外気切替ドア13を作動しての外気導入による防曇、およびインバータ80を介して圧縮機を稼動しての防曇の3段階の防曇制御を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧縮機を用いて冷媒を熱交換器へ送って車室内を空調し、車両の窓ガラスの内表面の防曇を行うことが可能な車両用空調装置に関する。
従来から、空調運転の開始時等に、外気温が所定温度未満であるときには冷媒圧縮機を停止しておいて、車両の窓ガラスの内表面の湿度が基準湿度より高い場合には、外気を導入して窓ガラスの内表面に向かって吹き出し、湿度が高くなるほど、吹出モードをフットモード→フットデフモード→デフモードの順に切り替えて、窓ガラスの内表面に向かって吹き出す風量を増加させて、窓ガラス内表面の防曇を行う車両用空調装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
特開2009−40242号公報
しかしながら、上記従来技術の車両用空調装置では、窓ガラス内表面に曇りが発生する可能性があるときには、まず、窓ガラス内表面に向かう吹出風量が少なくても吹出モードを変更することなく外気を導入してしまうので、空調省動力運転を行い難いという問題がある。また、外気温が所定温度未満であるときには冷媒圧縮機を停止しているので、湿度が高くデフモードとした場合であっても、確実に防曇できない場合があるという問題がある。
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、空調省動力運転を行うことが可能であるとともに、窓ガラス内表面を確実に防曇することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
車両の室内に送風される空気が流通する空気通路(10a)を内部に含む空調ケース(10)と、
空調ケース内に設けられ、内部を流通する冷媒と空気通路を流通する空気との間で熱交換を行う熱交換器(7)と、
熱交換器へ冷媒を供給する圧縮機(2)と、
空調ケースの熱交換器より空気流れ下流側に設けられ、車両の窓ガラスの内表面に向かって空気通路を流通する空気を吹き出す吹出口(18)と、
吹出口(18)から窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段(21)と、
圧縮機の稼動制御および吹出風量調節手段の作動制御を行う制御手段(50)と、を備える車両用空調装置であって、
制御手段は、
車両の室内の環境情報および車両の室外の環境情報の少なくともいずれかに基づいて窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性の高さを示す曇り度合予想値を得て、曇り度合予想値と、予め定めた増風防曇判定値および増風防曇判定値よりも高い除湿防曇判定値とを比較し、
曇り度合予想値が、増風防曇判定値よりも高く除湿防曇判定値より低く窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性があると判断されるときには、圧縮機の稼動を禁止しつつ、曇り度合予想値が増風防曇判定値より低い場合よりも吹出口からの吹出風量が増加するように吹出風量調節手段を制御し、
曇り度合予想値が、除湿防曇判定値よりも高く窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性が更に高いと判断されるときには、圧縮機を稼動することを特徴としている。
これによると、曇り度合予想値が増風防曇判定値よりも高く除湿防曇判定値より低く窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性があると判断されるときには、圧縮機の稼動を禁止しつつ、吹出口から窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を、曇り度合予想値が増風防曇判定値より低い場合よりも増加させることで、窓ガラス温度を上昇させるとともに、窓ガラスの内表面近傍の湿度を低下させ、防曇を行うことができる。
また、曇り度合予想値が除湿防曇判定値よりも高く窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性が更に高いと判断されるときには、圧縮機を稼動することで、窓ガラスの内表面近傍の湿度を更に低下させ、防曇を行うことができる。
したがって、空調開始時等に、曇り度合予想値が増風防曇判定値よりも高く窓曇りの可能性があるときには、まず風量増加で防曇を行い、曇り度合予想値が除湿防曇判定値よりも高く更に窓曇りの可能性が高まったときに圧縮機を稼動して防曇するので、空調省動力運転を行うことが可能であるとともに、窓ガラス内表面を確実に防曇することができる。
また、請求項2に記載の発明では、
空気通路へ導入する空気を室内の内気と室外の外気との間で切り替える内外気切替手段(13)を備え、
制御手段は、
曇り度合予想値と、増風防曇判定値よりも高く除湿防曇判定値よりも低い外気防曇判定値とを比較し、
曇り度合予想値が外気防曇判定値よりも低いときには内気を導入し、曇り度合予想値が外気防曇判定値よりも高いときには外気を導入するように、内外気切替手段の切替制御を行うことを特徴としている。
これによると、曇り度合予想値と、増風防曇判定値よりも高く除湿防曇判定値よりも低い外気防曇判定値とを比較し、曇り度合予想値が外気防曇判定値よりも低いときには内気を導入し、曇り度合予想値が外気防曇判定値よりも高いときには外気を導入して室内の湿度を低下させて窓ガラス内表面を防曇することができる。
したがって、空調開始時等に、曇り度合予想値が増風防曇判定値よりも高く窓曇りの可能性があるときには、まず風量増加で防曇を行い、曇り度合予想値が外気防曇判定値よりも高く窓曇りの可能性が高いときには、外気導入で車室内の湿度を下げて防曇を行い、曇り度合予想値が除湿防曇判定値よりも高く更に窓曇りの可能性が高まったときに圧縮機を稼動して防曇するので、空調省動力運転を行うことが可能であるとともに、窓ガラス内表面を一層確実に防曇することができる。
また、請求項3に記載の発明では、
車両の室内に送風される空気が流通する空気通路(10a)を内部に含む空調ケース(10)と、
空調ケース内に設けられ、内部を流通する冷媒と空気通路を流通する空気との間で熱交換を行う熱交換器(7)と、
熱交換器へ冷媒を供給する圧縮機(2)と、
空気通路へ導入する空気を室内の内気と室外の外気との間で切り替える内外気切替手段(13)と、
圧縮機の稼動制御および内外気切替手段の切替制御を行う制御手段(50)と、を備える車両用空調装置であって、
制御手段は、
車両の室内の環境情報および車両の室外の環境情報の少なくともいずれかに基づいて窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性の高さを示す曇り度合予想値を得て、曇り度合予想値と、予め定めた外気防曇判定値および外気防曇判定値よりも高い除湿防曇判定値とを比較し、
曇り度合予想値が外気防曇判定値よりも低いときには、圧縮機の稼動を禁止しつつ、内気を導入するように内外気切替手段の切替制御を行い、
曇り度合予想値が外気防曇判定値よりも高く除湿防曇判定値より低く窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性があると判断されるときには、圧縮機の稼動を禁止しつつ、外気を導入するように内外気切替手段の切替制御を行い、
曇り度合予想値が、除湿防曇判定値よりも高く窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性が更に高いと判断されるときには、圧縮機を稼動することを特徴としている。
これによると、曇り度合予想値が外気防曇判定値よりも高く除湿防曇判定値より低く窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性があると判断されるときには、圧縮機の稼動を禁止しつつ、外気を導入して室内の湿度を低下させて窓ガラス内表面を防曇することができる。また、曇り度合予想値が除湿防曇判定値よりも高く窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性が更に高いと判断されるときには、圧縮機を稼動することで、室内の湿度を更に低下させ、防曇を行うことができる。
