JP2011058750A - 蓄熱器及び蓄熱器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄熱容量が大きく、蓄熱器内部の熱移動がスムーズであり、また、蓄熱体と熱媒体との熱交換を効率よく行うことができるとともに、大量の熱を短時間で入熱あるいは放熱させることができる蓄熱器及び蓄熱器の製造方法を得る。
【解決手段】蓄熱物質16を保持させて構成される蓄熱体3を断熱容器2に収容して構成される蓄熱器1であって、上記蓄熱体3は、空隙14を有する熱伝導性多孔質体と、上記空隙14内に保持された蓄熱物質16と、上記熱伝導性多孔質体内を通過する熱媒体流動路17,18と、上記蓄熱物質16を保持した上記熱伝導性多孔質体の外周部を被覆して、上記蓄熱物質16を上記熱伝導性多孔質体内に封止する樹脂被覆層19とを備えて構成されるとともに、上記断熱容器2は、上記熱媒体を上記熱媒体流動路17,18内に流動させるように構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】蓄熱物質16を保持させて構成される蓄熱体3を断熱容器2に収容して構成される蓄熱器1であって、上記蓄熱体3は、空隙14を有する熱伝導性多孔質体と、上記空隙14内に保持された蓄熱物質16と、上記熱伝導性多孔質体内を通過する熱媒体流動路17,18と、上記蓄熱物質16を保持した上記熱伝導性多孔質体の外周部を被覆して、上記蓄熱物質16を上記熱伝導性多孔質体内に封止する樹脂被覆層19とを備えて構成されるとともに、上記断熱容器2は、上記熱媒体を上記熱媒体流動路17,18内に流動させるように構成されている。
【選択図】図1
Description
本願発明は、蓄熱器及び蓄熱器の製造方法に関する。
自動車の車室の暖房を行うために、ヒートポンプ式の空調装置が用いられることが多い。一般的な車両用のヒートポンプ式空調装置は、エンジンの回転を取り出してコンプレッサを作動させ、外気から室内へ熱を移動させるように構成されている。このため、エンジンの燃費が低下するといった問題が生じる。また、エンジンが作動していなければ空調装置を利用することはできない。
また、電気自動車に上記従来の空調装置を適用する場合、コンプレッサを作動させるための電力も必要となり、消費電力が大きくなる。このため、バッテリーの消耗が早まるといった問題が生じる。
上記問題を緩和するため、エンジンやモータ等で発生した排熱を蓄熱器に蓄熱して空調に利用するシステムが提案されている。
上記特許文献1には、蓄熱を利用して車両内の空調を行う車両用蓄熱空調装置が開示されている。上記特許文献1に記載されている車両用蓄熱空調装置では、熱媒体が流動するパイプを、蓄熱材を充填した蓄熱容器内に配置して蓄熱器を構成し、エンジン等の駆動源を含む入熱回路から上記蓄熱器に熱を蓄積するように構成している。一方、車室内に設けた空調装置を含む放熱回路を介して上記蓄熱器に蓄積した熱を車室内に移動して放熱させて室内の暖房を行うように構成している。
上記特許文献1に記載されている蓄熱空調装置では、蓄熱材として水が用いられている。しかしながら、水の比熱は小さく、また、充分な熱量を得るには、大量の水を保持させた蓄熱器を採用しなければならない。このため、蓄熱器が大型化するとともに、重量も増大するという問題が発生する。また、水の比熱を利用して蓄熱するものであるため、熱容量が小さく、また、放熱するにしたがって、蓄熱材の温度が変化する。このため、安定した温度で空調を行うのは困難である。
上記不都合を解決するこめ、特許文献2に記載されているような樹脂製の蓄熱材及びこの蓄熱材を用いた蓄熱器が提供されている。
従来の蓄熱器は、液体あるいは固体の蓄熱材を充填した蓄熱容器内にパイプを通し、このパイプの周壁を介して熱媒体と蓄熱材との熱交換を行うように構成されている。
ところが、上記パイプの周壁を介して熱交換を行う場合、蓄熱材と上記パイプとの接触面積が限られる。また、蓄熱材内部での熱伝導率が低いため、蓄熱器から短時間に大きな熱量を取り出し、あるいは入熱することは困難である。また、蓄熱材と上記パイプとの接触面積を大きくするには、蓄熱器内に長い配管を設ける必要があり、蓄熱器が大型化するといった問題が生じる。
上述したような固体状態の樹脂蓄熱材は、特定の温度(蓄熱温度)で潜熱を有する。このため、水を利用した蓄熱材より大量の熱を蓄熱することができる。しかしながら、上記パイプを介して蓄熱あるいは放熱させる場合、上記従来と同様の問題が生じる。また、固体の蓄熱材を採用した場合、水等の液体蓄熱材のような対流現象は生じず、蓄熱材内部を熱伝導によって熱が移動する。したがって、蓄熱材内部での熱移動がスムーズに行われず、蓄熱材各部の温度差が大きくなる。したがって、熱媒体との熱交換効率も悪くなる。
また、蓄熱器に蓄熱した熱を利用して、自動車エンジン等の暖機運転を行うことにより燃費を向上させることができる。ところが、暖機運転を行うには、短時間に大量の熱をエンジン等に投入する必要がある。上記従来の蓄熱材及び蓄熱器は、熱容量が小さく、また、短時間に大量の熱を取り出すのは困難である。このため、従来の蓄熱材を用いて暖機運転を行うことは困難であった。
さらに、エンジンルームの温度は、120℃程度まで上がることがある。固体状の上記樹脂蓄熱材は、パラフィン等の融点の低い蓄熱樹脂を含むため、上記の温度が作用すると流動化する恐れがある。このため、上記蓄熱材を密閉保持する容器が必要となる。一方、熱交換効率を高めるには、熱交換面積を大きくしなければならない。ところが、従来の容器では流動化した蓄熱材との熱交換面積を大きくとるのは非常に困難であった。
本願発明は、上記問題を解決し、蓄熱容量が大きく、蓄熱器内部の熱移動がスムーズであり、また、蓄熱材と熱媒体との熱交換を効率よく行うことができるとともに、大量の熱を短時間で入熱あるいは放熱させることができる蓄熱器及び蓄熱器の製造方法を提供することを課題としている。
