JP2011060596A - エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法およびエレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法およびエレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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康子 曽根
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勝也 小幡
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Abstract

【課題】本発明は、透明なEL表示装置において、透過率を維持したまま、EL表示装置の発光時の色調整を行うことができるEL表示装置の製造方法およびEL表示装置を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、透明基板と、透明基板上に形成された第1透明電極層と、上記第1透明電極層上に形成され、少なくとも発光層を含むEL層と、上記EL層上に形成された第2透明電極層とを有するEL表示装置の製造方法であって、上記第1透明電極層および上記第2透明電極層の少なくともいずれか一方が、IZO膜であり、上記IZO膜をPVD法により成膜するIZO膜形成工程を有し、上記IZO膜の成膜条件を制御することにより上記IZO膜の色度を調整することで、上記EL表示装置の発光時の色度を調整することを特徴とするEL表示装置の製造方法を提供する。
【選択図】図3

Description

本発明は、陽極および陰極として透明電極を有する、透明なエレクトロルミネッセンス表示装置に関するものである。
発光層を一対の電極の間に挟み、両電極間に電圧をかけて発光させるエレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンスをELと略す場合がある。)素子は、自己発色により視認性が高いこと、液晶素子と異なり全固体素子であるため耐衝撃性に優れていること、応答速度が速いこと、温度変化による影響が少ないこと、および、視野角が大きいことなどの利点を有しており、表示装置における発光素子としての利用が注目されている。
EL素子の構成は、陽極/発光層/陰極の積層構造を基本としており、陽極および陰極のいずれも透明電極とすることで、全体として透明な発光素子とすることが可能である。このような透明な発光素子は、背景色として任意の色が採用できたり、背景を視認できたりするので、装飾性を高めることができる。
従来、EL素子の発光色を調整するために、EL素子にカラーフィルタを組み合わせる方法が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、カラーフィルタを設けると、透過率が低下するため、発光素子全体を透明にすることが困難となる。
特開2009−70759号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、陽極および陰極として透明電極を有する、透明なEL表示装置において、透過率を維持したまま、EL表示装置の発光時の色調整を行うことができるEL表示装置の製造方法およびEL表示装置を提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、透明基板と、透明基板上に形成された第1透明電極層と、上記第1透明電極層上に形成され、少なくとも発光層を含むEL層と、上記EL層上に形成された第2透明電極層とを有するEL表示装置の製造方法であって、上記第1透明電極層および上記第2透明電極層の少なくともいずれか一方が、酸化インジウム亜鉛(IZO)膜であり、上記IZO膜を物理蒸着法(PVD)により成膜するIZO膜形成工程を有し、上記IZO膜の成膜条件を制御することにより上記IZO膜の色度を調整することで、上記EL表示装置の発光時の色度を調整することを特徴とするEL表示装置の製造方法を提供する。
本発明においては、第1透明電極層および第2透明電極層の少なくともいずれか一方がIZO膜であり、IZO膜の成膜条件を制御することによりIZO膜の色度を調整することができ、それにより、EL表示装置の発光時の色度を調整することができる。よって、EL表示装置の高い透過率を維持したまま、EL表示装置の発光時の色度を調整することが可能である。
上記発明においては、上記IZO膜の成膜時の酸素比率または圧力を制御することで、上記IZO膜の色度を調整することが好ましい。
また本発明においては、上記IZO膜形成工程前に、上記EL表示装置の発光時の色度が所望の範囲となるように、上記IZO膜の色度を選定し、続いて予め求めた上記IZO膜の成膜条件および色度の関係に基づいて、上記IZO膜の成膜条件を選定する成膜条件選定工程を有していてもよい。この場合には、上記IZO膜形成工程にて、上記成膜条件選定工程にて選定された成膜条件で、上記IZO膜を成膜する。
さらに本発明は、透明基板と、透明基板上に形成された第1透明電極層と、上記第1透明電極層上に形成され、少なくとも発光層を含むEL層と、上記EL層上に形成された第2透明電極層とを有するEL表示装置であって、上記第1透明電極層および上記第2透明電極層の少なくともいずれか一方が、酸化インジウム亜鉛(IZO)膜であり、上記IZO膜は、XYZ表色系のxy色度図で、xが0.30以上0.32以下、yが0.31以上0.33以下であることを特徴とするEL表示装置を提供する。
本発明においては、第1透明電極層および第2透明電極層の少なくともいずれか一方がIZO膜であり、IZO膜が所定の色度を有するので、EL表示装置の発光時の色度を調整することができる。よって、EL表示装置の高い透過率を維持したまま、EL表示装置の発光時の色度を調整することが可能である。
本発明においては、第1透明電極層および第2透明電極層の少なくともいずれか一方がIZO膜であり、IZO膜の成膜条件を制御することによりIZO膜の色度を調整することができ、それにより、EL表示装置の透明性を損なうことなく、EL表示装置の発光時の色度を調整することが可能であるという効果を奏する。
本発明のEL表示装置の一例を示す概略断面図である。 IZO膜の成膜時の酸素比率(酸素/アルゴン比)と、得られたIZO膜の色度(XYZ表色系のxy色度図)との関係の一例を示す図である。 IZO膜の色度(XYZ表色系のxy色度図)の一例を示す図である。 本発明のEL表示装置の他の例を示す概略断面図である。 実施例および比較例のEL表示装置の発光時の色度(XYZ表色系のxy色度図)を示す図である。