したがって、空調開始時等に、曇り度合予想値が外気防曇判定値よりも高く窓曇りの可能性があるときには、まず外気導入で防曇を行い、曇り度合予想値が除湿防曇判定値よりも高く更に窓曇りの可能性が高まったときに圧縮機を稼動して防曇するので、空調省動力運転を行うことが可能であるとともに、窓ガラス内表面を確実に防曇することができる。
また、請求項4に記載の発明では、制御手段は、圧縮機の稼動を開始した時点から所定時間経過するまでは、圧縮機の稼動開始前および所定時間経過後よりも、空気通路を流通して室内へ吹き出される空気のうち車両の室内に搭乗する乗員の上半身へ向かって吹き出される空気の割合を低減することを特徴としている。
従来、圧縮機の始動時には、熱交換器に供給された冷媒が空気から熱を奪うと熱交換器の表面に結露が始まり、その際に、熱交換器の臭気成分が空気中に一時的に放出され、車両の室内に搭乗している乗員が臭いを感じて不快を感じる場合がある。ところが、請求項4に記載の発明によれば、圧縮機を稼動した後所定時間経過するまでは、その前後よりも、室内へ吹き出される空気のうち乗員の上半身へ向かって吹き出される空気の割合を低減するので、乗員が臭いを不快に感じることを防止することができる。
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本発明を適用した一実施形態の車両用空調装置100の概略構成を示す模式図である。 車両用空調装置100の制御に係る構成を示すブロック図である。 車両用空調装置100のエアコンECU50による基本的な空調制御処理を示したフローチャートである。 上記空調制御処理における室内用ブロワ電圧決定の処理(ステップS6)を示すフローチャートである。 上記空調制御処理における吸込口モード決定の処理(ステップS7)を示すフローチャートである。 上記空調制御処理における吹出口モード決定の処理(ステップS8)を示すフローチャートである。 上記空調制御処理における圧縮機回転数決定の処理(ステップS9)を示すフローチャートである。 図7のステップS910でΔfCを求めるための偏差Enと偏差変化率EDOTとの関係を示すマップである。 上記空調制御処理におけるウォータポンプ作動決定の処理(ステップS10)を示すフローチャートである。
以下、本発明を適用した一実施形態を図に基づいて説明する。この実施形態では、車両用空調装置100をハイブリッド自動車用の空調装置に適用した例について説明する。図1は車両用空調装置100の概略構成を示す模式図である。図2は車両用空調装置100の制御に係る構成を示すブロック図である。
ハイブリッド自動車は、ガソリン等の液体燃料を爆発燃焼させて動力を発生させる走行用内燃機関をなすエンジン30、走行補助用電動機機能及び発電機機能を備える走行補助用の電動発電機、エンジン30への燃料供給量や点火時期等を制御するエンジン用電子制御装置(以下、エンジンECU60ともいう)、電動発電機やエンジンECU60等に電力を供給する電池、電動発電機の制御及び無断変速機や電磁クラッチの制御を行うと共にエンジンECU60に制御信号を出力するハイブリッド電子制御装置(以下、ハイブリッドECU70ともいう)を備えている。ハイブリッドECU70は、電動発電機及びエンジン30のいずれの駆動力を駆動輪に伝達するかの駆動切替を制御する機能、及び電池の充放電を制御する機能を備えている。
また電池は、車室内空調、走行等によって消費した電力を充電するための充電装置を備えており、充電装置には例えばニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池等が用いられる。この充電装置は、電力供給源としての電気スタンドや商業用電源(家庭用電源)に接続されるコンセントを備えており、このコンセントに電源供給源を接続することにより、電池の充電を行うこともできる。
具体的には、以下のような制御を行う。
(1)車両が停止しているときは、基本的にエンジン30を停止させる。
(2)走行中は、減速時を除き、エンジン30で発生した駆動力を駆動輪に伝達する。なお、減速時は、エンジン30を停止させて電動発電機にて発電して電池に充電する(電気走行モード)。
(3)発進時、加速時、登坂時及び高速走行時等の走行負荷が大きいときには、電動発電機を電動モータとして機能させてエンジン30で発生した駆動力に加えて、電動発電機に発生した駆動力を駆動輪に伝達する(ハイブリッド走行モード)。
(4)電池の充電残量が充電開始目標値以下になったときには、エンジン30の動力を電動発電機に伝達して電動発電機を発電機として作動させて電池の充電を行う。
(5)車両が停止しているときに電池の充電残量が充電開始目標値以下になったときには、エンジンECU60に対してエンジン30を始動する指令を発するとともに、エンジン30の動力を電動発電機に伝達する。
なお、本願発明は、ハイブリッド自動車の空調装置に限定するものではなく、例えば、軽油、ガソリン等の液体燃料を爆発燃焼させて動力を発生させる走行用内燃機関により駆動される車両等にも適用可能である。
車両用空調装置100は、車室内空調運転の実施可能な装置であり、駐車中、例えば乗員の乗車前に室内用ブロワ14を駆動して送風することも可能である。車両用空調装置100は、図1に示すように、車室内に空調空気を導く空気通路10aを形成する空調ケース10、空調ケース10内において空気流を発生させる送風手段としての室内用ブロワ14、空調ケース10内を流れる空気を冷却するための冷凍サイクル1、及び空調ケース10内を流れる空気を加熱するための冷却水回路31、制御手段としてのエアコン電子制御装置(以下、エアコンECU50ともいう)等を備える。
空調ケース10は、ハイブリッド自動車の車室内の前方付近に設けられている。空調ケース10の最も上流側には、内外気切替箱を構成する部分であり、車室内の空気(以下、内気ともいう)を取り入れる内気吸込口11、及び車室外の空気(以下、外気ともいう)を取り入れる外気吸込口12が形成されている。
内気吸込口11及び外気吸込口12の内側には、内外気切替ドア13が回動自在に設けられている。この内外気切替ドア13は、サーボモータ等のアクチュエータにより駆動されて、吸込口モードを内気循環モード、外気導入モード等に切り替えることが可能である。内外気切替ドア13は、本実施形態における内外気切替手段に相当する。
空調ケース10の最も下流側には、吹出口切替箱を構成する部分であり、デフロスタ開口部、フェイス開口部およびフット開口部が形成されている。そして、デフロスタ開口部には、デフロスタダクト23が接続されて、このデフロスタダクト23の最下流端には、車両のフロント窓ガラスの内面に向かって主に温風を吹き出すデフロスタ吹出口18が開口されている。フェイス開口部には、フェイスダクト24が接続されて、このフェイスダクト24の最下流端には、乗員の頭胸部に向かって主に冷風を吹き出すフェイス吹出口19が開口されている。さらに、フット開口部には、フットダクト25が接続されて、このフットダクト25の最下流端には、乗員の足元部に向かって主に温風を吹き出すフット吹出口20が開口されている。
各吹出口18,19,20の内側には、2個の吹出口切替ドア21,22が回動自在に取り付けられている。2個の吹出口切替ドア21,22は、サーボモータ等のアクチュエータによりそれぞれ駆動されて、吹出口モードをフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフロスタモードまたはデフロスタモードのいずれに切り替えることが可能である。
デフロスタ吹出口18が、本実施形態において車両窓ガラスの内表面に向かって空気を吹き出す吹出口に相当し、吹出口切替ドア21,22が、吹出口から窓ガラス内表面への吹出風量を調節する吹出風量調節手段に相当する。
室内用ブロワ14は、ブロワケース、ファン16、モータ15から構成され、このモータ15への印加電圧に応じて、モータ15の回転速度が決定される。モータ15への印加電圧がエアコンECU50からの制御信号に基づいて制御されることにより、室内用ブロワ14の送風量は制御される。
