JP2011065110A - 位相差補償フィルムの製造方法、位相差補償フィルム、複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

位相差補償フィルムの製造方法、位相差補償フィルム、複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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岳博 中村
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Abstract

【課題】適当かつ十分なレターデーションを有し、充分な逆分散性を有し、更に高温下での光学補償性能の劣化を抑制できる位相差補償フィルムを得ることができる位相差補償フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る位相差補償フィルムの製造方法は、非晶性樹脂により形成されたフィルムを、加熱延伸する加熱延伸工程を備える。上記非晶性樹脂として、正の屈折率異方性を有する高分子成分と、負の屈折率異方性を有する単量体成分と、重合促進剤とを含む組成物の重合を進行させることにより得られた非晶性樹脂が用いられる。上記非晶性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、上記重合促進剤のラジカル発生温度をTc(℃)、上記フィルムを加熱延伸する際の加熱延伸温度をTs(℃)としたときに、下記式(1)を満たす。
Tg<Tc<Ts ・・・式(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置に用いることができ、液晶表示装置の表示画像を長期間にわたって高品位に保つことが可能な位相差補償フィルムを得ることができる位相差補償フィルムの製造方法、位相差補償フィルム、複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)は、液晶分子が封入されており、かつ電極が組み込まれている液晶セルに、光学フィルム及び偏光板が貼り合わされて構成されている。上記光学フィルムには、透明性及び光学補償性に優れているだけでなく、用途に応じて種々の光学特性に優れていることも要求されている。
液晶が本来有する、複屈折性に起因する光学的な歪み並びに視覚方向により表示が着色するなどの視野角依存性を解消するために、上記光学フィルムとして、光学異方性を応用した位相差補償フィルムが広く用いられている。
上記位相差補償フィルムは、一般的に熱可塑性樹脂を、流延(溶液キャスト)製膜法、カレンダー製膜法又は溶融押出製膜法等により製膜したフィルムを延伸することにより作製されている。上記熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリサルホン系樹脂及びノルボルネン系樹脂等が用いられている。
反射型液晶表示装置又は反射型偏光板に用いられる位相差補償フィルムには、可視光領域(400〜700nm)において直線偏光を円偏光に、円偏光を直線偏光に変換する作用(位相差がλ/4(nm))を有する、いわゆる逆分散性が求められる。しかしながら、ポリカーボネート系樹脂等を用いた従来の位相差補償フィルムの複屈折は、短波長ほど大きくなり、長波長ほど小さくなる。このため、従来の位相差補償フィルムでは、特に短波長側において逆分散性を満たすのは困難である。
上記位相差補償フィルムの製造方法の一例として、下記の特許文献1には、正の屈折率異方性を有する高分子となるモノマーと、負の屈折率異方性を有する高分子となるモノマーとを共重合させた樹脂により形成されたフィルムを用いて、該フィルムを加熱延伸する方法が開示されている。
下記の特許文献2には、ウレタンアクリレートモノマーと溶媒とを含有する塗工液を透明基板上に塗工した後、ウレタンアクリレートモノマーを重合処理することにより、ウレタン系樹脂を含有する位相差補償フィルムを得る方法が開示されている。
WO00/26705号公報 特開2007−328053号公報
特許文献1に記載の方法により得られた位相差補償フィルムは、逆分散性を充分に有しないことがある。さらに、上記位相差補償フィルムは、耐溶剤性が低いことがある。このため、位相差補償フィルムの表面を、例えば液晶性材料によりコーティングしなければならないことがある。さらに、位相差補償フィルムとともに使用可能な溶剤が限定されたり、位相差補償フィルム自体の使用が制限されたりすることがある。
特許文献2に記載の方法により得られた位相差補償フィルムでは、上記モノマーの重合に用いられる重合触媒の種別又はフィルムの延伸条件などにより、十分に硬化したフィルムが得られないことがある。さらに、この位相差補償フィルムは、液晶表示装置内での熱暴露に対して光学補償性能が劣化しやすい。このため、位相差が経時変化し、液晶表示装置の稼働に伴って、画像品位が低下することがある。
本発明の目的は、適当かつ十分なレターデーションを有し、可視光領域の全域において理想の位相差(λ/4(nm))を実現できる充分な逆分散性を有し、更に高温下での光学補償性能の劣化を抑制できる位相差補償フィルムを得ることができる位相差補償フィルムの製造方法、並びに該位相差補償フィルムの製造方法により得られた位相差補償フィルム、複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明の広い局面によれば、非晶性樹脂により形成されたフィルムを、加熱延伸する加熱延伸工程を備え、上記非晶性樹脂として、正の屈折率異方性を有する高分子成分と、負の屈折率異方性を有する単量体成分と、重合促進剤とを含む組成物の重合を進行させることにより得られた非晶性樹脂を用いて、上記非晶性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、上記重合促進剤のラジカル発生温度をTc(℃)、上記フィルムを加熱延伸する際の加熱延伸温度をTs(℃)としたときに、下記式(1)を満たす、位相差補償フィルムの製造方法が提供される。
Tg<Tc<Ts ・・・式(1)
本発明に係る位相差補償フィルムのある特定の局面では、上記正の屈折率異方性を有する高分子成分として、ポリウレタン系樹脂が用いられる。
本発明に係る位相差補償フィルムの他の特定の局面では、上記負の屈折率異方性を有する単量体成分として、アリール基、環状アミド基及び環状アミノ基からなる群から選択された少なくとも1種の側鎖官能基を有するビニル化合物が用いられる。
本発明の広い局面によれば、上記位相差補償フィルムの製造方法により得られた位相差補償フィルムであって、下記式(2)で定義される正面レターデーションR0の、測定波長450nmにおける値をR0(450)、測定波長550nmにおける値をR0(550)としたときに、R0(450)のR0(550)に対する比(R0(450)/R0(550))が1未満であり、かつR0(550)が50nm以上である、位相差補償フィルムが提供される。
R0 (nm)=|nx −ny|×d ・・・式(2)
nx:フィルム面内の最大屈折率
ny:フィルム面内のnx方向と直交する方向の屈折率
d:位相差補償フィルムの平均厚み(nm)
本発明に係る位相差補償フィルムのある特定の局面では、80℃の熱風で1000時間処理した後の上記R0(550)の変化率が、熱風処理前の初期値に対して−5〜+5%の範囲内である。
