JP2011057540A - ハニカム構造体用シール材、ハニカム構造体、及び、ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

ハニカム構造体用シール材、ハニカム構造体、及び、ハニカム構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 無機繊維の生体溶解性が良好であって、かつ、ハニカム構造体用シール材の調製後に長時間が経過してもセラミックブロック等への塗布性が良好であるハニカム構造体用シール材を提供すること。
【解決手段】 生体溶解性の無機化合物からなる無機繊維と、無機粒子と、0.1重量%以上のイオン吸着剤とを含むことを特徴とするハニカム構造体用シール材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハニカム構造体用シール材、ハニカム構造体、及び、ハニカム構造体の製造方法に関する。
ハニカム構造体は、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中のパティキュレート等を除去するフィルタとして用いられたり、排ガス中のHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)等の有害成分を除去する触媒担体として用いられたりしている。ハニカム構造体を構成する種々の構成部材の材料として無機繊維が用いられている。具体的には、例えば、複数のハニカム焼成体を結束してセラミックブロックとする際のシール材(接着材)や、セラミックブロックの外周に塗布するシール材(外周シール材、以下、外周コート材ともいう)として無機繊維を含むシール材が用いられている。
このような無機繊維が体内、特に肺等に侵入し、長期にわたってそのまま残存すると、人体に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、シール材に使用される無機繊維は、人体に対する安全性に優れている材料であることが望ましい。
特許文献1には、無機繊維としてアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びホウ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むシール材が記載されている。
特許文献1に記載された上記化合物を含む無機繊維は、いわゆる生体溶解性ファイバーである。生体溶解性ファイバーは、生理食塩水に対して溶解する性質を有し、体内に取り込まれたとしても溶解し、体外に排出されることになるため、人体に対する安全性に優れているとされている。
国際公開第05/110578号パンフレット
特許文献1記載のシール材は、セラミックブロックやハニカム焼成体に塗布して所定のシール材層を形成することができるように、上記無機繊維の他、無機バインダ、有機バインダ、無機粒子、及び、水等を混合してペースト状に調製される。
しかしながら、無機繊維として上記生体溶解性ファイバーを用い、必要に応じて酸化物ゾルを加えてシール材を調製し保存しておくと、時間の経過とともにペースト状のシール材が凝集又はゲル化を起こしてしまい、シール材の粘度が上昇して流動性が低下することがある。そして、シール材の凝集又はゲル化といった現象が生じると、シール材をセラミックブロック等に塗布することが困難となり、作業上の不利益が大きくなる。また、シール材が凝集又はゲル化するとセラミックブロック等に均一に塗布することが困難となることから、塗布されたシール材の厚さにばらつきが生じやすく、最終的なシール材層の強度にもばらつきが生じるという問題もある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、無機繊維の生体溶解性が良好であって、かつ、ハニカム構造体用シール材の調製後に長時間が経過してもセラミックブロック等への塗布性が良好であるハニカム構造体用シール材を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記ハニカム構造体用シール材を用いて製造されたハニカム構造体を提供すること、及び、上記ハニカム構造体の製造方法を提供することをも目的とする。
本発明者らは、シール材の凝集又はゲル化が生じる原因について鋭意検討した結果、シール材ペーストのpHの値が大きくなった場合に、シール材に含まれる無機粒子及び/又は酸化物ゾルのゲル化に起因したシール材のゲル化が起こりやすくなることを見出した。
シール材がゲル化するメカニズムの詳細は不明であるものの、以下のように考えられる。
通常、シール材に含まれる無機粒子及び酸化物ゾルの表面には、電気2重層が形成されて表面状態が安定しており、これによって無機粒子及び酸化物ゾルは分散状態を維持して存在しているものと考えられる。
しかし、pHが大きくなり、例えば、pHが6を超えていると(すなわちpH7付近の中性条件下であっても)、生体溶解性ファイバーに含まれる多価金属イオン(例えば、Ca2+、Mg2+等)が溶出して、これらの多価金属イオンが無機粒子及び/又は酸化物ゾルの表面電荷に干渉するようになる。この干渉現象により、無機粒子及び/又は酸化物ゾルの表面の電荷のバランスが崩れて、無機粒子及び/又は酸化物ゾルが集合するためにシール材のゲル化が生じるものと推測される。
なお、シール材のpHは、多価金属イオンと無機粒子の間、及び/又は、多価金属イオンと酸化物ゾルとの間の拡散接触頻度に影響すると考えられ、pHが高くなると上記拡散接触頻度が高くなる(反応速度が高くなる)ためにシール材のゲル化が進みやすくなるものと考えられる。
なお、本明細書においてゲル化とは、pHの変化や多価金属イオンの存在等によって、ゾル中に分散していた固体成分が凝集、会合又は相変化を起こして、シール材ペーストの粘度が上昇する現象のことをいうこととする。
また、シール材を酸性(pH6以下)にすることにより、生体溶解性ファイバーから多価金属イオンが溶出することを抑えることができ、シール材のゲル化を防止することができることが判明した。しかしながら、シール材を酸性とした場合には、シール材のゲル化を防止することができるものの、シール材を酸性とした後にシール材を固化させた後の強度が、生体溶解性ファイバーを使用していないシール材を固化させた後の強度と比べて弱くなるという問題があることもわかった。
このような検討結果を踏まえて、本発明者らは、生体溶解性ファイバーから溶出した多価金属イオンと無機粒子及び/又は酸化物ゾルとが拡散接触する前にシール材中の多価金属イオン濃度を低下ないし存在させないようにすることで、シール材ペーストの調製後に長時間が経過してもセラミックブロック等への塗布性が良好であり、優れた固化後のシール材の強度を持つハニカム構造体用シール材とすることができることを見出し、本発明を完成した。
なお、シール材のゲル化のメカニズムとしては、上記以外のメカニズムも考えられるが、本発明では、本発明の構成とすることにより、常に上記効果を奏することを確認しており、メカニズムの如何によって本発明の効果が変わることはない。
すなわち、請求項1に記載のハニカム構造体用シール材は、生体溶解性の無機化合物からなる無機繊維と、無機粒子と、0.1重量%以上のイオン吸着剤とを含むことを特徴とする。
請求項1に記載のハニカム構造体用シール材に含まれる無機繊維は、生体溶解性ファイバーであり、万が一体内に取り込まれても生理条件下での溶解性を有することから、無機繊維を含むハニカム構造体用シール材の人体に対する安全性を確保することができ、シール材ペースト調製後に長時間が経過してもゲル化せず、セラミックブロック等への塗布性が良好である。
請求項1に記載のハニカム構造体用シール材は、イオン吸着剤を含んでいることから、生体溶解性ファイバーから溶出したCa2+やMg2+等の多価金属イオンを吸着することができる。これにより、ハニカム構造体用シール材中の多価金属イオン濃度が低くなって、多価金属イオンと無機粒子及び/又は酸化物ゾルとの拡散接触頻度が低くなることから、無機粒子同士、無機粒子と酸化物ゾルとの間、又は、酸化物ゾル同士の表面電荷の変化による凝集や会合等が抑制され、ハニカム構造体用シール材のゲル化を防止することができると考えられる。
また、請求項1に記載のハニカム構造体用シール材は、固化後のハニカム構造体用シール材の強度を向上させることができる。
請求項1に記載のハニカム構造体用シール材中の上記イオン吸着剤の含有量は、イオン吸着剤の種類にもよるが、0.1重量%以上であることが望ましく、0.2重量%以上であることがより望ましい。ハニカム構造体用シール材におけるイオン吸着剤の含有量が0.1重量%未満であると、上記無機繊維から溶出する多価金属イオンの吸着量・吸着速度が不充分となり、ハニカム構造体用シール材の調製後24時間以内にゲル化するおそれがあるからである。また、ハニカム構造体用シール材におけるイオン吸着剤の含有量が0.2重量%以上であると、ハニカム構造体用シール材を固化させた後の強度により優れるからである。
請求項2に記載のハニカム構造体用シール材では、無機化合物は、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である。これらの無機化合物を含むことで、生体溶解性の無機繊維とすることができる。
請求項3に記載のハニカム構造体用シール材では、イオン吸着剤は、シリカ系吸着剤、アルミナ系吸着剤、ゼオライト系吸着剤、粘土系吸着剤、メソポーラス系吸着剤、多価金属塩、及び、活性炭からなる群より選択される少なくとも1種の吸着剤である。これらの吸着剤は無機系吸着剤として化学的に安定であり、入手も容易であることから望ましい。
請求項4に記載のハニカム構造体用シール材のように、イオン吸着剤として、粘土系吸着剤を用いることができる。粘土系吸着剤もイオン吸着性が高く、化学的安定も高いので、本発明のハニカム構造体用シール材のイオン吸着剤として好適に用いることができる。
請求項5に記載のハニカム構造体用シール材では、粘土系吸着剤は、ベントナイト、活性白土、モンモリロナイトからなる群より選択される少なくとも1種である。このような粘土系吸着剤は、入手も容易であり、イオン吸着性も優れているので、本発明のハニカム構造体用シール材に用いるイオン吸着剤として好適である。また、ベントナイト等は、それ自体で接着性を示すので、無機バインダの役割を果たすことができ、ハニカム構造体用シール材の調製における無機バインダの使用を省略することもできる。
請求項6に記載のハニカム構造体用シール材では、イオン吸着剤は、ゼオライト系吸着剤及び活性炭の少なくとも1種である。これらのイオン吸着剤は、イオン吸着性が高く化学的にも安定しているので、ハニカム構造体用シール材の使用耐久期間を延ばすことができる。