請求項1に記載した発明は、蓄熱物質を保持させて構成される蓄熱体を断熱容器に収容して構成される蓄熱器であって、上記蓄熱体は、空隙を有する熱伝導性多孔質体と、上記空隙内に保持された蓄熱物質と、上記熱伝導性多孔質体内を通過する熱媒体流動路と、上記蓄熱物質を保持した上記熱伝導性多孔質体の外周部を被覆して上記蓄熱物質を上記熱伝導性多孔質体内に封止する樹脂被覆層とを備えて構成されるとともに、上記断熱容器は、上記熱媒体を上記熱媒体流動路内に流動させるように構成されているものである。
本願発明に係る蓄熱器においては、熱伝導性多孔質体の空隙に蓄熱物質を保持させる。上記蓄熱物質に比べて上記熱伝導性多孔質体の熱伝導率は高い。しかも、上記多孔質体は一体的につながっているため、蓄熱物質だけの場合に比べて蓄熱体内部の熱伝導率が格段に大きくなる。したがって、入熱時や放熱時において、蓄熱体内部での熱移動が従来に比べて格段に速くなり、蓄熱体各部の温度差も小さくなる。また、短時間に大量の熱を蓄熱し、かつ放熱することが可能となる。
しかも、本願発明では、上記蓄熱物質を保持した上記熱伝導性多孔質体の外周部を被覆する樹脂被覆層を設けている。すなわち、上記樹脂被覆層を設けることにより、上記熱伝導性多孔質体内に保持された状態で蓄熱物質が封止されるため、上記蓄熱物質と上記熱媒体との接触を阻止できる。したがって、上記蓄熱物質が、熱媒体等によって劣化するのを防止することができる。特に、空気を熱媒体と利用する場合には、樹脂の劣化が進行しやすいため好適である。
さらに、請求項2に記載した発明のように、上記樹脂被覆層を、上記蓄熱物質が流動化する温度より低い温度で被覆加工できるとともに、上記蓄熱物質が流動化する温度より高い温度において上記蓄熱物資を上記熱伝導性多孔質体内に封止できる樹脂材料から形成するのが好ましい。
上記特性の樹脂材料によって樹脂被覆層を設けることにより、融点の低い固体蓄熱物質を採用した場合において、上記融点より高い温度が作用して上記蓄熱物質が流動化した場合にも、上記蓄熱物質が上記熱伝導性多孔質体から流出するのを防止できる。また、流動化する温度より高い温度において、蓄熱物質の実質的形状を一定に保持できる。この結果、高温が作用すると流動化する蓄熱物質を、流動化する温度以上の高い温度範囲で固体蓄熱物質として取り扱うことも可能となり、蓄熱物質の使用温度範囲を拡大することができる。しかも、蓄熱物質の相変化による潜熱を利用して蓄熱することが可能となるため、蓄熱容量を大幅に増加させることができる。
上記樹脂材料は、使用する温度範囲で上記条件を満たしていれば、種々の樹脂を採用できる。これにより、上記蓄熱物質の融点を越える温度が作用した場合にも、上記蓄熱物質が上記熱伝導性多孔質体から流出したり、あるいは、上記熱媒体流動路に漏れ出て流路を塞ぐのを防止できる。一方、樹脂被覆層を設ける工程においては、上記蓄熱物質が固体状であるため、上記熱伝導性多孔質体の外周部に上記樹脂被覆層を容易に設けることができる。
上記樹脂被覆層を構成する樹脂として熱硬化性樹脂を採用することにより、上記蓄熱物質の流動温度より低い温度で被覆加工できるとともに、高温域において保形性の高い樹脂被覆層を構成できる。たとえば、自動車のエンジンルームに設置する場合には、120℃以上の保形温度(ガラス転移温度)を備える熱硬化性樹脂材料を採用するのが好ましい。
上記樹脂被覆層を構成する熱硬化性樹脂材料として、たとえば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等からなる熱硬化性樹脂を採用するのが好ましい。また、蓄熱物質の流動温度以下の温度で被覆加工ができる樹脂材料を採用するのが好ましい。たとえば、蓄熱物質として、90℃の流動化温度(融点)を発現する樹脂蓄熱物質を採用した場合、60℃〜80℃において、射出成形加工やディッピング加工を行い、また硬化処理を行うことのできる熱硬化性樹脂を採用するのが好ましい。
上記樹脂被覆層の形態も特に限定されることはない。また、上記樹脂被覆層を、上記熱媒体流動路の内面を含むすべての外周部に設けることもできるし、一部に設けることもできる。たとえば、熱媒体流動路を、熱伝導性パイプを用いて構成する場合には、上記熱伝導性パイプが熱伝導性多孔質体に接触する部分以外の部分を被覆するように構成することができる。また、他の部材と組み合わせて、上記蓄熱物質の流出を阻止できればよい。たとえば、熱伝導性多孔質体の外面の一部に、流動化した蓄熱物質の流出を防止できる壁部材等を設けるとともに、上記壁部材を設けていない部分に上記樹脂被覆層を設けることもできる。
上記樹脂被覆層の厚さも特に限定されることはない。また、部位によって異なる厚さの樹脂被覆層を構成することもできる。上記熱媒体流動路の内面に被覆層を設ける場合は、熱交換効率を高めるために厚みの小さい樹脂被覆層を設けるのが好ましい。たとえば、熱交換を行う部位の上記樹脂被覆層の厚さは、0.1〜1.0mmに設定するのが好ましい。さらに好ましくは、0.1〜0.5mmに設定するのが良い。一方、柱状蓄熱体の外周部の樹脂被覆層を厚く形成して、保温性を高めるように構成することもできる。
熱交換を行う部位の上記樹脂被覆を構成する樹脂材料の熱伝導性を高めるため、熱伝導性のフィラーを配合することもできる。たとえば、アルミナ、AlN(窒化アルミ)、SiC(窒化珪素)、AlSiC等のセラミックスや、Cu、Al、Ag、Ni等の金属系熱伝導性フィラーを配合することもできる。
また、上記蓄熱体には、上記熱伝導性多孔質体内を通過する熱媒体流動路が設けられており、熱媒体が蓄熱体内部を流動させられる。この構成によって、上記蓄熱体の内部に熱媒体を流動させて、上記蓄熱体と上記熱媒体との間で熱交換させることが可能となる。