本発明に係る複合偏光板は、本発明に従って構成された位相差補償フィルムと、上記位相差補償フィルムの一方の面に積層された偏光板とを備える。
本発明に係る偏光板は、本発明に従って構成された位相差補償フィルムと、上記位相差補償フィルムの一方の面に積層された接着剤層と、上記接着剤層の上記位相差補償フィルムが積層された面とは反対側の面に積層された偏光子とを備える。
本発明に係る液晶表示装置は、液晶セルを構成している一対の基板と、上記一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層されており、かつ本発明に従って構成された複合偏光板又は偏光板とを備える。
本発明では、正の屈折率異方性を有する高分子成分と、負の屈折率異方性を有する単量体成分と、重合促進剤とを含む組成物の重合を進行させることにより得られた非晶性樹脂により形成されたフィルムを加熱延伸する際に、上記非晶性樹脂のガラス転移温度Tgと、上記重合促進剤のラジカル発生温度Tcと、上記フィルムを加熱延伸する際の加熱延伸温度Tsとを上記式(1)を満たすように制御することにより、可視光領域の全域において理想の位相差(λ/4(nm))を実現できる逆分散性を充分に有する位相差補償フィルムを得ることができる。
さらに、液晶表示装置内での熱暴露に対して光学補償性能が劣化し難く、耐久性が高い位相差補償フィルムを得ることができる。従って、本発明に係る位相差補償フィルムの使用により、液晶表示装置の表示画像を長期間にわたって高品位に保つことができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る位相差補償フィルムの製造方法は、非晶性樹脂(D)により形成されたフィルムを、加熱延伸する加熱延伸工程を備える。
本発明では、加熱延伸される上記フィルムは非晶性樹脂(D)により形成されている。該非晶性樹脂(D)は、正の屈折率異方性を有する高分子成分(A)と、負の屈折率異方性を有する単量体成分(B)と、重合促進剤(C)とを含む組成物の重合を進行させることにより得られる。
本発明では、非晶性樹脂(D)のガラス転移温度をTg(℃)、重合促進剤(C)のラジカル発生温度をTc(℃)、上記フィルムを加熱延伸する際の加熱延伸温度をTs(℃)としたときに、下記式(1)を満たす。
Tg<Tc<Ts ・・・式(1)
先ず、非晶性樹脂(D)を得るための成分の詳細を説明する。
(正の屈折率異方性を有する高分子成分(A))
非晶性樹脂(D)を構成する正の屈折率異方性を有する高分子成分(A)は、正の屈折率異方性を有し、かつ高分子であれば特に限定されない。上記正の屈折率異方性を有する高分子成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
逆分散性を充分に有する位相差補償フィルムを得る観点からは、高分子成分(A)として、ポリウレタン系樹脂が好適に用いられる。ポリウレタン系樹脂は、分子中に少なくとも一つのウレタン結合を有する樹脂である。ポリウレタン系樹脂は特に限定されない。ポリウレタン系樹脂を用いたフィルムを延伸すると、分子主鎖方向に分極し、正の屈折率異方性が発現する。
上記ポリウレタン系樹脂としては、各種のポリウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリウレタンポリ尿素樹脂及びこれらのプレポリマー等が挙げられる。上記ポリウレタン系樹脂は、ポリウレタン樹脂又はウレタンアクリレート樹脂であることが好ましい。上記ポリウレタン系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリウレタン樹脂の具体例としては、ジイソシアネート単量体成分とジオール単量体成分との反応物、並びに末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、アミノ化合物、アミノスルホン酸塩又は重亜硫酸などとの反応物等が挙げられる。
上記ジイソシアネート単量体成分としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。上記ジオール単量体成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記ウレタンアクリレート樹脂は、ポリオール単量体成分、ポリイソシアネート単量体成分及びヒドロキシ(メタ)アクリレート単量体成分等の1種又は2種以上の単量体成分により得られる。上記単量体成分を用いて上記ウレタンアクリレートを得る方法として、公知の方法が用いられる。例えばポリオール単量体成分とポリイソシアネート単量体成分とを反応させて末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後、末端のイソシアネート基に、ヒドロキシ(メタ)アクリレート成分を反応させることにより上記ウレタンアクリレート樹脂を得ることができる。
上記ポリオール単量体成分としては、スピログリコール、エトキシ化ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールS、ポリテトラメチレンオキサイドジオール、ポリテトラメチレンオキサイドトリオール、ポリプロピレンオキサイドジオール及びポリプロピレンオキサイドトリオール等が挙げられる。
上記ポリイソシアネート単量体成分としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート単量体成分としては、例えば、2,2−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]エーテル、4,4−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]シクロヘキサン、9,9−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]アントラキノン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリシドールジメタクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
(負の屈折率異方性を有する単量体成分(B))
非晶性樹脂(D)を構成する負の屈折率異方性を有する単量体成分(B)は、負の屈折率異方性を有し、かつ単量体であれば特に限定されない。単量体成分(B)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
単量体成分(B)の使用により、負の屈折率異方性を有する高分子を形成できる。単量体成分(B)は、高分子成分(A)と共重合可能な不飽和二重結合を有することが好ましい。単量体成分(B)は、側鎖官能基を有することが好ましい。該側鎖官能基は、自由電子を構造中に含むことが好ましい。
逆分散性を充分に有する位相差補償フィルムを得る観点からは、単量体成分(B)は、ビニル化合物であることが好ましく、下記式(X)で表されるビニル化合物であることがより好ましい。
R1−CH=CH ・・・式(X)
上記式(X)中、R1は芳香環基、窒素含有脂環基又は複素環基を表す。
上記式(X)で表されるビニル化合物は、側鎖官能基として強い極性基を有する。このため、上記式(X)で表されるビニル化合物を用いたフィルムを延伸することで、正の屈折率異方性を有する高分子成分(A)の分子主鎖方向と直交する方向に分極し、負の屈折率異方性が発現する。