請求項7に記載のハニカム構造体用シール材のように、ゼオライト系吸着剤は、具体的に、アルミノシリケートゼオライト、メタロシリケートゼオライト、アルミノリン酸塩ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。ゼオライト系吸着剤の中でもこれらのゼオライトは、イオン吸着性が高く、入手が容易であり、作業上の取り扱いも良好である。
請求項8に記載のハニカム構造体用シール材では、イオン吸着剤は、多価金属塩である。
多価金属塩を用いることにより、少量でもゲル化の防止効果が高く、ハニカム構造体用シール材の固化後の強度を高くすることができる。
請求項9に記載のハニカム構造体用シール材のように、多価金属塩は、具体的に、リン酸アルミニウム、リン酸鉄、リン酸マグネシウム、フッ化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。これらの多価金属塩は、溶解度が低いため多価金属イオンが溶出しにくく、イオン吸着性が高く、入手が容易であり、作業上の取り扱いも良好である。
請求項10に記載のハニカム構造体用シール材は、さらに酸化物ゾルを含む。従来であれば、シール材のゲル化が生じやすかった条件下、特にアルカリ性の条件下であっても、請求項10に記載のハニカム構造体用シール材では短時間のうちにゲル化するのを防止することができる。また、酸化物ゾルを含むことから、ハニカム構造体用シール材の固化後の強度を向上させることができる。
請求項11に記載のハニカム構造体は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に形成されたハニカム焼成体からなるセラミックブロックと、
前記セラミックブロックの外周面に形成された外周シール材層とからなるハニカム構造体であって、
前記外周シール材層は、請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体用シール材を固化させて形成されている。
請求項11に記載のハニカム構造体は、外周シール材層を構成する材料に生体溶解性ファイバーを用いていることから、該ハニカム構造体の人体に対する安全性が高く、作業者や消費者等が安心して取り扱うことができる。また、請求項11に記載のハニカム構造体の製造工程においては、ハニカム構造体用シール材を調製した後、実際に使用するまでの間においては、ハニカム構造体用シール材のゲル化が生じないので、外周シール材層を形成する過程においてゲル化に起因して厚さが不均一となること等を防止することができ、これにより、外周シール材層の厚さの不均一に起因した外周シール材層の強度のばらつき又は低下を防止することができる。
請求項12に記載のハニカム構造体のように、セラミックブロックは、複数のハニカム焼成体と、複数のハニカム焼成体の側面間に形成された接着材層とからなっていてもよい。
請求項13に記載のハニカム構造体のように、接着材層は、接着材を固化させて形成されていてもよい。
請求項14に記載のハニカム構造体では、接着材は、請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体用シール材である。ハニカム焼成体が複数集合したハニカム構造体では、ハニカム焼成体間の接着材層が必要となるので、必然的にハニカム構造体に含まれる無機繊維の総量も増加する。従来のハニカム構造体であれば、接着材層の増加に伴い無機繊維の人体への取り込みの可能性も高くなるが、請求項14に記載のハニカム構造体では、接着材として請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体用シール材を用いているので、ハニカム構造体全体に含まれる無機繊維の総量が増加したとしても、該ハニカム構造体の人体に対する安全性を確保することができる。
請求項15に記載のハニカム構造体の製造方法は、セラミック原料を成形して多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に形成されたハニカム成形体を作製する工程と、
ハニカム成形体を熱処理して得られるハニカム焼成体からなるセラミックブロックを作製する工程と、
セラミックブロックの外周面に形成した外周シール材ペースト層を固化して外周シール材層を形成する工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、
生体溶解性の無機化合物からなる無機繊維と、無機粒子と、0.1重量%以上のイオン吸着剤とを少なくとも混合してハニカム構造体用シール材を調製する工程をさらに含み、
外周シール材ペースト層は、前記ハニカム構造体用シール材を用いて形成された層であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法である。
請求項15に記載のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム構造体用シール材調製工程において調製するハニカム構造体用シール材に、0.1重量%以上のイオン吸着剤が含まれているので、ハニカム構造体用シール材ペーストを調製した後無機粒子が凝集し、会合等することがなく、それゆえシール材のゲル化が生じることがない。これにより、シール材ペーストの調製後に長時間が経過しても、粘度が上昇してシール材ペーストの流動性が低下することを防止することができる。また、ハニカム構造体用シール材ペーストの流動性を高いまま維持することができるので、シール材ペーストの使用管理等が容易となり、外周シール材層形成工程において外周シール材ペースト層をセラミックブロックの外周面に形成する際の作業性を向上させることができる。また、固化した外周シール材層の強度を向上させることができる。
請求項16に記載のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム焼成体を接着材層を介して複数結束させてセラミックブロックを作製する工程をさらに含む。この結束工程を含むことで、ハニカム焼成体が複数集合して形成された集合型ハニカム構造体を製造することができる。
請求項17に記載のハニカム構造体の製造方法では、無機化合物は、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である。こうした化合物を用いることにより、無機繊維が具体的に生体溶解性のファイバーとして機能することができ、ハニカム構造体用シール材、ひいてはこれを用いるハニカム構造体の人体に対する安全性を高めることができる。
請求項18に記載のハニカム構造体の製造方法では、イオン吸着剤は、シリカ系吸着剤、アルミナ系吸着剤、ゼオライト系吸着剤、粘土系吸着剤、メソポーラス系吸着剤、多価金属塩、及び、活性炭からなる群より選択される少なくとも1種の吸着剤である。これらのイオン吸着剤は、イオン吸着性が高く化学的にも安定しており、ハニカム構造体用シール材の使用耐久期間を延ばすことができるから、シール材のゲル化による作業効率低下やシール材を均一に塗布することができないことに起因する強度低下等を防止することができる。
請求項19に記載のハニカム構造体の製造方法では、イオン吸着剤は、粘土系吸着剤である。粘土系吸着剤もイオン吸着性が高く、化学的安定も高いので、本発明のハニカム構造体の製造方法におけるイオン吸着剤として好適に用いることができる。
請求項20に記載のハニカム構造体の製造方法では、粘土系吸着剤は、ベントナイト、活性白土、モンモリロナイトからなる群より選択される少なくとも1種である。このような粘土系吸着剤は、入手も容易であり、イオン吸着性も優れているので、本発明のハニカム構造体の製造方法におけるイオン吸着剤として好適である。また、ベントナイト等は、それ自体が接着性を示すので無機バインダの役割を果たすことができ、ハニカム構造体用シール材の調製における無機バインダの使用を省略することができる。
請求項21に記載のハニカム構造体の製造方法では、イオン吸着剤は、ゼオライト系吸着剤及び活性炭の少なくとも1種である。
これらゼオライト系吸着剤及び活性炭は入手容易性や取り扱い容易性に優れているので、製造準備が容易であり、製造過程での作業性を向上させることができる。また、ゼオライト系吸着剤及び活性炭はイオン吸着性が高く化学的にも安定しているので、ハニカム構造体用シール材の使用耐久期間を延ばすことができる。
請求項22に記載のハニカム構造体の製造方法では、ゼオライト系吸着剤は、アルミノシリケートゼオライト、メタロシリケートゼオライト、アルミノリン酸塩ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種である。これらの吸着剤は、イオン吸着性が高く化学的にも安定しているので、ハニカム構造体用シール材の使用耐久期間を延ばすことができる。また、取り扱いも容易であり、安全性や効率化を求められる製造工程でも好適に用いることができる。
請求項23に記載のハニカム構造体用シール材の製造方法では、イオン吸着剤は、多価金属塩である。
多価金属塩を用いることにより、少量でもゲル化の防止効果が高く、ハニカム構造体用シール材の使用耐久期間を延ばすことができ、ハニカム構造体用シール材の固化後の強度を向上させることができる。
請求項24に記載のハニカム構造体用シール材の製造方法では、多価金属塩は、具体的に、リン酸アルミニウム、リン酸鉄、リン酸マグネシウム、フッ化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。これらの多価金属塩は、溶解度が低いため多価金属イオンが溶出しにくく、イオン吸着性が高く、ハニカム構造体用シール材の使用耐久期間を延ばすことができる。また、入手が容易であり、作業上の取り扱いも良好である。
請求項25に記載のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム構造体用シール材は、さらに酸化物ゾルを含む。従来であれば、シール材のゲル化が生じやすい条件下、特にアルカリ性の条件下であっても、請求項25に記載のハニカム構造体の製造方法ではゲル化を防止しつつハニカム構造体用シール材を調製することができる。また、酸化物ゾルを含むことから、ハニカム構造体用シール材の固化後の強度を向上させることができる。
請求項26に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記接着材層は、接着材を固化させて形成されており、
上記接着材は、請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体用シール材である。
請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体用シール材は、シール材ペーストの調製後に長時間が経過しても、シール材ペーストの粘度が上昇してシール材ペーストの流動性が低下することを防止することができる。そのため、接着材層を形成する際の作業性を向上させることができる。また、固化した接着材層の強度を向上させることができる。