以下、本発明のEL表示装置の製造方法およびEL表示装置について詳細に説明する。
A.EL表示装置の製造方法
まず、本発明のEL表示装置の製造方法について説明する。
本発明のEL表示装置の製造方法は、透明基板と、透明基板上に形成された第1透明電極層と、上記第1透明電極層上に形成され、少なくとも発光層を含むEL層と、上記EL層上に形成された第2透明電極層とを有するEL表示装置の製造方法であって、上記第1透明電極層および上記第2透明電極層の少なくともいずれか一方が、酸化インジウム亜鉛(IZO)膜であり、上記IZO膜を物理蒸着法(PVD)により成膜するIZO膜形成工程を有し、上記IZO膜の成膜条件を制御することにより上記IZO膜の色度を調整することで、上記EL表示装置の発光時の色度を調整することを特徴とするものである。
本発明のEL表示装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のEL表示装置の製造方法により製造されるEL表示装置の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、EL表示装置1は、透明基板2と、透明基板2上にパターン状に形成された第1透明電極層3と、第1透明電極層3が形成された透明基板2上にマトリクス状に形成された絶縁層4と、絶縁層4上にストライプ状に形成された隔壁5と、隔壁5を覆うように形成され、発光層を含むEL層6と、EL層6上に形成された第2透明電極層7とを有している。また、図示しないが、EL表示装置1は、第2透明電極層7の上から、封止基板および接着剤により封止されている。このようなEL表示装置1においては、透明基板、第1透明電極層、第2透明電極層、封止基板がいずれも透明であり、EL表示装置を透明パネルとすることができる。
上記のEL表示装置1において、第1透明電極層3および第2透明電極層7の少なくともいずれか一方はIZO膜であり、本発明はこのIZO膜の形成方法に特徴を有している。
すなわち、本発明においては、IZO膜をPVD法により成膜する際に、成膜条件を制御することにより、IZO膜の色度を調整する。IZO膜の成膜条件を変化させることにより、得られるIZO膜の膜質、組成、結晶性、結晶構造などが変化し、その結果、IZO膜の色度が変化すると考えられる。そして、IZO膜の色度を調整することにより、EL表示装置の発光時の色度を調整する。
例えば、図1に示すEL表示装置1において、透明基板2側から光を取り出す場合(ボトムエミッション型の場合)であって、第2透明電極層7がIZO膜である場合、EL表示装置1の上部からの外光が第2透明電極層7(IZO膜)を透過して透明基板2側から出射されるので、発光層からの発光と、第2透明電極層7(IZO膜)を透過した光とが合わさることになる。そのため、この場合には、第2透明電極層7(IZO膜)の色度を調整することで、EL表示装置の発光時の色度を調整することができるのである。
また例えば、図1に示すEL表示装置1において、第2透明電極層7側から光を取り出す場合(トップエミッション型の場合)であって、第2透明電極層7がIZO膜である場合、発光層からの発光が第2透明電極層7(IZO膜)を透過して出射されることになる。そのため、この場合にも、第2透明電極層7(IZO膜)の色度を調整することで、EL表示装置の発光時の色度を調整することができるのである。
図1に示すEL表示装置1において、透明基板2側から光を取り出す場合(ボトムエミッション型の場合)であって、第1透明電極層3がIZO膜である場合、および、第2透明電極層7側から光を取り出す場合(トップエミッション型の場合)であって、第1透明電極層3がIZO膜である場合も、上記の場合と同様に、IZO膜の色度を調整することで、EL表示装置の発光時の色度を調整することができる。
さらに、図1に示すEL表示装置1において、透明基板2側から光を取り出す場合(ボトムエミッション型の場合)であって、第1透明電極層3および第2透明電極層7の両方がIZO膜である場合、および、第2透明電極層7側から光を取り出す場合(トップエミッション型の場合)であって、第1透明電極層3および第2透明電極層7の両方がIZO膜である場合も、上記の場合と同様に、IZO膜の色度を調整することで、EL表示装置の発光時の色度を調整することができる。
このように本発明によれば、IZO膜をPVD法により成膜する際に成膜条件を制御することでIZO膜の色度を調整することができ、それにより、EL表示装置の発光時の色度を調整することができる。よって、EL表示装置全体の透明性を損なうことなく、EL表示装置の発光時の色度を調整することが可能である。また、IZO膜の成膜条件を制御することで、IZO膜の色度を任意に調整することができるため、EL表示装置の発光時の色度を容易に微調整することができる。
なお、従来、透明電極の成膜時の酸素濃度や出力を制御することにより透明電極の抵抗値や屈折率を調整する方法は知られているが(例えば、特開2004−247106号公報、特開2006−338916号公報参照)、IZO膜の成膜条件を制御することによりIZO膜の色度を調整する方法は報告がない。
以下、本発明のEL表示装置の製造方法における各工程について説明する。
1.IZO膜形成工程
本発明におけるIZO膜形成工程は、IZO膜をPVD法により成膜する工程であり、IZO膜の成膜条件を制御することによりIZO膜の色度を調整する工程である。
IZO膜の成膜方法としては、PVD法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等が挙げられる。
IZO膜の色度を調整するために制御される成膜条件としては、IZO膜の膜質、組成、結晶性、結晶構造などに影響を及ぼし得る条件であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸素比率、圧力(真空度)、出力等を挙げることができる。