上記構成によって、熱媒体と蓄熱物質との間の熱交換効率を高め、短時間に大量の熱を交換することが可能となる。また、本願発明に係る蓄熱体は、形状の自由度が高く、また加工が容易であるため、多数の熱媒体流動路を設けて、大きな熱交換面積を設定することができる。特に、粘度の低い空気等の気体を熱媒体として利用すると、断面積の小さな熱媒体流動路を設けても上記蓄熱体内を通過する抵抗が小さくなり、大量の空気等と熱交換をさせることも可能となる。
また、蓄熱器から短時間に大量の熱を取り出すことができるため、本願発明に係る蓄熱器を自動車に適用する場合、空調用途のみならず、自動車の種々の部位における暖機運転に利用することも可能となる。
上記熱媒体流動路の構成は特に限定されることはなく、熱媒体が蓄熱体内を通過するように構成されていればよい。たとえば、請求項3に記載した発明のように、上記熱媒体流動路を、上記熱伝導性多孔質体に設けた貫通孔の内周部に上記樹脂被覆層を設けて構成することができる。
たとえば、円柱形状の蓄熱体を構成する場合、上記円柱の軸方向に貫通する貫通孔を設けて、上記熱媒体流動路を構成することができる。また、軸芯から断面放射状に延びるスリット状の貫通孔を設けて、上記熱媒体流動路を構成することもできる。さらに、複数の熱伝導性多孔質部材を組み付けることによりこれら部材間に隙間を設けて、上記熱媒体流動路を構成することもできる。
上記貫通孔の内周部に上記樹脂被覆層を設けることにより、上記蓄熱物質に融点以上の温度が作用した場合にも、上記蓄熱物質が上記貫通孔内に流出するのを防止することが可能となり、貫通孔の形態が保持される。
上記貫通孔に形成される樹脂被覆層は、内部を流動する熱媒体との熱伝導性を高めるため薄く形成するのが望ましい。たとえば、0.1〜1.0mm程度の厚さに形成するのが望ましい。さらに好ましくは、0.1〜0.5mmに設定するのが良い。上記樹脂被覆層の厚みを小さく設定することにより、熱伝導性パイプを設ける場合に比べて熱伝導効率を高めることも可能となる。
また、請求項4に記載した発明のように、上記熱媒体流動路を、上記熱伝導性多孔質体内に熱伝導性パイプを貫通させて構成することもできる。
蓄熱物質との熱交換効率を高めるため、上記熱伝導性パイプの外周面に上記熱伝導性多孔質体を接合するのが好ましい。接合手法は特に限定されることはなく、圧接やロウ付け等を採用できる。上記熱伝導性多孔質体は、上記蓄熱物質より大きな熱伝導率を有している。また、上記多孔質体の空隙内に固体蓄熱物質が保持されている。したがって、この熱伝導性多孔質体を熱伝導性パイプの外周面に接合することにより、熱伝導性パイプ外周部と上記蓄熱物質の間の熱移動を円滑に行うことが可能となり、蓄熱体の隅々の部分と迅速な熱交換が可能となる。このため、上記熱伝導性パイプ内を流動する熱媒体と、上記蓄熱物質との間で、短時間に大量の熱を交換させることができる。なお、上記熱伝導性パイプを設置する形態は特に限定されることはない。断熱容器の一方の壁部から他方の壁部へ貫通するように設けることができる。また、一方の壁部から蓄熱器内部へ入るとともに同じ壁部から延出するように貫通させることもできる。
本願発明に係る蓄熱器においては、同一の熱媒体流動回路から入熱及び放熱を行うように構成することもできるし、請求項5に記載した発明のように、上記熱媒体流動路を、入熱用流動路と放熱用流動路とを備えて構成することもできる。入熱用流動路と放熱用流動路とを別途に設ける場合には、一方の回路を流れる熱媒体を、貫通孔に樹脂被覆層を設けて構成した熱媒体流動路に流動させる一方、他方の回路を流れる熱媒体を、熱伝導性パイプを設けて構成した熱媒体流動路に流動させるように構成することもできる。
上記蓄熱物質を保持できれば、種々の熱伝導性多孔質体を採用できる。たとえば、銅、ニッケルやニッケルクロム合金等の金属多孔質体を採用できる。これら金属多孔質体は、固体蓄熱物質に比べて熱伝導率が高く、蓄熱体内部での熱移動が迅速に行われる。
上記金属多孔質体の形態及び製造手法も特に限定されることはない。発泡により内部に連続気孔を形成した金属多孔質体や、ハニカム形状の金属多孔質体を採用できる。たとえば、特許第2628600号公報に記載されているような、3次元網状構造を備える金属多孔質体の空隙部に固体蓄熱物質を保持させることにより蓄熱体を形成することができる。
上記多孔質体として、70%以上の空隙率を備えるものを採用するのが好ましい。さらに、90%以上の空隙率を備えるものを採用するのがより好ましい。空隙率が大きくなるほど、上記多孔質体に保持させることができる蓄熱物質の量が増加し、蓄熱体の熱容量が大きくなる。
上記蓄熱物質は、上記熱伝導性多孔質体内に保持できるとともに、少なくとも上記樹脂被覆層を形成する際に、上記熱伝導性多孔質体内から流出しないものであれば、種々の蓄熱物質を採用できる。
たとえば、パラフィン樹脂を単独で採用できる。採用可能なパラフィン樹脂は、
融点が熱硬化性樹脂の被覆処理温度より高温である必要がある。また、被覆樹脂は、例えば、室温で乾燥できるとともに、乾燥工程終了後の耐熱温度が120℃以上であることが好ましい。
融点が熱硬化性樹脂の被覆処理温度より高温である必要がある。また、被覆樹脂は、例えば、室温で乾燥できるとともに、乾燥工程終了後の耐熱温度が120℃以上であることが好ましい。
また、請求項8に記載した発明のように、上記蓄熱物質を、蓄熱材としてのパラフィン樹脂と、このパラフィン樹脂より融点の高い保形用樹脂成分とを含んで構成することができる。たとえば、パラフィン樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂との混合物を採用することができる。パラフィン樹脂の融点は、30℃〜80℃であるが、110℃〜120℃の融点を有するポリエチレンテレフタレート樹脂を配合することにより、上記パラフィン樹脂の流動性を阻害して、保形性を高めることができる。この結果、90℃程度の温度に加熱されても、上記熱伝導性多孔質体から流出しないように構成することが可能となる。上記構成によって、蓄熱物質を充填した熱伝導性多孔質体の外周部に、耐熱性の高い樹脂被覆層を形成することが可能となる。