冷凍サイクル1は、インバータ80により回転数制御されて冷媒を圧縮する圧縮機2、圧縮された冷媒を凝縮液化させる凝縮器3、凝縮液化された冷媒を気液分離して液冷媒のみを下流に流す気液分離器5、液冷媒を減圧膨張させる膨張弁6、減圧膨張された冷媒を蒸発気化させる蒸発器7、及びこれらを環状に接続する冷媒配管等から構成されている。
室内用ブロワ14よりも送風空気の下流側における空調ケース10内の空気通路10aには、上流側から下流側に進むにしたがい順に、蒸発器7(冷却用の熱交換器の一例)、エアミックスドア17、ヒータコア34が配置されている。
圧縮機2は、内蔵された電動モータにより駆動され、回転数制御が可能であり、回転数に応じて冷媒吐出流量が可変である。圧縮機2はインバータ80により周波数が調整された交流電圧が印加されてその電動モータの回転速度が制御される。インバータ80は車載電池から直流電源の供給を受け、エアコンECU50により制御される。
凝縮器3は、エンジンコンパートメント等の車両が走行する際に生じる走行風を受け易い場所に設けられ、内部を流れる冷媒と室外ファン4により送風される外気および走行風とを熱交換する室外熱交換器である。冷却水回路31は、電動のウォータポンプ32によってエンジン30のウォータジャケットで暖められた冷却水を循環させる回路であり、ラジエータ、サーモスタット(いずれも図示せず)及びヒータコア34を有している。このヒータコア34は、内部にエンジン30を冷却する冷却水が流れ、この冷却水を暖房用熱源として空調ケース10を流れる空気を再加熱する。また、水温センサ33は、冷却水回路31を流れる冷却水の水温TWを検出する温度検出手段である。水温センサ33によって検出された信号はエアコンECU50に入力される。
蒸発器7は、室内用ブロワ14直後の通路全体を横断するように配置されており、室内用ブロワ14から吹き出された空気全部が通過するようになっている。蒸発器7は、内部を流れる冷媒と空気通路10aを流れる空気との間で熱交換が行われて当該空気を冷却する空気冷却作用及び自身を通過する空気を除湿する空気除湿作用を行う室内熱交換器である。
蒸発器7よりも下流側であってヒータコア34よりも上流側の通風路には、蒸発器7を通過した空気を、ヒータコア34を通る空気とヒータコア34を迂回する空気の風量比率を調整できるエアミックスドア17が設けられている。エアミックスドア17は、アクチュエータ等によりそのドア本体の位置を変化させて、空調ケース10内の蒸発器7よりも下流の通路の一部を塞ぐことで、車室内へ吹き出す空気の吹出温度を調整する温度調整手段である。
冷媒圧力センサ43は、冷凍サイクル1の高圧側の流路に設けられ、凝縮器3よりも上流の冷媒の高圧圧力、すなわち圧縮機2の吐出圧力Preを検出する。蒸発器温度センサ44は、蒸発器7における所定箇所の温度(本実施形態ではフィン温度)である蒸発器温度TE(蒸発器7に関する温度情報の一つ)を検出する温度検出手段である。蒸発器前空気温度センサ45は、空気通路10aを流れる空気の蒸発器7よりも上流における空気温度である蒸発器前温度TU(蒸発器7に関する温度情報の一つ)を検出する温度検出手段である。蒸発器後空気温度センサ46は、空気通路10aを流れる空気の蒸発器7よりも下流における空気温度である蒸発器後温度TL(蒸発器7に関する温度情報の一つ)を検出する温度検出手段である。蒸発器温度センサ44、蒸発器前空気温度センサ45、蒸発器後空気温度センサ46のそれぞれによって検出された信号はエアコンECU50に入力される。
車室内のフロント窓の内面付近には、フロント窓の内面付近の空気の代表的な湿度と温度を検出できる湿度センサ47と温度センサ48が設けられている。湿度センサ47は、感湿膜の誘電率が空気の相対湿度に応じて変化し、それにより、静電容量が空気の相対湿度に応じて変化する容量変化型のものである。温度センサ48は温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタである。
エアコンECU50は、湿度センサ47の出力値に基づいて、フロント窓付近の車室内空気の相対湿度RHを演算する。すなわち、エアコンECU50は、湿度センサ47の出力値を相対湿度RHに変換するための所定の演算式が予め記憶しており、この演算式に湿度センサ47の出力値を適用することにより、相対湿度RHを演算する。下記の式1は、この湿度演算式の具体例である。
(式1)
RH=αV+β
但し、αは制御係数で、βは定数である。
次に、エアコンECU50は、温度センサ48の出力値を予め記憶されている所定の演算式に適用することにより、フロント窓付近の車室内空気温度を演算する。さらに、エアコンECU50は、窓温度センサ49の出力値を予め設定された所定の演算式に適用することにより、窓の温度(窓の室内側表面温度)を演算する。さらに、エアコンECU50は、相対湿度RH、空気温度および窓の温度に基づいて、窓表面相対湿度(窓の室内側表面の相対湿度)RHWを演算する。すなわち、湿り空気線図を用いることにより、相対湿度RHと空気温度と窓の温度とから窓表面相対湿度RHWを演算する。
エアコンECU50は、車室内の空調運転を制御するエアコン電子制御装置であり、マイクロコンピュータと、車室内前方に設けられた操作パネル51上の各種スイッチからの信号や、内気センサ40、外気センサ41、日射センサ42、冷媒圧力センサ43、蒸発器温度センサ44、蒸発器前空気温度センサ45、蒸発器後空気温度センサ46、水温センサ33、湿度センサ47、温度センサ48、窓温度センサ49等からセンサ信号が入力される入力回路と、各種アクチュエータに出力信号を送る出力回路と、を備えている。マイクロコンピュータは、ROM(読み込み専用記憶装置)、RAM(読み込み書き込み可能記憶装置)等のメモリおよびCPU(中央演算装置)等から構成されており、操作パネル51等から送信された運転命令に基づいた演算に使用される各種プログラムを有している。
また、操作パネル51には、車両用空調装置100が動作しているときに表示状態になるエアコン動作表示部としてのエアコンインジケータ51aが設けられており、エアコンインジケータ51aは、エアコンECU50からの命令信号によって表示状態(例えば点灯状態)または非表示状態(例えば非点灯状態)に制御される。
エアコンECU50は、空調運転時に、エアコン環境情報、エアコン運転条件情報及び車両環境情報を受信してこれらを演算し、圧縮機2の設定すべき容量等を算出する。そして、エアコンECU50は、演算結果に基づいてインバータ80に対して制御信号を出力し、インバータ80によって圧縮機2の出力量は制御される。このように乗員による操作パネル51の操作によって、空調装置の運転・停止および設定温度などの操作信号などがエアコンECU50に入力されて各種センサの検出信号が入力されると、エアコンECU50は、エンジンECU60、ハイブリッドECU70等と通信し、各種の演算結果に基づいて、圧縮機2、室内用ブロワ14、室外ファン4、エアミックスドア17、ウォータポンプ32、内外気切替ドア13、吹出口切替ドア21,22等の各機器の運転を制御する。
図3は、エアコンECU50による基本的な空調制御処理を示したフローチャートである。図3の基本的な空調制御処理がスタートすると、エアコンECU50は以降の各ステップSに係る処理を実行していく。なお、ステップS2からステップS9の処理は250msに1回行われる。
(イニシャライズ)
まず、ステップS1でエアコンECU50内のRAM等の記憶されている各パラメータ等を初期化する。
(スイッチ信号読み込み)
次に、ステップS2で操作パネル51等からの各種スイッチ信号等を読み込む。
(センサ信号読み込み)
次に、ステップS3で上記の各種センサからの信号を読み込む。
(TAO算出基本制御)
次に、ステップS4で、ROMに記憶された下記の式2を用いて、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを算出する。
(式2)
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C