本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 図2(a)は、本発明のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示した斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。 図3(a)は、ハニカム焼成体の接着方法を示す斜視図であり、図3(b)は、貼り合わされたハニカム焼成体を切断することにより作製された評価用サンプルを模式的に示す斜視図である。 評価用サンプルのハニカム構造体用シール材(接着材層)の破壊強度の測定方法を模式的に示す斜視図である。 実施例及び比較例において調製したハニカム構造体用シール材について、イオン吸着剤の種類ごとのイオン吸着剤の配合量とハニカム構造体用シール材の破壊強度との関係を示すグラフである。
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカム構造体用シール材、ハニカム構造体、及び、ハニカム構造体の製造方法の第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、第一実施形態に係るハニカム構造体用シール材について説明する。
本実施形態のハニカム構造体用シール材は、生体溶解性の無機化合物からなる無機繊維と、無機粒子と、イオン吸着剤とを含む。
(生体溶解性の無機化合物からなる無機繊維)
上記ハニカム構造体用シール材に含まれる無機繊維は、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種である。
上記アルカリ金属化合物としては、例えば、Na、Kの酸化物等が挙げられ、上記アルカリ土類金属化合物としては、Mg、Ca、Baの酸化物等が挙げられる。
無機化合物からなる無機繊維の生体溶解性を評価するために、無機繊維中の無機化合物の生理食塩水への溶解度を以下の方法により測定することができる。25mlの生理食塩水に0.5gの無機繊維を投入し、37℃で5時間振盪処理を行った後にろ過し、固形分の無機繊維を除去し、無機繊維の一部が溶解した抽出溶液中のケイ素、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等の無機繊維中の元素を原子吸光分析により測定する。なお、生理食塩水は、通常のものを使用すればよい。この抽出溶液中に対象化合物が合計で100ppm(0.01重量%)以上溶解していれば、生体溶解性の無機化合物からなる無機繊維と言うこととする。また、この測定結果から、無機繊維から溶出した溶出物の割合も算出することができる。生理食塩水があらかじめ測定対象元素を含む場合は、その生理食塩水中の該元素の量を確認しておき、その量を測定した試料中の該元素量から差し引けばよい。
本実施形態のハニカム構造体用シール材に含まれる無機繊維は、37℃における生理食塩水に対する溶解度が300ppm(0.03重量%)以上であることが望ましい。300ppm(0.03重量%)以上の溶解度を有する無機繊維は、生理条件下で速やかに溶解するので、無機繊維が生体内に取り込まれた際の危険性をさらに低くすることができる。
また、上記無機繊維の平均繊維長の下限は、0.1μmが望ましく、上記無機繊維の平均繊維長の上限は、1000μmが望ましく、100μmがより望ましく、50μmがさらに望ましい。
無機繊維の平均繊維長が0.1μm未満では、弾性を有するハニカム構造体を形成することが難しく、無機繊維の平均繊維長が1000μmを超えると、毛玉のような形態をとりやすくなるため、接着材層又は外周シール材層の厚さを薄くすることが難しくなる。また、無機繊維の平均繊維長が1000μmを超えると、無機粒子の分散が悪くなる。
無機繊維は、大きなアスペクト比(長径/短径)を有することが望ましい。アスペクト比の大きな無機繊維は、シール材の弾性向上に特に有効である。
本実施形態のハニカム構造体用シール材に含まれる無機繊維のアスペクト比は、2〜1000であることが好ましく、5〜800であることがより好ましく、10〜500であることがさらに好ましい。無機繊維のアスペクト比が2未満では、シール材の弾性向上の寄与が小さく、また、無機繊維のアスペクト比が1000を超えると、ハニカム焼成体との接着強度等の固化後のシール材の強度が低下してしまうことがある。ここで、無機繊維のアスペクト比に分布があるときには、その平均値として表現している。
また、上記無機繊維は、シリカをさらに60〜85重量%含むことが望ましく、70〜80重量%含むことがより望ましい。上記シリカとはSiO又はSiOである。シリカの含有量が60重量%未満であると、無機繊維の強度が弱くなることがある。一方、シリカの含有量が85重量%を超えると、無機繊維中の無機化合物の含有量が少なくなるため、生体溶解性が低下するおそれがある。
無機繊維は、生体溶解性を有するアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の少なくとも1種を含んでおり、さらに、無機繊維に含まれるSiO含有量が70重量%以上であることが望ましい。一般に、アルカリ金属やアルカリ土類金属のケイ酸塩は、生体溶解性を有するものが多いが、SiO含有量が85重量%を超えると、生体溶解性を有するアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物の含有量が少なくなりすぎるので好ましくない。
また、無機繊維は、無機繊維に含まれるAl含有量が2重量%以下であることが望ましい。なお、Al含有量は、2重量%以下であれば0重量%でもよい。一般に、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルミン酸塩又はアルミノケイ酸塩は、生体溶解性がない又は小さいものが多いからである。
本実施形態のハニカム構造体用シール材に含まれる無機繊維中の無機化合物は、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物からなる群より選択される少なくとも1種である。
上記アルカリ金属化合物としては、例えば、ナトリウム、カリウムの酸化物や塩が挙げられ、上記アルカリ土類金属化合物としては、マグネシウム、カルシウム、バリウムの酸化物や塩が挙げられる。生体溶解性繊維は、無機繊維の材料として用いられるシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、ガラス等に、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ホウ素の酸化物や塩を含ませることによって作製することができる。
上記無機繊維中の無機化合物は、ホウ素化合物であってもよく、ホウ素化合物が含まれていてもよい。
(無機粒子)
上記ハニカム構造体用シール材に含まれる無機粒子の平均粒径の下限は、0.01μmが望ましく、0.1μmがより望ましい。一方、上記無機粒子の平均粒径の上限は、100μmが望ましく、15μmがより望ましく、10μmがさらに望ましい。無機粒子の平均粒径が0.01μm未満では、無機粒子の製造が難しくなるとともにコストが高くなることがあり、一方、無機粒子の平均粒径が100μmを超えると、接着強度等の固化後のシール材の強度又は固化後のシール材の熱伝導性の低下を招くことがある。ここで、無機粒子とは、上記アスペクト比が2未満のものを言うこととする。
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等からなる無機粉末又はウィスカ等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れるため炭化ケイ素が望ましい。
なお、本明細書においてウィスカは無機粒子に含まれることとする。
(イオン吸着剤)
上記ハニカム構造体用シール材に含まれるイオン吸着剤としては、細孔を有し、吸着質(特に、金属陽イオン)を吸着する吸着特性を示す物質であれば特に限定されず、無機系吸着剤、炭素系吸着剤等を本発明のイオン吸着剤として用いることができる。
上記無機系吸着剤としては特に限定されず、例えば、シリカ系吸着剤や、アルミナ系吸着剤、ゼオライト系吸着剤、粘土系吸着剤、メソポーラス系吸着剤、多価金属塩、活性炭、アパタイト吸着剤、層状リン酸ジルコニウム、ヘテロポリ酸、金属酸化物多孔体、金属水酸化物多孔体等が挙げられる。
上記シリカ系吸着剤としては特に限定されず、例えば、シリカゲル、エアロゲル、コロイダルシリカ、多孔質ケイ酸塩ガラス等が挙げられる。これらシリカ系吸着剤は、1種で用いてもよく、複数の種類組み合わせてもよい。
上記アルミナ系吸着剤としては、例えば、αアルミナ、γアルミナ、δアルミナ、θアルミナ等の活性アルミナ等を好適に用いることができる。これらアルミナ系吸着剤は、1種で用いてもよく、複数の種類組み合わせてもよい。
上記ゼオライト系吸着剤としては、陽イオンを吸着し得るものであれば、天然ゼオライト、合成ゼオライト及び人工ゼオライトのいずれであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。これら種々のゼオライトのうち、アルミノシリケートゼオライト、メタロシリケートゼオライト及びアルミノリン酸塩ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種のゼオライトが望ましい。ゼオライト系吸着剤の中でもこれらのゼオライトは、イオン吸着性が高く、入手が容易であり、作業上の取り扱いも良好であるからである。
前記粘土系吸着剤としては、例えば、ベントナイト、スメクタイト、スメクタイト系粘土、活性白土、モンモリロナイト等が挙げられる。また、上記粘土系吸着剤として、その外に、カオリナイト、酸性白土、ハロサイト、セリサイト、雲母粘土鉱物等も挙げられる。これら粘土系吸着剤は、1種で用いてもよく、複数の種類組み合わせてもよい。
上記メソポーラス系吸着剤としては、例えば、メソポーラスシリカ、メソポーラスシリカ−アルミナ、メソポーラスチタニア、メソポーラスジルコニア等が挙げられるが、これらに限定されない。これらメソポーラス系吸着剤は、1種で用いてもよく、複数の種類組み合わせてもよい。
多価金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸アルミニウム、リン酸鉄、リン酸マグネシウム、フッ化アルミニウム等が挙げられる。これら多価金属塩は、1種で用いてもよく、複数の種類組み合わせてもよい。上記多価金属塩は、溶解度の低いものが望ましい。溶出したアルカリ金属等を吸着させるためのものであるので、多価金属塩からの金属イオンの溶出量は少ない方が好ましいからである。また、多価金属塩は、粒子状であることが望ましい。繊維状の形状であると、人体への悪影響が懸念されるからである。
上記アパタイト系吸着剤としては、例えば、ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。