具体的には、約52℃の融点を有するパラフィン樹脂約95重量%と、約110℃の融点を有するポリエチレンテレフタレート樹脂約5重量%とを混練した蓄熱樹脂を採用することができる。
なお、市販されている蓄熱物質として、固体形状を保持したまま潜熱を蓄熱できる樹脂蓄熱物質を採用することもできる。たとえば、三菱電線工業株式会社製の潜熱蓄熱材(登録商標MHSシリーズ)を採用することができる。
上記蓄熱材は、蓄熱温度32℃〜80℃の所定の温度において、蓄熱することが可能であり、固体のままで175〜180kJ/kgの潜熱量を有している。このため、少ないスペースに、大量の熱を蓄熱することが可能となる。一方、流動化温度が100℃程度であるため、これを越える温度ではそのまま使用することはできない。本願発明に係る樹脂被覆層を設けることにより、上記流動化温度より高い温度で使用可能となる。
上記断熱容器として種々の材料及び形態を備えるものを採用できる。たとえば、真空の壁部を有する断熱容器を採用するのが好ましい。上記断熱容器は、上記熱媒体を上記熱媒体流動路内に流動させるように構成される。また、入熱用の熱媒体流動路と、放熱用の熱媒体流動路を設けた場合には、これら熱媒体を分離して各熱媒体流動路に導くように構成される。
請求項6に記載した発明のように、蓄熱体内を延びる熱伝導部材を設けることができる。上記熱伝導部材として、アルミや銅の熱伝導率の高い材料から形成された金属を採用するのが好ましい。また、上記熱伝導部材は、蓄熱体内に埋め込むように配置するのが好ましい。さらに、上記熱伝導部材を、上記熱伝導性多孔質体にロウ付け等によって接合するのが好ましい。これにより、蓄熱物質と熱媒体との熱交換効率をさらに向上させることができる。また、複数の部材を組み合わせて蓄熱体を構成する場合、上記熱伝導部材に、上記複数の部材を所定の形態に保持する機能をもたすこともできる。
請求項7に記載した発明のように、熱媒体流動路を、熱伝導性パイプを用いて構成するとともに、上記熱伝導部材を、上記熱伝導性パイプに接合するのが好ましい。これにより、熱伝導性パイプを利用して熱媒体流動路を形成する場合の熱交換効率をさらに高めることができる。
請求項9に記載した発明は、熱伝導性多孔質体に熱媒体が流動する流動路を設ける熱媒体流動路形成工程と、上記熱伝導性多孔質体に蓄熱物質を充填保持させる蓄熱物質充填工程と、上記蓄熱物質を充填した熱伝導性多孔質体の外周部に樹脂被覆層を形成する樹脂被覆工程とを含む、蓄熱器の製造方法に係るものである。
上記熱媒体流動路形成工程は、種々の手法を用いて形成することができる。たとえば、請求項10に記載した発明のように、上記熱媒体流動路形成工程を、上記熱伝導性多孔質体に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を含んで構成することができる。
また、請求項11に記載した発明のように、上記熱媒体流動路形成工程を、上記熱伝導性多孔質体に熱媒体流動路を構成する熱伝導性パイプを通挿させる工程を含んで構成することができる。
なお、熱伝導性パイプを用いて熱媒体流動路を設ける場合、まず、貫通孔を設けておき、この貫通孔に上記熱伝導性パイプを挿通することもできるし、熱媒体流動路を構成する銅パイプ等を熱伝導性多孔質体に打ち込むことにより行うこともできる。
上記蓄熱物質充填工程を行う手法は特に限定されることはない。たとえば、熱伝導性多孔質体を、溶融した蓄熱物質中に浸漬するディッピング処理により行うことができる。また、所定の金型内に、所定形状の熱伝導性多孔質体を配置するとともに、射出成形の手法を用いて行うこともできる。また、熱硬化性樹脂を採用する場合には、樹脂被覆工程に加えて樹脂硬化処理工程を設けることができる。
なお、上記熱媒体流動路形成工程と、上記蓄熱物質充填工程とは、いずれを先に行ってもよい。
請求項12に記載した発明のように、上記樹脂被覆工程は、上記熱伝導性多孔質体内から上記蓄熱物質が流出しない温度で行われる。たとえば、蓄熱物質として、流動化温度(融点)が80℃のパラフィン樹脂を採用した場合、80℃以下の温度で上記樹脂被覆工程を行うのが好ましい。また、熱硬化樹脂を採用して硬化処理を行う場合にも、上記温度以下で行うのが好ましい。また、室温でディッピング処理を施し、蓄熱物質の流動化温度以下の温度で、空気中もしくは窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で熱処理するのが好ましい。
上記樹脂被覆工程を行う手法も特に限定されることはない。たとえば、上記蓄熱物質充填工程と同様に、ディッピング処理によって行うことができる。
また、蓄熱物質を充填した熱伝導性多孔質体を金型内に配置して、射出成形の手法を用いて上記樹脂被覆工程を行うこともできる。さらに、上記蓄熱物質充填工程、上記樹脂被覆工程及び樹脂硬化工程を、2段射出形成の手法を用いて金型内で連続的に行うこともできる。
請求項13に記載した発明は、上記熱伝導性多孔質体が複数の熱伝導性多孔質部材を備えて構成される蓄熱器の製造方法であって、上記複数の熱伝導性多孔質部材を組み付ける組み付け工程を含むとともに、上記蓄熱物質充填工程において、上記熱伝導性多孔質体に蓄熱物質を充填保持させるものである。
複数の熱伝導性多孔質部材を組み付けて蓄熱体を構成することにより、種々の形態の蓄熱体を構成することができる。これにより、蓄熱器を設計する際の自由度が高まる。また、熱伝導率や空隙率の異なる種々の材料から形成された熱伝導性多孔質体を採用することも可能となる。