ここで、Tsetは、温度設定スイッチにて設定された設定温度、Trは内気センサ40にて検出された内気温度、Tamは外気センサ41にて検出された外気温度、Tsは日射センサ42にて検出された日射量である。また、Kset,Kr,Kam及びKsは各ゲインであり、Cは全体にかかる補正用の定数である。そして、このTAO及び上記各種センサからの信号により、エアミックスドア17のアクチュエータの制御値及びウォータポンプ32の回転数の制御値等を算出する。
(エアミックスドア開度決定)
次に、ステップS5で、ROMに記憶された下記の式3を用いて、エアミックスドア17の開度決定を実行する。
(式3)
開度=((TAO−TE)/(TW−TE))×100(%)
式3において、TEは蒸発器温度センサ44が検出する蒸発器温度、TWは水温センサ33が検出する冷却水温度である。
(ブロワ電圧決定)
次に、ステップS6のブロワ電圧決定の処理を実施する。このステップS6は、具体的には、図4にしたがって実行し、蒸発器7に対して乾燥を行う乾燥制御の要否により、ブロワ電圧を決定するステップである。図4は、図3のステップS6におけるブロワ電圧決定処理の詳細を示すフローチャートである。このブロワ電圧は、電池の電力により駆動される室内用ブロワ14に印加される電圧である。
図4に示すように、本制御がスタートすると、ステップS600でイグニッションスイッチ(以下、IGスイッチと記載することがある)がOFF状態であるか否かを判定する。つまり、IGスイッチがOFF状態であれば駐車中であると判定し、ON状態であれば駐車中以外の状態であると判定するものである。このときIGスイッチがON状態であり、駐車中でないと判定すると、乗員が乗車中の空調運転が行われる可能性が高く、ブロワ電圧は、ステップS605に示すように、予めROMに記憶されている、目標吹出温度TAOとブロワ電圧との関係を表したマップにしたがって決定される。そして、ステップS6のブロワ電圧決定を終了する。このマップによれば、目標吹出温度TAOに対する適正なブロワ電圧を考慮して決定することができる。
ステップS600でIGスイッチがOFF状態であると判定すると、さらにステップS610で車両のドアが一旦開いてから閉められた後所定時間(ここでは5分)が経過しているか否かを判定する。この判定により、ドアの開閉動作があることで車内に人がいない可能性が高く、さらに閉じてから5分経過を確認することで乗員がいないことを確実に検出できる。このため、この後、蒸発器7を乾燥する途中で発生する臭いが車内に流出したとしても、人に不快感を与えることがない。この判定は、当該所定時間が経過していると判定するまで繰り返される。
そして、当該所定時間が経過していると判定すると、ステップS615で、蒸発器7の乾燥フラグが0であるか否かを判定する。この判定は、駐車前に蒸発器7が結露した可能性があるかを判定する処理であり、前回の処理で、例えば圧縮機2が動作していて当該乾燥フラグを0にする処理が行われていれば、蒸発器7は非乾燥状態であると判定し、逆に圧縮機2が所定の停止時間停止していたり、室内用ブロワ14により蒸発器7に対する乾燥制御が実行されていたりして当該乾燥フラグを1にする処理が行われていれば、蒸発器7は乾燥状態であると判定することになる。ステップS615で当該乾燥フラグが0でないと判定すると、蒸発器7は乾燥状態であると判定し、ステップS650に進み蒸発器7の乾燥フラグを維持し、さらにステップS655でブロワ電圧を0Vに決定してブロワ電圧決定の処理を終了する。この場合は、室内用ブロワ14を運転せず蒸発器7の乾燥運転を行わないため、車両の電力消費を抑制することができる。
ステップS615で当該乾燥フラグが0であると判定すると、蒸発器7は非乾燥状態であると判定し、次にステップS620でコンセント等の外部電源からの電力供給があるか(例えばプラグインによる充電状態)否かを判定する。ステップS620で外部からの電力供給がないと判定すると、バッテリあがり等の電力不足を考慮し、ステップS650に進み蒸発器7の乾燥フラグを維持し、さらにステップS655でブロワ電圧を0Vに決定してブロワ電圧決定の処理を終了する。この場合も、室内用ブロワ14を運転せず蒸発器7の乾燥運転を行わない。
一方、ステップS620で外部からの電力供給があると判定すると、上記の電力不足を心配することがないため、ステップS625でブロワ電圧を6Vに決定し、室内用ブロワ14のモータ15に6Vを印加する。室内用ブロワ14は6Vに相当する中レベルの風量の送風を蒸発器7に提供し乾燥運転が開始される。なお、車両に対して急速充電が行われている場合は、乗員が短時間で運転動作を再開する可能性が高いため、蒸発器7の乾燥運転を行うと、蒸発器7から発生する臭いが車室内に残ったり、外気の取入れにより車室内温度が低下したりするので、蒸発器7の乾燥運転は行わないようにしてもよい。
そしてステップS630で、蒸発器7よりも下流における空気の湿度が80%未満であるか否かを判定する。この空気の湿度は、前述のとおり、湿度センサ47の出力値と上記の式1を用いて算出するフロント窓付近の車室内空気の相対湿度RHと、温度センサ48の出力値と所定の演算式によって演算したフロント窓付近の車室内空気温度と、窓温度センサ49の出力値と所定の演算式によって演算した窓の室内側表面温度と、に基づいて演算される窓表面相対湿度RHWである。このように求めた窓表面相対湿度RHWが80%以上であると判定すると、蒸発器7の結露水がまだ空気中に蒸発しており蒸発器7はまだ乾燥途中であり乾燥しきっていないと判断できるので、ステップS645に進み、乾燥運転開始から所定の乾燥運転時間(例えば1時間)が経過するまで乾燥運転を継続する。そして、所定の乾燥運転時間の乾燥運転が終了すると、ステップS650に進み蒸発器7の乾燥フラグを維持し、さらにステップS655でブロワ電圧を0Vに決定してブロワ電圧決定の処理を終了する。
一方、ステップS630で窓表面相対湿度RHWが80%未満であると判定すると、蒸発器7は乾燥状態であると判断できる。このように蒸発器7の下流の空気湿度を乾燥終了の判断材料とするのは、蒸発器7からの結露水の蒸発が終わり、乾燥状態に近づくと、蒸発器7の下流の空気湿度は上流の空気湿度とほぼ同じまで低下するからである。さらに、確実を期して、ステップS635で、蒸発器前温度TUから蒸発器後温度TLを減じた温度差が3℃(第一の所定値)未満であるか否かを判定する。
ステップS635の判定処理は、以下の特性に基づくものである。蒸発器7の乾燥が進むに連れて蒸発する水分が少なくなるため、蒸発器7の下流の空気温度は上流の空気温度に近くなる。すなわち、乾燥終了状態に近づくと乾燥度合いが高くなって水分が少なくなり気化熱も奪わなくなるため、蒸発器7の下流の空気温度は蒸発器7の上流の空気温度にほぼ等しくなるように上昇する。したがって、蒸発器7の上流における蒸発器前温度TUと、蒸発器7の下流における蒸発器後温度TLとの温度差が実験データから求められる所定温度差よりも小さくなると、乾燥状態に到達したと判断できるのである。
ステップS635で、上記の温度差が第一の所定値未満であると判定すると、蒸発器7の乾燥が完了したとしてステップS640で蒸発器7の乾燥フラグを1にする処理を実行する。さらにステップS655に進みブロワ電圧を0Vに決定して蒸発器7の乾燥運転を終了し、ブロワ電圧決定の処理を終了する。なお、ステップS635で当該温度差が第一の所定値未満であると判定した後、さらに外気を取入れつつ室内用ブロワ14の運転を5分程度継続してから、すなわち車室内の換気をしてから、ステップS640に進むようにしてもよい。このようにすれば、乾燥運転とともに車室内に送られた湿気を車室外に排出でき、乗員に対して車室内の臭い軽減したり、湿気による不快感を回避したりすることができる。
一方、ステップS635で上記の温度差が第一の所定値以上であると判定すると、ステップS645に進み、所定の乾燥運転時間の乾燥運転が終了するまで乾燥運転を継続し、ステップS650で蒸発器7の乾燥フラグを維持し、さらにステップS655でブロワ電圧を0Vに決定してブロワ電圧決定の処理を終了する。このように蒸発器7の乾燥運転開始から所定の乾燥運転時間(ここでは1時間)が経過すると、強制的に乾燥運転を終了することにより、消費電力の低減と、室内用ブロワ14のモータ15の運転時間に起因する耐久性の確保とを図ることができる。