上記ビニル化合物の側鎖官能基の具体例としては、アリール基、ナフチル基、フルオレン基、ピロール基、フラン基、チオフェン基及びイミダゾール基などの芳香環含有基、ピロリドン基、カプロラクタム基、モルホリン基及びイソホロン基などの窒素含有脂環基、並びにピラゾール基、イミダゾリン基、インドール基及びオキサゾール基などの複素環基等が挙げられる。上記アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
逆分散性を充分に有する位相差補償フィルムを得る観点からは、上記ビニル化合物は、アリール基、フルオレン基、環状アミド基及び環状アミノ基からなる群から選択された少なくとも1種の側鎖官能基を有することが好ましく、アリール基、環状アミド基及び環状アミノ基からなる群から選択された少なくとも1種の側鎖官能基を有することがより好ましい。
位相差補償フィルムに正の屈折率異方性を与えるためには、上記組成物中の高分子成分(A)の含有量を多くする。位相差補償フィルムに負の屈折率異方性を与えるためには、上記組成物中の単量体成分(B)の含有量を多くする。位相差補償フィルムの上記比(R0(450)/(R0(550))(以下、波長分散比ともいう)を1未満にするために、上記正の屈折率異方性を有する高分子成分(A)と、上記負の屈折率異方性を有する単量体成分(B)との配合比を適宜決定できる。位相差補償フィルムを得る際には、正の屈折率異方性及び負の屈折率異方性だけでなく、波長分散性についても考慮することが好ましい。
上記波長分散比が1未満であり、かつ正の屈折率異方性を有する位相差補償フィルムを得るためには、例えば単量体成分(B)の波長分散比が、高分子成分(A)の波長分散比よりも大きい各成分を選択する。上記波長分散比が1未満であり、かつ負の屈折率異方性を有する位相差補償フィルムを得るためには、例えば、高分子成分(A)の波長分散比が、単量体成分(B)の波長分散比よりも大きい各成分を選択する。
高分子成分(A)と単量体成分(B)との配合比は、光学物性のバランスを考慮しながら適宣決定できる。高分子成分(A)と単量体成分(B)との合計100重量%中、高分子成分(A)の含有量の好ましい下限は30重量%、より好ましい下限は40重量%、好ましい上限は70重量%、より好ましい上限は60重量%である。高分子量成分(A)の含有量が上記好ましい下限及び上限を満たすと、上記波長分散比を1未満にすることが容易であり、より一層優れた光学特性を得ることができる。さらに、高分子成分(A)の含有量が上記好ましい下限を満たすと、非晶性樹脂(D)が脆化し難くなり、従って加熱延伸の際に、フィルムが破断し難くなる。
(重合促進剤(C))
非晶性樹脂(D)は、高分子成分(A)と、単量体成分(B)と、重合促進剤(C)とを含む組成物の重合を進行させることにより得られる。この重合の際には、高分子成分(A)の重合、単量体成分(B)の重合及び高分子成分(A)と単量体成分(B)との共重合が単独又は並行して進行する。
上記重合方法として、フリーラジカル重合法を利用する。重合促進剤(C)は、ラジカル発生能力を持つラジカル発生重合促進剤である。重合促進剤(C)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。重合の際に、重合促進剤(C)は、一括して添加されてもよく、連続的又は段階的に添加されてもよい。
重合促進剤(C)は、過酸化物であることが好ましい。該過酸化物は特に限定されない。上記過酸化物は、有機過酸化物であることが好ましい。該有機過酸化物としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド及びパーオキシエステル等が挙げられる。重合促進剤(C)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1,1,3,3−トリメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキサン等が挙げられる。
重合促進剤(C)の熱特性を示す指標の一つとして分解温度がある。分解温度として、一般に10時間半減期温度が用いられている。該10時間半減期温度とは、重合促進剤(C)の濃度が初期値の半分に減少するまでの時間が10時間となる温度である。
本発明では、10時間半減期温度を、ラジカル発生温度Tc(℃)と定義する。10時間半減期温度は、ヨードメトリー法により重合促進剤(C)の熱分解速度を測定することにより算出できる。
上記ヨードメトリー法によるラジカル発生温度の評価方法として、公知の方法が用いられる。この評価方法は、例えば、特開2007−308388号公報に記載されている。
高分子成分(A)と単量体成分(B)との合計100重量部に対して、重合促進剤(C)の含有量の好ましい下限は0.05重量部、より好ましい下限は0.1重量部、さらに好ましい下限は0.2重量部、好ましい上限は4重量部、より好ましい上限は3重量部、さらに好ましい上限は2重量部である。重合促進剤(C)の含有量が上記好ましい下限を満たすと、重合反応の促進効果を充分に得ることができる。重合促進剤(C)の含有量が上記好ましい上限を満たすと、重合速度が速くなりすぎることなく、より一層均一なフィルムを得ることができ、更にフィルムの着色を抑制できる。
(他の成分)
上記組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃助剤及び可塑剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
上記酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)及びトリス(ジ−ノニルフェニルホスファイト)等が挙げられる。上記紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン及び2−(2’−ジヒドロキシ−4’−m−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。上記滑剤としては、パラフィンフェノス及び硬化油等が挙げられる。上記帯電防止剤としては、ステアロアジトプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムトレート等が挙げられる。
(非晶性樹脂(D))
非晶性樹脂(D)は、高分子成分(A)と、単量体成分(B)と、重合促進剤(C)と、必要に応じて添加剤とを混合し、攪拌しながら必要に応じて加熱した後、脱泡することにより調製できる。
フィルムの成形性及び延伸性、並びに位相差補償フィルムとしての光学特性を高める観点からは、非晶性樹脂(D)の重量平均分子量は、2,000〜30,000の範囲内であることが好ましい。非晶性樹脂(D)の重量平均分子量のより好ましい下限は5,000、より好ましい上限は20,000である。上記重量平均分子量は、テトラヒドロフラン溶媒を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されたポリスチレン換算分子量を示す。
(位相差補償フィルムの製造方法に用いられるフィルム)
本発明に係る位相差補償フィルムの製造方法に用いられるフィルムの製造方法は特に限定されない。上記フィルムの製造方法としては、例えば、非晶性樹脂(D)の塗膜を形成した後、該塗膜を硬化させる方法等が挙げられる。