上記組み付け工程を行うタイミングは、特に限定されることはない。上記組み付け工程を蓄熱物質充填工程前に行うとともに、組み付けられた熱伝導性多孔質体に蓄熱物質を充填保持させることができる。
また、請求項14に記載した発明のように、上記熱伝導性多孔質体が複数の熱伝導性多孔質部材を備えて構成される蓄熱器を製造する場合、上記蓄熱物質充填工程において、上記各熱伝導性多孔質部材に蓄熱物質をそれぞれ充填保持させるとともに、蓄熱物質が充填された上記複数の熱伝導性多孔質部材を組み付ける工程を含ませることができる。
また、請求項15に記載した発明のように、上記熱伝導性多孔質体が複数の熱伝導性多孔質部材を備えて構成される場合、上記蓄熱物質充填工程において、上記各熱伝導性多孔質部材に蓄熱物質をそれぞれ充填保持させるとともに、上記樹脂被覆工程において、蓄熱物質が充填された上記各熱伝導性多孔質部材の外周部に樹脂被覆層をそれぞれ形成し、上記蓄熱物質が充填されるとともに上記樹脂被覆層が形成された複数の熱伝導性多孔質部材を組み付ける組み付け工程を行うことができる。
請求項16に記載した発明は、上記蓄熱物質が充填されているとともに、上記熱媒体流動路及び上記樹脂被覆層を設けた蓄熱体を、断熱容器に収容する組立工程を含むものである。
入熱用の熱媒体流動路と放熱用の熱媒体流動路を備える蓄熱体においては、上記組立工程において、上記各熱媒体流動路を外部の流路に接続する。また、上記蓄熱体の外周部に断熱材を設ける工程を含ませることもできる。
蓄熱容量が大きく、また、熱交換効率の高い蓄熱器を提供できる。
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
図1は、本願発明に係る蓄熱器の一例を示す断面図である。
蓄熱器1は、断熱容器2に円柱状の蓄熱体3を収容して構成される。上記断熱容器2は、円筒状の収容部4と、この収容部の両側にそれぞれ接合される円錐状の蓋部5,6を備えて構成される。上記収容部4と上記蓋部5,6は、断熱性の材料から形成されている。なお、上記断熱容器を真空の壁部を有する容器から構成することもできる。
上記蓋部5には、第1の熱媒体7を導入する第1の熱媒体導入部8と、第2の熱媒体9を導入する第2の熱媒体導入部10が設けられている。一方、蓋部6には、第1の熱媒体7を排出する第1の熱媒体排出部11と、第2の熱媒体9を排出する第2の熱媒体排出部12とが設けられている。本実施形態に係る上記第1の熱媒体導入部8は、軸に沿うように設けられたパイプ状の断熱性配管部材によって構成されているととともに、第2の熱媒体導入路10は、上記第1の熱媒体導入路8の外周に形成された筒状空間13aを介して側部から第2の熱媒体9を導入できるように構成されている。
図11に示すように、上記蓄熱体3は、空隙としての連続気孔14を有する熱伝導性多孔質体15と、上記連続気孔14内に保持された蓄熱物質16と、上記熱伝導性多孔質体15を貫通して設けられた第1の熱媒体流動路17及び第2の熱媒体流動路18とを備えて構成される。
上記第1の熱媒体流動路17は、上記熱伝導性多孔質体15の軸に沿って設けられた貫通孔17aに、銅製の熱伝導性パイプ17bを通挿して構成されている。一方、上記第2の熱媒体流動路18は、上記熱伝導性多孔質体15の軸と平行に設けられた複数の貫通孔18aから構成されている。
本実施形態では、上記蓄熱物質16を充填した熱伝導性多孔質体15の外周部を覆うように、熱硬化性樹脂から形成された樹脂被覆層19が設けられている。上記樹脂被覆層19は、上記貫通孔18aの内周部にも設けられており、上記第2の熱媒体流動路18を構成している。
本実施形態では、上記蓄熱体3は、外周部に設けられた断熱材20を介して、上記断熱容器2の内周部に収容保持されている。
図3から図10に、上記蓄熱体3を製造する手順の一例を示す。
図3に示すように、本実施形態では、所定厚みを有する円板状の熱伝導性多孔質部材15aを積層して組み付けることにより、所要の高さを有する円柱状の熱伝導性多孔質体15が構成される。
まず、図示しないシート状の熱伝導性多孔質体から、図3に示す円板状の熱伝導性多孔質部材15aをプレス等によって切り出す工程が行われる。次に、上記各熱伝導性多孔質部材15aに、ドリル等を用いて、上記第1の熱媒体流動路17を構成する貫通孔17aと、第2の熱媒体流動路18を構成する貫通孔18aを形成する貫通孔形成工程が行われる。なお、上記貫通孔形成工程は、上記切り出し工程を行う前のシート状熱伝導性多孔質体に対して行うこともできる。
図2に、熱伝導性多孔質体15の外観形態を示す。本実施形態に係る上記熱伝導性多孔質体は、通気性を有する3次元網状構造を備える。本実施形態では、空隙率が90%以上のニッケル金属多孔質体を採用している。
上記熱伝導性多孔質体15は、種々の手法を用いて製造されたものを採用することができる。たとえば、発泡させた多孔質樹脂支持体に、無電解メッキ、真空蒸着、スパッタリング等の方法で、カーボンや金属を被覆して導電性を付与する。この導電性を付与した多孔質樹脂支持体をメッキ浴中で給電ブスバーを兼ねた回転軸の周りに回転する陰極体の表面に密着させることにより、陽極から金属を上記多孔質体に電気メッキする。その後、上記多孔質樹脂支持体を除去することにより、図2に示すような、三角柱状の骨格が3次元に連なった連続気孔(空隙)をもつ金属多孔質体を得ることができる。
図3に示すように、複数の熱伝導性多孔質部材15aを、上記各貫通孔17a、18aが一致するように積層することにより、図4に示す所定の高さを有する円柱状の熱伝導性多孔質体15が形成される。
次に、図5及び図6に示すように、軸芯に設けた上記貫通孔17aに、第1の熱媒体流動路17を構成する銅製の熱伝導性パイプ17bが通挿される。熱伝導性パイプ17bを採用することにより、上記第1の熱媒体との熱交換を効率よく行うことができる。また、上記熱伝導性パイプ17bと、上記熱伝導性多孔質体の貫通孔17aの内周部とを圧着やロウ付けの手法を用いて接合することにより、これら部材間の熱伝導効率をさらに高めることができる。