以上のように、エアコンECU50は、駐車中に、蒸発器7が非乾燥状態である(臭気を感じにくいレベルまで乾燥していない)ときに室内用ブロワ14の作動を制御して蒸発器7に対して送風を行う。この乾燥運転制御により、蒸発器7が乾燥状態であると判定すると、自動空調運転開始のときに圧縮機2を運転しない(後述するステップS9)ようにする。
(吸込口モード決定)
次に、ステップS7の吸込口モード決定処理を実施する。このステップS7は、具体的には、図5にしたがって実行する。図5は、図3のステップS7における吸込口モード決定処理の詳細を示すフローチャートである。
図5に示すように、ステップS7がスタートすると、ステップS700でIGスイッチがON状態であるか否かを判定する。このときIGスイッチがOFF状態であり、駐車中であると判定すると、ステップS705で吸込口モードを外気導入率100%の外気導入モードに決定し、ステップS7を終了する。このように駐車中に外気導入モードにすることで、車室内に残った湿気が車外に排出され易くなる。例えば、室内用ブロワ14の運転を停止して蒸発器7の乾燥運転を行わない場合でも、外気導入モードを実施することで車室内に湿気がこもらないようにできる。
ステップS700でIGスイッチがON状態であると判定すると、次にステップS710でオート運転が設定されているか否かを判定する。ステップS710でオート運転が設定されず、マニュアル運転であると判定すると、ステップS715でマニュアル設定に準じ、内気循環モードの場合は外気導入率0%に決定し、外気導入モードの場合は外気導入率100%に決定して、ステップS7を終了する。
ステップS710でオート運転が設定されていると判定すると、ステップS720で圧縮機ONモードであるか否かを判定する。ここでいう圧縮機ONモードとは、蒸発器温度TEが目標温度になるように圧縮機2が制御されている状態のモードであり、実際に圧縮機2が動作しているモードのことではない。例えば、蒸発器温度TEが目標温度を下回っている場合は、圧縮機2は停止しているが、蒸発器温度TEが上昇すれば圧縮機2は起動するため、このような場合は圧縮機ONモードと判定する。本実施形態では、この圧縮機ONモードを、圧縮機2が稼動しているモードとしている。
ステップS720で圧縮機ONモードであると判定すると、ステップS725でROMに記憶されたマップから目標吹出温度TAOに対応する吸込口モードを決定する。このマップにしたがえば、目標吹出温度TAOが低い温度から高い温度にかけて、内気循環モード、内気と外気の両方を吸い込む内外気導入モード、外気を吸い込む外気導入モードとなるように決定される。
ステップS720で圧縮機ONモードでないと判定すると、ステップS730でROMに記憶されたマップから前述の窓表面相対湿度RHWに対応する仮の外気導入率f(RHW)を決定する。つまり、ステップS730では、窓曇りの発生しやすさ(窓表面相対湿度RHW)に応じて、防曇要因での仮の外気導入率(以下、第一の仮の外気導入率ともいう)を演算する。この第一の仮の外気導入率は、窓曇りの可能性が高いほど(RHWが大きいほど)、大きな値に演算されて外気を車室内に多く取入れるように決定される。例えば、ステップS730のマップに示すように、第一の仮の外気導入率f(RHW)は、RHWが87〜90の間でその増加と共に0から100へ増大する値として求められ、RHWが90以上では一定値100として求められる。このように、RHWが大きいと、すなわち窓曇りの可能性が高いと、車室内に外気を多く取り入れることになって換気が進むため、車室内温度や湿度が下がる傾向になり、窓曇りの可能性が低減するようになる。ステップS730は、車両の窓が曇る可能性を判定して、窓曇りの可能性があると車室内に外気を導入する処理を行うステップである。
なお、外気導入率を高くするため条件は、圧縮機2を運転する条件よりも、満たしやすい条件に設定すれば、防曇のために圧縮機2を運転する頻度を少なくできるので、圧縮機2の稼働率低減による省電力化を図ることができる。
ステップS730の後には、外気温度が目標吹出温度TAOより高いか否かを判定する(ステップS735)。外気温度がTAO以下であると判定すると、ステップS740で、ROMに記憶されたマップから蒸発器温度TEとTAOとの温度差に対応して、外気を考慮した外気導入率の補正量(外気補正量)を決定する。このマップにより、TEがTAOよりも大きくなるにつれて外気補正量を大きく決定してステップS741の第二の仮の外気導入率f(外気補正)を高くすることができる。このようにして外気補正量を算出して吹出し温度を形成することにより、冷房のために圧縮機2を運転する頻度を少なくできるので、圧縮機2の稼働率低減による省電力化を図ることができる。
次にステップS741で、冷房要因での仮の外気導入率(第二の仮の外気導入率f(外気補正))を演算する。第二の仮の外気導入率f(外気補正)は、「先回求められた外気導入率」と「ステップS740で算出した外気補正量」とを足し算して算出される。さらに、ステップS730で算出した「第一の仮の外気導入率f(RHW)」と、ステップS741で算出した「第二の仮の外気導入率f(外気補正)」とを比較し、このうち大きい値の方を今回の外気導入率に決定し(ステップS742)、吸込口モード決定処理を終了する。なお、このステップS741は、4秒に1回更新されるものである。
一方、ステップS735で、外気温度がTAOよりも高いと判定すると、ステップS736で、マニュアル操作で圧縮機2が停止しているか否かを判定する。マニュアル操作で圧縮機2が停止していない場合は、ステップS737で外気導入率0%の内気循環モードに決定する。この内気循環モードに決定する処理は、外気温度がTAOよりも高いため、外気導入率を最大限に大きくしても目標吹出温度TAOを作り出すことができないから、後述するステップS9で圧縮機2が動作するように回転数が制御されることに加えて内気循環モードにすることで、圧縮機の吸い込み温度を低減して冷房効率を向上可能とする。
マニュアル操作で圧縮機2が停止している場合は、ステップS738で外気導入率100%の外気導入モードに決定する。この外気導入モードに決定する処理は、吹出し温度はTAOよりも高くなるけれども、外気導入率を最大限にすることにより吹出し温度を少しでも低下させることができるものである。
以上のように、ステップS7の吸込口モード決定処理は、防曇要因での第一の仮の外気導入率f(RHW)と冷房要因での第二の仮の外気導入率f(外気補正)とを比較し、高い方を選択して、外気導入率を決定するため、窓曇り防止及び冷房要求の両方を充足する内外気制御を実現するものである。
(吹出口モード決定)
次に、ステップS8の吹出口モード決定処理を実施する。このステップS8は、具体的には、図6にしたがって実行する。図6は、図3のステップS8における吹出口モード決定処理の詳細を示すフローチャートである。
図6に示すように、ステップS8がスタートすると、ステップS80でIGスイッチがOFF状態であるか否かを判定する。このときIGスイッチがOFF状態であり、駐車中であると判定すると、ステップS81で吹出口モードをデフロスタモードに決定し、ステップS8を終了する。ステップS700でIGスイッチがON状態であると判定すると、次にステップS82でオート運転が設定されているか否かを判定する。ステップS82でオート運転が設定されず、マニュアル運転であると判定すると、ステップS83でマニュアル設定に準じた吹出口モードに決定して、ステップS8を終了する。
ステップS82でオート運転が設定されていると判定すると、ステップS84で圧縮機2がOFFからONになって起動してから所定の初期時間(圧縮機の稼動を開始した時点から所定時間、ここでは15秒)が経過したか否かを判定する。ステップS84で当該所定の初期時間が経過していると判定すると、ステップS86でROMに記憶されたマップから目標吹出温度TAOに対応する吹出口モードを仮の吹出口モードf(TAO)として決定する。このマップにしたがえば、目標吹出温度TAOが低い温度から高い温度にかけて、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フット/デフロスタモードとなるように決定される。