図2は、IZO膜の成膜時の酸素比率(酸素/アルゴン比)と、得られたIZO膜の色度(XYZ表色系のxy色度図)との関係の一例を示す図であり、図3は、IZO膜の色度(XYZ表色系のxy色度図)の一例を示す図である。なお、図2および図3においては、酸素/アルゴン比について酸素量を変化させた場合とアルゴン量を変化させた場合とに分けて示してある。図2および図3から、酸素比率(酸素/アルゴン比)と色度とには相関関係があることがわかる。図2および図3に示す例においては、酸素/アルゴン比=0.04の場合にやや黄味を帯びた白色となり、酸素/アルゴン比が0.04よりも小さい場合にやや赤味を帯びた白色となり、酸素/アルゴン比が0.04よりも大きい場合にやや青味を帯びた白色となっている。このように、酸素比率を変化させることで、IZO膜の色度を変化させることができる。具体的には、酸素比率をゼロから高くするにつれて、やや赤味を帯びた白色を示すIZO膜、やや黄味を帯びた白色を示すIZO膜、やや青味を帯びた白色を示すIZO膜を順に得ることができる。
また、圧力が高くなるにつれて、酸素比率が高くなる。よって、圧力が高くなるにつれて、酸素比率が高くなるので、上述したように、やや赤味を帯びた白色を示すIZO膜、やや黄味を帯びた白色を示すIZO膜、やや青味を帯びた白色を示すIZO膜を順に得ることができる。
一方、出力が大きくなるにつれ、酸素比率が低くなると考えられる。よって、出力によってもIZO膜の色度を調整することができると推量される。
中でも、本発明においては、IZO膜の成膜時の酸素比率または圧力を制御することで、IZO膜の色度を調整することが好ましく、IZO膜の成膜時の酸素比率を制御することで、IZO膜の色度を調整することがより好ましい。
IZO膜の成膜時の導入ガスの酸素比率としては、透明電極として使用できるIZO膜を形成することができ、また所望の色度を有するIZO膜を得ることができれば特に限定されるものではない。酸素比率が高すぎると抵抗値が高くなるため、酸素/酸素以外のガスの流量比は0.00〜0.20程度であることが好ましい。
酸素以外のガスとしては、通常、アルゴンが用いられる。
IZO膜の成膜時の圧力としては、透明電極として使用できるIZO膜を形成することができ、また所望の色度を有するIZO膜を得ることができれば特に限定されるものではない。圧力が高すぎると、酸素比率が高くなり抵抗値が高くなったり、成膜速度が遅くなったりするため、圧力は0.02Pa〜2Pa程度であることが好ましい。
また、IZO膜の成膜時の出力としては、透明電極として使用できるIZO膜を形成することができ、また所望の色度を有するIZO膜を得ることができれば特に限定されるものではなく、一般的な範囲とすることができる。
さらに、IZO膜の上記以外の成膜条件としては、透明電極として使用できるIZO膜を形成することができれば特に限定されるものではなく、一般的な条件であればよい。
複数色の発光層を有するEL表示装置を作製する場合、IZO膜を全面に形成してもよく、パターン状に形成してもよい。IZO膜をパターン状に形成する場合には、発光層の色に応じて異なるIZO膜を形成することができる。本発明においては、各色の発光層の発光色度に応じて所望の色度を有するIZO膜を形成することが可能である。
IZO膜をパターン状に形成する場合、パターニング方法としては、例えば、フォトエッチング法、マスク蒸着法、カソードセパレータ(隔壁)を用いた方法、レーザーを用いた方法などを適用することができる。
得られるIZO膜は透明であり、全光線透過率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。これにより、EL表示装置を透明パネルとして用いることができる。なお、全光線透過率は、JIS K 7105に準拠して測定した値である。全光線透過率は、例えば紫外可視分光光度計((株)島津製作所製 UVPC3100)を用いて測定することができる。
また、IZO膜の厚みとしては、特に限定されるものではないが、40nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。IZO膜の厚みが薄すぎると、抵抗値が高くなり、IZO膜の厚みが厚すぎると、透過率が低くなるからである。
本発明においては、第1透明電極層がIZO膜であってもよく、第2透明電極層がIZO膜であってもよく、第1透明電極層および第2透明電極層の両方がIZO膜であってもよい。すなわち、IZO膜形成工程は、第1透明電極層を形成する第1透明電極層形成工程であってもよく、第2透明電極層を形成する第2透明電極層形成工程であってもよく、第1透明電極層形成工程および第2透明電極層形成工程の両方であってもよい。
中でも、第1透明電極層上に直に、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)を含む溶液などの酸性溶液を塗布して有機層を形成する場合には、第1透明電極層が酸性溶液に耐性を有することが好ましいことから、第2透明電極層がIZO膜であり、第1透明電極層がIZO膜でないことが好ましい。IZO膜は、酸性溶液への耐性が乏しいからである。
2.成膜条件選定工程
本発明においては、上記IZO膜形成工程前に、EL表示装置の発光時の色度が所望の範囲となるように、IZO膜の色度を選定し、続いて予め求めたIZO膜の成膜条件および色度の関係に基づいて、IZO膜の成膜条件を選定する成膜条件選定工程を行ってもよい。成膜条件選定工程を行う場合には、上記IZO膜形成工程にて、成膜条件選定工程にて選定された成膜条件で、IZO膜を成膜する。
目的とするEL表示装置の発光時の色度は、発光層の発光色度やEL表示装置の用途などに応じて適宜選択される。
EL表示装置の発光時の色度が所望の範囲となるように、IZO膜の色度を選定する際には、例えば、発光層の発光色度に応じてIZO膜の色度を選定することができる。具体的に、第2透明電極層がIZO膜であり、透明基板側から光を取り出すボトムエミッション型のEL表示装置の場合であって、発光層からの発光が黄緑色である場合、緑色に近づけたい場合には青味を帯びた白色を示すIZO膜を用いることが好ましく、一方、黄色に近づけたい場合には黄味を帯びた白色を示すIZO膜を用いることが好ましい。
IZO膜の成膜条件および色度の関係は、透明基板上にIZO膜のみを成膜条件を変えて形成し、色度を測定することで、予め求めておくことができる。例えば、上述した図2および図3に示すように、IZO膜の成膜条件および色度の関係を予め求めておくことができる。
このように予め求めたIZO膜の成膜条件および色度の関係に基づいて、選定されたIZO膜の色度から、IZO膜の成膜条件を選定する。そして、上記IZO膜形成工程では、選定されたIZO膜の成膜条件にて、IZO膜を成膜する。
3.その他の工程