次に熱伝導性多孔質体15の上記連続気孔14に、蓄熱物質16を充填する蓄熱物質充填工程が行われる。本実施形態では、図7に示すように、上記熱伝導性パイプ17bの両端部に栓22を設けた後、熱伝導性多孔質体15を、浸漬槽23内で溶融状態にある樹脂蓄熱物質16に浸漬し、上記蓄熱物質16を上記熱伝導性多孔質体1の連続気孔14に充填する。
上記蓄熱物質16を充填した後、所定時間冷却乾燥させることにより、上記蓄熱物質を固化させて、上記熱伝導性多孔質体内に固定する。
図8に、上記蓄熱物質を充填した上記熱伝導性多孔質体15の拡大断面図を示す。この図に示すように、上記第1の熱媒体流動路17と上記第2の熱媒体流動路18を設けた部分以外の多孔質体の連続気孔14内に、蓄熱物質16が充填保持されている。
本実施形態に係る蓄熱物質としてパラフィンを主剤とし、保形成分を含む蓄熱物質を採用することができる。たとえば、パラフィン95重量%と保形成分としてのポリエチレン樹脂を5重量%含む蓄熱物質を採用できる。パラフィンの融点は、30℃〜80℃であるが、上記保形成分を含有させることにより保形性が高まり、約90℃まで、上記熱伝導性多孔質15の連続気孔14内に保持させることが可能となる。したがって、パラフィン樹脂を含む場合、樹脂被覆工程は80℃以下の温度で行うのが好ましい。
また、市販されている樹脂蓄熱物質を採用できる。たとえば、三菱電線工業製の潜熱蓄熱材(登録商標MHSシリーズ)を採用することができる。この樹脂蓄熱物質は、パラフィン、保形樹脂、その他添加剤を含んで構成される固体状の樹脂蓄熱物質であり、蓄熱温度は、約80℃であり、約2.5kJ/kg・Kの比熱、0.21〜0.22W/mKの熱伝導率を有している。また、固体形状を保持したまま、175〜180kJ/kgの潜熱量を有している。また、融点は100℃以上である。
さらに、本実施形態では、上記蓄熱物質16を充填した熱伝導性多孔質体15の外周部に、樹脂被覆層19を設ける樹脂被覆工程が行われる。
図9に示すように、上記樹脂被覆工程は、液状の熱硬化性樹脂24を満たした浸漬層25に、上記蓄熱物質を充填した熱伝導性多孔質体を浸漬することにより行われる。上記樹脂被覆工程を行うことにより、蓄熱体3の外周部に0.1〜0.5mmの薄い樹脂被覆層19が形成される。なお、必要に応じて、上記熱硬化性樹脂で被覆した後、所定温度の炉内において上記熱硬化性樹脂を硬化させる被覆層硬化工程を行うことができる。上記被覆層硬化構成も、80℃以下の温度で行われる。
本実施形態においては、上記熱硬化性樹脂24として、エポキシ樹脂を採用している。硬化前のエポキシ樹脂として、常温で液状のものが採用される。上記エポキシ樹脂を採用することにより、上記蓄熱物質を溶融させることなく、上記樹脂被覆層19を形成できる。なお、上記樹脂被覆層を構成する樹脂材料は、エポキシ樹脂に限定されることはなく、たとえば、ウレタン系樹脂やシリコーン系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を採用できる。
上記樹脂被覆工程を行った後、60〜80℃の温度で上記被覆層を硬化させる硬化処理が行われる。上記硬化処理も、上記蓄熱物質の融点(流動温度)以下で行われる。
図10に、上記樹脂被覆層19を設けた蓄熱体3の軸断面を示す。また、図11に、図10におけるXI−XI線に沿う要部拡大断面図を示す。
これらの図に示すように、上記円柱状の蓄熱体3の外周部、すなわち、外周面、端面及び上記第2の熱媒体流動路18の内周面が、上記樹脂被覆層19に覆われている。これにより、上記熱伝導性多孔質体15の連続気孔14内に充填保持された蓄熱物質16が、上記樹脂被覆層19によって封止されている。一方、上記第1の熱媒体流動路を構成するパイプ17bの外周面は、上記熱伝導性多孔質体15及び上記蓄熱物質16に接触した状態に設定されている。
上記樹脂被覆層19を構成するエポキシ樹脂は、上述したように、上記蓄熱物質の流動温度以下で被覆処理及び硬化処理を行えるとともに、120℃以上の耐熱温度(ガラス転移温度)を備えるものが採用されている。このため、蓄熱体3が上記蓄熱物質16の流動化温度以上に加熱された場合であっても、上記蓄熱物質16が上記熱伝導性多孔質体15内に保持される。この構成を採用することにより、高温に晒される自動車のエンジンルーム等に配置した場合であっても、固体性状を備える蓄熱物質として使用することが可能となる。
また、本実施形態に係る上記蓄熱体3は、一体的につながる3次元網目状の熱伝導性多孔質体15の連続気孔14内に、蓄熱物質16を保持させた形態を備える。また、上記熱伝導性多孔質体15の熱伝導率は、上記蓄熱物質16より大きい。このため、上記蓄熱体3の内部では、主として上記熱伝導性多孔質体15を介して熱が移動させられ、上記蓄熱体3の内部における熱移動の速度が速い。したがって、蓄熱体3の一部から入熱された熱を、上記蓄熱体3の全域に移動させて蓄熱することができる。また、上記蓄熱体3の全域から放熱部位に熱を移動させて、短時間に大量の熱を放熱させることもできる。
しかも、本実施形態では、上記第1の熱媒体流動路17を構成する熱伝導性パイプ17bの外周部が、上記熱伝導性多孔質体15及び上記蓄熱物質16に直接接触するように構成されている。このため、第1の熱媒体7と上記蓄熱物質16の熱交換効率を高めることが可能となる。
一方、上記第2の熱媒体流動路18には、樹脂被覆層19が設けられている。上記樹脂被覆層19の耐熱温度(軟化温度)は、上記蓄熱物質16より高い。このため、上記蓄熱物質16が流動化する温度以上の温度が作用した場合にも、上記蓄熱体内から上記蓄熱物質が漏れ出る恐れはない。しかも、上記樹脂被覆層19の厚みが薄いため、第2の熱媒体との熱交換効率も高い。