非晶性樹脂(D)の塗膜を形成する方法としては特に限定されず、例えば、基材上に非晶性樹脂(D)を塗工する流延製膜法、又は基材上に非晶性樹脂(D)を印刷する方法が挙げられる。非晶性樹脂(D)の塗膜を形成する方法の具体例としては、例えば、ブレードコーティング、ワイヤードクターコーティング、ナイフコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング及びダイコーティング等の塗工方法、並びにフレキソ印刷等の凸版印刷、ダイレクトグラビア印刷、オフセットグラビア印刷等の凹版印刷、オフセット印刷等の平版印刷及びスクリーン印刷等の孔版印刷などの印刷方法が挙げられる。
上記基材としては特に限定されず、例えば、樹脂フィルム、ガラス板及び金属板等が挙げられる。上記樹脂フィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セロファン、ポリエチレン及びポリプロピレン等が挙げられる。上記組成物を2枚の基材で挟み込み、2枚の基材の間で塗膜を形成してもよい。
上記塗膜を硬化させる方法としては特に限定されず、例えば、熱風による対流又は赤外線による輻射などにより加熱する方法、並びに紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。上記組成物がラジカル重合性化合物を含有する場合には、ラジカル重合性化合物の重合は空気中の酸素により阻害されることから、塗膜の硬化は、窒素パージ等による酸素を遮断した環境下で行うことが好ましい。
非晶性樹脂(D)により形成されたフィルムは、非晶性樹脂フィルムである。該フィルムは、後述する加熱延伸工程において加熱延伸され、位相差補償フィルムとして利用される。このため、上記フィルムの厚みは、所定の位相差発現性を損わず、かつ一定の機械的強度を有し、さらに液晶表示装置へ積層される際に重視される軽量性などを考慮して、適宜の厚みに設定される。上記フィルムの平均厚みの好ましい下限は30μm、より好ましい下限は50μm、好ましい上限は300μm、より好ましい上限は200μmである。上記フィルムの平均厚みが上記好ましい上限及び下限を満たすと、得られる位相差補償フィルムを、光学補償フィルムとして好適に使用できる。
上記フィルムは、一般的には、実質的に無配向のフィルムである。上記フィルムは実質的に無配向であることが好ましく、すなわち上記フィルムのフィルム面内方向及びフィルム厚み方向のレターデーション値がゼロに近いことが好ましい。より具体的には、フィルム面内方向のレターデーション値は20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
上記フィルムのガラス転移温度は、光学特性又は耐久性に影響を与える重要な要素である。液晶表示装置に用いられた位相差補償フィルムが曝される熱環境を考慮すると、上記フィルムのガラス転移温度の好ましい下限は80℃、より好ましい下限は100℃以上である。
上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(TA Instruments社製、商品名「DSC2920 Modulated DSC」)を用いて、以下の温度プログラム条件において測定される、最終昇温時のガラス転移温度を示す。
温度プログラム条件:
室温から50℃まで10℃/分で昇温し、100℃で5分間保持する。次に、50℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で5分間保持する。次に、200℃から−50℃まで10℃/分で降温し、−50℃で5分間保持する。次に、−50℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で5分間保持する。
(位相差補償フィルムの製造方法)
本発明に係る位相差補償フィルムの製造方法は、非晶性樹脂(D)により形成されたフィルムを、加熱延伸する加熱延伸工程を備える。例えば、無配向フィルムの構成分子を、定法により配向させることにより、位相差補償フィルムを得ることができる。
上記配向の方法としては、フィルムを延伸により配向させる方法、並びに磁力又は光刺激等によって配向させる方法等が挙げられる。延伸により分子鎖を配向させる方法が簡便であり好ましい。
本発明に係る位相差補償フィルムの製造方法は、フィルムを加熱延伸温度まで加熱する予熱工程と、上記フィルムを加熱しながら延伸する上記加熱延伸工程と、延伸されたフィルムを熱処理し配向を固定する熱処理工程と、熱処理した配向フィルムを常温まで冷却する冷却工程を備えることが好ましい。
各工程における上記フィルムの加熱法としては、熱ロール接触加熱法、及びエアーフローティング加熱方式を利用した空気対流加熱法等が挙げられる。これらの加熱法を併用してもよい。フィルムの加熱法は、延伸形態に応じて適宣選択される。
上記予熱工程は、フィルムを延伸可能なフィルム温度まで加熱する工程である。上記予熱工程は、特にテンタークリップ方式の延伸形態において発生する、分子配向の湾曲パターン(いわゆるボーイング)を低減し、配向を揃えるための機能を担っている。上記予熱工程では、上記フィルムを延伸可能な温度付近まで加熱する。例えば、次工程の加熱延伸工程における加熱延伸温度付近まで加熱する。予熱工程における上記フィルムの温度は、加熱延伸工程でのフィルム温度と等しい温度以上であることが好ましい。さらに、予熱工程における予熱温度は、非晶性樹脂(D)のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、(Tg)〜(Tg+40)℃の範囲内であることが好ましい。予熱温度が低すぎると、加熱延伸工程において延伸応力が大きくなりすぎて、フィルムが破断しやすくなる。予熱温度が高すぎると、延伸応力が不足し、延伸効果を十分に得ることができないことがある。
なお、上記フィルムは、加熱により膨張変形し、フィルム幅が広がることがある。このため、予熱工程におけるフィルムの通過中に、自重によりフィルムがたわみ、熱風ノズル等の炉内部材へ接触することがある。ロール間延伸法による縦一軸延伸法の場合には、予熱工程入口のフィルム張力と同工程出口のフィルム張力を独立に調整できる機構が備えられることにより、このような走行トラブルを回避できる。テンタークリップ方式の横一軸延伸法及び同時二軸延伸法の場合には、予熱工程におけるフィルムの通過中に、自重によりフィルムがたわみ、熱風ノズル等の炉内部材へ接触することがある。シート幅に対し、クリップレール幅を広げることにより、このような走行トラブルを回避できる。
上記加熱延伸工程では、例えば、上記フィルムを加熱しながら、フィルムの長手方向及び幅方向の内の少なくとも一方向に延伸する。延伸により、例えば、実質的に無配向であったフィルム構成分子を特定方向に配向させる。これにより、複屈折などの光学異方性を付与し、位相差補償フィルムとしての機能を発現させ、更には延伸による分子配向によってフィルムとしての機械特性及び耐久性を高めることができる。
上記フィルムは、長手方向及び幅方向の内の一方向のみに一軸延伸してもよく、長手方向及び幅方向に二軸延伸してもよい。
二軸延伸法としては、長手方向又は幅方向に延伸した後、前段の延伸方向と直交する方向に延伸する逐次二軸延伸法、並びに長手方向及び幅方向に同時に延伸する同時二軸延伸法が挙げられる。二軸延伸法は、光学補償性能又は生産性を考慮して、適宣選択できる。設備費を低くし、かつ操作性及び光学補償性能を高める観点からは、逐次二軸延伸法が好ましい。