次に、ステップS87でROMに記憶されたマップから前述の窓表面相対湿度RHWに対応する窓曇り可能性判定値f1(RHW)を決定する。つまり、ステップS87では、窓曇りの発生の可能性(窓表面相対湿度RHW)に応じて、防曇要因である吹出口モードの選定に用いる判定値f1(RHW)を演算する。窓表面相対湿度RHWが高く窓曇りの可能性があると判定値f1(RHW)を1とし、窓表面相対湿度RHWが低く窓曇りの可能性がないと判定値f1(RHW)を0と算出する。
例えば、ステップS87のマップに示すように、窓表面相対湿度RHWが85%以上である場合には、窓曇り可能性判定値f1(RHW)は1と求められ、窓表面相対湿度RHWが85%未満である場合には、窓曇り可能性判定値f1(RHW)は0と求められる。ただし、一度判定値f1(RHW)が1と求められると、窓表面相対湿度RHWが80%以下となるまでは判定値f1(RHW)を0とせず、吹出口モード(具体的には吹出口切替ドア21,22)がハンチングすることを防止するようになっている。
ステップS86、S87を実行したら、ステップS88で、先にステップS86で決定した仮の吹出口モードf(TAO)がバイレベルモードもしくはフットモードであるか否かを判定する。ステップS88で仮の吹出口モードf(TAO)がバイレベルモードもしくはフットモードであると判定すると、ステップS89で、先にステップS87で決定した窓曇り可能性判定値f1(RHW)が1であるか否か判定する。
ステップS89で窓曇り可能性判定値f1(RHW)が1であると判定したときには、ステップS891で吹出口モードをフットデフロスタモードに決定してステップS8を終了する。ステップS88で仮の吹出口モードf(TAO)がバイレベルモードもしくはフットモードではないと判定した場合、および、ステップS89で窓曇り可能性判定値f1(RHW)が0であると判定した場合には、ステップS892で、吹出口モードをステップS86で決定した仮の吹出口モードf(TAO)に決定してステップS8を終了する。
このように、仮の吹出口モードf(TAO)がバイレベルモードもしくはフットモードである場合に、窓曇り可能性があると、仮の吹出口モードに係わらず吹出口モードをフットデフロスタモードとして、デフロスタ吹出口18からの吹出風量を増加する処理をする。
なお、窓曇り可能性判定値f1(RHW)を1とする条件を、圧縮機2を運転する条件よりも、窓表面相対湿度RHWが低い条件に設定すれば、防曇のために圧縮機2を運転する頻度を少なくできるので、圧縮機2の稼働率低減による省電力化を図ることができる。
ステップS84で起動後間もなく、当該所定の初期時間がまだ経過していないと判定すると、ステップS85で吹出口モードをフットモードに決定して、ステップS8を終了する。このように圧縮機2の起動から所定の初期時間内に、吹出口モードをフットモードにすることで、蒸発器7の結露等により発生した臭気が車室内に放出された場合でも、乗員の足元付近に臭気は放出されるため、乗員が臭気を感じにくい状況にできる。
(圧縮機回転数決定)
次に、ステップS9で圧縮機回転数等の決定を実行する。このステップS9は、圧縮機2の回転数の決定と共に、自動空調運転時に蒸発器7が臭気を感じにくいレベルまで乾燥している乾燥状態であるか否かの判定を行うものである。
図7は、図3のステップS9における圧縮機回転数の決定を行うステップSを説明するフローチャートである。まず、エアコンECU50は、ステップS9がスタートすると、ステップS900でIGスイッチがOFF状態であるか否かを判定する。このときIGスイッチがON状態であると判定すると、ステップS901で今回の圧縮機2の回転数を0(停止)に決定してステップS9を終了する。
ステップS900でIGスイッチがOFF状態であると判定すると、次にステップS902で、蒸発器7の乾燥フラグが1であるか否かを判定する。この判定は、蒸発器7が臭気を感じにくいレベルまで乾燥している乾燥状態であるか否かを判定する処理であり、前回の処理で、当該乾燥フラグを0にする処理が行われていれば蒸発器7は非乾燥状態であると判定し、逆に当該乾燥フラグを1にする処理が行われていれば蒸発器7は乾燥状態であると判定することになる。ステップS902で当該乾燥フラグが1でないと判定すると、蒸発器7は非乾燥状態であると判定し、乗員に臭気を感じられてしまう可能性があるため、ステップS907に進み、エアコンインジケータ51aをONして表示状態にするとともに、f(蒸発器乾燥)=10000(rpm)にして圧縮機2の運転を許可する処理を実行する。
ステップS902で当該乾燥フラグが1であると判定すると、蒸発器7は乾燥状態であると判定し、次にステップS903で窓表面相対湿度RHWが95を超えているか否かを判定する。ステップS903で窓表面相対湿度RHWが95を超えていると判定すると、ステップS907に進み上記の処理を実行する。
ステップS903で窓表面相対湿度RHWが95以下であると判定すると、窓曇りの可能性が高くないと判断して、次に外気温度が目標吹出温度TAOよりも高いか否かを判定する(ステップS904)。ステップS904は、冷房運転の要否(冷房運転が必要であるか否か)を判定するステップである。外気温度がTAOを超えていると判定すると、外気導入率を最大限にしたとしてもTAOよりも高い吹出し温度しか作り出せないため、冷房運転が必要であると判断し、前述のステップS907で圧縮機2の運転を許可する処理を実行し、圧縮機2を起動するモードに移行する。ステップS904で外気温度がTAO以下であると判定すると、冷房運転が必要でないと判断し、ステップS905でf(蒸発器乾燥)=0(rpm)にして圧縮機2の運転を許可しない処理を実行する。さらにステップS906でエアコンインジケータ51aをOFFして非表示状態にする処理を実行し、ステップS910に進む。
このように、ステップS903は、車両の窓が曇る可能性を判定して窓曇りの可能性が非常に高いことを判定するステップであり、ステップS907は窓曇りの可能性が高まると圧縮機2を運転するステップである。また、ステップS904は、目標吹出温度TAOに基づいて冷房運転の要否を判定し、ステップS907は、冷房運転に要する冷房能力がさらに高まると圧縮機2を運転するステップである。
ステップS907に続いて、ステップS908で圧縮機2起動時における初回目標回転数の設定が必要であるか否かを判定する。ステップS908の処理が初回である場合は、ステップS909で前回の圧縮機2の回転数を3000(rpm)に設定する処理を実行する。一方、ステップS908の処理が初回でない場合で初回目標回転数の設定が不要であると判定すると、ステップS910に進む。
次にステップS910では、各種センサの検出信号を用いて算出した目標蒸発器温度TEOと、実際の蒸発器温度TEとの温度偏差Enを以下の数式4を用いて演算する。
(数式4)
En=TEO−TE
さらに、以下の数式5を用いて偏差変化率EDOTを演算する。
(数式5)
EDOT=En−En-1
ここで、Enは1秒に1回更新されるため、En-1はEnに対して1秒前の値となる。
さらに、エアコンECU50は、算出したEn及びEDOTと、図8に示すマップとを用いて、1秒前の圧縮機2の「回転数変化量ΔfC」を算出する。図8に示すマップは、偏差Enと偏差変化率EDOTとの関係を示すマップであり、予めROMに記憶されている。
次にステップS911では、「前回の圧縮機回転数」とステップS910で算出した「回転数変化量ΔfC」との和、及びステップS905またはステップS907で決定した「f(蒸発器乾燥)」を比較し、このうち小さい値の方を、今回の圧縮機の回転数に決定する。すなわち、ステップS902,S903,S904の各条件を満たし、ステップS905でf(蒸発器乾燥)=0(rpm)と決定した場合には、今回の圧縮機の回転数は0(rpm)になるため、圧縮機2は停止制御されることになる。
なお、このステップS911は、1秒に1回更新されるものである。また、この温度偏差En及び偏差変化率EDOTにおける回転数変化量ΔfCは、ROMに記憶された所定のメンバーシップ関数及びルールに基づいて、ファジー制御にて求めるようにしてもよい。