上記ヘテロポリ酸としては、例えば、タングストリン酸塩等が挙げられ、上記金属酸化物多孔体としては、例えば、α型酸化スズやβ型酸化スズ等が挙げられ、また、上記金属水酸化物多孔体としては、例えば、オキシ水酸化アルミニウム、オキシ水酸化鉄、オキシ水酸化クロム、オキシ水酸化コバルト、オキシ水酸化ニッケル等がそれぞれ挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらヘテロポリ酸や金属水酸化物多孔体は、1種で用いてもよく、複数の種類組み合わせてもよい。
上述した無機系イオン吸着剤のうち、粘土系吸着剤、シリカ系吸着剤、アルミナ系吸着剤、ゼオライト系吸着剤、多価金属塩、及び、メソポーラス系吸着剤からなる群より選択される少なくとも1種の吸着剤であることが望ましい。これらの吸着剤は無機系吸着剤として化学的に安定であり、また、入手も容易であるからである。さらに、無機系イオン吸着剤としては、粘土系吸着剤、ゼオライト系吸着剤が望ましい。これらの吸着剤は、陽イオン吸着性に優れており、ハニカム構造体用シール材のゲル化を長時間にわたって防止することができるからである。
上記炭素系吸着剤としては特に限定されず、例えば、活性炭等を好適に用いることができる。活性炭の陽イオン吸着性も非常に優れているし、他の成分との相互作用を生じにくいという利点も有しているからである。
本実施形態に係るハニカム構造体用シール材は、基本的に、上述した無機繊維と、無機粒子と、イオン吸着剤とから構成されるが、流動性を有するハニカム構造体用シール材を調製するためには、適量の水等の溶剤が必要となるとともに、さらに、必要に応じて、酸化物ゾル、有機バインダ及び保水剤等を添加することが望ましい。
本実施形態に係るハニカム構造体用シール材に含まれる無機繊維の含有量の下限は、固形分で、10重量%が望ましく、20重量%がより望ましい。一方、上記無機繊維の含有量の上限は、固形分で、70重量%が望ましく、40重量%がより望ましく、30重量%がさらに望ましい。上記無機繊維の含有量が10重量%未満では、固化したハニカム構造体用シール材の弾性が低下することがあり、一方、上記無機繊維の含有量が70重量%を超えると、固化したハニカム構造体用シール材の熱伝導性の低下を招くとともに、接着強度等の固化したハニカム構造体用シール材の強度が低下することがある。
本実施形態に係るハニカム構造体用シール材に含まれる無機粒子の含有量の下限は、3重量%が望ましく、10重量%がより望ましく、20重量%がさらに望ましい。一方、上記無機粒子の含有量の上限は、80重量%が望ましく、60重量%がより望ましく、40重量%がさらに望ましい。上記無機粒子の含有量が3重量%未満では、固化したハニカム構造体用シール材の熱伝導率の低下を招くことがあり、一方、上記無機粒子の含有量が80重量%を超えると、固化したハニカム構造体用シール材(接着材層又は外周シール材層)が高温にさらされた場合に、接着強度の低下を招くことがある。
本実施形態に係るハニカム構造体用シール材中の上記イオン吸着剤の含有量は、本発明のハニカム構造体用シール材のゲル化防止効果が得られる限り特に限定されないが、イオン吸着剤の含有量は0.1重量%以上であることが望ましく、0.2重量%以上であることがより望ましく、0.4重量%以上であることがさらに望ましい。ハニカム構造体用シール材におけるイオン吸着剤の含有量が0.1重量%未満であると、上記無機繊維から溶出する多価金属イオンの吸着量・吸着速度が不充分となり、ハニカム構造体用シール材の調製後24時間以内にゲル化するおそれがあるからである。
一方、上記イオン吸着剤の含有量の上限についても特に限定されないが、イオン吸着剤の含有量は、5.0重量%以下が望ましく、2.0重量%以下がより望ましい。イオン吸着剤の含有量が増加することにより、ハニカム構造体用シール材に含まれるイオン吸着剤以外の成分、特に無機繊維の含有量が減少し、これによりハニカム構造体用シール材を固化させた後の強度や弾性が低下してしまうことを考慮して、固化後のハニカム構造体用シール材の強度や弾性の低下が実際の使用に実質的に影響しない程度で、ハニカム構造体用シール材におけるイオン吸着剤の含有量を設定すればよい。
なお、イオン吸着剤としてベントナイトを用いた場合には、その含有量は、0.1〜5.0重量%が望ましく、0.2〜5.0重量%がより望ましく、0.2〜2.0重量%がさらに望ましく、イオン吸着剤としてゼオライトを用いた場合には、その含有量は、0.1〜5.0重量%が望ましく、0.2〜5.0重量%がより望ましく、0.2〜2.0重量%がさらに望ましい。イオン吸着剤として、ベントナイト又はゼオライトの含有量が0.2重量%以上であると、ハニカム構造体用シール材の固化した後の強度に優れるからである。また、イオン吸着剤としてリン酸アルミニウムを用いた場合には、その含有量は、0.1〜2.0重量%が望ましく、0.1〜0.5重量%がより望ましく、0.2〜0.5重量%がさらに望ましい。リン酸アルミニウムの含有量は、0.10〜0.25重量%もさらに望ましく、0.20〜0.25重量%が特に望ましい。イオン吸着剤として、リン酸アルミニウムの含有量が0.1重量%以上であると、ハニカム構造体用シール材がゲル化するおそれもなく、ハニカム構造体用シール材の固化後の強度に優れるからである。イオン吸着剤としてリン酸アルミニウムを用いた場合には、リン酸アルミニウムの量が増加するに従い、その強度が顕著に増加する傾向がある。
イオン吸着剤の中で、ベントナイト、ゼオライト、リン酸アルミニウムは入手しやすく、ハニカム構造体として作製した場合に、信頼性の問題が発生しにくいと考えられる。
本実施形態に係るハニカム構造体用シール材における上記イオン吸着剤の上記無機繊維に対する重量比(無機繊維の重量/イオン吸着剤の重量)は特に限定されず、100/1〜4/1であればよく、80/1〜8/1であることが好ましい。イオン吸着剤の上記無機繊維に対する重量比が100/1〜4/1の範囲外となると、ハニカム構造体用シール材中のイオン吸着剤の存在量が少なくなって多価金属イオンの吸着が不充分となったり、無機繊維の存在量が少なくなって固化後のハニカム構造体用シール材の強度や弾性が不充分となったりするおそれがあるからである。
(酸化物ゾル)
上述したように、本実施形態に係るハニカム構造体用シール材では、酸化物ゾルが添加さていてもよい。
上記酸化物ゾルとしては、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記酸化物ゾルは、シール材の固化後に粒子同士を接着させるバインダの役割を果たしており、これらの機能や取り扱い性等を考慮すると、シリカゾル又はアルミナゾルが望ましい。上記酸化物ゾルは酸性であっても、アルカリ性であってもよい。
ハニカム構造体用シール材中の上記酸化物ゾルの含有量の下限は、固形分で、1重量%が望ましく、5重量%がより望ましい。一方、上記酸化物ゾルの含有量の上限は、固形分で、30重量%が望ましく、15重量%がより望ましく、9重量%がさらに望ましい。上記酸化物ゾルの固形分の含有量が1重量%未満では、ハニカム構造体用シール材の接着強度等の強度の低下を招くことがあり、一方、上記酸化物ゾルの固形分の含有量が30重量%を超えると、固化したハニカム構造体用シール材の熱伝導率の低下を招くことがある。
また、上記酸化物ゾルに含まれる酸化物の平均粒子径は、5〜30nmであることが望ましい。
上記酸化物ゾルに含まれる酸化物の平均粒子径が小さいほどハニカム焼成体との接着強度等の強度が向上する傾向にあるが、上記酸化物の平均粒子径が5nm未満のものは、シール材中での分散性が低下しやすくなり、また、酸化物の作製が困難であり、酸化物ゾルの入手が困難になる。また、上記酸化物の平均粒子径が30nmを超えると、ハニカム構造体用シール材とハニカム焼成体との接着強度が低下しやすくなる。
なお、本明細書において、上記酸化物ゾルに含まれる酸化物の平均粒子径は、例えば、下記のような方法で測定して得た値を指すこととする。
具体的には、上記酸化物ゾルがシリカゾルである場合には、まず、シリカゾルを乾燥させて、そのBET比表面積を測定する。
そして、シリカゾル中のシリカ粒子が緻密体の球形粒子であると仮定して、下記計算式(1)より粒子径を算出する。
BET比表面積=(6000/ρ)/粒子径・・・(1)
(式中、ρは、シリカの真密度(2.2g/cm)である)
(ハニカム構造体用シール材のpH)
本実施形態のハニカム構造体用シール材が酸化物ゾルを含む場合、ハニカム構造体用シール材はアルカリ性であってもよい。従来であれば、ハニカム構造体用シール材のゲル化が生じやすかったアルカリ性条件下でも、本実施形態のハニカム構造体用シール材はイオン吸着剤を含んでいるので、ゲル化を防止ないしはゲル化の開始を遅らせることができる。また、ハニカム構造体用シール材は併せて酸化物ゾルを含んでいることから、固化後のハニカム構造体用シール材の強度を向上させることができる。
ハニカム構造体用シール材をアルカリ性として使用する場合、そのpHは7〜11であればよく、8〜10であることがより好ましい。
なお、ハニカム構造体用シール材のゲル化の防止や、固化後の強度等を考慮して実際の使用に実質的に影響を及ぼさない限り、ハニカム構造体用シール材は酸性を示してもよい。このときのハニカム構造体用シール材のpHは3〜7であればよく、4〜6であることがより好ましい。
本実施形態に係るハニカム構造体用シール材は、主に、上述した無機繊維と、無機粒子と、イオン吸着剤とから構成され、必要に応じて上記酸化物ゾルが添加されるが、流動性を有するハニカム構造体用シール材を調製するためには、適量の水等の溶剤が必要となるとともに、さらに、必要に応じて有機バインダ及び保水剤等を添加することが望ましい。
上記有機バインダは、ハニカム構造体にシール材層を形成した際、ハニカム焼成体等に対して接着性を付与するとともに、各材料同士を接着させる役割を果たすので、ハニカム構造体用シール材中に含まれることが望ましい。
有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダの中では、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
本実施形態に係るハニカム構造体用シール材中の有機バインダの割合は、0.1重量%〜1.0重量%が好ましい。有機バインダの割合が0.1重量%未満では、各材料をうまく接着することができず、固化後のハニカム構造体用シール材の強度が低下し、一方、有機バインダの割合が1.0重量%を超えると、ハニカム構造体用シール材ペーストの粘度が高くなりすぎ、塗布が困難になるとともに、上記ハニカム構造体を排気ガス浄化装置に設置した後、排ガスと接触すると分解し、多くの炭化水素ガスが発生してしまうこととなる。
保水剤とは、水分と接触した際に水分を吸収して、水分を他の部位に移動させない性質を有する物質であり、保水剤を添加することによりハニカム構造体用シール材ペーストの流動性が低くなることを防止することができる。