長手方向への縦一軸延伸方法として、従来公知の方法を採用できる。縦一軸延伸方法としては、ロール間延伸法及びクリップテンター法等が挙げられる。操作性を高め、設備費を低くする観点からは、ロール間延伸法がより好ましい。ロール間延伸法は、上流側設置ロールを低速度、下流側設置ロールを高速度として、異なる回転速度で回転される複数のロールが長手方向に任意の間隔で配置されており、ロールの間隙を介して加熱下でフィルムを搬送することで、ロール速度差に応じてフィルムを延伸する手法である。ロールの配置距離により事実上定義される延伸距離がフィルム幅よりも短いと、長手方向への分子配向は不十分となる。上記延伸距離が長すぎると、フィルムの折れ、フィルムのしわ、加熱炉パーツ等への接触傷等が発生しやすくなる。上記延伸距離は、フィルムの走行性に応じて適宣設定できる。ロールに対するフィルムの保持力を高め、グリップを良くし、さらに加熱延伸工程における応力の影響を前後の工程に波及させないことを目的として、上記ロールは、ニップ機構を備えることが好ましい。
幅方向への横一軸延伸方法、及び長手方向と幅方向への同時二軸延伸方法として、従来公知の任意のテンター延伸法を採用できる。横一軸延伸方法及び同時二軸延伸方法としては、例えば、無配向フィルムの幅方向の両端部をテンタークリップで把持し、テンタークリップの幅方向の間隔を次第に離間させ、フィルムを幅方向に拡幅し、延伸する方法が挙げられる。さらに、上記幅方向延伸手法に加え、パンタグラフ構造又はリニアモータ方式によるリンク機構を利用して、長手方向に互いに隣接するクリップを次第に離間させ、フィルムを長手方向に延伸する方法が挙げられる。
本発明に係る位相差補償フィルムの製造方法では、非晶性樹脂(D)のガラス転移温度をTg(℃)、重合促進剤(C)のラジカル発生温度をTc(℃)、上記フィルムを加熱延伸する際の加熱延伸温度をTs(℃)としたときに、下記式(1)を満たす。
Tg<Tc<Ts ・・・式(1)
上記加熱延伸工程における加熱延伸温度を、非晶性樹脂(D)のガラス転移温度Tg(℃)、及び重合促進剤(C)のラジカル発生温度をTc(℃)よりも高く設定することで、フィルムの塑性変形を進め、同時に加熱延伸中の非晶性樹脂(D)の硬化反応を促進する。これにより、得られる位相差補償フィルムにおいて、実用に耐え得る耐久性が発現する。
加熱延伸温度Tsが、非晶性樹脂(D)のガラス転移温度Tgよりも低いと、位相差補償フィルムの耐久性が実用性能を下回り、更に延伸むらによる不均一変形が原因となって、位相差補償フィルムのフィルム面内のレターデーションむらが発生する。このため、位相差補償フィルムを用いた液晶表示装置の表示画像の品位が低下する。さらに、過大な延伸応力により延伸中にフィルムが破断したり、テンタークリップがはずれたりして、加熱延伸工程におけるフィルム走行安定性を損なうことがある。
加熱延伸温度Tsが重合促進剤(C)のラジカル発生温度Tcよりも低いと、加熱延伸工程においてフィルムの硬化が不十分となり、耐久性が低下する。
なお、加熱延伸温度Tsが高すぎると、延伸応力が不足し、延伸による分子配向効果を十分に得ることができず、配向緩和が優先して、液晶を通過する際の複屈折を補償するだけの十分なレターデーションを得られない傾向がある。加熱延伸温度Tsの好ましい上限は(Tg+30)、より好ましい上限は(Tg+20)℃である。すなわち、本発明では、下記式(1A)を満たすことが好ましく、下記式(1B)を満たすことがより好ましい。
Tg<Tc<Ts<(Tg+30)℃ ・・・式(1A)
Tg<Tc<Ts<(Tg+20)℃ ・・・式(1B)
上記加熱延伸工程における加熱延伸の開始から終了までの延伸時間は、主に連続生産性に基づいて決定されるフィルム走行速度と、加熱延伸工程の工程長さに応じて適宣設定できる。上記延伸時間は10〜100秒の範囲内であることが好ましい。上記延伸時間のより好ましい下限は20秒、より好ましい上限は60秒である。上記延伸時間が長すぎると、熱緩和によりレターデーションが著しく低下しやすくなり、延伸による分子配向効果を得ることができないことがある。またフィルム走行速度が低下することで、生産性が著しく低くなる。上記延伸時間が短すぎると、顕著なボーイング現象により、遅相軸のフィルム幅方向への不均一分布を補正できず、さらには過大な延伸応力によるフィルム破断又はクリップ掴み外れ等が生じ、フィルム走行安定性を損なうことがある。
上記加熱延伸工程における延伸倍率は、位相差補償フィルムの補償位相差量によって適宜決定できる。延伸倍率が低すぎると、配向方向が均一に揃わないことがある。延伸倍率が高すぎると、フィルムの中央部がたわみ、レターデーション値、遅相軸又は厚みの幅方向分布が不均一になる。従って、上記延伸倍率は、1.10〜6.00倍の範囲内であることが好ましい。上記延伸倍率のより好ましい下限は1.50倍、より好ましい上限は5.00倍である。
上記加熱延伸工程における延伸歪み速度の好ましい下限は50%/分、より好ましい下限は100%/分、好ましい上限は2,000%/分、より好ましい上限は1,000%/分である。上記歪み速度が遅すぎると、レターデーションの発現性が低下する傾向がある。上記歪み速度が速すぎると、フィルムが切断したり、テンタークリップがはずれたりすることがある。また、高い歪み速度で延伸することにより、特にテンタークリップ方式による延伸では、クリップレール開き角度を大きく取り、延伸ゾーンの炉長を極力短くすることができる。
上記熱処理工程は、延伸後のフィルムの残留歪みを除去又は低減し、アニール処理することで樹脂分子配向を揃え固定するための工程である。上記熱処理工程により、分子配向を制御し、幅方向の光学特性や厚みを揃えることができる。また、上記熱処理工程により、延伸フィルムのボーイングを低減し、配向を揃えることができる。上記熱処理工程における加熱温度が高すぎると、レターデーション値が低下する傾向がある。非晶性樹脂(D)のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、上記熱処理工程における加熱温度は、(Tg−30)〜(Tg+10)℃の範囲内であることが好ましい。上記加熱温度を上記好ましい範囲内とすることにより、ボーイングを制御し、フィルム幅方向への分子配向精度を高めることができる。
上記熱処理工程における加熱時間は、主に連続生産性に基づいて決定されるフィルム走行速度と、熱処理工程の工程長さに応じて適宣設定できる。上記加熱時間は、5〜60秒の範囲内であることが好ましく、10〜30秒の範囲内であることがより好ましい。加熱延伸の後の熱処理工程における加熱時間を上記好ましい範囲に設定することにより、ボーイング現象を抑制し、優れた光軸精度を得ることができる。上記加熱時間が短すぎると、十分なアニール効果が得られず、結果としてフィルム流れの下流側に配向がせり出し、逆ボーイングを助長することがある。上記加熱時間が長すぎると、フィルム流れの上流側に配向がせり出し、正ボーイングを助長することがある。このため、液晶パネルの画像表示品位が低下し、位相差補償フィルムとしての商品価値が低下することがある。
上記冷却工程は、フィルムを急冷することにより、フィルムに形成された分子配向をフィルム固定するための工程である。非晶性樹脂(D)のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、上記冷却工程における冷却温度は、(Tg−50)〜(Tg−5)℃の範囲内であることが好ましい。