次にステップS912では、ステップS911で求めた今回の圧縮機回転数が0であるか否かを判定する。ステップS912は、圧縮機2が停止していて蒸発器7の結露量が増加しない状態か否かを判定するステップであり、ステップS912〜ステップS917では、次回の蒸発器7の乾燥状態を判定するステップS902に影響する重要な処理が行われる。ステップS912で今回の圧縮機回転数が0でないと判定すると、蒸発器7の結露が増加し蒸発器7に対して送風が行われると臭気が発生する可能性が高いと判断して、ステップS913で蒸発器7の乾燥フラグを0にする処理を実行し、圧縮機回転数決定の処理を終了する。
一方、今回の圧縮機回転数が0である場合には、蒸発器7の結露が増加しないと判断して、ステップS914で室内用ブロワ14の電圧設定が0(V)よりも大きいか否か、つまり室内用ブロワ14によって蒸発器7に送風が行われているか否かを判定する。室内用ブロワ14の電圧設定が0(V)であれば、蒸発器7の結露はほとんど乾かないと判断して、ステップS916に進み蒸発器7の乾燥フラグを維持し、圧縮機回転数決定の処理を終了する。
室内用ブロワ14の電圧設定が0(V)でなく蒸発器7に送風が行われている場合には、次に、ステップS915で圧縮機2の停止状態が所定の停止時間(ここでは15分)以上継続しているか否かを判定する。ステップS915で圧縮機2の停止状態が所定の停止時間継続していないと判定するとステップS916で蒸発器7の乾燥フラグを維持し、圧縮機回転数決定の処理を終了する。圧縮機2の停止状態が所定の停止時間以上継続している場合はと判定すると、蒸発器7に対して送風が行われても、乗員が臭気を感じにくいレベルまで乾燥していると判断してステップS917で蒸発器7の乾燥フラグを1にする処理を実行し、圧縮機回転数決定の処理を終了する。このステップS917の処理により、次回のステップS902での判定は圧縮機2を停止制御し得る処理になる。
なお、圧縮機2が乗員のマニュアル操作により、停止設定されている場合は、本ステップS9の処理に関わらず、圧縮機2は強制的に停止することになる。
また、車両用空調装置100に用いられる冷凍サイクルが冷媒の流れ方向を切換弁等で切り換えることによって暖房運転サイクル及び冷房運転サイクルに切り換えることが可能なサイクル構成であって、暖房運転サイクルとして機能するように冷媒が循環している場合は、圧縮機2が運転していても蒸発器7の結露は増加しない。したがって、この場合にはステップS912での判定は、必ずYESと判定するものとする。
(ウォータポンプ作動決定)
次に、図3のステップS10のウォータポンプ作動決定処理を実施する。このステップS10は、具体的には、図9にしたがって実行する。図9は、図3のステップS10におけるウォータポンプ作動決定処理の詳細を示すフローチャートである。
図9に示すように、ステップS10がスタートすると、ステップS100で水温センサ33によって検出される冷却水の水温TWが蒸発器温度TEより高いか否かを判定する。水温TWが蒸発器温度TE以下であると判定すると、ステップS101でウォータポンプ32をOFFする要求を決定し、ステップS10を終了する。
ステップS100で水温TWが蒸発器温度TEよりも高いと判定すると、次にステップS102で室内用ブロワ14をON(運転)する状態であるか否かを判定する。室内用ブロワ14をONしない状態であれば、ステップS101に進み、ウォータポンプ32をOFFする要求を決定し、ステップS10を終了する。室内用ブロワ14をONする状態であれば、ステップS103に進み、ウォータポンプ32をONする要求を決定し、ステップS10を終了する。このように、エアコンECU50は、冷却水の水温と室内用ブロワ14の運転及び停止に応じて、電動のウォータポンプ32の作動を決定する。
(制御信号出力)
次に、図3のステップS11において、上記各ステップS2〜S9で算出または決定された各制御状態が得られるように、インバータ80、各種アクチュエータ等に対して制御信号を出力する。そして、図3のステップS12において所定時間の経過を待って、ステップS2に戻り、継続して各ステップが実行される。
上述の構成および作動によれば、エアコンECU50は、窓表面相対湿度RHWを、窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性の高さを示す曇り度合予想値として得て、曇り度合予想値である窓表面相対湿度RHWに応じて、3種類の防曇制御を行うようになっている。
図6を用いて説明したように、窓表面相対湿度RHWが85%を超え窓曇りの可能性があるときには、まず吹出口モードをフットデフロスタモードとしてデフロスタ吹出口18からの吹出風量を増大させて、窓ガラス温度を上昇させるとともに、窓ガラスの内表面近傍の湿度を低下させ、防曇を行うことができる。また、図5を用いて説明したように、窓表面相対湿度RHWが87%を超え窓曇りの可能性が高まったときには、外気を導入して室内の湿度を低下させて窓ガラス内表面を防曇することができる。これに加えて、図7を用いて説明したように、窓表面相対湿度RHWが95%を超え窓曇りの可能性が更に高まったときには、圧縮機2を稼動して蒸発器7で空調風を除湿し、車室内に除湿した空調風を吹き出すことで窓ガラス内表面を防曇することができる。
ここで、窓表面相対湿度RHW85%が、防曇を目的としてデフロスタ吹出口18からの吹き出し風量の増加を行うか否かの判定を行うための増風防曇判定値であり、窓表面相対湿度RHW87%が、防曇を目的として外気導入を行うか否かの判定を行うための外気防曇判定値であり、窓表面相対湿度RHW95%が、防曇を目的として圧縮機2を稼動して除湿を行うか否かの判定を行うための除湿防曇判定値ということになる。
したがって、空調開始時等に、曇り度合予想値が増風防曇判定値よりも高く窓曇りの可能性があるときには、まず窓ガラス内表面への風量増加で防曇を行い、曇り度合予想値が外気防曇判定値よりも高く窓曇りの可能性が高いときには、外気導入で車室内の湿度を下げて防曇を行い、曇り度合予想値が除湿防曇判定値よりも高く更に窓曇りの可能性が高まったときに圧縮機2を稼動して防曇するので、防曇のために圧縮機2を稼動する時間を低減して空調省動力運転を行うことができるとともに、窓ガラス内表面を確実に防曇することができる。
また、エアコンECU50は、圧縮機2の稼動を開始した時点から所定時間(本例では15秒間)経過するまでは、吹出口モードをフットモードとして、圧縮機2の稼動開始前および所定時間経過後よりも、車室内へ吹き出される空調風のうち車室内に搭乗する乗員の上半身へ向かって吹き出される空気の割合を低減するようになっている。
これによれば、従来圧縮機の始動時には、熱交換器に供給された冷媒が空気から熱を奪うと熱交換器の表面に結露が始まり、その際に、熱交換器の臭気成分が空気中に一時的に放出され、車室内に搭乗している乗員が臭いを感じて不快を感じるという不具合を発生する場合があったが、本実施形態では、乗員の上半身へ向かって吹き出される空気の割合を低減することで、乗員が臭いを不快に感じることを防止することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
上記実施形態では、エアコンECU50は、窓表面相対湿度RHWを、窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性の高さを示す曇り度合予想値として得て、曇り度合予想値である窓表面相対湿度RHWに応じて、吹出モードを変更しての窓ガラス内表面に向かう吹出風量増加による防曇、外気導入による防曇、および圧縮機2を稼動しての防曇の3段階の防曇制御を行うようになっていたが、これに限定されるものではない。たとえば、窓曇りの可能性のあるときには窓ガラス内表面に向かう吹出風量増加による防曇を行い、窓曇りの可能性が高まったときに圧縮機2を稼動して防曇を行う2段階の防曇制御を行うものであってもよい。また、窓曇りの可能性のあるときには外気導入による防曇を行い、窓曇りの可能性が高まったときに圧縮機2を稼動して防曇を行う2段階の防曇制御を行うものであってもよい。