本実施形態に係るハニカム構造体用シール材中の保水剤の割合は、0.1重量%〜1.0重量%が好ましい。保水剤の割合が0.1重量%未満では、無機繊維、無機粒子等に水分を奪われてハニカム構造体用シール材ペーストの粘度が高くなりすぎ、ハニカム構造体用シール材ペーストの塗布が困難になり、一方、保水剤の割合が1.0重量%を超えると、保水剤の量が多くなりすぎ、上記ハニカム構造体用シール材ペーストの粘度が高くなりすぎ、流動性を保つことが困難となる。
保水剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド類、セルロース誘導体、多糖類等が挙げられる。
溶剤としては、水が挙げられるが、そのほか、アルコール等を添加してもよい。
溶剤の量は特に限定されるものではないが、水を使用する場合、本実施形態に係るハニカム構造体用シール材中の水の割合は、20重量%〜50重量%が好ましい。水の割合が20重量%未満では、ハニカム構造体用シール材の流動性を保つことができず、一方、水の割合が50重量%を超えると、ハニカム構造体用シール材ペーストの粘度が低くなりすぎ、塗布が困難になる。
次に、本実施形態に係るハニカム構造体用シール材の調製方法について説明する。
上記ハニカム構造体用シール材を調製する際には、まず、無機繊維と、無機粒子と、イオン吸着剤と、必要に応じて酸化物ゾルとを上述した割合で混合して混合物を調製し、さらに、要すれば、適量の水、有機バインダ及び保水剤等を加えて混合し、混練することによって、ハニカム構造体用シール材を調製する。調製されたハニカム構造体用シール材のpHは、特に限定されるものではないが、4〜7が好ましい。
pHを調整する際には、酸性溶液を添加するか、又は、アルカリ性水酸化物等を添加すればよい。酸性溶液の種類は特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、乳酸、酢酸、又は、蟻酸の水溶液等が挙げられる。上記酸性溶液の中では、特に乳酸水溶液が望ましい。
調製されたハニカム構造体用シール材は、無機繊維の生体溶解性が良好であり、かつ、ハニカム構造体用シール材ペーストの調製後に長時間が経過してもセラミックブロック等への塗布性が良好であり、さらに、固化後のハニカム構造体用シール材の強度低下を防止することができる。また、イオン吸着剤を含有しているため、ハニカム構造体用シール材の固化後に、より機械的強度に優れたシール材(接着材層又は外周コート材層)とすることができる。
続いて、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体について説明する。
本実施形態に係るハニカム構造体は、上述した本実施形態のハニカム構造体用シール材を用いて製造されている。
図1は、本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図2(a)は、本発明のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示した斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。
図1に示すハニカム構造体100では、多孔質炭化ケイ素からなるハニカム焼成体110が、接着材層101を介して複数個結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周面に外周シール材層102が形成されている。なお、ハニカム焼成体110は、図2(a)及び図2(b)に示す形状を有している。
図2(a)及び図2(b)に示すハニカム焼成体110には、多数のセル(貫通孔)111がセル壁(隔壁)113を隔てて長手方向(図2(a)中、aの方向)に並設されており、セル111のいずれかの端部が封止材112で封止されている。従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスGは、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。
従って、セル壁113がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
本実施形態のハニカム構造体においては、接着材層と外周シール材層が、上述した本実施形態のハニカム構造体用シール材を用いて形成されている。
以下に、第一実施形態に係るハニカム構造体用シール材を用いたハニカム構造体の製造方法の実施形態について説明する。
まず、セラミック粉末とバインダとを含む湿潤混合物を押出成形することによってハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
具体的には、セラミック粉末として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより、所定の形状のハニカム成形体を作製する。
次に、ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封じする封止工程を行う。
次に、ハニカム成形体中の有機物を脱脂炉中で加熱して除去する脱脂工程を行い、焼成炉に搬送し、焼成工程を行ってハニカム焼成体を作製する。
なお、切断工程、乾燥工程、封止工程、脱脂工程及び焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
次に、以下の方法により、複数個のハニカム焼成体間に接着材層を形成して、複数個のハニカム焼成体を接着材層を介して接着する結束工程を行う。
すなわち、各セルの所定の端部が封止されたハニカム焼成体のそれぞれの所定の側面に、本実施形態のハニカム構造体用シール材であるペースト状の接着材を塗布して接着材ペースト層を形成し、この接着材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返し、複数個のハニカム焼成体が接着材ペースト層を介して結束されたハニカム集合体を作製する。
続いて、ハニカム集合体を加熱して、接着材ペースト層を固化させることによって、接着材層が形成されたセラミックブロックを作製する。
続いて、セラミックブロックの側面をダイヤモンドカッター等を用いて加工して円柱状にする外周加工工程を行う。
さらに、以下の方法により、セラミックブロックの外周面に外周シール材層を形成する外周シール材層形成工程を行う。
本実施形態のハニカム構造体用シール材をセラミックブロックの外周面にスキージを用いて塗布することにより外周シール材ペースト層を形成し、さらに外周シール材ペースト層を固化させることによって外周シール材層を形成する。上記外周シール材層を形成する際の材料として、本実施形態に係るハニカム構造体用シール材を使用することができる。
以上の工程によって、本実施形態のハニカム構造体用シール材(接着材層及び外周シール材層)を用いたハニカム構造体を製造することができる。
このように、本実施形態のハニカム構造体は、セラミックブロックが複数のハニカム焼成体からなる集合型ハニカム構造体でもよい。また、本実施形態のハニカム構造体は、セラミックブロックが一つのハニカム焼成体からなる一体型ハニカム構造体であってもよい。
以下、本実施形態のハニカム構造体用シール材、ハニカム構造体、及び、ハニカム構造体の製造方法の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のハニカム構造体用シール材に含まれる無機繊維は、生体溶解性ファイバーである。そのため、無機繊維が万が一体内に取り込まれても、生理条件下での溶解性を有することから、無機繊維を含むハニカム構造体用シール材の人体に対する安全性を確保することができる。
また、本実施形態のハニカム構造体用シール材を用いて製造されたハニカム構造体は、人体に対する安全性が高く、作業者や消費者等が安心して取り扱うことができる。
さらに、本実施形態のハニカム構造体用シール材を用いてハニカム構造体を製造する際に、作業者が安全に作業することができる。
(2)本実施形態のハニカム構造体用シール材は、イオン吸着剤を含んでいることから、生体溶解性ファイバーから溶出したCa2+やMg2+等の多価金属イオンを吸着することができる。これにより、ハニカム構造体用シール材中の多価金属イオン濃度が低くなって、多価金属イオンと無機粒子及び/又は酸化物ゾルとの拡散接触頻度が低くなることから、無機粒子同士、無機粒子と酸化物ゾルとの間、又は、酸化物ゾル同士の表面電荷の変化による凝集や会合等が抑制され、ハニカム構造体用シール材のゲル化を防止することができると考えられる。このため、ハニカム構造体用シール材ペーストの調製後に長時間が経過してもゲル化せず、セラミックブロック等への塗布性が良好である。
また、本実施形態のハニカム構造体用シール材を用いてハニカム構造体の外周シール材層を形成する過程においては、ハニカム構造体用シール材のゲル化が生じないので、ハニカム構造体用シール材ペーストを均一に塗布することが困難となることに起因して外周シール材層の厚さが不均一になることを防止することができる。これにより、外周シール材層の厚さの不均一に起因した外周シール材層の強度のばらつき又は低下を防止することができる。
(3)本実施形態のハニカム構造体用シール材には、無機繊維及び無機粒子のほか、ゼオライト系吸着剤、粘土系吸着剤、多価金属塩等からなるイオン吸着剤が含まれている。これらのイオン吸着剤は、固化後のハニカム構造体用シール材の強度維持に必要な機械的特性にも優れる。このため、固化後のハニカム構造体用シール材の強度低下を防止することができ、より機械的特性に優れたシール材(接着材層又は外周コート材層)とすることができる。
(4)本実施形態のハニカム構造体は、複数個のハニカム焼成体からなる集合型ハニカム構造体である。
複数個のハニカム焼成体が集合したハニカム構造体では、ハニカム焼成体間の接着材層が必要となるので、必然的にハニカム構造体に含まれる無機繊維の総量も増加する。このような場合であっても、本実施形態のハニカム構造体では、接着材として本実施形態のハニカム構造体用シール材を用いているので、人体に対する安全性を確保することができる。
(5)本実施形態のハニカム構造体においては、外周シール材層が、本実施形態のハニカム構造体用シール材を固化させることによって形成されている。本実施形態のハニカム構造体用シール材は、固化後にハニカム構造体用シール材の強度が低下することがないため、外周シール材層における欠け等の破損を防ぐことができる。
(6)本実施形態のハニカム構造体においては、接着材層が、本実施形態のハニカム構造体用シール材を固化させることによって形成されている。本実施形態のハニカム構造体用シール材は、固化後にハニカム構造体用シール材の強度が低下することがないため、ハニカム焼成体から構成されるハニカム構造体を排ガス浄化装置として使用する際における、接着材層を介して結束されているハニカム焼成体のずれや抜けを防止することができ、長時間安定してハニカム構造体を使用することができる。