(位相差補償フィルム)
位相差補償フィルムの下記式(2)により定義される正面レターデーションR0の、測定波長450nmにおける値をR0(450)、測定波長550nmにおける値をR0(550)としたときに、R0(450)のR0(550)に対する比(R0(450)/R0(550))(波長分散比)が1未満であり、かつR0(550)が50nm以上であることが好ましい。
R0 (nm)=|nx −ny|×d・・・式(2)
nx:フィルム面内の最大屈折率
ny:フィルム面内のnx方向と直交する方向の屈折率
d:位相差補償フィルムの平均厚み(nm)
すなわち、位相差補償フィルムは、下記式(3)及び下記式(4)を満たすことが好ましい。
R0(450)/R0(550)<1 ・・・式(3)
R0(550)>50nm ・・・式(4)
上記波長分散比が1未満である位相差補償フィルムは、広い波長領域において円偏光を直線偏光に、直線偏光を円偏光に変換できる。このような位相差補償フィルムを、偏光板一枚型又はゲストホスト型の反射型液晶表示装置、片方の円偏光だけ反射するような反射型偏光素子に応用することにより、画像品位に優れる液晶表示装置又は高性能の反射型偏光素子を提供できる。
画像品位により一層優れる液晶表示装置又は高性能の反射型偏光素子を得る観点からは、上記R0(550)のより好ましい下限は80nm、好ましい上限は300nmである。
上記R0(550)が上記好ましい下限及び上限を満たす位相差補償フィルムを液晶パネルに積層すると、安定した高品位の表示画像を得ることができる。上記R0(550)が上記好ましい下限及び上限を満たすことにより、液晶を通過する際の複屈折を充分に補償でき、位相差補償フィルムとしての商品価値をより一層高めることができる。
位相差補償フィルムを80℃の熱風で1000時間処理した後の、上記R0(550)(nm)の変化率は、熱風処理前の初期値に対して−5〜+5%の範囲内であることが好ましい。なお上記R0の変化率はそれぞれ、下記式(5)で定義される。
η0(%)=(R0(550)[1000]―R0(550)[0])/R0(550)[0]×100・・・式(5)
η0:正面レターデーション値R0(550)の変化率
R0(550)[0]:熱風処理前のフィルムのR0(550)(nm)
R0(550)[1000]:80℃の熱風で1000時間熱風処理した後のR0(550)(nm)
上記正面レターデーションR0(550)の変化率が上記好ましい範囲内にある位相差補償フィルムを用いた液晶表示装置では、液晶表示装置が本来有する広視野角及び高コントラストといった高品位の表示画像を、安定して長期間にわたって保持できる。なお、耐久性評価の熱風の温度を80℃としたのは、液晶表示装置に位相差補償フィルムを搭載すると、パネル装備のバックライト光に位相差補償フィルムが常時露光され、このとき位相差補償フィルムが80℃程度に加熱昇温されるためである。
位相差補償フィルムの幅方向に対する分子主鎖配向角(°)は、−0.5〜+0.5°の範囲内であることが好ましい。上記分子主鎖配向角を上記好ましい範囲内とすることにより、分子主鎖が均一に配向し、光軸が安定するので、液晶パネルに積層すると表示むらがなく、表示画像を安定させることができる。
位相差補償フィルムの光弾性係数は、2.0×10−11Pa−1以下であることが好ましい。位相差補償フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合には、偏光板の収縮応力、偏光板への貼合時の歪み、ディスプレイへの組込時の歪みによる応力等の種々の外力がかかり、位相差補償フィルム内部に応力が発生する。高温高湿環境下では、偏光板の収縮応力は大きい。上記光弾性係数とは、下記式(11)により定義され、フィルム内部に発生した応力に対する複屈折の変化を表す値である。
C=Δn/σ・・・式(11)
C:光弾性係数(Pa−1
Δn:発現複屈折
σ:フィルム内部応力(Pa)
上記光弾性係数が小さいほど、外力による複屈折率の変化量が小さくなる。上記光弾性係数が2.0×10−11Pa−1を超えると、外力による変形により光学性能が大きく変化するため、光学フィルムの用途に用いることが困難となる。位相差補償フィルムの光弾性係数は、1.0×10−11Pa−1以下であることがより好ましい。上記光弾性係数は、従来公知の方法により測定できる。
位相差補償フィルムの平均厚みは特に制限されない。位相差補償フィルムの平均厚みは20〜200μmの範囲内であることが好ましい。位相差補償フィルムの平均厚みのより好ましい下限は40μm、より好ましい上限は100μmである。位相差補償フィルムの平均厚みが上記好ましい範囲内にあると、所定の複屈折発現性を損わず、かつ一定の機械的強度を有し、さらに液晶表示装置へ積層される際に重視される部材の軽量化を進めることができる。また、位相差補償フィルムを光学補償フィルムとして好適に使用できる。
位相差補償フィルムのヘイズ値の好ましい上限は8%、より好ましい上限は5%、より一層好ましい上限は3%、更に好ましい上限は1%である。上記ヘイズ値が高すぎると、偏光板保護フィルム等の用途に用いた場合に、光洩れ等の原因となることがある。
位相差補償フィルムの表面には、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射、各種薬品処理等の表面活性処理を施してもよい。さらに、位相差補償フィルムの表面に、塗布加工又は蒸着による各種の機能コーティング、ラミネート等を行うことにより諸性能を付加し、利用価値を更に向上させることもできる。
(複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置)
本発明に係る複合偏光板は、位相差補償フィルムと、該位相差補償フィルムの一方の面に積層された偏光板とを備える。上記位相差補償フィルムと上記偏光板とは一体化されていることが好ましい。
本発明に係る液晶表示装置は、液晶セルを構成している一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層された上記複合偏光板とを備える。
本発明に係る偏光板は、上記位相差補償フィルムと、該位相差補償フィルムの一方の面に積層された接着剤層と、該接着剤層の上記位相差補償フィルムが積層された面とは反対側の面に積層された偏光子とを備える。上記位相差補償フィルムと上記偏光子とは、上記接着剤層を介して一体化されていることが好ましい。
また、本発明に係る他の液晶常時装置は、液晶セルを構成している一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層された上記偏光板とを備える。
上記位相差補償フィルムは、液晶表示装置の部品として好適に用いられる。上記位相差補償フィルムは、単独で用いられてもよく、偏光板と積層されて複合偏光板として用いられてもよい。さらに、位相差補償フィルムは、偏光板の液晶セル側の保護フィルムのかわりとして、接着剤層を介して偏光子に積層されて偏光板として用いられてもよい。液晶表示装置の薄型化及び製造効率を高めることができるので、偏光板の液晶セル側の保護フィルムのかわりに、位相差補償フィルムは、接着剤層を介して偏光子に積層されて偏光板として用いられることが好ましい。