また、上記実施形態では、相対湿度RH、空気温度および窓の温度に基づいて、窓表面相対湿度RHWを曇り度合予想値として得ていたが、窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性の高さを示す曇り度合予想値は、車室内の環境情報および車室外の環境情報の少なくともいずれかに基づいて得る値であればよい。曇り度合予想値は、例えば、車速と外気温とにより得てもよいし、乗車人数により得てもかまわない。また、例えば、内気温および外気温により得るものであってもよいし、天候情報により得るものであってもかまわない。
また、上記実施形態では、窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性があるときには、まず、吹出モードをフットデフロスタモードとすることで、窓ガラス内表面に向かう吹出風量を増加して防曇を行うようになっていたが、窓ガラス内表面への吹出風量増加は、吹出モードの変更に限定されるものではなく、ブロワ電圧の変更により窓ガラス内表面への吹出風量増加を行うものであってもよい。この場合には、室内用ブロワ14が本発明で言うところの風量調節手段に相当する。
また、上記実施形態の圧縮機2の回転数は、インバータ80により制御される構成であるが、これに限定されるものではない。例えば、圧縮機2は、エンジン30にベルト駆動されて冷媒を圧縮するものであってもよい。この場合、圧縮機2には、エンジン30から圧縮機2への回転動力の伝達を断続するクラッチ手段としての電磁クラッチが連結されており、この電磁クラッチは、クラッチ駆動回路等により制御される。電磁クラッチが通電された時に、エンジン30の回転動力が圧縮機2に伝達されて、蒸発器7による空気冷却作用が行われ、電磁クラッチの通電が停止した時に、エンジン30と圧縮機2とが遮断され、蒸発器7による空気冷却作用が停止するようになる。
また、上記実施形態において、ステップS620の判定処理は、「車両に搭載のバッテリの充電容量が所定量以上か?」に置き換えてもよい。すなわち、当該バッテリの充電容量が所定量以上であると判定するとステップS625に進み、当該バッテリの充電容量が所定量未満であると判定すると、ステップS650に進むことになる。この判定処理は、プラグイン充電タイプのハイブリッド自動車以外の車両について提供可能である。
また、上記実施形態のヒータコア34の後方にさらに空気を加熱できる電気式補助熱源としてPTCヒータ(positive temperature coefficient)を設けるようにしてもよい。このPTCヒータは、通電発熱素子部を備え、通電発熱素子部に通電されることによって発熱し、周囲の空気を暖めることができる。この通電発熱素子部は、耐熱性を有する樹脂材料(例えば、66ナイロンやポリブタジエンテレフタレートなど)で成形された樹脂枠の中に複数個のPTC素子を嵌め込むことにより構成したものである。
2 圧縮機
7 蒸発器(熱交換器)
10 空調ケース
10a 空気通路
13 内外気切替ドア(内外気切替手段)
14 室内用ブロワ(他の実施形態における風量調節手段)
18 デフロスタ吹出口(吹出口)
21、22 吹出口切替ドア(風量調節手段)
50 エアコン電子制御装置(エアコンECU、制御手段)
100 車両用空調装置

Claims (4)

  1. 車両の室内に送風される空気が流通する空気通路(10a)を内部に含む空調ケース(10)と、
    前記空調ケース内に設けられ、内部を流通する冷媒と前記空気通路を流通する前記空気との間で熱交換を行う熱交換器(7)と、
    前記熱交換器へ冷媒を供給する圧縮機(2)と、
    前記空調ケースの前記熱交換器より空気流れ下流側に設けられ、前記車両の窓ガラスの内表面に向かって前記空気通路を流通する前記空気を吹き出す吹出口(18)と、
    前記吹出口(18)から前記窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段(21)と、
    前記圧縮機の稼動制御および前記吹出風量調節手段の作動制御を行う制御手段(50)と、を備える車両用空調装置であって、
    前記制御手段は、
    前記車両の室内の環境情報および前記車両の室外の環境情報の少なくともいずれかに基づいて前記窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性の高さを示す曇り度合予想値を得て、前記曇り度合予想値と、予め定めた増風防曇判定値および前記増風防曇判定値よりも高い除湿防曇判定値とを比較し、
    前記曇り度合予想値が、前記増風防曇判定値よりも高く前記除湿防曇判定値より低く前記窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性があると判断されるときには、前記圧縮機の稼動を禁止しつつ、前記曇り度合予想値が前記増風防曇判定値より低い場合よりも前記吹出口からの前記吹出風量が増加するように前記吹出風量調節手段を制御し、
    前記曇り度合予想値が、前記除湿防曇判定値よりも高く前記窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性が更に高いと判断されるときには、前記圧縮機を稼動することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記空気通路へ導入する空気を前記室内の内気と室外の外気との間で切り替える内外気切替手段(13)を備え、
    前記制御手段は、
    前記曇り度合予想値と、前記増風防曇判定値よりも高く前記除湿防曇判定値よりも低い外気防曇判定値とを比較し、
    前記曇り度合予想値が前記外気防曇判定値よりも低いときには前記内気を導入し、前記曇り度合予想値が前記外気防曇判定値よりも高いときには前記外気を導入するように、前記内外気切替手段の切替制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 車両の室内に送風される空気が流通する空気通路(10a)を内部に含む空調ケース(10)と、
    前記空調ケース内に設けられ、内部を流通する冷媒と前記空気通路を流通する前記空気との間で熱交換を行う熱交換器(7)と、
    前記熱交換器へ冷媒を供給する圧縮機(2)と、
    前記空気通路へ導入する空気を前記室内の内気と室外の外気との間で切り替える内外気切替手段(13)と、
    前記圧縮機の稼動制御および前記内外気切替手段の切替制御を行う制御手段(50)と、を備える車両用空調装置であって、
    前記制御手段は、
    前記車両の室内の環境情報および前記車両の室外の環境情報の少なくともいずれかに基づいて前記窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性の高さを示す曇り度合予想値を得て、前記曇り度合予想値と、予め定めた外気防曇判定値および前記外気防曇判定値よりも高い除湿防曇判定値とを比較し、
    前記曇り度合予想値が前記外気防曇判定値よりも低いときには、前記圧縮機の稼動を禁止しつつ、前記内気を導入するように前記内外気切替手段の切替制御を行い、
    前記曇り度合予想値が前記外気防曇判定値よりも高く前記除湿防曇判定値より低く前記窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性があると判断されるときには、前記圧縮機の稼動を禁止しつつ、外気を導入するように前記内外気切替手段の切替制御を行い、
    前記曇り度合予想値が、前記除湿防曇判定値よりも高く前記窓ガラスの内表面に曇りが発生する可能性が更に高いと判断されるときには、前記圧縮機を稼動することを特徴とする車両用空調装置。
  4. 前記制御手段は、前記圧縮機の稼動を開始した時点から所定時間経過するまでは、前記圧縮機の稼動開始前および前記所定時間経過後よりも、前記空気通路を流通して前記室内へ吹き出される空気のうち前記車両の室内に搭乗する乗員の上半身へ向かって吹き出される空気の割合を低減することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用空調装置。
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