(7)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、外周シール材層形成工程において、本実施形態のハニカム構造体用シール材をセラミックブロックの外周面に塗布する。また、接着材層を形成する際に、本実施形態のハニカム構造体用シール材をハニカム焼成体の側面に塗布する。本実施形態のハニカム構造体用シール材は、シール材ペーストの調製後に長時間が経過しても、シール材ペーストの粘度が上昇して、シール材ペーストの流動性が低下することがないため、外周シール材層形成や接着材層形成の際の作業性が低下することを防止することができる。
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(1)ハニカム構造体用シール材の調製
以下の各実施例及び比較例においては、下記の表1に示す組成の無機繊維Aを用いて、ハニカム構造体用シール材を調製した。
Figure 2011057540
(実施例1)
(ハニカム構造体用シール材の調製)
無機繊維Aを用いた、無機繊維としての上記生体溶解性ファイバーを438.9重量部、無機粒子として平均粒径が0.5μmのSiC粉末を367.5重量部、有機バインダとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)を4.6重量部、イオン吸着剤としてのベントナイトを2重量%含有するベントナイト分散液(トピー工業製 W−200U)283.6重量部、保水剤としてのポリビニルアルコール(PVA)を22.7重量部、水を50.0重量部加えて混合し、混練することによってpHが6.3のハニカム構造体用シール材を調製した。なお、上記ハニカム構造体用シール材中のベントナイト濃度は、0.5重量%である。
(実施例2〜5)
ハニカム構造体用シール材中のベントナイト含有量が下記の表2に示す配合量となるように、ベントナイト分散液の量を変更した他は、実施例1と同様にしてハニカム構造体用シール材を調製した。得られた実施例2〜5のハニカム構造体用シール材のpHを表2に示す。
(実施例6及び実施例7)
実施例6では、ハニカム構造体用シール材中の酸性シリカゾル(pH:6.3、シリカ含有量:30重量%)含有量が下記の表2に示す配合量となるように酸性シリカゾルを加えるとともに、pH調整剤として乳酸溶液(乳酸濃度:50重量%)を0.7重量部加え、実施例7では、アルカリ性シリカゾル(pH:8.8、シリカ含有量:30重量%)の含有量が下記の表2に示す配合量となるように、アルカリ性シリカゾルを加えた他は、実施例1と同様にしてハニカム構造体用シール材を調製した。得られた実施例6及び実施例7のハニカム構造体用シール材のpHを表2に示す。
(実施例8〜10)
ベントナイトに代えて、モンモリロナイト、カオリナイトが表2に示す配合量となるように、上記化合物を含む溶液を用いた他は、実施例1と同様にしてハニカム構造体用シール材を調製した。得られた実施例8〜10のハニカム構造体用シール材のpHを表2に示す。
(比較例1及び比較例2)
比較例1では、イオン吸着剤を加えず、酸性シリカゾル(pH:6.3、シリカ含有量:30重量%)を下記の表2に示す配合量となるように加えるとともに、pH調整剤として6.8重量部の乳酸溶液(乳酸濃度:50重量%)を加えた他は、実施例1と同様にしてハニカム構造体用シール材を調製した。また、比較例2では、イオン吸着剤を加えず、アルカリ性シリカゾル(pH:9.9、シリカ含有量:30重量%)を下記の表2に示す配合量となるように加えた他は、実施例1と同様にしてハニカム構造体用シール材を調製した。得られた比較例1及び比較例2のハニカム構造体用シール材のpHを表2に示す。
(実施例11〜15)
ベントナイトに代えて、ゼオライト(A型ゼオライト)が表3に示す配合量となるようにゼオライトを含む溶液を用いた他は、実施例1と同様にしてハニカム構造体用シール材を調製した。得られた実施例11〜15のハニカム構造体用シール材のpHを表3に示す。
(実施例16〜18)
ベントナイトに代えて、リン酸アルミニウムを表3に示す配合量となるようにリン酸アルミニウムを含む溶液を用い、アルカリ性シリカゾル(pH:8.8、シリカ含有量:30重量%)を下記の表3に示す配合量となるように加えた他は、実施例1と同様にしてハニカム構造体用シール材を調製した。得られた実施例16〜18のハニカム構造体用シール材のpHを表3に示す。
(実施例19)
ベントナイトに代えて、リン酸アルミニウムが表3に示す配合量となるようにリン酸アルミニウムを含む溶液を用い、酸性シリカゾル(pH:6.3、シリカ含有量:30重量%)を下記の表3に示す配合量となるように加えた他は、実施例1と同様にしてハニカム構造体用シール材を調製した。得られた実施例19のハニカム構造体用シール材のpHを表3に示す。
(実施例20及び比較例3)
ベントナイトに代えて、リン酸アルミニウムが表3に示す配合量となるようにリン酸アルミニウムを含む溶液を用いた他は、実施例1と同様にしてハニカム構造体用シール材を調製した。得られた実施例20及び比較例3のハニカム構造体用シール材のpHを表3に示す。
各実施例及び比較例で調製したハニカム構造体用シール材について、以下の方法により評価を行った。
(2)ハニカム構造体用シール材の評価
(2−1)ハニカム構造体用シール材の粘度による流動性評価
各実施例及び比較例で調製したハニカム構造体用シール材について、ハニカム構造体用シール材(ペースト)の調製直後、1日後、2日後、3日後、7日後の流動性をB型粘度計を用いて測定した。粘度測定時の粘度計の回転数は、10rpmであり、温度は、25℃である。ハニカム構造体用シール材の粘度による流動性評価の結果を表2及び表3に示す。なお、粘度の測定結果が記載されていないものは、その前に粘度が高くなりすぎ、粘度が測定できなかったものを示す。また、粘度の測定結果300Pa・sは、測定結果が300Pa・s以上で粘度測定できたものを形式的に300Pa・sとして示している。
(2−2)評価用サンプルの作製及び該評価用サンプルを用いた破壊強度によるハニカム構造体用シール材固化物の機械的特性評価
また、ハニカム構造体用シール材を評価するために、ハニカム焼成体を製造し、得られたハニカム焼成体を用いることにより評価用サンプルを作製し、この評価用サンプルを使用して破壊強度による評価を行った。
すなわち、ハニカム構造体用シール材を用いてハニカム焼成体を2個接着し、切断加工を行って評価用サンプルを作製し、この評価用サンプルを使用して評価を行った。従って、まず、評価用サンプルの作製手順について説明し、その後、各評価方法について説明する。
(ハニカム焼成体の製造)
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmを有する炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する押出成形工程を行い、図2(a)に示した形状と略同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体を作製した。
次に、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させ、ハニカム成形体の乾燥体とした後、上記湿潤混合物と同様の組成の封止材ペーストを所定のセルに充填し、封止材ペーストを充填したハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
次に、ハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂工程を行い、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成工程を行い、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セルの数(セル密度)が300個/inch、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)の炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体を作製した。
(評価用サンプルの作製)
続いて、以下の方法により、評価用サンプルを作製した。
図3(a)は、ハニカム焼成体の接着方法を示す斜視図であり、図3(b)は、貼り合わされたハニカム焼成体を切断することにより作製された評価用サンプルを示す斜視図である。
まず、一のハニカム焼成体110の側面の4隅近傍に1個づつ合計4個、厚さ1.0mmのボール紙製のスペーサを貼り付けた。スペーサの貼り付け位置は、スペーサの外周部分とハニカム焼成体の側面の隅が形成する2辺との最短距離がともに4.5mmとなる位置である。
次に、スペーサを貼り付けたハニカム焼成体110の側面に各実施例及び比較例で調製したハニカム構造体用シール材を塗布し、スペーサ及びハニカム構造体用シール材を介して他のハニカム焼成体110を接着させた。さらに、ハニカム構造体用シール材を介して接着された2個のハニカム焼成体110を120℃に加熱して、ハニカム構造体用シール材を固化させることによって、厚さ1.0mmの接着材層101を形成した。
以上により、2個のハニカム焼成体110と接着材層101とからなる接着体300を作製した(図3(a)参照)。
次に、貼り付けられた2個のハニカム焼成体110の長手方向の長さが25.0±1.0mmとなるように、切断用ディスクを用いて2点鎖線120に示す位置で接着体300の切断処理を行い、切断処理後の2個のハニカム焼成体110aと接着材層101aとからなる評価用サンプル300aを作製した(図3(b)参照)。なお、評価用サンプル300aは、評価用サンプル300aがスペーサを含まないように接着体300を切断することにより作製されたものである。
(破壊強度による評価)
各評価用サンプル300aについて、ハニカム構造体用シール材(接着材層101a)の破壊強度を以下の方法により測定し、これをハニカム構造体用シール材の接着強度の指標とした。
図4は、評価用サンプル300aのハニカム構造体用シール材(接着材層101a)の破壊強度の測定方法を模式的に示す斜視図である。
2個のハニカム焼成体110aの間に形成された接着材層101aの部分に荷重を負荷し、接着材層101aが破壊するときの荷重を破壊強度とした。破壊強度の測定には、曲げ強度試験機(インストロン5582)を使用し、JIS R 1601を参考にした3点曲げの方法により破壊強度を測定した。
まず、図4に示すように、円柱形状のサンプル支持棒311を有する2個の下治具310のサンプル支持棒311が上側に配置され、かつ、サンプル支持棒311間の距離(スパン間距離)が56mmとなるように下治具310をインストロン試験機の固定台に固定する。