本発明のEL表示装置の製造方法は、上記のIZO膜形成工程を有していればよいが、通常は、透明基板上に第1透明電極層を形成する第1透明電極層形成工程と、第1透明電極層上に発光層を含むEL層を形成するEL層形成工程と、EL層上に第2透明電極層を形成する第2透明電極層形成工程とを有する。また、必要に応じて、第1透明電極層が形成された透明基板上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程や、絶縁層上に隔壁を形成する隔壁形成工程を行ってもよい。さらに、第2透明電極層形成工程前に、EL層上に保護層を形成する保護層形成工程、および、EL層上に補助電極を形成する補助電極形成工程を行ってもよい。
以下、これらの工程について説明する。
(1)第1透明電極層形成工程
本発明における第1透明電極層形成工程は、透明基板上に第1透明電極層を形成する工程である。
第1透明電極層がIZO膜である場合、第1透明電極層形成工程は、上記IZO膜形成工程である。
一方、第1透明電極層がIZO膜でない場合、第1透明電極層の材料としては、透明電極を形成することができる導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、インジウム酸化スズ(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の金属酸化物を用いることができる。
また、第1透明電極層がIZO膜でない場合、第1透明電極層の成膜方法としては、化学蒸着法(CVD)および物理蒸着法(PVD)のいずれも用いることができ、PVD法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等を挙げることができる。また、第1透明電極層をパターン状に形成する場合、パターニング方法としては、例えば、フォトエッチング法、マスク蒸着法などを用いることができる。
第1透明電極層は透明であり、全光線透過率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。これにより、EL表示装置を透明パネルとして用いることができる。なお、全光線透過率の測定方法については、上記IZO膜形成工程の項に記載した方法と同様である。
第1透明電極層がIZO膜でない場合、第1透明電極層の厚みとしては、特に限定されるものではなく、用いる材料に応じて適宜設定される。具体的に、第1透明電極層の厚みは、5nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは40nm〜500nmの範囲内である。第1透明電極層の厚みが薄すぎると、抵抗値が高くなり、第1透明電極層の厚みが厚すぎると、パターン状に形成された第1透明電極層の端部の段差により、電極間で短絡が生じる場合があるからである。
本発明に用いられる透明基板は、第1透明電極層、EL層、および第2透明電極層を支持するものである。
透明基板の材料としては、例えば、石英、ガラス等の無機材料や、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の高分子材料を挙げることができる。
透明基板の厚みとしては、透明基板の材料およびEL表示装置の用途により適宜選択される。具体的に、透明基板の厚みは、0.005mm〜5mm程度である。
(2)EL層形成工程
本発明におけるEL層形成工程は、第1透明電極層上に発光層を含むEL層を形成する工程である。
EL層を構成する発光層は、有機層であってもよく、無機層であってもよい。発光層が有機層である場合には有機EL表示装置となり、発光層が無機層である場合には無機EL表示装置となる。中でも、発光層は有機層であることが好ましい。低電圧で駆動することができるからである。
以下、発光層が有機層である場合について説明する。
発光層が有機層である場合、EL層は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有するものである。すなわち、この場合、EL層とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布法でEL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、EL層は1層もしくは2層の有機層を有する場合が多いが、溶媒への溶解性が異なるように有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
発光層以外にEL層内に形成される層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層および電子輸送層を挙げることができる。正孔注入層および正孔輸送層は一体化されている場合がある。同様に、電子注入層および電子輸送層は一体化されている場合がある。その他、EL層内に形成される層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
このようにEL層は種々の層を積層した積層構造を有することが多く、積層構造としては多くの種類がある。
以下、EL層の各構成について説明する。
(a)発光層
本発明に用いられる発光層は、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を有するものである。
発光層の形成材料としては、通常、色素系材料、金属錯体系材料、または高分子系材料が用いられる。
色素系材料としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどを挙げることができる。
金属錯体系材料としては、中心金属に、Al、Zn、Be、Ir、Pt等、またはTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体を挙げることができる。この金属錯体としては、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体、イリジウム金属錯体、プラチナ金属錯体等が挙げられる。具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)を用いることができる。
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体、およびそれらの共重合体等を挙げることができる。また、上記色素系材料および金属錯体系材料を高分子化したものも挙げられる。
また、発光層中には、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的で、蛍光発光または燐光発光するドーパントを添加してもよい。このようなドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等を挙げることができる。