この結果、本実施形態に係る上記蓄熱器1は、暖房等の空調用に利用できるばかりでなく、自動車の駆動系を暖機運転するために用いることも可能となる。
上記実施形態では、円筒状の断熱容器2内に円柱状の蓄熱体3を充填するとともに、上記第1の熱媒体流動路17を構成する熱伝導性パイプ17bの両端部が、上記第1の熱媒体導入部8を構成する断熱性パイプと、第1の熱媒体排出部11を構成する断熱性パイプに接続されている。一方、上記第2の熱媒体流動路18は、上記蓋部5,6の空間を介して集合させられ、上記第1の熱媒体導入路及び第1の熱媒体排出路の外周部にそれぞれ形成された環状空間13a,13bを介して、図示しない第2の熱媒体が流動する回路に接続されている。
銅等の熱伝導率の高い熱伝導性パイプ17bから形成された第1の熱媒体流動路17は、エンジンもしくはモータやインバータの冷却回路につながっており、図示しないポンプによってエンジンもしくはモータやインバータで加熱された熱媒体7が流動させられる。
上記蓄熱体3を構成する熱伝導性多孔質体15は、上記熱伝導性パイプ17bの外周部に圧接あるいはロウ付けされている。このため、上記熱伝導性パイプ17bの外周面から上記熱伝導性多孔質体15に熱が放熱されるとともに、上記熱伝導性多孔質体15を介して蓄熱物質16の隅々まで熱が移動させられて、樹脂蓄熱物質16に蓄熱が行われる。
一方、本実施形態では、蓄熱体3には、蓄熱物質16より耐熱性の高い樹脂で形成された被覆層19を備える貫通孔が、第2の熱媒体流動路18として設けられている。本実施形態では、第2の熱媒体導入部10から、熱媒体9としての空気9が導入されて、上記第2の熱媒体排出路12から加熱された空気が排出される。
上記第2の熱媒体流動路18を多数設けているため、非常に大きな熱交換面積を介して、第2の熱媒体9である空気に熱が移動させられる。したがって、大量の空気を上記蓄熱物質16の温度近傍まで上昇させることができる。しかも、上記樹脂被覆層19が薄く形成されているため、熱交換が阻害される恐れもない。
図12に、本願発明の第2の実施形態に係る蓄熱体103を示す。
この実施形態では、第1の熱媒体流動路117と、第2の熱媒体流動路118の双方を、熱伝導性パイプ117b,118bを用いて構成したものである。
本実施形態では、上記各熱媒体流動路117,118を構成する熱伝導性パイプ117b,118bを、第1の実施形態と同様の手法によって形成された貫通孔117a,118aに通挿した後に、上述した第1の実施形態と同様の手法を用いて、蓄熱物質充填工程及び樹脂被覆工程が行われる。したがって、上記第2の熱媒体流動路118を構成する熱伝導性パイプの外周面は、上記蓄熱物質116及び上記熱伝導性多孔質体115に直接接触させられている。このため、第2の熱媒体と上記蓄熱物質116との熱交換効率をより高めることが可能となる。しかも、上記各熱伝導性パイプ117b,118bを除く、蓄熱体の外周部が樹脂被覆層119に覆われている。このため、上記熱伝導性多孔質体115内に充填保持された蓄熱物質116が融点(流動温度)以上に加熱された場合にも、上記蓄熱物質116が熱伝導性多孔質体115の外部に流出する恐れはない。これにより、耐熱性の高い蓄熱器を構成することが可能となる。
図13に、本願発明の第3の実施形態に係る蓄熱体203の断面図を示す。
第3の実施形態は、第1の熱媒体流動路217を構成する熱伝導性パイプ217bの外周面から放射状に延びる熱伝導部材231を設け、この熱伝導部材231間の空間に断面扇形の複数の蓄熱部材203aを組み付けることにより、蓄熱体203を構成したものである。なお、上記蓄熱部材203aの製造手法は、第1の実施形態における蓄熱体を製造する手法と同様であるので説明は省略する。
上記各蓄熱部材203aは、上記第1の実施形態と同様に、第2の熱媒体流動路218を備えるとともに、第2の熱媒体流動路218の内周面を含む外周部が樹脂被覆層219で覆われている。上記熱伝導部材231は、上記熱伝導性パイプ217bと同じ銅板から形成されているとともに、内方端部が、上記熱伝導性パイプ217bの外周面にロウ付けあるいは溶接されている。
上記構成を採用することにより、上記蓄熱体203内に熱伝導部材231が埋め込み状に設けられることになる。
上記構成を採用することにより、上記熱伝導性パイプ217b内を流れる入熱側の熱媒体から、上記熱伝導性パイプ217bを介して上記熱伝導部材231に入熱される。上記熱伝導部材231は放射状に形成されているため、上記熱伝導部材231を介して上記蓄熱体203の外側部まで迅速に熱を移動させることができるとともに、上記金属多孔質体215の連続気孔214に保持された蓄熱物質216に迅速に蓄熱することができる。したがって、蓄熱効率を大幅に高めることができる。
また、上記構成を採用することにより、小さな蓄熱部材203aを独立して製造することが可能となる。したがって、蓄熱物質充填工程及び樹脂被覆層形成工程を容易に行うことが可能となる。また、蓄熱部材203aを交換することができるため、故障や不良品にも容易に対応できる。
上述した実施形態においては、上記蓄熱物質充填工程及び上記樹脂被覆工程を、ディッピングの手法を用いて行ったが、これら工程は、上記実施形態に限定されることはない。
たとえば、所定の金型内に熱伝導性多孔質体あるいは熱伝導性多孔質部材を保持した状態で、蓄熱物質を射出成形の手法を用いて充填することができる。
また、上記樹脂被覆形成工程も同様に、射出成形の手法を用いて行うことができる。さらに、上記蓄熱物質充填工程と、硬化工程を含む上記樹脂被覆形成工程を、2段射出成形法の手法を用いて連続的に行うこともできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