次に、上記工程により得られた評価用サンプル300aを2個の下治具310のサンプル支持棒311に掛け渡すように載置するが、その際、評価用サンプル300aの接着材層101aの位置が、2個のサンプル支持棒311のちょうど中央にくるように掛け渡す。
次に、上治具320の円柱状のサンプル当接部321を降下させた際、サンプル当接部321が接着材層101aの中央部にくるように、上治具320の位置を調節し、上治具320を降下させ、センプル当接部321を接着材層101aの表面に当接させた後、1.0mm/minの速度で降下させ、接着材層101aに破断が発生した時の荷重を破壊強度(kgf)とした。
ハニカム構造体用シール材(接着材層)の破壊強度の測定結果を表2及び表3に示す。
(ハニカム構造体の製造)
断面がV字形状に構成された台の上に上記台のV字形状に沿ってハニカム焼成体を載置し、ハニカム焼成体の上側を向いた側面に上記実施例に係るハニカム構造体用シール材をスキージを用いて塗布して接着材ペースト層を形成した。
この接着材ペースト層の上に上記スペーサを上記側面の4隅近傍に1個ずつ、計4個載置した。具体的には、スペーサの外周部分とハニカム焼成体の側面の隅が形成する2辺との最短距離がともに4.5mmとなる位置に載置した。
そして、この接着材ペースト層及びスペーサの上に他のハニカム焼成体を載置した。さらにこの他のハニカム焼成体の側面にハニカム構造体用シール材を塗布し、他のスペーサを載置し、さらに別のハニカム焼成体を載置する工程を繰り返して行い、縦4個、横4個のハニカム焼成体からなるハニカム集合体を作製した。
この際、接着材ペースト層の厚さ(ハニカム焼成体同士の間隔)は1.0mmとなるようにした。さらに、このハニカム集合体を120℃で加熱して接着材ペースト層を固化させて接着材層として、セラミックブロックを作製した。
次に、セラミックブロックの外周をダイヤモンドカッターを用いて円柱状に研削した。
続いて、上記実施例に係るハニカム構造体用シール材を用いて、セラミックブロックの外周部に厚さ0.2mmの外周シール材ペースト層を形成した。そして、このシール材ペースト層を120℃で乾燥して、外周にシール材層が形成された直径132.5mm×長さ150mmの円柱状のハニカム構造体を製造した。
得られたハニカム構造体は、排気ガス浄化装置用のフィルタとしての機能を充分に発揮することができることが判明した。
実施例1〜20、及び、比較例1〜3のハニカム構造体用シール材について、使用した無機繊維の種類、イオン吸着剤の種類と配合量、酸化物ゾルの種類と配合量及びハニカム構造体用シール材のpH、並びに、粘度の経時変化及び破壊強度の評価結果をまとめて表2及び表3に示した。
また、図5は、実施例1〜20及び比較例1〜3において調製したハニカム構造体用シール材について、イオン吸着剤の種類ごとのイオン吸着剤の配合量とハニカム構造体用シール材の破壊強度との関係を示すグラフである。
Figure 2011057540
Figure 2011057540
表2に示すように、得られたハニカム構造体用シール材(ペースト)の粘度を測定した結果、イオン吸着剤としてベントナイト、モンモリロナイト、カオリナイトの粘土系イオン吸着剤を0.1〜5.0重量%配合したハニカム構造体用シール材(実施例1〜10)は、1週間経過しても粘度が高くならず、評価サンプルの破壊強度も高く、ハニカム構造体用シール材として好適に使用することができることが判明した。また、イオン吸着剤として、ベントナイト又はカオリナイトを0.1重量%配合したハニカム構造体用シール材は、評価サンプルの破壊強度がやや低いが使用できるレベルであり、0.2重量%以上とすると、破壊強度が向上することが判明した。
一方、イオン吸着剤を添加しないハニカム構造体用シール材(比較例1)については、次第に粘度が高くなるか、又は、評価サンプルの破壊強度が低い。また、イオン吸着剤を添加しなかったハニカム構造体用シール材(比較例2)は、1日後には粘度が高くなる。これらの結果より、ハニカム構造体用シール材として使用しにくいことが判明した。
また、表3に示すように、イオン吸着剤としてゼオライトを0.1〜5.0重量%配合したハニカム構造体用シール材(実施例11〜15)は、評価サンプルの破壊強度が高く、イオン吸着剤としてリン酸アルミニウムを0.10〜0.25重量%配合したハニカム構造体用シール材(実施例16〜20)は、長期間粘度が高くならず、評価サンプルの破壊強度は、配合量が多くなるに従って急激に高くなり、ハニカム構造体用シール材として好適に使用することができることが判明した。
一方、リン酸アルミニウムを0.07重量%配合したハニカム構造体用シール材(比較例3)は、1日後には、粘度が高くなり、そして、評価サンプルの破壊強度が低く、ハニカム構造体用シール材として使用しにくいことが判明した。
上記は、表1に示した無機繊維Aを使用した結果であるが、無機繊維Bを使用した場合にも同様の結果が得られた。
イオン吸着剤として、シリカ系吸着剤、アルミナ系吸着剤、ゼオライト系吸着剤、(アルミノシリケートゼオライト、メタロシリケーゼオライト、アルミノリン酸塩ゼオライト)、多価金属塩(リン酸鉄、リン酸マグネシウム、フッ化アルミニウム)を使用しても、上述した実施例及び比較例と同様の効果を得られると推測される。
(その他の実施形態)
第一実施形態では、ハニカム焼成体のそれぞれの所定の側面に接着材ペースト層を形成し、該接着材ペースト層の上に順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返して接着材ペーストを固化させることにより接着材層を形成し、その後加工処理を行うことにより、セラミックブロックを作製したが、他の実施形態では、以下の方法によりセラミックブロックを作製してもよい。
この場合には、まず、ハニカム焼成体同士の間に形成する接着材層の厚さと同等の厚さに設計したスペーサを介してハニカム焼成体を縦横に複数個並列し、ハニカム焼成体の並列体を作製する。従って、ハニカム焼成体の間にはスペーサの厚さ分の空隙が形成される。
続いて、並列させたハニカム焼成体間の空隙に、充填装置を用いて第一実施形態で説明したハニカム構造体用シール材を充填する。
ハニカム焼成体間の空隙に第一実施形態で説明したハニカム構造体用シール材を充填させる際には、ハニカム焼成体の並列体を筒状体の内部空間内に設置し、シール材ペースト供給器を筒状体の端面に取り付ける。そして、押出機構を用いてシール材ペースト供給器のシール材ペースト室内から第一実施形態で説明したハニカム構造体用シール材を押し出して、ハニカム構造体用シール材をハニカム焼成体間の空隙に充填する。
このような方法をとることによって、複数個のハニカム焼成体の間にハニカム構造体用シール材からなる接着材が充填されてなるハニカム焼成体の積層体を作製することができる。
この後、このハニカム焼成体の積層体を乾燥機等を用いて加熱して接着材を乾燥固化することによって接着材層を形成し、外周加工を行うことによりセラミックブロックを作製することができる。
また、さらに他の実施形態では、以下のような方法により、ハニカム構造体を製造してもよい。
すなわち、まず、図1に示すハニカム構造体を構成するハニカム焼成体とほぼ同様の形状の3種類のハニカム焼成体を作製する。これら断面形状の異なる3種のハニカム焼成体は、押出形成において用いるダイスの形状を変更することにより作製することができる。図1に示すハニカム焼成体では、加工処理により複数のセルが露出した形状となっているが、押出成形したものでは、複数のセルは露出しておらず、セル壁が外周に形成された形状となる。
そして、これら3種のハニカム焼成体をスペーサを介して縦横に複数個並列することにより、その長手方向に垂直な断面の形状が略円形である、ハニカム焼成体の並列体を作製する。このとき、各ハニカム焼成体の間にはスペーサの厚さ分の空隙が形成される。
続いて、円筒状の筒状体を有する充填装置内にハニカム焼成体の並列体を設置し、ハニカム焼成体の間に形成された空隙、及び、ハニカム焼成体と筒状体の間に形成された空隙に第一実施形態で説明したハニカム構造体用シール材を充填する。
本実施形態において用いる充填装置は、円筒状の筒状体とシール材ペースト供給器を備えている。筒状体の内径は設置するハニカム焼成体の並列体の直径より少し大きくなっており、ハニカム焼成体の並列体を筒状体の内部空間に設置した際に、筒状体とハニカム焼成体の並列体との間に空隙が形成されるように構成されている。
シール材ペースト供給器は、シール材ペースト室に収容された第一実施形態で説明したハニカム構造体用シール材をハニカム焼成体間の空隙と、筒状体とハニカム焼成体の並列体の間の空隙に同時に充填することができるように構成されている。
上記方法により、ハニカム焼成体の間の空隙、及び、ハニカム焼成体と筒状体の間に形成された空隙に第一実施形態で説明したハニカム構造体用シール材を充填し、ハニカム構造体用シール材を固化することにより、ハニカム構造体を作製する。この方法により接着材層と外周シール材層とを同時に形成することができる。
なお、ハニカム焼成体の断面形状は3種に限定されず、複数種類であってもよい。
また、他の実施形態としては、複数のハニカム焼成体を結束することによりセラミックブロックを作製するのではなく、セラミックブロックの役割を果たす円柱状の1つのハニカム焼成体の外周に第一実施形態で説明したハニカム構造体用シール材を塗布し、ハニカム構造体用シール材を固化することによりハニカム構造体を製造することができる。
本発明のハニカム構造体において、接着材層の形成のために用いるハニカム構造体用シール材と、外周シール材層の形成のために用いるハニカム構造体用シール材は、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
また、接着材としては、本発明のハニカム構造体用シール材の他に、従来からハニカム構造体の製造に用いられていた接着材ペーストを用いることもできる。
ハニカム焼成体の形状は、特に限定されるものではないが、ハニカム焼成体同士を結束させてハニカム構造体を製造する際に結束しやすい形状であることが好ましく、その断面形状としては、正方形、長方形、六角形、扇状等が挙げられる。
また、本発明のハニカム構造体の形状は、円柱形状に限定されるものでなく、例えば、楕円柱形状、長円柱形状、角柱形状等の任意の形状であってもよい。
ハニカム焼成体の気孔率は特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
上記ハニカム焼成体を用いて製造したハニカム構造体をフィルタとして使用した際、ハニカム焼成体の気孔率が35%未満であると、フィルタがすぐに目詰まりを起こすことがあり、一方、ハニカム焼成体の気孔率が60%を超えると、ハニカム焼成体の強度が低下するため、フィルタが容易に破壊されることがあるからである。
ハニカム焼成体の平均気孔径は、5〜30μmであることが望ましい。