発光層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、自己組織化法(交互吸着法、自己組織化単分子膜法)等を挙げることができる。中でも、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法が好ましい。
フルカラーのEL表示装置を作製する際には、複数色の発光層をパターン状に形成する。発光層のパターニング方法としては、異なる発光色ごとに、マスキング法により塗り分けや蒸着を行う方法、印刷法またはインクジェット法により行う方法が挙げられる。また、発光層間に隔壁を形成することにより、発光層をパターニングしてもよい。隔壁を形成する方法は、インクジェット法等によって発光層を形成する際に、発光材料が隣接する区域に濡れ広がらないという利点を有する。
発光層の厚みとしては、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、1nm〜200nm程度とすることができる。
(b)正孔注入輸送層
本発明においては、図4に例示するように、第1透明電極層3上に正孔注入輸送層11を形成し、正孔注入輸送層11上に発光層12を形成してもよい。正孔注入輸送層を形成することにより、発光層への正孔の注入が安定化し、発光効率を高めることができる。
正孔注入輸送層としては、陽極層から注入された正孔を発光層内へ輸送することが可能な層であれば特に限定されるものではない。正孔注入輸送層は、正孔注入層および正孔輸送層のいずれか一方を有するものであってもよく、正孔注入層および正孔輸送層の両方を有するものであってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有する単一の層であってもよい。
正孔注入輸送層の材料は、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ輸送することができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えばフェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系;酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物;アモルファスカーボン;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレンおよびこれらの誘導体等を挙げることができる。具体的には、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等を用いることができる。
正孔注入輸送層の形成方法としては、上記発光層の形成方法と同様である。
正孔注入輸送層の厚みとしては、陽極から正孔を注入し、発光層へ正孔を輸送する機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されないが、具体的には、0.5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm〜100nmの範囲内である。
(c)電子輸送層
本発明においては、発光層上に電子輸送層を形成してもよい。
電子輸送層の材料は、陰極または電子注入層から注入された電子を発光層内へ輸送することが可能な材料であれば特に限定されるものではなく、例えばバソキュプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(Bpehn)等のフェナントロリン誘導体、またはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等のキノリン誘導体などを挙げることができる。
電子輸送層の形成方法としては、上記発光層の形成方法と同様である。
(d)電子注入層
本発明においては、図4に例示するように、発光層12上に電子注入層13を形成してもよい。上記電子輸送層を形成する場合には、電子輸送層上に電子注入層を形成する。
電子注入層の材料は、発光層内への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、ストロンチウム、カルシウム、リチウム、セシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の金属単体;酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化リチウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物;フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物;ポリメチルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属の有機錯体などを挙げることができる。
電子注入層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法が挙げられる。
電子注入層の厚みとしては、上述したアルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物等の導電率および透過率を考慮すると、0.2nm〜40nm程度であることが好ましい。
(3)第2透明電極層形成工程
本発明における第2透明電極層形成工程は、EL層上に第2透明電極層を形成する工程である。
第2透明電極層がIZO膜である場合、第2透明電極層形成工程は、上記IZO膜形成工程である。
一方、第2透明電極層がIZO膜でない場合については、上記第1透明電極層形成工程の項に記載したものと同様である。
(4)絶縁層形成工程
本発明においては、第1透明電極層がパターン状に形成された透明基板上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行ってもよい。
絶縁層の材料としては、感光性樹脂および熱硬化性樹脂などの樹脂材料や、無機材料等を用いることができる。
また、絶縁層の形成方法としては、フォトリソグラフィー法を用いることができる。
(5)隔壁形成工程
本発明においては、絶縁層上に隔壁を形成する隔壁形成工程を行ってもよい。
隔壁の材料としては、感光性樹脂および熱硬化性樹脂などの樹脂材料や、無機材料等を用いることができる。