熱媒体との熱交換効率が高く、また、耐熱性の高い蓄熱器を形成できる。
1 蓄熱器
2 断熱容器
3 蓄熱体
7 熱媒体
9 熱媒体
14 連続気孔(空隙)
15 熱伝導性多孔質体
16 蓄熱物質
17 第1の熱媒体流動路
18 第2の熱媒体流動路
19 樹脂被覆層
2 断熱容器
3 蓄熱体
7 熱媒体
9 熱媒体
14 連続気孔(空隙)
15 熱伝導性多孔質体
16 蓄熱物質
17 第1の熱媒体流動路
18 第2の熱媒体流動路
19 樹脂被覆層
Claims (16)
- 蓄熱物質を保持させて構成される蓄熱体を断熱容器に収容して構成される蓄熱器であって、
上記蓄熱体は、
空隙を有する熱伝導性多孔質体と、
上記空隙内に保持された蓄熱物質と、
上記熱伝導性多孔質体内を通過する熱媒体流動路と、
上記蓄熱物質を保持した上記熱伝導性多孔質体の外周部を被覆して、上記蓄熱物質を上記熱伝導性多孔質体内に封止する樹脂被覆層とを備えて構成されるとともに、
上記断熱容器は、上記熱媒体を上記熱媒体流動路内に流動させるように構成されている、蓄熱器。 - 上記樹脂被覆層は、上記蓄熱物質が流動化する温度より低い温度で被覆加工できるとともに、上記蓄熱物質が流動化する温度より高い温度において上記蓄熱物資を上記熱伝導性多孔質体内に封止できる樹脂材料から形成されている、請求項1に記載の蓄熱器。
- 上記熱媒体流動路は、上記熱伝導性多孔質体に設けた貫通孔の内周部に上記樹脂被覆層を設けて構成される、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の蓄熱器。
- 上記熱媒体流動路は、上記熱伝導性多孔質体内に熱伝導性パイプを貫通させて設けられている、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の蓄熱器。
- 上記熱媒体流動路は、入熱用流動路と放熱用流動路とを備えて構成される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蓄熱器。
- 蓄熱体内を延びる熱伝導部材を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の蓄熱器。
- 熱媒体流動路を、熱伝導性パイプを用いて構成するとともに、上記熱伝導部材が、上記熱伝導性パイプに接合されている、請求項6に記載の蓄熱器。
- 上記蓄熱物質は、蓄熱材としてのパラフィン樹脂と、このパラフィン樹脂より融点の高い保形用樹脂成分とを含んで構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の蓄熱器。
- 熱伝導性多孔質体に熱媒体が流動する熱媒体流動路を設ける熱媒体流動路形成工程と、
上記熱伝導性多孔質体に蓄熱物質を充填保持させる蓄熱物質充填工程と、
上記蓄熱物質を充填した熱伝導性多孔質体の外周部に樹脂被覆層を形成する樹脂被覆工程とを含む、蓄熱器の製造方法。 - 上記熱媒体流動路形成工程は、上記熱伝導性多孔質体に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を含む、請求項9に記載の蓄熱器の製造方法。
- 上記熱媒体流動路形成工程は、上記熱伝導性多孔質体に熱媒体流動路を構成する熱伝導性パイプを通挿させる工程を含む、請求項9又は請求項10のいずれかに記載の蓄熱器の製造方法。
- 上記樹脂被覆工程は、上記熱伝導性多孔質体内から上記蓄熱物質が流出しない温度で行われる、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の蓄熱器の製造方法。
- 上記熱伝導性多孔質体が複数の熱伝導性多孔質部材を備えて構成される蓄熱器の製造方法であって、
上記複数の熱伝導性多孔質部材を組み付ける組み付け工程を含むとともに、
上記蓄熱物質充填工程において、上記熱伝導性多孔質体に蓄熱物質を充填保持させる、請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の蓄熱器の製造方法。 - 上記熱伝導性多孔質体が複数の熱伝導性多孔質部材を備えて構成される蓄熱器の製造方法であって、
上記蓄熱物質充填工程において、上記各熱伝導性多孔質部材に蓄熱物質をそれぞれ充填保持させるとともに、
蓄熱物質が充填された上記複数の熱伝導性多孔質部材を組み付ける組み付け工程を含む、請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の蓄熱器の製造方法。 - 上記熱伝導性多孔質体が複数の熱伝導性多孔質部材を備えて構成される蓄熱器の製造方法であって、
上記蓄熱物質充填工程において、上記各熱伝導性多孔質部材に蓄熱物質をそれぞれ充填保持させるとともに、
上記樹脂被覆工程において、蓄熱物質が充填された上記各熱伝導性多孔質部材の外周部に樹脂被覆層をそれぞれ形成し、
上記蓄熱物質が充填されるとともに上記樹脂被覆層が形成された複数の熱伝導性多孔質部材を組み付ける組み付け工程を含む、請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の蓄熱器の製造方法。 - 上記蓄熱物質が充填されているとともに、上記熱媒体流動路及び上記樹脂被覆層を設けた蓄熱体を、断熱容器に収容する組立工程を含む、請求項9から請求項15のいずれか1項に記載の蓄熱器の製造方法。
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2009
- 2009-09-11 JP JP2009210326A patent/JP2011058750A/ja active Pending
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