上記位相差補償フィルムを単独で用いた液晶表示装置を製造する方法としては、液晶セルを構成している一対の基板のそれぞれの外表面に偏光板を配設し、上記液晶セルの基板のうちの少なくとも一方の基板と該基板に対向する偏光板との間に上記位相差補償フィルムを配置し、更に、液晶セルにおける液晶表示面とは反対側の基板側に配設した偏光板上に、バックライト型又はサイドライト型の公知の照明システムを配設し、駆動回路を組み込む方法等が挙げられる。上記位相差補償フィルムは、液晶表示面側の基板の外表面に配置されることが好ましい。
上記液晶表示装置において、位相差補償フィルムは、予め偏光板の一面に接着剤又は粘着剤を介して積層されて複合偏光板として用いられてもよい。上記接着剤又は粘着剤としては、光学特性を阻害しないものであれば特に限定されない。アクリル系の接着剤又は透明な粘着剤等が好適に用いられる。
また、上記偏光板としては、従来汎用されているものが用いられる。上記偏光板は、例えば、偏光子の両面に保護フィルムが積層一体化されている。この偏光子としては、ポリビニルアルコール−ヨウ素偏光膜、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性染料を吸着配向させた染料系偏光膜、ポリビニルアルコール系フィルムより脱水反応を誘起させることにより、又はポリ塩化ビニルフィルムの脱塩酸反応により、ポリエンを形成させたポリエン系偏光膜、分子内にカチオン基を含有する変性ポリビニルアルコールからなるポリビニルアルコール系フィルムの表面及び内部の内の一方に二色性染料を有する偏光膜等が挙げられる。
上記偏光子に積層一体化される保護フィルムは、偏光子の光学特性を阻害しないであれば特に限定されない。上記保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース、アルカリ処理したトリアセチルセルロース等からなるフィルムが挙げられる。
また、偏光板の液晶セル側の保護フィルムのかわりに、位相差補償フィルムを、接着剤層を介して偏光子に積層されて偏光板として用いる方法としては、偏光子と位相差補償フィルムとの対向面の内の何れか一方の面に、接着剤を全面的に略均一に塗布した後、偏光子と位相差補償フィルムとを接着剤を介した状態で重ね合わせて積層一体化する方法等が挙げられる。上記接着剤は、位相差補償フィルム面に塗布することが好ましい。上記接着剤は、偏光子及び位相差補償フィルムの光学特性を阻害しないものであればよく、水性ウレタン系接着剤であることが好ましい。
偏光子の位相差補償フィルムが積層されている面とは反対側の面には、通常の光等方性の保護フィルムが、接着剤を介して積層一体化されていることが好ましい。
上記位相差補償フィルムを保護フィルムとして用いた、偏光板を使用した液晶表示装置は、液晶セルを構成している一対の基板それぞれの外表面に配設される偏光板の内、少なくとも液晶表示面側の偏光板として、偏光板を、位相差補償フィルム面が液晶セル側となるように配置することにより得られる。
上記液晶セルは特に限定されない。上記液晶セルとして、従来公知のものを使用できる。大型画面としての表示性能に優れるVAモード及びIPSモードに本発明に係る位相差補償フィルムを適用すると優れた効果が得られる。本発明に従ってフィルムを加熱延伸することによって、パネル平行面内又は厚み方向の屈折率が制御された位相差補償フィルムを提供できる。これによって、液晶セルの屈折率を効果的に補償して、液晶表示装置の正コントラスト又は見込み角度によるコントラストの変化又は視野角依存性を大幅に改善できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例にのみ限定されない。
(非結晶性樹脂の製造例1)
温度調節器、攪拌装置、冷却管及びガス導入管を取付けた容量80Lの四つ口セパラブルフラスコに、ポリテトラメチレングリコール4.1kg、ヘキサメチレンジイソシアネート24.9kg、メタクリル酸イソボルニル13.2kg(共栄社化学社製、商品名IB−X)、重合促進剤(C)として過酸化物(C−1)(日油社製、商品名パーオクタO)0.5kgを仕込み、80℃に加熱して、攪拌機を用いて回転数50rpmで10時間攪拌することにより、正の屈折率異方性を有する高分子成分(A)としてウレタンアクリレートプレポリマー(A−1)を調製した。
続けて、負の屈折率異方性を有する単量体成分(B)として、スチレン(B−1)7.9kgを加え、80℃で10時間更に攪拌した。得られた組成物を静置して脱泡し、非晶性樹脂(D−1)を作製した。
(非結晶性樹脂の製造例2)
重合促進剤(C)を、ラジカル発生温度が異なる過酸化物(C−2)(日油社製、パーブチルO)に変更したこと以外は製造例1と同様にして、非晶性樹脂(D−2)を作製した。
(非結晶性樹脂の製造例3)
負の屈折率異方性を有する単量体成分(B)を、Nビニルカプロラクタム(B−2)に変更したこと以外は製造例1と同様にして、非晶性樹脂(D−3)を作製した。
(非結晶性樹脂の製造例4)
負の屈折率異方性を有する単量体成分(B)を、Nビニルピロリドン(B−3)に変更したこと以外は製造例1と同様にして、非晶性樹脂(D−4)を作製した。
(非晶性樹脂の製造例5)
負の屈折率異方性を有する単量体成分(B)を、1,2−ジビニルベンゼン誘導体(B−4)に変更したこと以外は製造例1と同様にして、非晶性樹脂(D−5)を作製した。
(非結晶性樹脂の製造例6)
負の屈折率異方性を有する単量体成分(B)として、スチレン(B−1)を用いなかったこと、並びに重合促進剤(C)を、ラジカル発生温度が異なる過酸化物(C−2)(日油社製、パーブチルO)に変更したこと以外は製造例1と同様にして、非晶性樹脂(H−1)を作製した。
製造例1〜6で得られた非晶性樹脂(D−1)〜(D−5)及び非晶性樹脂(H−1)のガラス転移温度Tg(℃)は、下記の表1に記載の通りである。
(非晶性樹脂フィルムの製膜例)
厚み100μmのPETフィルム(東洋紡エステルフィルム、東洋紡社製)を2枚用意した。この1枚のPETフィルム上に、製造例1〜6で得られた非晶性樹脂(D−1)〜(D−5)及び非晶性樹脂(H−1)を、Tダイコーターヘッドからフィルム状に塗布し、塗膜を形成した後、直ちに該塗膜上に他の上記PETフィルムを貼り付けて、積層体を得た。得られた積層体をロール搬送により、フィルム搬送速度3m/分熱風加熱炉に供給し、熱風温度120℃、処理時間10分で加熱処理した後室温に冷却して、巻取速度3m/分及び巻取張力300N/mで塩化ビニル樹脂製コアにロール状に巻取り、PETフィルム間に、幅750mm及び厚さ160μmの非晶性樹脂フィルムを作製した。
(実施例1〜5)
下記の表1に示す製造例1〜5で得られた非晶性樹脂(D−1)〜(D−5)を用いた非晶性樹脂フィルムを用意した。該非晶性樹脂フィルムの両面に貼り付けられた上記PETフィルムを剥離しながら、非晶性樹脂フィルム連続的に巻出し、予熱ゾーン、加熱延伸ゾーン、熱処理ゾーン及び冷却ゾーンを有するロール式延伸機横一軸テンター延伸機に、予熱ゾーン入口においてフィルム搬送速度10m/分で供給した。
非晶性樹脂フィルムを、予熱ゾーンにおいて熱風温度125℃で加温した。その後、加熱延伸ゾーンにおいて、該ゾーン前後に配置されたフィルム流れ方向の上流側ニップロールと下流側ニップロールに回転速度比を付け、下流側ロール速度の上流側ロール速度に対する回転速度比を2.0として延伸倍率とし、歪み速度100%/分で、延伸倍率2.0倍及び歪み速度100%/分で、下記の表1に示す加熱延伸温度Tsで非晶性樹脂フィルムを長手方向に加熱延伸した。次に、熱処理ゾーンにおいて熱風温度110℃で、非晶性樹脂フィルムをアニール処理した。更に冷却ゾーンで、非晶性樹脂フィルムを80℃に冷却して配向固定した。フィルム端部の一部をフィルム中心から左右対称に設置したシェア刃でスリットして除去し、巻取速度20m/分及び巻取張力100N/mで塩化ビニル樹脂製コアにロール状に巻取り、位相差補償フィルムを得た。