また、隔壁の形成方法としては、フォトリソグラフィー法を用いることができる。隔壁には、隔壁を構成する材料表面エネルギー(濡れ性)を変化させる処理を行ってもよい。
(6)保護層形成工程
本発明においては、図4に例示するように、EL層6上に保護層14を形成し、保護層14上に第2透明電極層7を形成してもよい。保護層を形成することにより、第2透明電極層をスパッタリング法等により成膜する場合には、スパッタ時のプラズマガスイオン、スパッタリングされた粒子および電離した電子等によるEL層への衝撃を緩和することができる。EL層6を構成する電子注入層13がアルカリ金属やアルカリ土類金属を含有する場合、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は酸化されやすく、金属の酸化により電子注入層の電子注入機能が失われるおそれがあるが、保護層が形成されていることにより、金属の酸化を防止することができる。
なお、保護層については、特開2007−265792号公報に記載の透明緩衝層と同様とすることができる。
(7)補助電極形成工程
本発明においては、EL層上に補助電極を形成してもよい。EL層上に上記保護層を形成する場合には、EL層上に補助電極を形成し、補助電極上に保護層を形成する。
補助電極としては、第2透明電極層の抵抗値よりも低い抵抗値を有することが好ましい。補助電極の金属材料としては、例えば、アルミニウムを挙げることができる。補助電極の形成方法としては、例えばマスクを用いた蒸着法やスパッタリング法を適用することができる。
また、補助電極と第2透明電極層との間に、補助電極を構成する金属材料とは異なる金属材料を用いて中間層を形成してもよい。中間層の金属材料としては、例えばモリブデンが挙げられる。中間層を形成することで、電池作用による腐食を防ぐことができる。
3.EL表示装置
本発明のEL表示装置の製造方法により得られるEL表示装置の駆動方式は、パッシブマトリクス駆動であってもよく、アクティブマトリクス駆動であってもよい。
また、本発明のEL表示装置の製造方法により得られるEL表示装置は、広告媒体に好適に用いることができる。EL表示装置の透明性が高い場合には、2枚のEL表示装置を重ねて用いることもできる。
本発明のEL表示装置の製造方法により得られるEL表示装置においては、上述したように、第2透明電極層がIZO膜であり、第1透明電極層がIZO膜でない場合、第2透明電極層(IZO膜)側から光を取り出してもよく、第1透明電極層側から光を取り出してもよい。また、第1透明電極層がIZO膜であり、第2透明電極層がIZO膜でない場合、同様に、第1透明電極層(IZO膜)側から光を取り出してもよく、第2透明電極層側から光を取り出してもよい。
本発明のEL表示装置の製造方法により得られるEL表示装置は、透明パネルであることが好ましい。具体的に、EL表示装置の表示部(発光部)の全光線透過率は、30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上である。なお、全光線透過率は、JIS K 7105に準拠して測定した値である。全光線透過率は、例えば紫外可視分光光度計((株)島津製作所製 UVPC3100)を用いて測定することができる。
B.EL表示装置
次に、本発明のEL表示装置について説明する。
本発明のEL表示装置は、透明基板と、透明基板上に形成された第1透明電極層と、上記第1透明電極層上に形成され、少なくとも発光層を含むEL層と、上記EL層上に形成された第2透明電極層とを有するEL表示装置であって、上記第1透明電極層および上記第2透明電極層の少なくともいずれか一方が、酸化インジウム亜鉛(IZO)膜であり、上記IZO膜は、XYZ表色系のxy色度図で、xが0.30以上0.32以下、yが0.31以上0.33以下であることを特徴とするものである。
本発明のEL表示装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のEL表示装置の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、EL表示装置1は、透明基板2と、透明基板2上にパターン状に形成された第1透明電極層3と、第1透明電極層3が形成された透明基板2上にマトリクス状に形成された絶縁層4と、絶縁層4上にストライプ状に形成された隔壁5と、隔壁5を覆うように形成され、発光層を含むEL層6と、EL層6上に形成された第2透明電極層7とを有している。また、図示しないが、EL表示装置1は、第2透明電極層7の上から、封止基板および接着剤により封止されている。このようなEL表示装置1においては、透明基板、第1透明電極層、第2透明電極層、封止基板がいずれも透明であり、EL表示装置を透明パネルとすることができる。
上記のEL表示装置1において、第1透明電極層3および第2透明電極層7の少なくともいずれか一方はIZO膜であり、このIZO膜は、XYZ表色系のxy色度図でxおよびyが所定の範囲であり、具体的にはやや青味を帯びた白色を示すものである。
例えば、図1に示すEL表示装置1において、透明基板2側から光を取り出す場合(ボトムエミッション型の場合)であって、第2透明電極層7がIZO膜である場合、EL表示装置1の上部からの外光が第2透明電極層7(IZO膜)を透過して透明基板2側から出射されるので、発光層からの発光と、第2透明電極層7(IZO膜)を透過した光とが合わさることになる。このとき、第2透明電極層7(IZO膜)は、XYZ表色系のxy色度図でxおよびyが所定の範囲であり、具体的にはやや青味を帯びた白色を示す。よって、第2透明電極層を所定のIZO膜とすることで、EL表示装置の発光時の色度を調整することができる。
また例えば、図1に示すEL表示装置1において、第2透明電極層7側から光を取り出す場合(トップエミッション型の場合)であって、第2透明電極層7がIZO膜である場合、発光層からの発光が第2透明電極層7(IZO膜)を透過して出射されることになる。このとき、第2透明電極層7(IZO膜)は、XYZ表色系のxy色度図でxおよびyが所定の範囲であり、具体的にはやや青味を帯びた白色を示す。よって、第2透明電極層を所定のIZO膜とすることで、EL表示装置の発光時の色度を調整することができる。
図1に示すEL表示装置1において、透明基板2側から光を取り出す場合(ボトムエミッション型の場合)であって、第1透明電極層3がIZO膜である場合、および、第2透明電極層7側から光を取り出す場合(トップエミッション型の場合)であって、第1透明電極層3がIZO膜である場合も、第1透明電極層を所定のIZO膜とすることで、上記の場合と同様に、EL表示装置の発光時の色度を調整することができる。