上記ハニカム焼成体を用いて製造したハニカム構造体をフィルタとして使用した際、ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、フィルタが容易に目詰まりを起こすことがあり、一方、ハニカム焼成体の平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、ハニカム構造体がパティキュレートを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがあるからである。
なお、上記気孔率及び気孔径は、例えば、水銀圧入法、アルキメデス法、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等の従来公知の方法により測定することができる。
ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm(200個/inch)、望ましい上限は、93.0個/cm(600個/inch)、より望ましい下限は、38.8個/cm(250個/inch)、より望ましい上限は、77.5個/cm(500個/inch)である。
また、上記ハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されるものではないが、0.1〜0.4mmであることが望ましい。
ハニカム焼成体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等のセラミック粉末が挙げられる。
これらの中では、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。なお、上述したセラミックに金属ケイ素を配合したケイ素含有セラミック、上述したセラミックがケイ素やケイ酸塩化合物で結合されたセラミック等のセラミック原料も構成材料として挙げられ、これらの中では、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたもの(ケイ素含有炭化ケイ素)が望ましい。
特に、炭化ケイ素を60重量%以上含むケイ素含有炭化ケイ素質セラミックが望ましい。
湿潤混合物を調製する際に用いられる有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中では、メチルセルロースが望ましい。有機バインダの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
湿潤混合物を調製する際に用いられる可塑剤は、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。また、潤滑剤は特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、湿潤混合物に含まれていなくてもよい。
また、湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
さらに、湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
セルを封止する封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て製造される封止材の気孔率が30〜75%となるものが望ましく、例えば、湿潤混合物と同様のものを用いることができる。
ハニカム構造体には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよく、担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、この中では、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これまで、ハニカム構造体としては、セルのいずれか一方の端部が封止されているハニカム構造体(ハニカムフィルタ)について説明を行ったが、本発明のハニカム構造体は、セルの端部が封止されていなくてもよい。このようなハニカム構造体は、触媒担体として好適に使用することが可能となる。
100 ハニカム構造体
101、101a 接着材層
102 外周シール材層
103 セラミックブロック
110、110a ハニカム焼成体
111 セル
112 封止材
113 セル壁
300 接着体
300a 評価用サンプル
310 下治具
311 サンプル支持棒
320 上治具
321 サンプル当接部
G 排ガス

Claims (26)

  1. 生体溶解性の無機化合物からなる無機繊維と、無機粒子と、0.1重量%以上のイオン吸着剤とを含むことを特徴とするハニカム構造体用シール材。
  2. 前記無機化合物は、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のハニカム構造体用シール材。
  3. 前記イオン吸着剤は、シリカ系吸着剤、アルミナ系吸着剤、ゼオライト系吸着剤、粘土系吸着剤、メソポーラス系吸着剤、多価金属塩、及び、活性炭からなる群より選択される少なくとも1種の吸着剤である請求項1又は2に記載のハニカム構造体用シール材。
  4. 前記イオン吸着剤は、粘土系吸着剤である請求項3に記載のハニカム構造体用シール材。
  5. 前記粘土系吸着剤は、ベントナイト、活性白土、モンモリロナイトからなる群より選択される少なくとも1種である請求項4に記載のハニカム構造体用シール材。
  6. 前記イオン吸着剤は、ゼオライト系吸着剤及び活性炭の少なくとも1種である請求項3に記載のハニカム構造体用シール材。
  7. 前記ゼオライト系吸着剤は、アルミノシリケートゼオライト、メタロシリケートゼオライト、アルミノリン酸塩ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種である請求項6に記載のハニカム構造体用シール材。
  8. 前記イオン吸着剤は、多価金属塩である請求項3に記載のハニカム構造体用シール材。
  9. 多価金属塩は、リン酸アルミニウム、リン酸鉄、リン酸マグネシウム、フッ化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項8に記載のハニカム構造体用シール材。
  10. さらに酸化物ゾルを含む請求項1〜9のいずれかに記載のハニカム構造体用シール材。
  11. 複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に形成されたハニカム焼成体からなるセラミックブロックと、
    前記セラミックブロックの外周面に形成された外周シール材層とからなるハニカム構造体であって、
    前記外周シール材層は、請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体用シール材を固化させて形成されているハニカム構造体。
  12. 前記セラミックブロックは、複数のハニカム焼成体と、前記複数のハニカム焼成体の側面間に形成された接着材層とからなる請求項11に記載のハニカム構造体。
  13. 前記接着材層は、接着材を固化させて形成されている請求項12に記載のハニカム構造体。
  14. 前記接着材は、請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体用シール材である請求項13に記載のハニカム構造体。
  15. セラミック原料を成形して多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に形成されたハニカム成形体を作製する工程と、
    前記ハニカム成形体を熱処理して得られるハニカム焼成体からなるセラミックブロックを作製する工程と、
    前記セラミックブロックの外周面に形成した外周シール材ペースト層を固化して外周シール材層を形成する工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、
    生体溶解性の無機化合物からなる無機繊維と、無機粒子と、0.1重量%以上のイオン吸着剤とを少なくとも混合してハニカム構造体用シール材を調製する工程をさらに含み、
    前記外周シール材ペースト層は、前記ハニカム構造体用シール材を用いて形成された層であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  16. 前記ハニカム焼成体を接着材層を介して複数結束させて前記セラミックブロックを作製する工程をさらに含む請求項15に記載のハニカム構造体の製造方法。
  17. 前記無機化合物は、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項15又は16に記載のハニカム構造体の製造方法。
  18. 前記イオン吸着剤は、シリカ系吸着剤、アルミナ系吸着剤、ゼオライト系吸着剤、粘土系吸着剤、メソポーラス系吸着剤、多価金属塩、及び、活性炭からなる群より選択される少なくとも1種の吸着剤である請求項15〜17のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  19. 前記イオン吸着剤は、粘土系吸着剤である請求項18に記載のハニカム構造体の製造方法。
  20. 前記粘土系吸着剤は、ベントナイト、活性白土、モンモリロナイトからなる群より選択される少なくとも1種である請求項19に記載のハニカム構造体の製造方法。
  21. 前記イオン吸着剤は、ゼオライト系吸着剤及び活性炭の少なくとも1種である請求項18に記載のハニカム構造体の製造方法。
  22. 前記ゼオライト系吸着剤は、アルミノシリケートゼオライト、メタロシリケートゼオライト、アルミノリン酸塩ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種である請求項21に記載のハニカム構造体の製造方法。
  23. 前記イオン吸着剤は、多価金属塩である請求項18に記載のハニカム構造体の製造方法。
  24. 前記多価金属塩は、リン酸アルミニウム、リン酸鉄、リン酸マグネシウム、フッ化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項23に記載のハニカム構造体の製造方法。
  25. 前記ハニカム構造体用シール材は、さらに酸化物ゾルを含む請求項15〜24のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  26. 前記接着材層は、接着材を固化させて形成されており、
    前記接着材は、請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体用シール材である請求項16に記載のハニカム構造体の製造方法。
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