得られた位相差補償フィルムの幅は、両端部を除いて500mmであり、平均厚みは110μmであった。
(実施例6〜7)
下記の表1に示す製造例1,2で得られた非晶性樹脂(D−1),(D−2)を用いた非晶性樹脂フィルムを用意した。該非晶性樹脂フィルムの両面に貼り付けられた上記PETフィルムを剥離しながら、非晶性樹脂フィルム連続的に巻出し、予熱ゾーン、加熱延伸ゾーン、熱処理ゾーン及び冷却ゾーンを有する横一軸テンター延伸機に、予熱ゾーン入口においてフィルム搬送速度10m/分で供給した。
非晶性樹脂フィルムを、端部をテンタークリップで把持し、予熱ゾーンにおいて熱風温度125℃で加温した。その後、加熱延伸ゾーンにおいて、延伸倍率2.0倍および歪み速度100%/分で、下記の表1に示す加熱延伸温度Tsで非晶性樹脂フィルムを幅方向に加熱延伸した。次に、熱処理ゾーンにおいて熱風温度110℃で、非晶性樹脂フィルムをアニール処理した。更に、冷却ゾーンで、非晶性樹脂フィルムを80℃に冷却して配向固定した。延伸機出口において、フィルム端部をクリップ把持より解放した。その後、スリット工程でクリップ掴み痕の残存するフィルム端部を、フィルム中心から左右対称に設置したシェア刃でスリットして除去し、巻取速度10m/分及び巻取張力100N/mで塩化ビニル樹脂製コアにロール状に巻取り、位相差補償フィルムを得た。
得られた位相差補償フィルムの幅は、両端部を除いて1350mmであり、平均厚みは78μmであった。
(比較例1〜4)
下記の表2に示す製造例1,2で得られた非晶性樹脂(D−1),(D−2)を用いた非晶性樹脂フィルムを使用し、更に加熱延伸温度Tsを下記の表2に示すように設定したこと以外は実施例1〜5と同様にして位相差補償フィルムを得た。
(比較例5〜6)
下記の表2に示す製造例1,2で得られた非晶性樹脂(D−1),(D−2)を用いた非晶性樹脂フィルムを使用し、更に加熱延伸温度Tsを下記の表2に示すように設定したこと以外は実施例6〜7と同様にして位相差補償フィルムを得た。
(比較例7)
製造例6で得られた非晶性樹脂(H−1)を用いた非晶性樹脂フィルムを使用し、更に加熱延伸温度Tsを下記の表2に示すように設定したこと以外は実施例1〜5と同様にして、位相差補償フィルムを得た。
(評価)
位相差補償フィルムの正面レターデーション値R0の測定方法、位相差補償フィルムの熱風処理方法及び加熱経時変化率の評価方法は以下の通りである。
[位相差補償フィルムの正面レターデーション値R0の測定方法]
フィルム幅方向を基準軸とし、その基準軸に対して長手方向50mm、幅方向は全幅で帯状フィルム片を採取した。光学測定装置(大塚電子社製、RETS−1200RF)を用いて、波長550nmにおける位相差をフィルム片の幅方向に25mm間隔で測定しR0(550)を測定した。更にR0(550)測定値の総平均を算出し、フィルムの正面レターデーション値R0とした。測定は回転検光子法による方法で行った。
[位相差補償フィルムの波長分散比R0(450)/R0(550)の評価方法]
測定波長を450nmに変更したこと以外は、上記R0(550)の測定方法と同様にして、R0(450)を測定した。得られた結果から、上記比(R0(450)/R0(550))を波長分散比として算出した。
[位相差補償フィルムの熱風処理方法及び加熱経時変化率評価方法]
位相差補償フィルムを40mm×40mmの正方形に切り出し、上記の手順で上記R0(550)を測定し、測定値をR0(550)[0]とした。
次に、フィルム片を無塵紙で、実質的に無負荷で軽く挟み、80℃に保温した乾燥熱風式オーブン内に1000時間放置し、フィルムを加熱処理した。加熱処理後に上記と同様にしてフィルム片の正面レターデーション値を測定し、測定値をR0(550)[1000]とした。正面レターデーションR0(550)の変化率を、上述した式(5)により算出した。
結果を下記の表1,2に示す。
Figure 2011065110
Figure 2011065110

Claims (9)

  1. 非晶性樹脂により形成されたフィルムを、加熱延伸する加熱延伸工程を備え、
    前記非晶性樹脂として、正の屈折率異方性を有する高分子成分と、負の屈折率異方性を有する単量体成分と、重合促進剤とを含む組成物の重合を進行させることにより得られた非晶性樹脂を用いて、
    前記非晶性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、前記重合促進剤のラジカル発生温度をTc(℃)、前記フィルムを加熱延伸する際の加熱延伸温度をTs(℃)としたときに、下記式(1)を満たす、位相差補償フィルムの製造方法。
    Tg<Tc<Ts ・・・式(1)
  2. 前記正の屈折率異方性を有する高分子成分として、ポリウレタン系樹脂を用いる、請求項1に記載の位相差補償フィルムの製造方法。
  3. 前記負の屈折率異方性を有する単量体成分として、アリール基、環状アミド基及び環状アミノ基からなる群から選択された少なくとも1種の側鎖官能基を有するビニル化合物を用いる、請求項1又は2に記載の位相差補償フィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差補償フィルムの製造方法により得られた位相差補償フィルムであって、
    下記式(2)で定義される正面レターデーションR0の、測定波長450nmにおける値をR0(450)、測定波長550nmにおける値をR0(550)としたときに、
    R0(450)のR0(550)に対する比(R0(450)/R0(550))が1未満であり、かつR0(550)が50nm以上である、位相差補償フィルム。
    R0 (nm)=|nx −ny|×d ・・・式(2)
    nx:フィルム面内の最大屈折率
    ny:フィルム面内のnx方向と直交する方向の屈折率
    d:位相差補償フィルムの平均厚み(nm)
  5. 80℃の熱風で1000時間処理した後の前記R0(550)の変化率が、熱風処理前の初期値に対して−5〜+5%の範囲内である、請求項4に記載の位相差補償フィルム。
  6. 請求項4又は5に記載の位相差補償フィルムと、
    前記位相差補償フィルムの一方の面に積層された偏光板とを備える、複合偏光板。
  7. 液晶セルを構成している一対の基板と、
    前記一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層された請求項6に記載の複合偏光板とを備える、液晶表示装置。
  8. 請求項4又は5に記載の位相差補償フィルムと、
    前記位相差補償フィルムの一方の面に積層された接着剤層と、
    前記接着剤層の前記位相差補償フィルムが積層された面とは反対側の面に積層された偏光子とを備える、偏光板。
  9. 液晶セルを構成している一対の基板と、
    前記一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層された請求項8に記載の偏光板とを備える、液晶表示装置。
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