さらに、図1に示すEL表示装置1において、透明基板2側から光を取り出す場合(ボトムエミッション型の場合)であって、第1透明電極層3および第2透明電極層7の両方がIZO膜である場合、および、第2透明電極層7側から光を取り出す場合(トップエミッション型の場合)であって、第1透明電極層3および第2透明電極層7の両方がIZO膜である場合も、上記の場合と同様に、EL表示装置の発光時の色度を調整することができる。
このように本発明によれば、第1透明電極層および第2透明電極層の少なくともいずれか一方に所定のIZO膜を用いることで、EL表示装置の発光時の色度を調整することができる。よって、EL表示装置全体の透明性を損なうことなく、EL表示装置の発光時の色度を調整することが可能である。
以下、本発明のEL表示装置における各構成について説明する。なお、透明基板およびEL層については、上記「A.EL表示装置の製造方法」の項に記載したので、個々での説明は省略する。
1.IZO膜
本発明においては、第1透明電極層および第2透明電極層の少なくともいずれか一方がIZO膜であり、IZO膜は、XYZ表色系のxy色度図で、xが0.30以上0.32以下、yが0.31以上0.33以下である。
なお、上記色度座標は、C光源で測色したときのCIEのXYZ表色系におけるxy色度図の色度座標とする。
なお、IZO膜の全光線透過率、厚み、および形成方法などについては、上記「A.EL表示装置の製造方法 1.IZO膜形成工程」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、第1透明電極層がIZO膜であってもよく、第2透明電極層がIZO膜であってもよく、第1透明電極層および第2透明電極層の両方がIZO膜であってもよい。中でも、第1透明電極層上に直に、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)を含む溶液などの酸性溶液を塗布して有機層を形成する場合には、第1透明電極層が酸性溶液に耐性を有することが好ましいことから、第2透明電極層がIZO膜であり、第1透明電極層がIZO膜でないことが好ましい。IZO膜は、酸性溶液への耐性が乏しいからである。
2.第1透明電極層
本発明における第1透明電極層は、上述したように、IZO膜であってもよく、IZO膜でなくてもよい。第1透明電極層がIZO膜である場合、IZO膜については、上記IZO膜の項に記載したので、ここでの説明は省略する。また、第1透明電極層がIZO膜でない場合、第1透明電極層の材料、全光線透過率、厚み、および成膜方法については、上記「A.EL表示装置の製造方法 3.その他の工程 (1)第1透明電極層形成工程」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
3.第2透明電極層
本発明における第2透明電極層は、上述したように、IZO膜であってもよく、IZO膜でなくてもよい。第2透明電極層がIZO膜である場合、IZO膜については、上記IZO膜の項に記載したので、ここでの説明は省略する。また、第2透明電極層がIZO膜でない場合、第2透明電極層の材料、全光線透過率、厚み、および成膜方法については、上記「A.EL表示装置の製造方法 3.その他の工程 (3)第2透明電極層形成工程」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
4.その他の部材
本発明においては、必要に応じて、第1透明電極層が形成された透明基板上に絶縁層が形成されていてもよく、さらに絶縁層上に隔壁が形成されていてもよい。また本発明においては、EL層上に保護層が形成されていてもよい。さらに本発明においては、EL層上に補助電極が形成されていてもよい。なお、絶縁層、隔壁、保護層、および補助電極については、上記「A.EL表示装置の製造方法 3.その他の工程」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
まず、ガラス基板上に、IZOの薄膜(厚み:150nm)をスパッタリング法により成膜した。この際、酸素ガスの導入量を0.2cc、アルゴンガスの導入量を5.0ccとしたときの酸素比率(酸素/アルゴン比)=0.04を基準として、アルゴンガスの導入量または酸素ガスの導入量を変化させ、酸素比率(酸素/アルゴン比)を0.00〜0.20と変化させた。また、圧力を0.2Pa、出力をDC900W、成膜レートを12.0Å/sとした。
次に、得られたIZO膜について、C光源を用いて色度を測色した。その際、紫外可視分光光度計((株)島津製作所製 UVPC3100)を用いて透過率測定を行い、その結果をカラー測定ソフトウェア((株)島津製作所製 COL−UVPC)で解析し、色度を算出した。表1および図3に結果を示す。なお、表1には、酸素比率(酸素/アルゴン比)とともに酸素濃度を示す。
Figure 2011060596
表1および図3から、IZO膜の成膜時の酸素比率と得られるIZO膜の色度とには相関関係があり、IZO膜の成膜時の酸素比率を制御することで、IZO膜の色度を調整できることがわかった。
[実施例2]
まず、ガラス基板上に、酸化インジウム錫(ITO)の薄膜(厚み:150nm)をスパッタリング法により成膜し、ITO膜上に感光性エッチングレジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO膜のエッチング、感光性エッチングレジストの剥離を行って、ストライプ状の第1透明電極層を形成した。第1透明電極層の形成後、基板の洗浄およびUVオゾン処理を施した。
次に、平均分子量が約100,000であるノルボルネン系樹脂(JSR(株)製、ARTON)をトルエンで希釈した絶縁層形成用塗工液を使用し、スピンコート法によりパターン状の第1透明電極層を覆うように塗布した後、ベーク(100℃、30分)を行って絶縁膜(厚み1μm)を形成した。次に、この絶縁膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、絶縁膜のエッチングを行って絶縁層を形成した。この絶縁層を、第1透明電極層の端部を覆うように形成し、また第1透明電極層が形成されている部分に絶縁層の開口部が位置するようにマトリクス状に形成した。
次に、隔壁用塗料(日本ゼオン(株)製、フォトレジスト、ZPN1100)をスピンコート法によりマトリクス状の絶縁層を覆うように全面に塗布し、プリベーク(70℃、30分間)を行った。その後、所定のフォトマスクを用いて露光し、現像液(日本ゼオン(株)製、ZTMA−100)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、絶縁層上に隔壁をストライプ状に形成した。
次に、上記隔壁が形成された第1透明電極層上に、グラビアオフセット印刷法により正孔注入層を形成した。すなわち、所望の膜厚が得られるように、グラビア版のセル形状およびインキ濃度を調整し、グラビア版とブランケットを平台オフセット印刷機に装着し、グラビア版に正孔注入層用インキ(ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホネート(PEDOT−PSS))を供給し、セル内に正孔注入層用インキを充填した。続いて、グラビア版からブランケットに正孔注入層用インキを受理させ、その後、ブランケットから隔壁が形成された基板上に正孔注入層用インキを転移させることにより、隔壁によって分断された正孔注入層を形成した。
次いで、同様にして、発光層用インキ(ポリフルオレン誘導体系の緑色発光材料)を用いて、グラビアオフセット印刷法により発光層を形成した。
続いて、発光層上に、上記隔壁をマスクとして、カルシウムを20nm厚で真空蒸着法で成膜することにより、電子注入層を形成した。その後、電子注入層上に、所定の開口部を備えたマスクを介して、アルミニウムを300nm厚で真空蒸着法で成膜することにより、補助電極を形成した。次いで、上記隔壁をマスクとして、α−NPDを100nm厚で真空蒸着法で成膜することにより、保護層を形成した。
次に、上記隔壁をマスクとして、IZOの薄膜(厚み:150nm)をスパッタリング法により成膜し、第2透明電極層を形成した。この際、成膜条件は、実施例1と同様とし、実施例1におけるIZO膜の成膜時の酸素比率とIZO膜の色度との関係に基づいて、酸素比率(酸素/アルゴン比)を0.04とした。
その後、第2透明電極層の上から封止ガラスおよび接着剤によりEL表示装置を封止した。
[実施例3]
実施例1におけるIZO膜の成膜時の酸素比率とIZO膜の色度との関係に基づいて、酸素比率(酸素/アルゴン比)を0.12とした以外は、実施例2と同様にしてEL表示装置を作製した。
[比較例1]
IZO膜を形成しなかった以外は、実施例2と同様にしてEL表示装置を作製した。
[評価]
実施例2,3および比較例1のEL表示装置について、第1透明電極層側からの非発光時および発光時の色度を、C光源を用いて測色した。非発光時の色度については、紫外可視分光光度計((株)島津製作所製 UVPC3100)を用いて透過率を測定した後、カラー測定ソフトウェア((株)島津製作所製 COL−UVPC)により色度を算出した。一方、発光時の色度については、分光放射計((株)トプコン製 SR−2)を用いて測定した。いずれも、輝度1000cd/m2の状態で測定した。また、EL表示装置の表示部(発光部)の全光線透過率を測定した。全光線透過率は、JIS K 7105に準拠し、紫外可視分光光度計((株)島津製作所製 UVPC3100)を用いて測定した。表2および図5に結果を示す。
さらに、第2透明電極層を構成する各層の波長430nmにおける透過率および全光線透過率についても紫外可視分光光度計((株)島津製作所製 UVPC3100)を用いて測定した。表3に結果を示す。
Figure 2011060596
Figure 2011060596
発光時において、比較例1のEL表示装置に対して、実施例2のEL表示装置ではやや緑味を帯びた黄緑色となり、実施例3の表示装置ではやや黄味を帯びた黄緑色となった。IZO膜の成膜時の酸素比率を制御することで、IZO膜の色度を調整し、EL表示装置の発光時の色度を調整できることがわかった。
1 … EL表示装置
2 … 透明基板
3 … 第1透明電極層
4 … 絶縁層
5 … 隔壁
6 … EL層
7 … 第2透明電極層
11 … 正孔注入輸送層
12 … 発光層
13 … 電子注入層

Claims (4)

  1. 透明基板と、透明基板上に形成された第1透明電極層と、前記第1透明電極層上に形成され、少なくとも発光層を含むエレクトロルミネッセンス層と、前記エレクトロルミネッセンス層上に形成された第2透明電極層とを有するエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法であって、
    前記第1透明電極層および前記第2透明電極層の少なくともいずれか一方が、酸化インジウム亜鉛(IZO)膜であり、
    前記IZO膜を物理蒸着法(PVD)により成膜するIZO膜形成工程を有し、
    前記IZO膜の成膜条件を制御することにより前記IZO膜の色度を調整することで、前記エレクトロルミネッセンス表示装置の発光時の色度を調整することを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  2. 前記IZO膜の成膜時の酸素比率または圧力を制御することで、前記IZO膜の色度を調整することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  3. 前記IZO膜形成工程前に、前記エレクトロルミネッセンス表示装置の発光時の色度が所望の範囲となるように、前記IZO膜の色度を選定し、続いて予め求めた前記IZO膜の成膜条件および色度の関係に基づいて、前記IZO膜の成膜条件を選定する成膜条件選定工程を有し、
    前記IZO膜形成工程にて、前記成膜条件選定工程にて選定された成膜条件で、前記IZO膜を成膜することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  4. 透明基板と、透明基板上に形成された第1透明電極層と、前記第1透明電極層上に形成され、少なくとも発光層を含むエレクトロルミネッセンス層と、前記エレクトロルミネッセンス層上に形成された第2透明電極層とを有するエレクトロルミネッセンス表示装置であって、
    前記第1透明電極層および前記第2透明電極層の少なくともいずれか一方が、酸化インジウム亜鉛(IZO)膜であり、
    前記IZO膜は、XYZ表色系のxy色度図で、xが0.30以上0.32以下、yが0.31以上0.33以下であることを特徴とするエレクトロルミネッセンス表示装置。
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